「やがて読者も二人の“共犯者”になる」と本の紹介にある通り、ふたりの主人公ナオミとカナコに感情移入しすぎて、僕も共犯者の気分になりました。 ナオミの章では、DV夫が殺されても仕方がないとは思うものの、そんな完全犯罪なんて出来るのだろうかと心配でしたが、カナコの章でそれが現実になり、自分が追い詰められいくようで、胃が痛くなってしまいました。 最後はほっと胸を撫で下ろせましたが、二人はこれからどうやって生きていくのだろうかと心配です。 ページをめくるのが辛い、でも先を知りたい、そんな感情を持って本を読んだのはほんとうに久しぶりです。 僕の中では、今年のベストワンかも。 ナオミとカナコ 作者: 奥田…
自炊してiPhoneで再読。 半村良らしい伝奇SF小説。昭和47年の直木賞候補作品。面白い。 キリストの墓伝説、UFO、新人類、遮光器土偶などいろんな要素盛りだくさんで、読者を飽きさせない。 結末にむけて多少強引な感じもしたけど、奇想天外で途方もないホラ話が本当に有り得るかも?と思えてしまう手腕はさすが。 そのホラ話の中で一番気になったのは、この小説の舞台となる戸来地方の地名がどこまでが本当の名前なのかということ。 井出山:イーデー山 鉄砂利川:テッサリア 泥根:ドードーネー(ドドネ) 苫呂山:トマーロス(トマロス) 戸来:ヘルロイ(へロイ) 榛名山:パルナッソス 全部本当の地名なのかな。そう…
amazonの紹介には「倭国、新羅、高句麗、百済の四カ国の平和を願う 聖徳太子の遣隋使プロジェクトが九州・宗像から動き出す!」とあり、壮大なスケールで描かれる古代日本の物語と期待して読みはじめましたが、うーんイマイチ引き込まれませんでした。 主人公を女性にしたことで新しい視点でこの時代を描きたかったのかもしれませんが、成功したとは言えないような... それとストーリーが中途半端な感じがします。 主人公伽那の最後にも不満が残ります。なぜ死ななければならなかったのか、その必然性が全くわかりませんでした。 姫神 作者: 安部龍太郎 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/08/06 メディ…
「太陽は動かない」は未読。「太陽は動かない」がエピソードIIだとすると、本作は、エピソードI。「太陽は動かない」の存在を知らなかったので、物語がどう展開するのか全く読めずにハラハラドキドキで、引き込まれました。 柳との友情、詩織との恋を絡ませて、産業スパイへと育てられていく高校生・鷹野の成長が、産業スパイとして生きて行く覚悟を決めるまでのエピソードを描いたエンターテイメント。 鷹野の生い立ちは、数年前の監禁されたまま亡くなってしまった悲惨な幼児虐待事件を思い出しました。 「ここよりも、もっといい場所あるよな」という鷹野の言葉が心に残ります。 著者の「死ぬな、生きろ」という強いメッセージを感じる…
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