理由などいつもあとからついてくるなだらかにうねる道のかたへを三島麻亜子『水庭』 三島麻亜子の第一歌集『水庭』(2014年)に収められた一首です。 初句の「理由」とは何に対する理由を指しているのでしょうか。 具体的に何の行動かが書かれていませ
日本の伝統詩型である「短歌」。五七五七七の三十一音からなるこの詩型は実に魅力にあふれています。 短歌のある日々は実に豊かで、その魅力を広く発信したいです!
ストローをせり上がりくるコーヒーの見えざる黒きストローなれば染野太朗『初恋』 染野太朗の第三歌集『初恋』(2023年)に収められた一首です。 ストローを使って飲んでいるところから想像すると、アイスコーヒーでしょうか。 ストローは白ではなく黒
生くるとは慣れぬことがらに出会ふこと熟こなしていくこと羊雲みあぐ秋山佐和子『豊旗雲』 秋山佐和子の第八歌集『豊旗雲』(2020年)に収められた一首です。 生きるということのある定義が示された歌で、この歌では二つが並列されています。 ひとつは
もう若くないと思えど死には若き齢よわいを生きて朝鵙あさもずに遇う吉川宏志『鳥の見しもの』 吉川宏志の第七歌集『鳥の見しもの』(2016年)に収められた一首です。 人はいつまでを若いと思い、いつからを若くないと感じるのでしょうか。 掲出歌は「
ノー・ウンチ、ノー・ライフ、ああ、この先の百年をウンチせよかし、おまへ大松達知『ゆりかごのうた』 大松達知の第四歌集『ゆりかごのうた』(2014年)に収められた一首です。 「おまへ」とは自分の子どものことを指しており、この歌が収められた一連
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈どうしても書く気の出ない夜があり【 ① 】にて原稿を書く〉 (大松達知) A. サングラス B. 片イヤフォン C. 蝶ネクタイ D. 野球帽 答えを表示する 解答
問題 - Question 〈こころ憂き春のカバンはぶんぶんと振り子のやうにわれを歩ます〉という巻頭歌で始まる、大松達知の第四歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『ゆりかごのうた』 解説 『ゆりかごのうた』は2014年(平
死ぬまでにせぬこと出来ぬままのこと考へてゐる箸洗ひつつ近藤かすみ『雲ケ畑まで』 近藤かすみの第一歌集『雲ケ畑まで』(2012年)に収められた一首です。 人生は長いといえば長いでしょうし、短いといえば短いものです。それは人生の捉え方、どの視点
棒切れかなにかのごとき一生も棒切れに長さありてわれ泣く渡辺松男『歩く仏像』 渡辺松男の第三歌集『歩く仏像』(2002年)に収められた一首です。 一生はいろんなものに喩えられます。一生を何に喩えますかという質問を受けた方もいるかもしれませんが
(はじめから間違いだとしてひきつづき間違うとしても)生きなければね野樹かずみ『路程記』 野樹かずみの第一歌集『路程記』(2006年)に収められた一首です。 "なぜ生きているのか"。 人生において、この問いを自分自身に投げかけたくなるのは、う
今日もまた前回までのあらすじを生きてるみたい 雨が止まない鈴木美紀子『風のアンダースタディ』 鈴木美紀子の第一歌集『風のアンダースタディ』(2017年)に収められた一首です。 日々を重ねることは、日々経験を積むことであるでしょうし、新しい何
自販機に〈なまぬるい〉のボタン見つけたらわたしはきっと次の段階ステージ鈴木美紀子『風のアンダースタディ』 鈴木美紀子の第一歌集『風のアンダースタディ』(2017年)に収められた一首です。 通常、自動販売機のボタンは"つめた~い"か"あったか
カップ麵にお湯注ぐとき思うんだこうやってお湯降ってくるでしょ大前粟生『柴犬二匹でサイクロン』 大前おおまえ粟生あおの第一歌集『柴犬二匹でサイクロン』(2018年)に収められた一首です。 カップ麺を詠った歌ですが、この歌が何を伝えようとしてい
いまはただ春の麒麟にあいたくて卵サンドをつくっています岸原さや『声、あるいは音のような』 岸原さやの第一歌集『声、あるいは音のような』(2013年)に収められた一首です。 一読、明るさに満ちていて、わくわくうきうきする歌です。 「春」のやわ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈うれしくてなんべんひとに言つただらう【 ① 】の同じなること〉 (染野太朗) A. 血液型 B. 生年月日 C. 出身校 D. 漢字氏名 答えを表示する 解答 - A
「ブログリーダー」を活用して、tankalifeさんをフォローしませんか?
理由などいつもあとからついてくるなだらかにうねる道のかたへを三島麻亜子『水庭』 三島麻亜子の第一歌集『水庭』(2014年)に収められた一首です。 初句の「理由」とは何に対する理由を指しているのでしょうか。 具体的に何の行動かが書かれていませ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈投げあげし乳歯を空は吸わざれど【 ① 】のようなる雲のひろがり〉 (中津昌子) A. 衣 B. 井戸 C. 壁 D. 川 答えを表示する 解答 - Answer A
時が止まればいい さう思はなくなつてずいぶん歩いてしまつた大森益雄『歌日和』 大森益雄の第三歌集『歌日和』(2013年)に収められた一首です。 生きている今この瞬間が最高に幸せだという思いに満たされていれば、自然と「時が止まればいい」と感じ
透明の傘をひらけばみどりごと我にあかるき雨降りかかる中津昌子『風を残せり』 中津昌子の第一歌集『風を残せり』(1993年)に収められた一首です。 透明の傘は、ビニール傘のことでしょうか。主体は嬰児を胸に抱えている状況で、雨が降ってきたので傘
高層の無数の窓に見下ろされ信号無視の一歩踏みだす中津昌子『風を残せり』 中津昌子の第一歌集『風を残せり』(1993年)に収められた一首です。 「高層の無数の窓」とは、高層ビルの窓を指しているのでしょう。 外壁面が窓に覆われたような構造だと思
それぞれに目的があり乗り継いだ僕たちの無数のJR青松輝『4』 青松輝あきらの第一歌集『4』(2023年)に収められた一首です。 通勤、通学だけでなく、休日の移動においてなど、JRは欠かせない乗り物となっているでしょう。 「僕たちの無数のJR
ハニカムの形のベンチが無数ありどうやって座るのか分からない九螺ささら『ゆめのほとり鳥』 九螺くらささらの第一歌集『ゆめのほとり鳥』(2018年)に収められた一首です。 「ハニカム」とは蜂の巣を意味する言葉ですが、蜂の巣はその穴のひとつひとつ
天神の樹の電飾のあたたかき無数さよならのやうに無数染野太朗『初恋』 染野太朗の第三歌集『初恋』(2023年)に収められた一首です。 「天神」とは福岡市の天神エリアのことでしょう。 季節は冬でしょうか。イルミネーションされた樹が詠われており、
夕立は眼鏡を洗うためにある 楠の枝葉に無数のふるえ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 上句の「夕立は眼鏡を洗うためにある」という断定の力強さを感じます。 夕立
玻璃窓の外には波の無数の目 海浜ホテルのカーテンのむこう松平盟子『うさはらし』 松平盟子の第六歌集『うさはらし』(1996年)に収められた一首です。 主体は海辺のホテルの室内にいるのでしょう。ガラス窓にはカーテンがかかっています。海浜ホテル
生きてゐる間はせめて思ひたい他の生き方あるかもしれぬ香川ヒサ『ヤマト・アライバル』 香川ヒサの第八歌集『ヤマト・アライバル』(2015年)に収められた一首です。 この歌は難解な言葉は使われておらず、その意味内容についても素直に受けとれば詠わ
朝戸出の風硬くして今日のわれ昨日のわれを引き継ぎにゆく島田幸典『駅程』 島田幸典の第二歌集『駅程』(2015年)に収められた一首です。 「朝戸出あさとで」とは、朝、戸を開けて外に出ることを意味します。和歌の世界では、一夜を過ごした相手のもと
鉄橋は無数のネジに締められて線路の音は調律される竹内亮『タルト・タタンと炭酸水』 竹内亮の第一歌集『タルト・タタンと炭酸水』(2015年)に収められた一首です。 建築物を構成する要素として「ネジ」は欠かせないものでしょうが、「鉄橋」も「ネジ
聖堂をもとおる蔦のくれないは無数の舌のひらめくごとし島田幸典『駅程』 島田幸典の第二歌集『駅程』(2015年)に収められた一首です。 「もとおる」を漢字で書けば「回る」「廻る」であり、巡りまわるという意味をもつ言葉です。 聖堂の壁の周りには
けふの疲れに軀はしづみざらざらと無数の星に覆はるる夜横山未来子『水をひらく手』 横山未来子の第二歌集『水をひらく手』(2003年)に収められた一首です。 初句二句の「けふの疲れに軀はしづみ」は軀の疲れを詠っているのですが、その表現には丁寧に
あかあかと腕に無数の湿疹のひとつぶひとつぶが痒がりてゐる西村美佐子『猫の舌』 西村美佐子の第三歌集『猫の舌』(2005年)に収められた一首です。 体に湿疹ができると痒くてついつい搔いてしまいますが、この歌は腕にできた「無数の湿疹」を詠んでい
太陽の無数の命生む力無数の命滅ぼす力香川ヒサ『ヤマト・アライバル』 香川ヒサの第八歌集『ヤマト・アライバル』(2015年)に収められた一首です。 地球に生きる生き物にとって、太陽はなくてはならない存在です。人間も動物も植物も、太陽なくして育
照らされた無数のほこりしばらくは息をするのを我慢してみる木下龍也『つむじ風、ここにあります』 木下龍也の第一歌集『つむじ風、ここにあります』(2013年)に収められた一首です。 部屋の中にいるとき、窓からの光で、急に「ほこり」が照らし出され
五弁の桜、五つに分かれ散りおれど無数のなかにまぎれてゆきぬ吉川宏志『石蓮花』 吉川宏志の第八歌集『石蓮花』(2019年)に収められた一首です。 桜といえば、木単位、枝単位など多くの花をまとめて見がちではありますが、この歌は、桜の花びらを見つ
この世には子どもも大人もいやしない無数のただの私がいるだけ雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』 雪舟えまの第二歌集『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』(2018年)に収められた一首です。 「子ども」と「大人」を分ける境界
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈こんなにも俺は【 ① 】だといふ事を防犯カメラに見下ろされをり〉 (矢部雅之) A. 独り B. 自由 C. 無価値 D. 静か 答えを表示する 解答 - Answe
問題 - Question 〈名を呼べばふりむく躯呼ばるるとふことそのものの歓びに満ち〉という巻頭歌で始まる、矢部雅之の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『友達ニ出会フノハ良イ事』 解説 『友達ニ出会フノハ良イ事』は
けふよりあすへ疲労はほそき橋として架かる その橋を渡りはじめつ鈴木加成太『うすがみの銀河』 鈴木加成太の第一歌集『うすがみの銀河』(2022年)に収められた一首です。 仕事の疲れ、学業の疲れ、人生に対する疲れなど、生きていればさまざまなこと
雨はふる、降りながら降る 生きながら生きるやりかたを教へてください藪内亮輔『海蛇と珊瑚』 藪内亮輔の第一歌集『海蛇と珊瑚』(2018年)に収められた一首です。 人生とは、いつも進行形であると感じます。常に時間の最先端にいるのであり、"準備万
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈公園のベンチはぬるく【 ① 】のような時間をつぶす〉 (鈴木加成太) A. うたた寝の曇り B. 日盛りの薄荷 C. 軟膏の粘り D. 値下がりの苺 答えを表示する
問題 - Question 〈北窓の部屋はアトリエに好よいと云う 果実の色に昏れるその部屋〉という巻頭歌で始まる、鈴木加成太の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『うすがみの銀河』 解説 『うすがみの銀河』は2022年
ショートケーキを箸もて食し生誕というささやかなエラーを祝う内山晶太『窓、その他』 内山晶太の第一歌集『窓、その他』(2012年)に収められた一首です。 生命の誕生は、数億の精子の中からたったひとつが卵子と出会うことでなされるのであって、「生
僕に見えるこの僕みたいな人生をあなたなら続けられたんですか平出奔『了解』 平出奔の第一歌集『了解』(2022年)に収められた一首です。 この歌は詞書を多用した「了解」という一連にありますが、この一連はSNSでのやりとりを通じての相手との関わ
両親が両脇に居てくれることこんなにも親不孝な幸しあわせ笹本碧『ここはたしかに 完全版』 笹本碧の遺歌集『ここはたしかに 完全版』(2020年)に収められた一首です。 「手をあててみる」という一連にある歌で、自身の手術後の場面を詠っています。
これから短歌を始めたいけど、小学生くらいの子ども向けの短歌の入門書はないかなあ? 短歌の入門書はいろいろありますが、その多くは大人向けに書かれています。そんな状況の中で、子ども向けに書かれた短歌入門書というのはとても貴重だと思います。 今回
「時間」にはこまごま記憶がたたまれてどのひとつにも悔いが添ふなり池田はるみ『亀さんゐない』 池田はるみの第七歌集『亀さんゐない』(2020年)に収められた一首です。 「歳月と時間」という一連の歌ですが、この一連の中で「時間」と「歳月」の語の
あなたはあなたの脳と生きつつ地下鉄ですこし他人の肩にもたれた平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』 平岡直子の第一歌集『みじかい髪も長い髪も炎』(2021年)に収められた一首です。 この歌を読むと、あなたとは、そして自分とは何だろうという問いが
問題 - Question 2023年、第11回現代短歌社賞を「わるく思わないで」300首で受賞した歌人は誰? 答えを表示する 解答 - Answer 井口可奈 解説 2023年で第11回を迎える現代短歌社賞(現代短歌社主催)。まだ歌集を
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈たかだかと呼び出しのこゑ伸びてゆく【 ① 】のやうな体育館に〉 (池田はるみ) A. 畑 B. 脾臓 C. 雲間 D. 牧歌 答えを表示する 解答 - Answer
問題 - Question 〈流線型ヘルメット頭づに乗せてくる自転車部隊のやうなこどもたち〉という巻頭歌で始まる、池田はるみの第七歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『亀さんゐない』 解説 『亀さんゐない』は2020年(令
窓枠のかたちの届く距離が日々変化して人生はおもしろい虫武一俊『羽虫群』 虫武一俊の第一歌集『羽虫群』(2016年)に収められた一首です。 「窓枠のかたち」とは、部屋の床や壁に現れる陽の当たった窓の影のことを指しているのでしょう。その影のかた
これから短歌をつくりたいと思っているのだけれど、中学生でもわかる短歌の入門書はないかなあ? 短歌の入門書はいろいろありますが、どの年齢層に向けて書かれているかは本によって異なります。 大人に向けて書かれた本を、まだ漢字を習いたての小学生が読
見てごらんこの青い空まっさきに会いたい人に会いに行くべし馬淵のり子『そっと置くもの』 馬淵のり子の第一歌集『そっと置くもの』(2022年)に収められた一首です。 青い空が広がっている、ただそれだけで心が晴ればれとしてきます。 そんな青空の下
理解されなくてもいいのだ生きている時間はそんなに長くないから川本千栄『樹雨降る』 川本千栄の第三歌集『樹雨降る』(2015年)に収められた一首です。 他者に理解されるかどうかというのは、日々生活する上で割と大きな位置を占める要素かと思います
咲き誇るシクラメン見ゆこの世には主役となれる人生もある佐藤モニカ『夏の領域』 佐藤モニカの第一歌集『夏の領域』(2017年)に収められた一首です。 シクラメンは秋から春にかけて咲く花ですが、この歌では「シクラメン」が「咲き誇る」様子が描かれ