chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
気ままな読書ノート https://gwbooks.hatenablog.com/

日本の小説を中心に読んだ本の感想など。時々IT関連本や本の自炊の話題も。

本ブログ / おすすめ本

本ブログ / 読書日記

※ランキングに参加していません

gushwell
フォロー
住所
宇都宮市
出身
栃木市
ブログ村参加

2007/05/12

arrow_drop_down
  • きのうの影踏み - 辻村深月

    辻村深月が書く怪談集。 といっても恐怖で震えてしまうというよりは、背中がすこしゾクってなる感じ。幾つかの話は、これってエッセイ?と思うような語り口で、本当にあった出来事なのかと不思議な気分になりました。 「十円参り」と「噂地図」は誰もが持っているであろう小さな心の闇が描かれていて、怖いと思いました。 最後の「七つのカップ」は哀しく、切ない内容だったけど、とても良い内容でした。 きのうの影踏み (幽BOOKS) 作者: 辻村深月 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/09/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る

  • 朝が来る - 辻村深月

    普通の人がほとんど知らない日本社会が抱える問題について、少女の視点から描いた社会派小説。 特別養子縁組を扱ったとても重い内容でしたが読んでよかったと思います。 幼いながらも妊娠出産し、結局子供を手放さなくてはならなかったひかり、子供が授からず、ひかりの子供を養子縁組で育てる養父母。その両方の視点から物語が描かれています。ひかりはどこまで転がり落ちてしまうのだろうかと、とても配しながら読み進めましたが、手を差し伸べてくれる人がいて、最後はすこしホッとできました。彼女とその子供には、これからどんな人生が待っているのかな。余韻が残る終わり方でした。 朝が来る 作者: 辻村深月 出版社/メーカー: 文…

  • 君の膵臓をたべたい - 住野よる

    タイトルに興味を持ち読みました。人との交わりを避けて生きる少年、死を宣告されていながらも、その対極にあり人との交わりを大切にする少女。この二人を中心に、切なくもあり、爽やかな青春の1コマを描いた小説。ラストは思わぬ展開で胸が締め付けられました。期待以上の出来でした。 小説の良いところは僕のようなおやじでも、読んでいる間はこの二人と共に生きることができること。 「偶然じゃない。運命なんかでもない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択とが、私達を会わせたの。私達は、自分の意思で出会ったんだよ」彼女の言葉が心に残ります。 (しなかった選択も含め)小さな選択の積み重ねの先に今の自分があり、…

  • サラバ! 下 - 西加奈子

    上巻を読んでから、かなり時間が経ってしまいましたが、下巻読み終わりました。 歩が転落していくのは、家族との関わり合いを避け、すべてを人のせいにしていたツケが回って来たということなのかな。 姉が歩に言う「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」という言葉にいろいろ考えさせられる。(それが宗教であれなんであれ)信じるものを持たない人生は弱いということなのか。 起伏の少ないストーリーでありながら、読者の興味を離さないグイグイと引っ張る文章はさすがというしかない。 でも、歩が再生のきっかけをつかむラストはすこし消化不足気味。 サラバ! 下 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売…

  • 人工知能は人間を超えるか - 松尾豊

    人工知能についてわかりやすく説明してくれているので、今のAIで何が出来て何がで出来ないかがよくわかります。 でも、具体的なAIの仕組みの話になると、第2次AIブームまでは具体的なイメージを掴めるのですが、機械学習、ディープラーニングになると、具体的な仕組みのイメージがなかなかわきません。まあ僕の頭じゃ無理ですね。 将来、そこかしこにAIが使われる時代が来るのかと思うととても興味深いです。 とにかく日本のAI研究者に頑張ってほしいと思います。 人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) 作者: 松尾豊 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版 発売日: 2015/03/10 メディ…

  • 2015年に読んだ本のまとめ

    2015年に読んだ本は48冊。ちょうど1ヶ月に4冊、僕としてはかなりいいペースで読むことができました。 心に残ったベスト5は以下の5作品。 ナオミとカナコ - 奥田英朗 邂逅の森 - 熊谷達也 槐(エンジュ) - 月村了衛 模倣犯 - 宮部みゆき 鉄の骨 - 池井戸潤 『ナオミとカナコ』は、来年TVドラマ化されるようなので、ぜひ見たいと思います。 以下の作品も捨て難い。 人質の朗読会 - 小川洋子 魔法飛行 - 加納朋子 長いお別れ - 中島京子 本屋大賞になった『鹿の王』も読みましたが、僕にとっては、全然大賞ではありませんでした。 なお、2016年はすこし読むペースを落とそうかと考えています…

  • 邂逅の森 - 熊谷達也

    マタギの狩猟の仕方を克明に描いた職業小説かと思って読み始めましたが、すこし違っていましたね。マタギの世界に身を置く男・松橋富治の壮絶な生き様を描いた物語でした。厳しい自然と共に生きてきた日本人の魂や生きる力を描いているといったら良いのでしょうか。なんて言ったらいいかわからないけど、とにかく深い感動を覚えました。 最後のコブグマとの死闘は本当に圧巻でした。妻イクとの幸せな暮らしを願わずにはいられません。直木賞、山本周五郎賞をダブル受賞したこの作品はやはりすごかった。傑作です。 ちなみに「邂逅(かいこう)」とは、「思いがけなく会うこと、めぐりあい」という意味だそうです。 邂逅の森 (文春文庫) 作…

  • 過ぎ去りし王国の城 - 宮部みゆき

    アバターを使って絵の中に入り込むことができる、そんな不思議な絵を偶然手にいれた中学3年生の「尾垣真」。同級生の「城田珠美」との二人でどんな楽しい冒険を始めるのだろうかと思って読み始めたら、話は想像とは違う方向に。 ファンタジーとはいえ、扱っているのは、ネグレクトや校内いじめなど現代の日本が抱える社会問題。じつに宮部みゆきらしい作品で、グイグイと物語の中に引き込まれました。 結局「城田珠美」が抱える問題は解決しませんでしたが、一つのことをやり遂げ、彼女自身の心に変化が見て取れたラストよかったです。彼女が抱える問題は、誰かが手を差し伸べてくれたとしても、最終的には彼女自身が解決していくしかないので…

  • 乗取り - 城山三郎

    自炊してiPhoneで再読。 昭和20年代の高度成長期に実際に起こった百貨店乗っ取り事件をモデルにして創作された小説です。 旧態依然とした百貨店経営者側と株を買い占め乗っ取りを図る実業家青井との戦いを描いています。 地の利を生かしていないと憤慨し百貨店経営に執念を燃やす青井。彼の手段を選ばないやり方には共感はできませんが、それでも、彼の既成概念を打ち破ろうとするバイタリティと、敵に敢然と立ち向かう一途な姿に最後は思わず応援したくなります。 青井のキャラクター造形は、古臭いと感じますが、それを割り引いても十分に面白い作品だと思います。 乗取り 作者: 城山三郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日…

  • 孤剣―用心棒日月抄 - 藤沢周平

    用心棒日月抄シリーズ2作目。今回も面白かったです。 1作目は忠臣蔵と絡ませて話が進む嗜好を凝らした内容だったけど、今度の作品は又八郎と佐知との静かな恋も絡ませ、娯楽性をより前面に押し出した感じです。 藩の重要な密命を受けていながら、明日の飯のために用心棒暮らしを強いられるという設定が実に良いです。緩急織り交ぜた話の展開が又八郎の魅力を引き出しています。 相模屋吉蔵や用心棒仲間の細谷らもいい味出してます。 大富静馬を討ち果たし、藩の危機を救った又八郎は、これで藩に戻れるのかな? 孤剣―用心棒日月抄― (新潮文庫) 作者: 藤沢周平 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2011/09/02 メデ…

  • 鹿の王 (下) - 上橋菜穂子

    下巻も読むのに苦労しました。漢字にへんなカタカナ読みを振ってあるのは随分となれましたが、多くの民族と多くの登場人物、それぞれが複雑に絡まっているので、誰がどういった立ち位置なのかが把握し難かったです。たぶん作者はそういった複雑に絡み合った世界で懸命に生きようとする人々を描きたかったのだろうと思いますが、誰が善で誰が悪かという単純な世界ではないため、自分がどの視点でこの物語を読んだらいいかよくわからなかったのもその理由かもしれません。 それでも最後は、鹿の王となった主人公ヴァンの姿に心を動かされました。 一番読み応えがあったのは、ホッサル、ヴァン、ミラル、サエの4人で、なぜ人は病むのかについて語…

  • 鹿の王 (上) - 上橋菜穂子

    2015年本屋大賞第一位の作品。 岩塩鉱で奴隷として囚われていたヴァンが、そこから逃げ出す物語の最初のシーンは圧巻。 しかし、登場人物が多く、主人公ヴァン以外のキャラの特徴がつかめなく、読むの苦労しました。漢字に変なカタカナ読みを振ってあるのも気になりました。単語2、3個程度ならば良いが、あまりも多すぎます。ファンタジーを読むことがほとんどないのですが、ファンタジーってそういうものなのでしょうか? ストーリー自体は面白いのにちょっと残念です。なので最初の出だしは良かったけど、期待したほどは引き込まれませんでした。 もう一人の主人公ホッサルが下巻でヴァンとどのように関わっていくのか。後半に期待し…

  • 小さいおうち - 中島京子

    昭和初期から終戦までを東京で女中として過ごした女性タキが、昔を思い出しながら書いた手記が主要な部分を占めるこの小説は、中島さんがまるで当時を生きて来たみたいに、当時の東京の姿を再現してました。当時の人々の生き生きとした姿が目に浮かぶようです。この物語は、僕の大きな2つの誤解を解いてくれました。ひとつは戦前の都会の人々の暮らし向き、もうひとつは女中という職業。 タキが仕える家の若奥様時子の美しさ、可愛らしさに、板倉と同様きっと僕も恋してしまうんだろうなと思えるほどでした。 そして最終章、主観的に語られていたある出来事が、客観的な事実となって顕になった時に、タキの甥の息子(結婚しなかったタキにとっ…

  • ナオミとカナコ - 奥田英朗

    「やがて読者も二人の“共犯者”になる」と本の紹介にある通り、ふたりの主人公ナオミとカナコに感情移入しすぎて、僕も共犯者の気分になりました。 ナオミの章では、DV夫が殺されても仕方がないとは思うものの、そんな完全犯罪なんて出来るのだろうかと心配でしたが、カナコの章でそれが現実になり、自分が追い詰められいくようで、胃が痛くなってしまいました。 最後はほっと胸を撫で下ろせましたが、二人はこれからどうやって生きていくのだろうかと心配です。 ページをめくるのが辛い、でも先を知りたい、そんな感情を持って本を読んだのはほんとうに久しぶりです。 僕の中では、今年のベストワンかも。 ナオミとカナコ 作者: 奥田…

  • 黄金伝説 - 半村良

    自炊してiPhoneで再読。 半村良らしい伝奇SF小説。昭和47年の直木賞候補作品。面白い。 キリストの墓伝説、UFO、新人類、遮光器土偶などいろんな要素盛りだくさんで、読者を飽きさせない。 結末にむけて多少強引な感じもしたけど、奇想天外で途方もないホラ話が本当に有り得るかも?と思えてしまう手腕はさすが。 そのホラ話の中で一番気になったのは、この小説の舞台となる戸来地方の地名がどこまでが本当の名前なのかということ。 井出山:イーデー山 鉄砂利川:テッサリア 泥根:ドードーネー(ドドネ) 苫呂山:トマーロス(トマロス) 戸来:ヘルロイ(へロイ) 榛名山:パルナッソス 全部本当の地名なのかな。そう…

  • 姫神 - 安部龍太郎

    amazonの紹介には「倭国、新羅、高句麗、百済の四カ国の平和を願う 聖徳太子の遣隋使プロジェクトが九州・宗像から動き出す!」とあり、壮大なスケールで描かれる古代日本の物語と期待して読みはじめましたが、うーんイマイチ引き込まれませんでした。 主人公を女性にしたことで新しい視点でこの時代を描きたかったのかもしれませんが、成功したとは言えないような... それとストーリーが中途半端な感じがします。 主人公伽那の最後にも不満が残ります。なぜ死ななければならなかったのか、その必然性が全くわかりませんでした。 姫神 作者: 安部龍太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/08/06 メディ…

  • 森は知っている - 吉田修一

    「太陽は動かない」は未読。「太陽は動かない」がエピソードIIだとすると、本作は、エピソードI。「太陽は動かない」の存在を知らなかったので、物語がどう展開するのか全く読めずにハラハラドキドキで、引き込まれました。 柳との友情、詩織との恋を絡ませて、産業スパイへと育てられていく高校生・鷹野の成長が、産業スパイとして生きて行く覚悟を決めるまでのエピソードを描いたエンターテイメント。 鷹野の生い立ちは、数年前の監禁されたまま亡くなってしまった悲惨な幼児虐待事件を思い出しました。 「ここよりも、もっといい場所あるよな」という鷹野の言葉が心に残ります。 著者の「死ぬな、生きろ」という強いメッセージを感じる…

  • 鉄の骨 - 池井戸潤

    建設業界の談合を扱った社会派小説。 数年前に小池徹平くんが主演したNHKのTVドラマを見て、いつか原作も読んでみたいと思っていた作品です。 骨太のTVドラマも良かったですが、原作も同様にぐいぐいと話の中に引き込まれました。 企業が生き残るための談合は許されるのか? 談合って本当に悪いことなのか? 答えを出すのが難しい問題に直面した時、若者はどう行動するのか? 会社が生き残るための談合に加担せざるをえない立場になった入社4年目の平太が懸命に生きる姿がとてもリアルに描かれていて印象的でした。 結局は、常務・尾形の使いっ走りでしかなかった平太でしたが、その中で彼が成長していく姿にエールを送り続けてい…

  • 珍訳聖書 - 井上ひさし

    自炊してiPhoneで再読。 花の浅草ドッグ座の犬芝居、人気ストリッパーのマリアが狂犬病を発症、弟の刑事犬・犬塚と医師犬・犬丸が感染経路を探るべく捜査を開始した...がしかし... 意外などんでん返しの繰り返しで読者を翻弄するエロと笑いのナンセンス戯曲です。 途中、当時の政治を揶揄するセリフとかがあるのですが、政治っていまも昔も全然変わってないんだなーとつくづく思います。 聖書の中身を知らない僕には、どこが「珍訳聖書」なのかは分かりませんでしたが(キリストと12人の使徒のパロディというのだけが分かった)、実に意外性に富んだ面白い話でした。 なぜ犬の劇なのかは、巻末の解説を読んで納得した次第。 …

  • 人質の朗読会 - 小川洋子

    地球の裏側で反政府ゲリラによって拉致された8名の日本人が、いつ死を迎えるかわからない状況で、人生のなかの印象的な出来事を語りだします。極限状態にいる彼らが淡々と語る物語に心打たれます。実に小川洋子さんらしい作品だと思いました。 心に残ったのは「やまびこビスケット」「B談話室」「コンソメスープ名人」。それと、この拉致現場を盗聴していた政府軍兵士が語る、もうひとつの物語「ハキリアリ」も。 僕には彼らのように語る物語があるのかな?そんな疑問にとらわれました。ささいな出来事を人生のなかの大切な思い出にできるかどうかは自分自身の問題なのだなーとしみじみと思います。 静かな感動を運んでくる慈しみに満ちたこ…

  • 夢からの脱走 - 小松左京

    自炊してiPhoneで再読。 12編の短編が収められています。戦争を題材にした「召集令状」と「夢からの脱走」は、村上龍の「五分後の世界」と通じるものがあり恐ろしい話でした。「三本腕の男」は世の中を見通す力に脱帽。そして、タイムパラドックスを扱った「愚行の環」、人工知能に育てられる青年の話「おやじ」、場嵐(フィールド・ストーム)で別世界に来てしまった男女が自分の世界に戻ろうとする「穴」など、どれも小松左京の凄さが伝わって来きます。今の世にも十分に通じる話ばかりでした。 ここ数年、昔読んだ本を再読する機会が多いのすが、読む本読む本、全く内容を覚えていません。ほんと自分の記憶力のなさに唖然とします(…

  • レオナルドの扉 - 真保裕一

    レオナルド・ダ・ヴィンチが遺した秘密のノートを巡り、イタリアの小村に住む若き時計職人ジャンが活躍する夢と冒険の物語。 作者があとがきで書いているように、まるでアニメの原作を読んでいるようでした。敵役のビクトールバレルが主人公ジャンの行く先々に現れるというご都合主義もアニメの原作だと思えば許せるか。 実際アニメになったら面白いと思うし、十分に楽しめたが、もう少し大人の話にしてほしかったというのが本音。 この小説の対象年齢は中学生くらいでしょうか。 レオナルドの扉 作者: 真保裕一 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店 発売日: 2015/02/27 メディア: 単行本 この商品を含むブ…

  • 夢魔の標的 - 星新一

    星新一が書いた初の長編SFホラー。星新一の得意とするショートショートと同様とても読みやすい文章でした。 仕事の相棒である腹話術の人形・クルコが自分の意思とは関係なく突然勝手にしゃべり出す。自分の声なのに自分の意思ではないという不思議な現象に悩まされる主人公。なぜクルコが暴走を始めたのか、なんとかその理由を探り解決しようとするが、症状は重くなっていくばかり... 正体がなかなか分からないクルコが不気味でした。 これからどうなっていくんだろう?という興味が最後まで途切れずに、それなりに楽しめましたが、ショートショートのようなキレは感じられませんでした。 夢魔の標的 (新潮文庫 ほ 4-13) 作者…

  • 長いお別れ - 中島京子

    アルツハイマー型認知症を発症した元中学校長・東昇平とその家族の10年の物語。 こういった環境に置かれたことはない僕には想像をはるかに超えた苦労の連続。そんな中、昇平を介護する妻曜子の前向きでくじけない姿勢は本当に素晴らしい。自分が同じ立場なら前向きに過ごせるのだろうかと考えてしまいます。 ラストの孫と学校の先生とのエピソードがとても秀逸。最後はしみじみと穏やかな気持ちになりました。 重いテーマですがユーモアを交えた語り口で認知症と向き合う家族の日常を描き出したこの作品、読んでよかったと思います。 長いお別れ 作者: 中島京子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/05/27 メディ…

  • 魔法飛行 - 加納朋子

    『ななつのこ』の続編。 短大生駒子の日常に起きる不思議を綴った連作短編ミステリー。 駒子の周りで起こる謎を綴った物語に、恋人の瀬尾さんが手紙による返信で謎解きをするという形式。 なんとも言えないみずみずしい感性に今回もやられました。切ないけれど暖かい。とてもいい読後感。 最初の話「秋、りん・りん・りん」で登場した茜さんの謎が最後に解けてスッキリです。そして瀬尾さんの推理力には脱帽です。ああ、駒子に会いたい。 駒子シリーズ第3作の『スペース』もいつか読みたいと思います。 魔法飛行 (創元推理文庫) 作者: 加納朋子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2000/02 メディア: 文庫 クリ…

  • 用心棒日月抄 - 藤沢周平

    約2年ぶりに読む藤沢作品。面白い! 訳あって脱藩し江戸で用心棒をして生活する青江又三郎の活躍を描いた連作時代小説。ところどころにユーモアを交えた語り口が実に読みやすい作品でした。 忠臣蔵と絡めることで徐々に緊張が高まっていくのも素晴らしいと思います。江戸に暮らす人々の視点から忠臣蔵を描いているのが新鮮でした。 脇役の吉蔵、細谷、おりんもいい味出してます。 最後は服藩して東北の小藩へ戻った又三郎ですが、続編では吉蔵、細谷らとの再会もあるのでしょう。是非読みたいですね。 用心棒日月抄 (新潮文庫) 作者: 藤沢周平 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1981/03/27 メディア: 文庫 購入…

  • 闇のよぶ声 - 遠藤周作

    自炊してiPhoneで再読。 遠藤周作にしては珍しいミステリー小説です。ある若い女性が神経科医の会沢を訪ねて来るところから物語は始まります。三人のいとこが謎の失踪し次は自分なのかと不安にさいなまれる婚約者の精神状態を心配して、彼女は病院を訪れるのですが、その後思わぬ展開が待っています。 ミステリー小説とは言え「ふかい海の底」のような心の闇を描いたこの作品は、他の遠藤周作の作品と同様いろんなことを考えさせられます。 戦争中に行われた悲惨な出来事の復讐のために行われる恐ろしい犯罪が明るみになった時には、なんとも言えぬ暗く哀しい気持ちになりますが、とても良い作品だと思います。 「人間の心は、まるで深…

  • 槐(エンジュ) - 月村了衛

    月村了衛さんの作品初読みです。 これほど夢中になって本を読んだのは、本当に久しぶりです。実に面白い作品でした。 夏休み恒例のキャンプに出かけた中学生7名が、武装した半グレ集団の抗争に巻き込まれてしまいます。最初の50ページは、なんのことはない普通の中学生のお話ですが、序盤を過ぎると一気に緊迫感がMAXになり、そのテンションのまま最終ページまで怒涛の展開です。残虐なシーンもありますが、そんなことはどうでも良いと思えるくらいのめり込んでしまいました。 単に面白いだけではなく、胸にぐっとくる感動が伴ったこの作品は、間違いなく第1級のエンターテイメント作品ですね。もし続編が出るのならば、ぜひ読みたいで…

  • 秋月記 - 葉室麟

    葉室麟さん、初読み 九州の小藩秋月藩の財政再建に奔走した「間小四郎」の半生を描いたこの作品、期待以上でした。 家老宮崎織部の専横を正すために、志を同じくする仲間たちと立ち上がり、いわゆる「織部崩れ」を為すまでと、その後の小四郎の苦悩の対比が実に良かった。 自分が正しいと信じた道を他人の目を気にせずに、ひたすらまっすぐに貫いていく主人公間小四郎の姿に心うたれました。 伊達騒動を題材にした山本周五郎氏の「樅の綺は残った」を思い起こしました。 他の作品も読んでみようと思います。でも積読本がまだまだあるからなー。 秋月記 (角川文庫) 作者: 葉室麟 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッ…

  • 男たちの経営 - 城山三郎

    自炊して iPhone で再読。内容を完全に忘れていたので、初めて読むような新鮮さがありました。 花王の創業から始まり、同族経営から脱却し近代化するまでの実名企業小説。実名ということで、小説としては制約が多いためか、事実の羅列っぽい感じが否めませんが、嘘のないストーリーは力があります。 はじめは創業者が苦労しながら経営を軌道にのせる話かと思ったら、すぐに息子の代に話に移ってしまいます。そうか、この2代目社長が大胆な改革をして活躍する話なんだ、と思ったて読んでいたら、そうではありませんでした。分社化された「日本有機株式会社」が、親会社を吸収し、花王の基礎を築くという話でした。 やはり企業は経営者…

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、gushwellさんをフォローしませんか?

ハンドル名
gushwellさん
ブログタイトル
気ままな読書ノート
フォロー
気ままな読書ノート

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用