マタギの狩猟の仕方を克明に描いた職業小説かと思って読み始めましたが、すこし違っていましたね。マタギの世界に身を置く男・松橋富治の壮絶な生き様を描いた物語でした。厳しい自然と共に生きてきた日本人の魂や生きる力を描いているといったら良いのでしょうか。なんて言ったらいいかわからないけど、とにかく深い感動を覚えました。 最後のコブグマとの死闘は本当に圧巻でした。妻イクとの幸せな暮らしを願わずにはいられません。直木賞、山本周五郎賞をダブル受賞したこの作品はやはりすごかった。傑作です。 ちなみに「邂逅(かいこう)」とは、「思いがけなく会うこと、めぐりあい」という意味だそうです。 邂逅の森 (文春文庫) 作…
アバターを使って絵の中に入り込むことができる、そんな不思議な絵を偶然手にいれた中学3年生の「尾垣真」。同級生の「城田珠美」との二人でどんな楽しい冒険を始めるのだろうかと思って読み始めたら、話は想像とは違う方向に。 ファンタジーとはいえ、扱っているのは、ネグレクトや校内いじめなど現代の日本が抱える社会問題。じつに宮部みゆきらしい作品で、グイグイと物語の中に引き込まれました。 結局「城田珠美」が抱える問題は解決しませんでしたが、一つのことをやり遂げ、彼女自身の心に変化が見て取れたラストよかったです。彼女が抱える問題は、誰かが手を差し伸べてくれたとしても、最終的には彼女自身が解決していくしかないので…
自炊してiPhoneで再読。 昭和20年代の高度成長期に実際に起こった百貨店乗っ取り事件をモデルにして創作された小説です。 旧態依然とした百貨店経営者側と株を買い占め乗っ取りを図る実業家青井との戦いを描いています。 地の利を生かしていないと憤慨し百貨店経営に執念を燃やす青井。彼の手段を選ばないやり方には共感はできませんが、それでも、彼の既成概念を打ち破ろうとするバイタリティと、敵に敢然と立ち向かう一途な姿に最後は思わず応援したくなります。 青井のキャラクター造形は、古臭いと感じますが、それを割り引いても十分に面白い作品だと思います。 乗取り 作者: 城山三郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日…
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