百首歌へのアブローチ(『まほろばの島』賛歌・其のⅡ) 堂々と百首完詠! 四国限定、本日早朝、出血大後悔!
⁅001⁆ 関東は梅雨明けにけり!ご当地の「梅雨明け宣言」いつ頃ならむ?⁅002⁆ ネタ切れで話は春に「逆戻り」!今を去ること七十日前⁅003⁆ 当日に買い物せむとて出でたるは四国本土のとある街なり!⁅004⁆ 「春に逆戻り」とは如何なる意味ならむ?「戻る」とは即ち「逆に進む」意!⁅005⁆ 上陸し須田の波止場に佇みて「何処へ行かむ?」と思案にくれる!⁅006⁆ 名代なる「フラワーパーク浦島...
『まほろばの島』に敬礼! 鳥羽散歩⁅01⁆ 仲南の田圃の脇の草原は減反施策の遺蹟ならむや?⁅補欠⁆ 仲南の田圃の端の草原は減反施策の残骸ならむ?⁅02⁆ 八郎潟、埋め立てたのは誰なんだ!旧(もと)に復(かえ)せよ連立政権!⁅補欠⁆ 八郎潟干拓事業を企てた秋田県知事・小畑 勇二郎氏⁅03⁆ 大幅な赤字解消に寄与せむと「JR四国の観光列車」⁅補欠⁆ 赤字解消施策の一環とし...
百首歌へのアプローチ(財田川橋梁近くのショキングモール&鎮座の桜) 讃州粟島限定!出血堂々大後悔!
前編(財田川橋梁近くのショキングモール)⁅001⁆ 糧秣の探索に行くその途上、鉄道写真を撮らむと思ふ⁅002⁆ 仲南の水田に映るレールカーの写真撮らむと吾は来にけり⁅003⁆ 鏡なす水田に映る映像を吾は名付けり「水鏡写真」と⁅004⁆ 仲南の水田の成せる水鏡!観光列車を映してお呉れ!⁅005⁆ 水鏡?読んだ事ない!読んだのは吾妻鏡と大鏡だけ!⁅006⁆ 畦道にアザミの花が咲いてゐる仲南町の六月半ば...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅡ)
〇 かつて火を熾していたこの両腕で君の体を引き止めること 彼女は銭湯の釜焚きに従事していたのでありましょうか? 銭湯の釜焚きは難儀極まる職業なのでデートする暇が無く、恋人に逃げられてしまったのでありましょうか? 両腕で火を熾せたら燐寸などとうの昔になくなったはず○ 悲しいと言ってしまえばそれまでの夜なら夜にあやまってくれ あの喪失の夜の事が憎い!憎い!憎い!たまらなく憎い! あの呉れて...
百首歌へのアプローチ(志々島賛歌) 瀬戸内海域限定!本日午後、堂々大公開!
⁅001⁆ 目指すのは横尾の辻の大きな木!その正体を確かめる為⁅002⁆ 以前から楽しみにしていた事で準備おさおさ怠りも無し⁅003⁆ 先ずはカメラのバッテリーチェックと撮影練習繰り返します⁅004⁆ 峠路の巨樹の正体判るかと思えば胸がわくわくします⁅005⁆ 一夜明ければ満月で野良猫も夫婦揃ってお月見してる⁅006⁆ 波止場には「あしま」と「つばめ」が停泊し!我が乗る船はおんぼろ「あしま」!⁅007⁆ ...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅠ) 参院選、当落既に確定し!吾ら庶民の夢絶たれたり!
〇 当たり前のように重たくなる花瓶 時間はこうして重さに変わる 同じ花瓶が軽くなったり重くなっりすること、私の経験則にてらしあわせてみても決してありません!であるならば、あなたご自身が老化した結果として、昨日は軽かった花瓶を今日は重いと感じたのでありましょう。また、「時間」というものは「重量」に還元されることはありません! 花瓶さえ持てなくなってしまったら、花も実もある人生ではない!〇 ...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅥ)
〇 眼裏にまだ君がいる真夜中に今度は私から好きと言う○ 三つめの砂糖は溶けて四つめは溶けないそんな境界に来て〇 目覚めたら喉が渇いていてだれも魚の頃の話をしない○ もう一度(例えば恵比寿の改札で)振り向こうと思えば振り向ける〇 もう一度ふたりが出会う世界では君から先に私を見つけて○ 呼び捨ててほしいと言えば黙り込む君と今夜はサーカスを見る○ 読んできた本の名前を教えあう二の腕に二の腕を触...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅤ)
○ 初夏の君の笑顔に糸切り歯見えたらしんと冷たい世界〇 花を買うことに理由がないように恋を束ねて片腕に抱く〇 花を切るための鋏で君からの最後の手紙を花びらにする○ 春の闇乳房はすこし冷たくて柔らかいもの 指が驚く○ パンケーキショップの甘い蜂蜜の香りがしたら右に曲がって○ 非常時に押し続ければ外部との会話ができます(おやすみ、外部)○ 開かれて光ってしまう淡水魚それとも躰 月の脱衣所〇 ...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅣ)
〇 側道を行く自転車の後輪が春の終わりを巻き込んでいる○ 大切なことは小さな声で言う君の隣で目を閉じている〇 太陽に向かって咲いている花に嫌気がさしている夏の午後〇 太陽を見つめたままのひまわりが赤いリボンで縛られてゆく○ 黙ることが答えることになる夜のコインパーキングの地平線〇 近づけば近づくほどに遠ざかる触れたときから失っている○ 沈黙のみずうみにいる君のためドアが開くたび揺れてい...
「鈴木晴香処女歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房・2016年)」を読む(其のⅢ)
○ 雑踏の中に通勤定期券 降りたことのない駅を結んで○ 残像の美しい夜目を閉じた後の花火の方が大きい○ 嫉妬してください例えばこの雨が君に降らない雨であること〇 シャボン液から指の輪を引き抜けば私は風の入り口になる○ 自転車の後ろに乗ってこの街の右側だけを知っていた夏○ 準急の過ぎゆくホーム太陽はとぎれとぎれに私を叱る〇 好きだって言わなくたってもセックスはできるものだというお告げあり...
⁅01⁆ 某党の政策ポスター、無残にも剥がされてゐつ!公示を前に⁅02⁆ 候補者に祟られたなら怖いから誰も剥がさぬポスターも在る⁅03⁆ 「多摩プラで三原じゅん子が演説をしてるの見た!」って云ってた妻が⁅04⁆ 多摩プラに顔を見せないリッケンの候補者二氏は棲み分けしてる?⁅05⁆ 選挙カーが朝からガナり立ててゐる「私は庶民の味方なんだ」と!⁅06⁆ 誰ひとり口に出さない憲法の九条改正に関わる事項⁅0...
⁅001⁆ 「折れた煙草の吸殻であなたの嘘がわかるのよ!」「だから入れない!」⁅002⁆ モノマネとマシンガントークのアケミさん、維新の会の比例区候補 (誰よりも速く喋れるワタシめにどうか議席を与えておくれ!)⁅003⁆ 首都圏の元知事二氏が立候補!党籍共に「維新の会」だ!⁅004⁆ 二氏共に当落線上彷徨えば「維新の会」の領袖来援! ⁅005⁆ 「物価高」「円安」そして「安保」問う!参院...
⁅01⁆ 梅雨入りだ!四国地方の梅雨入りは関東よりは当然遅い⁅02⁆ 西だから梅雨が早いと思うけど関東地方は首都圏だから?⁅03⁆ 平年は六月五日の梅雨入りが今年は遅れ十三日です⁅04⁆ 関東に七日遅れの梅雨入りで平年よりも八日遅れた⁅05⁆ 梅雨明けは七月十七日頃ですが「頃」にご留意?あくまでも「頃」!⁅06⁆ 梅雨と言えば何んと云っても紫陽花だ!梅雨の時期には紫陽花が咲く!⁅07⁆ 平常は桜の...
⁅01⁆ その時はその時だ!いざ鎌倉になれば馳せ来る友もあるから!⁅02⁆ その時は今ではないさ!その時を僕らみんなは逃がしてたんだ!⁅03⁆ 事を為すタイミングこそその時だ!それに留意しチャンス逃すな!⁅04⁆ 帰国した秋山翔吾外野手が永の御無沙汰詫びるその時!⁅05⁆ その時は島の恩師のキタさんも涙を流してテレビ観戦!⁅06⁆ その時は稽古不足で敗れたが今はと嘯く正代直也!⁅07⁆ その時は僕...
⁅01⁆ 領巾付きの帽子被った園児らが<SANWA>の.前の舗道を通る⁅02⁆ 領巾付きの帽子被った園児らが青信号を並んで渡る⁅03⁆ 領巾付きの赤・白帽を被っての保育園児の風船バレー!⁅04⁆ 領巾付きの帽子被るを拒否したる園児を憎む保育士もゐる⁅05⁆ 逆様に領巾付き帽子を被らせて義弟虐めて平気な義兄⁅06⁆ マージンの約三割がリベートだ!領巾付き帽の納入業者!⁅07⁆ 僕たちが国防色の戦闘帽被って...
○ 午後五時のメロディチャイム「やしの実」に耳を澄まして偲ぶふるさと 二嶋結○ 気が付けば川崎暮らし「やしの実」のメロディチャイムに故郷しのび○ いたづらに郷愁さそふ「やしの実」を夕方五時に流す川崎○ 午後五時のメロディチャイム「やしの実」のしらべうるさし今日の川崎○ 田舎から職を求めて川崎へ流れて来にし我なら泣くに○ はるばると仕事探しに川崎へ流れて来にし吾でも泣かず ○ 午後五...
「toron*処女歌集『イマジナシオン』(書肆侃侃房・2022年)」を覗く(其のⅠ)
○ iPodにくるりを同期させながらどの東京が好きか話した 作中の「くるり」は、「立命館大学出身の岸田繁と佐藤征史の2人からなるロックバンド」であり、「くるり」は、1998年(平成10年)『東京』(シングル盤)をリリースして、メジャーデビューを成し遂げたのである。 ところで、作中主体(=作者)と謎の人物とは、件の「くるり」の代表曲たる『東京』を「iPod」に「同期させながら」、数多ある東京の中で「どの東京があんたは...
百首歌へのアプローチ 讃州粟島以北!本日午後、優先大公開!乞うご閲覧!乞うご講評!
⁅001⁆ コーメイのエリート候補が自らの性交動画を違法公開⁅002⁆ キシダ破廉恥性権の<裏の顔>撃つ週刊文春⁅003⁆ 文春の「違法買収」報道に彼が反論できない理由?⁅004⁆ ハクホードー局長某のセクハラを訴えたから切られた<派遣>⁅005⁆ 魔野あずさ『はぐれ刑事純情派』出演女優の失踪理由⁅005⁆ 先輩は恐れ多くもあのお方?「行方不明リスト」に入った彼女?⁅006⁆ 「プロデュース101」出身...
「浦部晶夫第二歌集『晩晴』(不識書院・21020年)」を読む 讃州粟島以北、本朝、特別大公開!乞う、ご高覧!ご講評!
○ 暑き日もたそがれにけり白衣ぬぎひとまづ我はくつろがむとす 殊更に「白衣ぬぎ」なんて言わなくたって、そこんとこだけ強調して言わなくたって、宜しいではありませんか! どうせ、あんたは医者で、しかも、我が国血液医学の泰斗の名医で、こちとらは、貧乏で年老いた患者にすぎませんけどね! 暑き日も黄昏にけり!明日、吾の八十二歳の誕生日なり! 疲れたべ!草臥れたべな!暑き日を!白衣纏ひて...
「土岐友浩処女歌集『Bootleg』(書肆侃侃房・2015年)」を読む(其のⅥ)
〇 まっさらなノートのような思い出が音もなく降りこぼれる僕に◎ まっすぐに伸びた線路が表情をあかるく変えるように曲がった〇 マッチ売りの少女にもしも手袋と母があればと思う街角 〇 まるでそこから浮かび上がっているようなお菓子のそれでこそビスケット◎ もうひとりではなくなって青々と苔のひろがる神社を歩く◎ やり方は知らないけれど春先のゲートボールをころがるひかり〇 夕暮れがもうすぐ終わる...
「土岐友浩処女歌集『Bootleg』(書肆侃侃房・2015年)」を読む(其のⅤ)
◎ 八月の僕だけがいる教室の机のかどではじけたひかり◎ 発泡スチロールの箱をしずかにかたむけて魚屋が水を捨てるゆうぐれ〇 はてしなくつづく世界の片隅に光のふりそそぐ半夏生◎ ひそやかな暮らしのなかで中継の名人戦を見ているゆうべ◎ ひと言を伝えるようにはらはらと時雨落ち葉をたたいて消える◎ 人びとが代わるがわるに手を伸ばし橋から突き落とされたひかり◎ ぴったりの場所はどこにもないけれど海の浅...
「土岐友浩処女歌集『Bootleg』(書肆侃侃房・2015年)」を読む(其のⅣ)
◎ 例えれば冬のカラオケボックスの電話口から伝える言葉〇 ため息を眺めていたら指差したゆびが消えたら春の花々◎ 台形にととのえられた水田がかぼそく電柱をうつしとる◎ 尽くすほど追いつめているだけなのか言葉は君をすずらん畑◎ つま先を上げてメールをしていたらかかとで立っていたと言われる◎ 摘みとった白詰草のくびすじの、リラックマとかもう飽きました◎ てのひらを風にかざしているようにさびしさは...
「土岐友浩処女歌集『Bootleg』(書肆侃侃房・2015年)」を読む(其のⅢ)
◎ さっきまで鳥がとまっていたような配電線をたどって帰る◎ 習作のようにたなびく秋雲を見ているうすく色が注すまで〇 少年の世界のすべてではないが秋の野山が近づいてくる◎ 自転車はさみしい場所に停められるたとえばテトラポッドの陰に◎ 乗客は乗り込んだのに雨の日のドアをしばらく開けているバス◎ 勧めようとしている本を読み返す傘とかばんを近くに置いて 〇 すずかけの枝葉に傘がぶつかっていちめん...
「土岐友浩処女歌集『Bootleg』(書肆侃侃房・2015年)」を読む(其のⅡ)
〇 階段を転がるように降りていく枯れ葉は風の靴であること〇 帰るときかなり明るくなっているけやき並木をふたたび歩く○ 紙ふぶき大成功の、安田大サーカスというひとつの星座◎ 肝心なことはともかく夏草を見てきたことを話してほしい◎ 来た道を歩いて帰るさっき見た花火のことをずっと話して◎ 牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください◎ 空白について考えようとしてそのひとが立つ窓辺を...
「橘夏生第二歌集『大阪ジュリエット』(青磁社・2016年)」を読む(其のⅠ)
○ 肢もとにともるペディキュア 最下級貴族のやうに街を歩かう○ 姉が貼りしポスターはデビッド・ハミルトン少女を噛めば蜜があふるる○ 雨のそらに吹くシャボン玉 夭折の友にはつひに負けただらうか○ 「イグアナの娘」のわれに恋ヲスル日ガ来タルとは母は教えず○ ウォッカを喇叭飲みしてデンデラ野ゆく老婆はたしかにわたくし○ 産みしことなしと答へよ白昼に炎ほむらたちたるさざんくわの群れ○ 襟もとの琅玕...
○ あでやかな鞭となるべし浴室に水仙一茎をわれは見おろす○ 羅(うすもの)をまとへばつねに身になじむわたくしといふ存在はこれ○ 悦楽の悦といふ語に兄といふ文字みつけたる夏のいもうと○ かくて美貌の夏は来たれりまはだかの孔雀を愛でるタマラ・ド・レンピッカ 「タマラ・ド・レンピッカ(フランス語: Tamara de Lempicka、ポーランド語の読みはタマラ・デ・ウェンピツカ、1898年<1895年説や1897年もある>5月16日 ...
「春日真木子第十四歌集『ようこそ明日』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅡ)
○ 視神経形成のはじめの青といふ胎内体験誰が覚えゐし○ 白粥を祈りのごとくたちのぼる湯気に託さな今日のわが生○ 震度4 家族五人吾を囲み共に揺られつ老いははぐれつ○ 全力もて車椅子より伸びあがる『正園』手書きの歌稿の前に○ 託されし今生分の女わざまだ足りぬとて厨辺に立つ○ 単調にとび去る時よ目を緩めほとほと遠き太陽を呼ぶ○ 「だいぢやうぶー ? 」問ひくるTELに「生きてます」短く答ふ心は潤ふ○ ...
「春日真木子第十四歌集『ようこそ明日』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅠ)
○ ああ今日も二本の足に立ち上がり二本の手もて掴めよ自由○ あこがれに身を焼きながら日々をあれ リルケの一行われのふるさと 平成十五年・盟友高嶋健一逝く○ 朝に夜の電話なつかし健一のつね柔らかき和魂のこゑ○ 足疼き眠れぬ夜半なりおのづから選びてゐたり胎児のポーズ ○ いきしちにいきしちにとぞ生き継ぎて令和に迎ふ初の八月○ 一滴の雫に映る小宇宙いただきたしよこのふくらみを○ いま此...
「大下一真第七歌集『漆桶』(現代短歌社・2021年)」を読む(其のⅢ)
◎ 掃くわれを墓石に止まり見ていしがつまらなそうに鴉の去りぬ 「瑞泉寺の住職めが、今日はどんな理由があって仏心を出したのかは知んないが、庭なんか掃いてやがんの!くそ面白くもないや!」などと呟きながら、件の「鴉」は、材木座海岸方面へと飛び去って行ったのでありましょうか? 吐く吾を向ふ岸にて看てゐしがイタチ飛び込む多摩の水面に ◎ 花びらを踏みて咲きたることを知る白き山茶花墓所掃きに来て ...
「川島喜代詩処女歌集『波動』(歩道文庫・1969年)」を読む(其のⅠ)
○ いづこにも沈丁花の香のただよへる代々木上原の坂多き街○ 海ふかく沈める艦がかぎりなき潮のながれに音ひびくとぞ○ かぎりなき波動のなかに波がしら折ふしにして立てるさびしさ○ 紫雲英(げんげ)田のむかうにみえてかぎりなき海の波動を吾は恋ほしむ○ 秋分のひと日は晴れて遠方にゆくりなき蟬のこゑがきこゆる○ たかはらの遠くかたむく果にして吾より低く青き山みゆ○ 多摩川の流れはここにせばまりて秋日に...
「大下一真第七歌集『漆桶』(現代短歌社・2021年)」を読む(其のⅡ)
〇 咲きて散る花惜しまるる桜木に枝あり幹あり樹皮のざらつき〇 支え合うゆえに「人」とぞ教わりてあるいはぶつかる形とも見ゆ〇 寂しげに白梅笑い口開けて桜笑うと今に知りたり〇 人生に百五歳あり一歳あり新盆の経たんたんと誦す〇 水中を泳ぐ蛙は目を開けておるやおらずや 目薬をさす〇 戦争はいけないというそれだけのことなれどそれだけができない〇 卒塔婆にゆわえられたる鯉のぼり夕べゆらぐは童子の...
「大下一真第七歌集『漆桶』(現代短歌社・2021年)」を読む(其のⅠ)
〇 暁をかなかなの声そろいしがほどなくやみてやがて雨音〇 暁を羽根音重く渡り行く鴉あるいは漆黒の刻〇 暁をふたたび雨の降り出でてかなかなの声消さぬ静かさ〇 紫陽花の首をはねつつこれがかの男ならばと思うてならじ〇 あやまちてあまたの短歌消ししこと唖然沈黙そののち憤怒〇 泡般若・洋般若はビール・ウイスキー 智慧の水とて僧は嗜む〇 言い訳をする時少し口ゆがむ癖は子供の時と変わらぬ〇 盂蘭...
「永田愛処女歌集『アイのオト』(青磁社・2018年)」を読む(其のⅠ)
〇 「愛さんのことをむこうの両親に言うてよ」と父に妹の声 件の「妹」さんの最大の悩みは、自らの姉上が、一般的には結婚生活に適さないと思われる身体的な特質を備えている女性である、ということであり、彼女は、そうした点に就いて、先方の親元に予め了解を得た上で、敬愛する姉上を結婚生活に踏み切らせたいと思っているので、姉上本人に隠れて「愛さんのことをむこうの両親に言うてよ」と、自分自身と姉上との共通の父親...
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