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  • 「博物館の少女 騒がしい幽霊」

    「博物館の少女騒がしい幽霊」(富安陽子著2023年9月偕成社)を読みました。「博物館の少女怪異研究事始め」の続編です。児童書両親を亡くしたイカルは大阪から東京に来て母方の遠縁の大澤家に身を寄せ上野の博物館の附属施設・怪異研究所で働いている。(イカルは14才)研究所の所長は織田賢司(織田信長の末裔でトノサマと呼ばれている)友だちには絵師・河鍋暁斎の娘トヨがいる。たまたま博物館に来ていた山川捨松と大山巌夫妻を案内したことからイカルは捨松の兄の山川健次郎に頼まれて大山家のポルターガイスト現象の捜査をするために家庭教師として潜伏することになる。大山巌と亡くなった先妻との間には7才になる長女の信子と二女の芙蓉子がいた。捨松は会津藩の武士の娘で11才の時から10年間アメリカで暮らし大学に入って看護学も学んでいた。日本...「博物館の少女騒がしい幽霊」

  • 「可燃物」

    「推し」ミステリ作家米澤穂信の新作が出たので読みました。「可燃物」(米澤穂信著2023年7月文藝春秋社)短編集です。主人公は群馬県警の刑事部捜査一課長・葛(かつら)警部年齢も家族の有無も書かれていない。食事は菓子パンとカフェオレ(手っ取り早く血糖値を上げるため?)それにビタミン剤を足したりする。スキー場のバックカントリーの崖下に転落していた他殺死体でも凶器が見つからない「崖の下」真夜中の交通事故の目撃者が4人もいて全員の証言が一致している「ねむけ」湿地帯の木道の周辺にバラバラに切断された死体が発見された「命の恩」ゴミ集積所のゴミ袋が燃える連続放火事件「可燃物」ファミリーレストランで起こった立てこもり事件「本物か」「お前の捜査手法は独特だ。どこまでもスタンダードに情報を集めながら最後の一歩を一人で飛び越える...「可燃物」

  • 「言葉の園のお菓子番 復活祭の卵」

    「言葉の園のお菓子番復活祭の卵」(ほしおさなえ著2023年9月大和書房)を読みました。「見えない花」「孤独な月」「森に行く夢」と来て第4巻は「復活祭の卵」一気に明るくなりました。ブックカフェ「あずきブックス」で働いている一葉は祖母の遺言に従って連句会「ひとつばたご」にお菓子を持って挨拶に行ったのをきっかけに連句会に入ることになる。祖母がやっていたお菓子番も引き継ぐ。一葉は、まあ、かげの薄い主人公ではある。数年前に大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」を一年を通して見て(久しぶりに)主人公は脇役でもあるのだなと思った。エピソードによっては主人公が脇役を引き立てるのだ。主人公の一葉は、そんな存在。今回は「ひとつばたご」主宰の航人さんにスポットが当たる。そして連句の大会というのが山場。そこで航人さんは別れた妻に再会し一葉...「言葉の園のお菓子番復活祭の卵」

  • 「人類学者と言語学者が森に入って考えたこと」

    伊藤勇馬の「ムラブリ」を読んで最終章にちょっと違和感を感じた。その違和感はいつまでも私の中に残った。久しぶりの「閉じない」読書だった。で、続いて出版された「人類学者と言語学者が森に入って考えたこと」(奥野克巳伊藤勇馬著2023年8月教育評論社)を読みました。奥野克巳は伊藤よりは20才ほど年上でボルネオ島のプナンという狩猟採集民を長年研究している人類学者。伊藤はタイとラオスに住むムラブリという狩猟採集民を研究している言語学者だ。人類は国家というものを営むようになってまだ400年もたっていない。それに対して狩猟採集民としての歴史は長い。こっちが普通ではないのだ。伊藤は言う。最初はムラブリ「を」(対象として)研究し次にムラブリ「ととも」に研究し今ではムラブリ「として」研究している。大学を辞めてフリーの研究者とし...「人類学者と言語学者が森に入って考えたこと」

  • 「シンデレラはどこへ行ったのか」

    「シンデレラはどこへ行ったのか少女小説と「ジェイン・エア」」」(廣野由美子著2023年9月岩波新書)を読みました。著者は、NHKの「100分で名著ホームズ」に出ておられた廣野由美子シンデレラというよりは「アフターアガサ・クリスティ」ならぬ「アフタージェイン・エア」といったまとめ方です。著者はこの本を「京都大学での定年退職を前にこれまでの文学研究の道筋を振り返りひとつの区切りとして少なからぬ勇気を持って書き起こしたものである」と言っている。「少女小説」も「ジェイン・エア」も決して現代的なテーマではないだけにそれは頷ける。シンデレラとジェイン・エアの共通点は何だろう?親がいないこといじめられていた(継母や姉などから)けれど最後には居場所を得ること。違いは何だろう?シンデレラには王子が現れるけれどジェイン・エア...「シンデレラはどこへ行ったのか」

  • 「スナック墓場」

    「襷がけの二人」がよかったのでもう一冊嶋津輝の「スナック墓場」(嶋津輝著2019年9月文藝春秋)を読みました。短編集です。「姉といもうと」という短編の妹が「襷」のお初さんの原型かな。(大柄なところとか)姉の里香は会社を辞めた後、家政婦をしている。幸田文が好きだからだ。気分は幸田文の「流れる」の主人公で芸者屋の住み込み女中の梨花。今はマンションで2人暮らしをしている保母(という姓)夫妻の家に朝から夕方まで週5日行っている。妹の多美子は大学を出た後ラブホテルのフロント業務をしている。多美子は手指の一部がない。でも、家事も運動も何でも出来る。ラブホテルの経営者の荻野夫妻に多美子は子供の頃から可愛がられていた。父も母も死んで姉妹は2人暮らしだ。そんなある日多美子は恋人を連れて来た。大学生の頃に家庭教師をしていた時...「スナック墓場」

  • 「どこにもない編み物研究室」

    「どこにもない編み物研究室日本の過去・未来編」(横山起也著2023年8月誠文堂新光社)を読みました。「どこにもない編み物研究室」の続編です。(待ってました!)前著が現在編だとしたら本書は未来編。(歴史も紹介しているけれど)後半の未来編がとても面白い。高度経済成長の時代に手作り文化はぱたりと途絶えたけれどコロナの時期若者の目は再び手作りに向くようになったという。「ニットってとんでもないぞ」の章で紹介されている村松啓市自分でも作る技術を持った「編めるデザイナー」で大量生産では作れない手作りのよさを最大限引き出すデザインを考えてその作り方を作り手に教えて育てていくプロジェクトをやっている。家庭用編み機を使った製品も作っている。国産羊毛の糸も使っている。「手芸はコミュニケーションツールだ」と思っている。「枠を越え...「どこにもない編み物研究室」

  • 「本のある空間採集」

    「本のある空間採集個人書店・私設図書館・ブックカフェ」(政木哲也著2023年8月学芸出版)を読みました。いつも行く書店は2ヶ所あんまり長居していないいつも行くカフェは1ヶ所結構長居している(本を読んだり)本当は書店で長居したいいつもの書店にカフェスペースがあればなぁというのは「Title」のページに店の奥にカフェ・スペースがあるのは「Titleは、あくまでも書店でカフェは本を求めに来た客のとっておきの楽しみなのである」と書かれているのを読んで思ったことなのだけれど(Titleがブックカフェなのは知っていたのですがカフェ・スペースが奥だということを初めて知りました)ルチャ・リブロ(私設図書館)火星の庭(仙台にあるブックカフェ)オヨヨ書林蟲文庫弐拾dB(営業時間23時〜27時)汽水空港ロバの本屋橙書店……名前...「本のある空間採集」

  • 「アフター・アガサ・クリスティー」

    「アフター・アガサ・クリスティー犯罪小説を書き継ぐ女性作家たち」(クライン著2023年7月左右社)を読みました。面白い視点ですアフターアガサ・クリスティーその後のミステリ界がどうなっているかなどとは考えたこともなかった……(女性ミステリ作家界)著者は執筆中に2度の入院をし(現在は亡くなっている)コロナ禍でインタビューも思うように進まなかった。そんな中で警察を舞台にした小説(女性警察官はすくなかった)マイノリティが登場するもの(レズビアンの主人公も登場するようになったし心身の障害者や黒人、アジア人なども主人公になるようになった)警察官以外の職種の人物(法医学関係者司法関係者)が登場するものも描かれるようになったと章立てて書かれています。(自閉症の女性が事件を解くドラマ「アストリッドとラフェエル」科捜研が舞台...「アフター・アガサ・クリスティー」

  • 「ネガティブ・ケイパビリティ」

    最近テレビでも取り上げられたネガティブ・ケイパビリティ。ちょっと知りたくなったので「ネガティブ・ケイパビリティ答えの出ない事態に耐える力」(帚木蓬生著2017年4月朝日新聞出版)を読みました。ははき著者の帚木蓬生は精神科のお医者さんでもあるのでたくさんの「すぐに解決できない事態」に出会っている。ネガティヴ・ケイパビリティというのは詩人のキーツ(1795〜1821)が弟への手紙に記した言葉であるという。それも、たった一回だけ。それを見出したのはイギリスの精神科医のビオンという人だった。患者と分析者(治療をする人)が向き合ったとき分析者が持っていなければならないのがネガティブ・ケイパビリティだとビオンは言う。若い分析者たちが理屈を当てはめて患者を理解しようとするのを危惧したビオンは「不可思議さ、神秘、疑念をそ...「ネガティブ・ケイパビリティ」

  • 「からさんの家」

    「からさんの家まひろの章」(小路幸也著2023年8月徳間書店)を読みました。「東京バンドワゴン」で大家族を描いた小路幸也が今度は血のつながりのない人たちの暮らしを描いています。神野まひろは高校を卒業したばかり。ところが就職先に不祥事があって採用が取り消しになり母が再婚することになり仕事のあてと住居を一気に失うことになったところに母の再婚相手の母(義祖母)のからさんの家に住み込んでの家政婦兼秘書という仕事が転がり込んできた。母といってもまひろの実母ではない。実父母はまひろが幼い頃に離婚し間もなく再婚した父と再婚相手は事故で亡くなり母は「父の再婚相手の妹」なのだ。母の欠落というのは児童文学の要素としてよくあるけれどこれはまた大きな欠落を持った主人公の設定だ。からさんは72才。詩人で画家。他の住人たちも何かしら...「からさんの家」

  • 「ザイム真理教」

    今話題の「ザイム真理教それは信者8000万人の巨大カルト」(森永卓郎著2023年6月三五館シンシャ)を読みました。ちなみに「三五館シンシャ」というのは倒産した三五館という出版社の社員だった人が立ち上げたひとり出版社。日記シリーズを出版している。(この本、あちこちの出版社で出版を断られたと森永さんは言っている)ザイムというのは財務省のこと。政治家は財務省の言いなりだよと森永さんは言う。経済オンチで経済のことはさっぱり分からないけど(かなり分かりやすく書いてくれていると思うけど)そんな私が「そうか」と思ったのは◯結婚した人たちはおおむね子どもをもうける。少子化の解決策は手厚い子育て支援ばかりではなく結婚したいけれど収入が低くて結婚しないでいる人たちに結婚しようかなと思ってもらえるように収入増を図るということな...「ザイム真理教」

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