chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
幕末血戦録 http://thshinsengumi.seesaa.net/

若者達が異なる信念の元に命を賭した時代、幕末。新撰組と御陵衛士を中心に、人々の生き様を書き記します。

服部武雄
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2013/12/07

arrow_drop_down
  • 鬼の章(77)

    「これ程に厄介な相手である事を、敵に回して改めて思い知るとはな」 芹沢が言いながら進み出る。天狗党の男達が、自然に後退りすることで、服部と芹沢が正面から向き合う事になる。 「今からでも遅くはない。儂と来い。共に、この国の新しい未来を築く礎となるのだ」 「私が芹沢さんの力になれるとは思えませんが」 一つ大きく息を吸って呼吸を整えてから、服部はゆっくり答えた。 「まだ、記憶は戻らんか」 「清河殿から…

  • 鬼の章(76)

    もう一つが、包囲を抜けた筈の毛内が逃げずにその場に留まっていることだ。 仲間を逃がす、いわば殿となることは理解が出来る。だが、何時までも逃げる様子がない。一体どういうつもりなのか。 包囲に加わっている天狗党の男達は、特に剣術に秀でたような者がいない。今のところは、それが幸いしている。だが、中にどの様な強者が紛れているかも分からないのだ。そして何より、芹沢がいる。今は傍観を決め込んでいるが、最後に…

  • 鬼の章(75)

    「そのまま走ってください」 毛内が声を上げる。加納と篠原、内海と阿部はそれぞれに走り出した。毛内一人がその場に踏み止まり、後を追いかけた男達を牽制する。 刀を手にしたまま、両手を広げるようにして構える毛内に、三人の男達が間合いを詰めた。逃げた仲間が十分に離れたところで、毛内も逃げ出す筈だ。その隙を狙って斬りつけるつもりだった。 しかし、逃げた仲間達の足音が完全に消えても尚、毛内が構えを崩すことは…

  • 鬼の章(74)

    「服部さん」 そこに立っていたのは、服部武雄だった。衛士達から歓喜の声が上がる。 「皆、無事か?」 言いながら、服部は皆の様子を把握していた。息は乱れているし、ほぼ全員が少なくない手傷を負っている。しかし、致命傷となるような傷は誰にも見当たらなかった。 「間に合って良かった」 服部はそう言うと、取り囲む天狗党の男達に対して構え直した。 「毛内さん、私が時間をかせぎます。皆で包囲を破ってください」…

  • 鬼の章(73)

    幾つかの気勢と共に、男達が一斉に衛士に迫った。 衛士達も必死で抗うが、疲労の蓄積は顕著だった。 篠原が肩先を斬られ一歩退いた。横にいた加納が庇う間に刀を左手に持ち直すが、動きは大きく鈍ってしまう。 別の場所では阿部が捌きを損ない、槍の刺突を右足に受けてしまった。こちらは内海が助けに入るが、その内海も息が上がりつつあった。 敵の数は、未だに三十人は下らない。衛士達の中に、深い闇が広がり始めていた。…

  • 鬼の章(72)

    芹沢の言葉の意味するところをすぐに理解出来る者はいなかった。 「我々の、終焉?」 「一体、何の話だ?」 篠原、次いで阿部が声を上げた。 「歴史というものは実に興味深いものだな。今日という日も、お主達がここで仕掛けて来たことも、全ては逃れ得ぬ運命ということなのだろう。 悲劇に向かう新撰組の運命を変える為に、儂は早い段階で組を去った。それで大きな流れが変えられたと考えていた。しかし、儂はあまかった…

  • 鬼の章(71)

    最も、彼らの抵抗も時間の問題だと思われた。致命傷にこそ至っていないが、全員が少なくない手傷を負い始めている。 死闘を終わらせるための一押しをするために、芹沢は一歩進み出た。 「流石に、実力者揃いの新撰組の中でも名の知れた者達であるな。正直、ここまでとは思っていなかった。天晴れである」 芹沢の声を合図に、御陵衛士を取り囲む男達が動きを止めた。 「それだけに惜しい。今からでも考えを改めて貰えるなら、…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、服部武雄さんをフォローしませんか?

ハンドル名
服部武雄さん
ブログタイトル
幕末血戦録
フォロー
幕末血戦録

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用