電話ボックスの撤去跡に桔梗(ききょう) み
電話ボックスの撤去跡に桔梗(ききょう) み
鯊(はぜ)なんか釣ってどうする変な貌(かお) み
葡萄酒の違いが判る。赤と白 み
螽蟖(きりぎりす)にも音痴はいる。笑うな み
電子レンジで秋刀魚が焼ける器(うつわ) み
磯釣りの帰り、ベトベトな台風 み
靴を磨いていると鈴虫がいた み
果物は何でも冷す桃冷す み
蟷螂(かまきり)が未知から来ては首傾(かし)ぐ み
おろし金に昨夜の生姜の繊維 み
一歩二歩、駅まで測る霧の道 み
鰯雲や とりあえず 「行けたら行く」 み
孑孑(ぼうふら)に止(とど)めを刺して豪雨去る み
印傳(いんでん)の摩れた蜻蛉(とんぼ)の長財布 み
強風にあたたたたと二百十日 み
憧れていたイエロウのサングラス み
首振れば半円形に洗い髪 ま
赤道の夕焼 舷窓(げんそう)を支配 み
蜜豆の缶詰 蜜柑の缶詰 み
向日葵(ひまわり)の花は回転の錯覚 み
水やりや月下美人に髭がある み
涼しいと涼しげは別、床涼み み
「走るな」と注意書きあり天の川 み
歯磨きチューブをぶるぶると振る処暑 み
鮎は見た! 摑み取りする子の狂気 み
整列の驟雨(しゅうう)に咽(むせ)ぶ背番号 み
買い置きの麩(ふ)を帰省の子に持たせる み
「送信」を押してしまった解夏(げげ)の朝 み
防災無線:「6時から盆踊り」 み
荒波を真横から見る初嵐 み
航跡の消失点に雲の峰 み
残暑見舞いのインク 海の群青(ぐんじょう) み
噴水をスロー再生する病(やまい) み
ブルを射た残心が纏(まと)う香水 み
西日射し食器を包む新聞紙 み
大花火のフィナーレ、気づく空腹 み
無作為の作為が臭う月見草 み
夏休み 準備万端 無職なり み
鉢は揺れて金魚は揺れず。震度2
その曲がまた現実味、原爆忌 み
崖がある 記念碑はない 夏の果 み
風吹けば空気が変わる羽抜鶏(はぬけどり) み
喫煙所で上司が虹を見ていた か
縞馬の縞は横縞、夏惜しむ み
絵日記に写した夏の浜のメモ み
インバウンドの群に気圧(けお)された夏 み
水着を干したまま帰ってしまった み
引き抜いた草の根が乾く旱天(かんてん) み
避暑の地へ岬回りのバスの揺れ み
蚊取線香のホーロー看板だ み
黒塀に『尋ね猫』貼る浴衣の子 み
鰻重が出てこず、漬物おかわり み
プールから出て血管の透ける胸 み
鹿の子(かのこ)の無表情の表情が好き み
猛暑日に泥鰌鍋(どじょうなべ)喰う江戸っ子よ み
お昼は『簡単』に冷やし中華でも み
江戸風鈴 ペアグラス 木端微塵(こっぱみじん) み
野菜室に冷酒(れいしゅ)を2本 ガタガタ み
超写実主義に色鉛筆の裸婦 み
江ノ電にサーフボードが長すぎる み
「寝冷えした」と鼻声の電話が来る み
『ムラサキ』と呼ばないでね 『ラベンダー』よ み
三角のスイカにおまじないの塩 み
隣席の扇子、汗の臭いを撒く み
百日紅(さるすべり)は庭箒(にわぼうき)もピンク色 み
夏負けに鏡は「どちらさま?」と問う み
湯畑の煙が竦(すく)む炎天下 み
フェラーリもオーバーヒート気味に灼く み
野外授業に固執し熱中症 み
強引に雨の季節に七夕よ み
日本銀行券(にっぽんぎんこうけん)が欲しい小暑 み
電車待つ脹脛(ふくらはぎ)、蚊の刺され痕 み
鮎釣りの前泊の夜半(よわ)、雨催い み
雨傘よりも日傘が相合傘 み
「もう帰るわ」という目で団扇(うちわ)を置く み
黒百合よ市民らとリスクを語れ み
毒々しき色の蛙もケロケロ み
幕電(まくでん)か、暗雲が金塊と化す み
しゃぶしゃぶという食べ物があったよね み
バニラ、ラムレーズン、ミントチョコチップ み
氷雨ボソボソ、コンバーチブルの屋根 み
ラムネの栓がプラスチックの無粋 み
街の灯が黙して消えた夏未明 み
梅雨寒に母の欠伸か溜息か み
罪なきや郭公(かっこう)の雛の瞳に み
鉄橋を貨物列車が夏至の朝 み
ドームなら梅雨晴れ待たずホームラン み
ドップラー効果去り行く梅雨(つゆ)のカフェ み
端っこの席へススッとゴキブリや み
黒い蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、蟻、… み
父の日に黄色い薔薇でサヨウナラ み
黴(かび)ている!『音喩(おんゆ)』の響きハ短調 み
カブトムシにポルシェのエンジン載せる み
青梅を銜(くわ)えて躊躇する差歯 み
キュウリもカボチャもメロンも花はウリ み
泉州に友いればこその水茄子 み
「何かない?」 「実山椒の佃煮なら」 み
海霧(じり)を裂いて投光器は虚無を見る み
デモ隊は大蛇のうねり、杜鵑花(さつき)咲く み <ニュースアーカイブで60年安保闘争の映像を見る>
葛粉(くずこ)を使っていないのに「くずもち」 み
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電話ボックスの撤去跡に桔梗(ききょう) み
鯊(はぜ)なんか釣ってどうする変な貌(かお) み
葡萄酒の違いが判る。赤と白 み
螽蟖(きりぎりす)にも音痴はいる。笑うな み
電子レンジで秋刀魚が焼ける器(うつわ) み
磯釣りの帰り、ベトベトな台風 み
靴を磨いていると鈴虫がいた み
果物は何でも冷す桃冷す み
蟷螂(かまきり)が未知から来ては首傾(かし)ぐ み
おろし金に昨夜の生姜の繊維 み
一歩二歩、駅まで測る霧の道 み
鰯雲や とりあえず 「行けたら行く」 み
孑孑(ぼうふら)に止(とど)めを刺して豪雨去る み
印傳(いんでん)の摩れた蜻蛉(とんぼ)の長財布 み
強風にあたたたたと二百十日 み
憧れていたイエロウのサングラス み
首振れば半円形に洗い髪 ま
赤道の夕焼 舷窓(げんそう)を支配 み
蜜豆の缶詰 蜜柑の缶詰 み
向日葵(ひまわり)の花は回転の錯覚 み
箸から逃げる芋は串刺し、エイヤ み
「日本中デ育テルアノ草ハ?」 「稲」 み
夕顔に実が干瓢(かんぴょう)となる波乱 み
黄昏(たそがれ)に夜業(やぎょう)へ父は保線員 み
秋水(しゅうすい)の湖畔に城か発電所 み
それほどの香りもせずに麝香草(じゃこうそう) み
鷹(たか)の爪(つめ) 辛しや 辛しや 辛しや み
不在時に存在を知る。紫苑(しおん)咲く み
松茸飯(まつたけめし)「おかわり自由」のランチ か
蜩(ひぐらし)やなんだか急に腹減った み
松風の音が途切れる間…遠雷 み
日曜のアニメ終われば休暇明け か
側溝(そっこう)に一葉(ひとは)流れて蟻の舟 み
うしろから背広を着せる。もう九月 ま
『ゲジゲジ』と名付けられては遣る瀬無し み
赤とんぼ♪のイントネーションを自慢 み
薄霧(うすぎり)に影が横切る『黄』点滅 み
夏と秋、行合(ゆきあ)う空にジェット雲 み
文机(ふみづくえ)の上に乱雑な残暑 み
鉄の身体(からだ)を望み 螺子(ねじ)になる虫 み