エレベーター一人で乗っている時もわたしは私を数え忘れる鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「乗っている時も」の「も」に注目したいと思いますが、この「も」から、エレベーターに一人ではな
日本の伝統詩型である「短歌」。五七五七七の三十一音からなるこの詩型は実に魅力にあふれています。 短歌のある日々は実に豊かで、その魅力を広く発信したいです!
エレベーター一人で乗っている時もわたしは私を数え忘れる鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「乗っている時も」の「も」に注目したいと思いますが、この「も」から、エレベーターに一人ではな
エレベーター上へ上へと進みゆき下ばかり見る君と私は川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 この歌に登場するエレベーターが、シースルーエレベーターなのか、それともいわゆる通常のエレ
三分の電車の遅延・エフェクトで馬鹿っぽいパン買ってしまった宇野なずき『しかし世界はあなたではない』 宇野なずきの歌集『しかし世界はあなたではない』(2023年)に収められた一首です。 通勤途中の駅のホームにいる場面でしょうか。出勤日に毎日電
肺活量に自信ある君蟹みたくアイスコーヒーぶくぶくさせて川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 アイスコーヒーにはストローが刺さっていると想像したいと思います。 アイスコーヒーに限
ただ生きてゆくことだけを意識して生きる折り畳み傘を持たずに川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 なぜ生きるのか、そして、どのように生きるのか、これらは生きていく上でどうしても意
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】のようなタルトだ削っても削ってもまだ倒れずにいる〉 (川島結佳子) A. 弁慶 B. 精神 C. 尖塔 D. 恋愛 答えを表示する 解答 - Answer
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈生きるとは【 ① 】ことで午前二時すれ違う人のない道をゆく〉 (塚田千束) A. 数える B. 浮かべる C. 見上げる D. 任せる 答えを表示する 解答 - An
途方もなく未来のことを託される前売り券が重たくて春塚田千束『アスパラと潮騒』 塚田千束ちづかの第一歌集『アスパラと潮騒』(2023年)に収められた一首です。 前売り券にも色々とありますが、音楽コンサートや映画鑑賞のチケットでしょうか、それと
うしなへば自由になれる きつかけは些細で後はとつぴんしやん、と西橋美保『うはの空』 西橋美保の第二歌集『うはの空』(2016年)に収められた一首です。 「うしなへば自由になれる」と詠い始めらますが、失うものが一体何であるのかは、この一首には
滑らかにエレベーターは上下して最後までビルを出ることはない松村正直『駅へ』 松村正直の第一歌集『駅へ』(2001年)に収められた一首です。 この歌で詠われていることは、ごくごく当たり前のことであり、当たり前すぎて普段そのことに意識を向ける人
われのみのためにとまりて申訳なけれどエレベーターに身を押し込みぬ吉岡生夫『草食獣 隠棲篇』 吉岡生夫の第六歌集『草食獣 隠棲篇』(2005年)に収められた一首です。 エレベーターに乗ろうとしたとき、自分が今いる階にエレベーターのかごが停まっ
エレベーターわが前へ昇り来るまでを深き縦穴の前に待ちをり田村元『昼の月』 田村元の第二歌集『昼の月』(2021年)に収められた一首です。 エレベーターの用語では、人や荷物を載せる箱のことを"かご"というようです。 エレベーターという構造にお
観覧車のぼりゆく午後 簡潔に母と子という単位を乗せて俵万智『オレがマリオ』 俵万智の第五歌集『オレがマリオ』(2013年)に収められた一首です。 一般的な観覧車において、一つのゴンドラに乗ることができる人数は、せいぜい四名くらいでしょう。
まっくろな観覧車がもしあるのならすべてのこいびとたちさようなら安田茜『結晶質』 安田茜の第一歌集『結晶質』(2023年)に収められた一首です。 「まっくろな観覧車」というのは実在するのでしょうか。「もしあるのなら」と詠われているので、実在は
中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり黒瀬珂瀾『空庭』 黒瀬珂瀾の第二歌集『空庭』(2009年)に収められた一首です。 エレベーターに乗るとき、誰も乗っておらず、自分一人だけの状況であっても、ついつい隅に寄ってしまいます。隅
これまでの十とwの幸運十とをの不運かぞへあげつつ眠りにつかむ小池光『サーベルと燕』 小池光の第十一歌集『サーベルと燕』(2022年)に収められた一首です。 作者七十代の作品であり、「これまでの」にはやはり長い歳月が流れたことをが表れているで
酢のなかに無数の小さき眼がありてある夜またたきながら殖えゆく河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 酢は、日常の料理に使われるほか、健康のために飲む酢というものも色々と登場しています。 掲出
夕闇に紛れゆくときゐなくてもゐてもゐなくてもよいわれとはなりぬ大室ゆらぎ『夏野』 大室ゆらぎの第二歌集『夏野』(2017年)に収められた一首です。 「夕闇に紛れゆく」という状況において、ひとりの人の存在は、夕闇を前にしてはあまりにも小さいも
耳から生まれ耳に死にゆく人間の途中の耳とふれつつおもふ河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 人の顔を見ても、目、耳、口、鼻、頰、眉、額など、さまざまな部位を取り上げることができるでしょう。
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈腐るまへの果物みたいにおいておくテーブルに二十日ほどこの【 ① 】を〉 (河野美砂子) A. 本 B. 骨 C. 曲 D. 壜 答えを表示する 解答 - Answer
楽になる時はあるときふっとくる あるときふっとはいつやってくる中津昌子『風を残せり』 中津昌子の第一歌集『風を残せり』(1993年)に収められた一首です。 生きていくことが楽で楽しくてしかたないという人は珍しいかもしれません。あるいはそんな
卓上に紙屑がひとつあるゆゑにけふの日が否定されたるやうな小島熱子『りんご1/2個』 小島熱子の第三歌集『りんご1/2個』(2011年)に収められた一首です。 この卓は家のテーブルか何かでしょう。 主体は、卓上に紙屑がひとつあるのを見てしまっ
春だから生きているのかいないのか曖昧にしていい春だから谷川電話『深呼吸広場』 谷川電話の第二歌集『深呼吸広場』(2022年)に収められた一首です。 幽霊などではなく人間である場合、「生きているのかいないのか」を思っている主体は、きっと生きて
もうすでに二十世紀の街見えず二十一世紀の観覧車より香川ヒサ『The Blue』 香川ヒサの第七歌集『The Blue』(2012年)に収められた一首です。 観覧車を「世紀」で捉えた歌というのは珍しいのではないでしょうか。 「二十一世紀の観覧
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈目覚めるとひかりに部屋はのみこまれ【 ① 】ほど淡い寝袋〉 (谷川電話) A. 成層圏 B. 理想論 C. 希釈液 D. 水彩画 答えを表示する 解答 - Answe
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈目のやうな魚のやうな木のやうな【 ① 】に視られてゐたり〉 (小島熱子) A. 入道雲 B. 象形文字ヒエログリフ C. コーヒー豆 D. 樹木化石 答えを表示する
「三倍になる株式を見つけれる」ら抜きをやめよ迷惑メール松木秀『親切な郷愁』 松木秀の第三歌集『親切な郷愁』(2013年)に収められた一首です。 受信を望んでいないのに勝手に送りつけられてくる迷惑メール。広告宣伝から架空請求まで、さまざまな種
みづのうへAよりみづのうへBへ鷺は線状に身をうつしけり吉田隼人『忘却のための試論』 吉田隼人の第一歌集『忘却のための試論』(2015年)に収められた一首です。 この歌で詠われていることを非常に簡単にいうと、鷺が水面を移動したということなので
春眠より覚めるわたしはチョコレートのカシュウナッツのように曲がって杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 春眠は心地いいものですが、その心地よい眠りから覚めたときのことを詠んでい
変声期ひと知れず終え少年の五線譜に無数のゆりかもめ鈴木加成太『うすがみの銀河』 鈴木加成太の第一歌集『うすがみの銀河』(2022年)に収められた一首です。 変声期とあるので、この「少年」は小学生高学年か中学生くらいの年齢なのでしょう。 変声
ひとひらの風花をまなじりに受けすでに無数のかざはなと知る渡辺松男『雨る』 渡辺松男の第九歌集『雨ふる』(2016年)に収められた一首です。 「風花」とは、晴れた日に花びらが舞うようにちらつく雪のことですが、まず登場するのは「ひとひらの風花」
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈人間は複雑だから【 ① 】を単純にしたい一樹の下に〉 (香川ヒサ) A. 人間 B. 人生 C. 植物 D. 現実 答えを表示する 解答 - Answer B. 人
夜の空にオリオン輝く星と星結び直線引きし人ありて香川ヒサ『ヤマト・アライバル』 香川ヒサの第八歌集『ヤマト・アライバル』(2015年)に収められた一首です。 オリオン座は、冬の星座としてよく知られていますし、明るい星から構成されている星座な
理由などいつもあとからついてくるなだらかにうねる道のかたへを三島麻亜子『水庭』 三島麻亜子の第一歌集『水庭』(2014年)に収められた一首です。 初句の「理由」とは何に対する理由を指しているのでしょうか。 具体的に何の行動かが書かれていませ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈投げあげし乳歯を空は吸わざれど【 ① 】のようなる雲のひろがり〉 (中津昌子) A. 衣 B. 井戸 C. 壁 D. 川 答えを表示する 解答 - Answer A
時が止まればいい さう思はなくなつてずいぶん歩いてしまつた大森益雄『歌日和』 大森益雄の第三歌集『歌日和』(2013年)に収められた一首です。 生きている今この瞬間が最高に幸せだという思いに満たされていれば、自然と「時が止まればいい」と感じ
透明の傘をひらけばみどりごと我にあかるき雨降りかかる中津昌子『風を残せり』 中津昌子の第一歌集『風を残せり』(1993年)に収められた一首です。 透明の傘は、ビニール傘のことでしょうか。主体は嬰児を胸に抱えている状況で、雨が降ってきたので傘
高層の無数の窓に見下ろされ信号無視の一歩踏みだす中津昌子『風を残せり』 中津昌子の第一歌集『風を残せり』(1993年)に収められた一首です。 「高層の無数の窓」とは、高層ビルの窓を指しているのでしょう。 外壁面が窓に覆われたような構造だと思
それぞれに目的があり乗り継いだ僕たちの無数のJR青松輝『4』 青松輝あきらの第一歌集『4』(2023年)に収められた一首です。 通勤、通学だけでなく、休日の移動においてなど、JRは欠かせない乗り物となっているでしょう。 「僕たちの無数のJR
ハニカムの形のベンチが無数ありどうやって座るのか分からない九螺ささら『ゆめのほとり鳥』 九螺くらささらの第一歌集『ゆめのほとり鳥』(2018年)に収められた一首です。 「ハニカム」とは蜂の巣を意味する言葉ですが、蜂の巣はその穴のひとつひとつ
天神の樹の電飾のあたたかき無数さよならのやうに無数染野太朗『初恋』 染野太朗の第三歌集『初恋』(2023年)に収められた一首です。 「天神」とは福岡市の天神エリアのことでしょう。 季節は冬でしょうか。イルミネーションされた樹が詠われており、
夕立は眼鏡を洗うためにある 楠の枝葉に無数のふるえ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 上句の「夕立は眼鏡を洗うためにある」という断定の力強さを感じます。 夕立
玻璃窓の外には波の無数の目 海浜ホテルのカーテンのむこう松平盟子『うさはらし』 松平盟子の第六歌集『うさはらし』(1996年)に収められた一首です。 主体は海辺のホテルの室内にいるのでしょう。ガラス窓にはカーテンがかかっています。海浜ホテル
生きてゐる間はせめて思ひたい他の生き方あるかもしれぬ香川ヒサ『ヤマト・アライバル』 香川ヒサの第八歌集『ヤマト・アライバル』(2015年)に収められた一首です。 この歌は難解な言葉は使われておらず、その意味内容についても素直に受けとれば詠わ
朝戸出の風硬くして今日のわれ昨日のわれを引き継ぎにゆく島田幸典『駅程』 島田幸典の第二歌集『駅程』(2015年)に収められた一首です。 「朝戸出あさとで」とは、朝、戸を開けて外に出ることを意味します。和歌の世界では、一夜を過ごした相手のもと
鉄橋は無数のネジに締められて線路の音は調律される竹内亮『タルト・タタンと炭酸水』 竹内亮の第一歌集『タルト・タタンと炭酸水』(2015年)に収められた一首です。 建築物を構成する要素として「ネジ」は欠かせないものでしょうが、「鉄橋」も「ネジ
聖堂をもとおる蔦のくれないは無数の舌のひらめくごとし島田幸典『駅程』 島田幸典の第二歌集『駅程』(2015年)に収められた一首です。 「もとおる」を漢字で書けば「回る」「廻る」であり、巡りまわるという意味をもつ言葉です。 聖堂の壁の周りには
けふの疲れに軀はしづみざらざらと無数の星に覆はるる夜横山未来子『水をひらく手』 横山未来子の第二歌集『水をひらく手』(2003年)に収められた一首です。 初句二句の「けふの疲れに軀はしづみ」は軀の疲れを詠っているのですが、その表現には丁寧に
あかあかと腕に無数の湿疹のひとつぶひとつぶが痒がりてゐる西村美佐子『猫の舌』 西村美佐子の第三歌集『猫の舌』(2005年)に収められた一首です。 体に湿疹ができると痒くてついつい搔いてしまいますが、この歌は腕にできた「無数の湿疹」を詠んでい
太陽の無数の命生む力無数の命滅ぼす力香川ヒサ『ヤマト・アライバル』 香川ヒサの第八歌集『ヤマト・アライバル』(2015年)に収められた一首です。 地球に生きる生き物にとって、太陽はなくてはならない存在です。人間も動物も植物も、太陽なくして育
照らされた無数のほこりしばらくは息をするのを我慢してみる木下龍也『つむじ風、ここにあります』 木下龍也の第一歌集『つむじ風、ここにあります』(2013年)に収められた一首です。 部屋の中にいるとき、窓からの光で、急に「ほこり」が照らし出され
五弁の桜、五つに分かれ散りおれど無数のなかにまぎれてゆきぬ吉川宏志『石蓮花』 吉川宏志の第八歌集『石蓮花』(2019年)に収められた一首です。 桜といえば、木単位、枝単位など多くの花をまとめて見がちではありますが、この歌は、桜の花びらを見つ
この世には子どもも大人もいやしない無数のただの私がいるだけ雪舟えま『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』 雪舟えまの第二歌集『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』(2018年)に収められた一首です。 「子ども」と「大人」を分ける境界
ひらひらと無数のリボンは誰がために揺れてゐるのか扇風機売り場知花くらら『はじまりは、恋』 知花くららの第一歌集『はじまりは、恋』(2019年)に収められた一首です。 家電量販店でしょうか。たくさんの扇風機が並べられ、販売されている売り場の場
それでおまえはどうしたいのだ 海原にひかり無数の切れ込みがある松村正直『紫のひと』 松村正直の第五歌集『紫のひと』(2019年)に収められた一首です。 朝でしょうか、あるいは日中でしょうか。海原に太陽の光が当たって、海原はきらきらと輝いてい
白くひかる無数の小部屋を目に映しエクセルでつくる販売計画ユキノ進『冒険者たち』 ユキノ進の第一歌集『冒険者たち』(2018年)に収められた一首です。 「エクセル」は、マイクロソフト社が提供する表計算ソフトMicrosoft Excelのこと
砂時計のあれは砂ではありません無数の0がこぼれているのよ杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 砂時計という名は、砂を利用した時計であることから名づけられたと思いますが、この歌で
青空に浮かぶ無数のビー玉のひとつひとつに地軸あるべし山田航『さよならバグ・チルドレン』 山田航の第一歌集『さよならバグ・チルドレン』(2012年)に収められた一首です。 ここで詠われている「ビー玉」は、実際のものとしてのビー玉ではなく、空に
雨の朝どこへも行けるさびしさに傘はちいさく世界を弾く柳澤美晴『一匙の海』 柳澤美晴の第一歌集『一匙の海』(2011年)に収められた一首です。 「雨の朝どこへも行けるさびしさ」という上句の表現に注目しました。 「どこへも行ける」ということは、
雨傘を泥につきさしながら行く何かを君に誓いたき日は江戸雪『駒鳥ロビン』 江戸雪の第四歌集『駒鳥ロビン』(2009年)に収められた一首です。 「君」とは恋人でしょうか。誓いたいと思えるほどの相手であるので、親しい間柄の人なのでしょう。 「何か
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈いまだ遠き希望のごとく店先の春の【 ① 】の名前見てゐつ〉 (横山未来子) A. 子猫 B. 陽射し C. 和菓子 D. 眼鏡 答えを表示する 解答 - Answer
貧しさがデフォルトであるわたしたち笑えと言われるままに笑うよ柳澤美晴『一匙の海』 柳澤美晴の第一歌集『一匙の海』(2011年)に収められた一首です。 歌集の略歴に養護教諭と書かれていますが、掲出歌を含む一連の内容から、この歌は養護教諭として
メール無精を責めるメールをうつときの言語野に雪ああ降りしきる柳澤美晴『一匙の海』 柳澤美晴の第一歌集『一匙の海』(2011年)に収められた一首です。 筆無精、出無精などという言葉がありますが、「メール無精」とはメールを送ることを面倒くさがる
会うためにあるいはもう会わないために橋は静かにカーブしている鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「橋は静かにカーブしている」と詠われていますが、この「カーブ」は二通りの採り方があるか
君の名はモモイロフラミンゴぼくの名はメールのしっぽに書いておきます杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 「モモイロフラミンゴ」に呼びかけているような場面でしょうか。 m音を多く
ジュラ紀にも梅雨があったかもしれないこうもり傘の遠いい記憶杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 実際に恐竜がいた時代を直接目にすることもなければ、その時代の実際の映像があるわけ
ホームみて車内みまわし傘もっているのが自分だけとわかった吉岡生夫『草食獣 第八篇』 吉岡生夫の第八歌集『草食獣 第八篇』(2018年)に収められた一首です。 雨が降ると思い傘をもって出かけたけれど、実際は雨は降らず、周りの人は傘をもっていな
少し軽く生きんとおもう餡ぬきの饅頭のような雲浮くかなた杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 自分の人生をどのように捉えて生きるのかは人それぞれかもしれませんが、重たく見つめて生
観覧車は二粒ずつの豆の莢春たかき陽に触れては透けり杉﨑恒夫『パン屋のパンセ』 杉﨑恒夫の第二歌集『パン屋のパンセ』(2010年)に収められた一首です。 観覧車のゴンドラひとつひとつを「豆の莢」に喩えた歌ですが、その発想が独特で、遊具としての
自販機のタバコを取りにかがむときあはれそびらのさらすかずかず小笠原和幸『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載) 小笠原和幸の第三歌集『春秋雑記』(2000年)の改稿版『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載
平和へいわとは平和ピンフだ それは「基本」だが平和ピンフでできる役満は無い松木秀『RERA』 松木秀の第二歌集『RERA』(2010年)に収められた一首です。 麻雀の基本的な役「平和ピンフ」と、戦争や紛争がなく穏やかな状態を意味する「平和へ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈畳まれた【 ① 】はたぶん比喩でしょう頑張れないまま死ぬことだとかの〉 (九螺ささら) A. 帽子 B. タオル C. 浮き輪 D. テント 答えを表示する 解答 -
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈明滅をやめたひかりの【 ① 】揺れぬひかりはただの照明〉 (勺禰子) A. 飾らなさ B. 頼りなさ C. 他愛なさ D. 色気なさ 答えを表示する 解答 - Ans
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈疲れとは【 ① 】に似たりあつき湯につかりて今日の二つをはらふ〉 (小笠原和幸) A. 怒り B. 穢れ C. 病ひ D. 借入れ 答えを表示する 解答 - Answ
「わたしそこはこだはつてないから」と言ふときのこだはりをこそ恐怖と思へ勺禰子『月に射されたままのからだで』 勺禰子しゃくねこの第一歌集『月に射されたままのからだで』(2017年)に収められた一首です。 "こだわる"というとき、いい意味で使わ
ガーナチョコひと区画ずつ折りながら桜の下に月の出を待つ笹本碧『ここはたしかに 完全版』 笹本碧の遺歌集『ここはたしかに 完全版』(2020年)に収められた一首です。 「ガーナチョコ」とは、ロッテのガーナミルクチョコレートを指しているでしょう
問題 - Question 2024年度は、坂井修一「鷗外守」と山田富士郎「UFO」のダブル受賞となった、2024年で第60回を迎える短歌賞は何? A. 短歌研究賞 B. 迢空賞 C. 若山牧水賞 D. 現代歌人協会賞 答えを表示す
風景のやうに己れの一生をながめてはならぬとかくは思へど小笠原和幸『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載) 小笠原和幸の第三歌集『春秋雑記』(2000年)の改稿版『定本 春秋雑記』(セレクション歌人『小笠原和幸集』掲載)(2
竹やぶなれば成人誌などは棄ててあり目に沁みて裸体の下着くれなゐ川本浩美『起伏と遠景』 川本浩美の第一歌集『起伏と遠景』(2013年)に収められた一首です。 「竹やぶ」の緑に対して、「下着くれなゐ」の赤が対照的に映ります。 情報化社会の今、遊
吾のごとき沙よりちさきいきものも空白感は鯨のみこむ渡辺松男『雨る』 渡辺松男の第九歌集『雨ふる』(2016年)に収められた一首です。 ここで登場するのは「沙よりちさきいきもの」と「鯨」です。 「沙よりちさきいきもの」とは何でしょうか。「鯨」
畑道のトマトの膚はだは日を浴びてみどりと赤のまじり合うころ吉川宏志『鳥の見しもの』 吉川宏志の第七歌集『鳥の見しもの』(2016年)に収められた一首です。 畑道はたみちとは、畑の間を通っている道、または畑の傍を通っている道を指す言葉です。
問題 - Question 2024年4月5日から2024年11月24日まで開催されている「パワーワード展」は、青松輝、伊藤紺、上坂あゆ美、岡野大嗣、岡本真帆、木下龍也の6名の歌人が参加しているが、どこの山をテーマにした展示? A. 立山
水飲めばみづのうちよりひと生れてわれとなりにき 水消えにけり川野芽生『Lilith』 川野芽生の第一歌集『Lilith』(2020年)に収められた一首です。 人の体の約60%は水分でできているといわれています。人体と水は親和性が高く、切って
かなしみが或る臨界を過ぎしときひとは笑ふといふ真実は川本浩美『起伏と遠景』 川本浩美の第一歌集『起伏と遠景』(2013年)に収められた一首です。 「かなしみ」を漢字で書くと、悲しみ、哀しみ、愛しみなどさまざまありますが、ここでは特定の漢字を
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】のやうなる白きサンダルに足は翼であればをさめつ〉 (川野芽生) A. 鳥籠 B. 楽園 C. 瑞雲 D. 洞穴 答えを表示する 解答 - Answer A
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈にはか雨そそぐ路傍に傘ささず立ちゐしひとは【 ① 】ならむ〉 (川本浩美) A. オプティミスト B. ペシミスト C. ニヒリスト D. マゾヒスト 答えを表示する
人よりも傘はもろきをきりぎりに気流みだるる空くうに差し出づ川野芽生『Lilith』 川野芽生の第一歌集『Lilith』(2020年)に収められた一首です。 雨が降れば人は傘を差す、その光景は見慣れたものであり、日常生活において、その行為を深
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】となりて待つにあらねど冬を越す手袋に淡きみどりを選ぶ〉 (雨宮雅子) A. 木 B. 絵 C. 火 D. 手 答えを表示する 解答 - Answer A.
われら明日はなに見るならむひたひたと「時」の渚を波打ちつづく雨宮雅子『昼顔の譜』 雨宮雅子の第八歌集『昼顔の譜』(2002年)に収められた一首です。 一般的な時間の捉え方では、昨日、今日、明日というふうに時間が流れていくわけですが、明日何が
窓の外には観覧車まわってもまわってもまた来るのがおれだ虫武一俊『羽虫群』 虫武一俊の第一歌集『羽虫群』(2016年)に収められた一首です。 建物の中から、窓越しに外を眺めている場面でしょうか。視界には、観覧車が回る様子が映っています。 通常
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】言い続け死ぬのならどのひとつとて受け売りじゃなく〉 (谷村はるか) A. 格好いいこと B. 恥ずかしいこと C. 騒がしいこと D. 役立たないこと 答え
満月が「たとえ一分一秒も他人ひとのためには使うな」と言う谷村はるか『ドームの骨の隙間の空に』 谷村はるかの第一歌集『ドームの骨の隙間の空に』(2009年)に収められた一首です。 満月の輝く夜、見るともなく満月を見ていると、まるで満月が語りか
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】のように翳したあのひとが使わなかったガムシロップを〉 (鈴木美紀子) A. 指揮棒 B. 小国旗 C. 水晶 D. 白魚 答えを表示する 解答 - Answ
約束をしないつもりで生きてきたでもあの人とは約束したい九螺ささら『ゆめのほとり鳥』 九螺くらささらの第一歌集『日ゆめのほとり鳥』(2018年)に収められた一首です。 「約束」をするとは、あらかじめ互いに取り決め、将来それを変えないことを誓う
バス停もバスもまぶしい 雨払ふごとく日傘を振つてから乗る石川美南『架空線』 石川美南の第四歌集『架空線』(2018年)に収められた一首です。 日傘を差してバス停までやってきて、日傘を差しながらバスを待っている場面でしょうか。 日傘を差してき
バーバリーもレノマの傘も役立たぬ 私の中に雨が降るとき大田美和『きらい』 大田美和の第一歌集『きらい』(1991年)に収められた一首です。 「バーバリー」はイギリスのファッションブランド、「レノマ」はフランスのファッションブランドです。 こ
ハムサンド乱暴に買い発つことを誰にも告げず特急に乗る岡崎裕美子『わたくしが樹木であれば』 岡崎裕美子の第二歌集『わたくしが樹木であれば』(2017年)に収められた一首です。 「最後の出社」という一連にある歌ですが、会社を辞めて他の地へ去って
いびつなパンを焼き上げながらぼくに聞く火星をめぐる月の名前をユキノ進『冒険者たち』 ユキノ進の第一歌集『冒険者たち』(2018年)に収められた一首です。 「火星をめぐる月」という表現がありますが、これは火星の衛星を指しているのでしょう。火星
思い出に見張られている宵のくち舟のかたちのパンを購あがなう榊原紘『悪友』 榊原紘の第一歌集『悪友』(2020年)に収められた一首です。 パンは本当にさまざまな種類がありますが、そのパンを特徴づけるとき、大きく二つあるように思います。一つは"
観覧車ひとつずつ倒れ見透しが好くなってゆくある日ぼくらは我妻俊樹『カメラは光ることをやめて触った』 我妻俊樹の第一歌集『カメラは光ることをやめて触った』(2023年)に収められた一首です。 「観覧車ひとつずつ倒れ」と始まりますが、現実に観覧
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エレベーター一人で乗っている時もわたしは私を数え忘れる鈴木晴香『心がめあて』 鈴木晴香の第二歌集『心がめあて』(2021年)に収められた一首です。 「乗っている時も」の「も」に注目したいと思いますが、この「も」から、エレベーターに一人ではな
エレベーター上へ上へと進みゆき下ばかり見る君と私は川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 この歌に登場するエレベーターが、シースルーエレベーターなのか、それともいわゆる通常のエレ
三分の電車の遅延・エフェクトで馬鹿っぽいパン買ってしまった宇野なずき『しかし世界はあなたではない』 宇野なずきの歌集『しかし世界はあなたではない』(2023年)に収められた一首です。 通勤途中の駅のホームにいる場面でしょうか。出勤日に毎日電
肺活量に自信ある君蟹みたくアイスコーヒーぶくぶくさせて川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 アイスコーヒーにはストローが刺さっていると想像したいと思います。 アイスコーヒーに限
ただ生きてゆくことだけを意識して生きる折り畳み傘を持たずに川島結佳子『感傷ストーブ』 川島結佳子の第一歌集『感傷ストーブ』(2019年)に収められた一首です。 なぜ生きるのか、そして、どのように生きるのか、これらは生きていく上でどうしても意
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】のようなタルトだ削っても削ってもまだ倒れずにいる〉 (川島結佳子) A. 弁慶 B. 精神 C. 尖塔 D. 恋愛 答えを表示する 解答 - Answer
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈生きるとは【 ① 】ことで午前二時すれ違う人のない道をゆく〉 (塚田千束) A. 数える B. 浮かべる C. 見上げる D. 任せる 答えを表示する 解答 - An
途方もなく未来のことを託される前売り券が重たくて春塚田千束『アスパラと潮騒』 塚田千束ちづかの第一歌集『アスパラと潮騒』(2023年)に収められた一首です。 前売り券にも色々とありますが、音楽コンサートや映画鑑賞のチケットでしょうか、それと
うしなへば自由になれる きつかけは些細で後はとつぴんしやん、と西橋美保『うはの空』 西橋美保の第二歌集『うはの空』(2016年)に収められた一首です。 「うしなへば自由になれる」と詠い始めらますが、失うものが一体何であるのかは、この一首には
滑らかにエレベーターは上下して最後までビルを出ることはない松村正直『駅へ』 松村正直の第一歌集『駅へ』(2001年)に収められた一首です。 この歌で詠われていることは、ごくごく当たり前のことであり、当たり前すぎて普段そのことに意識を向ける人
われのみのためにとまりて申訳なけれどエレベーターに身を押し込みぬ吉岡生夫『草食獣 隠棲篇』 吉岡生夫の第六歌集『草食獣 隠棲篇』(2005年)に収められた一首です。 エレベーターに乗ろうとしたとき、自分が今いる階にエレベーターのかごが停まっ
エレベーターわが前へ昇り来るまでを深き縦穴の前に待ちをり田村元『昼の月』 田村元の第二歌集『昼の月』(2021年)に収められた一首です。 エレベーターの用語では、人や荷物を載せる箱のことを"かご"というようです。 エレベーターという構造にお
観覧車のぼりゆく午後 簡潔に母と子という単位を乗せて俵万智『オレがマリオ』 俵万智の第五歌集『オレがマリオ』(2013年)に収められた一首です。 一般的な観覧車において、一つのゴンドラに乗ることができる人数は、せいぜい四名くらいでしょう。
まっくろな観覧車がもしあるのならすべてのこいびとたちさようなら安田茜『結晶質』 安田茜の第一歌集『結晶質』(2023年)に収められた一首です。 「まっくろな観覧車」というのは実在するのでしょうか。「もしあるのなら」と詠われているので、実在は
中心に死者立つごとく人らみなエレベーターの隅に寄りたり黒瀬珂瀾『空庭』 黒瀬珂瀾の第二歌集『空庭』(2009年)に収められた一首です。 エレベーターに乗るとき、誰も乗っておらず、自分一人だけの状況であっても、ついつい隅に寄ってしまいます。隅
これまでの十とwの幸運十とをの不運かぞへあげつつ眠りにつかむ小池光『サーベルと燕』 小池光の第十一歌集『サーベルと燕』(2022年)に収められた一首です。 作者七十代の作品であり、「これまでの」にはやはり長い歳月が流れたことをが表れているで
酢のなかに無数の小さき眼がありてある夜またたきながら殖えゆく河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 酢は、日常の料理に使われるほか、健康のために飲む酢というものも色々と登場しています。 掲出
夕闇に紛れゆくときゐなくてもゐてもゐなくてもよいわれとはなりぬ大室ゆらぎ『夏野』 大室ゆらぎの第二歌集『夏野』(2017年)に収められた一首です。 「夕闇に紛れゆく」という状況において、ひとりの人の存在は、夕闇を前にしてはあまりにも小さいも
耳から生まれ耳に死にゆく人間の途中の耳とふれつつおもふ河野美砂子『無言歌』 河野美砂子の第一歌集『無言歌』(2004年)に収められた一首です。 人の顔を見ても、目、耳、口、鼻、頰、眉、額など、さまざまな部位を取り上げることができるでしょう。
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈腐るまへの果物みたいにおいておくテーブルに二十日ほどこの【 ① 】を〉 (河野美砂子) A. 本 B. 骨 C. 曲 D. 壜 答えを表示する 解答 - Answer
苛立ちをなだめる為の象かたちかなサンドウィッチのフィルムを剝がす堀合昇平『提案前夜』 堀合昇平の第一歌集『提案前夜』(2013年)に収められた一首です。 主体は今苛立っていたのでしょう。仕事のことでしょうか、それとも家庭のことでしょうか、あ
メールにも筆跡がある祖母からのメールはまるで柿の絵てがみ田村穂隆『湖とファルセット』 田村穂隆の第一歌集『湖うみとファルセット』(2022年)に収められた一首です。 絵手紙というと、手書きの味わいのある手紙という印象があります。パソコンで打
「今日きようは」という「今日は」だけが嘘であるメール送りつさびしい夜に花山周子『屋上の人屋上の鳥』 花山周子の第一歌集『屋上の人屋上の鳥』(2007年)に収められた一首です。 相手に自分の近況を知らせた場面でしょうか。 それにしても、なぜ「
言葉の密度を恋ふる 未読メールひらく一瞬目をつむるなり横山未来子『水をひらく手』 横山未来子の第二歌集『水をひらく手』(2003年)に収められた一首です。 親しい人からのメールでしょうか。 メールは開く前は「未読メール」であり、未読状態のま
春がまだひたすら続く日々でした老婆になった我そこに置く松平盟子『うさはらし』 松平盟子の第六歌集『うさはらし』(1996年)に収められた一首です。 季節は春。春は春でも、その春の特定の一日ではなく、一定の幅をもった「日々」が詠まれています。
文字化けのメール開けば溢れ出る涙の訳を教えてほしい岡本真帆『水上バス浅草行き』 岡本真帆の第一歌集『水上バス浅草行き』(2022年)に収められた一首です。 「文字化け」が起こる原因としては、送信側と受信側の文字コードが異なっているケースが多
春の日の「歩」が「と」に変はるさみしさに三十代も後半に入る田村元『昼の月』 田村元の第二歌集『昼の月』(2021年)に収められた一首です。 季節は春でしょう。冬が終わり、だんだんと暖かくなっていく季節に、主体は年齢を重ねていきます。 「三十
ひとりってこうだったっけ夜の道チョコをちいさくちいさく割りぬ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 人との関わりの中で人は生きていくわけですが、人との関わりの度合
ひとりってこうだったっけ夜の道チョコをちいさくちいさく割りぬ笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 人との関わりの中で人は生きていくわけですが、人との関わりの度合
銃撃戦がとくに好きってわけじゃない土の匂いのチョコレート嚙む平岡直子『みじかい髪も長い髪も炎』 平岡直子の第一歌集『みじかい髪も長い髪も炎』(2021年)に収められた一首です。 上句の感情と下句の行動の二つのパートから構成される歌ですが、ど
映画にはなれない今日が好きだった 卓にふくらみたるティーコジー笠木拓『はるかカーテンコールまで』 笠木拓の第一歌集『はるかカーテンコールまで』(2019年)に収められた一首です。 「ティーコジー」とは、ティーポットにかぶせる布製のカバーのこ
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈呼ぶ声に顔を上げれば夜桜が【 ① 】のように明るい〉 (笠木拓) A. 豆電球 B. 方位磁石 C. 西ヨーロッパ D. ポップコーン 答えを表示する 解答 - An
問題 - Question 〈色あせた木馬の鞍にふれるとき少年少女瞑りいるべし〉という巻頭歌で始まる、笠木拓の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『はるかカーテンコールまで』 解説 『はるかカーテンコールまで』は201
たましいを紙飛行機にして見せてその一度きりの加速を見せて服部真里子『遠くの敵や硝子を』 服部真里子の第二歌集『遠くの敵や硝子を』(2018年)に収められた一首です。 動力源をもたない紙飛行機は、投げるときの手の力、そして風によってどこまで飛
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈見る者をみな【 ① 】にするような真冬の星を君と見ていつ〉 (服部真里子) A. 篝火 B. 落丁 C. 衛星 D. 剝製 答えを表示する 解答 - Answer
生まれた瞬間懐かしくなる歌のように駅の周りで傘は開いた堂園昌彦『やがて秋茄子へと到る』 堂園昌彦の第一歌集『やがて秋茄子へと到る』(2013年)に収められた一首です。 傘の歌ですが、一読"光"を感じる歌だと思います。 それは「生まれた瞬間」
ぼろぼろと剝がれて落ちてゆくものを育て続けた日もあったはず安藤美保『水の粒子』 安藤美保の第一歌集『水の粒子』(1992年)に収められた一首です。 生きていくということは、意識をするかしないかに関わらず、何かしらをつくりあげていくことにつな
問題 - Question 次の歌の【 ① 】に入る言葉は何? 〈【 ① 】を重ねるように同意する ポットのお湯も沸きはじめたり〉 (安藤美保) A. パイ生地 B. 下敷き C. 白地図 D. 靴下 答えを表示する 解答 - An
問題 - Question 〈頰のあたり母に似て来しこと言われ万葉集の講義もうつろ〉という巻頭歌で始まる、安藤美保の第一歌集は何? 答えを表示する 解答 - Answer 『水の粒子』 解説 『水の粒子』は1992年(平成4年)に出版され
手をふれてさびしいふたり何にでもなれる万能細胞のやうで魚村晋太郎『バックヤード』 魚村晋太郎の第三歌集『バックヤード』(2021年)に収められた一首です。 自分とは何者なのか、そのような問いを自分自身に一度ならず投げかけたことがある人もいる