【今日の短歌】柿の朱は不思議なる色あをぞらに冷たく卓にあたたかく見ゆ (小島ゆかり)
若葉が芽吹き、鮮やかな葉の黄緑がだんだんと深まってくると小さな実をつけ、やがて葉が次々と散ってい…
【今日の短歌】遠い未来に必ず訣れがあることを疑わずされど日々に思わず (久々湊盈子)
「わかれ」と一口にいっても、「別」「分」「岐」など、シチュエーションによってふさわしい漢字を使い…
trick or treat!
【今日の短歌】私にも優しいあの子の完璧なポニーテールがただしく揺れる (三浦なつ)
よく通る明るい声で見本のような挨拶をし、誰に対しても同じテンションで感じよく接する彼女は、ポニー…
【今日の短歌】夜色の缶をひらいてうっとりとひもといてゆく月の巻物 (木下龍也)
夜の世界が広がるようなイメージや、月の神秘的な雰囲気を感じさせる美しい韻律。これは…
【今日の短歌】洗剤の香りの歌をつぶやけば「香害」についてリプライがくる (俵万智)
日常の一コマだったり、少し肩の力を抜きたかっただけだったり。そういった何気ない投稿…
【今日の短歌】木犀の香る木かげに立ち止まりパセティックな樹とひとのつぶやく (山田富士郎)
英語のスラングとしての「pathetic」には、軽蔑や侮辱のニュアンスが含まれています。「みじめ…
【今日の短歌】あおむけの断頭台でマリーマリー鳩が飛び立つのを見ましたか (山口綴り)
マリー・アントワネットは、オーストリアのハプスブルク家の11女に生まれ、フランス国王ルイ16世の…
【今日の短歌】一斉にマロン関連商品の出回りてひとの死にやすき秋 (染野太朗)
実りの秋が訪れ、栗や芋の風味が広がる季節になりました。 ショーケースやお菓子売り場を覗けば、栗や…
【今日の短歌】日常の事は一生を豊かにす茄子煮が上手く出来たことなど (高野公彦)
時期的にそうなりがちなのですが、今の野菜は例年に増して繊維が硬いような気がします。我が家でも野菜…
【今日の短歌】なにげなく摑んだ指に冷たくて手すりを夏の骨と思えり (服部真里子)
夏という季節の中で、何気なく掴んだ手すりの冷たさにハッとさせられたのでしょうか。そ…
【今日の短歌】きっと覚えておけると思うアラベスクいつか壊れてゆく体ごと (笹川諒)
幼少期にバレエを習っていた私にとって、「アラベスク(arabesque)」という言葉は、優美なバ…
【今日の短歌】酵母には死骸とう語があたるかとしばし考えるとろとろのとろ (田中濯)
去年、初めて葛の花を使って酵素ドリンクを作りました。その作り方は非常にシンプルで、…
【今日の短歌】彼岸花 水引草 鶏頭 緋の色のやや寂しきを秋と呼ぼうか (大下一真)
秋の花を問われると、彼岸花は瞬間に脳裏を駆け抜けるもの、水引草や鶏頭はすぐには思いつきません。そ…
【今日の短歌】青ぶだう唇にふれつつ思ふことおほかたは世に秘すべくあるらし (葛原妙子)
時折、心の奥底に秘めた感情や本音が渦巻くときがあります。それはまだ成…
【今日の短歌】ゆくへなく月にこころのすみすみて果はいかにかならむとすらむ (西行)
ゆくへなく月にこころのすみすみて果はいかにかならむとすらむ 西行 行く先が定まらないまま月を眺め…
【今日の短歌】かすかなるカルキが匂う脱衣場にたましいまで脱ぐわれかも知れず(斉藤真伸)
なんとなくでも体力をつけようと、市営のプールへ行くことにしました。運動が苦手で、あれこれ模索する…
【今日の短歌】小夜さよ深ふけにさきて散るとふ稗草ひえぐさのひそやかにして秋さりぬらむ(長塚節)
「実りの秋」と称される季節ですが、本日は七十二候の第42候「禾乃登(こくものすなわちみのる)」に…
【今日の短歌】二百十日の雨瀧のごとくにおちたれば海のただなかに島は濡れゐる (橋本徳壽)
「二百十日」とは、立春から数えて210日目にあたり、古くから台風の襲来に警戒すべき時期として知られてきました。…
【今日の短歌】いそぎつつ朝は出てゆく街角に咲きて久しき百日紅の花(古泉千樫)
百日紅(サルスベリ)の幹は、すべすべと滑らかで美しい質感を持ち、その特徴から「猿も…
【今日の短歌】少しひらきてポテトチップを食べている手の甲にやがて塩は乗りたり(内山晶太)
同じく私も、あまりガサッと開けるタイプではありません。ポテトチップスだけではなく、何かの袋を開け…
【今日の短歌】焼きたてのチーズケーキが息をする鉄の型より外されるとき(山本夏子)
「息をする」とは、すなわち“解放”の象徴です。鉄の型にしっかりと包まれていたチーズケーキが、その…
【今日の短歌】秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる(藤原敏行)
季節の移ろいを感じるとき、それは目に見える変化だけではなく、音や温度といった五感を通じた微細な違…
【今日の短歌】夏雲の君の不安のかたまりが溶け出し僕が満杯になる (松村正直)
感情の微妙な揺れに対して深く共鳴する自分がいることに気づかされる瞬間、その感覚がどれほど他者との…
【今日の短歌】まことにも暑し暑しと口にしていへば紛るる土用の暑さ(窪田空穂)
あっつい、とにかくあっつい。年々厳しさを増す猛暑に「暑い」という言葉がつい口を出てしまい、「おは…
【今日の短歌】雑踏の中でゆっくりしゃがみこみほどけた蝶を生き返らせる(木下龍也)
蝶々結びは完璧にできても、その蝶はすぐにほどけてしまいます。子供の頃からその度にしゃがみこんで結…
大暑を迎え、連日の猛暑が続いております。年々夏の暑さが厳しさを増しているようですので、どうか熱中…
【今日の短歌】梅雨さりぬ先づはなだ草初夏の瞳を上げてよろこびを云ふ(与謝野晶子)
ここ東海地方でも梅雨が明けました。ジメジメとした梅雨から解放されて嬉しいのは、ツユクサ(別名「は…
【今日の短歌】遠雷のような時代が波たちて海の名前の家族が笑う(東直子)
「海の名前の家族」というのは、おそらくはサザエさん一家のことでしょう。調べてみたら、原作は194…
【今日の短歌】はちす咲くあたりの風のかほりあひて心のみづを澄す池かな(藤原定家)
はちす咲くあたりの風のかほりあひて心のみづを澄す池かな 蓮の花の咲くあたりから風に乗って香りが漂ってきて、心の…
【今日の短歌】冷蔵庫の麦茶を出してからからと砂糖溶かしていた夏の朝 (穂村弘)
小・中学生の頃、私は周期性嘔吐症(自家中毒)を起こしやすく、定期的に体調を崩すことがありました。…
【今日の短歌】うどん屋の饂飩の文字が混沌の文字になるまでを酔う(高瀬一誌)
確かに、「饂飩」と「混沌」は漢字の形が似ていますね。普段は「うどん」とひらがなで書かれることが多…
【今日の短歌】明日のことは明日にまかそう己よりおそろしきものこの世にはなし(山崎方代)
不安要素がいくらでも挙がってくる中で、ただただ今を生きていればそれでいいのか。「明日のことは明日…
【今日の短歌】清流にひそやかに咲く梅花藻の喪のひとの顔しろくうつむく(桑原正紀)
叔母の墓参りを兼ねた花めぐりで訪れた普門寺は、紫陽花寺として知られていますが、そこで思いがけず梅…
表現の選択や語彙の当てはめについて、どちらがふさわしいか、あるいは他にどんな語彙が適切かといった…
最近、学校健診において二次性徴を確認するための陰毛所見を行った医師の行動が世間を騒がせています。…
【今日の短歌】美しき球の透視をゆめむべくあぢさゐの花あまた咲きたり(葛原妙子)
画像としては薄曇りが一番美しく、雨にしっとりと濡れるのが似合うのが紫陽花だと思っています。晴天に…
【今日の短歌】血管の中に住みたいからだじゅう隅から隅まで知りたくなって(千原こはぎ)
名古屋で行われた「人体の不思議展」を見に行ったときの衝撃は忘れられません。本物の人体がプラストミ…
【今日の短歌】人類はほとんど水でできておりやがては霧となる資料集(小野田光)
ほとんど水でできている人類。その人類にある水分が霧になったのなら、連想されるのはミイラです。古代…
【今日の短歌】香の高き薔薇の名はケアレス・ラブといふ二つくらゐは誰にもあらむ(米川千嘉子)
自分の中で三大憧れの薔薇というのがあって、一つ目はトマス・ハーディの「日陰者ジュード」という小説…
【今日の短歌】若竹の伸びゆくごとくこども達よ真直に伸ばせ身をたましひを(若山牧水)
待ちわびた筍がやっと出てきたと思ったら、そのまま少しでも放っておくとどんどん背丈が伸びて、そのう…
【今日の短歌】ヒメジオンとハルジオンの違いをさりげなく聞けばたちまち機嫌をなおす (永田和宏)
表情がちょっと暗かったり、もしかしてご機嫌斜めなのかなとか感じたときに、相手の好きそうな話題を振…
【今日の短歌】生れは甲州鶯宿峠に立っているなんじゃもんじゃの股からですよ(山崎方代)
「わたくし、生まれも育ちも東京葛飾柴又・・・」寅さんの口上みたいな一首だけど、なんじゃもんじゃの…
【今日の短歌】いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひめるかな (伊勢大輔)
こちらの地方ではソメイヨシノはすっかり散ってしまいましたが、八重桜が綺麗に咲いています。遠くから…
【今日の短歌】いざ子ども山べにゆかむ桜見に明日ともいはば散りもこそせめ (良寛禅師)
いざ子ども山べにゆかむ桜見に明日ともいはば散りもこそせめ さぁ、子供たち。山へ桜を見に行こう。明…
【今日の短歌】筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣しあやに着欲しも (作者不詳)
筑波嶺の新桑繭の衣はあれど君が御衣しあやに着欲しも 筑波嶺の新桑繭で作られた上等な衣はあっても、…
【今日の短歌】よもの山に木の芽はるさめふりぬればかぞいろはとや花のたのまむ(大江匡房)
よもの山に木の芽はるさめふりぬれば かぞいろはとや花のたのまむ 大江匡房 四方の山々に木の芽を膨…
【今日の短歌】日中を風通りつつ時折にむらさきそよぐ堅香子の花 (宮柊二)
可憐な薄紫の花は、その昔「堅香子」とも呼ばれていました。あんまり日が照っていると花…
【今日の短歌】ありがとうなんて言うのも今さらのような気がするけどありがとう (俵万智)
失ってから初めて気づく、当たり前が当たり前じゃなくなることの喪失感というのは、何の前触れもなく突…
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