昨日来たお客様と、引っ越してきて10年過ぎた話をしていたら、「私がここに来るようになった頃には、よくお父さんのピアノの音が聞こえてきてましたよね」と言われた。そう、午前中のお客様の時間に、父がピアノを弾いていることがよくあった。そんな穏やかな時が確かにあったなとしみじみする。突然に弱っていってしまうこともある。そして徐々に弱っていく人を家で看取ることの難しさを、父から学んだ。自分はどうなるんだろうな...
しっかり者の母がレビー小体型認知症に?! 父が肺がんで要介護2? 突然始まったW介護の戸惑いをリアルタイムで吐き出します。
28年ぶりに地元に戻り、ゆったり平和な生活を…と思いきや、母がまさかの認知症に。誰にも言えない日常の変化、うつろいやすい母の記憶について記録していきます。
「電子レンジがおかしいのよ、壊れてるのよ、ちょっと見に来て!」と、母がチャイムを鳴らしに来て見に行くと、母はIHでお湯を沸かそうとしていて、ヤカンに水が入れられていた。IHオールロックは、電源を切っても有効なのだ。電源をつけても「ロックがかかっています」とアナウンスが流れ解除することはできない。鍵のマークが出るだけだ。以前にもヤカンでお茶を沸かそうとして、空焚きになりティーバッグが焦げて煙が出たことが...
デイのお迎え時に、母がIHヒーターを使って地獄鍋を煮ていたことは、送迎スタッフからデイの責任者→ヘルパー責任者・ケアマネへと報告が上がったそうだ。デイの連絡帳に書かれていた。あの、目が半開きになって下から見上げるような認知症顔になっているときは、何を言っても無駄だ。ただただ重苦しい気持ちになる。私は、気のせいか、この2日で顔に吹き出物が一気に現れた。ストレスとは怖いものだ。昨日は訪問看護師さんが1時間...
たった1日、母が帰ってたった1日なのに、魂を吸い取られたかのように疲れた…。帰って来た日の明るく元気な様子に安堵したのもつかの間、一晩ですっかり不穏顔。朝のヘルパーさんが来て、その後、デイのお迎えスタッフがやって来たのだけど、どうも騒がしい。なんだ?と思って降りて行くと、「娘さん、お母さんがIHヒーターで何か料理しておられて危ないんですけど!」と、おじさんが慌てた様子で言うので見に行くと、キッチンでグ...
朝からドタバタと買い物に走り、15時ごろに母の家の暖房をオンにして、湯沸かしポットの水を入れ替えてお湯を沸かす。買って来たパンをセッティングして、掃除機をかける。母がショートステイから帰ってくる日のルーティーンだ。誰もいなかった家の室温は3度だった。16時半過ぎに帰ってくる想定だったのに、16時10分に送迎のバンが止まった。早い! なんか損した気分(笑)。出迎えに行くと、母はとても元気そうで、笑顔だった。...
また大雪なのである。せっかくの母のいない連休も、雪で始まり雪で終わった。今日の夕方に母が帰ってくる。それまでにパンや食材を買って家を整え、雪かきをしてヘルパーさんが停められるようにしなければ。今日からまたドタンバタンと騒々しい日々が始まるのかと思うと、気持ちが重いのだが、夫が言った。「また、すぐ行くんでしょ?」そう。そうなのだ! あまりに参った私がショートの日数を単発で増やすことをお願いして、ケア...
溜まった新聞をまとめようと、母の家に入ると、留守電がチカチカ点滅していた。4コールほどで留守電になってしまい、母が電話を取れないため、普段は留守電にしていないけれど、ショートステイで留守にするときは留守電になるようにしている。セールスや買取などの怪しい電話がかかってきていた場合、着信履歴から信拒否設定しようと思ったからだ。留守電の主は、教会関係の母の友人だった。「毎日寒いですねー。元気ですか〜? ...
3連休の最後の日に、母が帰ってくる。昨日、ショッピングセンターであったかスリッパが半額になっていたので、母用に買って帰った。軽くて中はモフモフしていて、裏滑りもしない。今からじゃ遅いような気もするけど、こちらはまだまだ寒く外は雪で、外気温は2度とか。父と母はこんな寒い街でこれまで過ごしてきたんだなあ。私が高齢になったらあったかいところに住みたいな。雪の心配なんてしなくてよくて、灯油を運んだりしなく...
デイやショート、ヘルパーさんと過ごす時、訪問看護さんが一緒の時、それぞれの時間を母がどう過ごしているのか、本当のことを聞けただけでも、担当者会議は意味のあるものだった。皆が、全員一致で母の認知症の進行を感じていることも、わかってはいたけれどつらい事実ではあった。ただ、ショートステイの責任者が、「うちではいろんなお願い事を都度するんですけど、例えば、皆さんがお茶を飲んだ後のコップを洗ったりとか、洗濯...
さて、担当者会議の午後。夫が半休を取って参加してくれた。総勢8名。皆、それぞれのポジションの責任ある立場の人たちだ。5日間、誰も生活していなかった母の家はとても寒く、30分前から暖房を入れていたけど足元はとても冷たかった。母が1100wにしたくなる気持ちが少しわかった。ってか、外は1度。そりゃ寒いか。担当者会議は、ケアマネ司会のもと始まった。最近あった母のエピソード、不穏と徘徊で薬が増えた件、便汚染で部屋...
母がショートステイに行って5日。ちょうど折り返しになる後半戦の初日、今日は午後からサービス担当者会議が開催される。前回は去年の6月か7月か、母が脱水で倒れて入院して1日で退院させられた直後だった。何かあっても簡単に入院させられない母を、今後どうやってみていくか、がテーマだった。普通、担当者会議は、介護認定が出たあとや更新直後にやることが多い。事情が変わったときに、今後のことを話し合うものだ。どんなケア...
また雪が降ってきて、憂鬱。でも、寒い時期に母がいなくて良かった。電気代削減である。2月の電気代は、前月より18000円も安かった。私たちがエアコンを使わず、ストーブを導入したからだ。結局灯油代がかかってるんだけど、丸くてかわいいストーブの炎にほっこりできて、夜は灯りの代わりにもなる。電気代の主な消費は母の家であることは間違いない。3月はショートステイが半月なので、電気代が楽しみだ。例年なら4月までは5万円...
母がいない週末。寂しさは一切感じない! ごめん!ヘルパーも弁当屋も誰も来ない静けさが心地よい。友達のフェイスブックに、お母さんの83歳の誕生日だったと言う投稿が上がっていた。うちの母と同い年で、関東で一人暮らししている元気なお母さんが、美味しそうな食事の前で笑顔でピースしている写真は、これまで何度も何度も目にしてきた。お母さんに会うたびに、同じような写真を撮って友達は投稿する。この話、私、以前にも書...
ケアマネから電話がかかってきた。「4月の予定をお聞きしておきたいんですけど〜」って。4月! そうよ、もう4月の予定を決めねばならない。遅いくらいだった。大雪で大騒ぎして疲れ果てていたら、4月からゴールデンウイークまでの母の予定を決める時期になっていた。そうこうしてる間にも、母の骨折事件からもうすぐ1年が過ぎるのだから、時の流れを感じる。あの時は地獄だった。いや、あのとき地獄って言えるほど、今が平穏なわ...
母がショートステイに出かけた。お迎えの人が来て、私が保管していた大きな荷物を持って降りる。「お迎えに来ましたよー」と、声をかけられると、はーい!と明るい声がした。しかし部屋の真ん中でどうしていいか戸惑っている母。「はい、行くよー。テレビ消して、エアコン消して、ストーブ消して…」と、私が結局ささっと準備する。ここで時間を取るわけには行かない。何しろバンに乗せてしまえば、あとはオールオッケーなんだ!玄...
やっときた。今日から母は10日間のショートステイへ。朝のお迎えが早いので、それを乗り切ったら私に自由がやってくる。今回もショートまでの間が長かった。何事もなく過ぎることはないのだと痛感している。ある意味、私の中では色々あることへの諦めが生まれた。在宅介護って、こんな気持ちのアップダウンの繰り返しなのだ。だんだんとそのアップダウンがきつくなっていくんだな。ショートに入れると、前後の不穏が付き物。それを...
午前中に荷物が届いたので取りに1階のエントランスに降りていくと、母が出てきた。前日は、意識を失う寸前のフラフラ状態でデイのスタッフをあたふたさせた母だったが、今日はしっかり歩いている。目もぱっちり開いている。「お昼ごはんある?」と聞くと、「パンがあるわよ」と返ってきたのだけど、一応チェックをと思い家に入ると、テーブルの上には菓子パンが2つ並べて置いてあった。しかし、いつものパンをストックしているカ...
昨日は私の車の車検を予約していて、雪道運転をしない私が一人でワタワタ。夫の車と2台で行って車を預けて、また取りに行き、その待ち時間にワンコを散歩させて、スーパーに買い出しに行って…と、休日を慌ただしく過ごしていた。母は朝、デイサービスに出かけて行き、帰りは16時半なので、それまでの自由時間を過ごしていたら、ケアマネから電話が…。「お母さんなんですけど、デイに来られた時からふらつきがあって、お昼ご飯も全...
母がチャイムを押してくる。「私、どうやって行けばいいのかわからないのよ。今トイレに行ったんだけど、そのあと家に帰るには、どうやって行けばいいのかしら?」はあ。またもや意味不明。今上がってきた階段を降りて、元いたところに戻ればいいんだよ、と言っても無駄。一緒に階段を降りて、相変わらず半開きになっている家の扉を開ける。「ここから入って! ここが家だよ。他に行くところはないの」と、言った私の視線の先には...
大雪のせいで、ヘルパーさんも時間通りにはなかなかならず、弁当屋も遅れ気味でバタバタ。日曜だったけれど教会のことは一切口にしなかったし、母から聞かれることもなかった。どちらにしてもこの大雪の中、送迎なんて無理だった。うちの近所は高齢者だけの世帯が多く、雪かきされていない細道がある。除雪車来てくれたらいいのに、なかなか生活道路までは手が回らない。少し雪が止んで、晴れ間が見えてくると、母が動き出す。外の...
土曜日、デイサービスの日。雪がほんの少しだけ少なくなったこともあって、時間通りにお迎えのバンがやってきた。無事に母を送り出して、私は午前も午後も仕事に入る。午後のお客様は近所の方で、歩いて来店された。着ていたコートを脱ぎながら、道路状況の話をしていたところ、「あのデイサービスとかの高齢者乗せる車も、狭い道塞いでいつまでも停まってて、こんな日ぐらい休みにしたらいいのに!」と、言われた。何気なく出た言...
日に日に、母の脳が衰えていくのを感じる。毎日接しているのに分かるぐらいなのだから、ここにきて加速してるのだろう。本当に怖い病気だ。私の地方は大雪で、4年ぶりのまとまった積雪、大寒波と言われている。その4年前の大雪のときに、都会育ちの夫が張り切って大きな雪だるまを作り、その雪だるまの前で家族揃って記念撮影をした。私と夫とワンコ2匹と、父と母。あの頃に、私は母の認知症を疑い始めた。まだ元気だった両親は...
もうすっかり雪疲れでヘトヘト。夫は朝早くでて、夜遅く帰る。何もかもワンオペ。ヘルパーさんとお客さん用に駐車場の雪かきを定期的にやり、身体が痛い!昨日は1日デイサービスの日だったけれど、大雪のためお迎え時間が大幅に遅れるとの連絡があり、さらに、帰りもいつもより1時間も早く出発することになったと電話が。まる1日預けられる日なのに、前後1時間短くなって何だか損した気分。「帰りは、1時間早く出ますが、ルミコ...
「こんにちはー!すいません!すいません!」朝7時半。ドアの外で声がする。出ていくと、母が立っていた。チャイムを鳴らすことを忘れたらしい。「あなた、どうしてるの? 学校に行く子ども達なんかはどうしてるの?」朝から頭がついていかない。こんな日に限って水曜日で、訪問看護師が来るのが9時と、いつもより遅い。そして、外は大雪よ。一晩で50センチ以上積もった。夫は4時起きで外の雪かきをしてなんとか家を出た。私の...
ケアマネから電話がかかってきた。「月曜日に節分イベントでデイに行かれて、今日もデイですよね。ヘルパーの責任者さんから報告があったんですけど、月曜日の時は、せっかく行かれたんですけど不穏な状態で、ずっとおぼんを持ったままウロウロされていたり、目つきも不穏な感じでお話もあまりされなかったそうです。月曜は急に予定変更になったので、気分を落ち着かせるお薬そのまま飲まれて行かれて、今日は飲まれてないと思うん...
月曜は本当は在宅日なのだけど、デイサービスの担当者から連絡があって、「デイで節分のイベントをやるので、お母様も参加されませんか? お迎えはいつもの8時半ごろで伺いますよ!」と言われた。私は、行かせたいのはやまやまなんですが、介護保険の単位がもういっぱいだと思うんです…と答えた。単位がいっぱいになると自費になる。デイ1回を自費で行かせると、食事代なども含めだいたい1万円くらいかかる。なかなか高価だ。...
日曜日、教会の朝、10時ごろにエントランスのドアがバタンと音を立てたので、母が出て行ったかと思って外に出ていくと、お迎えの方と母が車の前で何か話していた。「教会、行かないって言ってますか?」と、私が声をかけると、「いえ、なんか、お父さんと税務署に行かなきゃ行けないって言っておられて…」と、困った様子。母の手にはバッグが持たれていたけど、中身はゴミみたいなチラシと、タオルが1枚、中身のない古い昔の財布...
子犬がね、やんちゃで手がかかって可愛いんですよ。重たいもので胸がズーンとしてたのに、同じ箇所がキューン。今までいたシニア犬も甘えてきて、より一層可愛いし、何もないときはホワーンと癒されてます。大変を大変で上書きする作戦、今のところ悪くなかったな。教会でお世話になっている女性から、メールが届いた。1月に2週続けて教会へ行かなかった時に、お伺いメールが届いた時には「病気が進行していて会話にもならない」...
ショートステイ明けの訪問診療で、ヘルパーさんが帰った少し後に先生と看護師さんが来たのだけど、母は寝室で寝ていた様子。看護師さんに「診察に来ましたよー」と起こされて、フラフラとリビングへやってきた。「おはようございます。どうですか? お身体の調子でどこか困ったところはありませんか?」先生はいつものように穏やかな口調で、母の目線に下がって話しかける。「先生のお顔を拝見したら、元気が出てきました」乙女の...
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昨日来たお客様と、引っ越してきて10年過ぎた話をしていたら、「私がここに来るようになった頃には、よくお父さんのピアノの音が聞こえてきてましたよね」と言われた。そう、午前中のお客様の時間に、父がピアノを弾いていることがよくあった。そんな穏やかな時が確かにあったなとしみじみする。突然に弱っていってしまうこともある。そして徐々に弱っていく人を家で看取ることの難しさを、父から学んだ。自分はどうなるんだろうな...
6月になった。今年も半分に差し掛かっているかと思うと、本当に時間が過ぎるのが早過ぎる。私自身も、大きな節目を迎えた。夫と2人でこちらに移住してから10年になった。東京の家の契約期間が5月末までで、それに合わせて引っ越してきた。自宅は大規模なリノベーションをしている途中で、今は駐車場になっているところに、木造の古い母屋がまだ建っていた。私たちは、親の衰えを考えて戻ってきたわけじゃなかった。自分たちが住...
昨日は、重い腰を上げて、母の家の衣替えをやった。ニット類を選択しようかと思ったのだけど、ヘルパーさんがきっちり畳んで整理しておいてくれたので、そのまま片付けることにした。大きな衣装ケースがまるっと1つ空いた。空いたスペースに入れるものがあるのかと思ったけど、何もなかった。母の衣類は、ほとんどが冬物で成り立っているのだな。改めて洋服を片付けながらよく見ると、どれもこれも毛玉がすごい。新しく買う服は、...
ネガティブ記事を暖かく受け止めていただけて感謝です。私が毒を吐くことによって、読んでくださっている方の中にある黒いものも一緒に出てってくれるといいのですが。そして今日もまたネガティブシリーズ。友人のお母様が、脳出血で突然亡くなられたと聞いた。まだ76歳だった。前日の夜まで家族でお寿司を食べたりして、楽しく幸せに過ごしていたとのことで、喪主をつとめたという友人はショックでなかなか立ち直れず、1ヶ月後に...
あー、はいはい。またですか? すごいですね! いいですね! もうわかったよ! もうお腹いっぱいなんだよ〜! ここだけで毒づかせて貰います。何度か書いていますが、知り合いのSNSによく登場するのが、私の母と同い年のお母さん。お母さんは関東で一人暮らし。娘さんは近距離他県に住んでいる。度々、お母さんが顔出しで出てくる。毎回同じようににっこり笑ってピースサイン。時々娘とツーショット。お綺麗で、身なりもき...
お迎えは9時40分になると言っておきながら、「困ります〜!」と言ったら、なんと8時10分に来た!!早すぎてびっくりよ。ダッシュで1階に降りていくと、若そうな送迎スタッフ君が、玄関でウロウロとしていた。「あ、荷物これです!」と、階段に置いてあるバッグを渡して、中の様子を伺うと、ヘルパーさんがバタバタ。8時〜8時20分のサービス時間。幸い母は着替えも済んでいて、朝ドラを見ていた。「ご飯も終わって、お薬も終わっ...
ショートステイの朝が来ました。母が脱走していないか、ピリピリで悪夢を見ました。昨日はデイの書道教室の日で、母が送ってもらったバンが到着したときに、ちょうど私がワンコの散歩から戻ってきたところで、エントランスで鉢合わせ。送りのドライバーさんに向かって母は、「こちら、次女のルミコです」と私を紹介した。私のことはまだまだ忘れない母である。ドライバーさんとも、かれこれ2年以上のお付き合いなので、もちろん私...
朝っぱらからチャイムが鳴り、憂鬱な月曜在宅日の始まり。「あら、起きてた〜? 良かったわ〜。みなさんは元気?」みなさん。私しかいない。「学校のほうはうまく行ってるの?」学校ね…。実際学校に行ってた時代は気にもしていなかったくせに、どこの脳の引き出し開けたらこんなセリフが出てくるんだろうなあ。「子供たちはみんな学校に行ったの?」子供たちは、いません。「そんなわけないわよ、小学生くらいの子供たち、いるじ...
日曜日は朝のヘルパーさんが来るのが遅い。8時45分だが、エントランスの鍵を開けに1階に降りると母が起きた気配がなかった。なんか嫌な予感はしたものの、夫が母を教会に送っていくと言いだしたので、様子を見に行くと、どこから出してきたのか、古びた埃だらけの旅行鞄が寝室の前の扉に置いてあった。「これ、何?」と、聞くと、「教会に行くのに持っていかないと…」と言うものの、中身はぎっしりとオムツが詰め込まれていた。...
数日前に母がデイに行っている間に家に入ると、衣装ケースの上に見慣れない洋服が畳んで置いてあった。黒を基調としたいろんな色が入った細かいストライプの柄で、首はハイネックでクシュっとしていて短めのワンピースくらいの丈感。広げてみて、こんな服あったっけ? と考える。着ているのをみたことがない。どこから出て来たの?まず、左脇の洗濯タグを見る。名前が書いてないか確認。名前はなかった。ブランドタグもみたが、記...
ケアマネから8月のショートステイが取れたと電話がかかってきたので、そのついでに一つ弱音を吐いた。来週からのショートステイ、6月2日に戻ってくるように予定されているのだけど、「2日間伸ばせませんか?」と。計算すると、6月は合わせて13日間。まだあと2日増やせる余裕があった。本当は、叔母がいつも月頭の3日や4日に訪問してくれるので、会えないのはかわいそうかと思っていたのだけど、もうそんなことを言っている...
ああ、やっと金曜日になった…。疲労感でいっぱいだが、まだ母が戻ってきて1週間しか経ってない。しばらく1週間帰ってきて、1週間ショートに行ってを繰り返していたから、次のショートまでが長く感じる。しかも今日は在宅日。なにも起こりませんように。ケアマネから連絡があって、7月のショートを予約した。冬の電気代地獄が終わったかと思ったら、次は脱水危機である。極力長めに取れるように、訪問診療と書道教室を避けなが...
朝6時半、夫の弁当を作っていて、フライパンで豚肉の西京焼きを焼いていたら、チャイムが鳴った…。え、なによ、この忙しい時に! と、声に出る。途中でやめられないやつよ! 焦げる!夫が「俺が行くよ」と言って、玄関を開けると、真っ黒のハイネックのセーターに黒いスエットを履いた母がぼーっと立っていて、「ねえ、葬儀はどうなったの?」と言った…。怖っ! 朝からホラーだ。夫も答えに困って、「お父さんの葬式なら3年前...
菓子パンバイキングで、買い置きがなくなったので、昨日はスーパーでこれでもか!と、買いまくった。無駄になっても、無くなるよりマシだ。「食べるものが何もない」と言われるのがすごく嫌! 介護が苦しくて、親を殺してしまったと言うニュースのコメント欄を見ていたら、「親を怒鳴りつけるだけでも逮捕される場合がある」と書かれていた(!)。マジか。毎日逮捕されてしまう。本当にそんなことあるの? と、あいつに聞いてみ...
母在宅の月曜日。朝のヘルパーさん(20分)から、夕方のヘルパーさん(16時15分)までの時間が果てしなく長い。午後のお昼ごはん前後が、母の徘徊タイムとなることが多い。案の定、午後になりチャイムが鳴らされ、ため息をつきながら玄関を開けると、トートバッグを持った母が立っていた。トートバッグの中には筆箱が一つ入っていた。「お姉ちゃんの友達が来てるでしょ?」はあ。深いため息が出る。お姉ちゃんの友達どころか、お姉...
急に暑くなってきた。電気代に悩まされるピークは終わった…。とはいえ、母が家にいる間は、リビングも廊下もテレビも全ての電気はつけっぱなしなので、在宅しているだけでお金はかかる。うちは2階なので日当たりがよく、すでに結構暑いのだけど、母は寒いと言っている。うっかりするとセーターを着込んだり、フリースを羽織ってしまうので熱中症に注意しなければいけない。エアコンもつけるなら冷房にしてほしい。電気代節約のた...
ショートから戻った次の日は、デイサービスと決まっていて、母は忙しい。ヘルパーさんが7時45分にやってきて、8時半にはデイのお迎えのバンに乗って出かけていった。私はその間、気配を感じながらも顔を見せることはなかった。私も土曜日は忙しいのだ。しかも、夫の出勤日が重なり、早起きして弁当も作り、送り出してワンコの世話をやり、自分の仕事の準備に入った。ヘルパー連絡帳には、暑くなってきたので、エアコンの暖房が入...
母が戻ってきた。あっという間に16時になり、バンが止まった音がして、ため息をついた。送迎の運転手さんが家の中まで同行し、電気をつけたりわいわいやっていた。私が来るのを待っていたようで、「娘さん来られましたね。テレビのスイッチわからないんで、お願いします」と言って、帰っていった。「あの人、お父さんの会社の人なのよ!」と、母は自信たっぷりに私に説明する。んなわけあるかい。だいたい父が会社に通っていたのな...
あーあ、もう金曜日か〜。また落ち着かない日々が始まるのかと思うと気持ちが沈む。早い時間にスーパーに行ってパンを買い込んで、電気ポットをセッティングして…って言うルーティンから。母が1週間留守にしている間に、季節が進んで、日が落ちてからも暑いなあと感じるようになった。エアコンの「暖房」を入れられないように注意が必要だ…。衣替えもしなきゃだったけど、1週間が忙しすぎてそこまで手が回らなかった。自分の衣替...
明日には母が戻ってくる。はあ。仕事を詰め込んでいると、1週間なんてあっという間。昨日は、仕事の終わりに、東京のネイリスト友達たちと久しぶりにZOOMでおしゃべりした。グループラインでトークしているから久しぶり感がないと言われたけど、なんだかんだで姿を見ながら話すのは去年の11月以来だった。半年ぶりでも長いなーって思うのに、姉が9月末から帰ってきてないことを思うと、どんだけよ!と改めて思った。9ヶ月の間に...
5月は長かった。ショートステイの予約が取れず、これまで通りの週3デイサービス、1日2回のヘルパー(20分)でしのいだ。3月、4月と続けてショートのお世話になったので、ぽっかり何もないのがこんなに気が張るのかと思う。週3デイもありがたいのだけど、訪問診療がある週はとても慌ただしく、訪問診療に立ち会って、母をデイに送り出して、すぐ仕事に入り、昼に買い物を済ませて、午後からもう一人仕事に入ったら、その間に...
在宅日の金曜日、夕方の18時半ごろ、母から夫の携帯電話に電話がかかってきたそうだ(!)。度重なる母の徘徊と不穏に、夫が私の負担を減らそうと「何かわからなくなったら俺に電話かけて! 出かける前に電話して!俺はいつでも電話に出られるから」と言って、固定電話の子機に番号を登録してきたのだが、本当にかかってきてしまった。「あなたは誰ですか?」自分からかけてきたのに、第一声はそれだった。夫とわかると、「ルミコ...
数週間前に、母が夕方脱走してスーパーに行って白米3パックとほうれん草とキャベツ半玉を買ってきた。白米3パックは翌日には消費期限がきて、キャベツもすぐにダメになり、廃棄された。ほうれん草は、ヘルパーさんが茹でてカットしてラップに包んで冷凍にしてくれた。タッパーの中で小分けにラップされて、味噌汁の具が足りない時とかにちょっと使えるようにと言っていた。しかし、翌日見るとキッチンカウンターの上で常温に戻さ...
先週の土曜日から増量した認知症の薬は、効果が出てるのかは謎。魔の水曜日、昼の時間帯はGPSを気にしながら、在宅を確認して、いつも出かけてしまう13時前後を外して14時半にスーパーへ買い物へ出かけた。30分ほどして戻ってくると、母の家の玄関が10センチほど開いていた。そっと覗くと、スニーカーがあったので、家にいるんだなと安心。自分の家に帰ると、うちの玄関も10センチほど開いていた…来たな。きっちり閉めたはずの玄関...
母があまりにも日々「ばあちゃん来てる?」「ばあちゃんはどこへ行ったのかしら?」と、祖母のことを聞いてくるので、その都度、32年前に死んだよ、などと受け流していたけど、何かいい方法はないものかと夫と2人で考える。「おばあちゃんの遺影がないから、死んだことを思い出せないんじゃないの?」と、夫が言った。確かに、ない。9年前にこの家をリノベーションした時に、古い家を家財道具ごとぶっ壊した。もちろん大事そうな...
今期は主人公が「記憶喪失」になるっていう設定のドラマが多い。流し見していると、「え? それは覚えてるの? 思い出したの?」みたいなシーンがあったりする。前日のことを忘れてしまう「アンメット」は、それでもなぜか医者の仕事と技術は忘れない。「記憶を無くす」という意味では、認知症も記憶喪失とちょっと似ている。記憶を都合の良いストーリーに妄想トッピングで仕上げてしまうところが、認知症の特徴だろうか。記憶喪...
土曜の朝から認知症の薬のひとつ「メマンチン」が増量になっている。良い変化があることを期待しつつ、また月曜在宅日が始まって憂鬱である。だんだんと、話が通じないことが増えた。会話はしたいのだろうけど、訪ねてきてチャイムを押して、でも、何が言いたいのか全然理解できない。一生懸命、推理を働かせるのだけど、妄想と思い込みとちょっとの事実と、入り混じって何が言いたいのかわからない。出来るだけ明るく対応して、家...
徘徊事件から1週間経った、在宅の金曜日。私は朝からピリピリである。昼休みにはGPSを何度か確認して自宅にあることで安堵した。午後から仕事がびっしり詰まっていて、お客さんとお客さんの間が30分しか空いていない。何かあったら嫌だなと思いながら、仕事をしていると、ちょうど施術が折り返したぐらいの途中も途中で、ドアの外からガラガラと母の家の扉が何度か開いたり閉まったりする音が聞こえ、そのうちに「ルミちゃん!ル...
訪問診療の日だった。先生には徘徊のことは話していないが、今までなかった「外出禁止」の貼り紙に、なんとなく何かを察したようだった。いつも通り穏やかに、「最近のお身体の調子はいかがですか?何か困ったことはありませんか?」と母に聞く。「嫌な夢をしょっちゅう見るんです。それで目が覚めて眠れなくなってしまったりします」と、母が言った。「最近はどんな夢を見たか覚えていらっしゃいますか?」と、聞かれ、「子供達を...
一応、穏やかな日が続いている。油断はできない。もうだいぶ暖かい日が多くなったが、気がつくと母の家はストーブがつけられている。慌てて家に入って、「ストーブはもう勘弁して!(本音)」と言うと、「だって寒いのよ〜」と言いながら、母はヒーターのスイッチをオフ。エアコンは暖房でオンされている。もう電気代がとんでもないのだからダブル使いは本当に本当にもうやめて欲しい。ヘルパーさんたちは、さりげなく衣替えを進め...
火曜日、安らぎのデイサービスの日だった。朝のヘルパーさんの連絡ノートを見ると、「入室すると、フォーマルウエアーを着ておられました。教会へ行くとおっしゃいましたが、今日はデイサービスですよと言って着替えていただきました」と書かれていた。淡々と職務をこなすヘルパーさん。いちいちビックリもしないのだろう。私だったら大騒ぎして怒ってそうだ。教会行くにしてもフォーマルウエアーの必要はないし、また誰かの葬式と...
月曜在宅日。私も仕事が入っていて、ピリピリ。昼前には母がやってきて、デイサービスの施設にはどうやって行くのか? お昼はどうするのか?と聞いてきた。同じパターンである。勝手に行ってもどうにもならないことをまた繰り返し説明して、ついつい語気が荒くなる。「私だけなら別にいいんだけど、子供達が来てるでしょう? あの子達はどうしたらいいのかしら?」と、言いだした。これもレビー小体型の定番パターンである。子供...
土日は何事もなかった。土曜日は、母はいつものようにデイサービスに行き、よさこいの演舞を楽しんで、小さな子供たちが可愛かったと言っていた。日曜は、朝から出かける準備万端でヘルパーさんを迎え、その後、お迎えの人の車に乗って教会へと出かけていった。私たちは、母が出かけている間にスーパーに行き、母の昼ごはんを用意して、足りない食材を買ったりした。傾向として、日曜日は教会に行って疲れるからか、在宅でも勝手な...
あーあ、またやっちゃったなー。なんかもっと違う言い方出来なかったかなー、私。もっと優しく諭してあげること、出来なかったのかなー、私。怒ったって仕方ないし、忘れちゃうのも仕方ないし、でもどうしても言わずにはいられない。母を再び叱り飛ばした午後、私は自分の家に戻って泣いた。もうすぐ13時になろうかと言う時間に、私のスマホにデイサービスの施設から電話がかかってきた。「こちら○○苑デイサービスですが、こちらに...
朝6時50分から、家のチャイムが鳴りまくる。「今日はゴミの日じゃないかしら?」そうですけど…。母は、すでにアウターを着込んでマスクをして、外出する気満々の姿で玄関に立っていた。「ゴミを出すネットは、係りの人が7時までにセッティングしてくれるから、それまで待って!」認知症に「待て」は出来ない。自分でネットを出そうとしたが、うまく出来ないと言っていた。余計なことはしないでいただきたい。重たいネットを動かし...
魔の水曜日だが、訪問看護師さんには、浣腸の処置をスルーしてもらうようにノートに書いた。デイの連絡帳にもヘルパー連絡帳にも毎日のように便のことが書かれている。自力でどうにかなっている。これ以上の修羅場は避けたい。看護師さんからは電話がかかってきて、「記録を見るといい感じなようなので、今日もやめておきますね〜」と言われた。前の夜、ヘルパーさんの責任者の方から電話があった。私が「外出禁止」の貼り紙をした...
母がデイサービスに行き、留守になった家に入っていつものように食材のチェック。冷蔵庫を開けると、スーパーで買ったらしきパックのご飯が3つも入っていた(!)。ただの白米が3パック!180円が3個も! 日付を見ると5月13日。消費期限も5月13日。ああ、やられたな、脱走。昨日か…。寝起きで私のところに来て、「ばあちゃん来てる?」と聞いてきた後、私が油断している間にふらふらと出て行ったのだろう。全然気がつかなかっ...
私のモチベーションが上がらない理由はわかっている。昨日から、東京で大規模な美容のイベントが開催されていて、数年前までは欠かさずに参加していた。東京に住んでいた時はもちろん、こちらに来てからも当たり前のように新幹線に乗って、宿泊先をキープして、キャリーバッグをガラガラ引っ張って行っていた。コロナ禍でイベント自体が中止になったり、愛犬が病気になったり、ここ3年ほど遠のいた。いや、最後に行ったのは2019年...
モチベーションが落ちている。何もしたくないモードに入ってしまった。昨日は母の日だったけれど、1日早く土曜の夜にプレゼントを渡した。しまむらの母の日ラッピングは、赤いカーネーション色の袋にゴールドのリボン。ザ・プレゼントな趣だ。姉から送られてきたクッキーも持って行って、「これはお姉ちゃんから送られてきた」と言って手渡した。あまりにそっけない包みと軽さに、母も「あら、送られてきたの?」と言いながらも、...
数日前に姉から、ラインが届いていた。「母の日のプレゼントに、ゴディバのクッキーがルミコ宛で届きます。12日にお母さんに渡してください」と。母宛の荷物は、受け取れなかったりややこしいことになるので、全て私宛にしてもらっている。それは良い。宅配便がそのプレゼントを置き配してくれた。小ぶりのダンボールにゴディバのロゴが入っていた。持った瞬間、「軽っ!」と思った。ちょっと嫌な予感がした。母がダンボールを開封...