こうしたタヴェルロゼの特質を理解するためには、それと対照的なスタイルとして、プロヴァンスのロゼや他国の伝統的ロゼを参照することが有効だと僕は思う。 とくに「コート・ド・プロヴァンス(Côtes de Provence)」、「ロサード(Rosado)」、「キアレット(Chiaretto)」の三例は、それぞれの地域文化と醸造哲学を背景にしたロゼの多様性を示している。 ①プロヴァンス・ロゼ(Côtes de Provence AOC) プロヴァンスは、世界的に「辛口・淡色・軽快・フレッシュ」というロゼのイメージを確立させた地域である。最大のAOCであるコート・ド・プロヴァンスでは、年間生産