沖の小雨の影は雁の別れ(かりのわかれ)か み
撫肩(なでがた)の空き瓶に雪(ゆき)の雫(しずく)を み
スポッて筒の中は卒業証書 が
枝垂桜(しだれざくら)を天蓋(てんがい)に寝転(ねころ)がれ み
三椏(みつまた)の花(はな)のブローチを吾妹(わぎも)に み
韮(にら)を洗うと緑が溶け出てきた み
喉元にイガイガがあり雛あられ み
博士(はかせ):「これが『地獄の釜の蓋』じゃっ!」 み
不便だが不幸ではない春の泥 み
平等や公平が好き蕗(ふき)の花(はな) み
請求書が来てすぐに終わる二月 み
春苺(はるいちご)を弁当に入れてやろう み
「トンボの刺身だよ」 「羊羹(ようかん)みたいね」 み
カトレアの証言、覆(くつがえ)すアザミ み
稜線(りょうせん)が朦朧(もうろう)と立つ雪月夜 み
白魚が 透明から 醤油色に み
息白し、いまごろ好きと言われても み
あの坂を登っていくと幣辛夷(しでこぶし) み
ぎこちないプロトコルだね春浅し か
春闘次第なの金融政策 か
必ず5分後に咳が出る社長 か
朝食に出てくる『黒い紙』は? 海苔(のり) み
馬糞(ばふん)を名乗るもヒトに喰われるウニ み
配偶者のを先に 還付申告 み
ボクもキミもクロッカスが好きだった み
ビビるな、たかが三茱臾(さんしゅゆ)の花の下 み
『淡雪』は舌に乗せると無重力 み
『受験生』階級にもう一年か が
右耳を左手で触る霜焼(しもやけ) ま
薄氷(うすらい)に寒波の空が歪(ゆが)み照る み
消炭をヒトの形と炉に並べ み
戸の隙間 朝日の軌跡 蝉氷(せみごおり) み
「初春(はつはる)や…」 無用の用ね、文字の列 み
清流の岩陰や稚魚が春待つ み
どこから剥(は)がれ来た「立春大吉」 み
いつ撒(ま)いた豆かを知らず掃除機の み
地震(ない)の寒(かん)、『かもしれない』の悔(く)いと居(い)る み <能登半島地震から一か月>
隣の子がビャーと走る春隣(はるとなり) み
枯庭の掃出し窓に訪問者 み
機関車の肌はヌルッと暾(とん)に霜 み
空風(からかぜ)の音のせぬ夜は不完全 み
ブチブチと枯桑(かれくわ)が刺す鬱(うつ)の雲 の
割り箸がヘンに割れたぞ、おでん喰う み
望郷の念が燻(くす)ぶる寒落暉(かんらっき) み
母の一歩にのしかかる冬の霧 み
湯々婆(ゆたんぽ)をオシャレに売るの六本木 み
断片化した記憶で嗅ぐ早梅(そうばい) み
焼鳥を5本買う。ちょっと温(あたた)か み
トイレから夜の街へ響け嚏(くしゃみ) み
半端に残った大根、風呂吹きに み
このままじゃ百億年や日向ぼこ み
冱(い)つる駅、途方に暮れる時刻表 み
ミケはミケ、ポチはポチ、炬燵(こたつ)は炬燵(こたつ) み
絨毯(じゅうたん)をマクロレンズで見る勇者 み
雪の積もった信号機、ピッポ―ピ… み
六等星まで見えてたあの霜夜(しもよ) み
『冬のリビエラ』を聴く。日本語ラジオ み
証拠の雪道をポチが駆け回る み
鴛鴦(おしどり)が奇数羽、どれか離鴛鴦(はなれおし) み
マフラーをするりと抜ける艶(つや)の髪 み
初釜は火傷(やけど)しそうな缶コーヒ み
予定では仕事始めだ仮眠室 み
振袖の福良雀(ふくらすずめ)はミッキー似 み
福引や『良性』の二三(にさん)の病(やまい) み
雪暗(ゆきぐれ)に寺の燈(ひ)か無調の諷経(ふぎん) み
「キャッチボールしよう」と緩(ゆる)やか五日 み
システム再起動せず。四日の朝 み
三日の夜(よる)、システム異常終了 み
切り取られた事実が散らばる賀状 み
去年(こぞ)は夢 今年(ことし)は不安 「明けまして」 み
鬼洗いに列車は黙して止まる み
小晦日(こつごもり)、タクシー拾い「この住所」 み
チューニングずれたギターで年忘れ み
狸よ、見つめるだけじゃ伝わらない み
マッチを擦れ、鰭酒(ひれざけ)の蓋を取るぞ み
OBの自慢話に凍(こお)る箸 が
プジョーに乗ってサンタが帰ってきた み
ボーナスは有馬記念にオールイン み
住職かジングルベルのハミングは み
机下(きか)に紹介状を差出す冬至(とうじ) み
爪半分が紫色の冬日(ふゆび) み
焼き芋の皮にスポーツ紙の転写 み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み
もう師走。『スピード感』の『感』はダメ み
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沖の小雨の影は雁の別れ(かりのわかれ)か み
蔦の芽(つたのめ)は世界征服を企む み
お似合いと言われて微妙な春服 み
春愁(しゅんしゅう)はレシートに膨らむ財布 み
合格した花が店先に並ぶ み
重力の漣(さざなみ)に浮く春の星 み
ブラウン管テレビは雛を飾れた み
残雪に声でも文字でもない歌 み
侘(わび)しさよ椀にみつばを浮かべても み
そっちへ行けば嵐山。二月果つ み
紅梅は遅咲きか、今朝の雨雲 み
衿(えり)もとの釦(ぼたん)を留める春の風 み
春の夜やそれを粗大ゴミで出すか み
梅が咲き山全体が低くなる み
餡入りの草餅は焼き網の痕 み
風の丘を登れば焼野(やけの)の匂い み
大根の半分なら『しっぽ』を買う み
子犬よ子犬 グルグルと 遅き春 み
寝返れば寒の戻りを握りしめ み
芍薬(しゃくやく)の浴衣も湯ざめして嚏(くしゃみ) み
撫肩(なでがた)の空き瓶に雪(ゆき)の雫(しずく)を み
スポッて筒の中は卒業証書 が
枝垂桜(しだれざくら)を天蓋(てんがい)に寝転(ねころ)がれ み
三椏(みつまた)の花(はな)のブローチを吾妹(わぎも)に み
韮(にら)を洗うと緑が溶け出てきた み
喉元にイガイガがあり雛あられ み
博士(はかせ):「これが『地獄の釜の蓋』じゃっ!」 み
不便だが不幸ではない春の泥 み
平等や公平が好き蕗(ふき)の花(はな) み
請求書が来てすぐに終わる二月 み
春苺(はるいちご)を弁当に入れてやろう み
「トンボの刺身だよ」 「羊羹(ようかん)みたいね」 み
カトレアの証言、覆(くつがえ)すアザミ み
稜線(りょうせん)が朦朧(もうろう)と立つ雪月夜 み
白魚が 透明から 醤油色に み
息白し、いまごろ好きと言われても み
あの坂を登っていくと幣辛夷(しでこぶし) み
ぎこちないプロトコルだね春浅し か
春闘次第なの金融政策 か
必ず5分後に咳が出る社長 か