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  • 第822日 新しい人類

    新しい人類新しい人類はどんなものになるだろうなどと想像してみるのもちょっと乙かもしれない知的な探究を怠らず周りに調和ある美しい世界を創り他者には淡泊に優しく接するそんな人間が増えたらいいかなそういう人間が造る社会はあまり活気はないかもしれない欧州のどこかにはありそうな気もする悪や混乱がないと進歩もない?まあそういう情況でしか陶冶できない人間ばかりというのが現状なのかね第822日新しい人類

  • 第821日 好きなこと

    好きなこと好きなことばかりやっていられるほど人生は短くない長いよ人生は好きなことでもそう長続きはしない少なくとも半分以上は黙々と働くしかない四の五の言ったって仕方ないなぜかそういうふうにできてるんだからまあ五分の一くらいはやりたいことをやれるかもしれないそれが見つかったら万々歳もしかすると黙々と働く中で得ることのほうが多いのかも好きなことなんかなくてもいいのかも第821日好きなこと

  • 第820日 逸脱

    逸脱自分が何者かを考え続けてついには病気に至るなどという芸当を人工知能はやれないだろう自分を支えている基体から抜け出てまったく秩序の違う世界を体験するという離れ業も人工知能はやれないだろう知能はいくら重要だと言っても人間の精神そのものではない人間の精神はたくさんの奇妙な営みを行っているその逸脱こそが存在意義だ第820日逸脱

  • 第819日 無益な真理

    無益な真理ほとんど役に立たぬ真理というものがある役に立たせるにはわれらがあまりに愚かなので人間の心はある条件が揃えば途方もない能力を発揮する時には物理法則を超える力さえそれもまたそうした真理の一つそうした真理に人は背を向ける罵詈雑言さえ浴びせ掛けるなぜか癪に障るらしいそれらに目を向けられるようになるほど人間は進化するのだろうかそうなったら人間は今の人間ではなくなるだろうか第819日無益な真理

  • 第818日 時空の向こう

    時空の向こう時間や空間がないそんな状態は思い描けない考えることができる天才に任せておくしかない時間や空間を自由に飛べるというのなら楽しい全宇宙の過去未来を見られるならどんな目くるめく体験になるだろうそれが可能になるならその上にはどんな営みがあるのかそこには別の時間空間があるのかただそれを読み続け創造を続ける純粋な流出のみがあるならばそれは時間空間を超えるのかもしれない第818日時空の向こう

  • 第817日 貧灯

    貧灯半世紀前日本の家々はどこも貧乏くさく暗かった今の若い人には想像もつかないほどひたすら明るくすることが豊かさだったそして無機質な蛍光灯を付けまくった室内はひどくのっぺりしたものになった今は電球色にしたり薄暗くしたり昔のような光への飢えはなくなったらしい豊かさを十分堪能したからかいっそ昔の侘びしい暗さに戻ったらどうか夜は少し恐くなるだろう闇の中に何かが現れるかもしれない第817日貧灯

  • 第816日 出生前の私

    出生前の私私が生まれる前に私はいたのか私がこの人生を選ぶ時に私はほほえんだのかその私に私はどんな顔を向ければいいのかすまんしくじったと恥じ入るのか少しは片付いたぜと苦笑するのかもう少しましなのはなかったのかと抗議するのかまあこんな程度のものだったと顔を見合わせて苦笑するのか少し哀しげにわずかに得たことは己の愚劣を骨身に沁みて知ったことそれが何になるのかはその時にわかるだろう第816日出生前の私

  • 第815日 米食

    米食米というものはありがたい食べ物だけれどなぜか少しばかり引っ掛かりがある何がどうだとはっきりしないが貧しかった時代の日本ではわずかなおかずで米ばかり食っていたその反動で豊かになった日本では米を大食するのは貧しさの印のようになった何と罰当たりなことか稗粟を食べていた昔の人には米はとてつもないご馳走だったのにその国の伝統的主食というものは何かしら歴史の影を含んでいる米の奥にはその影の味がある第815日米食

  • 第814日 解釈

    解釈世界は無限の解釈が可能だそれぞれは正しいのに矛盾し合う解釈もある古典力学と量子論はそれぞれ正しいが矛盾する個人の合理的行動が集合になると非合理になる解釈がいくら正しくともそれは世界ではない世界はその向こうにあるそれでもわれらは新しい解釈を求める世界は無限の解釈で豊かなカオスになっていく第814日解釈

  • 第813日 垂直幻想

    垂直幻想さらに深く底の底まで掘りさらに高く天の頂まで昇るその垂直の運動こそが知るという作業だただ平面だけを眺めていても過ぎ去っていく風景に過ぎない平面世界は歩きやすいけれども面白みがないそして時折裂け目に落下する魂の本質は垂直運動にあるわれらは天から降り天に還るのだから第813日垂直幻想

  • 第812日 絶望

    絶望絶望を味わうために人は長生きするのか絶望を味わうことが魂には必要なのか希望に胸膨らませてあるいは希望にすがりついて人は生きるだがそれも老いれば終わる絶望の中に静かにたたずむこの不条理は何を隠しているのかと問いそして累々たる絶望の荒野の向こうになお何かの光があるかどうかじっと目を凝らすしかない第812日絶望

  • 第811日 暴雲

    暴雲台風の前の雲はサラリーマンのようにせわしなく作り手の技もおざなりでいつものような趣はないただ時折本体がすっ飛ばした大かたまりがやってきて厖大な水をぶちまけるその荒々しさはいいどうしてこれほどの水が空の高みに蓄えられるのかいくら科学が説明しても不思議だああ雲は水なのかと改めて驚いてもやはり雲は雲で水ではない第811日暴雲

  • 第810日 les imaginaires

    lesimaginaires目には見えぬもの手では触れ得ぬもの言葉にはならぬものそれを想像しなければならない見えるものも触れ得るものも言葉も過ぎ去って消えるけれども想像されたものは消えることはないこの世を去った後はそれがわれらの住み処となりわれらの食べ物になる想像的なものをわれらはこの世で養わねばならぬ重い実在と苦闘しながら第810日lesimaginaires

  • 第809日 魂の色

    魂の色人の喜びは大体似たようなもの人の悲しみ苦しみは千差万別つまり悲しみ苦しみこそが個性ということ悲しみ苦しみがあるのが当たり前いやなければいけないそれが個の色を生み世界の豊かさを創る悲しみ苦しみを悲しみ苦しめばいいそのことを嫌がらずにそうやって削り叩いた魂の姿がどこにもない色を輝かせるそれは世の栄華よりも貴い第809日魂の色

  • 第808日 煮込み料理

    煮込み料理煮込み料理を作るのは楽しいたくさんの素材が溶けて融合し得も言われぬ味を作り出すのは錬金術の魔法のようだ味付けを失敗すると悲惨鍋一杯がゴミになるどう足掻いても取り返しはつかないううむわが人生に少し似ているかわが心の煮込み料理は煮られるのを拒否する塊や入れすぎた調味料で惨憺たる有様それに較べればわが煮込み料理はなかなかの秀作質素であっても調和が取れている第808日煮込み料理

  • 第807日 塩振り

    塩振り酢キャベツを作るためにキャベツに塩を振るザル一杯のキャベツが半分以下になる「青菜に塩」はもう死語かかさばっていた葉っぱがしゅんと萎れるけれどうま味は増す青菜に塩は悪いことではない世にかさばっている方々にも塩を振って差し上げたいがまあそうも行くまい自分にも塩を振ろう凝縮してうま味を増すかそれともナメクジのように消滅するか第807日塩振り

  • 第806日 感情残滓

    感情残滓内なる感情はひどく厄介だ捉えにくいのに強力な魅力を持つ固着していつまでも生き残る遠い日々の感情が朦朧としたまま人を操る心は育っていくのに古い感情が足を絡め取るその中に浸るよう誘うこの夕暮れの哀しみもやわらかな風の悦びも気の遠くなるほど古い感情の残滓第806日感情残滓

  • 第805日 閃光

    閃光神は内にいない内には受信器があるだけ神は外に現われない受信器を通してかすかに探るだけ受信器は頼りないそこに残された言葉に光は宿っていない漆黒の海に一瞬の輝きが走っても航路は覚束ない第805日閃光

  • 第804日 失われた夏

    失われた夏夏の終わりを味わうために冷房を消して窓を開ける汗が滲んでくるがそれも今日までと思えば楽しい夏はあまりに苛酷になり冷房はあまりに快楽となりわれらは夏と生きることをやめた何という大きな欠損冬に部屋で暖まるのとは違うわれらは一つ季節を失ったのだ最も生命力を高まらせる季節をやがて春も秋もこうして失われていくのだろうかこの地に生きることの魅力が第804日失われた夏

  • 第803日 人類の夢

    人類の夢人類の夢はまだ存在するのかかつてはおぼろげでもあったような気がする世界平和は絶望的宇宙移住は色褪せた貧困の撲滅は愚かさに阻まれ科学の福利は地獄の相貌を帯びる私が思い描く人類の夢はすべての人が真と善と美の信徒になること賛同する人はいないだろうが誰でもいい何でもいいから人類の夢を示してくれないか小手先の問題解決ではなく第803日人類の夢

  • 第802日 裸雨

    裸雨露天風呂の休憩椅子で雨を浴びる全身で感じる水の粒が気持ちよい地球の全生物を貫いているいのちの織り糸に少しばかり触れたような壮大な妄想服と寒さがなければ雨は忌避するようなものではないなどと強がってみるそんな私を嘲笑うように雨は本降りになり私は震えて温かい内湯に逃げ込む第802日裸雨

  • 第801日 天文学

    天文学幼い頃天文学者になりたいと思ったけれどその後しばらくして夢は消えたきっかけは北斗七星が何万年かするとあの形ではなくなると知らされたからあの落胆は覚えている星々もやがて移ろっていく幼い私の無常体験か永遠なるものへの想いはけれどなくなったわけではない今も心の最奥の渇きとしてある第801日天文学

  • 第800日 時――啓示

    時――啓示解き放てお前をお前の時の中へお前の中にお前のすべての時はある何ものも失われることなく何ものにも侵されることなく目の前の世界よりも豊かに裁くな判定するな苦さ悲しさは拾わずただその光と色と香りとそこにある魂の震えと思いを味わい尽くせ誰もが自分だけの時を持っているのだ世の時とは別の真っ直ぐには流れず終わりもなく始まりもない時をそれを喜びとともに抱きしめろ時はいのちそのもの存在そのもの神の息吹き創造の果実お前そのものその無限の豊かさに身を浸せ第800日時――啓示

  • 第799日 黄斑変性

    黄斑変性右の眼がだめになりつつある盲点が拡がって焦点の左隣あたりが見えない普段は両眼で見るから別にどうということはないけれど時折見ようとするものが見えないその時は右眼主導になっているらしい老眼鏡を掛けると左右でものの大きさが異なるそれでもものは見えているどうも脳はとてつもないことをやっている右と左の画像を合わせるのではない脳自体が物の姿を作っているのか第799日黄斑変性

  • 第798日 少年時代

    少年時代少年時代は美しくなどないあまりにも未熟であまりにもいびつで妙な妄想は繁茂するし人との関わりは支離滅裂だし身の程も知らず偉そうにするし学校生活など魔界に近いけれど少年時代に感受した理想や美の輝きは他に較べようがなく鮮やかだ内の輝きと外のいびつさのあまりの隔たりけれどそれこそが実は人間そのものの姿かもしれない第798日少年時代

  • 第797日 夜雲

    夜雲夜の雲は時折ぞっとするほど恐い闇を背景にもぞもぞと蠢く灰色の生き物太陽エネルギーを受けていないのにその残滓の気熱を栄養として眠りに落ちた野や街を怪しく睥睨していく昼の輝かしい高貴さと打って変わって眠らずに変なことを考えている人間を攫って行こうと狙う魔物夜の地球をこういう魔物が埋め尽くし彷徨っている首をすくめて私は寝床に入る第797日夜雲

  • 第796日 凪

    凪心も頭も動かない不快な凪が何日も続く詮ない繰り言ばかりがわが身を削る本を開いてみても街を彷徨ってみても酒をあおってみても心も頭も反応を返さないやがて風はまた吹くいつもそうだったではないかそう言い聞かせても虚しく人生のどのくらいがこの苦しい凪で費やされてきたかそれもまた空しい繰り言第796日凪

  • 第795日 色

    色われらの粗雑な眼は色を三つの要素でしか見られないが色は無限にある不可視のものもあるマイヤーズ先生の教えでは超創造界は色の世界だという姿形よりも根源的なのは色であるらしいわれらの眼でさえ二万ほどの色を見分けるという全宇宙の色は本当に無限だろうわれらは芸術家の苦闘を通して無限の色をおぼろげに想像する限られた色であってもそれは至福だ第795日色

  • 第794日 眠ろう

    眠ろうさあ眠ろうすべてのことを忘れてその解放は誰もが持てる今日の苦労ももう終わった明日苦しいことが待っていてもそれは明日が考えればいい一日を生きたら最後の数十分は解放されよう安らかな布団が待っている悪夢が来ても過ぎ去る楽しさを味わえばいい何も考えず眠りに就こう第794日眠ろう

  • 第793日 好きな風景

    好きな風景好きな風景と共に生きていけるならそれに勝る幸せはないような気がする飽きるだろうかでも移りゆく季節が風や雨や日差しが彩りを踊らせるのでは叶わぬ夢だったのか叶えようとしなかったのかそれともただの気まぐれな幻かいや最も愛すべき風景は季節の代わりに夢想が彩る少し散らかった私の部屋なのかも第793日好きな風景

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