‘有事の集権化’は正しいのか-第二次世界大戦の教訓

‘有事の集権化’は正しいのか-第二次世界大戦の教訓

コロナ禍を機に公衆衛生危機への対応も加わって、昨今、日本国政府は、非常事態条項の新設を含む憲法改正を視野に入れながら、有事に際しての首相への権限集中を目指しています。しかしながら、‘有事の集権化’については、第二次世界大戦を教訓とするならば、よりクールなアプローチが必要なように思えます。有事ともなりますと、戦争当事国は、たとえ民主主義国家であったとしても戦時体制への転換を余儀なくされるものです。特に近代以降、戦争の形態が総力戦へと変化しますと、国家は全国民並びに自国の持てる資源を全て戦争での勝利に向けて投入する必要に迫られるからです。戦中戦後を通して連合国諸国は、枢軸国諸国の国家体制を独裁として批判してきましたが、議会制民主主義の母国であるイギリスにあっても、戦時には首相を首班とする挙国一致内閣を成立させ...‘有事の集権化’は正しいのか-第二次世界大戦の教訓

2023/06/02 10:42