畑126 / 良いお年を
一月一日の元日の朝、つまり、毎年の元旦になると尊い御方がお出でになる。ピンポーンとチャイムも押さずに、玄関の鍵がかかっていようがお構いなく、スーと家の中に入ってこられる。そして、テーブルの上に置いた重箱の中のお節料理と鏡餅を食べて、ニコニコと笑っておられる。紅白歌合戦を最後まで視た眠い目をこすりながら「明けましておめでとうございます」と挨拶をすると、「今年も、おまえたちのために、この一年の福徳と幸福を土産に持って来たで、正月(一月)の間はゆっくりさせてもらうとするか」「ははーっ!一ヶ月と仰らずに一年でも!」「いやいや、そうはいかんわい。おまえたちか幸せかどうかを高い所から眺めるために、山に帰らねばならんでな!」雑煮を一緒に食べながら「あなた様はどのような御方ですか」と訊ねた。「毎年、来ているのに知らんかっ...畑126/良いお年を
2023/12/30 07:32