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脳内ライブラリアン https://medibook.hatenablog.com/

脳神経内科医のブログ。医療、健康、統計、哲学、育児・教育、音楽などで学んだことを深めて還元するために記事にします。

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2020/05/02

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  • 【医療統計YouTube】95%信頼区間【第8回】

    今回もまたなかなか時間を要してしまいましたが、新しいyoutube動画公開しました。 今回のテーマは95%信頼区間です。 その意味がどうしても取りづらい概念で、統計学の歴史に詳しい『統計学を拓いた異才たち』を見ても、初めて学会発表された際の混乱した様子がうかがえます。 この本では1934年に区間推定の生みの親であるイェジー・ネイマンが発表したときのA.L.Bowleyという統計学者の反応が書かれています。 「これは、われわれが必要とすることーサンプリングにおける母集団に対して、その信頼区間が一定の範囲内に収まる可能性ーを示してくれるのだろうか。そうではないのだろうか、いや、私は自分の考えを適切…

  • Judea Pearlの入門統計学的因果推論を読んでみよう③

    第3章の内容に入っていきたいと思います。 介入についてです。ここからが重要かつ複雑になってきます。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a] function(){arguments.currentScript=c.currentScript c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q []).push(arguments)}; c.getElementById(a) (d=c.createElement(f),d.src=g, d.id=a,e=c.ge…

  • 【効果、有効性】effect/ effectiveness/ efficacy/ utilityの違い【医学論文の英語表現】

    今回は効果や有効性、有用性などの意味で使われる名詞を比較していきます。eff-から始まる単語は3つもありますが、少し意味が異なるため今回入れなかったものとしてefficiency(効率)なんかもあって、かなり紛らわしいです。 以前書いたinfluence, impactなども近い意味合いがあります。 medibook.hatenablog.com 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 ・effect the result of a particular influence まずは最もシンプルなのがこのeffectです。原義もこのようにシンプルでinfluen…

  • Judea Pearlの入門統計学的因果推論を読んでみよう②

    引き続きまして『入門統計学的因果推論』の第2章を読み進めてみます。ここからは具体的なグラフィカルモデルの応用になってきます。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a] function(){arguments.currentScript=c.currentScript c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q []).push(arguments)}; c.getElementById(a) (d=c.createElement(f),d.src=g, …

  • Judea Pearlの入門統計学的因果推論を読んでみよう①

    興味があってJudea Pearlの『入門統計学的因果推論』を昨年から読んでいるのですが、読んでいるだけだとイマイチ頭に入らないので、読んだ内容を大まかにまとめてみたいと思います。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.MoshimoAffiliateObject=a; b[a]=b[a] function(){arguments.currentScript=c.currentScript c.scripts[c.scripts.length-2];(b[a].q=b[a].q []).push(arguments)}; c.getElementById(a) (d=…

  • 【弱める、衰弱させる】impair/debilitate/weaken の違い【医学論文の英語表現】

    「弱める」「衰弱させる」といった意味で用いられるimpair/ debilitate/ weakenについてまとめていこうと思います。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 ・impair to spoil something or make it weaker so that it is less effective 原義からして、もともとあった何かを弱めたり台無しにしてしまうという意味合いがあります。 共起表現でよくみられる目的語としてindependence, functioning, ability, mobility, visionなどがあり、いろ…

  • 【通常、普通】commonly/ normally/ generally/ usuallyの違い【医学論文の英語表現】

    専門医試験も無事終わりましたので、ぼちぼちと英語の勉強をまた始めてます。まとまって学ぶところがあれば、たまに記事書いて勉強の糧としようと思います。 今回は「通常は、普通は」の意味で使われる副詞たちです。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 いずれも副詞ですが、形容詞形にも注目すると意味の違いがわかりやすいです。 ・commonly The same in a lot of places or for a lot of people 原義を見ると日本語でいう「普遍的」が近いようにも思いますが、原義にPeopleとあるように人を主体にした感じが強いですね。 S…

  • 脳神経内科の遺伝性疾患の異常遺伝子と遺伝形式の覚え書き(専門医試験対策)

    明後日は脳神経内科専門医試験です。 日常診療ではさほど意識しないのに問われがちなのは遺伝性疾患とその異常遺伝子、遺伝形式のあたりかと思いますが、非常に覚わりにくいですね。直前に見直しておきたいので頻出のものをざっとまとめてみました。 ライソゾーム病などの代謝性疾患と酵素を含めるとキリがないのと代表的な遺伝子だけ記載しているので超ざっくりとしてますが、適宜お好みに合わせて追加・編集して使っていただけますと幸いです。来年度受験予定の方もぜひどうぞ。 誤り等ありましたらお手数ですがご指摘いただけますと幸いです。 目次: 変性疾患 代謝性疾患 筋疾患 末梢神経疾患 疾患、遺伝子(遺伝形式)、遺伝子座(…

  • 高齢者への心房細動スクリーニングの意義は?(STROKESTOP study, the LOOP study)

    抄読会で読んだ論文の紹介をしつつ、心房細動スクリーニング関連の話を少し書いてみます。 心房細動の検出と脳梗塞予防 心原性脳塞栓症の予防といえば心房細動の検出→抗凝固ですが、心房細動を検出したところでハードエンドポイント(脳梗塞や他の塞栓症の予防)に結びつくかどうかという点が大きな問題です。 また心房細動を見つけて抗凝固をしたとして、出血性合併症のデメリットも含めると本当に有益かどうかということも考えないといけません。 その意味で昨年出されたthe LOOP studyはなかなかにインパクトが大きいものでした。 Implantable loop recorder detection of atr…

  • 【医療統計YouTube】標準誤差と標準偏差【第7回】

    こちらの記事に書くのをしばらく忘れていましたが、Youtubeの動画を更新しました。 youtu.be 今回のテーマは『標準誤差』。 名前が標準偏差と似ていて本当に紛らわしいし、意味も初めのうちわかりづらいのですが、論文を読む上で理解が重要な概念です。なお、最初の小噺は大学院に行っている医師から聞いた実話です笑それで良いのかと思っちゃいますが、、、。 標本から母集団の推測で重要となる『中心極限定理』についても合わせて説明しており、今までの中でも最も盛り沢山の内容となっています。理解の一助となれば幸いです。 次回は標準誤差との関わりが深い『95%信頼区間』についてみていきます。 余談:中心極限定…

  • 脳梗塞再発予防に対するプラスグレル(PRASTRO試験)と適応拡大について考える

    いつの間にか年末の間に脳梗塞の再発予防に対するプラスグレルの効能追加が発表されていました。 記憶を辿ってみると2年前にプラスグレルの試験に関する論文(PRASTRO-Ⅰ)を抄読会で読んだ気がするのですが、確か非劣性も示せていなかったような、、、。 クロピドグレルはCYP2C19多型の影響で不応性の患者さんがいるということで、心血管の分野ではプラスグレルの利点があったようにも思っていたので、脳梗塞でも同じようにならないのは残念だなあとは思っていました。 しかしなぜ効能追加が通ったのでしょう? 脳梗塞というコモンな疾患において、プラスグレルという選択肢が増えたとなれば、これは良く吟味したいところで…

  • 2021年を振り返って

    今年もまた一年が終わろうとしていますね。 結構昔だと感じたことも実はこの1年以内に始めたことが多かったですね。Youtubeを始めたのも今年ですし、twitterを始めたのも今年ですし。頑張って英文のCase reportにチャレンジしたのも今年でしたが、ろくに通りませんでしたね笑 結局好きなように勉強していた一年でした。 ざっと過去記事見ながらわずかばかり振り返ってみます。 医療統計のYoutubeを始めてみた話 www.youtube.com 「とっつきにくい医療統計をもう少し身近にしよう」ということを目標にエビデンスおばさんとYoutubeを始めました。 毎回仕事の合間をぬって議論を重ね…

  • 下肢の筋肉と支配神経を覚えてみる

    手に筋肉と神経支配と同様に足についても、出来るだけ簡素に原則と例外を覚える形でまとめてみようと思います。 股間節まで含めるとまとめにくいので膝関節以遠について考えてみます。 目次: 事前知識 原則 膝関節の伸展 膝関節の屈曲 足関節の背屈・足趾の伸展 足関節の底屈・足趾の屈曲 外反・内反 まとめ 事前知識 まず足の神経について、最も大きな神経とその分枝を最低限抑えます。 上側が腹側、下側が背側としてこんな感じになっています。 また大腿神経、総腓骨神経、脛骨神経の系統(各神経とその分枝)に分けると感覚は大まかに以下のように分かれています。図は膝までとしています 大雑把に言えば、前面は総腓骨神経系…

  • 手の筋肉と支配神経を覚えてみる

    引き続いて神経内科専門医試験に出がちな手の筋肉と神経支配について、できるだけ簡単に覚えてみようと思います。 ある程度知っていると上肢の脱力をきたす疾患において原因となる部位が末梢神経なのか脊髄なのか、あるいはどの神経・レベルなのかをよりうまく当たりがつけられるようになります。 目次: 事前知識 原則 正中神経支配の筋肉 尺骨神経支配の筋肉 後骨間神経支配の筋肉 まとめ 事前知識 まず各神経の大まかなイメージとして感覚神経の支配域を覚えてみます。 手掌側はこんな感じです。 青色が正中神経、黄色が尺骨神経の支配域を示します。 環視は半分にわかれましてring finger splittingと言わ…

  • 絶対に忘れない脳神経核の位置と解剖の覚え方

    最近は専門医試験の勉強をやっと少しずつやっています。専門医試験では脳幹部の特殊な梗塞が問われることがしばしばあり、ここで問題になってくるのが脳幹部の神経解剖です。 「そんなものくらい神経内科医なら当然知っているでしょ」と言われると辛いところがありますが、せっかくなので改めてもうこれ以上忘れないように脳神経核の位置と解剖の覚え方についてまとめてみます。臨床的にはMRI水平断で確認することが多いと思うので、それに沿ってやってみます。 医学生の方々、研修医の方々にもお役立ていただけると幸いです。 それではみていきましょう。 目次: 事前知識 ①脳神経の機能 ②各脳神経のレベル ③各脳神経の機能分類 …

  • 正規分布の平均まわりのk次モーメントの求め方

    さて、統計検定で勉強した名残を少し記事にしていこうかと思います。 統計検定でも時折問われることがあるのが、正規分布のk次モーメントです。 のとき、がどうなるかといった問題ですね。 そのまま式を考えるより、標準正規分布N(0,1)のモーメント母関数をテイラー展開して考えるとうまくいきます。 標準正規分布のモーメント母関数はなのでこれをテイラー展開して となります。 そうするとモーメント母関数を1回微分したときは となるので、0を代入すると つまり微分したときに残ったtのある項は全て消えてしまうので、微分で残ったやつのみに着目すれば良いんですね。 続いて2回微分は なので 3回微分は 4回微分は …

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方⑥ -Results~Discussion編-

    さて、この記事ではResults〜Discussionに書かれている内容を中心に、みる点を整理していきたいと思います。 目次: フォレストプロットの見方と結果の一貫性 感度分析をしているか 感度分析とサブグループ解析の違い 臨床での適用はどうか Discussionで述べられること まとめ 前回までの記事はこちら 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い『なぜメタアナリシスのみはダメなのか』 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方② -Background編〜Methods編前半 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方③ -Methods編中盤①…

  • 2021年の統計検定1級(統計数理・統計応用/医薬生物学)を受けてきた

    さて、昨日は統計検定1級の試験日でした。Twitterでワイワイやるのは楽しかったですが、久々に頭を使って疲れました。 来年に向けて試験の内容と感想を書いておきます。 試験の内容 問題用紙は持ち帰れますし、じきに公式ページにも問題がアップされると思いますが、以前のページに内容を追加しておきました。今年受験しなかった方はご参考にしてください。 2014-2021年の統計検定1級の出題範囲をまとめてみた(統計数理+医薬生物学+共通問題)【統計検定1級対策】 今年が初めての受験だったわけですが、まだ受験がこれからという人向けに当日の状況でも書いておきます。(2021年時点) 配られるのは問題冊子と解…

  • 【医療統計YouTube】多重検定の問題【第6回】

    youtu.be YouTube更新しました。 前回の動画でわずかに触れた「多重検定」の話をちょっとだけ掘り下げました。 予告の内容とは異なってます(汗 仮説検定において ・無計画に後付けで検定を繰り返す ・仮説検定をしまくって、P値が低い結果が出たものだけを発表する といった行為はデータドレッジング(あるいはP値ハッキング)とも呼ばれ、本当はデータ間の違いに意味がないのに、さも意味があるかのようにみえてしまう問題があります。 なお、ドレッジング(dredging)は「川や湖の底にある土砂をさらう」ことを指しており、データを綺麗にしちゃうということですね。 もう少し詳しく知りたい方は新谷歩先生…

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問16

    久しぶりに問題解きましたので記事追加します。 条件付き期待値・分散の問題を解きたかったのでやってみました。 (1)から。全分散の公式の共分散バージョンといった感じですね。 を示す問題です。 条件付き期待値の変形を多用するので馴染みがなければこちらを参照ください。 medibook.hatenablog.com 右辺の第1項は 右辺の第2項は となります。 よって第1項と第2項を足し合わせると となるので左辺と一致します。 続いて(2)。(1)の式を用いれば簡単にできます。 のうち、まずZが与えられたときXとYが独立に分布するため 次に となります。 よって です。

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方⑤ -Methods編後半①-

    今回はMethods~Resultsにかけて、risk of bias(バイアスリスク)を中心にみていきます。 前回までの記事はこちら 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い『なぜメタアナリシスのみはダメなのか』 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方② -Background編〜Methods編前半 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方③ -Methods編中盤① 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方④ -Methods編中盤② まとめたページと参考文献はこちら(未完成) 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ 目次: risk o…

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方④ -Methods編中盤②-

    今回もMethods~Resultsの一部にまたがって説明していきます。 前回の記事はこちら 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い『なぜメタアナリシスのみはダメなのか』 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方② -Background編〜Methods編前半 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方③ -Methods編中盤① まとめたページと参考文献はこちら(未完成) 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ 今回は主に報告バイアス(reporting bias)と呼ばれるバイアスを中心に説明していきます。具体的には「網羅的な検索はされて…

  • 【医療統計YouTube】仮説検定とP値【第5回】

    今回は“統計学的に有意“とは何かを説明するのに必須な仮説検定とP値の話をまとめました。 最初医療統計の本を読み始めたときに、特に理解しにくい部分だったように思います。ただ、これを理解していないと、大部分の論文で何をやっているのか分からないので、前回の推測統計の話とセットで必ず知っておきたい話ですね。 今回はP値が小さくなる要因にはいろいろあることを述べたわけですが、それ以外にもP値は誤解を生みやすい要素が多くあるので注意が必要です。 P値はあくまで「帰無仮説が正しいという仮定での“条件付き確率“」なので検査・診断における事前確率/事後確率の話と同様に、仮説の事前確率がどの程度なのかで仮説の正し…

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方③ -Methods編中盤①-

    引き続きMethodsの読み方について考えていきます。 ここでは「臨床的疑問に対する直接的な研究か」「複数名のレビュアーで文献が選択されているか」の2点について考えていきます。 前回までの記事はこちら 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い『なぜメタアナリシスのみはダメなのか』 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方② -Background編〜Methods編前半 まとめたページはこちら(未完成) 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ 目次: 臨床的疑問に対する直接的な研究か 対象による薬の効果の違い プラセボ対照か実薬対照かの違い …

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方② -Background編〜Methods編前半

    今回の記事ではBackgroundから順番に進めつつ、メタアナリシスの読み方を考えていきたいと思います。 前回の記事はこちら 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い メタアナリシスの読み方のまとめページはこちら(現在未完成) 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ 今回は「その臨床的疑問には本当に意義があるかどうか」 「各研究は統合可能なものか」という点に着目して、Background~Methodsの前半を中心にどう読むと良いか考えていきます。 目次: その臨床的疑問は本当に意義があるか 各研究は統合可能なものか リンゴとオレンジを比べ…

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方① システマティックレビューとメタアナリシスの違い『なぜメタアナリシスのみはダメなのか』

    メタアナリシスの読み方をまとめたページはこちら(未完成です) 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ - 脳内ライブラリアン 今回はまず前提知識として ①「システマティックレビュー」と「メタアナリシス」の違いは何か ②どのような流れでその2つが組み合わさるのか の2点について書いていこうと思います。 目次: システマティックレビューとメタアナリシスとは何か システマティックレビューとその目的 メタアナリシスとその目的 システマティックレビューからメタアナリシスの流れ 図でまとめてみる ①PICOに沿って集める ②データの抽出・選別 ③結果の統合 システマティックレビューがきちんとしていな…

  • 実臨床に役立てるメタアナリシスの読み方まとめ

    以前にも一度システマティックレビュー&メタアナリシスについてまとめようとしたことがあったのですが、部分的な説明止まりだったので改めて書いてみることにしました。 医学論文の読み方を解説した本ではランダム化比較試験、観察研究などの説明が多く、メタアナリシスについて書いた本は少数で、取り上げているとしても分量が少ないです。研究をする側に向けた本は多数ありますが、逆に専門的すぎて読む側としては難しすぎるきらいがあります。 そこで、読む側に向けて「臨床への適用」+「批判的吟味」を中心に調べた内容をまとめます。実際に論文を読むことを考えて、Background-Methods-Results-Discus…

  • 2014-2019年の統計検定1級の出題範囲をまとめてみた(統計数理+医薬生物学)【統計検定1級対策】

    さて、そろそろ統計検定1級まであと3ヶ月となりました。 勉強時間が取れなさすぎて間に合うか不安しかないです(汗 そこで、ある程度は分野の重みづけをして勉強したほうが良いと思われますので、ここで改めて過去6年間の問題を見直して、出題された内容をキーワードにしてごく簡単にまとめてみました。一応2014年以外は一通り解いてます。 統計検定の受験を考えている人の訪問が結構あるようなので、ざっと眺めて参考にしていただければ幸いです。そして今年の問題のよい予測があったら教えてください、、、(笑 統計数理 統計数理は出題されている確率分布を中心に書いておきます。 2019年 統計数理 問1 二項分布 確率母…

  • 【医療統計YouTube】推測統計【第4回】

    Youtube更新しました。 youtu.be 第4回は推測統計の話です。 臨床試験(特にランダム化比較試験)をやる際に、ある母集団から標本を抽出して試験を組みます。そこから母集団の効果を推測するのが推測統計の考え方ですね。 基本的な話かもしれませんが、少なくとも通常臨床を普通にやっている範囲では全く触れることがありませんでした(汗 「過度の一般化」が特に起きやすい問題です。 ・第3相試験でexclusion criteriaに入っている患者さんに、リスクベネフィットのバランスをよく考えずに処方する ・薬剤がadd-onの試験デザインになっているのに、1st lineで処方する ・含まれている…

  • REGEN-COV2067試験(抗体カクテル療法、治療)についての追記

    更新頻度落とすと言っておきながら、気になる抗体カクテル療法の試験についてのプレプリント論文が出されていたので思わず記事書いてしまいました。全然気づきませんでしたが結構前からあったんですね。 以前に予防投与とプレスリリースの情報を記載した抗体カクテル療法の話です。 medibook.hatenablog.com プレプリントとして出されたのはこちらの論文になります。 REGEN-COV Antibody Cocktail Clinical Outcomes Study in Covid-19 Outpatients medRxiv Supplemental appendixはこちら REGE…

  • しばらく充電期間を設けます

    ほぼこのブログのメインコンテンツとなっている統計検定の1級ですが、じわじわ試験日が近づいてきました。 普段勉強にあてられる時間が早朝と通勤中のみで、朝は基本的にブログ更新にあてていますが、そろそろ試験に向けて勉強時間増やさないとヤベえなと思い始めました。 多分問題を解くのに必要な情報はそれなりに集めているのですが、スムーズなアウトプットの練習が絶望的なまでに足らないように思います。 加えて、ほぼ同時期に神経内科専門医試験もあるので、そっちもやらんとなあということもあり。 そんなわけでしばらく更新のペースを落とします。 Youtubeは続けていきますし、気晴らしに(需要はないであろうが)フーコー…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問9

    4連休はガッツリお休みもらえていたのですが、下の子(1歳)の調子が悪く、常に不機嫌で最後となる本日明け方に嘔吐し、洗濯三昧で締めでした、、、。久々に新生児期なみの大変さを感じましたね。 さて、今回は現代数理統計学の基礎から標本平均と標本分散(不偏分散)の漸化式の問題です。n+1個のデータによる標本平均、不偏分散をn個のデータによるもので表すという話です。 なんの役に立つんだろうと思って調べると(以下)Welfordの方法と言って、逐次的に標本平均や標本分散を更新するためのアルゴリズムに使われるようですね。その辺は分からないのでさっぱりですが。 Algorithms for calculatin…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問7

    あっさりした問題なので解答記事すら不要な気もしますが、復習がてらで書いてみます。 を示す問題ですね。 まずg(x)>0なのでマルコフの不等式から あとはg(x)=g(-x)の対称性とg(x)が増加関数であることを利用して左辺を変形すると となります。

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問8

    ちまちまと「現代数理統計学の基礎」の忘れてる分野の解き直しを行ってます。色々忘れてますけど、やり直すたびに少しずつ理解が進むのは嬉しいことですね。 5章の問8は平均二乗収束を示す問題ですね。 確率収束を示す問題ではチェビシェフの不等式もしくは平均二乗収束を使うことが多いので、統計検定1級でも同様の解き方は結構役立つのではないでしょうか。 分散が分かりやすい、かつ不偏推定量の収束を示すなら、チェビシェフで良いと思うのですが、今回の問題のように複雑な形で不偏推定量ではない場合は平均二乗収束の方が良いんですかね。 式を見ていきますと さてここで、期待値の中はどうなっているかを和の記号をバラして具体的…

  • 自炊用の裁断機としてデューロデックス200DXを買ってみた

    ついに自炊用の裁断機を買ってしまいました。 デューロデックス200DXという大型裁断機です。 非常に便利でサクサク切れます。 意外と使用感を書いたページとか見つからなかったので、せっかくだから紹介しておきます。 目次: なぜ本を自炊するのか 裁断機にはどんなタイプがあるか デューロデックス200DXの感想 なぜ本を自炊するのか 自分の場合は、まず自宅の本の置き場所が非常に少ないんですね。子どもに荒らされてしまうこともあり、奥まった部屋にある上、本棚も小さいものしかないのですぐにいっぱいになってしまいます。 加えて、普段本を読むのが主に通勤中で、毎回重い本を複数冊持つのも厳しい。特に何かの分野を…

  • 不偏分散の期待値と分散【統計検定1級対策】

    2014年、2018年の統計数理でいずれも出題されており、重要なポイントではあると思われる不偏分散の期待値と分散の導出などを書きます。 目次: 不偏分散の期待値 不偏分散の分散 不偏分散の一致性 不偏分散の期待値 まず前提として平均、分散の分布をもつ確率変数Xから得られたn個のデータをとして標本平均をとします。 不偏分散(あるいは標本分散とも)はと表されます。 では最初に不偏分散の期待値が母分散に一致することを確かめます。 この期待値内の[ ]の変形はよく使われるので覚えておいた方が良いかもしれません。展開してみると一致することが分かります。 続いて変形していくと さてここで (標本平均の分散…

  • ミシェル・フーコーの『臨床医学の誕生』を読んでみた①

    久々に哲学者の本を読みつつ紹介してみます。 今回はもともと医師であったという点で何となく親近感の沸きやすい(?)ミシェル・フーコーを取り上げてみたいと思います。 以前に書いたニーチェと同様に「既存の価値観に疑ってかかる」ちょっとひねた感じのお話になるので、そういうのがむしろ好きな人はぜひどうぞ。 目次: 『臨床医学の誕生』はどんな本か 近代の学問の成立条件を問う哲学者 『狂気の歴史』で描かれる精神疾患の誕生 『臨床医学の誕生』はどんな本か 今回読んでみる『臨床医学の誕生』は名前の通り、近代の臨床医学がどのようにして誕生したかを描いた本です。 さて、ここで医学というのはどのように発展してきたと想…

  • 周辺確率関数・条件付き確率関数・条件付き期待値・条件付き分散・全分散の公式【統計検定1級対策】

    過去問を解いていて2回くらい概念がごちゃごちゃしたので、周辺確率密度関数と条件付き確率密度関数から条件付き期待値、条件付き分散をざっと定義まとめます。 周辺確率関数 まずは周辺確率関数から。X、Yを2つの確率変数の組として考えます。 同時確率関数は で表されます。 このときyの周辺確率関数は 離散型確率変数の場合 連続型確率変数の場合 となります。 条件付き確率関数 条件付き確率関数は以下の式で定義されます。先ほどと同様の例においてであるという条件のもとで となります。 条件付き期待値 条件付き期待値は条件付き確率関数に対して、そのまま期待値計算をすれば良いです。 離散型の場合 となります。 …

  • 【統計応用・医薬生物学】ロジスティック回帰分析の数式とAIC・カルバックライブラー推定量【統計検定1級対策】

    2018年の統計応用・医薬生物学にロジスティック回帰の式とモデル選択について問題が出ていたので基本的な概観を書いてみます。 基本さえ押さえていれば計算が煩雑でないので、知っていれば結構簡単な問題だったと思うのですが、逆に数理的な背景を知らないとさっぱりです。統計応用はそのパターンが多いですね・・・。 目次: 一般線形モデル(general linear model) 一般化線形モデル(generalized linear model)とリンク関数 ロジスティック回帰分析と調整オッズ比 赤池情報規準(AIC) カルバックライブラー情報量 一般線形モデル(general linear model)…

  • REGEN-COV2069試験(抗体カクテル療法の予防投与)の論文を読んでみた

    昨日のニュースでcasirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法の承認申請が出ていました。今の時点では出ていない情報が多いところですが、興味深かったのでひとまず調べたところを書いてみます。 www3.nhk.or.jp COVID-19の外来患者に投与した際の入院・死亡リスクを検討した第1-3相試験(REGEN-COV2067試験)で結果が出たことで申請が出ているようです。 ただ、これについてはどうやら論文化はされていないようなので、詳細は調べても分かりませんでした。あとでわかる範囲を記載してみます。 予防投与を行なった試験(REGEN-COV2069)については、Preprint…

  • 医学論文の読み方記事まとめ

    ちょこちょこと論文の読み方やら医療統計の話を絡めた記事を書いてますが、場所が分かりづらくなっているので、一回まとめておこうと思います。 個々の記事はあんまり綺麗にまとまりきってないのと、読む上ではそこまで気にしなくても良い統計の話がダラダラ書いてあったりしますが、参考になれば。 記事を追加したら随時更新します。 (最終更新 2021.06.28) ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方① ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方② ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方③ ここまでは知っておきたいランダム化比較試験の読み方④ ランダム化比較試験の読み方について…

  • 医療における倫理判断で困ったときの困ったときのツール・医療倫理の四原則

    少し前にこんな感じのツイートを見ました。 「80歳台の腎不全の男性でもともと透析を拒否されていたが、自宅で呼吸苦を訴えて、見かねた家族が救急要請。家族からの希望もあり、最終的には緊急透析を行なって、本人は『こんなに楽になるのか』と言っていた」 という話。 「こういうことよくあります」 といった共感的ツイートや 「これは本人の意志に反した治療ではないでしょうか」 といった反対意見まで色々ありました。 140文字の中に「本人が実は賛成を示すようなことを言っていたかもしれない」とか「それまでの理解が十分でなかった」とか細かい情報を入れる余地もないと思いますので、個人的にこの行為に対して賛成とも反対と…

  • 【医療統計YouTube】四分位範囲・IQR【第3回】

    Youtube更新しました。 チャンネルはこちら スキマ時間で医療統計 - YouTube 今回は四分位範囲(Interquartile Range; IQR)と、その活用例である箱ひげ図についてです。 RCTの論文のtable 1としてよくみられるBaseline Characteristics of study participantsにはIQRが記載されていることが多いですね。 動画内の補足になりますが、四分位範囲の算出方法や箱ひげ図にはバリエーションがあって、使う統計ソフトによっても様々なようです。 四分位範囲は、動画で紹介した方法の他に25パーセンタイル値や75パーセンタイル値を、デ…

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問15

    さて、ここ最近は専門医試験のレポートに追われてあまり時間が取れません、、、。前に解いた問題をしばらく上げていきます。 今回は3変数における変数変換の問題ですね。 まずはX=の形に直してみてみます。 となることが分かります。 ここでヤコビアンは(行列式のlatexが面倒なので手書き) となりますので、サラスの公式を使って となります。 よって、3つの変数による同時確率分布は となります。 と考えれば、これは3つの確率変数の積で表されるので、互いに独立であることが分かります。これで(1)は終わり。 (2)(3)は とが一様分布であることがまず分かります。 続いて残る二つの確率変数ですが、はよく見る…

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問14

    2つの確率変数の変換問題を引き続きちょこちょこやります。 今回はカイ二乗分布同士を使った確率変数変換の問題ですね。 まず(1)ではWとZが独立であることを示します。同時確率密度関数がそれぞれの確率変数の積になる事を示せれば、独立であると言えます。 なので となります。 ヤコビアンは となります。 同時確率密度関数は 上述したようにzとwの関数の積になるように整理します。 まずここまでで、zとwが独立であることがわかりますので、(1)は終わりです。 続いて(2)。 整理してみてみるとwの関数はベータ分布の式に、zの関数は自由度のカイ二乗分布の式に近いことに気づきます。 そこで、うまく変形して で…

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問13

    今回は同時分布関数を求める問題ですね。 W=0,1で場合分けして計算していきます・ W=0の場合は となるので、上の計算においてXとYを入れ替えたものになります。なので、結果としては同じものが導き出されます。 分布関数や確率の値を指定されたものに置き換えたりする問題は統計検定でもよく出ているのでいろんなシチュエーションに慣れていくと良さそうです。

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問12

    標準正規分布に従う確率変数の比を求める問題ですね。 昨日の記事で書いたように、分布関数に立ち戻って考えていきます。 確率変数の和と比(和の分布・畳み込み・比の分布の変数変換)【統計検定1級対策】 - 脳内ライブラリアン まず、とすると となります。ここでYの値が正か負かで場合分けをすると よって、zの分布関数はX,Yの確率密度関数をそれぞれf(x), f(y)として となります。 ここで、解答でも指摘されているように、正規分布の対称性からこの二つの項は実は等しいことがわかりますので(分からなくてもそのまま計算できますが)1つにまとめると楽です。 となります。 あとはこれをzで微分して 最後に実…

  • 確率変数の和と比(和の分布・畳み込み・比の分布の変数変換)【統計検定1級対策】

    最近は専門医試験のレポート期限が迫ってきたことや日本語で書かないといけない論文もあって、ちょっと更新ペースが落ちますが、ぼちぼちやっていきます。 確率変数の和と比について変数変換するとどのようになるか、といった問題も時々出ています。比についてはあまりまとめられているのを見たことがなかったので、まとめてみました。 目次: 確率変数の和・畳み込みを使う 確率変数の和・モーメント母関数を使う 確率変数の比 確率変数の和・畳み込みを使う Z=X+Yという確率変数がある時に、どうやってZの確率密度関数を求めるかを考えます。( X、Yは互いに独立とします) 通常とられる方法として「畳み込み」という方法があ…

  • 医療者の立場で“能力主義“について考える『実力も運のうち 能力主義は正義か?』レビュー

    『これからの正義の話をしよう』で一時期日本でもしばらく話題になったマイケル・サンデルの新作『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を読みました。 // リンク アメリカの政治・教育の話が主なので、その辺は日本人にとって理解しにくい部分もありますが、トランプ政権がなぜ誕生したのか、という話を皮切りに“能力主義”の問題点について分かりやすい例と実際のデータをたくみに用いながら指摘していきます。 読んでみると非常にハッとさせられる部分のある良書で、いつの間にか自分も“能力主義“の価値観に染まりきっているところがあることに気付かされます。それが全ていけないわけではないのですが、改めてその考えを見直してみ…

  • 1標本のt検定と対応のある2標本のt検定の式をできるだけわかりやすく見直してみる【統計検定1級対策】

    統計検定1級の統計応用で時折出題されるt検定について、数式がたまにこんがらがるのでまとめ直してみます。 目次: t分布とは t検定とは 1標本のt検定 対応のある2標本のt検定 t分布とは t検定がt分布に基づくものなので、まずはこちらを簡単に。 t分布は標本平均と標本分散(不偏分散)、真の平均値から導き出される分布です。 分布の式としては、標本平均を、標本分散を、真の平均値を、標本のサイズをnとして、以下のようになります。 「標本分散のみで導き出せる分布」というのがこの分布の素晴らしい点なのでまずはこれを覚えるのが良いのかなと個人的には思います。 ここで分子を、母分散を使って、標準正規分布に…

  • 【減少する】reduce/ decrease/ decline の違い【医学論文の英語表現】

    今回は「減らす」「減少する」の意味をもつ単語reduce, decrease, declineについてみてみます。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 まずは原義からみてみます。 毎度おなじみCambridge Dictionary English Dictionary, Translations & Thesaurusから引用しています。 ・reduce to become or to make something become smaller in size, amount, degree, importance, etc ・decrease to…

  • 【医療統計YouTube】標準偏差とは?【第2回】

    Youtube更新しました。 www.youtube.com チャンネルはこちら スキマ時間で医療統計 - YouTube 今回は分散・標準偏差についてです。 中高生ぐらいの頃に初めて分散という概念を聞いた時は「データのばらつきなんて求めて何になるのだろう」と何も感じていなかったのですが、統計的仮説検定、95%信頼区間といった医療統計で特に重要な概念に通じていくので、論文を読む上でも理解は必須だと思います。 ちなみに歪んだ分布だとSDが使いにくいと動画内で述べていますが、チェビシェフの不等式というものを使うと、歪んだ分布だとしても 平均を中心として ±2SD範囲内に少なくとも約75%のデータが…

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問23

    今回は多項分布の問題を解きます。 まずは(1)から。 k番目の値が定まった時の条件付き確率関数を求める問題です。 なので となります。 続いて(2)。共分散を求める問題ですね。 i<jとして となります。 ここで で、jについても同様であることから となることがわかります。 あとはを求めます。 ここで以降の項は試行回数をn-2までとした多項分布の総和と同じであることが分かります。よってこれが1となるので となります。 あとはこれを代入すれば と証明できます。

  • 【示す】show/ demonstrate/ indicate/ suggest/ reveal の違い【医学論文の英語表現】

    さて今回は検査結果や他の研究を主語にして使われがちな単語たちをまとめてみます。ちょっと欲張って多すぎた気がします(汗 "show" を中心としたSkeLLによるsimilar wordsの図をみてみると以下のような形です。 (SkeLLより引用) 他にも違いを明確に説明しにくい似たような単語が並んでいますね。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 まずは単語の意味から見ていきます。 (Cambridge Dictionary 英語辞典, 訳 & 類義語より引用) ・show to make it possible for something to be …

  • 現代数理統計学の基礎 4章 問21

    統計応用医薬生物学の2019年問3をみると、今まで苦手意識が強かった共分散や多変量正規分布・多項分布も基本的なことはやらないといけないな、、と感じ始めたので、それに合わせて問題解いていきます。 ふと気づいたら、これまで4章は記事書いてなかったですね。 問21は2変量正規分布の問題です。 まずは(1)から。 互いに独立でないXYの2変量正規分布について、変数変換をしていく問題ですね。 まずと変換をしてヤコビアンを求めます。 なので となります。 U, Vはそれぞれ独立した確率密度関数の積で表すことができており であることが分かります。 互いに独立でないことで扱いにくかった同時確率密度関数が変数変…

  • 【行う】conduct/ perform/ undertake の違い【医学論文の英語表現】

    今回は「行う」「施行する」などの訳で用いられることの多いconduct, perform, undertakeの違いについて、みてみます。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 まずは単語の意味から。 Cambridge Dictionary English Dictionary, Translations & Thesaurusより引用しています。 ・conduct to organize and perform a particular activity ・perform to do an action or piece of work まずこの2つ…

  • 【経験する】undergo/ experience の違い【医学論文の英語表現】

    毎日夜になると子どもの嘔吐があって、ろくに眠れませんでしたが、やっと落ち着いてきそうです。胃腸炎ってきついですね、、、。 今日もちまちま英語で勉強したことを書きます。 undergoとexperienceですね。undergoは単語の意味としてはなんとなく分かっていましたが、自分ではいまいち使えない単語の部類でしたので、今回勉強します。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 単語の意味は Cambridge Dictionary English Dictionary, Translations & Thesaurus より引用しています。 ・experi…

  • 【調査・研究】research/ study/ survey/ investigation の違い【医学論文の英語表現】

    統計に関しては勉強中ですが、解く方が最近中心なのであまり記事にまとめることがなくなってきまして、、引き続き英語の方を磨いていきます。 今回は「調査・研究」の意味で使われる単語research/ study/ survey/ investigation の違いを見ていきます。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 まずは単語の意味を見ていきます。 引用はいつものこちらから。 Cambridge Dictionary English Dictionary, Translations & Thesaurus ・study the activity of exa…

  • 【期間】influence/ impactの違い【医学論文の英語表現】

    さて、夜になると娘が咳き上げ嘔吐する毎日が続いていますが、自分は奇跡的に元気でやっております。ちまちま英語で勉強したことをあげていきます。 目次: 単語の意味と共起表現 医学論文を含めた用例 単語の意味と共起表現 まず、それぞれの単語の意味から見ていきます。 ・influence the power to have an effect on people or things, or a person or thing that is able to do this ・impact a powerful effect that something, especially something ne…

  • 【期間】period/ term/ durationの違い【医学論文の英語表現】

    体調不良と発熱により1週間ほどブログ更新できませんでした。結局ただの上気道炎だったわけですが、治ってきたと思ったら、下の子が胃腸炎でゲロゲロしてまして、睡眠時間を削られ回復がまた遅れ、、、さらに上の子も下痢になり、現在は家庭内で胃腸炎が拡大中です。恐ろしい。久しぶりにこんなに間隔空きましたね。 以前にちらっとやっていた「医学論文の英語表現をコーパスで勉強してみよう」と言う学習方法を最近読んで感銘を受けた『英語学習法』に従って、もう少し詳しくした形でやってみようと思います。 medibook.hatenablog.com 自分自身はネイティブでもなければ、留学経験もあまりないので、基本的に学習の…

  • 実際の医学論文から統計を学んでみるⅤ -多重検定/ボンフェローニ法/ファミリーワイズエラー率-

    最近読んでみた2016年のオピカポン(オンジェンティス)の第3相試験の研究で、多重検定が含まれてましたので、紹介しつつ学習してみようと思います。 元の論文はこちら。 Ferreira, Joaquim J., et al. "Opicapone as an adjunct to levodopa in patients with Parkinson's disease and end-of-dose motor fluctuations: a randomised, double-blind, controlled trial." The Lancet Neurology 15.2 (2016…

  • 食塩不使用の湖池屋のポテトチップスを食べながら減塩に思いを馳せてみる

    仕事帰りは腹が減っていて、かつ帰ると子どものこともあって落ち着いて食べられないので、ついつい帰り際にお菓子など買ってしまうことがあります。 先日ドラッグストアでこんなものを見つけました。 「食塩不使用 湖池屋 プライドポテト」 ポテトチップスなのに食塩不使用!これは攻めてますね。 裏面も見てみると確かに原材料相当の食塩しか含まれてません。 さて、実際食べてみましたが、当然ながら塩味は一切せず。 じゃが芋の甘味だけが感じられる一品でした。 味付けのない自然派な野菜チップスとかオーガニック食品の店でたまに売ってますけども、そんな感じのイメージですね。油分はしっかりあって、揚がった食感は普通のポテチ…

  • 【統計応用】95%信頼区間と2標本両側t検定【統計検定1級対策】

    2016年の統計応用(共通問題)でこんな問題が出てました。 「2つのデータの95%信頼区間と2標本両側t検定の有意差の関係性を調べよ」 これって医療統計本の中では屈指の出来である(と個人的に思っている)「今日から使える医療統計(新谷歩著)」*1に出てきた話で、「95%信頼区間のエラーバーが重ならないこととp値(=有意差)がどう関係するか」ということですね。 一応答えとしては 95%信頼区間が重ならない→有意差あり 95%信頼区間が重なる→有意差あるかないかは不明 となります。 図で書くとこんな感じ。 つまり、「95%信頼区間が重ならない」ことは「有意差がある」ことの十分条件ですね。ただ、必要条…

  • YouTubeチャンネル始めました

    友人と共同で医療統計のYouTubeチャンネルを始めてみました! www.youtube.com チャンネルはこちら スキマ時間で医療統計 - YouTube 一緒にYouTubeやってる人はこちら エビデンス×統計リテラシー×ライフハックをテーマに生きる人の記録-エビカツ横丁 統計に関してまとまって勉強する時間の取りにくい臨床医や医学生、コメディカルのスタッフの皆さん向けにやっていくつもりです。 「臨床研究をする側」というより「医学論文の読み方/統計的解釈の仕方」という観点で進めていきますので、数学的な詳細よりも統計の概略と論文の批判的吟味を中心に説明していく予定となっています。 研修医の頃…

  • 我が家にNASを導入してみた(Synology ds220j)

    我が家にNAS(network attached strage)を導入してみました。 NASはいわば自宅で個人用に作れるクラウドみたいなものであり、PCのバックアップや録画したテレビ番組の保存、外出先でのそうしたデータの利用に大変便利です。あまりにも疎くて全然存在を知りませんでした。 今まではバックアップもろくに取らない危険な生活をしてきたのですが、ここ最近裁断してpdf取り込みしている書籍がどんどん増えており、「これを失ったらショックがデカすぎる、、、」と思ったので購入しました。 メーカーは多数ありますが、台湾の企業で世界的にシェアも大きいsynologyのds220jにしました。あんまり特…

  • 中級者から上級者になれる着実な英語の勉強法『英語独習法』レビュー

    Twitterでも書きましたが、最近こちらの本を読みました。 // リンク 今までもかなり英語の学習法の本は読んできたつもりですが、認知科学をベースにした今まで見てきた英語学習法とは一線を画する内容であり、ぜひともお勧めしたいです。 というわけで、内容の一部を要約しつつ感想を交えて書いていきます。 目次: 言語学習はエビデンスが難しい スキーマの概念 コーパスを使ってスキーマを磨く リスニングにもスキーマが活きている 仕事で必要な中級者〜上級者向けの一冊 言語学習はエビデンスが難しい 普段医学のことでエビデンス、エビデンス言っていると、こうした言語学習の分野でもエビデンスに基づいた確実な方法論…

  • 小ネタ集<コーシー・シュワルツの不等式、算術平均・幾何平均・調和平均、二項定理>【統計検定1級対策】

    もともと数学は大の苦手分野なので、数学的な有名定理も全く馴染みがないのですが、統計検定の問題において必要とされることがあるので、自分向けの備忘録としてまとめておきます。 ひとまず目についたところでコーシー・シュワルツの不等式、算術平均・幾何平均・調和平均、二項定理についてです。証明とかはもっと遥かにわかりやすいサイトがいっぱいあるのでやりません笑 目次: コーシー・シュワルツの不等式 具体例 算術平均・幾何平均・調和平均 二項定理 コーシー・シュワルツの不等式 コーシー・シュワルツの不等式とは以下のような式で表されます。*1 ベクトルの話として出てくることも多いようですが、数理統計学で見るとこ…

  • 内科医が知っておきたい精神科のエッセンス『状況別に学ぶ内科医・外科医のための精神疾患の診かた』

    ちょっと前に楽天お買い物マラソンで買い漁った積読本を読み進めてます。 医学書なので臨床医向けですが、おすすめです。 頻度から考えると普通の内科・外科でも十分精神疾患の方に出会うと思うのですが、脳神経内科をやっていると特に多く出会うと思います。そして、その中でも難しいのが、いわゆる心因性の反応による麻痺・痺れなどですね。 本当に心因性なのかどうかを見極めるのも難しい時がありますが(世の中本当に不思議かつマイナーな神経疾患もある)、加えて心因性だと判断した時にどうしたら良いのか迷うこともあります。 また、神経の難病においては抑うつ傾向になることも多く、そんな方達にどのように接していけば良いのか悩ま…

  • マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑦

    今回はようやくタイトル回収となる、存在と時間性についてみていきます。 前回までは現存在の全てを本来的な生き方で考えるには、死への不安を受け入れ、先駆的覚悟性が必要である、という話まで見ました。それはどういう条件があれば可能になるの?という話になります。 気が狂わんばかりに難解な文を無理やり読み進めてきた本記事ですが、今回で最後です。 目次: 日常的な時間の扱い 本来的な時間としての「将来」「既在」「現在」 未完のままに終わった『存在と時間』 前回までの記事はこちら↓ マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑥ マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑤ マルティン・ハイ…

  • 現代数理統計学の基礎 3章 問10

    統計検定1級ですが最近は解き方を1個1個細かくみるというより、過去問をどんどん解けるように練習中です。統計応用よりも統計数理の方が範囲が定まっているのでなんだか解いていると安心するという不思議な状態になっています、、、(汗 統計応用は知らないことが多すぎて不安です。 統計数理の問題を見ながら現代数理統計学の基礎の類題を解いているんですが、今回は変数変換で対数正規分布の期待値と分散をみていく3章の問10です。 まず、期待値から見ていきます。 logx=tとして置換積分しています。 最後の式変形は積分の部分がN(1,1)の正規分布となっているので、全確率=1を利用して変形しました。 次に分散です。…

  • 心エコーを見直してみる『レジデントのための心エコー教室』レビュー

    久々に医学書を買いました。 需要の少なさからなかなか感想を書く人もいないと思うので、せっかくなので感想を書いておきます。 // リンク 脳梗塞の患者さんをみるときに基本的に高齢者が多いので合併疾患があることもよくあります。慢性心不全も多いですね。 重度なものは循環器内科の先生にお願いするわけですが、軽いものだと補液とか利尿剤とか調整してやっています。そんな時エコーの評価がある程度できると便利だなというところもあるのですが、研修医以降エコーの指導なんてないわけで、どんどんスキルが下がってきます。そんなわけでこの本『レジデントのための心エコー教室』を買ってみました。 見やすい図と大量の動画がわかり…

  • 現代数理統計学の基礎 3章 問9

    ポアソン分布に従う確率変数Xがλ→∞のときにが標準正規分布に収束することを証明する問題ですね。 2017年の統計検定1級の問3の最後で全く同じ問題が出ています。 お馴染みのテイラー展開を活用して解いていきます。 〜はどのような分布になるかか、という問題を解く際には、一つは変数変換、平方変換、確率積分変換などをして解く方法と、モーメント母関数を利用して解く方法がありますが、今回はモーメント母関数を使っていきます。 まずポアソン分布のモーメント母関数は でした。 よって確率変数Zのモーメント母関数は となります。 続いて対数をとってキュムラント母関数にしてテイラー展開をしていきます。 ここで2項目…

  • 【統計応用・医薬生物学】Simonの2段階デザインについてわかりやすく【統計検定1級対策】

    2017年の統計応用問3で出ていた問題が、サイモンの2段階デザイン(Simon's two-stage design)と呼ばれる、早期中止を含めた2段階のランダム化比較試験デザインでした。 抗がん剤の第2相試験で使われたりしているようですが、神経内科領域ではどうにも馴染みがありません。ネット上にもあまりわかりやすい記事がなかったので、一度まとめてみます。 目次: Simonの2段階デザインとは? 具体的な数式の背景 ①αエラーを起こす確率を調べる ②βエラーを起こす確率を調べる ③必要な被験者の期待値を求める 補足 Simonの2段階デザインとは? 具体的にどのような試験デザインになるかをまず…

  • マルティン・ハイデガーの『存在と時間』に入門してみる⑥

    久しく離れていましたが、そろそろとりあえず読み終えていきたいハイデガーの話をまた書いていきます。 前回までは現存在について重要な部分を成す気遣いと内存在が「気分」「了解」「語り」で構成され、さらにそれが本来的なものと非本来的なものに分けられることを書きました。 そこで本来的かつ全体的な現存在を捉えるためにはどうすればいいのか。そこで出てくるのが、今回の「死」と「不安」の話です。ハイデガーの「死」の考察は有名なのでここだけみても面白いかもしれません。 目次: ハイデガーの「死」の捉え方 なぜ「不安」を重要視するのか 死の不安を受け入れるとどうなるか 前回までの記事はこちら↓ マルティン・ハイデガ…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問6

    マルコフの不等式を使った問題をやってみます。 まずは(1)から。 標準正規分布に従うZに対して を証明します。 補足すると マルコフの不等式はXを非負の確率変数として と表されます。また とも言えるので、上記の1つ目の式変形ができます。 また2つ目の式変形はzが標準正規分布に従うため、対称性があるので成り立ちます。あとは実際にzを入れ込んで変形していくだけですね。 続いて(2)。 不等号のところでマルコフの不等式を使っています。

  • 自動開閉式ゴミ箱Zitaを買ってみた話

    4月の共働きに向けて家具・家電の新調が進む我が家ですが、ゴミ箱も自動開閉式のものを購入しました。 これがまた楽で良いです。 今までは複数のゴミ箱から45L入りのゴミ袋にまとめてたんですが、子供も増えるに従って食べ残しやら食後のゴミがどうにも増えてくるため、すぐゴミ箱がいっぱいになります。 ゴミ箱がいっぱいになるとゴミの日まで45Lゴミ袋に入れて置いておくんですが、0歳児がイジったり、3歳児がゴミ漁ってきたり(!?)、、、。 おまけに生ゴミ用のゴミ箱は開けるたびに臭いし(一応大部分はビニール袋に閉じ込めて捨てているんですが)。 この辺の不満はスッキリ解消されましたね。 購入の際に検討したところ何…

  • 変数変換・平方変換・確率積分変換【統計検定1級対策】

    統計検定1級で頻出なテーマである確率密度関数の変数変換、平方変換、確率積分変換についてまとめてみようと思います。 目次: 変数変換 平方変換 確率積分変換 変数変換 まずは変数変換から。 確率密度関数に従う確率変数Xに対してg(X)=Yとしたときに、Yが従う確率密度関数を求める方法です。ここで、g(X)は単調増加関数とします。 いつも思い出す時に変換の式をちょくちょく混乱するのですが、分布関数の定義そのものから導き出すことを覚えておくと、自分で導出することで確認ができます。 ここがスタートですね。 次にこれを積分の式まで持ち込みます。 よって となります。 g(X)が単調減少関数の場合も同様に…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問5

    統計応用もやりつつ、時々統計数理のほうも解いていっています。 今回は5章の問5。 順序統計量と平方変換の両方を使う良い問題です。 まずZ=min(X, Y)なのですが、これをどう表現するか。 解答例と同様に、順序統計量としてみて、一番小さい値と考えます。 順序統計量については以前一度記事を書いたので分からない人はどうぞ。 medibook.hatenablog.com これに従うとZの確率密度関数は、標準正規分布の確率密度関数を、確率分布関数をとしたとき となります。 さて求めたいのはでしたので、ここから平方変換をします。 とすると となります。 先ほどのzの確率密度関数を代入すると 最後の方…

  • ティファール「クックフォーミー」とアイリスオーヤマ「電気圧力鍋」を比較してみた

    統計の話題が続きすぎたので、たまには全然違う日常の話を。 4月から妻が再度働き始めることもあって、現在自宅では家事時短に向けた取り組みが粛々と進められています。 そんなわけで最近電気圧力鍋を購入しました。 「豚の角煮」をクックフォーミーで作りましたが実にうまかったです。 やっぱり特に肉系の煮物は圧力鍋が最強ですね。 現在自宅にあるのはクックフォーミーなのですが、その直前に妻の実家からアイリスオーヤマの電気圧力鍋を借りて使い心地を試していました。 せっかくなので比較してみようと思います。今後購入検討中の方は参考にどうぞ。 目次: アイリスオーヤマの「電気圧力鍋」の良い点、悪い点 良い点 悪い点 …

  • twitter始めました(今更感がすごいけど)

    blogの記事にするほどではないけれど、「本の感想を書きたい」「論文の紹介をしたい」「医療関連のニュースをさらっと紹介したい」「統計検定1級の勉強の辛さを共有したい!」ということがたまにあります。 そういった内容を書きやすいので、いまさらながらtwitter始めてみました。学生時代にもやってましたけど、もはや活動してなかったので本当に久しぶりです。読んだまま記憶の彼方へ流れていってしまう本のこともこれなら記憶に留められるかもしれません。 もし興味がある方がいればフォローいただけると幸いです。 統計検定1級をともに頑張りたい方もぜひどうぞ。 medibook (@medibook3) Twi…

  • 認知症の新薬aducanumabの話が不穏すぎるので、製薬関連の本をいくつか読んでみた

    さて、最近認知症関連の話題で注目されているのはbiogenとエーザイが開発しているモノクローナル抗体、アデュカヌマブ(aducanumab)です。 アルツハイマー型認知症の治療薬として期待されており、アミロイドβを標的とした薬剤となっています。 これが今アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)に薬剤としての承認申請をしている最中なのですが、統計学的にも臨床的にも問題を孕んでおり、外部の委員会(薬剤の有効性を検討する神経内科医による委員会)でも有効性に疑問を付されています。 journals.lww.com データは論文化されておらず、biogen側の制作したスライド(公表されているもの)がデー…

  • 【統計応用・医薬生物学】ノンパラメトリック法・ウィルコクソンの符号付き順位検定【統計検定1級対策】

    引き続きノンパラメトリック法の検定についてみていきます。 ウィルコクソンの符号付き順位検定とは ウィルコクソンの符号付き順位検定は1標本の検定に使われるもので、対応するデータの差が正のときに1、負のときは0として(ここまでは符号検定と同じ)それにデータの差の大きさの順位を掛け合わせることで検定を行うものです。 符号検定と異なり、データの分布が中央値に対して対称でないといけない点が注意が必要です。 具体例で考えてみる 符号検定の記事で使ったのと同じ例を出してみます。 3人の被験者に対して、降圧剤を内服前後の収縮期血圧の変化を見てみると以下の表のようになりました。これに対してウィルコクソンの符号付…

  • 【統計応用・医薬生物学】ノンパラメトリック法・符号検定【統計検定1級対策】

    2016年、2019年と出題されているノンパラメトリック法の検定について簡単にまとめておきます。 符号検定とは 符号検定は1標本に対して行われるノンパラメトリック検定です。ある対応するデータの差が正であれば1、負であれば0として、それをデータの数だけ足し合わせたものを検定統計量とします。差が明らかにあるのであれば、は大きくなるはずなので、差がないとした帰無仮説下での、その確率を計算して有意かどうか調べます。 具体例で考えてみる 実際の例をみるとより分かりやすいので、適当な例を出してみます。(この試験にノンパラメトリック法が適切かどうかはひとまずおいておきます) 5人の被験者に降圧剤を内服しても…

  • 【統計応用・医薬生物学】RMST法の期待値と分散【統計検定1級対策】

    引き続き生存時間解析の話ですが、2019年の過去問ではRMST法の問題が出ていたので、期待値と分散の導出について簡単に説明します。 RMST法ってそもそもなんやねんということは過去に一度記事を書きました。 medibook.hatenablog.com 範囲にも書いてないし、公式の教本にも書いてないのに問題が出されるとかもはやどうしたらいいんでしょうか笑 まずは期待値の導出についてです。 生存時間の確率変数をT、観察期間をτとすると、被験者の生存時間XはX=min(T, τ)で表現されます。つまり、観察期間中にイベントが起きればTとなりますし、観察期間中に起きなければτでカウントされるわけです…

  • 【統計応用・医薬生物学】Cox比例ハザードモデルと尤度関数【統計検定1級対策】

    生存時間解析の勉強を進めて、今回はCox比例ハザードモデルについて過去問に対応できるように知識をつけていきたいと思います。 ハザード関数と生存関数の知識が前提に必要なので、わからなかったらこちらをどうぞ。 medibook.hatenablog.com 目次: Cox比例ハザードモデルとは? 生存時間解析における尤度関数を考える Cox比例ハザードモデルにおけるβの推定 Cox比例ハザードモデルとは? Cox比例ハザードモデルは回帰分析の一種で、生存率に関係してくる因子を説明変数、ハザード関数を目的変数として設定するモデルです。 例えば、あるi番目の被験者について、生存率に関係する3つの説明変…

  • 【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値の信頼区間・Greenwoodの公式【統計検定1級対策】

    今回はカプラン・マイヤー推定値の信頼区間を知るための分散の求め方をやってみようと思います。この分散の式はGreenwoodの公式と呼ばれています。 統計検定1級の教本にも紹介されていますし、導出の過程はほどほどの難しさなので、出題されてもおかしくはないのかなと思っています。 カプランマイヤー推定値と関連する内容なので、わからない人はこちらの記事も参考ください。 medibook.hatenablog.com 目次: Greenwoodの公式とは Greenwoodの公式の導出 ①生存関数の対数を取る ②二項分布に置き換えて考える ③デルタ法を使う 参考文献 Greenwoodの公式とは グリー…

  • 【統計応用・医薬生物学】カプラン・マイヤー推定値とネルソン・アーレン推定値【統計検定1級対策】

    今日も統計検定1級の統計応用・医薬生物学分野について頻出の内容をまとめてみようと思います。 追加した内容は以前まとめた記事に載せていきます。 統計検定1級の出題範囲と過去の記事・お役立ちサイト・参考書をまとめてみた【統計検定1級対策】 - 脳内ライブラリアン 今回は、生存関数の推定値であるカプラン・マイヤー推定値(あるいはカプランマイヤー曲線)とネルソン・アーレン推定値についてです。 過去問では2016年、2019年とカプランマイヤー曲線を書かせる問題やネルソンアーレン推定値について、答えさせる問題が出題されています。 カプラン・マイヤー推定値とは カプランマイヤー推定値は生存関数S(t)を推…

  • 【統計応用・医薬生物学】ハザード関数と生存関数の関係性を整理【統計検定1級対策】

    統計数理もだいぶ勉強は進んできたのでぼちぼち統計応用の分野の勉強も進めようかと思っています。 そこで2018−2019年の過去問をようやく買ってみて統計応用・医薬生物学分野をみてみたのですが、思った以上に難しそうでした、、、。自分の知識のばらつきかもしれませんが、2016−2017年は背景の深いことがわからなくてもできそうな感じでしたが、2018−2019年の問題は解答の道筋が分からなくて困りました。 これはやばいと思ったので、統計応用・医薬生物学分野の対策を考えるというニッチすぎる記事を書いていきます。統計検定1級自体でもニッチな気がしますがね。 実際の臨床研究と結びつく部分が多いので、数理…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問11

    淡々とまた解いていきます。 問11は互いに独立でない場合けれど、今日分散が0に収束するときの、標本平均の確率収束を考える問題です。 他の問題でも用いられますが、確率収束を示す場合、収束する値との差を十分小さい値εを用いるか、平均二乗収束を使う方法が多いです。 今回は平均二乗収束を用います。 を示せば良いので、まずこれを展開していきます。 という感じでの形に近づけていきます。何が良いかと言えば前者は互いに独立な時は0(本問ではρ)になりますし、後者は分散になるので期待値からの変形が容易です。 こういった使い方は同じく5章の問8や2017年の統計検定1級問1などにも共通しますので重要だと思われます…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問12

    二項分布を変数変換したときの、確率収束及び分布収束の問題ですね。 今まで解答の意味がよくわからなかったのですが、確率変数がn→∞となるときにどう動くかは、前提として二項分布の母比率と標本比率の話がわかっておいた方が良さそうであることに後で気がつきました。 標本比率は母比率に確率収束する 母比率は二項分布におけるpのことです。それに対して標本比率は今回の設問の設定においてで表されます。n回施行のうち、回が成功と出るわけなので、意味はよく分かります。 で、そのものがn→∞のとき、どうなるかはわからないのですが、標本比率であれば、母比率に確率収束することが分かります。 というのも、はそもそもベルヌー…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問10(2)

    続いて分布収束の問題です。 不偏分散と母分散を用いた式が分布収束することを示す問題ですね。 パッとみた感じ、(1)で示したように不偏分散の期待値が母分散と一致しており、分散がでしたので、中心極限定理を使えばいけそうな雰囲気がします。 不偏分散のままではそうは言えないので、バラすところから始めます。(1)で用いたの形に持ち込むところがポイントかと思われます。 ここからどうせ0になるであろうの部分は外へ括り出して変形していきます。 さてこれもそれぞれn→∞になったときどうなるかみていきます。 ①まず{}内にある第1項と第2項です。 の期待値と分散は(1)で示したようにとでした。 はn→∞のときとな…

  • 現代数理統計学の基礎 5章 問10(1)

    さて、戻りまして5章の問題をぼちぼち解いていきます。 統計応用の方も対策を進めたいので、並行してやっていきたいところですね。 問10は確率収束、分布収束の問題です。 まずは(1)から。 (1)はn→∞のとき、不偏分散が母分散に確率収束することを示す問題です。 不偏分散、標本分散ともに一致推定量と呼ばれており、n→∞のときに母分散に一致することが知られています。それを証明する問題ということですね。 さて、まず式を変形していくわけですが、目標として分散の式に近い形態の を目指しつつ変形します。 *と毎回書くのが面倒なのでとします なので不偏分散を以下のように変形していきます。 前半の項と後半の項を…

  • 現代数理統計学の基礎 7章 問10(3)

    さて、(3)は一様最強力不偏検定を示す問題です。 公式の解答を見ると が一様最強力不偏検定である から唐突に始まってます。 それを導出していくというより、これが一様最強力不偏検定であることを示す感じになってますね。問題の意図がそれでいいならまあ仕方ないのですが、、、。 なので同様に、一様最強力不偏検定の示し方と先程の検定がそれで良いのかどうかを書きます。 昨日書いた記事はμの値を一般化したものなので、やり方は本当にほぼ一緒です。なので、コピペしまくります。 medibook.hatenablog.com まず棄却域をRとして検定関数を以下で定義します。 一般性を失わないので、とします。 次に帰…

  • 不偏検定とその証明についてできるだけわかりやすく【統計検定1級対策】

    今回は初見では意味が分かりづらかった不偏検定、一様最強力不偏検定とその証明について、正規分布の場合を例に記事にまとめておこうと思います。 不偏検定とは? 不偏検定(unbiased test)とはざっくり言うと、仮設検定のうち、以下の条件を満たすものを指します。*1 有意水準≦検出力 さらにこの条件を満たす不偏検定の中で検出力が最大となるものを一様最強力不偏検定(UMP unbiased test)と言います。 この話だけ聞いても、なぜこの概念が大事なのか、具体的にはどういうことなのかが分かりにくいので正規分布の例で説明してみます。 なぜ不偏検定が大事なのか ここからは平均μ、分散1の正規分布…

  • 現代数理統計学の基礎 7章 問10(2)

    7章問10は一様最強力検定が存在しないことを示す問題です。 複合仮説でも片側検定であれば、成り立ち得ますが、両側検定だと成り立たないことは本書中でも、棄却域を示す式が異なることで説明されていました。同様の方法で示します。 まず、対立仮説はのときとのときに場合分けできます。 のとき 一様最強力検定は(1)の棄却域拡大前と同様なので となります。 次にのとき 途中までは(1)と一緒なのですが、最後の変形の部分で異なってきます。 ですが、今回は対立仮説がであることから となります。ある値Cより小さいということは正規分布において左端(値が小さい方)の1ーα%分位点に当たるので一様最強力検定は となりま…

  • iPad Air 4を買って2ヶ月経過したので感想でも

    さて、11月に初代iPad airからiPad air 4への大幅な変更を果たしたのですが、使い勝手が最高すぎるので、改めて使用感を書いてみます。 medibook.hatenablog.com 新しい機器が出るたびにテック系のサイトでレビューってよくあるんですけれど、あんまり具体的な使用感の見えてこない感想が多いので、具体的な使用方法含めて書いてみます。購入迷ったりしている方の参考になれば幸いです。 自分の普段の使い方 大体自分の使い方はこんな感じです。 朝: ブログ更新と統計の問題解いたり、仕事の発表とか論文作ったり。基本的にMagic keyboard使用してます。発表用のアイディアメモ…

  • 現代数理統計学の基礎 7章 問10(1)

    このところ淡々と問題をやり続けてます。次は問10。 今回は正規分布を使った複合仮説の仮設検定ですね。 まず今までの7章の問題と同様に帰無仮説をとして尤度比検定(=最強力検定)を求めます。 まず正規分布における尤度関数は そして対数尤度関数は 正規分布の最尤推定量はあまりにも良く出ますが、対数尤度関数をμで微分すれば と求まります。 さて、ここでのとき 尤度比検定は となります。 途中の変形がわからない場合はこちらの記事も参照下さい。 medibook.hatenablog.com ですので最後の式は結局 と簡単な形に変形できます。 ここで中心極限定理より なので、帰無仮説の条件を踏まえると棄却…

  • 現代数理統計学の基礎 7章 問9(2)

    問9(2)ですが、問4と同じような感じで棄却域を広げていきます。 現代数理統計学の基礎 7章 問4 - 脳内ライブラリアン まずは帰無仮説をと固定します。 次に場合わけ。 ①のとき 尤度比は1となってしまうので成立せず。 ②のとき (1)の式と同様にしてにを入れると尤度比検定の式は前問と同様に変形できます。 これが一様最強力検定となるので、あとは棄却域を広げて がαとなることを示します。

  • 現代数理統計学の基礎 7章 問9(1)

    現代数理統計学の基礎、7章の問9です。 指数分布において、最強力検定=尤度比検定を求める問題ですね。「指数分布=ガンマ分布の特殊形」であることが問題を解くのに役立ちます。 まず尤度関数は 今回は帰無仮説も対立仮説もλ=定数と決まってますので、尤度比検定 となります。 −2logつけてカイ二乗分布を使って、終わりでもいいんじゃないかと思ったりするわけですが、解答としては可能な限り単純な形にしたいようです。 そこでまずは式の形に着目すると は正の定数 も正の定数(条件よりなので) ということから、尤度比検定の式は結局 に集約されることがわかります。 さて、ここで指数分布の和の再生性を利用すると と…

  • 超急性期脳梗塞における血栓回収vs血栓回収+t-PA(アルテプラーゼ)のRCTたち【JAMA/NEJM】

    久々に脳神経内科・脳外科専門の話題を書きます。 つい先日1月19日付でJAMAに(しかもNeurologyとかでもなく)脳梗塞に対する脳血栓回収vs脳血栓回収+tPA療法のRCTが2本載ってました。しかも1本は日本発。 以前にNEJMに同様の論文が載ってましたが、今後もこの比較は結構出てくるみたいです。 統計学的に非劣性試験の細かい話も勉強しておきたいところなのですが、まだ追いつかないのでひとまずは大まかな結果だけ比較しておこうかと思います。 勤務先では神経内科医がt-PAをうち、脳外科医が血栓回収をやるので、これは実務上大変関係あるstudyなんですよね。 それぞれのstudyのリンクも貼っ…

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