あと一両日は楽しめそうだったのに、無情の嵐。これを「桜流しの雨です」とシブイ表現を知っていた若い気象予報士のお姉さんに拍手。風にあおられる様子は「花吹雪」。花びらが水面に浮かべば「花いかだ」等々、日本人は散る桜にも未練たらたらに美しい言葉で思いやる。また特攻隊で死んだ若者を「散華」と表現した。個人的に好きなのは、「花鎮(しず)め」という風習。これは古い!桜が散るのを不吉な兆しと考え、とくに疫病が流行ることを怖れた。そこで花に向けて「結実するまでゆっくりして(やすらいで)」と祈り、「鎮花祭」あるいは「やすらい祭」を催した。有名なのは京都・今宮神社の疫社に奉納する踊りで、綾傘の風流を押し立てて黒や…