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ブログタイトル
幕末血戦録
ブログURL
http://thshinsengumi.seesaa.net/
ブログ紹介文
若者達が異なる信念の元に命を賭した時代、幕末。新撰組と御陵衛士を中心に、人々の生き様を書き記します。
更新頻度(1年)

18回 / 365日(平均0.3回/週)

ブログ村参加:2013/12/07

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ハンドル名
服部武雄さん
ブログタイトル
幕末血戦録
更新頻度
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幕末血戦録

服部武雄さんの新着記事

1件〜30件

  • 雪の章(5)

    店の中に、服部と詩織の2人きりとなり、詩織は服部の向かいの席に腰を下ろした。 2人の間には、盆に乗ったままの徳利と盃が2つ。詩織はその盃に酒を満たすと、服部が口にするのを待たずに一気に盃を明けた。 「また、戦さが始まるのでしょうか」 呟くようなその口調に、服部は何処か投げやりになっている様な、一種の危うさを感じた。 胸が早鐘のように撃ち鳴らされるのを感じた。詩織が何を言おうとしているのか。彼女は今…

  • 鬼の章(32)

    一同の怪訝な表情を端から一瞥すると、一瞬にして表情を改めた。そこには鬼と恐れられる新撰組副長の顔があった。 「話せて良かった。すっきりしたぜ」 そう言うと、土方は席を立ってあっという間に店を後にしてしまった。立場上、山崎丞もその後を追う。 店に残された3人は、まるで嵐が去った後の町を眺めるかの様に暫し呆然としてしまった。 「一先ず、今宵はお開きにしますか。土方副長の件を、伊東さんに報告もしなけれ…

  • 鬼の章(31)

    「芹沢さんが私をどう思っているのかは、正直分かり兼ねます。寧ろ、皆さんの方が客観的に見て下さっていると思います。そもそも、私を特別視する意味も理由も分かりません。分かっているのは1つだけ。現時点で彼らを何処まで信用して良いのか、判断に迷っているという事です」 その後は、毛内が説明を引き受けた。 御陵衛士の存続を最優先として分離を考えた事。服部には事前に相談もしたが、基本的な部分は毛内と加納2人で考…

  • 鬼の章(30)

    「あれこれ考えているのが馬鹿馬鹿しくなっただけだ。結論から言う。服部、毛内。お前達の狙いは何だ?」 「ね、狙いですか」 毛内はすかさず、服部と加納に目配せをする。何処まで話をしたものか、判断が難しい。 現状において、土方及び新撰組は少なくとも敵ではない。しかし、諜報は殆ど全ての組織が最重要視している。ここで迂闊に京都天狗党に対する懸念を口にして、その事が芹沢やその一党に伝わってしまえば、御陵衛士…

  • 鬼の章(29)

    町人風の着古した着物姿であったが、隙のない姿に、その場の者達が思わず声失ってしまう。 「土方副長」慌てて最初に声を上げたのは山崎だ。「何故ここに?」 山崎の言葉に答えるでもなく、一同の驚きの様子なども一顧だにする事もなく、土方は近くの卓の椅子を1つ手にすると、服部達と同じ卓に着いた。 「俺に構わず話を進めてくれ」 「そんな訳には行きませんよ」 平然と言い放つ土方に対して声を上げたのは山崎だ。 暫…

  • 鬼の章(28)

    「岩倉卿がそれも覚悟の上で芹沢さんと組んでいるのか、或いは何らかの保障というか、確約が存在しているのか。 もう1つ気になるのは、岩倉卿と芹沢さんを結び付けた切っ掛けです。ここに何か別の存在というか、意思を感じるのです」 「黒幕というか、2人を繋いだ者がいる、という事ですか」 「現時点で確たる証しはありませんが」 「しかし、例えばその人物が芹沢さんを押さえ付ける保障のような物を持っているとしたら、関…

  • 鬼の章(27)

    「岩倉卿と芹沢さんの結び付きは固いですね。どちらかと言えば、岩倉卿が芹沢さんに惚れ込んでいる様子で、芹沢さんは上手く岩倉卿を立てながら、今の状況を利用しようしている様に見えます」 山崎の言葉に、大きく頷いたのは加納だった。会津藩や幕府の要人から情報を得た山崎に対して、加納は薩摩や長州など倒幕派から情報を集めている。だが、立場が異なる者達でありながら、その意見は殆ど同様だった。 「2人を結び付けて…

  • 鬼の章(26)

    服部や毛内ら御陵衛士の分離派は、当面の屯所として戒光寺の一角を借り受ける事となった。 戒光寺の堪念和尚は、御陵衛士の立ち上げの際にも少なからず尽力してくれた、謂わば衛士の恩人とも言える人物だ。今回も、細かな訳を聞く事もなく、服部達分離派の為に宿と食事を提供してくれたのだった。 さて、問題はここからだった。 少数の部隊にとって、情報は生命線でもある。御陵衛士は勿論、新撰組、更には左幕派、倒幕派それ…

  • 鬼の章(25)

    御陵衛士としての活動を主張した伊東と、新撰組局長の近藤勇の間で交わされたのは刀を持たない立ち合いだった。土方も含めて自身の感情を抑えつつ、互いに双方の利を解く一種の心理戦を繰り広げたのだ。 皮肉なことに、あの時の苦労を今度は伊東が味わったという事になる。但し、これが本当の分離であればの話ではある。 土方は、事態をそこまで単純には捉えていなかった。分離云々は一種の駆け引き、謂わば政治だ。それに対し…

  • 鬼の章(24)

    「御陵衛士が分裂しただと?」 「正確にいうなら、御陵衛士から一部の隊士が分離したと言うべきですね」 隊士が増え、組織が大きくなるに従って、恐怖と規律で縛らざるを得ない状況にあるのが新新撰組の実情である。それに対して御陵衛士は、伊東甲子太郎を筆頭に一枚岩に見えた。それは土方からすれば羨ましくもあった程だ。その彼らが分裂するなど、予想もしない事態だった。 問題が発生したのは、京都天狗党の話が流れてか…

  • 鬼の章(23)

    多くの者達の危惧は現実となった。 京都は勿論、関西全域から京都天狗党の元に浪士達が集い始めたのだ。 中には江戸から駆け付けた者もいた。現実問題として職にあぶれた浪士が多いのは事実だったが、同時に禁裏の元で活動出来るという大義に惹かれた者も多かった。 浪士だけではない。藩に所属する武士でありながら、脱藩して京都天狗党への参加を希望する者まで現れた。 日本国内における力の均衡が崩れる、その危険性を感…

  • 鬼の章(22)

    「私の考えは、御二人にはとても酷なものになると思います。私が最優先で考えているのは御陵衛士という組織の事です。その為に、御二人には隊を割る事にも成りかねない動きをして頂きたいと考えています。万一、最悪の事態となった場合でも、規模が縮小しようと御陵衛士は生き残る。その為の予防線と言っても良い」 「或いは、衛士の露払い」 毛内が継いだ言葉に、加納はゆっくりと頷いた。 京都天狗党が、このまま禁裏の意向…

  • 鬼の章(21)

    「ですが、伊東さんは既に芹沢さんとの接触を図ろうとされています。それに対する反応はまだ明確ではありませんが、同盟をも視野にいれた話になるのではないかと、私は考えています」 「同盟?」 思わず声を上げてしまってから、毛内は慌てて周囲見渡した。 「まだ、具体的な話ではありません。しかし、伊東さんからは、京都天狗党に参加する個人や団体、連携を模索する個人や団体を調べるように指示されています。それも、将…

  • 鬼の章(20)

    「単刀直入に申します。御二人は芹沢さんをどう評価なさっていますか?」 毛内は一瞬口籠ったが、服部と無言のまま視線を合わせて直ぐに腹を決めた。何より、同志の間で腹の探りあいは不毛でしかない。 「正直、図りかねています。しかし、岩倉卿と組んでいる事を含めて、何か裏があるように感じているのは事実です。少なくとも、現時点で京都天狗党が打ち出している禁裏の意向を受けた攘夷実行は、表面的な建前だと感じていま…

  • 鬼の章(19)

    暇と力を持てあます浪士に職を与える事。体の良い厄介払いではあったが、この浪士達を上洛させ、京の治安維持にあてる事。 これは江戸と京の双方に利益のある一石二鳥の策と思えた。 計算外だったのは、この募集に予想外に多くの浪士が応募して来た事だ。 上洛の為の準備金として1人につき1両を予定していたが、応募の人数が多過ぎた為、これを半額とせざるを得なかった。 浪士組は上洛後、発起人である清河八郎の策によって…

  • 鬼の章(18)

    岩倉具視など禁裏が動いた理由がこれで理解出来る。 事前に手を打たれていた諸藩に対する根回しと相まって、これで芹沢は堂々と行動する証文を得た事になる。 「京都天狗党とはな」 「これからどうなる?」 同志達の間でも盛んに議論が交わされた。 「行き先のない浪士達はこぞって京都天狗党の元に駆けつけるだろうな。こうなれば立派な大義名分が得られる訳で、肩身の狭い浪人生活を終わらせる事が出来る上に、帝の御意向…

  • 鬼の章(17)

    事態は突然動き出した。 意に反して、芹沢鴨の行動は至極まともな、正攻法ともいえる手段だった。 京都天狗党。それが彼らに与えられた新たな組織名だった。その組織名もさる事ながら、更なる問題は、それが禁裏お預かりとなっていた事だ。 新撰組は、京都守護職である会津藩お預かりとして、いわば幕府の実動部隊としての位置付けだった。 長州藩に奇兵隊と名乗った実動部隊があった様に、土佐藩に土佐勤皇党があった様に、…

  • 鬼の章(16)

    「私は、毛内さんの判断を信じますよ。恐らく、同志の中で最も冷静に全体を見る事が出来ているのは毛内さんでしょうから」 毛内は真顔で服部を凝視した。服部の表情には気負いは勿論、おどけた様子もない。本心を淡々と口にしただけである事は明らかだった。 「貧乏くじを引く事になるかも知れませんよ」 「それはそれで面白そうではないですか」 本音は芹沢鴨と戦いたいだけなのではないか。毛内の脳裏を一瞬そんな考えが過…

  • 鬼の章(15)

    「毛内さんとしては、もう結論が出ているのではないですか?」 服部の言葉に、毛内は暫しの沈黙の後にゆっくり頷いた。 「嘗て、伊東さんと共に建白書を書き上げた時にも感じた事ですが、あの方の理想は純粋で、尊く、命を懸けるに値するものだと思っています。しかし、同時に理想を追いすぎる所がある。同志を1つにする為の指標としては適していますが、個々の戦術としては実現性を考えるべきとも思っています」 難解な話に…

  • 鬼の章(14)

    「さて、どうしましょうかねえ」 暗い表情に反して、声の調子は何処となく軽かった。こんな時の毛内は、自身の中では既に答えを出している。服部にもそれが理解出来る位には、二人の付き合いも深くなっていた。 毛内との出会いは、上洛して新撰組に加入してからだから、他の同士よりも重ねた日々は短い。剣術だけではなく槍術、弓術、馬術と、一通りの武術をそつなくこなす事は、逆に言えば人より頭ひとつ抜ける特技に欠けると…

  • 鬼の章(13)

    「現実問題として、彼らの具体的な活動内容が明らかにならない限り、動きようがないという事だな」 「その通りですが、それが明らかになったとして、岩倉卿が関わっているともなれば禁裏を後ろ楯になさるでしょう。この先、彼らが余程の無茶をするなら別ですが、相応の大義なり根拠がなければ敵対する事は出来ませんね」 篠原泰之進と毛内のやりとりに、一同が頷く。 「そもそも」 ゆっくりと、呟くように口を開いた伊東甲子…

  • 鬼の章(12)

    御陵衛士屯所である月真院の一室には、重苦しい空気が流れていた。 三日前の新撰組屯所前での出来事を受けて、加納鷲尾を中心に市中や諸藩の動向を調査した。時間と人員の問題で得られた情報は断片的ではあったが、それでも十分に驚くべく事態が進行している事が把握された。 状況が状況だけに、加納は新撰組の山崎丞とも極秘裏に会っている。そこで交わされた情報は、残念ながら互いが得た信じ難い事態が現実である事を認識さ…

  • 鬼の章(11)

    それが事実である事は、守護職本陣に出掛けた際に近藤自身が確認して来ている。守護職から近藤ら新撰組に下った命令は、芹沢の活動を妨げるな、という驚くべきものだった。 そこまでの下準備をして、その上で芹沢が起こそうとしている活動内容については未だ全容は明らかではない。 しかし、それが京に留まるものではない事も予想は出来た。 「さて、これからどうする」 「どうしようもない。正直、芹沢さんがこの後どう動く…

  • 鬼の章(10)

    禁門の変。 それは嘗て、長州藩の過激集団が御所に銃弾を撃ち込むに至った、歴史的な事件である。この事件を通して、長州は賊軍として京を追われる事となる。 この事件の渦中、味方にさえまともに認識されていない状態だった新撰組を率いて、見事にその存在感を見せ付けたのが、他でもない芹沢鴨だった。 やり方には問題があったが、あっという間に豪商から金を集めて、隊服や隊旗を揃えたのも芹沢の功績と言える。 一方、気…

  • 鬼の章(9)

    「もういい、頭を上げろ」 新撰組屯所内の局長室で、土方歳三が冷たく言い放った。しかし、土方にそう言われても、山崎丞は畳に押し付けた額をすぐに上げようとはしなかった。 暫くして顔を上げても、目線は畳に落としたまま、食いしばった口元もゆるまない。 実際、土方には山崎を責める気持ちはなかった。山崎は本当に良くやってくれている。それは土方の期待以上と言って良い。 山崎の監察としての目と耳は、市中の一般市…

  • 鬼の章(8)

    服部を見る芹沢や新見ら一党の視線を見て、土方は彼らの狙いを見抜いていた。狙いは、御陵衛士、そして服部だったのだ。 新撰組屯所の門前で騒ぎを起こせば、御陵衛士の彼らが駆けつけてくる可能性は高い。新撰組の現状を図る事が出来れば一石二鳥という所だろう。 御陵衛士の屯所を直接訪れたとしても、警戒はされつつも客人としてもてなされて終わってしまっただろう。一触即発の危機的な状況だったからこそ、見えるものがあ…

  • 鬼の章(7)

    「近藤、済まなかったな。この様な騒ぎを起こすつもりはなかったのだが、つい懐かしくなってしまった。許せよ」 芹沢の声には、嫌みも威圧も感じなかった。嘗て、共に将軍警護という崇高な目的の為に、明日をも知れぬ状態でありながら京に残った、志だけの男達。その壬生の浪士組の同志。一人の志士として尊敬の対象でさえあった、芹沢鴨の姿がそこにはあった。 「何をおっしゃいます。久しぶりに会えたというのに、何のおもて…

  • 鬼の章(6)

    同じ水戸の出身である事や思想の共通点を考えれば、無理もない話だったかも知れない。しかし、芹沢が危険な人物である事は間違いなかった。これからの新撰組との関係性、京における活動の如何次第ではあるが、絶対に気を抜くことが出来ない人物である。 一つ間違えれば、御陵衛士の存在そのものに疑義が生じる可能性さえある。だが、果たして今の伊東が、そこを冷静に判断する事が出来るだろうか。 どうするべきか。篠原と毛内…

  • 鬼の章(5)

    今にも切れそうな張り詰めた糸は、新たにその場に駆け付けた者達によって打ち消された。屯所の南側から駆け付けた伊東甲子太郎、篠原泰之進、毛内監物、新井忠雄、加納鷲男である。 芹沢も御陵衛士達に目を向けたが、視線を止めたのは伊東だけだった。伊東は、芹沢と同じ水戸の出身だ。尊王攘夷思想については、伊東なりの独特の考え方もあると聞く。嘗ては、天狗党への参加も検討していたらしいとくれば、興味を持たない筈はな…

  • 鬼の章(4)

    口元の笑みこそ消えていないが、張り詰めた空気には明らかな殺気が含まれていた。 「芹沢さん、大変御無沙汰致しておりました」 土方は短く言葉を切った。内心を伺わせない能面のような表情であったが、内心は焦りと、様々な思考が駆け巡っていた。 芹沢が何の為に今頃屯所に現れたのか。その狙いが読めなかった。僅かな言葉が、表情や仕草が、芹沢にとっては挑発になりかねない。その一つ一つを慎重に選ぶ必要があり、神経を…

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