主に純文学小説を最近は載せています。
連載的でもありますが、大体読みきり作品(一話で完結的な意味を持つ)が多いです。
白い海の向こうには、紅い砂漠がつづいていて、人々は朽ち果て、そこにただ独り、遺る人を想うこともなかった。 地には血の雨が、三年と六ヶ月降りつづけていた。 深い谷の洞窟でエリヤは目覚めた。 枯れつづけていた川に、水の音を聴いた。 その日から、決まって黒い渡り烏(ワタリガラス)がパンと肉を彼のもとへ運んできたが、それはどちらも人の肉(死体)であった。 エリヤは、渡り烏に言った。 「わたしは最早、人の肉を食べたくはない。これまでは眠りのなかにいて、それがわたしの肉であると想っていたが、わたしは今目覚めたのであり、それをもう必要とはしなくなったからである。だから何かほかの食べ物を運んで来るように。」 …
わたしはこの地上で、人々を愛していると想っていた。でも本当は、わたしはあなただけを愛していた。あなたを、何に譬えられただろう。あなたは、縹色の空だった。あなたは、透明な水だった。あなたは、白いデイジーだった。あなたは、暗い海の色だった。あなたは、夜の公園で穏やかに眠る野良猫だった。あなたは、ドアの外に落ちていた黒い羽根だった。あなたは、この部屋のベランダからわたしの目に映る夜景と夜空だった。わたしはすべてを同じほどに愛していると想っていた。でもわたしが本当に愛していたのは、あなただけだった。わたしの目に映る恋しくてたまらないもの。それが、わたしにとってのあなただった。すべての愛おしいもの。それ…
「ブログリーダー」を活用して、sirosorajpさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。