chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
鳥羽散歩
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2018/12/24

arrow_drop_down
  • 今日の十首

    〇 腹黒き悪人ばらを斬りまくる吾らが正義の味方・鬼平 鳥羽散歩〇 脚赤きペリカンたちが大挙して湖上を翔ける見開き画面〇 喜多さんが送つてくれた蚕豆を皮を剝かずにそのまま食べた〇 参院で国民民主が賛成し補正予算が通貨の模様〇 ドメインが無料だなんて!それは嘘!マジだマジだよマジに無料だ!〇 先般の荒川倉庫の火災にて贅沢かき餅価格高騰〇 酢を塗れば髪が再び生えて来て更年期...

  • 「山川藍処女歌集『 いらっしゃい 』(角川文化振興財団・2018年)」を読む(其のⅠ) 本日、午前十時、北方領土を含んだ、我が日本国内大公開!お代は、読んでのお帰り!いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!

    〇 愛されて育った父が新聞やTVニュースと距離をおく夜 山川家もお父さんが子供の頃は家計に恵まれていたので、藍さんのお父さんは両親から愛された大切に育てられていたのであり、その為、藍さんのお父さんは、やれコロナだの、やれウクライナだの、やれ三権の長の一人の衆議院議長がセクハラしただのねって、暗いニュースばかりのっている朝日新聞や東京新聞や毎日新聞、そして、暗いニュースばかり流す、TBSテレビやテレ...

  • 今日の一首

    〇 痩せたことたつた一度としてないが相撲部屋に入りたくない 鳥羽散歩...

  • 今日の一首

    〇 三権の長の一人の細田氏のセクハラ疑惑を報じる文春 鳥羽散歩〇 銃を持つ悪人ばらと戦ふは銃を持つてる善人だけだ〇 バイデンはウクライナなど見捨てると噂もちきり国際世論 ...

  • 百首歌へのアプローチ(五月二十八日)

    ⁅001⁆ ワン公の尻拭きタオルを首に巻き熟女駆け行く大山道を⁅002⁆ 三分の臨時停車を殊更に詫びる声など聞きたくはない ⁅003⁆ イオンの創業に尽力し「小嶋千鶴子さん101歳で老衰」 ⁅004⁆ NHK「ドイツ語講座」でお馴染みの小塩節さんご逝去の記事⁅005⁆ 断念が寂寥感を伴ひて切に寄せ来る梅雨入り前を⁅006⁆ 襲ひ来る剛速球に立ち向かひ岡本和真の打棒一閃 ⁅007⁆ 素饂飩に黄身を絡めて...

  • 「杉山隆遺稿集『人間は秋に生まれた』(東京美術・1971年)」より 初稿、本日未明、大公開!

    〇 朝磨ぐ米しろくしてかたくなに生きむ心を傷つけんとす 「かたくなに生きむ心」とは、即ち<頑固一徹な心>であり、頑固一徹な心で以て生きようとしたら、毎朝磨ぐお米が白いからと云って、自らを傷付けたりすることだって、無いとも限りません! 物事は程度問題であり、その度が過ぎると、自らを傷付けてしまうのである。 毎朝、母から言い付けられた日課として磨いでいるお米の白さが、元々気弱な彼の心を傷付けてしまう...

  • 「嶋稟太郎処女歌集『羽と風鈴』(書肆侃侃房・2022年)」を読む(其のⅤ)

    〇 石巻線(まきせん)は再び浜に沿いて伸ぶ寒の戻りの今日に訪ぬる 石巻線(通称・まきせん)は、宮城県遠田郡美里町の小牛田駅から宮城県牡鹿郡女川町の女川駅を結ぶ、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線である。 2011年3月11日に発生した東日本大震災では、地震や津波の被害を受けて全線にわたり不通となったが、沿線住民や関係各位の格別なる努力に拠って、同年5月19日までに小牛田駅~ 石巻駅間、2012年3月17日には石巻...

  • 「嶋稟太郎処女歌集『羽と風鈴』(書肆侃侃房・2022年)」を読む(其のⅣ)

    〇 白球がいま打ち上がる公園のヒマラヤスギの背丈を越えて〇 刃のごとくわが前にある砂浜の黒きところに入りてゆきたり〇 母宛の手紙を君と分けて書く夏の初めの長い休みに〇 半球のゆらぎの中にぎっしりと水のつまった麦わら帽子〇 半地下のガレージがある歯科医院 夾竹桃が反り立っている〇 ハンドルをつつくリズムの軽やかに雨ふる朝の消防士たち〇 パンゲアは砂の大陸 書き出しの言葉を未だつかめずに...

  • 「嶋稟太郎処女歌集『羽と風鈴』(書肆侃侃房・2022年)」を読む(其のⅢ)

    〇 対岸の街の明かりが冴えてくる窓のしずくを横に拭えば〇 たっぷりと蜜を満たして横たわる硝子の壜は照らされてあり〇 建てかけのタワーの上にクレーンが動かずにある三月の朝〇 だんだんと話せる人の多くなり昔のことを少し話した〇 地上までまだ少しある踊り場に桜の花が散らばっていた〇 地方転勤のない仕事だと麦畑の風のあいまに義父に伝えつ〇 長編の週刊漫画すこしずつ眼の描きかたに光がふえる〇 ...

  • 「嶋稟太郎処女歌集『羽と風鈴』(書肆侃侃房・2022年)」を読む(其のⅡ)

    〇 さまざまに色を違うるコンテナが一つの船に積み上がりたり〇 しばらくは地上を走る電車から桜並木のある街を見た〇 終点に近づくほどに声は増す誰に捧げる聖火だろうか〇 章の間(ま)に挟んだままのレシートの数日前の生活を読む〇 シンクへと注ぐ流れのみなもとの傾きながら重なるうつわ〇 自動車の赤いランプの連なりが橋の終わりでほどけ始める〇 十年が経ってわたしは川崎で震災以降の世界を歩く〇 ...

  • 「嶋稟太郎処女歌集『羽と風鈴』(書肆侃侃房・2022年)」を読む(其のⅠ)

    〇 赤い花かたちのままに水に浮く林試の森の公園をゆく〇 赤い火がときおり起こるうなぎ屋の小さな窓を雨の日に見た〇 欠伸して耳にたまった圧を抜くエレベーターが地下階に着く〇 厚紙を二つに折った縦長の春のメニューに日が差していた〇 集まって車載ラジオを聞いていた震災初日の夜は長くて〇 阿弖流爲(アテルイ)の髭と名付けし一塊の炭を割りけり夏の宴に〇 いちめんの白詰草の中に立つアパートは静か目...

  • 今日の一首

    〇 青に黄のあはれむやみにあかるくて民の負ふ苦をわれはうたがふ 鳥羽散歩 あをにきの あはれむやみに あかるくて たみのおふくを われはうたがふ〇 青に黄の無闇矢鱈にあかるくて民の負ふ苦をわれはうたがふ〇 黄に青の無闇矢鱈にあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ ⁅参考⁆ 雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ 小池光『バルサの翼』(1978年) ...

  • 今日の一首

    .〇 「無印良品」だけで生活すれば畢竟惧れはあらじ 鳥羽散歩 むじるしり ようひんだけで せいかつす ればひつきよう おそれはあらじ〇 「無印良品」だけで日々を送れば畢竟惧れはあらじ 鳥羽散歩 むじるしり ようひんだけで ひびをおく れぱひつきよう おそれはあらじ ⁅参考⁆ 丹花を口に銜みて巷を行けば、畢竟、惧れはあらじ 岡本かの子『花は勁し』 ...

  • 「田口綾子処女歌集『かざぐるま』(短歌研究社・2018年)」を読む(其のⅢ)

    〇 八月ののどに流せば夏の先へすこし冷えゆくビールと思ふ〇 服部さん魔法使いのような笑みあさりの水煮一缶を手に〇 半身に左右のあるをさびしみて人は抱きあふならひを得しか〇 日ざかりのそらのやうなるいろ見せてほのほはおのれのほのほを焼けり〇 非常勤なれば異動といふことば使わぬままに別れを言へり〇 ひとどほりすくなきみちをゆくときのあをき傘とはあめのかんむり〇 ひとりひとり紙ひかうきの折...

  • 「田口綾子処女歌集『かざぐるま』(短歌研究社・2018年)」を読む(其のⅡ)

    〇 坂ひとつ越えて梅雨明け 背骨まであかるく君の風上に立つ〇 収集車のあをいろもつとあをぞらの色に似ませばうれしからまし〇 照明の紐の先なる小さき球、何度でもわが額に弾く〇 空欄(しろ)に×(あか)、あはれむやみにあかるくて授業内容をわれはうたがふ〇 炊飯器 抱くにちやうど良きかたち、あたたかさもて米を炊きたり〇 すきなひとがいつでも怖い どの角を曲がってもチキンライスのにおい〇 すすぐ...

  • 「田口綾子処女歌集『かざぐるま』(短歌研究社・2018年)」を読む(其のⅠ)

    〇 明日は燃えるごみの日だから連れていつてもらへるだらうかいよいよ明日〇 あのひとの思想のようなさびしさで月の光がティンパニに降る〇 会ふことにも会はざることにも裏庭からさるすべりのはなびらが散りゆく〇 会ふたびに左手の傷に触るるひとうすくちひさき痕となりても〇 雨まじるつめたき風にふうりんのひとつひとつがきらひであつて〇 意思と意志どう違ふかと上履きのかかと潰して質問に来る〇 妹(...

  • 「佐田公子第五歌集 『夢さへ蒼し』(いりの舎・2020年)」を読む(其のⅢ)

    〇 ナイフもてゆるゆる剥ける洋梨のごとき女でありしか わが手〇 七階の茶房の窓辺のぼたん雪語り出したし逢ひそめしころ〇 二週間避難所暮しとふ電話 ともかく今野さん無事でよかつた〇 入院の息子に贈る腕時計 箱の中よりチチハハと鳴る〇 入院のわが子の冬物詰め込むる手提げ袋のぽーんと膨らむ 〇 肺水腫、心不全を病む息子 水無月二日雨足激し〇 「覇王樹」の再校ゲラを握り締め机に潜り生き抜...

  • 「佐田公子第五歌集 『夢さへ蒼し』(いりの舎・2020年)」を読む(其のⅡ)

    〇 笹の葉の雪に撓へる葉先にはあるやもしれぬこの世の出口〇 山茶花の一枝挿せば一人なるわが部屋内(ぬち)に君の香のせり〇 山茶花をことさら愛づる君なれば赤、白、ピンクを翳してみせん〇 さみどりの橡の葉擦れにわたくしを探してといふ声の聞こゆる〇 深刻にならない歌が読みたいと君は言ひをり柿を食みつつ〇 心臓の画像の下の洞白し 子に与へにし左腎のあたり〇 その時を津波に呑まれゐたる人数多があ...

  • 「佐田公子第五歌集 『夢さへ蒼し』(いりの舎・2020年)」を読む(其のⅠ)

    〇 会ひたしと思ふ心の募りくる入院の君に二日会はねば〇 家々の庭木に掛かるTシャツを着るべき子らを帰せ! 荒海〇 生くるため手離すをの子二人をり一人は息子一人は夫〇 いつもより饒舌となる母と子らさくら弁当にさくらが舞へり〇 いづこからくる哀しみか やまとうた二上山の夢さへ蒼し〇 降り立てる南紀白浜空港の蘇鉄は弥生の風に揺れをり〇 かたはらの君の横顔照らし出すだるまストー ブは永久に燃え...

  • 二嶋結歌集『私家版・臆病なビーズ刺繍』(其のⅣ)

    〇 勝新も田宮二郎も今は逝き『悪名』にのみ其の名を残す〇 勝新を真似て悪名のこさむと煙草吸へるは十五の頃か〇 世良修蔵 悪逆無道の名を取りて阿武隈川原で斬首されたり〇 曇天に鋭き枝を突き刺して冬の公孫樹は我が怠慢を責む〇 赤玉のポートワインのポスターのヌード美人の淡き微笑み〇 風邪の子の保冷マットに敷き重ね宝船かも嘉きことあれと〇 柔弱な青春野郎をぶつ飛ばせ!七十路を意気稜々と往け!...

  • 二嶋結歌集『私家版・臆病なビーズ刺繍』(其のⅤ)

    『みやびをの』五十首〇 毟られて痩せて師走のカレンダーのヌードひとひら〇 盗癖を噂されたる寡婦の家 息子と嫁と松飾り居り〇 吉兆のおせち料理のカタログを見つつラガーの缶タブを抜く〇 徑絶えし秋山郷をアップして『おはよう日本七時のニュース』〇 丙戌の御用始めの記者会見 銀のタイ締めポチも神妙 〇 セレブにはあらざるゆゑにユニクロをまとひてサーヤもデパ地下にならぶ〇 「この度...

  • 二嶋結歌集『臆病なビーズ刺繍』(其のⅣ)

    〇 骨箱を抱ける兄(せな)を真ん中に父子(ちちこ)三人(みたり)の「ヤキバノカエリ」〇 夫われの逝きにし後のベランダの物干し竿の長さを思ふ〇 竜といふ祖母の名見ゆる點鬼簿に見せ消ちのあり紙魚喰ひのあり〇 蟲喰ひも誤植もありて『若菜集』 藤村没後七十五年〇 その棘の鋭さ知らず名付くるやプリ〇セス・キコとはおピ〇クな薔薇〇 プリ〇セス・キコとふ名をば負ひたれば棘するどくて気高き薔薇よ〇 「煮ら...

  • 二嶋結歌集『臆病なビーズ刺繍』(其のⅢ)

    〇 彼の夏と同じ思ひで蟬を聴く猛暑果てなき終戦記念日〇 嘆かへばものみな哀し我が肌を夕べ刺しつる蚊の命さへ〇 不可思議な夢をば見つる天平の琵琶を奏づる乙女の夢を〇 いま我はヴィオロンとなり故郷に妙なる音と風を送らむ〇 罪障を滅消せむとてせしなれど泥鰌逃がして妻に叱らる〇 挺身以て敵陣を撃滅せむ生ら固より生還を期せず〇 セメントが固まる頃を見計らひ型枠外しに取り掛からねば〇 幾たびも...

  • 二嶋結歌集『臆病なビーズ刺繍』(其のⅡ)

    〇 フジテレの時代ドラマの暗闇に「東北新社」のクレジット見つ〇 電飾に縛られて佇つ樅の木のひともと吾の憂鬱を生む〇 電飾に捕縛されたるモミノキのひともと今し吾が鬱を生む〇 採血の注射針みたび刺されたり今朝の看護師脂肪過多なり〇 「プリ〇セス・キコ」との名をば負ひたれど谷津遊園のバラ荊棘鋭し〇 「プリ〇セス・キコ」とふ尊き名を負ひて棘多かりき生田緑地のバラ〇 「コロンブス」とふ薔薇の花...

  • 二嶋結歌集(其のⅠ)

    朝々に飲むべき薬十八粒甘露甘露とうそぶきて飲むあさなさな飲むべき薬餌十六包甘露甘露と飲むほかはなし身の立つ瀬浮かぶ瀬のなき村にして今朝は共同防除のヘリ飛ぶ身一つの置きどころ無き村にして今朝は共同防除のヘリ飛ぶ招福の干支の土鈴の鶏のコケて転げてココとも告げず創癒えて実る日やある林檎樹の完膚無きまで枝折れしけるおづおづと吾の差し出す短冊をと染めにき修二おづおづと色紙差し出す我がために<さくらさくら>と...

  • 絶賛!「王生令子歌集『夕暮れの瞼』(青磁社・2021年)」を再び捲る

    〇 謝って楽になりたいだけの君銀糸の雨が降り続いている 「謝罪」の本質を衝いた一首! 安倍元総理の謝罪! 知床半島クルーズ船沈没事故の船主社長の謝罪! ロシア大統領のウラジーミル・プーチンは、楽になりたくないが故に謝罪しないのかも知れません! 斯く申す、私・鳥羽散歩は、四六時中謝罪し捲っている状態なんですからね!〇 怒りより悲しみのほうに寄せてくる等圧線あり我の天気図〇 苛められ心底憎んだ人...

  • 「蛭間節子処女歌集『白いカローラ』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅣ)

    〇 花の憂ひ花の数だけあるべしやふかぶかとさくらしべの黙はも〇 花を実を認識せざる子と生きて藤の莢実を五指ににぎらす〇 ひとつきをベッドに過ごし折り紙の鶴の手順も失せる しわしわの銀紙〇 備前の壺に石蕗(つは)のはつはな見てみてと思ふわたしがひとり見てゐる〇 二つの名持つらしい猫ノラとよべばふと振りむきて目を細めたり〇 普通のこと普通に出来るは非凡なり管みんな取れ二足にあるく〇 平和...

  • 「蛭間節子処女歌集『白いカローラ』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅢ)

    〇 竹箒をおほきく使ふ箒目に秋潮の引く音生るるなり 「箒目に秋潮の引く音生るるなり」と、気品のある下の句である。〇 垂るるとは地を恋ふること藤棚の千の莢実のひた垂るるなり〇 誕生日は六日?七日?と問ふわれに病夫わらひて「まあそのあたり」 病の床に伏してゐながらも、夫は「まあそのあたり」と云って、自らの健在ぶりを示すのである。〇 だれでもない病む子に詫びにゆくのですミモザの黄のストールまいて ...

  • 「蛭間節子処女歌集『白いカローラ』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅡ)

    〇 さきくませの思ひをこめてテレビ消すわたしはわたしの令和を生きむ 天皇・皇后ご夫妻を肇とした、ご皇室にの方々及び日本国民ならびに人類全てに対して、作者は「さきくませ」との思いを抱き、その思いと共に「テレビを消」したのでありましょうか? 或いは、今は病床に臥しているご夫君並びにご長男に対して「さきくませ」との思いを抱いたのでありましょうか? これらの何れに対しての「さきくませ」であったかは判りま...

  • 「蛭間節子処女歌集『白いカローラ』(角川書店・2021年)」を読む(其のⅠ)

    〇 油蟬は桜木が好き横に這ひ息ととのへて鳴きはじめたり〇 「ありがたう」はときに哀しい老い夫はだれにもだれにも頭ふかく下げて〇 うつし絵に赤き被布きて雛とゐる吾子ふたりごの母となりたり〇 夫の病状きかるるたびにまあまあと輪郭のなき言葉をかへす〇 怒る気力のこれる夫の荒きことば直球のごと身に抱きとめる〇 小田原攻めの秀吉思へり 石垣山一夜城址に沢蟹はしる〇 同じ屠蘇器に六十回目の酒をく...

  • 「川島結佳子処女歌集『感傷ストーブ』(短歌研究社・2019年)」を捲る(其のⅣ)

    〇 日曜は過ぎゆく猫とのこぎりの形の日向取り合いながら〇 眠りから覚めれば後は死ぬだけの倉庫の資料の皆さん、おはよう〇 ハードルは高齢化にて低くなりアラサーのわれ「女子」と呼ばれん〇 筆圧をいったいどこに置いてきたのだろう君の困った文字は 〇 人落ちる声が聞こえる後楽園前の通りを歩いてゆけば 〇 人の歯の数だけ歯科のある町を抜けて私は福岡へ行く〇 百円のサボテン枯れる否 枯らす私は砂...

  • 「平岡直子処女歌集『長い髪も短い髪も炎』」(本阿弥書店・2021年)を読む(其のⅤ)

    〇 まつ毛というまつ毛が電波狂わせて終夜よい子でいるキャンペーン〇 窓、夜露、星条旗、海、きらきらとお金で買える指輪ください〇 水からも生きる水しかすくわないわたしの手でよかったら、とって〇 水玉に塗られた干支の動物の胴 わたしにも舌禍はあった〇 見たこともない蛍にたとえるからにはいつか蛍を見るのだろう〇 三越のライオン見つけられなくて悲しいだった 悲しいだった〇 メリー・ゴー・ロマ...

  • 「平岡直子処女歌集『長い髪も短い髪も炎』」(本阿弥書店・2021年)を読む(其のⅣ)

    〇 なんとなくピンとこなくて sympathy って言い直す 言い直す風のなか〇 似合う、ってきみが笑ったものを買う 生きてることが冗談になる〇 似ていない悲しい人体模型から小さなタンバリンを抜きとる〇 ねえ夜中のガードレールとトラックのように揺れよういちどだけ明るく〇 熱砂のなかにボタンを拾う アンコールがあればあなたは二度生きられる〇 裸木よまひるの川面をあたためるひかりが大きな舌にみえない...

  • 「平岡直子処女歌集『長い髪も短い髪も炎』」(本阿弥書店・2021年)を読む(其のⅢ)

    〇 死ぬことは怖いねふたりふたりって鳴る絨毯の上の足音〇 心臓と心のあいだにいるはつかねずみがおもしろいほどすぐに死ぬ〇 じゃあずっとここに立ってる廃線の線路がポケットに流れこむ〇 すこしだけ隣の部屋を見てくるときみ言い置いてからの千年〇 すごい雨とすごい風だよ 魂は口にくわえてきみに追いつく〇 洗脳はされるのよどの洗脳をされたかなのよ砂利を踏む音〇 そうかきみはランプだったんだねき...

  • 「平岡直子処女歌集『長い髪も短い髪も炎』」(本阿弥書店・2021年)を読む(其のⅡ)

    〇 案山子たち焼きつくしても世が世ならきみがひねくれ者のメロディ〇 カゲロウの背骨のような縫い針が秋に一本置き去られたり〇 観客はじゃがいもと言われたじゃがいもの気持ちを考えたことがあるのか〇 記憶が風に混ざってだんだんわからなくなるけれど、蜘蛛と雷〇 きみが思うわたしの顔を思うときそこにぽっかりあく空洞の〇 きみにしずむきれいな臓器を思うとき街をつややかな鞄ゆきかう〇 きみの骨が埋...

  • 「平岡直子処女歌集『長い髪も短い髪も炎』」(本阿弥書店・2021年)を読む(其のⅠ)

    〇 ああきみは誰も死なない海にきて寿命を決めてから逢いにきて〇 朝にとどくものたちはみな遠くからくる遠くから朝刊がくる〇 遊びおわったおもちゃで遊ぶ冬と夜 きみに触れずに雨がとおった〇 あの星は? と問えばあなたは見えないと言えりいちばん明るい星を〇 海沿いできみと花火を待ちながら生き延び方について話した〇 絵葉書の菖蒲園にも夜があり菖蒲園にも一月がある 〇 王国は滅びたあとがきれい...

  • 「大森静佳第二歌集『カミーユ』(書肆侃侃房・2018年)」を走り読みする(其のⅥ)

    〇 まなざしの渇きは塑像に刻まれて男は男のままに死にたり〇 曼殊沙華の白を両手にほぐしつつここに戻ってきてほしかった〇 見えぬものは見えないままにそのひとの海の暗さを告げられている〇 みずうみに顎を浸せるつめたさのロダン〈パンセ〉を夜更け見ていつ〇 みずからの裡の虚空を見るごとくロダンの女みなうずくまる〇 見たこともないのに思い出せそうなきみの泣き顔 躑躅の道に〇 皆殺しの〈皆〉に女...

  • 「大森静佳第二歌集『カミーユ』(書肆侃侃房・2018年)」を走り読みする(其のⅤ)

    〇 亡骸にふたたびそれを縫いつけよ もう声が軋むことはないから〇 泣きながらわたしの破片を拾ってた ゆめにわたしは遠い手紙で〇 何があったか全部言って、と迫るうちに蔓草の野になってしまった〇 肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹〇 肉体がひとつの小さな壺となるまでの半日、雲ばかり湧く〇 眠れないときは製氷皿をおもう ねむったあともきっとこころが〇 喉仏のたしかな...

  • 「大森静佳第二歌集『カミーユ』(書肆侃侃房・2018年)」を走り読みする(其のⅣ)

    〇 確かめてから会いにゆく モナリザの背後の水の光らないこと〇 ただ立っていたのだそこに 雲の影ゆたかに山の色を濃くして〇 ただでさえよるがはしっているもりをわたしのことばあなたへはしる〇 たてがみに触れつつ待った青空がわたしのことを思い出すのを〇 だって五月は鏡のように深いから母さんがまたわたしを孕む〇 ダナイード、とわたしは世界に呼びかけて八月きみの汗に触れたり〇 地下鉄につよく...

  • 「大森静佳第二歌集『カミーユ』(書肆侃侃房・2018年)」を走り読みする(其のⅢ)

    〇 歳月という鞍にあなたは座りつつどうして花を壊さないのか〇 さびしさよこの世のほかの世を知らず夜の駅舎に雪を見てをり〇 寒そうなこの〈増女〉口角に刺のようなものを薄くやどして〇 雑穀パンながく嚙みつつ 言葉からまずはしずかに蒼ざめゆくか〇 ざらざらとこころに擦れて残ってるユリア・イェンチの洗い素肌が〇 〈死の床のカミーユ・モネ〉のカミーユもおそらくは寒い光のなかを〇 しぼりだすこえ...

  • 「大森静佳第二歌集『カミーユ』(書肆侃侃房・2018年)」を走り読みする(其のⅡ)

    〇 顔の奥になにかが灯っているひとだ風に破れた駅舎のような〇 顔を洗えば水はわたしを彫りおこすそのことだけがするどかった秋の〇 風を押して風は吹き来る牛たちのどの顔も暗き舌をしまえり〇 かつて心に心差しだす術なりし火というものを夕べ見ていつ〇 河沿いをひとりあゆめば光へと身を投げるごとく紅葉する木々〇 かわるがわる松ぼっくりを蹴りながらきみとこの世を横切ってゆく〇 感情がいま釣鐘のよ...

  • 「染野太朗第二歌集『人魚』( 角川文化振興財団・2016年)」を読む(其のⅦ)

    〇 まずすべてほじくってから食べたきを西瓜の種は奥にまだある〇 待ちたくて待っているのに夜の窓に映った顔のこの醜さは〇 まっ白なカップの縁にこびりつくカフェラテの泡 これは悔しさ〇 松屋からミスドに移り『海量(ハイリャン)』を開きつやがて呼吸ととのう〇 まぶた二枚君にあずけて苦しきを千鳥ヶ淵の桜満開〇 耳鳴りのように朝日がこの部屋をくまなく照らす ゴミ出しに行く〇 向き合いてコーラを...

  • 「染野太朗第二歌集『人魚』( 角川文化振興財団・2016年)」を読む(其のⅥ)

    〇 薄情だとか驕ってるだとかぼくに言いたそうな幾人か おめでとう〇 はじまりに感情がある よく手入れされて隣家の松が動かない〇 白球が人工芝で朝を待つ 君の背中にくちびるを寄す〇 早口になればなるほど夕闇が近づく あなたの頬は強張る〇 早さではなくて想いがほしいのだが 欲とは初夏の水に似ている〇 春の夜の採点に倦み深くふかくため息つけば臭うわが足〇 バスが出るゆっくりとまた右折する感...

  • 「染野太朗第二歌集『人魚』( 角川文化振興財団・2016年)」を読む(其のⅤ)

    〇 中指に潰さるるとき黒蟻が決めつけるなとぼくをわらった〇 納豆と水を買いたり空のまだ青い部分を探したあとに〇 何に飢えたるこころだろうかふた月を桑田佳祐ばかり聴きおり〇 ナポリタンふいに食いたし口拭いて紙ナプキンをあかく染めたし〇 波打った紙ナプキンで 会いたさは極まる前に奪われるいつも〇 涙つたう頬もあわてて拭う手も十六歳は日焼けしており〇 憎しみに舌を腫らして抱くとき君の身体は...

  • 「染野太朗第二歌集『人魚』( 角川文化振興財団・2016年)」を読む(其のⅣ)

    〇 種をはずし皮をはがしてアボカドを切る感情はつねに正しい〇 食べ終えてバナナの皮を捨てにいくエルヴィス・コステロの「She」を聴きつつ〇 抱きしむる力に抱き返されたきを浅くながるる五月の水は〇 誰ひとりわれに触れざる夏にしてある朝は床に塩をこぼしぬ〇 父の揚げた茗荷の天麩羅さくさくと旨しも父よ長生きするな〇 ちちははとケーブルカーで登りゆく筑波山われも無口なままで〇 父を今日も怒鳴り...

  • 「染野太朗第二歌集『人魚』( 角川文化振興財団・2016年)」を読む(其のⅢ)

    〇 さくら咲かぬ春を生きたし水鳥の短い首を見つめるだけの〇 桜などつまらぬという表情が欲しかったのだが 君と見ている〇 さびしさが地蔵のように立っている怒りがそこに水を供える〇 さびしさに濃淡がありぎんなんのにおいの中を蕎麦屋まで行く〇 さびしさに呑み込まれつつ今ぼくはカリ活用を板書する人〇 さびしさを表す術を知らぬままこの母もやがて惚けるのだろう〇 さも幸せそうに早弁する人の箸につ...

  • 「田丸まひる第三歌集『ピース降る』(書肆侃侃房・2017年)」を読む(其のⅥ)

    〇 また明日を生きておいでよポケットのカッターナイフ光らせながら 彼は、いわゆる「与太者・不良・暴力団予備軍」なのであり、先般、徳島市内のとある繁華街で展開された、ある不良グループとの華々しい出入り(即ち、喧嘩)に際して利き腕に怪我を負い、本作の作者と思しき、ある女性外科医のもとに通院加療中なのである。 件の女性外科医は、彼の負けん気の性格に知悉しているがゆえに、「また明日を生きておいでよポケット...

  • 「田丸まひる第三歌集『ピース降る』(書肆侃侃房・2017年)」を読む(其のⅤ)

    〇 花飾りつきのヘアピンすべり落ち冷たい床で待つ絶頂期〇 花束を引きずるほどの一日を果ててだれかの夢にとけたい〇 跳ねあがるような癖字を書いていたきみがきみにだけ向けた暴力〇 半身をぬるく夕陽にひたす日のわたしも夏の鳥になれない〇 半年は死ねないように生き延びるために予定を書く細いペン〇 ばかみたいに癒着している卵巣のモノクロームがきらきら痛い〇 人型を濡らして歩くわたしから永遠に鳴...

  • 「田丸まひる第三歌集『ピース降る』(書肆侃侃房・2017年)」を読む(其のⅣ)

    〇 だってまたおいで待っているからねって言ったよね言ったよね言ったじゃないか〇 次に目が覚めたら言うよそれまでは一葉の舟に満たすあかるさ〇 つめたい床にくずれ落ちたら永遠の眠りにきみの好きな花の匂いを〇 でも風が吹く あなたからいただいた手紙をさらりさらりとめくり 〇 でも自撮りやめないきみが可愛くて可愛くなくて夜霧がしみる〇 透明のアクリル皿に並んでいる合鍵と鍵のかたちが同じ〇 ...

  • 「田丸まひる第三歌集『ピース降る』(書肆侃侃房・2017年)」を読む(其のⅢ)

    〇 ざらりおん金平糖を踏むような会話のざらりおん、ざらり、おん〇 塩漬けの花をくずしてでもあれは嗤われたって知っていたよね〇 しらしらと揺れる言葉にみずいろの付箋を溶けてゆくように貼る〇 心臓をさわってみたいあたらしい牛乳石鹸おろす夕刻〇 術前のライブチケットひそませた財布を薄い金庫にしまう〇 透きとおる傘をわずかに傾けてわたしは色をこらえきれない〇 生活の中に輪ゴムを拾うとき憎しみ...

  • 「田丸まひる第三歌集『ピース降る』(書肆侃侃房・2017年)」を読む(其のⅡ)

    〇 書きかけの手紙に伏せて眠るときだれかを待っている雨後の森〇 借りていた傘を返しに行くときの時雨『カフェー小品集』を鞄に 作中の『カフェー小品集』の作者は<嶽本野ばら>であり、この度、講談社文庫の一冊として刊行されたので、私たち<嶽本野ばら>は、僅か千円足らずの現金を支払えば、小説ファンの間で垂涎の的となっていた件の名作が読めるようになったのである。〇 可愛くて申し訳ない ふみづきの帽子に...

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、鳥羽散歩さんをフォローしませんか?

ハンドル名
鳥羽散歩さん
ブログタイトル
詩歌句誌面
フォロー
詩歌句誌面

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用