RIPES BLOG

昔、なりたかった職業

実は昨日から入院しています。4年ぶり人生3度目の入院で、目的は肺ガン治療なのだが来た途端にハプニング。治療計画を見直すという。煽られるように入院したのに……。とまれ、こちとら「まな板の上の鯉」なのでボケ〜と待機するしか術がないのです。 つまらん話題よりも、病院の19階ロビーから街を眺めながらの話で。一番目立つのは歌舞伎町タワー。水の吹き上がる様を視覚化した永山佑子氏の意匠デザイン。この人、ドバイ万博日本館の意匠も担当し、麻の葉の組木を立体にしたようなファサードで注目され、その一部は今回の大阪万博女性館にも転用されている。建築意匠の分野は女性の活躍が素晴らしい。この人、1975年生まれの50歳、…

2025/05/29 08:53

AI誤読がもたらす「語毒」

この4月、米国の教育長官マクマホン氏はある会合で、AI(人工知能）のことを何度も「A1（エーワン）と読んでしまって話題になったとか。「A1」は人気のステーキソースブランドなので「長官はよほど空腹だったのか」と揶揄された。 ま、これは思い込みによる読み間違いなのだが、最近は、YouTubeやTikTokのリール動画でAIソフトによる文章読み上げの「誤読」っぷりがひどくて目(耳？）障りである。まさに「語毒」 「人」という字があれば前後関係なく「ヒト」と読むし「行った」は「おこなった」ではなく「いった」と読む。こういうのに遭遇した時、多くの大人（だいじんでなくおとな）は、誤読と判断して自分で補正して…

2025/05/21 18:58

「訛（なま）り」と「方言」

★ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく（石川啄木・岩手盛岡）★ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまで苦し（寺山修司・青森弘前） 二人の詩人とも「訛り」に並々ならぬ愛着を見せている（写真は上野駅15番線にある啄木の歌碑）。そして「訛り」と「方言」を混同している。いや「方言」という生硬（ぎこちない）言葉が使われるようになるまで、ほとんどの人は「訛り」という言葉だけで全部通用させていたように思う。一つの単語の話し方の抑揚に出る地域的なクセは「訛り（accent）」。対して「方言（dialect）」は、「牛」が会津では「べこ」になるように表象する単語自体が違う。 「訛り」を…

2025/05/13 19:17

鴎外『舞姫』探しのお手本！

連休中は毎夜、小説を朗読やダウンロードで随分読んだ。森鴎外が多かった。前から「面白くなさそう」と見なしていた『舞姫』もその一冊だが、主人公のドイツ留学生・太田という男が妊娠したドイツ娘に手切れ金を渡して帰国する顛末に「クソ野郎」と思った。郷ひろみ主演で映画化(1989）された際の評判も良くなかった。鴎外は、こんな話をなぜ書いたんだろう？ だが「事実は小説よりも奇なり」で、女(エリス）は、鴎外の帰国船を追うようにして来日、再会しニッコリしてまたドイツに帰った。謎です！……以来『舞姫』の実像を探る喧しい論議と予断と中傷、半端な諸説が生まれた。中には鴎外妹の証言もある、別人を仕立てたテレビルポ番組あ…

2025/05/08 19:07

「谷根千」から巣鴨地蔵へ

気持ち良く晴れたGWの今日、イオさんに付き合ってもらってまずは根津神社へ。先週までやっていた「つつじ祭り」は終わり枯れ花ばかりだったが、稲荷も含めてゆっくり歩けた。そこからは千駄木。谷中と回る「谷根千」散歩。一番目当てだった「いせ辰」で小風呂敷（990円）ゲット。姉様人形などが上手なイオさんは江戸千代紙。 朝倉彫塑館からさんさき坂に出ると谷中小学校があるが、その向かいの寺「大圓寺」が面白い。Yの字になった参道の先に本堂の破風が二つ並ぶ超レアな建築、もう一つ興味を引いたのが江戸錦絵の開拓者・鈴木春信と彼がスターダムに押し上げた最大のアイドル「笠森おせん」の記念碑があるのだ。春信は水茶屋かぎ屋の看…

2025/05/04 16:49