完全オリジナルの怪談のブログとなります。 怪談と名を打ってますが、不思議な話なども掲載しております。 なお、当ブログの掲載内容には著作権が発生しますので、無断での転載・引用・複製は禁止とさせていただきます。
怪談 ~瞼~ 目を閉じると瞼の裏に映る人影。常にではないが、それは現れる。そしてそれは笑いかける、俺に向けて。最初は気のせいかと思った。疲れているだけだと。しかし、その影は日に日に濃くなり、笑みは嘲笑の色を帯び始めた。まるで、俺の心の奥底にある弱さを見透かしているかのように。ある夜、眠ろうと目を閉じた俺は、恐れつつもついにその人影に問いかけた。「お前は、一体何者なんだ」しばらくの沈黙が続いた後に、それはゆっくりと応えた。その声は、まるで壊れたオルゴールの音色のように、耳障りで不快だった。「私は、お前の心の影。お前が目を背けている、真実の姿だ」まさか反応があるとは思わず、俺は絶句し言葉を続けるこ…
怪談 ~日記~ 数年前、私は趣味のカメラを持って、廃墟となった古い洋館を訪れた。蔦が絡まり、窓ガラスは割れ、内部は荒れ放題。それでも、どこか惹かれるものがあり、夢中でシャッターを切っていた。その洋館の一室で、私は古い日記を見つけた。表紙は色褪せ、所々破れている。興味本位でページをめくると、そこには若い女性が書いたと思われる手記が綴られていた。内容は日常的なものだったが、次第に「何か」に怯えるような記述が増えていく。「昨夜も、あの視線を感じた。誰もいないはずなのに…」「誰もいないのに私を呼ぶ声が聞こえてくる...」「お願い、私を見つけないで…」日記の最後は、乱れた文字で「もう、逃げられない…」と…
怪談 ~自殺の理由~ 夜風が肌を刺す。コンクリートの冷たさが靴底から伝わり、男の焦燥感を増幅させた。百メートル。この高さならば、万が一を考えての躊躇など無用だろう。彼は柵のない屋上の縁に立ち、眼下の街を見下ろした。無数の光が瞬き、まるで遠い星のようだ。その光の一つ一つに、それぞれの生活がある。自分とは無縁の、輝かしい世界。その時、突然に風が強く吹きつけた。ぐらりと体が揺れる。咄嗟に手すりを探したが、当然そこには何もない。バランスを失った体は、重力に従い、無慈悲に落下を始めた。落ちていく。景色が猛烈な速さで迫ってくる。風圧が全身を叩きつけ、息が詰まる。その瞬間、男の脳裏に鮮烈な後悔の念が押し寄せ…
怪談 ~サバイバルゲーム~ かつての大戦の際には激戦地だったと言われている太平洋に浮かぶ小島、今では無人島となったその地でのサバイバルゲームは、陽太たちが今まで体験してきたいかなるゲームを超える最高のものになるはずだった。島に向かう船上で仲間たちみな興奮を隠しきれずにいた。 この日のサバイバルゲームはチーム戦ではなく個人戦で行われることになっていたため、島に上陸するとすぐに、仲間は森の中へと散っていった。 陽太も遅れまいと深い森に足を踏み入れた。しかしその瞬間から、楽しい時間は悪夢へと変貌した。木々のざわめきにかき消され、気づけばそこかしこに感じられていた仲間たちの気配はどこにも感じられなかっ…
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