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きみの靴の中の砂 (旧goo blog版) https://blog.goo.ne.jp/disinfectant1953

このサイトは "Creative Writing" の個人的なワークショップです。テキストは過去に遡り、随時補筆・改訂を行うため、いずれも『未定稿』です。

みなさんに感謝: アラン・ロブ=グリエ アルベール・カミュ 伊藤整 岩科小一郎 エリック・ホッファー 尾崎喜八 金子光晴 クロード・シモン ジャック・ケルアック 田村隆一 辻邦生 辻村伊助 永井荷風 久生十蘭 フィリップ・ソレルス 船知慧 ブルース・チャトウィン ポール・ヴァレリー ミシェル・ビュトール 森鷗外 森茉莉 吉田健一 ル・クレジオ ロラン・バルト

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多摩市
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杉並区
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2022/04/07

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  • 今時、そんな言い方しないだろう!

    (op.20250228-2/Studio31,TOKYO)  ドラッグストアは、昨今、若い人の間では、「ドラストと呼ばれてるのよ、知ってた?」とイチ子さんが言う。「だったらフライド・ポテトはどうでしょう」と重ねて聞くから、「ポテト」と答えると、「それじゃあフライド・ポテトとポテト・サラダの区別がつかないから、フラポテ、ポテサラと言い分けるらしいわよ」と言う。今に始まったことではないが、『思考・知識が、文化的に現代的かどうか』は言葉遣いに現れる。小説家が若い世代について書いたとき、確かに会話部分の言葉遣いに違和感・不自然さを感じることがある——「今時、そんな言い方しないだろう!」と言うことだ。  【WynonnaJudd-TellMeWhy】 今時、そんな言い方しないだろう!

  • ほろ苦いところが春の大人の味

    (op.20250228/Studio31,TOKYO)  今朝は風がないので、防波堤の下の陽だまりにしゃがんでいると身を切るような寒さはない。「湘南では南風が吹きはじめると、直ぐにツクシの季節よ」とイチ子さんが言う。続けて、「でも、ちょっと油断してると、すぐに摘み頃を過ぎちゃうから、よーく見てないとね」とも。「時機をウッカリ逸して、ツクシの先が硬くなってしまったならまだしも、気付いたら既にスギナなんつーのも、よくある笑い話だ」とぼく。*煮付けておくと、副菜としての使い道は多い。フキノトウ同様、少しほろ苦いところが春の大人の味。子供の頃は、どこにでも生えていた。  【TheShadows-SpringIsNearlyHere】 ほろ苦いところが春の大人の味

  • 週末、森戸のドライブインシアターで

    (op.20250227/Studio31,TOKYO) 古い話だ。その五つか六つ年上の女の人の愛車は、葉山に住む彼女の叔父さんからのお下がりという古いアルファ・ロメオのジュリエット・スパイダー——どこか昔の日野コンテッサに似ている。車が車だけにメンテナンスに費用がかさむらしく、普段の彼女からは、結構な節約のオーラが出ていた。最早、日本では手に入らない部品は、知り合いの鋳物工場に頼んで一点ものとして作ってもらっているらしい——小さな部品でもひとつ十万円は下らないと噂で聞いた。ところが、お金がないという割りには、車のダッシュボードにコクトーの『ポトマック』の原書なんかが雑に放り出してあったりするから、ぼくらとはお金の使い道が違うのは明らかだった。あの頃、週末に森戸のドライブインシアターへ行けば、彼女の車は必...週末、森戸のドライブインシアターで

  • 何も見ていない

    (op.20250226/Studio31,TOKYO)  宮古島にあるリゾート・ホテルで結婚式をするという友人に請われて一泊で出かけた。お祝いは一切いらないから、体だけ運んできてくれという要望だった。ホテルは島の南岸にあり、空港からは7キロ程。空港とホテル間は送迎巡回バスがある。東京を早朝に発ち、昼から始まった式に参列。帰京は翌日の昼の飛行機。24時間の滞在ではあったが、それなりに南国のリゾート気分を味わえ、良い一泊二日だった。が、帰りの飛行機に乗って気付いた——島の繁華街は空港の北側、ホテルがあるのは南側。つまり、見た風景は、空港とホテルとその間のサトウキビ畑だけ。それ以外は何も見ていないのだった。  何も見ていない

  • 『やられたぁー』感が記念写真の背中に滲む

    (op.20250225/Studio31,TOKYO)  低気圧が近く、次第に波が高くなる予報。サーフィン日和になるか。ふたりで、学校帰りに浜へ様子を見に寄った。多少心配はしていたが、弓ヶ浜の西の外れ、積まれた消波ブロックの陰で、イチ子は砕けた波しぶきを頭から被る。たまにある事例ではあるが...。『やられたぁー』感が記念写真の背中に滲む。  【TheBeachBoys-HonkyTonk】 『やられたぁー』感が記念写真の背中に滲む

  • 歴史的コレクション

    (op.20250224-2/Studio31,TOKYO)  府中の森公園内、府中市美術館から続くプロムナード。<palign="center"><fontcolor="#ff9900">*</font></p>府中市美術館は、後に近代明治日本の西洋画を牽引することになる画塾『不同舎』同人の習作(歴史的コレクション)を多数所蔵している。  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村"/></a>歴史的コレクション

  • 京浜運河。午前10時。

    (op.20250224/Studio31,TOKYO)  京浜運河。午前10時。予報通り、夜半からの雨が止んで、空が明るくなってきた。5分間隔のモノレールも、待ち構えているとなかなか来ない。  【TheLadyShelters-BurningLove】 京浜運河。午前10時。

  • 好きな作家の作品に自分の人生を重ね合わせたい

    (op.20250223-3/Studio31,TOKYO)  好きな作家の作品に自分の人生を重ね合わせたいとする事例は少なくない——例えばドストエフスキーやプルーストなどが、そういう作家であったりする——つまり、自分の目標とする人生の方向性が、作品中に疑いもなく示されていると信じるに足りているということだ。 <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村"/></a>好きな作家の作品に自分の人生を重ね合わせたい

  • 執筆はするが出版はしない人生

    (op.20250223-2/Studio31,TOKYO)  作品を作ることと、それをネットにアップすることとは別次元のもの——創作そのものが目的なのか、作品を人の目に晒すのが目的なのかの相違は大きい。人目に晒すまでの手順が半ば義務になって、『自ら設定した締切に間に合わない』というストレスが生じるなら、本来の目標の『創作』そのものにとっては障害だ。J.D.サリンジャーは著名になった以降、出版する事にストレスに感じ、執筆はするが出版はしない人生を選択する。  執筆はするが出版はしない人生

  • カメラ・テスト

    (op.20250223/Studio31,TOKYO)  カメラ・テスト。増感現像。駿河台の朝——坂の途中を裏道に折れれば、存在する静謐な日常。 【BobDylan-StuckInsideofMobilewiththeMemphisBluesAgain】 カメラ・テスト

  • イチ子、2分の1の賭け

    (op.20250222-2/Studio31,TOKYO)  イチ子、2分の1の賭け。  【アカシアオルケスタ-星のかけらを探しに行こうAgain】  イチ子、2分の1の賭け

  • 原宿から青山へ 底冷えするいち日

    (op.20250222/Studio31,TOKYO)  何をするわけでもなく、原宿から表参道を青山へ。冬らしい、底冷えするいち日。  【The5thDimension-Up,UpandAway】  原宿から青山へ底冷えするいち日

  • トースト・サンドウィッチ

    (op.20250221/Studio31,TOKYO) あるカフェのこのサンドウィッチは、お決まりの種類の野菜の他、卵焼きとボイルド・チキンに加え、ハンバーグやベーコン・ソテー、ロース・ハムなどをその日の有り合わせが挟まれる。野菜とハム以外は、店側で調理。このサンドウィッチのランチ・セットには、スープと珈琲が付く。スープは、チキンの茹で汁にコンソメ・キューブを加えて作られる。スープはセット・メニューで、品書にスープ単品は無い。ハムは、市販されているパックされたものが随時使えて便利そうだが——買ったその日に消費できるなら——スーパーの売場もしくは精肉店の店頭でブロックからスライスしてもらう方が旨いし、特売日によっては安いこともある。ハムのパック品は、乾燥を防ぐためか、水っぽい。【TheChiffons-O...トースト・サンドウィッチ

  • しばらくの間、田村隆一の墓があるのを知らなかった

    (op.20250220/Studio31,TOKYO)  家から鎌倉は近いので、その気になれば気楽に出掛ける。しかし、さすがに週末の人混みは敬遠したいので行くのはもっぱら週日だが、その上でも多少は場所を選ぶ。妙本寺——鎌倉駅から歩いて数分の寺——常々、見物客も少なく、気に入っていたが、最近はテレビの時代劇で扱われてから多少知名度が上がったようで、現地は、なかなか落ち着いた雰囲気でも無くなってしまった。*年一、二回は立ち寄るお寺だが、しばらくの間、田村隆一の墓があるのを知らなかった。希有な存在だった詩人は、埋葬される墓の場所にも『こだわり』があったようだ。  【TheBuffaloSpringfield-ForWhatIt'sWorth】  しばらくの間、田村隆一の墓があるのを知らなかった

  • コルキャノン

    (op.20250219-3/Studio31,TOKYO) アイルランドは緯度が北海道よりも高い割りに、取り巻く暖流のお陰で、想像するより過ごし易い。しかし、断トツな量の馬鈴薯が耕作されているところを見ると耕作万能の土地柄ではなさそうだ。大半を国内消費してしまうという馬鈴薯の消費量は、一人あたり年間約150キロ。日本のおよそ八倍、世界一級の消費量である。それからすれば、この国の人は『ポテト・イーター』と呼んで構わない。パンの地位は、通常、スターターの付け合わせ程度。パン皿は、スターターの皿が下げられる時に一緒に下げられてしまうという扱われ方。当然、馬鈴薯料理の種類の豊富さは、他国に類を見ない。一日一回は必ず食べられる料理——と言っても付け合わせなのだが——コルキャノン。馴染み深い言い方をすれば『マッシュ...コルキャノン

  • 好きな歌を聴きながら朝を過ごす

    (op.20250219-2/Studio31,TOKYO)  林檎の品種で旬の長い『王林』や『ふじ』でさえ、そろそろ収穫はお仕舞い。夏に次の早生種が出回るまで、林檎好きには寂しい半年間となる。*二月。雨の安息日。(恐らく)今年最後になるかも知れない林檎を食べながら、イチ子さんは、好きな歌を聴きながら朝を過ごす。【RexOrangeCounty-LovingisEasy】好きな歌を聴きながら朝を過ごす

  • 天国

    (op.20250219/Studio31,TOKYO)夏冬で気候的に本当に厳しいのは、それぞれ半月ほど。この合わせて四週間さえ凌げれば、過ごしやすさでは日本は天国。*都市の冬のビル風は侮れず、雪国出身者ですら、東京のこの寒風には一目置くという。*個人的には夏より冬の方が好きだが、それでもさすがにこの時期だけは、多少、夏が恋しい。【OPUS-TAKEYOUTOTHESKYHIGH】天国

  • どんな時?

    (op.20250218-2/Studio31,TOKYO)「今までで、自分が大人になったなぁって、どんな時に感じた?」とイチ子さんが唐突に聞く。今までされたことのない質問で、ぼくにはしばらく考える時間が必要だった。「疲れ易くなっただの、眠りが浅くなっただののようなマイナスの要因では、そんなこと考えたことないけど、かと言って、お小遣いに不自由しなくなった時、なんていう物質的なことでもないなぁ」とぼく。「う~ん、今のところ、予想どおりの答えだね」とイチ子さん。「そうだなぁ、例えば、夫婦もんがやってるような街の小さな居酒屋で、安いアジフライを頼んで、それにウスターソースをイッパイかけて、それをかじりながらハイボールなんか飲んだりしている時に同じことを聞かれたら、『今!』って答えるかも知れない」とぼく。「へ~、...どんな時?

  • 夏が二度来たと思えるかも知れない

    (op.20250218/Studio31,TOKYO)  中国文化圏にあるアジアの多くの国が正月を旧暦で祝う。日本は、明治大帝政府の維新政策により、鎖国期間中の三百年の遅滞をわずか数十年で取り戻して、欧米の習慣に沿ったわけだが、東アジアの気候を考えれば多少無理があったのは否めない。水口イチ子が、ある時、「旧正月があるんだから、旧クリスマスがあっても良いんじゃない?」と言ったことがあった。クリスマスが二度あったら楽しいという意味だろう。そりゃあ、何もかも新旧二度あれば楽しいことも二度あるわけで、みんながみんなそれを迷惑がるわけでもあるまい。海開きも二度あれば、夏が二度来たと思えるかも知れない。遊ぶ話ばかりで申し訳ないが...。  【BonnieTyler-SittingOnTheEdgeOfTheOcea...夏が二度来たと思えるかも知れない

  • きみの影がゆっくりと動いて行くのを...

    (op.20250217-3/Studio31,TOKYO)祖父の世代の方がもっと上手に英語を話したと、インド系の混血に見える魅力的な深い眼差しの、その浅黒い肌の色の若いウエイトレスがはにかみながら話してくれたのは、彼女のそそぐミネラル・ウォーターの瓶が昼近い木漏れ日を受けて、ぼくの目にはまぶしかった。もうすぐランチ・タイムと言ってもいい時間に遅い朝食を注文したにも関わらず、快い返事でわがままな客に食事を出してくれたのは、ここが単にリゾート地のホテルということだけのことではあるまい。地物の魚介を使ったチャウダーに始まり、プレーン・オムレツにソーセージ、付け合わせの焼トマトがいかにも英国風だった。ライ麦麺麭のトーストにオレンジ・ジュースと珈琲、デザートに西瓜とパイナップルが並ぶ。*その夏の午後——お構いなし...きみの影がゆっくりと動いて行くのを...

  • 来る日も来る日も一連の夢の続きを見ているように思われたものだ 【メスティソ/ 堀内茂男】

    (op.20250217-2/Studio31,TOKYO)チャプルテペク公園の緑の中で一日のばしにしている夏の滞在。奥深い木陰の水鳥が住む池のほとりには、メキシコシティの典雅な時間が眠っていて、来る日も来る日も一連の夢の続きを見ているように思われたものだ。混血娘の笑顔は大輪の花に似ていて...。 【メスティソ/堀内茂男】  【ちさのとみらい-恋のアドバイス】  来る日も来る日も一連の夢の続きを見ているように思われたものだ【メスティソ/堀内茂男】

  • パリの雨が日暮れにあがると 【夜霧のピガール / 堀内茂男】

    (op.20250217/Studio31,TOKYO)静かに降り続いたパリの雨が日暮れにあがると霧になった。クリッシーの盛り場に赤や青のネオンがにじみ、歩道や建物のぬれた顔が薄紅色に上気している。水銀灯の光をさし入れた街路樹の緑が、木の下道を染め、恋人遠の散歩が夜霧にひたされている。びっしりと並んだ駐車の列に、更に割り込もうとする車や押しのけて出ようとする車のエンジンの音が、盛り場の騒ぎに輪をかけている。濡れた歩道を七色に染めて、どれだけの人を飲み込んだネオンか、人いきれで充電し、更に新しいお客さんを誘い込み、霧の中で妖しい光を放つ、欲望の胸飾りのように見えたが…。【夜霧のピガール/堀内茂男】  パリの雨が日暮れにあがると【夜霧のピガール/堀内茂男】

  • 彼自身によるロラン・バルト

    (op.20250216-4/Studio31,TOKYO)『休暇の間、私は七時に起き、降りていって、窓を開け、お茶をいれ、庭で待っている小鳥たちのためにパンを細かく砕いてやり、顔を洗い、仕事机の上のホコリを払い、その上の灰皿の中身を捨て、バラの花を一輪切り、七時半のニュースを聞く。八時になると、母が降りてくる番だ。私は母と一緒に、朝食に、半熟の卵をふたつ、焼いたパンの丸い一切れを食べ、砂糖を入れないブラック・コーヒーを飲む。私は十時にベッドに横になって、そのまま二冊の本をちょっと読む。一方はきわめて文学的な言語による作品(ラマルティーヌの『打ち明け話』、ゴンクールの『日記』など)で、もう一方は推理小説(どちらかと言うと古いもの)か、イギリスの(流行遅れの)小説か、ゾラである』ロラン・バルト『彼自身による...彼自身によるロラン・バルト

  • 七番目に好きなもの、かも知れない

    (op.20250216-3/Studio31,TOKYO)  誰にでも好きなモノは沢山あるが、それらに触れる頻度は、なぜかそれぞれ異なる。つまり、頻繁に触れていたいモノと、たまに触れれば気の済むモノとがあるということだ。だが、後者を無くしてしまっても良いかというと、全くそうではないところが不思議で、また面白い。たまにしか気にかけないくせに、『好き』という実態には変わりが無いモノがあると言うことだ。  【CarlySimon&JamesTaylor-DevotedtoYou】  七番目に好きなもの、かも知れない

  • 同じ蔵から出た酒を伊達政宗公も飲んだということだ

    (op.20250216-2/Studio31,TOKYO)  伝統ある仙台伊達藩御用酒(つまり、同じ蔵から出た酒を伊達政宗公も飲んだということだ)。売れるからといって増産しないどころか、品質維持のために減産までする蔵元の『勝山酒蔵』。他県で入手するには多少のテクニックが要る。味は、名人域に達した日本酒好き同士でのみ通用する表現——『スッキリした、旨口』。スッキリせず、濃厚だと『飲み飽きてしまう』。それは、味の方向として、江戸時代の酒がそうだったように、(飲むには加水しないわけにはいかないほど)甘い味醂の味に近付いていってしまう。江戸時代、上方から来た下りものの原酒は、江戸で半分強、加水されて甘みが減じられた。ちょうど良い飲み易さになると、今度はアルコール度も下がって、凡そビールほどになったらしい。江戸の...同じ蔵から出た酒を伊達政宗公も飲んだということだ

  • なぜ?

    (op.20250216/Studio31,TOKYO) 「なぜ?」  【TheIveys-MaybeTomorrow】  なぜ?

  • 華氏90度、海流の中の島々

    (op.20250215/Studio31,TOKYO)  旅の画帖は行き先ごとに分けられることは無く、一冊の頁が尽きるまで描き続けられる。だから、作品ごとに備忘のメモを残しておかないとロケーションが分からなくなる。さて、以前、プエルトリコを皮切りに、カリブ海を島伝いに旅したことがあった。島を移動するごとにパスポートで出入国管理をされるような地域柄。今日はアメリカ、明日は英国、その次はフランスだったり...。この海域で自由なのは潮流だけ。というわけで、この眠りかけている水口イチ子が描かれた海岸は、メモが無いため特定できないが、恐らくケイマン諸島だったか。頁の右下に『暑い!華氏90度くらい?』のエンピツ書き。  【AlyssaMilano-BestintheWorld】 華氏90度、海流の中の島々

  • 増殖する水口イチ子の夢

    (op.20250214/Studio31,TOKYO)  予測不可。増殖する水口イチ子の夢。  【KarlaBonoff-AllMyLife】  増殖する水口イチ子の夢

  • ロンドン塔の門番

      このジンのラベルに描かれている赤い服を着た人は、ロンドン塔の門番——左手に鍵束を携えているところが、さもそれらしい。彼等がなぜビーフィーター(ビーフ-イーター/肉喰い)と呼ばれるかというと、日本のお侍さんが殿様から給料を現金ではなく、お米で頂いていたことと似て、牛肉でもらっていたのがそのワケ。現金化する必要があるときは、それぞれ、米屋や肉屋に現物を売っていた。*酒好きには、口に合った好みの銘柄がある。このビーフィーター、シンプルでスッキリしているのが気に入っている理由。今夜は、これをリプトンで割って、ぬる燗程度の温度でヤッている。 ロンドン塔の門番

  • かつて愛した人の面影を追って旅した日々があったという

    (op.20250213/Studio31,TOKYO)  かつて愛した人の面影を追って旅した日々があったという。*すっかり人気の絶えた夕暮れのビーチ。遙か南の海で生まれた風が、優雅に大王椰子の葉陰を揺らす。あの頃、耳元で聞こえていた甘いささやきと吐息に、心も弾んだ朝があったではないか。だから今、夜が来る度、ポツンと取り残された甘美な想いが、孤独なうちにも夢見心地なひとときを求めて止まないのかも知れない。橙色よりはわずかに白い、トーチの灯火色の太陽が、ハイビスカスの真っ赤な花の色にも似た夕映えの水平線に落ちて、これから始まる宵が、ひょっとして新しい恋の予感に満ちあふれたものになるかも、と思ったのは、ストロー・ハットのつばの先に、波の音がぶら下がるように聞こえていたわずか数分前のこと...。*常夜灯代わりに...かつて愛した人の面影を追って旅した日々があったという

  • 遅い猫の足取りで

    (op.20250212-2/Studio31,TOKYO)ぼくはと言えば、夜中に起きてわずかばかりの仕事をして、夜が明けて午睡で寝不足を補うという浮き世離れした生活。たまたま仕事がはかどらず、まったく眠れそうにもない夜は、部屋から歩いてすぐの『BarShade』で、睡魔が遅い猫の足取りでやって来るのをじっと待つことにしている。【KeithJarrettTrio-MyBackPages】遅い猫の足取りで

  • 誰が最初に半袖に腕を通すか

    (op.20250212/Studio31,TOKYO)  今は一年で一番寒い二週間だが、三月下旬から四月上旬の桜が咲いて散り始める頃になれば、決まって今年最初の汗ばむ午后がくる。毎度お馴染みの波遊びの仲間内では、今年は誰が最初に半袖に腕を通すかが重要になってくる。  【TheBeachBoys-YourSummerDream】  誰が最初に半袖に腕を通すか

  • 1939年のある日、ロラン・バルトは、とある食堂の奥まったテーブルで梨を食べながら本を読んでいるジッドに遭遇する

    (op.20250211/Studio31,TOKYO)  『恐らく、《作家である》という幻想の中で青春を過ごす若者などもういないのだろう』とロラン・バルトは、『幻想としての作家(1975)』に書く。ロラン・バルトの言う青春とは、『敬愛する作家の文体を模倣しながら作家へと成長していくきみ』以前のきみが過ごす時間——つまり、その作家の仕事ぶり、その姿勢を模倣する時代を指す。ポケットに手帳を忍ばせ、次に書かれるべき文章を頭に思い浮かべながら街を行く、あのスタイルのことだ。今時、そういう若者にとって、その生活までも模倣したいと思うに足る作家はいるのだろうかとバルトは疑う。*バルトにとって青春時代の憧れの作家はアンドレ・ジッド。バルトはジッドを模倣する——ジッドが、ロシアからコンゴまで歩きまわり、気に入った古典を...1939年のある日、ロラン・バルトは、とある食堂の奥まったテーブルで梨を食べながら本を読んでいるジッドに遭遇する

  • 祝 ミラノ直行便就航

      イタリア好きにとって、ローマ(レオナルド・ダ・ヴィンチ空港)着便は、使い勝手がそれほど良いわけではない。そして、ANA(コールサインALLNIPPON)好きにとっては、ローマ便以外が追加されるのは大歓迎。祝ミラノ直行便就航。  祝ミラノ直行便就航

  • なんやて!? ほんまけ!?

    (op.20250210/Studio31,TOKYO)  羽田〜関空〜熊取町(法事)〜関空〜羽田——弾丸日帰り(四万五千円)。「なんやて!?ほんまけ!?」——せわしないいち日、写真撮影一枚もなし!  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif"alt="PVアクセスランキングにほんブログ村"/></a>なんやて!?ほんまけ!?

  • 近いっちゃあ近いが、遠いっちゃあ遠い

    (op.20250208/Studio31,TOKYO)  写真を撮りながら大分歩かせてしまった。「今日のモデル料は安く済まないわよ」「何がご要望ですか」「秋谷の南葉亭でスープカレー...」近いっちゃあ近いが、遠いっちゃあ遠い。「車で行きますか。歩き疲れて、今日はもう自転車は無理!」  【WeFive-YouWereOnMyMind】 近いっちゃあ近いが、遠いっちゃあ遠い

  • すぐに思い出せないという『幸せ』

    (op.20250207-2/Studio31,TOKYO) 今までで、人生最悪のいち日って、いつだったろう...。すぐに思い出せないという『幸せ』。【TheDivineComedy-MakeItEasyOnYourself】  すぐに思い出せないという『幸せ』

  • 嘘ばっかり...

    (op.20250207/Studio31,TOKYO)『仕事が押して約束に遅れそう』と、水口イチ子から慌てた様子のLINE。ということで、イチ子は三十分の遅刻。「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ...」でも、今日は木枯らしが吹いて、交通機関に少し遅れが出ていた。「ぼくだって遅れて、さっき着いたばっかりだよ」「嘘ばっかり...」とイチ子。   【TomPettyAndTheHeartbreakers-INeedYou】  嘘ばっかり...

  • 低気圧

    (op.20250206-3/Studio31,TOKYO)  雨が近いみたい...。  【FrancisLai-Hello-Goodbye(OriginalMotionPictureSoundtrack)】 低気圧

  • クールでクレイジー

    (op.20250206-2/Studio31,TOKYO)きみは最高さ——ぼくが初めて知った、いちばん『カッコよくて』、いちばん『どうかしてる』女だった。  クールでクレイジー

  • どうでもいい目的を設定することさえある

    (op.20250206/Studio31,TOKYO)  旧知がたまに集まってご飯を食べたりするとき、何故か理由付けしがち。適当なものが見つからないと、ムリヤリ『祝旧正月』など、(笑ってしまいそうだが)どうでもいい理由を付ける。成り行きで、早めに出かけ、旧正月の初詣。  ムリヤリどうでもいい理由を付ける

  • なかなか思いどおりにはならない

    (op.20250205-4/Studio31,TOKYO) 写真は、撮りたいと心から願う対象がないと、なかなか上手くならないもの...。写真理論は学校で習わずとも学べるが、トリミングとシャッターチャンスは生まれながらのセンス——どちらも、きみの心同様、なかなか思いどおりにはならない。  なかなか思いどおりにはならない

  • パラダイスコーブ

    (op.20250205-3/Studio31,TOKYO)  30年くらい昔の写真。マリブのパラダイスコーブへ行きたいと言う。ビーチボーイズのアルバム写真が撮影されたという案内板は、本当に立っているんだろうかと確かめる気いっぱい。日本では、湾ほど大きくないが小さな湾を入江と呼んで、ナントカヶ浜とかナントカヶ浦のような名称が付けられていることが多い。英語圏ではBayより規模の小さい湾はcoveと呼ばれ、日本語訳でも小湾、入江とされている。  <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc="https://blogparts.blogmura.com/parts_image/user/pv11138716.gif...パラダイスコーブ

  • Crimson Clover

    (op.20250205-2/Studio31,TOKYO)ある日閃いた言葉は”ShortStory”と題された小さなノートに書き留められる。単語であることもあれば、フレーズであることもある。それらは言わば種子、言わば苗。生育の早いものもあれば、何年もかかるものもある。中には発芽しないものも多い。例えば、この言葉”CrimsonClover”——これが発芽して、どのように育つかは、土壌たる作家の精神風土、正にその質に関わっている。  CrimsonClover

  • 每朝の洗面のように行うのが『継続』的な意味

    (op.20250205/Studio31,TOKYO)  『継続は力なり』と古い人達から耳にタコができるくらい聞かされてきたが、それだけ周知のことなのに励行されている例は言われているほど多くは見かけない。まず、『継続』の意味の普遍的な認識が正しく為されていないのだろう。『週イチ』は週一であって継続とは言い難い。『月イチ』は月一であって、同じく継続とは言い難い。每朝の洗面のように行うのが『継続』的な意味であって、特に芸術分野では、そうしないと必須のテクニックが維持できない。  每朝の洗面のように行うのが『継続』的な意味

  • 四分の三絞りオーバー

    (op.20250204-3/Studio31,TOKYO)  日暮れ間近。西日差す、茅ヶ崎の海で...(今日は四分の三絞りオーバー)。帰って、夕飯の後、何か短いものを読み聞かせしてあげましょうか、とイチ子さん。  【BuffaloSpringfield-OntheWayHome】 四分の三絞りオーバー

  • 必ず出来不出来がある

    (op.20250204-2/Studio31,TOKYO)  如何なる創作物(人が作るもの)には必ず出来不出来があるもので、その振り幅を少なくするのが作る人の腕の見せ所——しかし、それを実現できる人は、ほんのわずか。  必ず出来不出来がある

  • 頁に停まる言葉

    (op.20250204/Studio31,TOKYO) ”ShortStory”の頁に停まる言葉——春、木蓮、連翹、花水木...。【BelleandSebastian-AnotherSunnyDay】 頁に停まる言葉

  • 珊瑚礁を吹く風

    (op.20250203-3/Studio31,TOKYO) 白波が浅く砕けるリーフの一角に幅三ヤード程の狭い水路が切ってあって、本島からは小型のボートでその島に渡ることが出来た。島と言っても引き潮の時にテニスコート四面程の白い砂地が顔を見せるだけだから、厳密にはやはり珊瑚礁なのだろう。今朝、食事の後、ホテルのテラスでムーアヘッドの『恐るべき空白』を読んでいたら、少し顔見知りになった年配のウエイターが、比較的聞き取りやすいコックニー英語で話しかけてきた。「フロント・デスクに言えばフィンとボードを貸してくれますから、リーフまで遊びに行ってこられたらいかがですか。風も穏やかですし、それに今日は、ちょうど昼過ぎから引き潮になるのでタイミングも良いです。送り迎えは、ホテルがボートを用意しますから...」*そう言わ...珊瑚礁を吹く風

  • 誰も答えてくれない

    (op.20250203-2/Studio31,TOKYO)  推敲...。1.選択、採用した言葉の点検、確認。2.語尾の音の重複回避。3.文章、論理、ともに『無理な省略がなされていないか』吟味。4.さらに『音読した時のセンテンスの長さが不自然なバランスではないか』の調整。つまりこういうプロセスを経て、初稿に手を入れることにより失う、純粋な真実がある。これを取り戻す手段は、テキストのバックアップがない限り、方法はない。となれば、さっさとそのこだわりを忘れてしまうか、あきらめるかしかない。*ただ『好きだ』と言えばすむところを、美文を連ねたばかりに不格好になる真実——それは、下手に刈り込まれた庭木を鑑賞するのに似ている。「じゃあ、うまく刈り込めば良いじゃないかって?そりゃあそうだ。だけど、切り落としてしまって...誰も答えてくれない

  • いつもピンボケ

    (op.20250203/Studio31,TOKYO)  デジカメは勝手に被写体にピントを合わせてしまうので、なかなかピンボケ写真にはお目にかかれない。ならばマニュアル撮影でわざとピントを甘くして撮ればいい——次にそれを絵画に起こす場合、ピンボケのまま描くのはどうすればいいかと迷っていた時期があった。結局、無駄にクッキリ描こうと努力しなければいいだけのことだったのだが、それに気付くまでには、結構な時間がかかった。  【PaulYoung-EverytimeYouGoAway】 いつもピンボケ

  • 海岸段丘

    (op.20250202-4/Studio31,TOKYO)  この海岸段丘は、静岡か千葉か、はたまた沖縄だったか。  【TheLadyShelters-ISayaLittlePrayer】 海岸段丘

  • 若山牧水とお米のジュース

    (op.20250202-3/Studio31,TOKYO)  葡萄をギューッと絞ったのが葡萄ジュース。蜜柑なら蜜柑ジュース。麦なら麦ジュース。米ならお米ジュースと言うことになる。神社のお作法に詳しい方なら『日本の神様が一番好み、かつ貴重なのがお米ジュース』なのはよくご存知だろう。お祭りでは、神社をお神輿が出発するときに、神前に供えたお米のジュースのお下がりを神社委員、神輿会一同で頂き、神様の加護を請う。*さて、酒好きの歌人若山牧水は、日々の生きるカロリーをお米のジュースから得ていたが(そうとしか思えない)、それで空腹を覚えないなら民族的に理想的な栄養摂取方法だ。必要なビタミン・繊維質は、ツマミの漬物があれば良かったのだろう。ところで、文章というものは、事象を表現するとき、条件としての字数が少なければ少な...若山牧水とお米のジュース

  • ぼくは少し緊張するのだった

    (op.20250202-1-2/Studio31,TOKYO)  年ごとの夏の終わり、ふと心に沸き立ち、何度も繰り返されてきた想い。それは、夕暮れの避暑地の古いホテルのテラスだったり、はたまた早朝、狭小な海峡を見下ろす急な坂道を降っていた時だったり、あるいは、陽が落ちて街に火が灯り、どこからかロッシーニの序曲でも聴こえてきそうな南欧のとある湖畔でのことであったり...。晩夏、きみのその白いリゾート・ドレスの襟元から覗く、日焼け跡のマーブル模様の肌が、そろそろ吹くだろうこの秋最初の風を予感させる。振り向きざまに、「この夏もこれでお終いね」ときみが言い出しでもしないかと、ぼくは少し緊張するのだった。 【JuiceNewton/Love'sBeenALittleBitHardOnMe】  ぼくは少し緊張するのだった

  • フェルメールの謎

       午后、イチ子さんと恵方巻を食べながら『フェルメールの謎~ティムの名画再現プロジェクト~(2013)』を観る。フェルメールは、写真が発明される150年前にレンズと鏡を使った『カメラ』のようなものを進化させ、実験していた、という説の証明ドキュメント。ただし、そのフェルメールもフイルムまでは発明できず、現代の『フィルム+印画紙』の役割を『描写技術+キャンバス』に代行させた、を検証。絵描きでもないアメリカの発明家ティム・ジェニソンは、この実験において人生初めての油絵で、フェルメールの『音楽の稽古』を完璧に再現する。絵描きだけではなく、写真小僧にも面白い作品だろう。   <ahref="https://blogmura.com/profiles/11138716?p_cid=11138716"><imgsrc...フェルメールの謎

  • ピーナッツバターを買い忘れた日

    (op.20250202/Studio31,TOKYO)また喧嘩した。【TheBandPerry-GentleOnMyMind】ピーナッツバターを買い忘れた日

  • 随分長いあいだ

    (op.20250201-2/Studio31,TOKYO) 夏の夕立が走り抜けたあとに漂う匂い——随分長いあいだ —— 激しい雨脚に舞い上がった、ただの土埃の臭いだとばかり思い込んでいた。実は、ペトリコールという、れっきとした学術的な名称があるというのだ。【CillaBlack-MakeItEasyOnYourself】 随分長いあいだ

  • ガムシロップ

    (op.20250201/Studio31,TOKYO)  この半世紀、イチゴの生産主力が露地物からハウス物にシフトしたために、旬が早まった。味や香りは露地物の方が良いが、お正月に合わせ、高価な初物として出荷したい業界の作戦だから仕方がない。ハウス物は酸味が強くなりがち。だから、補糖して美味しく頂きたい。昔はコンデンスミルクをかけたりもしたが、イチ子さんは、それ用にもっぱらガムシロップを作る。  【TheFlyingMachine-SmileALittleSmileForMe】 ガムシロップ

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