吊り橋のワイヤーが刻む夕焼け み
ありがとう 閉店告げて年度末 み
裏木戸に閂(かんぬき)を掛け桜まじ み
居眠りのできぬ騒ぎや花の影 み
またも夜桜に出会っちゃった迂闊 み
正社員が復帰、『出替(でがわり)』で無職 み
浮子(うき)を投げ欠伸も出るよ春薄暮(はるはくぼ) み
地下道を出れば桜の国にいる み
生徒手帳は卒業式で捨てた が
種袋を振ると眠たげな返事 の
春昼や僅かながらも還付金 み
孤食の皿に目刺はどーんと臥す み
固茹(かたゆ)での黄身を裏漉(うらご)し咲くミモザ み
切通しに鶯(うぐいす)のエコー、エコー み
春休み、通用門で身分証 み
タンポポは踏めるものなら踏んでみよ み
外務省の人らと流氷を見る み
喩(たと)えれば片栗の花に与(くみ)する み
尋(と)めゆきて涅槃(ねはん)を覗(のぞ)く雪の果 み
スミレはこの色だったか薄曇り み
挿し木で殖(ふ)える能力。いつ獲得 み
水温む。粉じゃないのに「歯磨き粉」 み
お土産の埴輪を値切る三月や み
沖の小雨の影は雁の別れ(かりのわかれ)か み
蔦の芽(つたのめ)は世界征服を企む み
お似合いと言われて微妙な春服 み
春愁(しゅんしゅう)はレシートに膨らむ財布 み
合格した花が店先に並ぶ み
重力の漣(さざなみ)に浮く春の星 み
ブラウン管テレビは雛を飾れた み
残雪に声でも文字でもない歌 み
侘(わび)しさよ椀にみつばを浮かべても み
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吊り橋のワイヤーが刻む夕焼け み
街灯が点(つ)くをためらう夏夕べ み
夏富士に その軽装? そうなんです み
居酒屋でウミガメのタマゴを食べた み
「扉を閉めて」と鳴くのか冷蔵庫 み
夏布団を蹴り上げ、くるっと回す み
ただ、氷河時代の終わりが来ている み
グローブのクリームパンの雲の峰 み
船乗りの歌は夏風、重い明日 み
ハイビスカスの庭にジープを停める み
水牛の背が臭う、ブーゲンビリア み
夏の雨にテールランプの点描 み
ハンゲショウの花が「ここよ」と誘惑 み
解剖医もカーボーイも玉の汗 み
蝸牛(かたつむり)は平和になっては困る み
蛙が鳴いている夢。ここはどこだ み
新橋のこの位置は弱冷房車 み
籐枕(とうまくら)に鋏まれて抜けた白髪 み
仏法僧(ぶっぽうそう)と鳴くは木葉木菟(このはづく)なり み
クリーム色の電車で菖蒲園へ み
三角のスイカにおまじないの塩 み
隣席の扇子、汗の臭いを撒く み
百日紅(さるすべり)は庭箒(にわぼうき)もピンク色 み
夏負けに鏡は「どちらさま?」と問う み
湯畑の煙が竦(すく)む炎天下 み
フェラーリもオーバーヒート気味に灼く み
野外授業に固執し熱中症 み
強引に雨の季節に七夕よ み
日本銀行券(にっぽんぎんこうけん)が欲しい小暑 み
電車待つ脹脛(ふくらはぎ)、蚊の刺され痕 み
鮎釣りの前泊の夜半(よわ)、雨催い み
雨傘よりも日傘が相合傘 み
「もう帰るわ」という目で団扇(うちわ)を置く み
黒百合よ市民らとリスクを語れ み
毒々しき色の蛙もケロケロ み
幕電(まくでん)か、暗雲が金塊と化す み
しゃぶしゃぶという食べ物があったよね み
バニラ、ラムレーズン、ミントチョコチップ み
氷雨ボソボソ、コンバーチブルの屋根 み
ラムネの栓がプラスチックの無粋 み