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通りすがりの〇〇なホラーブログ https://kowai.tourisugari.jp/

完全オリジナルの怪談のブログとなります。 怪談と名を打ってますが、不思議な話なども掲載しております。 なお、当ブログの掲載内容には著作権が発生しますので、無断での転載・引用・複製は禁止とさせていただきます。

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2024/06/26

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  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十三 ~救急車~

    怪談 ~救急車〜 救急車の揺れと共に、男は意識を取り戻した。頭は鉛のように重く、全身は痺れたように動かない。耳に入ってくるのは、救急隊員の逼迫した声とけたたましいサイレンの音。「鹿島さん!鹿島さん!」救急隊員が必死に呼びかけている。しかし、男は返事をすることはおろか体を動かすことすらできなかった。まるで魂だけが抜け殻に閉じ込められているような感覚。(一体、何が起こっているんだ)男は混乱しながらも、必死に状況を把握しようとした。「鹿島さん、わかりますか」救急隊員が呼びかけている名前が、自分の名前ではないことに気づいた時、男は愕然とした。(鹿島?俺の名前は鹿島じゃない。まさか....)その時、脳裏…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十二 ~ペットボトル~

    怪談 ~ペットボトル〜 ある一人のサラリーマンの男が、初めて訪れる場所へと足早に向かっていた。空は曇天、昼間にも関わらず周囲は薄暗く、いつ天候が崩れてもおかしくない。目的地のビルがある場所はそう遠くないはずだが、いつまで経っても辿り着かない。どうやら道に迷ってしまったようだ。スマホで調べようにもバッテリーが切れているのか電源が入らない。朝にテレビで見た星座占いで運勢が最悪だったことを思い出して、今日はどうやらツイていないようだと男は一人ぼやいた。男はやむを得ず、自分の勘を頼りに歩き出した。しばらく歩いていくと、小さな公園が見えてくる。男は公園に入ると近くのベンチに腰を下ろし、一息つくことにした…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十一 〜後悔~

    怪談 ~後悔~ その家に静寂が訪れることはなかった。昼夜を問わず息子の耳に響く女の泣き声。姿は見えない、ただ確かにそこにいる気配と泣き声だけが息子の小さな体を悲しみに震え上がらせた。「またママが会いに来てくれている…」その声は、確かに記憶に残る母親のものだった。しかし母親は数年前に家を出ていった、嫁姑の軋轢に耐えかねて。そしてそのまま両親は離婚。親権は父親が持ち、息子は父親と祖父母と暮らしていた。「ママは、僕のことが嫌いなのかな…」息子は今までそう思っていた。だからこそママは僕を置いて出て行ったんだと。でもママは僕のことを見捨てたわけではなかった。幽霊となってまで僕に会いに来てくれる。「ママ……

  • 【通りすがりの怪談】怪其之四十 ~眼鏡~

    怪談 ~眼鏡 美咲は長い間この日が来るのをずっと待ち望んでいた。やっと私も幸せになれる。美咲は純白のウェディングドレスに身を包み、幸せいっぱいの笑顔でバージンロードを歩いた。祭壇の前には、新郎の健太郎が待っている。健太郎は優しく微笑み、美咲の手を取った。式は順調に進み、指輪交換の時が来た。健太郎は美咲の左手薬指に指輪をはめようとしたが、なぜか指輪が入らない。焦った健太郎は無理やり指輪を押し込もうとした。「あっ」その時、美咲の眼鏡がずり落ちた。美咲は眼鏡をかけ直し、健太郎の顔を見た。すると先ほどまで優しく微笑んでいた健太郎の顔が歪んでいる。目は充血し口は大きく裂け、まるで化け物のようだ。美咲は恐…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之三十九 ~空き家~

    怪談 ~空き家~ 今から30年ほど前の話。 キャンプ場に向かって走る車の中、助手席で地図を見ていた山本が、次の交差点を左に曲がった方がキャンプ場への近道だという。その近道は鬱蒼とした森の中へと続いているように見える。車を運転している藤田が不安げな顔をした。「ほんとうに近道か。前にお前の案内で行った道行き止まりだったことあったよな」だが山本は自信満々といった口ぶりで返した。「今回は大丈夫。ほら、地図ではちゃんとキャンプ場まで繋がっているから」たしかに今走っている幹線道路に沿って行くと森をグルっと大きく迂回するルートになるためかなりの遠回りになってしまう。今乗っている車はツードアで後部座席はかなり…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之三十八 ~満員電車~

    怪談 ~満員電車~ 朝の通勤電車は、社会の縮図と言われる。人々は皆、疲れた顔で座席に身を委ね、あるいは吊り革に力無く掴まっている。私もその一人だった。毎日同じ時間に家を出て、同じ電車に乗り、同じ駅で降りる。そんな日々が永遠に続くかのように思えた。しかし、その日は違った。電車に乗った瞬間から車内は何か異様な雰囲気に包まれた。乗客たちの顔はいつもより険しく、そして互いに警戒し合っているようだった。私はすべての人が剥き出しの悪意に晒されているような、そんな不安感を覚えた。世界は悪意に満ちている。それは誰もが知っていることだが、この電車の中では、それがより鮮明に感じられた。人々は皆、自分のことしか考え…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之三十七 〜洞窟~

    怪談 ~洞窟~ 梅雨の候、しとしとと雨が降りしきる中、私は友人の田中と二人で山奥へと繰り出した。目的は川釣り。都会の喧騒を離れ、静寂な渓流で時を過ごす。そんな穏やかな時間を過ごすはずだった。山道は次第に険しくなり、木々の間から差し込む光も薄れていく。そんな時に突然に空が暗転し、轟く雷鳴とともに激しい雨が降り始めた。衝撃とともに辺りを激しい閃光が包む。私たちは慌てて近くにあった洞窟へと逃げ込んだ。洞窟の中は薄暗く、湿った土の香りが鼻をつく。 思っていたよりも洞窟は深く広がっていた。二人は何かに誘われるようにスマホのライトを頼りに奥へと進んでいく。そして洞窟の一番奥にあたると思われる場所に着くとそ…

  • 【通りすがりの怪談】怪其之三十六 ~消える女~

    怪談 ~消える女~ 自宅の最寄駅近くにある居酒屋でバイトを始めることにした大学生の智生。そのバイト初日の帰り道でのことだった。バイトが終わって店を出たのは23時、智生は自宅に向けて一人歩き始めた。自宅までは徒歩で15分ほどの距離だ。自宅近くには片側2車線の大きな道路がある。昼間はわりと交通量の多い道路だが、夜になると交通量は減って車の通行はほとんどない。自宅に帰るためにはその道路を渡る必要があった。智生が横断歩道まで来るとちょうど歩行者側の信号が赤に変わったために立ち止まった。バイト初日で緊張もあり疲れていた智生は、車の通りがまったくない道を何を見るでもなくただ眺めていた。すると100mほど離…

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