患者図鑑8 静と動
前にも書いたが、通院のサイクルが合うと同じ患者に毎回出会うことになる。 対象的な患者さんがいた。両方とも男性で30〜40代に見えたが 待っている間の様子は真逆だった。 片方の男性は、必ず定位置に座り、ロダンの「考える人」のようなポーズを取って動かない。待ち時間が長時間にわたってもトイレに立つこともなく、微動だにしない姿は石像さながらだった。 毎回同じ場所で同じポーズを崩さないその患者さんはまるで待合室のオブジェだった。 もうひとりの方は、待合室を所狭しと止まることなく動き回る人だった。 座ったかと思ったら立つ。壁に貼ってあるポスターに近づいて行ったかと思えば、窓に移動し外を覗く。いきなり屈伸運…
2022/05/05 14:59