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  • 「バベル オックスフォード翻訳家革命秘史」 クァン

    面白いと聞いたので「バベルオックスフォード翻訳家革命秘史」上下(クァン著2025年2月東京創元社上467p下324p)を読みました。つい「オックスフォード翻訳家(革命)秘史」と読んでしまっていた。下巻を読んで「革命」の文字があったことに気がついたくらい。コレラが流行っている中国でロビンは死に絶えた家族の中に取り残されていた。没落した家計の苦しい家なのになぜか英語の家庭教師が住み込んでいて中国語と英語のバイリンガルとして育てられたロビン……ロビンは英国人の男(ラヴェル教授)に救い出され船で英国に向かうことになる。ロンドンからほど近いハムステッドの教授の屋敷でロビンは家庭教師を付けられラテン語とギリシャ語を学ばされる。忘れないように中国語も。数年後ロビンはオックスフォードへの入学を許される。オックスフォードの...「バベルオックスフォード翻訳家革命秘史」クァン

  • 「なんで人は青を作ったの?」 谷口陽子

    13歳からの考古学シリーズ「なんで人は青を作ったの?青色の歴史を探る旅」(谷口陽子高橋香里著2025年1月新泉社274p)を読みました。骨董店(あまり売れていない)の店主でもあり子供向けの科学倶楽部もやっている森井老人と(老人という名前は、ちょっと)人と話すのが苦手な主人公の蒼太郎友人でちょっと屈託を抱えた律が中学一年の夏休み「青い色」を作る実験をする話。青い色にも色々ある。ヴェルディグリオドントライトラピスラズリウルトラマリンブルーエジプシャンブルースマルトフォルスブループルシアンブルーマヤブルー……「実験」がとても丁寧に書かれている。(再現できるほど)淡々と実験が続くばかりと思っていたら最後に山場がある。蒼太郎と律が作った「色」が2年後に中央美術館の企画展「青の歴史」に展示されることになったのだ!挿絵...「なんで人は青を作ったの?」谷口陽子

  • 「翻訳する女たち」 大橋由香子

    「翻訳する女たち中村妙子・深町眞理子・小尾芙佐・松岡享子」(大橋由香子著2024年11月エトセトラブックス285p)を読みました。年上の人たちの「話」を聞くのが好きという著者が中村妙子1923年生まれ深町眞理子1931年生まれ小尾芙佐1932年生まれ松岡享子1935年生まれの4人のl翻訳家が翻訳家になるまでの歩みを聞いて書いている。中村妙子さん以外の3人は、戦中に小学生だった。それから、それぞれの道を歩んで翻訳家になった。翻訳家になる女性がめずらしかった時代だ。もちろん専門の養成機関もない。松岡享子さんの章には(翻訳した)たくさんの児童向けの本が出てくるのでわくわくする。「しろいうさぎとくろいうさぎ」(原書では「うさぎのけっこん」だけれど最初から結婚すると分かっていては面白くないと思ってこの題にした)「町...「翻訳する女たち」大橋由香子

  • 「小説」 野崎まど

    「小説」(野崎まど著2024年11月講談社218p)を読みました。本屋大賞の候補作です。小学生の内海集司は本を読むのが好きだ。内海集司と外崎真はある日、学校の隣にあるモジャ屋敷に入り込む。有名な小説家の家だと聞いたからだ。現れたのはモジャ屋敷にふさわしいモジャモジャの髪と髭が顔を覆い隠している年齢不詳の男(たぶん)だった。「あのぉ、小説って書けるんですか」という外崎の衝撃の問いに男は、意外にも「まぁ、上がりなさい」と言って書庫に案内し「読んでいいよ。勝手に入ってくればいい」と言ってくれた。それから、2人のモジャ屋敷通いがはじまった。読書ばかりしていて成績の振るわない2人だったがモジャ屋敷から(そしてお互いから)離れたくないばかりに猛勉強して近くの有名進学校に進む。ここでも読書ばかりしていて成績は振るわない...「小説」野崎まど

  • 「サーミランドの宮沢賢治」 菅啓次郎

    「サーミランドの宮沢賢治」(菅啓次郎小島敬太著2025年1月白水社269p)を読みました。シラカバ林の上に丸い月が出ていてトナカイが歩いてるアスタ・ブルッキネンの表紙絵に惹かれて読みました。旅行記です。浜松と名古屋出身の菅(詩人)さんと小島(音楽家)さんは3.11の震災の後古川日出男の書いた朗読劇「銀河鉄道の夜」を被災地各地で上演して来た。2人にとっては東京も北。そんな2人が宮沢賢治が妹トシの死後岩手から青森青森から北海道、サハリンへと旅をしたことを知って(賢治は北に行って確かに変わった)北への旅を計画する。旅の目的地は北欧の北部サーミランド。サーミランドというのは以前はラップランドと言われていたフィンランド、ノルウェー、スウェーデンの北部のことだ。凍った湖に積もった雪の上で菅さんは賢治の詩を朗読し小島さ...「サーミランドの宮沢賢治」菅啓次郎

  • 「星に届ける物語 日経「星新一賞」受賞作品集」

    「星に届ける物語日経「星新一賞」受賞作品集」(2025年1月新潮文庫273p)を読みました。11編の大賞受賞作が収録されています。星というのは空にある星でもあるし星新一の星でもあるという。白川小六さんの「森で」柚木理佐さんの「冬の果実」が好きです。「森で」ストリートチルドレンだったリュカは博士に拾われて研究所に入った。穏やかな暮らしが始まったがそれは博士の実験の対象になることでもあった。博士の試みる人間「緑化」実験リュカの緑化は成功し上腕が緑になって必要とするエネルギーの8%を光合成で得ることが出来るようになった。リュカの時には注射が必要だった緑化はやがてタブレットを口に入れるだけで出来るようになりついには空気感染までするようになった。世界中に広まっていく緑化ところが……「冬の果実」進行性の難病「後天性体...「星に届ける物語日経「星新一賞」受賞作品集」

  • 「鹽津城」 飛浩隆

    「鹽津城(しおつき)」(飛浩隆著2024年11月河出書房新社259p)を読みました。短編集です。未の木ジュヴナイル流下の日緋愁鎮子鹽津城中でも「鹽津城」が圧巻です。鳥がたくさんいる世界も怖いけれど塩がたくさんある世界も怖いかもしれない。「鹽津城」では海水から塩が分離して固形になって襲ってくる世界になっている。テムズ川を固形になった塩がどんどん昇って来て塩の堰を作っていく……とか海の水があまりに塩分が多すぎて泥のようになっている……とかいつくもの世界が語られてどの話が「本当」かどの話を追いかけていけばいいのか分からない。核になるのはこっちの話?と思ってついていくとするりとかわされる。その気持ち悪さ……集落の神社の鹵(しお)落としに参加する夫婦2人は2軒長屋の右と左に分かれて住み塩の海に打った杭のような歯をし...「鹽津城」飛浩隆

  • 「箱庭クロニクル」 坂崎かおる

    「箱庭クロニクル」(坂崎かおる著2024年11月講談社253p)を読みました。短編集です。ベルを鳴らして(日本推理作家協会賞)イン・ザ・ヘブン名前をつけてやるあしながおばさんあたたかくもやわらかくもないそれ渦とコリオリの6編「あたたかくもやわらかくもないそれ」は2つのストーリーが交錯する。モモが小学生の時にゾンビ・パンデミックが起こった。授業はなく、自習になりぽつんと自習していた転校生のモモに卓を寄せてくれたのがくるみだった。空き地を挟んでモモとくるみの家は建っている。やがてくるみがゾンビに感染しある宗教の信者だったくるみの両親は医者にかけないという選択をする。(感染してから発症するまで時間がかかるのだ、ゾンビは)くるみはひとりいる塔の部屋から(くるみの家は普通の民家なのに塔がある)飛行機に折った手紙を飛...「箱庭クロニクル」坂崎かおる

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