星新一が書いた初の長編SFホラー。星新一の得意とするショートショートと同様とても読みやすい文章でした。 仕事の相棒である腹話術の人形・クルコが自分の意思とは関係なく突然勝手にしゃべり出す。自分の声なのに自分の意思ではないという不思議な現象に悩まされる主人公。なぜクルコが暴走を始めたのか、なんとかその理由を探り解決しようとするが、症状は重くなっていくばかり... 正体がなかなか分からないクルコが不気味でした。 これからどうなっていくんだろう?という興味が最後まで途切れずに、それなりに楽しめましたが、ショートショートのようなキレは感じられませんでした。 夢魔の標的 (新潮文庫 ほ 4-13) 作者…
アルツハイマー型認知症を発症した元中学校長・東昇平とその家族の10年の物語。 こういった環境に置かれたことはない僕には想像をはるかに超えた苦労の連続。そんな中、昇平を介護する妻曜子の前向きでくじけない姿勢は本当に素晴らしい。自分が同じ立場なら前向きに過ごせるのだろうかと考えてしまいます。 ラストの孫と学校の先生とのエピソードがとても秀逸。最後はしみじみと穏やかな気持ちになりました。 重いテーマですがユーモアを交えた語り口で認知症と向き合う家族の日常を描き出したこの作品、読んでよかったと思います。 長いお別れ 作者: 中島京子 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/05/27 メディ…
『ななつのこ』の続編。 短大生駒子の日常に起きる不思議を綴った連作短編ミステリー。 駒子の周りで起こる謎を綴った物語に、恋人の瀬尾さんが手紙による返信で謎解きをするという形式。 なんとも言えないみずみずしい感性に今回もやられました。切ないけれど暖かい。とてもいい読後感。 最初の話「秋、りん・りん・りん」で登場した茜さんの謎が最後に解けてスッキリです。そして瀬尾さんの推理力には脱帽です。ああ、駒子に会いたい。 駒子シリーズ第3作の『スペース』もいつか読みたいと思います。 魔法飛行 (創元推理文庫) 作者: 加納朋子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2000/02 メディア: 文庫 クリ…
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