鬼の章(89)
やはり先日の戦いで、無謀ではあっても決着をつけるべきだったか。だが、それでは藤堂の手当てが手遅れになった可能性がある。 服部は一人、答えの出ない自問自答を繰り返していた。 どれくらいの時間が経っていただろうか。音もなく襖が開き、毛内が顔を覗かせた。 「服部さん、少し宜しいでしょうか?」 服部は一度、藤堂の顔に視線を戻した。先日の戦闘後、藤堂は油小路の小さな寺の境内で応急手当てを受けた。その際の止…
2021/08/28 20:48
2021年8月 (1件〜100件)
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