落葉カサッカササ 振り返り誰何(すいか) み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み
もう師走。『スピード感』の『感』はダメ み
5路線の踏切(ふみきり)渡る世は寒し み
熱燗の湯気を吸うなり頭痛(あたまいた) み
冬支度、隣近所は仲良くね み
黒いセーターで横たわる丘陵(きゅうりょう) み
冬萌(ふゆも)えやヘンな空気で誰か来る み
『ざっくり』がコツ。極太毛糸で編む ま
見渡すまで落葉、大地は枯れたか み
大熊手(おおくまで)揺れて瞬断(しゅんだん)銀座線 み
杣路(そまじ)に迷いギャップに出れば小春 み
咳、ざわつき、譜面めくり、ジョン・ケージ み
手をつなぐぐらいでいいか枇杷の花 み
「毛布は粗大ごみで出してください」 み
子らの自転車、黄落(こうらく)を撒き飛ばせ み
愁訴(しゅうそ)に合はぬ風邪薬(かぜぐすり)、処方さる み
蜜柑山(みかんやま)の急坂(きゅうはん)から町と海 の
冬めけば書く手紙みな不備(ふび)・不悉(ふしつ) み
新松子(しんちぢり)、投げよと捥(も)いだ手の臭(にお)い み
神渡しが逆風になる方角 み
サフランの花を見て想うラ・マンチャ み
金塊のごと冷(ひ)ゆるバター一斤(いっきん) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
ブロッコリ切れば菜虫(なむし)がギャッと出る み
透明人間はブルッと立冬 み
生けるのか 捨てるのか 台子(だいす)に芒(すすき) み
駆除された熊の手 富裕層の胃に み
鵟(のすり)よ、『邪(じゃ)』の対は『正(しょう)』か『別の邪(じゃ)』か み
秋収め、とっくのとうに嘘はばれ の
文化祭、今年もお化け屋敷です が
コンビニへロックアイス®を買う夜寒(よさむ) み
乗継ぎの寸暇(すんか)に新蕎麦(しんそば)を啜(すす)る み
漢字のみ。檸檬(れもん)、榲桲(まるめろ)、榠樝(かりん)の実 み
行違(ゆきちが)う特急は行楽の秋 み
六角の鉛筆が転がる長夜(ちょうや) み
美術の秋 撃ち抜かれた ププッピドゥ み
愛憎が綯交(ないま)ぜになる秋深し み
「現空(げんくう)」なのにベランダに秋簾(あきすだれ) み
秋の戸の門扉(もんぴ)の錆(さび)が固すぎて み
産地ではなく品種で買う葡萄酒(ぶどうしゅ) み
行(ゆ)く秋(あき)の孤独は雑踏に居場所 み
赤い羽根、フランス人に道訊かれ み
秋の夕、空・山・田の三段染 み
次の料理が来ない。つま菊を食(は)む み
遊べ遊べ、秋宵(しゅうしょう)のチャイムなんか み
大陸の空を行く飛蝗(ばった)らの腹 み
特急のドアがプシュと開(あ)き爽やか み
祖母の干し柿のホコリ、拭うべきか み
裏口は…蟷螂(かまきり)に見張られている み
バスの車内灯が近づく宵闇 み
リーンリーン 籠枕(かごまくら)に鈴虫か み
秋湿(あきじめ)りの町 声が満ちる酒場 み
木犀(もくせい)は故人が好きだったそうだ み
牛タン定食、おまけのとろろ汁 み
運動会、本部テントだけ涼し が
笑い茸は麻酔の替わりになるか み
ケイトウを鶏冠(とさか)に譬(たと)えたひとの智 み
『肉じゃが』に期待したのに『豚じゃが』だ み
痩(や)せてこそ秋刀魚(さんま)は美味(うま)い寿司になれ み
10月祭、ブーツグラスでダッポン み
濡れ縁に寝袋出すか月を待ち み
あのビルをお前にやろう。秋日和 み
竹春(ちくしゅん)やパンダの食べ残しで籠(かご) み
木の実5個で祖父の眼鏡と交換 み
「名月や…」ヘタウマという誉め言葉 み
「あれ、鶺鴒(せきれい)」と中居。どこ?チッチチッ み
その秋の風の名は我が辞書になし み
秋さずいに稲刈りイベント延期 の
南国の蝶が巣くう蘇鉄の花 み
新婦の『秋桜(こすもす)』のアカペラに泣いた み
イチジクとクリームチーズとシャルドネ み
手を出して この桃は左右対称 み
親指の爪に甘栗が込まった み
敗荷(やれはす)に祭の密集の残滓(ざんし) み
蟋蟀(こおろぎ)食べる前に牛乳(ぎゅうにゅう)飲もう み
新米の袋に股慄(こりつ)の穀刺し の
平川門で鳩吹くはあの合図 み
びしょ濡れで言い訳は何? 白驟雨(はくしゅうう) み
星月夜、乳の匂いの白い風 み
箸から逃げる芋は串刺し、エイヤ み
「日本中デ育テルアノ草ハ?」 「稲」 み
夕顔に実が干瓢(かんぴょう)となる波乱 み
黄昏(たそがれ)に夜業(やぎょう)へ父は保線員 み
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落葉カサッカササ 振り返り誰何(すいか) み
娘も泊まることありと畳替え ま
先にいくなら未来で待て、冬虹 み
今日も暇 オアフ半周 冬の風 み
冴える理科室 姿勢のよい骸骨 み
山茶花(さざんか)を挿して不遇の蹲(うずくまる) み
教育と洗脳の隙間に目貼り み
「場所を空けろ。クリスマスツリー様だ」 み
換気扇が細切れにする冬の陽 み
ストーブの分解掃除(ぶんかいそうじ)で見つけた み
図書館に五冊予約の冬支度 み
「フロイデ」で目が覚めた ごめんね第九 み
タクシーに並ぶ梅田の十二月 み
枯葉よ、電子(でんし)も量子(りょうし)や計算機 み
目薬の冷たき頬を垂れ急ぎ み
忘年会の特等席は下座 み
紅葉(もみじ)は闇に。ライトアップの顰(ひそ)み み
薪を割る。綿虫が飛び、日が暮れる み
師走。黄ばんだ写真、黄ばんだ記憶 み
枯蘆(かれあし)が騒いだので窓を閉めた み
開かずの蔵を開ける。湿気寒(しけさむ)の風 み
痛風(つうふう)に、塩雲丹(しおうに)、海鼠腸(このわた)、唐墨(からすみ) み
宿坊で私にとっての初雪 み
畳を替えれば縁(へり)に二度躓(つまづ)く み
レントゲン写真の如く冬木(ふゆき)折れ み
駅舎出てゴチャゴチャ消えて冬の空 み
手袋と手袋の握手。冬山 み
ティンパニー、練習室にひとり。冴(さ)ゆ み
平穏の日々を乱すな冬薔薇(ふゆそうび) み
戸を開け放て。隙間風(すきまかぜ)はなくなる み
首都高下りる。ビル街へ冬日没(ふゆひい)る み
タオルを畳む。冬陽(ふゆひ)の香(か)を折り込む み
マップではこのあたり。北山時雨(きたやましぐれ) み
買った葱(ねぎ)を持ったまま妻を見舞う み
12月、星を継ぐものに幸あれ み
コートを着たまま入(はい)るのが礼儀だ み
そうやないんや生きていけ枯れ葎(むぐら) み
スタジアム出てすぐに鍋焼きうどん み
もう師走。『スピード感』の『感』はダメ み
5路線の踏切(ふみきり)渡る世は寒し み