chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 畑116 / 故に我在り

    高気圧におおわれているのだが、寒波の南下で朝からどんよりと曇っている。それに寒いし、一昨日の雨でたいしたことは出来ないだろうけど、とりあえず8時ごろに畑へ。一回りして椅子に座っていると、冬草がいくつか目にはいった。鎌を手にしてしゃがみこむ。手の届く範囲の草を抜いたら今日は帰るとするか。抜き終わってさっぱりとした先を見ると、冬草が目立つ。しゃーない、もうひとしゃがみ抜くとするか。そんなのを繰り返しているうちに、広い通路の草を全部抜いてしまった。椅子に座って、さっぱりと綺麗になったと眺めていると、伸ばし放題のイチジクの枝が目に入る。農小屋からノコギリを出して、イチジクの枝の伐採。し終わると下草がやけに目につくので、再び草抜き。いつしかに、太子町(南河内郡)の防災無線のチャイムが11時30分を告げている。ふと気...畑116/故に我在り

  • 茶話102 / どうする凡人

    昨日の午前中は唐辛子のクリスマスツリー作りで遊んだ(畑115/MerryXmas)。他人が見れば、「ええ歳こいたオジンが何んとつまらないことしてる!」と思うだろう。しかし、当のオジンは、つまらぬ遊びのお陰で身体も楽になったし、やる気も出てきた。意味も目的もないつまらないことに無意識に集中し、無意識に充実感を感じる子どもの遊びのようなものが、本来の「遊び」で、意味のないことに意味があるのだ。子どもが一日中遊んでも疲れを感じないのはそのためだ。大人の遊びや趣味は意味・目的があるし金がかかるから、報酬や見返りや自己満足を求める。だから、その時は集中をして楽しくとも、欲望や欲求が満たされないとストレスや疲れを感じる。仕事を子どもの「遊び」のような感覚で楽しくしよう、などというのは土台無理な話だ。だが、時として仕事...茶話102/どうする凡人

  • 畑115 / Merry Xmas

    去年は十一月の中旬から畑仕事は冬休み状態になった。それで今年は岡山の旅を入れたのだが、空豆と豌豆の植え付けがまだ終わっていない。ということは、耕うんと畝立てとていう重労働が残っている。そこへきて、町内外の役職があるし、寒いし、身体の調子も今一つ冴えない。「一生青春。一生勉強」と言ったのは相田みつお氏だが、そんなのは精神的な話で、その精神に身体がついていかなければ、何もしないのと同じだ。作家の五木寛之氏がこんなことを言っている(『新・地図のない旅I』平凡社)。完全な孤独というのは本当はないのである。人は、「自分とカラダの二人連れ」なのではあるまいか。だから「自分=精神力・魂」とともに、相棒の「カラダ=身体の健康」のことも考えてやらなければならない。「そんなことわかってるわい!」というので、最近の老人は運動し...畑115/MerryXmas

  • 畑114 / グルメ

    この歳になると町内外の年相応の役がまわってくる。岡山から帰って一週間は、会費や組合費の徴収準備でてんてこまい。一年目にしっかりと準備しておけば二年目からは楽になると腹に決めて、畑は休職状態。たまに菜っ葉を収穫に行くと、冬至用に作っておいたカボチャが寒さで枯れかかっている。完全に枯れてから収穫してニ、三週間寝かせれば(追熟)美味しい冬至南瓜になる。さて、今日は野沢菜を収穫。意外なことに野沢菜は蕪(かぶ)で、本場の野沢温泉では「蕪菜」とよんでいる。江戸時代に野沢温泉村のお寺の住職が大阪から持ち帰った種子を畑にまいたことで野沢菜が誕生した。その種子というのが大阪の伝統野菜「天王寺かぶ」。野沢菜は大阪と縁が深い野菜だ。本場の長野県では温泉水で洗って水をきって三週間ほど漬け込むが、大阪でそんな悠長なことはしてられな...畑114/グルメ

  • 101/ 老いの小文3

    備前の旅の初日に溝にスッポリと落ちたにも関わらず九死に一生を得たのは(前回100の記事)、閑谷学校で買った「論語みくじ」を胸ポケットに入れていたお陰ではないか。孔子の徳(立派な行い・考え)が、我が身を守ってくれたに違いない。君子(くんし)は諸(こ)れを己れに求む。小人(しょうじん)は諸れを人に求む。(立派な人物は事の責任・原因を自分自身に求めるが、つまらない人間は他人に求める)すべては自分自身の行いが悪かったのだと反省し、孔子の徳にあやからんと、二日目、三日目は友人の畑の草抜き。子(し)し曰(いわ)く、君子德を懷(おも)へば、小人土を懷ふ。(孔子先生がおっしゃった、君子たる者が常に立派な行いを心掛けると、人民は安心して土に親み、耕作にいそしむ)草を抜いてすっきりとした畑を眺めながら、少しは君子に近づいたか...101/老いの小文3

  • 100 / 老いの小文2

    そろそろ紅葉が綺麗だろう、というので、高校時代の友人が毎週田舎暮らしに通っている備前の国へ。道が混むので昼過ぎに、友人の車で大阪を出発。まだ体が本調子ではないので、一時間おきに休憩をとって、備前の国に入ったのは4時。少し道をはずれた所に閑谷学校が在り、二本の「楷の木」の大木の紅葉が、さぞかし見事であろうというので寄り道。受付で拝観料を払って敷地内に入れば、儒学の祖、孔子の徳を称える孔子廟が在って、その前に見事な紅葉があるはずなのだが、無い。訊けば11月の上旬に紅葉を迎えたということで、今はわずかばかりの名残の黄葉が残るだけ。「十日ほど前あったら見事あったんやけどなあ」と友人。春の備前の花見の旅もそうだった。「一週間前は桜が満開あったんやけどなあ」と友人。備前の旅はどうも過去形が多い。いたしかたなく国宝の講...100/老いの小文2

  • 畑113 / いっぷく

    老人会の日帰り旅行から4時に家に帰って来ると、体が急にだるい。これはヤバイぞと横になる。二時間ほど寝て、体温を計ると平熱より1度高い。ますますヤバイぞと、昼間にたらふく食べているし、温泉にも充分に入っているので、夕食も風呂もパスして布団の中へ。夜中に何度も目が覚める。体温は1.5度高いが、頭も喉も痛くないし咳も出ない。しかし、痛い・・・!朝になると体温は平熱に戻っていたが、やはり痛い。ちょうど、持病の薬をもらいに行く時期だったので、同級生の掛かり付け医へ。症状を話すと、「ここしばらく無理したのとちゃうか?」「落花生と里芋を売らなあかんし、玉ネギも植えなあかんし、体ガクガクや!」「それは別の"持病"が出てきたんやがな。熱出るほどやからかなり痛いやろ?」「かなり痛い!夜も寝られへん!」「ほな、前にも出した塗り...畑113/いっぷく

  • 99 / 人生の同窓会

    町内の老人会の日帰り旅行で泉佐野市の犬鳴山温泉へ。コロナで途絶えていたので四年ぶり。以前は一泊旅行だったが、観光バス代が馬鹿にならないし、高齢者ゆえに泊りだと何かと問題が絶えないので、近場の日帰り旅行になった。もっと以前は、町内会や農業組合の旅行とかがあって、親たちは年に四、五回旅行に行っていた。しかし、その子は一度として、親たちに旅行に連れて行ってもらったことがない。だから、我が子にはそんな思いをさせたくないので、年にニ、三回は旅行に連れて行った。大きくなった今、子どもたちに「信州の乗鞍に行ったん覚えてるか?」と訊くと、「ええ、行ったかなあ?」。なるほど、そういうことだったのか!犬鳴山に行くのだから、普通なら真言宗の名刹犬鳴山七宝瀧寺にお参りするはずだが、我が町内の老人会は、そんなことはしない。朝の9:...99/人生の同窓会

  • 98 / 秋の風物詩

    道の駅で柿を買ってきた。次の日、村の仲間から柿をもらった。その次の日、我が相方の友達が甘柿と渋柿を持ってきてくれた。そのまた次の日、家の裏のおばちゃんが「柿がぎょうさんなったさかい取りにおいで!」と言ってくれた。断るのも失礼なので取りに行った。昔っから在る古い村なので、どの家の庭にも柿の木がある。だから、柿の木の無い家に柿が集中する。江戸時代から続く古い家の柿は渋柿が多い。渋柿を絞って漉(こ)した液体をニ、三年発酵させて「柿渋」を作るためだ。醤油のような色で、殺菌・防腐・防虫・防水・消臭効果が高いので、木柱・板壁・漁綱、衣類、和紙などの補強に使われた。さらには傷に塗ったり、下痢止に飲んだりする常備薬でもあった。葉っぱにも抗菌作用があって、大和五條の柿の葉寿司に使われている。柿渋を採るほどの量はないので、渋...98/秋の風物詩

  • 97/ 秋の実

    明治時代になり、男性は斬髪令(断髪令=明治4年)が出されたので散切り頭になったが、女性には特に決まりはなく日本髪のままでもよかった。十五歳くらいになると、それまでのお下げから前髪を上げて日本髪を結う。以後、大人の女性として扱われる。①ねえ、あの日のこと覚えてる?まだ髪上げをして間もない君が、リンゴ畑の樹の下を歩いて来たよね。その時、僕は初めて君を見て、胸がドキドキして、じっくりと顔も見ることができずに前髪に挿した櫛ばっかし見てたけど、櫛から垂れさがっている造花の花のように可愛く美しいと思ったよ。②それから何度か遭ったけど、会釈して通り過ぎるだけだった。でも、君と話をしたくって、ある日、「こんにちわ」って言ったら、君も「こんにちわ」って言ってすれ違おうとしたとき、君が着物の袂(たもと)から、まだ青みがかった...97/秋の実

  • 畑112 / いちご

    夏野菜の撤去、秋冬野菜や春野菜の植え付け、秋野菜の収穫・販売と、秋の畑は忙しい。だのに、猛暑で苗の定植が遅れ、落花生の苗をイタチに半分喰われて二度植えしたので、収穫ができずに二週間のブランクができてしまった。そこへきて、この時期は地域の防災訓練や農業役員会議や、町内の秋祭りの打ち上げやら老人会の日帰り旅行が入っている。いつもなら、のんびりとエンドウの種でも蒔こうかという時期だが、気温は27度!こんな高温で種を蒔いても大きく成りすぎて冬越しできない。どうしようと、孫の手で背中を搔きながら考える。なるほどそうか!気温が高いのを逆手にとって、エンドウの種まきと空豆の定植を遅らして、遅れていたイチゴを定植することに決定!どうやら明日は雨模様だし。朝、畑へ行って、真っ先に、今年イチゴを栽培して放ったらかしにしていた...畑112/いちご

  • 96 / 青春とは

    「94/白秋」に書いたように「青春」という言葉は古代中国からあった。ただし、まだ広く知られた言葉ではなかったし、「未熟な時期」の意味でしかつかわれていない。どちらかといえば「青春」の「青」に重点がおかれている。明治になるまで、男性は一人前になると前髪を剃り上げた。これを月代(さかやき)という。月代の剃り跡が青く見えるのは未熟である証拠だった。熟す前の果実を「まだ青い」「青瓢箪」というように、「青」は「青二才」「未熟」の意味でつかわれていた。今のような「青春」のイメージが出来上がるのは明治中期以降からだ。英語の「youth」あるいは「springtimeoflife」の和訳として、五行説の「青春」をあてはめたのだ。その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな/与謝野晶子(明治34)夢や希望に満ち、...96/青春とは

  • 畑111 / 野菜の気持ち

    先週は秋祭りがあって、しばらく体調が戻らなかった。三、四日してようやく元気になって、落花生と里芋の収穫と出荷。朝に里芋を収穫して洗って毛を掃除して乾かす。昼過ぎから落花生を収穫し、洗って選別して乾燥。その間に里芋の袋詰め。夜に落花生を袋詰めして冷蔵庫に入れる。そして、朝早くに道の駅に持って行く。三日続けるとさすがに体に堪える。案の定、油の切れた機械のように腰がギーギーと悲鳴をあげる。これはいかんと、里芋と落花生を一日おきに交互に収穫することにした。今年は何やら売れ方が変だ。出荷者が自由に値段を付けることができるのだが、凡そスーパーより安い値段にしている。しかも新鮮。だから、今までは、少し高くても品物の状態が良いのから売れて、見た目の悪いのは必ずといっていいほど売れ残った。ところが、今年は少し傷があるので安...畑111/野菜の気持ち

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、八十八さんをフォローしませんか?

ハンドル名
八十八さん
ブログタイトル
河内国喜志村覚え書き
フォロー
河内国喜志村覚え書き

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用