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  • 畑126 / 良いお年を

    一月一日の元日の朝、つまり、毎年の元旦になると尊い御方がお出でになる。ピンポーンとチャイムも押さずに、玄関の鍵がかかっていようがお構いなく、スーと家の中に入ってこられる。そして、テーブルの上に置いた重箱の中のお節料理と鏡餅を食べて、ニコニコと笑っておられる。紅白歌合戦を最後まで視た眠い目をこすりながら「明けましておめでとうございます」と挨拶をすると、「今年も、おまえたちのために、この一年の福徳と幸福を土産に持って来たで、正月(一月)の間はゆっくりさせてもらうとするか」「ははーっ!一ヶ月と仰らずに一年でも!」「いやいや、そうはいかんわい。おまえたちか幸せかどうかを高い所から眺めるために、山に帰らねばならんでな!」雑煮を一緒に食べながら「あなた様はどのような御方ですか」と訊ねた。「毎年、来ているのに知らんかっ...畑126/良いお年を

  • 畑125 / ささやかながら

    今日は少し暖かくて畑作業には適しているが、一つ前の記事に書いた「八つ頭ショック」が大きくてやる気なし。そこで昼前、相方に「弁当食べに(ドライブ)行こ!」と誘って、和歌山県橋本の産直市場の「やっちょん広場」へ。到着すると12時半を過ぎていたので、いつも買う年寄り用の弁当は売り切れ。しょうがなく「道の駅九度山」へ行って399円の中華弁当に。いつもは店の前のテラスのテーブルで食べるのだが、寒いので駐車場の車の中で食事。ところが、この中華弁当、冷めているのに意外と案外美味くて満足。もう一つお目当てがあって、里芋の「セレベス」という品種を買うこと。インドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)から伝来したのでセレベス。里芋独特のヌメリが少なく、肉質がしっかりしてホクホクして甘い。他の里芋の芽が白いか、このセレベスは芽が...畑125/ささやかながら

  • 畑124 / 縁起試し

    久々に道の駅に出荷。正月用に里芋の一種の八つ頭を初めて出す。関東の雑煮は焼いた角餅にすまし汁をかけ、里芋と小松菜かほうれん草に蒲鉾、そして三つ葉を散らす。その時の里芋は必ずといっていいほど八つ頭。末広がりの「八」に、人の「頭」に立つ(出世する)の縁起かつぎ。だから、正月前は八つ頭の値段が倍に跳ね上がる。対して、関西の雑煮は丸餅を焼かずに白みそで炊く。そこへ普通の里芋と細い祝い大根と色鮮やかな金時人参をすべて輪切りで入れる。みんな丸く円満にすごせますようにという縁起かつぎ。だから、案の定、道の駅の商品棚には八つ頭なぞ誰も置いていない。そんな大阪で八つ頭がはたして売れるだろうか?いやいや、広い日本、外国人だってたくさんいるのだから、大阪に関東出身の人が一人や二人、いや、10個出荷したから10人くらいはいるはず...畑124/縁起試し

  • 畑123 / 花盗人

    畑123/花盗人百姓仲間のライングループに「ニンジンを100本ほど盗まれた」とメールがあった。年の瀬とはいえ、なんとも世知辛い話だ。盗まれた側は損害以上に、数か月大切に育てた努力が一瞬ににして無にされることが最も腹立たしい。人事の及ばない自然災害ならば、いたし方なく諦めるしかない。アライグマやヌートリアは、生きるために食べるのだから罪の意識はないから、ぼんやりとなんとなく許せる。しかし、罪の意識があるはずの人間の仕業は許せない。『花盗人』という狂言がある。庭の桜の枝が折られているのを見つけた主人が、盗人の再来を待ち構える。そこへ花盗人がまた盗みにやってきたので、捕えて桜の幹に縛り付ける。その花盗人が和歌を詠む。この春は花の下にて縄つきぬ烏帽子桜と人やいふらん(この春に桜の樹の下でお縄になり我が名誉も尽きて...畑123/花盗人

  • 茶話105 / 諸行無常

    今日は朝イチから子ども見守り隊で交差点へ。しかも、今年の最後の当番。そのうえ、強烈寒波の襲来で頭のてっぺんから足の指の先まで猛烈に冷たい。それでも、「おはよう」と言えば、「おはようございます」と挨拶する子どもたちの声はいつもより元気がいい。それもそのはず、今日は終業式。冬休みのうえに、クリスマスはあるは正月はあるは、年に一度のウハウハの稼ぎ時。黄色い旗を振りながら自分の子どものころを思い出す。見守り隊をしている交差点は、美原(現堺市)から平尾峠を越え、近鉄喜志駅前を通り、喜志小学校の近くから太子町(南河内郡)へ抜ける府道美原太子線にある。小学校の前から石川の河南橋までの道は明治22年に造られたもので、我々は「新道」と呼んでいた。今は交通量が増えて、子どもたちは村中の道を通って、この交差点で新道を横切るだけ...茶話105/諸行無常

  • 茶話104 / 外来語

    先週末から雨が続き、前線が東へ通過したあとの今週は西高東低の冬型で寒い。これが普通なのだが、猛暑があったせいなのか殊更に寒い。畑に行くのも億劫になって、ほぼ冬休み状態。例年なら11月中旬から冬休みに入っているので、これが我が畑のガバナンス(governance=管理体制)と思えばあきらめもつく。それに、この時期はたいしたタスク(task=達成課題)もないし、ああしろこうすべきだというインフランス(nfluence=影響を及ぼす人)もない。ここは素直にオンスケジュール(onschedule=予定通り)にコンプライアンス(compliance=遵守)するとしよう。明治時代になって様々な外国語、思想が日本に入ってきた。最初は、ご丁寧に一つ一つを日本語に訳していく(翻訳語)。society=社会、science=...茶話104/外来語

  • 畑122 / 歳はとっても

    ビニールトンネルを立て直して、我が愛しのコチョウラン[愛称ランちゃん]と、メダカの水槽のホテイアオイ[葵の上]をトンネルの中に移した。葵の上は三年続けて冬越しさせていて、多少枯れようが、緑が少しでも残っていれば春には大きくなってくれる。今年は試みとして、ビニールボットに土を入れて三株植えている。問題はランちゃんで、5℃以下になると枯れしまうそうな。三株が二本ずつ花芽も付けているので、温かくして春までなんとか育てたい。ところが、移動させた途端、皮肉なもので暖かい日が続き、昼には外気が15℃以上になる。二坪の狭いトンネルは、日が当たると中が40℃にもなる。ランちゃんも葵の上の二人とも、30℃を超えると成長をとめてしまう。そこで、天気予報が晴のときは、朝の9時に畑へ行って、トンネルの換気を開け放つ。それでも昼間...畑122/歳はとっても

  • 畑121 / ゆっくり

    昨日は実エンドウを植えた。大阪の南河内では、羽曳野市の臼井で品種改良された「うすい豌豆」を植えるのが定番。しかし、晩生のうえに、河岸段丘の低位にある我が畑では二週間は収穫が遅れて五月の中旬になる。でも、その頃には、エンドウの棚を利用してスイカやキュウリを定植したいので、「早生まるみ豌豆」という品種。二本植えにして16ポット。場所が余ったので、近くの百姓仲間からウスイ豌豆の苗を6株ほど分けてもらって植える(写真の手前)。豌豆は自家受粉なので交配することはない。早生豌豆と収穫時期にどれほど差がつくのか、実験するのにちょうどいい。今日は、スナップ豌豆と絹さや豌豆の定植。どちらも少量でいいので、ダイソーの二袋100円の種。百均の種というと違和感を持つ人もいるだろうが、それほど遜色はないし、なにしろ無駄がない。昔は...畑121/ゆっくり

  • 畑120 / a man of culture

    今日は、あたたかい。こんな日こそは、出来るだけのところまでやってしまおうと、エンドウとソラマメの畝の準備。久々に耕運機の出番。昔は鋤(すき)、近年は備中鍬で、エッチラオッチラと土を起こしてひっくり返していた。「田を返す」が「たがやす」の語源。漢字の「耕」も、井(四角い土地)+耒(すきへん=鋤)でほぼ同じ意味。今は耕運機で、30分ほどで終了する。ちょっと疲れたので、ドッカリと椅子に座って、耕運機を眺めながら、文明の利器、人間の叡智のたまものよと感心。「耕す」の英語は「culture」(ギリシャ語のcolereから派生した語)。「農業」の意味の英語「agriculture」にcultureがついているのはそのためだ。人間は田畑を耕す以外にも頭脳を耕し、肉体を耕し、心を耕してculture(文化・文明・教養)を...畑120/amanofculture

  • 茶話103 / ほんまかいな?

    「その犬、けったいな顔しとるなあ!チンか?」「ちゃうちゃう!ちゃうちゃうや!」「ええー?ちゃうちゃうとちゃう!ちゃうちゃうやて?ちゃうやろ!」「ちゃうちゃうとちゃうやろって、ちゃうちゃう!ちゃうちゃうや!」なんとも不思議な大阪弁の「ちゃうちゃう」。「違う」という動詞からできた言葉だが、「ちゃう」は「ー・ちゃい(ます)・ちゃう(。)・ちゃう(人)・ー・ー」の活用しかない。逆の意味の大阪弁は「ほんま」。「本間」ではなく、〈本当の真実〉の意で「本真」と書く。「このたこ焼き、美味いで!」「本真かいな?」「ほんまに本真や!」「なるほど、ほんまに美味いなあ!」平仮名で書いた「ほんま」は〈とても〉の意味になる。「ちゃう」か「本真」か判断できない時、大阪人は「よう知らんけど」と曖昧に返事する。「おい、戦争が始まるらしいで...茶話103/ほんまかいな?

  • 畑119 / 時雨之化

    毎日のように時雨る。晩秋から初冬にかけて、降ったりやんだりする雨を時雨(しぐれ)という。昔の人は、木々の葉が色づくのは、時雨が降って葉を染めるからだと考えていた。こもりくの泊瀬(はつせ)の山は色づきぬしぐれの雨は降りにけらしも万葉集大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)〈隠り国の初瀬の山は美しく黄葉した。時雨の雨が降ったらしいよ〉泊瀬は現在の奈良県桜井市の初瀬(はせ)あたり。真言宗の長谷寺がある。上記の和歌に「しぐれの雨」と、「しぐれ」を雨の修飾語につかっているように、本来の「しぐれ」は〈しばしの間に急に暗くなって降る・集中して降る〉の意味だった。だから、秋冬に限らず、桜しぐれ・青しぐれ・片しぐれ・北山しぐれなどの言葉がある。それが秋に限定されるのは、「しぐれ」という言葉の響きの柔らかさが、今の時...畑119/時雨之化

  • 畑118 / 畑のトラ

    なんだかんだと雑用があって、二日ぶりの畑。着いてすぐに、先日に作った我が隠れ家のビニールハウスで休憩。農小屋に置いていたラジオを持って来て、スイッチ入れて「ありがとう浜村淳です!」さて、みなさん、今日は大阪で初霜が降りた所がありました。寒いですねえ。しかし、関西では「寒い」とは言わずに「さぶい」と言います。えげつのうさぶいのは「さっぶい!」。今日は「さっぶい!」一日です。なるほど、外の温度は5度でさっぶい!しかし、ビニールハウスの中は、陽があたっているので20度。おお、よしよしと15分ほど我が世の春に浸る。ご機嫌になって外に出て、まずは買ってきたパッカーで、やり残したビニールを留め、ドアを付けてビニールハウスの最終仕上げ。入口にビニールを垂らして隙間風が入らない造りにしたので、ちょっと見っともないが、来年...畑118/畑のトラ

  • 畑117 / 優雅

    6月の台風の時に、早々にビニールを外したハウスのビニールを六か月ぶりに貼り直した。リタイアした年に購入した二坪(四畳)の小さなビニールハウス。苗の栽培や雨宿り・寒さしのぎの目的もあったが、それ以上に、自分だけの空間、大人の隠れ家が欲しかった。水筒にコーヒーを入れて持ってきて、ハウスの中で、独りでゆったりと飲む至福のひと時。だが、購入した年に大きな台風があって半壊。壊れた部品を追加購入して、鉄杭やら鉄の筋交い(すじかい)を入れて補強。以来、台風シーズンの前にはビニールを外すことにした。まずは、ハウスの下の部分に、幅120㎝のビニールをぐるりと巻く。これを昔の女性の下着になぞらえて「おこし」という。その上に幅500㎝のビニールをすっぽりとかぶせるのだが、特別仕様なので1~2万円はする。年金暮らしにそんなの買っ...畑117/優雅

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