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幕末血戦録 http://thshinsengumi.seesaa.net/

若者達が異なる信念の元に命を賭した時代、幕末。新撰組と御陵衛士を中心に、人々の生き様を書き記します。

服部武雄
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2013/12/07

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  • 鬼の章(85)

    「伊東殿、念のために御意向をお聞きしよう。先程の言の通り、御陵衛士の分離派共を粛清するために参られたと思って宜しいのか?それに土方。新撰組としてはどの様な意向でここに集まっておるのか?事と次第によっては、お主らだけではない。会津も禁裏に敵対した逆賊となるのだ。心して答えるが良い」 「もちろん、京や禁裏に仇なす賊を討つために参りました」 伊東の言葉にも半信半疑ながら、芹沢は敢えて笑みを浮かべて見せ…

  • 鬼の章(84)

    一体何者なのか。そんな芹沢の疑問に答えるように、一人の男が進み出た。 「貴様」 歯噛みしながら血走った両眼で芹沢が睨み付けた相手。それは伊東甲子太郎だった。 時を同じくして、天狗党の包囲の一角でも異変が起きていた。 毛内は天狗党の男達に再び包囲され、今にも力尽きようとしていた。その毛内の眼前で、数人の男達が一斉に血煙りと共に沈み込んだのだ。その後に立っていたのは、新撰組の永倉新八、原田左之助…

  • 鬼の章(83)

    時間を掛ければ被害は拡大する。 だが、芹沢は強く、異刻人である芹沢の能力は常人を越えているという。 そんな男に、自分が勝てるのだろうか。 この場に駆け付ける前から、服部の心中にはそんな幾つもの思考が交錯し、迷いとなっていた。そして服部の太刀を鈍くしていたのだ。 斬られた藤堂を見た時、そんな一切の思考と感情が吹き飛んでいた。 藤堂は死なせない。毛内も死なせない。その思いだけが、服部を突き動かしてい…

  • 鬼の章(82)

    芹沢が感じ取ったのは、それまでとは明らかに異なる気配だった。 次の瞬間、服部は猛烈な勢いで芹沢に斬りつけた。芹沢がその太刀を止められたのは、なかば運だった。反射的な反応で受け止めたものの、今までとは別人のような力で押され、その圧から逃れるために芹沢は大きく飛び退かざるを得なかった。 「仲間は死なせん」 目にも止まらない、というのは正にこの事だった。立て続けに繰り出す服部の斬擊を、芹沢は辛うじて…

  • 鬼の章(81)

    芹沢がその気であったなら、服部の首は飛んでいた筈だった。今もなお、芹沢の気分一つで服部の首はたちまち寸断されていただろう。服部が退こうとしても、何らかの抵抗を示そうとしても、その前に芹沢の刀が服部の首を切り裂いている筈だ。 服部にとっては万事休したその状況で、二人の間に飛び込んだのは、藤堂だった。 気勢と共に繰り出された刺突を、芹沢は半歩下がってかわした。不意打ちであっても全く危なげなどない。 …

  • 鬼の章(80)

    刀を正眼に構える服部に対して、芹沢は腕を組んだままだった。にもかかわらず、服部は巨大な刀の切っ先を喉元に突き付けられている感覚を覚えていた。 背筋を冷たいものが走る。だが、そんな緊迫感さえも今は心地好いと感じていた。 芹沢が腰の刀の柄に手を掛けた。そのまま流れるような動作で刀を抜く。同時に、服部が飛び出していた。 藤堂には、服部の姿が一瞬霞んだようにも見えていた。それ程の早さだった。にも関わらず…

  • 鬼の章(79)

    「これはしてやられたの」 芹沢の様子が変わった事に、その場の全員が気付いていた。そして天狗党の男達は勿論、腹心の仲間である平山、平間、野口でさえも、芹沢の様子に恐怖を感じていた。 藤堂もまた、芹沢の殺気が大きく膨らむのを感じ取っていた。剣客としての芹沢の底力は尋常ではない。新撰組の同志として活動した時期は短かったが、仲間であればこれ程に頼もしい存在はない。どの様な窮地であろうと、芹沢一人がいれば…

  • 鬼の章(78)

    その芹沢から見て、服部の言葉には嘘も偽りもなかった。それどころか、以前は感じた刻を越えた者が持つ気配が薄くなっているように感じる程だ。 その一方、刻という言葉を聞いて、反応した者がいた。藤堂平助である。 藤堂自身は、半信半疑で聞き流していた話だった。それもあり、今の今まで思い出す事もなかったのだ。 新撰組にもいたのだ。 刻を越えた者。異なる刻からやって来たという者が、新撰組にも実在したのだ。 …

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