鬼の章(95)
絞り出すように言った答えに、服部は蜂の苦しい心中を察した。辛いことを聞いてしまったようだ。 「すまぬ。恩に着る」 服部と蜂を乗せた馬は、五条通りを東に向かって走っていた。 鴨川が見えて来る辺りで、雨が降り始めた。そして間もなく、大橋の中央に立ちはだかる馬と、その上の芹沢の姿を視界に捉えた。 服部は蜂に馬を止めるように伝えると、馬から降りて、そこからはゆっくりと歩いて芹沢との間合いを詰めた。 間近…
2021/10/26 17:39
2021年10月 (1件〜100件)
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