表面は沸騰するも芯は冷ゆ み
子らの自転車、黄落(こうらく)を撒き飛ばせ み
愁訴(しゅうそ)に合はぬ風邪薬(かぜぐすり)、処方さる み
蜜柑山(みかんやま)の急坂(きゅうはん)から町と海 の
冬めけば書く手紙みな不備(ふび)・不悉(ふしつ) み
新松子(しんちぢり)、投げよと捥(も)いだ手の臭(にお)い み
神渡しが逆風になる方角 み
サフランの花を見て想うラ・マンチャ み
金塊のごと冷(ひ)ゆるバター一斤(いっきん) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
ブロッコリ切れば菜虫(なむし)がギャッと出る み
透明人間はブルッと立冬 み
生けるのか 捨てるのか 台子(だいす)に芒(すすき) み
駆除された熊の手 富裕層の胃に み
鵟(のすり)よ、『邪(じゃ)』の対は『正(しょう)』か『別の邪(じゃ)』か み
秋収め、とっくのとうに嘘はばれ の
文化祭、今年もお化け屋敷です が
コンビニへロックアイス®を買う夜寒(よさむ) み
乗継ぎの寸暇(すんか)に新蕎麦(しんそば)を啜(すす)る み
漢字のみ。檸檬(れもん)、榲桲(まるめろ)、榠樝(かりん)の実 み
行違(ゆきちが)う特急は行楽の秋 み
六角の鉛筆が転がる長夜(ちょうや) み
美術の秋 撃ち抜かれた ププッピドゥ み
愛憎が綯交(ないま)ぜになる秋深し み
「現空(げんくう)」なのにベランダに秋簾(あきすだれ) み
秋の戸の門扉(もんぴ)の錆(さび)が固すぎて み
産地ではなく品種で買う葡萄酒(ぶどうしゅ) み
行(ゆ)く秋(あき)の孤独は雑踏に居場所 み
赤い羽根、フランス人に道訊かれ み
秋の夕、空・山・田の三段染 み
次の料理が来ない。つま菊を食(は)む み
遊べ遊べ、秋宵(しゅうしょう)のチャイムなんか み
大陸の空を行く飛蝗(ばった)らの腹 み
特急のドアがプシュと開(あ)き爽やか み
祖母の干し柿のホコリ、拭うべきか み
裏口は…蟷螂(かまきり)に見張られている み
バスの車内灯が近づく宵闇 み
リーンリーン 籠枕(かごまくら)に鈴虫か み
秋湿(あきじめ)りの町 声が満ちる酒場 み
木犀(もくせい)は故人が好きだったそうだ み
牛タン定食、おまけのとろろ汁 み
運動会、本部テントだけ涼し が
笑い茸は麻酔の替わりになるか み
ケイトウを鶏冠(とさか)に譬(たと)えたひとの智 み
『肉じゃが』に期待したのに『豚じゃが』だ み
痩(や)せてこそ秋刀魚(さんま)は美味(うま)い寿司になれ み
10月祭、ブーツグラスでダッポン み
濡れ縁に寝袋出すか月を待ち み
あのビルをお前にやろう。秋日和 み
竹春(ちくしゅん)やパンダの食べ残しで籠(かご) み
木の実5個で祖父の眼鏡と交換 み
「名月や…」ヘタウマという誉め言葉 み
「あれ、鶺鴒(せきれい)」と中居。どこ?チッチチッ み
その秋の風の名は我が辞書になし み
秋さずいに稲刈りイベント延期 の
南国の蝶が巣くう蘇鉄の花 み
新婦の『秋桜(こすもす)』のアカペラに泣いた み
イチジクとクリームチーズとシャルドネ み
手を出して この桃は左右対称 み
親指の爪に甘栗が込まった み
敗荷(やれはす)に祭の密集の残滓(ざんし) み
蟋蟀(こおろぎ)食べる前に牛乳(ぎゅうにゅう)飲もう み
新米の袋に股慄(こりつ)の穀刺し の
平川門で鳩吹くはあの合図 み
びしょ濡れで言い訳は何? 白驟雨(はくしゅうう) み
星月夜、乳の匂いの白い風 み
箸から逃げる芋は串刺し、エイヤ み
「日本中デ育テルアノ草ハ?」 「稲」 み
夕顔に実が干瓢(かんぴょう)となる波乱 み
黄昏(たそがれ)に夜業(やぎょう)へ父は保線員 み
秋水(しゅうすい)の湖畔に城か発電所 み
それほどの香りもせずに麝香草(じゃこうそう) み
鷹(たか)の爪(つめ) 辛しや 辛しや 辛しや み
不在時に存在を知る。紫苑(しおん)咲く み
松茸飯(まつたけめし)「おかわり自由」のランチ か
蜩(ひぐらし)やなんだか急に腹減った み
松風の音が途切れる間…遠雷 み
日曜のアニメ終われば休暇明け か
側溝(そっこう)に一葉(ひとは)流れて蟻の舟 み
うしろから背広を着せる。もう九月 ま
『ゲジゲジ』と名付けられては遣る瀬無し み
赤とんぼ♪のイントネーションを自慢 み
薄霧(うすぎり)に影が横切る『黄』点滅 み
夏と秋、行合(ゆきあ)う空にジェット雲 み
文机(ふみづくえ)の上に乱雑な残暑 み
鉄の身体(からだ)を望み 螺子(ねじ)になる虫 み
本名は『桔梗(ききょう)』というの美青年 み
蟇(ひきがえる)、なぜか全員こっち向く み
入力予測に君の名が出る処暑(しょしょ) み
織女(しょくじょ)にブラックホールの誤解説 み
柚子の皮、削(そ)いで捻(ひね)ってマティーニへ み
枝豆は湯を沸(わか)しといてから穫(と)る の
火串(ほぐし)に射た小鹿の親…そこに居る み
夕凪(ゆうなぎ)に胸の騒ぎがひとつづつ み
炎(も)える鉄路、潮風、浜木綿の花 み
鬼灯(ほうずき)の実をプチュと赤き唇(くちびる) み
墓参り、バス待つうちに過雨(かう)乾く み
音もなく狂う台風、二重窓 み
帰省の目的は エアコンの掃除 み
浜に光る煙は花火大会 み
「コレガ盆だんすデスカ?」 ちょちょんがちょん み
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表面は沸騰するも芯は冷ゆ み
夕日照るビルのガラスに帰り花 み
畑から脱走したか茶の花よ の
この頃は客人はなし敷松葉 み
雨の舗道は銀杏落葉(いちょうおちば)に滑る み
露寒(つゆざむ)やさっき見たのは何だろう み
群時雨(むらしぐれ)、我が町の名はひらがなに み
柘榴(ざくろ)をブロック塀へフォーシームや み
サンルームに冬浅く眠り老いる み
頭から食べて柳葉魚(ししゃも)の尾が残る み
伴走のロープが緩む秋惜しむ み
引いた牛蒡(ごぼう)を銃口に詰めてやれ み
夜霧にハイビームの影はマドロス み
やや寒し、今日は頭が回らぬ日 み
秋深き5時にコミュニティバスを待つ み
AI(えいあい)に真理を託す文化の日 み
脚注に言い訳のある『星月夜』 み
キーを挿しシングルルームに秋の灯 み
うわさの猪(い)の目のイヤリングの魔除け み
いちゃもんをつけながら喰う通草(あけび)の実 み
子らの自転車、黄落(こうらく)を撒き飛ばせ み
愁訴(しゅうそ)に合はぬ風邪薬(かぜぐすり)、処方さる み
蜜柑山(みかんやま)の急坂(きゅうはん)から町と海 の
冬めけば書く手紙みな不備(ふび)・不悉(ふしつ) み
新松子(しんちぢり)、投げよと捥(も)いだ手の臭(にお)い み
神渡しが逆風になる方角 み
サフランの花を見て想うラ・マンチャ み
金塊のごと冷(ひ)ゆるバター一斤(いっきん) み
新北風(みーにし)に乾いた髪が肩を刷(は)く ま
ブロッコリ切れば菜虫(なむし)がギャッと出る み
透明人間はブルッと立冬 み
生けるのか 捨てるのか 台子(だいす)に芒(すすき) み
駆除された熊の手 富裕層の胃に み
鵟(のすり)よ、『邪(じゃ)』の対は『正(しょう)』か『別の邪(じゃ)』か み
秋収め、とっくのとうに嘘はばれ の
文化祭、今年もお化け屋敷です が
コンビニへロックアイス®を買う夜寒(よさむ) み
乗継ぎの寸暇(すんか)に新蕎麦(しんそば)を啜(すす)る み
漢字のみ。檸檬(れもん)、榲桲(まるめろ)、榠樝(かりん)の実 み
行違(ゆきちが)う特急は行楽の秋 み