エレベーター一人で乗っている時もわたしは私を数え忘れる鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「乗っている時も」の「も」に注目したいと思いますが、この「も」から、エレベーターに一人ではな
日本の伝統詩型である「短歌」。五七五七七の三十一音からなるこの詩型は実に魅力にあふれています。 短歌のある日々は実に豊かで、その魅力を広く発信したいです!
ストローをせり上がりくるコーヒーの見えざる黒きストローなれば染野太朗『初恋』 染野太朗の第三歌集『初恋』(2023年)に収められた一首です。 ストローを使って飲んでいるところから想像すると、アイスコーヒーでしょうか。 ストローは白ではなく黒
生くるとは慣れぬことがらに出会ふこと熟こなしていくこと羊雲みあぐ秋山佐和子『豊旗雲』 秋山佐和子の第八歌集『豊旗雲』(2020年)に収められた一首です。 生きるということのある定義が示された歌で、この歌では二つが並列されています。 ひとつは
もう若くないと思えど死には若き齢よわいを生きて朝鵙あさもずに遇う吉川宏志『鳥の見しもの』 吉川宏志の第七歌集『鳥の見しもの』(2016年)に収められた一首です。 人はいつまでを若いと思い、いつからを若くないと感じるのでしょうか。 掲出歌は「
ノー・ウンチ、ノー・ライフ、ああ、この先の百年をウンチせよかし、おまへ大松達知『ゆりかごのうた』 大松達知の第四歌集『ゆりかごのうた』(2014年)に収められた一首です。 「おまへ」とは自分の子どものことを指しており、この歌が収められた一連
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈どうしても書く気の出ない夜があり【 ① 】にて原稿を書く〉 (大松達知) A. サングラス B. 片イヤフォン C. 蝶ネクタイ D. 野球帽 答えを表示する 解答
問題 - Question 〈こころ憂き春のカバンはぶんぶんと振り子のやうにわれを歩ます〉という巻頭歌で始まる、大松達知の第四歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『ゆりかごのうた』 解説 『ゆりかごのうた』は2014年(平
死ぬまでにせぬこと出来ぬままのこと考へてゐる箸洗ひつつ近藤かすみ『雲ケ畑まで』 近藤かすみの第一歌集『雲ケ畑まで』(2012年)に収められた一首です。 人生は長いといえば長いでしょうし、短いといえば短いものです。それは人生の捉え方、どの視点
棒切れかなにかのごとき一生も棒切れに長さありてわれ泣く渡辺松男『歩く仏像』 渡辺松男の第三歌集『歩く仏像』(2002年)に収められた一首です。 一生はいろんなものに喩えられます。一生を何に喩えますかという質問を受けた方もいるかもしれませんが
(はじめから間違いだとしてひきつづき間違うとしても)生きなければね野樹かずみ『路程記』 野樹かずみの第一歌集『路程記』(2006年)に収められた一首です。 "なぜ生きているのか"。 人生において、この問いを自分自身に投げかけたくなるのは、う
今日もまた前回までのあらすじを生きてるみたい 雨が止まない鈴木美紀子『風のアンダースタディ』 鈴木美紀子の第一歌集『風のアンダースタディ』(2017年)に収められた一首です。 日々を重ねることは、日々経験を積むことであるでしょうし、新しい何
自販機に〈なまぬるい〉のボタン見つけたらわたしはきっと次の段階ステージ鈴木美紀子『風のアンダースタディ』 鈴木美紀子の第一歌集『風のアンダースタディ』(2017年)に収められた一首です。 通常、自動販売機のボタンは"つめた~い"か"あったか
カップ麵にお湯注ぐとき思うんだこうやってお湯降ってくるでしょ大前粟生『柴犬二匹でサイクロン』 大前おおまえ粟生あおの第一歌集『柴犬二匹でサイクロン』(2018年)に収められた一首です。 カップ麺を詠った歌ですが、この歌が何を伝えようとしてい
いまはただ春の麒麟にあいたくて卵サンドをつくっています岸原さや『声、あるいは音のような』 岸原さやの第一歌集『声、あるいは音のような』(2013年)に収められた一首です。 一読、明るさに満ちていて、わくわくうきうきする歌です。 「春」のやわ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈うれしくてなんべんひとに言つただらう【 ① 】の同じなること〉 (染野太朗) A. 血液型 B. 生年月日 C. 出身校 D. 漢字氏名 答えを表示する 解答 - A
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エレベーター一人で乗っている時もわたしは私を数え忘れる鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「乗っている時も」の「も」に注目したいと思いますが、この「も」から、エレベーターに一人ではな
エレベーター上へ上へと進みゆき下ばかり見る君と私は川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 この歌に登場するエレベーターが、シースルーエレベーターなのか、それともいわゆる通常のエレ
三分の電車の遅延・エフェクトで馬鹿っぽいパン買ってしまった宇野なずき『しかし世界はあなたではない』 宇野なずきの歌集『しかし世界はあなたではない』(2023年)に収められた一首です。 通勤途中の駅のホームにいる場面でしょうか。出勤日に毎日電
肺活量に自信ある君蟹みたくアイスコーヒーぶくぶくさせて川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 アイスコーヒーにはストローが刺さっていると想像したいと思います。 アイスコーヒーに限
ただ生きてゆくことだけを意識して生きる折り畳み傘を持たずに川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 なぜ生きるのか、そして、どのように生きるのか、これらは生きていく上でどうしても意
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】のようなタルトだ削っても削ってもまだ倒れずにいる〉 (川島結佳子) A. 弁慶 B. 精神 C. 尖塔 D. 恋愛 答えを表示する 解答 - Answer
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈生きるとは【 ① 】ことで午前二時すれ違う人のない道をゆく〉 (塚田千束) A. 数える B. 浮かべる C. 見上げる D. 任せる 答えを表示する 解答 - An
途方もなく未来のことを託される前売り券が重たくて春塚田千束『アスパラと潮騒』 塚田千束ちづかの第一歌集『アスパラと潮騒』(2023年)に収められた一首です。 前売り券にも色々とありますが、音楽コンサートや映画鑑賞のチケットでしょうか、それと
うしなへば自由になれる きつかけは些細で後はとつぴんしやん、と西橋美保『うはの空』 西橋美保の第二歌集『うはの空』(2016年)に収められた一首です。 「うしなへば自由になれる」と詠い始めらますが、失うものが一体何であるのかは、この一首には
滑らかにエレベーターは上下して最後までビルを出ることはない松村正直『駅へ』 松村正直の第一歌集『駅へ』(2001年)に収められた一首です。 この歌で詠われていることは、ごくごく当たり前のことであり、当たり前すぎて普段そのことに意識を向ける人
われのみのためにとまりて申訳なけれどエレベーターに身を押し込みぬ吉岡生夫『草食獣 隠棲篇』 吉岡生夫の第六歌集『草食獣 隠棲篇』(2005年)に収められた一首です。 エレベーターに乗ろうとしたとき、自分が今いる階にエレベーターのかごが停まっ
エレベーターわが前へ昇り来るまでを深き縦穴の前に待ちをり田村元『昼の月』 田村元の第二歌集『昼の月』(2021年)に収められた一首です。 エレベーターの用語では、人や荷物を載せる箱のことを"かご"というようです。 エレベーターという構造にお
観覧車のぼりゆく午後 簡潔に母と子という単位を乗せて俵万智『オレがマリオ』 俵万智の第五歌集『オレがマリオ』(2013年)に収められた一首です。 一般的な観覧車において、一つのゴンドラに乗ることができる人数は、せいぜい四名くらいでしょう。
まっくろな観覧車がもしあるのならすべてのこいびとたちさようなら安田茜『結晶質』 安田茜の第一歌集『結晶質』(2023年)に収められた一首です。 「まっくろな観覧車」というのは実在するのでしょうか。「もしあるのなら」と詠われているので、実在は
中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり黒瀬珂瀾『空庭』 黒瀬珂瀾の第二歌集『空庭』(2009年)に収められた一首です。 エレベーターに乗るとき、誰も乗っておらず、自分一人だけの状況であっても、ついつい隅に寄ってしまいます。隅
これまでの十とwの幸運十とをの不運かぞへあげつつ眠りにつかむ小池光『サーベルと燕』 小池光の第十一歌集『サーベルと燕』(2022年)に収められた一首です。 作者七十代の作品であり、「これまでの」にはやはり長い歳月が流れたことをが表れているで
酢のなかに無数の小さき眼がありてある夜またたきながら殖えゆく河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 酢は、日常の料理に使われるほか、健康のために飲む酢というものも色々と登場しています。 掲出
夕闇に紛れゆくときゐなくてもゐてもゐなくてもよいわれとはなりぬ大室ゆらぎ『夏野』 大室ゆらぎの第二歌集『夏野』(2017年)に収められた一首です。 「夕闇に紛れゆく」という状況において、ひとりの人の存在は、夕闇を前にしてはあまりにも小さいも
耳から生まれ耳に死にゆく人間の途中の耳とふれつつおもふ河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 人の顔を見ても、目、耳、口、鼻、頰、眉、額など、さまざまな部位を取り上げることができるでしょう。
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈腐るまへの果物みたいにおいておくテーブルに二十日ほどこの【 ① 】を〉 (河野美砂子) A. 本 B. 骨 C. 曲 D. 壜 答えを表示する 解答 - Answer
傘を巻く すなわち傘の身は痩せて異界にひらくひるがおの花服部真里子『遠くの敵や硝子を』 服部真里子の第二歌集『遠くの敵や硝子を』(2018年)に収められた一首です。 「傘」といったとき、まず頭に浮かぶのは、開いた状態の傘でしょうか、それとも
苛立ちをなだめる為の象かたちかなサンドウィッチのフィルムを剝がす堀合昇平『提案前夜』 堀合昇平の第一歌集『提案前夜』(2013年)に収められた一首です。 主体は今苛立っていたのでしょう。仕事のことでしょうか、それとも家庭のことでしょうか、あ
メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ田村穂隆『湖とファルセット』 田村穂隆の第一歌集『湖うみとファルセット』(2022年)に収められた一首です。 絵手紙というと、手書きの味わいのある手紙という印象があります。パソコンで打
「今日きようは」という「今日は」だけが嘘であるメール送りつさびしい夜に花山周子『屋上の人屋上の鳥』 花山周子の第一歌集『屋上の人屋上の鳥』(2007年)に収められた一首です。 相手に自分の近況を知らせた場面でしょうか。 それにしても、なぜ「
言葉の密度を恋ふる 未読メールひらく一瞬目をつむるなり横山未来子『水をひらく手』 横山未来子の第二歌集『水をひらく手』(2003年)に収められた一首です。 親しい人からのメールでしょうか。 メールは開く前は「未読メール」であり、未読状態のま
春がまだひたすら続く日々でした老婆になった我そこに置く松平盟子『うさはらし』 松平盟子の第六歌集『うさはらし』(1996年)に収められた一首です。 季節は春。春は春でも、その春の特定の一日ではなく、一定の幅をもった「日々」が詠まれています。
文字化けのメール開けば溢れ出る涙の訳を教えてほしい岡本真帆『水上バス浅草行き』 岡本真帆の第一歌集『水上バス浅草行き』(2022年)に収められた一首です。 「文字化け」が起こる原因としては、送信側と受信側の文字コードが異なっているケースが多
春の日の「歩」が「と」に変はるさみしさに三十代も後半に入る田村元『昼の月』 田村元の第二歌集『昼の月』(2021年)に収められた一首です。 季節は春でしょう。冬が終わり、だんだんと暖かくなっていく季節に、主体は年齢を重ねていきます。 「三十
ひとりってこうだったっけ夜の道チョコをちいさくちいさく割りぬ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 人との関わりの中で人は生きていくわけですが、人との関わりの度合
ひとりってこうだったっけ夜の道チョコをちいさくちいさく割りぬ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 人との関わりの中で人は生きていくわけですが、人との関わりの度合
銃撃戦がとくに好きってわけじゃない土の匂いのチョコレート嚙む平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』 平岡直子の第一歌集『みじかい髪も長い髪も炎』(2021年)に収められた一首です。 上句の感情と下句の行動の二つのパートから構成される歌ですが、ど
映画にはなれない今日が好きだった 卓にふくらみたるティーコジー笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 「ティーコジー」とは、ティーポットにかぶせる布製のカバーのこ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈呼ぶ声に顔を上げれば夜桜が【 ① 】のように明るい〉 (笠木拓) A. 豆電球 B. 方位磁石 C. 西ヨーロッパ D. ポップコーン 答えを表示する 解答 - An
問題 - Question 〈色あせた木馬の鞍にふれるとき少年少女瞑りいるべし〉という巻頭歌で始まる、笠木拓の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『はるかカーテンコールまで』 解説 『はるかカーテンコールまで』は201
たましいを紙飛行機にして見せてその一度きりの加速を見せて服部真里子『遠くの敵や硝子を』 服部真里子の第二歌集『遠くの敵や硝子を』(2018年)に収められた一首です。 動力源をもたない紙飛行機は、投げるときの手の力、そして風によってどこまで飛
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈見る者をみな【 ① 】にするような真冬の星を君と見ていつ〉 (服部真里子) A. 篝火 B. 落丁 C. 衛星 D. 剝製 答えを表示する 解答 - Answer
生まれた瞬間懐かしくなる歌のように駅の周りで傘は開いた堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』 堂園昌彦の第一歌集『やがて秋茄子へと到る』(2013年)に収められた一首です。 傘の歌ですが、一読"光"を感じる歌だと思います。 それは「生まれた瞬間」
ぼろぼろと剝がれて落ちてゆくものを育て続けた日もあったはず安藤美保『水の粒子』 安藤美保の第一歌集『水の粒子』(1992年)に収められた一首です。 生きていくということは、意識をするかしないかに関わらず、何かしらをつくりあげていくことにつな
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】を重ねるように同意する ポットのお湯も沸きはじめたり〉 (安藤美保) A. パイ生地 B. 下敷き C. 白地図 D. 靴下 答えを表示する 解答 - An
問題 - Question 〈頰のあたり母に似て来しこと言われ万葉集の講義もうつろ〉という巻頭歌で始まる、安藤美保の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『水の粒子』 解説 『水の粒子』は1992年(平成4年)に出版され