夕凪や前髪が長かったのね み
花見の帰り、電車待つ間の自省 か
コート脱ぎエスカレータにポッと乗る み
指を擦り合わせばスベスベと黄沙(こうさ) み
抽斗(ひきだし)を開けたけど、はて? 春の夢 み
花の陰、席の準備あるが無人 み
勝手に♯(しゃーぷ)を取られた 花の宴♪ み <作曲者の瀧廉太郎の没後、山田耕筰が編曲で♯を削除>
「太陽」を「大腸」と読む春の昼 み
ルールルル 騒ぐ者あり 夜半の春 み
父と歩くつもりだった母の春 み
8時間また齢をとる春の朝 み
ベランダにタオルが飛ぶよ春の雲 み
年度末、社内報は最終号 か
写生中に蝶が群がって邪魔よ み
朝寝して言い訳はダイヤ改正 か
捨てるものが決まれば暖かくなる み
あの橋を渡れば全て麗(うら)らかな み
筋肉痛(きんにくつう)が来る 春の風邪が来る み
約束の「こんど」はいつか、春休み が
部屋着のまま駅へ行く。春の闇に み
水温(みずぬる)む、かと思わせる洗面器 み
石垣を昇って天守、朝雲雀(あさひばり) み
合格のご褒美は自分で買うね が
撫肩(なでがた)の空き瓶に雪(ゆき)の雫(しずく)を み
スポッて筒の中は卒業証書 が
枝垂桜(しだれざくら)を天蓋(てんがい)に寝転(ねころ)がれ み
三椏(みつまた)の花(はな)のブローチを吾妹(わぎも)に み
韮(にら)を洗うと緑が溶け出てきた み
喉元にイガイガがあり雛あられ み
博士(はかせ):「これが『地獄の釜の蓋』じゃっ!」 み
不便だが不幸ではない春の泥 み
平等や公平が好き蕗(ふき)の花(はな) み
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夕凪や前髪が長かったのね み
幸せの皺寄せが来る胡蝶蘭 み
避暑の地はバブル時代の別荘地 み
ビル群が川に飛び込む熱帯夜 み
吊り橋のワイヤーが刻む夕焼け み
街灯が点(つ)くをためらう夏夕べ み
夏富士に その軽装? そうなんです み
居酒屋でウミガメのタマゴを食べた み
「扉を閉めて」と鳴くのか冷蔵庫 み
夏布団を蹴り上げ、くるっと回す み
ただ、氷河時代の終わりが来ている み
グローブのクリームパンの雲の峰 み
船乗りの歌は夏風、重い明日 み
ハイビスカスの庭にジープを停める み
水牛の背が臭う、ブーゲンビリア み
夏の雨にテールランプの点描 み
ハンゲショウの花が「ここよ」と誘惑 み
解剖医もカーボーイも玉の汗 み
蝸牛(かたつむり)は平和になっては困る み
蛙が鳴いている夢。ここはどこだ み
野菜室に冷酒(れいしゅ)を2本 ガタガタ み
超写実主義に色鉛筆の裸婦 み
江ノ電にサーフボードが長すぎる み
「寝冷えした」と鼻声の電話が来る み
『ムラサキ』と呼ばないでね 『ラベンダー』よ み
三角のスイカにおまじないの塩 み
隣席の扇子、汗の臭いを撒く み
百日紅(さるすべり)は庭箒(にわぼうき)もピンク色 み
夏負けに鏡は「どちらさま?」と問う み
湯畑の煙が竦(すく)む炎天下 み
フェラーリもオーバーヒート気味に灼く み
野外授業に固執し熱中症 み
強引に雨の季節に七夕よ み
日本銀行券(にっぽんぎんこうけん)が欲しい小暑 み
電車待つ脹脛(ふくらはぎ)、蚊の刺され痕 み
鮎釣りの前泊の夜半(よわ)、雨催い み
雨傘よりも日傘が相合傘 み
「もう帰るわ」という目で団扇(うちわ)を置く み
黒百合よ市民らとリスクを語れ み
毒々しき色の蛙もケロケロ み