青梅を銜(くわ)えて躊躇する差歯 み
猫の子がこのこのと来て住みついた み
出港時刻に戻れずオキザリス み
東風(こち)時化(しけ)て豪華客船も船酔い み
ロマーシカは嗤(わら)う 「勝てば正義だあ」 み
コーンスープの底に澱(とご)る春愁(しゅんしゅう) み
まず投資 それから消費 初給与 か
淡月(たんげつ)や『飲む』と言えば『お酒』ですよ み
自信作、突き返されて春の宵 み
その歌を聴いた記憶に泣く。残花 み
山葵(わさび)擂(す)る。ひとりひとりがマイノリティ み
露天風呂 ボーッとしてたら わっ蜂! み
桜蘂(さくらしべ)が赤くなる。もう散りどき み
プリムラが咲く フーガを練習する み
チューリップ一本だけでは何だか み
八重桜 「おのぼりやす」 「おくだりやす」 み
蒲公英(たんぽぽ)に曖昧さ足す朝日影 み
山笑う、そろそろ歯医者に行くべき み
屋根屋根のブルーシートに春霞 み
薄暗い六畳 掛け花に椿 み
サポートセンタの親切な佐保姫(さほひめ) み
草摘んで尻餅ついてキャアキャアと み
山吹の色の帯なら春驟雨 ま
銀座で迷い、夜桜の写真展 み
幻を愛してしまう花疲れ み
椀の蓋 急がば回せ 蜆汁(しじみじる) み
新入生、人体模型を倒す み
菜の花をコップに挿して遅い昼 み
四月から日曜始まりの手帳 み
地下鉄の2番出口は空に花 み
日めくりの格言の横「四月馬鹿」 み
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青梅を銜(くわ)えて躊躇する差歯 み
キュウリもカボチャもメロンも花はウリ み
泉州に友いればこその水茄子 み
「何かない?」 「実山椒の佃煮なら」 み
海霧(じり)を裂いて投光器は虚無を見る み
デモ隊は大蛇のうねり、杜鵑花(さつき)咲く み <ニュースアーカイブで60年安保闘争の映像を見る>
葛粉(くずこ)を使っていないのに「くずもち」 み
虎魚と鯱は違う。漢字難(むつか)し み
落雷に「猛犬注意」は形無(かたな)し み
13年(じゅうさんねん)×17年(じゅうしちねん)=蝉が来る み
考えと現実。『落し文』は虫 み
バナナでも どんなもんでも モンブラン み
六月は管理組合の役員 み
背中の雀卵斑(そばかす)にドキドキの薄暑 み
床の間に『左馬』反(そ)る夏座敷 み
泡は消え温(ぬる)むビールのスピーチよ み
共感が暴走しはじめて巣立ち み
鮒鮓(ふなずし)は美味いと聞くが近寄れず み
廃棄物の背後に金雀枝(えにしだ)が咲く み
夏雨(なつさめ)に滑(ぬめ)る瓦と朽ちる壁 み
転がる空き缶 踏み止めた白靴 み
冷奴。直角、直角、直角 み
病室に窓の光は夕若葉 み
香水の瓶は鏡台(きょうだい)の女王(じょおう)よ み
時の記念日。「タキオン発見さる!」 み
さくらんぼ、メロンソーダに浮力得る み
赴任地へバス乗り継ぐ間の麦秋(ばくしゅう) か
皐月波(さつきなみ)、眼鏡(めがね)に汐(しお)の拭けもせず み
嚔(くしゃみ)してぎっくり腰で夏の雲 み
夜半(やはん)まで紅ガーベラの熱放射(ねつほうしゃ) み
焚き付けを扇(あお)げば魔人(まじん)出る団扇(うちわ) み
青岬(あおみさき)、水平線を弧に曲げる み
よっちゃんの従妹(いとこ)かもね、この蚕豆(そらまめ) み
籐椅子(とういす)の脚(あし)に嚼(か)ませし数ⅡB(すうにびい) み
窓に明かり 蛾(が)を狙う守宮(やもり)の影 み
あやめ、かきつばた、はなしょうぶ。いづれか み
ニセモノのほうが上、アカシアの花 み
ペーロンに出るって。総務課のチーム か
ルピナスの白植えたはずピンク咲く み
五月の吐息(といき)を引っ掻く薔薇(ばら)の棘(とげ) み