ベランダに雀がいると障子開け み
焼鳥を5本買う。ちょっと温(あたた)か み
トイレから夜の街へ響け嚏(くしゃみ) み
半端に残った大根、風呂吹きに み
このままじゃ百億年や日向ぼこ み
冱(い)つる駅、途方に暮れる時刻表 み
ミケはミケ、ポチはポチ、炬燵(こたつ)は炬燵(こたつ) み
絨毯(じゅうたん)をマクロレンズで見る勇者 み
雪の積もった信号機、ピッポ―ピ… み
六等星まで見えてたあの霜夜(しもよ) み
『冬のリビエラ』を聴く。日本語ラジオ み
証拠の雪道をポチが駆け回る み
鴛鴦(おしどり)が奇数羽、どれか離鴛鴦(はなれおし) み
マフラーをするりと抜ける艶(つや)の髪 み
初釜は火傷(やけど)しそうな缶コーヒ み
予定では仕事始めだ仮眠室 み
振袖の福良雀(ふくらすずめ)はミッキー似 み
福引や『良性』の二三(にさん)の病(やまい) み
雪暗(ゆきぐれ)に寺の燈(ひ)か無調の諷経(ふぎん) み
「キャッチボールしよう」と緩(ゆる)やか五日 み
システム再起動せず。四日の朝 み
三日の夜(よる)、システム異常終了 み
切り取られた事実が散らばる賀状 み
去年(こぞ)は夢 今年(ことし)は不安 「明けまして」 み
鬼洗いに列車は黙して止まる み
小晦日(こつごもり)、タクシー拾い「この住所」 み
チューニングずれたギターで年忘れ み
狸よ、見つめるだけじゃ伝わらない み
マッチを擦れ、鰭酒(ひれざけ)の蓋を取るぞ み
OBの自慢話に凍(こお)る箸 が
プジョーに乗ってサンタが帰ってきた み
ボーナスは有馬記念にオールイン み
住職かジングルベルのハミングは み
机下(きか)に紹介状を差出す冬至(とうじ) み
爪半分が紫色の冬日(ふゆび) み
焼き芋の皮にスポーツ紙の転写 み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み
もう師走。『スピード感』の『感』はダメ み
5路線の踏切(ふみきり)渡る世は寒し み
熱燗の湯気を吸うなり頭痛(あたまいた) み
冬支度、隣近所は仲良くね み
黒いセーターで横たわる丘陵(きゅうりょう) み
冬萌(ふゆも)えやヘンな空気で誰か来る み
『ざっくり』がコツ。極太毛糸で編む ま
見渡すまで落葉、大地は枯れたか み
大熊手(おおくまで)揺れて瞬断(しゅんだん)銀座線 み
杣路(そまじ)に迷いギャップに出れば小春 み
咳、ざわつき、譜面めくり、ジョン・ケージ み
手をつなぐぐらいでいいか枇杷の花 み
「毛布は粗大ごみで出してください」 み
子らの自転車、黄落(こうらく)を撒き飛ばせ み
愁訴(しゅうそ)に合はぬ風邪薬(かぜぐすり)、処方さる み
蜜柑山(みかんやま)の急坂(きゅうはん)から町と海 の
冬めけば書く手紙みな不備(ふび)・不悉(ふしつ) み
新松子(しんちぢり)、投げよと捥(も)いだ手の臭(にお)い み
神渡しが逆風になる方角 み
サフランの花を見て想うラ・マンチャ み
金塊のごと冷(ひ)ゆるバター一斤(いっきん) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
ブロッコリ切れば菜虫(なむし)がギャッと出る み
透明人間はブルッと立冬 み
生けるのか 捨てるのか 台子(だいす)に芒(すすき) み
駆除された熊の手 富裕層の胃に み
鵟(のすり)よ、『邪(じゃ)』の対は『正(しょう)』か『別の邪(じゃ)』か み
秋収め、とっくのとうに嘘はばれ の
文化祭、今年もお化け屋敷です が
コンビニへロックアイス®を買う夜寒(よさむ) み
乗継ぎの寸暇(すんか)に新蕎麦(しんそば)を啜(すす)る み
漢字のみ。檸檬(れもん)、榲桲(まるめろ)、榠樝(かりん)の実 み
行違(ゆきちが)う特急は行楽の秋 み
六角の鉛筆が転がる長夜(ちょうや) み
美術の秋 撃ち抜かれた ププッピドゥ み
愛憎が綯交(ないま)ぜになる秋深し み
「現空(げんくう)」なのにベランダに秋簾(あきすだれ) み
秋の戸の門扉(もんぴ)の錆(さび)が固すぎて み
産地ではなく品種で買う葡萄酒(ぶどうしゅ) み
行(ゆ)く秋(あき)の孤独は雑踏に居場所 み
赤い羽根、フランス人に道訊かれ み
秋の夕、空・山・田の三段染 み
次の料理が来ない。つま菊を食(は)む み
遊べ遊べ、秋宵(しゅうしょう)のチャイムなんか み
大陸の空を行く飛蝗(ばった)らの腹 み
特急のドアがプシュと開(あ)き爽やか み
祖母の干し柿のホコリ、拭うべきか み
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ベランダに雀がいると障子開け み
風花が融けるレンズに岩木山 み
分断を推す者たちが凍え死ぬ み
吹雪いてる マクドナルドは開いてる み
寒雷に詰将棋の本を伏せる み
いまはコーヒーに凝っている。冬の夜(ふゆのよ) み
おねえさん、コートのベルト垂れてます み
靴痕が靴痕のまま霜の朝 み
受験期や何も起きるな籤(くじ)を引く が
時は止められない セーターは伸びる み
番付を諳(そら)んじて待った初場所 み
囲炉裏(いろり)の灰を火箸(ひばし)でなぞる迷路 み
「悉皆屋(しっかいや)」の名刺をもらう初釜 み
新手(あらて)のマルウェアか トロイの竹馬(ちくば) み
道場に響く奇声は歌留多とり み
獅子頭、出番はなくて文化財 み
緊張と弛緩の辻に初笑い み
たるんでる たるんでいます 五日です み
いつの正月か 日付のない写真 み
三日です もう走っている人々 み
焼鳥を5本買う。ちょっと温(あたた)か み
トイレから夜の街へ響け嚏(くしゃみ) み
半端に残った大根、風呂吹きに み
このままじゃ百億年や日向ぼこ み
冱(い)つる駅、途方に暮れる時刻表 み
ミケはミケ、ポチはポチ、炬燵(こたつ)は炬燵(こたつ) み
絨毯(じゅうたん)をマクロレンズで見る勇者 み
雪の積もった信号機、ピッポ―ピ… み
六等星まで見えてたあの霜夜(しもよ) み
『冬のリビエラ』を聴く。日本語ラジオ み
証拠の雪道をポチが駆け回る み
鴛鴦(おしどり)が奇数羽、どれか離鴛鴦(はなれおし) み
マフラーをするりと抜ける艶(つや)の髪 み
初釜は火傷(やけど)しそうな缶コーヒ み
予定では仕事始めだ仮眠室 み
振袖の福良雀(ふくらすずめ)はミッキー似 み
福引や『良性』の二三(にさん)の病(やまい) み
雪暗(ゆきぐれ)に寺の燈(ひ)か無調の諷経(ふぎん) み
「キャッチボールしよう」と緩(ゆる)やか五日 み
システム再起動せず。四日の朝 み