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2023/12/01

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  • 穴惑

    床擦れは耳にもありや穴惑 ある夜、耳が痛いと言う。脊椎間狭窄症の後遺症で腕や足の痛みを訴えること

  • 葉桜

    父退院帰路は葉桜ばかりなり これを退院というのだろうか。やせ衰え、立つこともできず、ことばもほと

  • 何者

    何者といふべきものになれぬまま かはたれのわれ たそかれのわれ 「かはたれ」「たそかれ」。どちら

  • ひこばえ

    死してより父とは言葉ひこばゆる 父はことばの人であったと思う。若い頃から仕事にも家事にも本当にま

  • 問うておき話を聞かず餅食ふか 母は以前ほど喋らなくなった。ことばが出てこないせいもあるのだろうが

  • 秋日

    母の便摘まんで出せる秋日かな 出た便の処理はまだいい。下痢便で大惨事ということもないわけではない

  • 母に摘む今年の苺匂ひたる 苺は秋に苗を植えて、翌年の春に収穫する。一度苗を買うと、そこから蔓(ラ

  • 祝いのことば

    今日はぼくの誕生日だよと母に言へば掛けてくれたことばは「おはよう」 母の語彙が痩せていく。それに

  • 春の星

    春の星にじめる人を母とおもふ 努力をする母を見た記憶はない。口癖は「しんどいよ。せんよ」だった。

  • 毛布

    遠からぬこと思ひつつ毛布掛く 父や母が80歳を過ぎた頃、一緒にいられるのもせいぜいあと7、8年だ

  • 野分

    野分めく母より逃ぐる二メートル 珍しく母が怒った。機嫌の悪い日はあっても、他人に対して激しい口調

  • 虹出でて老母の便も出でにけり 母の便が出ると、機嫌が直る。母ではなく私の。介護生活の喜・怒・哀・

  • 桃の花

    菓子握りしめたる老母桃の花 母は糖尿病である。毎日私がインスリン注射をうつ。当然、医者からは「甘

  • 寒卵

    寒卵老母の糧の限られて いまの母は、肉と魚はほとんど食べない。うまく飲み込めないらしく、たいてい

  • 子規忌

    子規の忌のもう一献は律さんへ もし子規の時代に介護ベッドがあったら……。あるいは車椅子があったら

  • ご挨拶

    ようこそ、俳介護のページへ ご訪問いただき、ありがとうございます。 本サイトは、老母を介護する日

  • 合歓の花

    老母まだおとぎの国に合歓の花 母が寝言をつぶやいている。その顔が笑っている。きっと楽しい夢を見て

  • この人が好き

    やはらかな目覚めの顔で「幸彦か……」とつぶやく母よこの人が好きだ 幸せよりも幸いがいい。もちろん

  • 春曙

    春曙エンドレスなる母の問ひ 主語も目的語もない。曙に目覚めた母が、「1にしたらどうなる?」と問い

  • 雪女

    雪女出でぬか母狂へるいま とは言え雪女にも都合はあろうが、母をどう宥めても収まらない日などは、い

  • 星月夜

    さみしさが母から香る星月夜 身体がさみしさを発している。その夜、ベッドに三日月のような形で眠って

  • 素足

    浮腫なき母の素足の小さきこと 母の足は夏でも冷たい。そして、いつもむくんでいる。心臓の機能が衰え

  • 紙風船

    紙風船しぼみて子なる時了る 母が私の名前を呼ぶことはほとんどない。息子だと認識している時間はある

  • 冬菫

    冬菫ちよんと突いて母を看に 「菫程な小さき人に生れたし」(※)夏目漱石。ある解釈には、この句の「

  • 秋の夜

    秋の夜の母の入れ歯の大・捜・索 ついに入れ歯は出てこなかった。車椅子のクッションの下、枕カバーの

  • 打水

    打水をして往診の刻まだし 往診を待つ間というのはどこか落ち着かない。足を骨折して車椅子生活になっ

  • 父にもありけむ

    母が吾を摩ってくるることもあり父にも然るときやありけむ 母が私をさすってくれる。母のベッドを低床

  • わが父は献身の人梅真白 父や母を詠んだ句に「わが父」「わが母」と詠んだ句はほぼない。もっともだ。

  • 風邪

    三分の一ほど風邪という老母 母の嚏は一回では終わらない。なぜか一度くしゃみが出ると、十回近く続く

  • 虫時雨

    目を閉ぢて脈をとりをる虫時雨 指先に神経を集中する。母の手首の親指側を押さえて脈をとる。母の脈の

  • 胡瓜

    臍曲げて厨に寝たるきうりかな もちろん臍を曲げているのはきゅうりではない。だが、母の機嫌を損ねて

  • 胡瓜

    臍曲げて厨に寝たるきうりかな もちろん臍を曲げているのはきゅうりではない。だが、母の機嫌を損ねて

  • 人の密度

    わが母は朧なれどもぎゆつと人詰まりて人の密度は高し ああ、これが母なのだ。認知症が進むにつれて、

  • 亀鳴く

    亀鳴けど聞こえぬ母の耳掃除 子どもの頃よく母が耳掃除をしてくれた。大きな耳垢が取れると嬉しそうに

  • 冷たし

    こは左そは右と着す手が冷た 袖の中でつかまえた母の手は冷たかった。朝、体温と血圧・脈を測り、おむ

  • 冷たし

    こは左そは右と着す手が冷た 袖の中でつかまえた母の手は冷たかった。朝、体温と血圧・脈を測り、おむ

  • 冷たし

    こは左そは右と着す手が冷た 袖の中でつかまえた母の手は冷たかった。朝、体温と血圧・脈を測り、おむ

  • 手にほのと桃の匂ひやおむつ替へ いま母は一人では用を足せない。「おしっこ」と言われると、目の前の

  • 手にほのと桃の匂ひやおむつ替へ いま母は一人では用を足せない。「おしっこ」と言われると、目の前の

  • 汗かかぬ老いを介護の玉の汗 母はほとんど汗をかかなくなった。狭心症や不整脈といった心臓病を抱えて

  • 汗かかぬ老いを介護の玉の汗 母はほとんど汗をかかなくなった。狭心症や不整脈といった心臓病を抱えて

  • 春風

    春風に母を洗ひて日に干せり リアルにいのちの洗濯だ。九十歳を過ぎた母と共に暮らしていると、「いの

  • 春風

    春風に母を洗ひて日に干せり リアルにいのちの洗濯だ。九十歳を過ぎた母と共に暮らしていると、「いの

  • 元旦

    元旦も老母の背中掻いてをり 季節も月日も時間も母には関係ない。ただ、内なる要求のままに、食べて寝

  • 元旦

    元旦も老母の背中掻いてをり 季節も月日も時間も母には関係ない。ただ、内なる要求のままに、食べて寝

  • 初秋

    初秋や母のいのちの坂いくつ 九月を過ぎるとほっとする。五年前の九月、母が徐脈で入院した。そのまま

  • 初秋

    初秋や母のいのちの坂いくつ 九月を過ぎるとほっとする。五年前の九月、母が徐脈で入院した。そのまま

  • どうぞご無事で

    地震・津波の被害に遭われた方々、どうぞご無事で・・・。

  • どうぞご無事で

    地震・津波の被害に遭われた方々、どうぞご無事で・・・。

  • 明易

    明易の母のお襁褓に夜の重み 二回分・四回分・六回分。何かの回数券ではない。紙おむつの種類である。

  • 明易

    明易の母のお襁褓に夜の重み 二回分・四回分・六回分。何かの回数券ではない。紙おむつの種類である。

  • 一万回

    一万回母を傷つけしその口で吐いてしまへり一万一回目のことば 本当は一万回どころではない。これまで

  • 一万回

    一万回母を傷つけしその口で吐いてしまへり一万一回目のことば 本当は一万回どころではない。これまで

  • 石鹸玉

    石鹸玉透けて記憶を病める母 『認知症』という病名に抵抗がある。では、どんな病名がよいか。一時期『

  • 冬の雷

    冬の雷母の陰より響くごと はじめて老母の陰部を拭いた。私にとって、それは衝撃だった。その時の感覚

  • 小鳥来る

    パンを手に眠れる老母小鳥来る 一年の四分の三は母と家にいる。父が死んでから、常に母の傍にいられる

  • 夕焼

    夕焼けて母はわが家に迷子なり 夕暮症候群というらしい。認知症の人が、夕方になると不穏になったり、

  • 春の蚊

    手もことば伝へたれどもわれの手のことば足らずを春の蚊が刺す 介護は、手がいのちだと思う。介護の大

  • 草餅

    草餅やいまは老母の頬を拭く 食べ物を口に運ぶ。当たり前だと思うこんなことが出来ない時がある。それ

  • 水洟

    吾の手で水洟拭ふ老母、こら! 鼻水が拭ければ何でもいい。母が自分の考えをことばに出来たら、そうと

  • いわし雲

    いわし雲いつ止む母の一人言 幻と喋っているのだろうか。そんな日もあるが、これは会話というより、声

  • 炎昼

    炎昼の床を濡らして母がゐた なにが起きた? 廊下に立つ母の足元が濡れている。失禁したのかと思って

  • 着替え

    母に脱げと言へば着せたる父が脱ぐ朝の着替への遅々と進まず 介護の家はときに喜劇だ。父母ともに介護

  • 母朧介護の父も朧めく 迂闊だったのは私だ。「そうか、幸彦は息子やったんか。これは迂闊やったなあ…

  • 風花

    風花や母の下着を干す父に 母が病んだからというわけではない。共働きのわが家では、若い頃から父は炊

  • 秋灯

    秋ともし母の徘徊数十歩 心臓が止まるかと思った。まだ父が生きていた頃のことだ。秋の夜、車で家から

  • バナナ

    母病みてある日抽斗よりバナナ いま思えば、あれが前触れだった。ある日、食器棚の引出しから食べかけ

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喜怒哀『楽』の徘介護
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