喜怒哀『楽』の徘介護

茶の花

茶の花や灯ともさず父と母 もともと父も母もかなり暗くなるまで電灯を点けなかった。父の家に電気が通

2024/07/31 08:18

露草

露草が濡れてゐるからもう泣けぬ 父が死んでから4年。もう幾度となく泣いているが、まだ思い切り泣け

2024/07/28 10:01

待宵草

父偲ぶ待宵草の咲くやうに 宵待草のことを月見草と混同している人が多いという。実は私もそうで、歳時

2024/07/25 06:43

ことばなき会話

病みてことば発せられざる父の脇に体温計はさめば冷たしという顔 父はことばが発せられなくなっていた

2024/07/22 08:45

啄木忌

母の名はすべて代筆啄木忌 母はもう文字を書くことが出来ない。だから、書類に母の名前を書くときはい

2024/07/19 09:53

雑煮

老母が雑煮食ふとき姉弟会話止む 注視するとき、自然と口は閉じる。さっきまで姉と話をしていても、母

2024/07/16 09:45

花野

老父母の気づけば遠き花野かな あれで良かったのかと今でも考える。亡くなるまでの2，3年は、活動的

2024/07/13 11:04

蛇

父逝きてもの言ひたげな蛇出でし 生まれ育った山間と違い、いま住んでいる場所ではほとんど蛇を見かけ

2024/07/10 07:50

缶切り

缶詰が父より届くそのたびに共に入りたる缶切り増ゆる 父は気遣いの人であった。進学して一人暮しを始

2024/07/07 10:45

花の雨

納骨を終えたる友や花の雨 昨年の1月、友人のお父上が他界された。群馬のご実家で、認知症の奥様（友

2024/07/04 09:27

雪

降る雪を父と歩めるごと歩む ふとした折に父の気配を感じることがある。亡くなった4年前のお盆は、故

2024/07/01 07:16