桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
「初めまして、つくしさん。それに一颯君、父様から写真を見せてもらってたんだよ。うん、元気に挨拶できて立派だな」「うふふ、あけましておめでとう、一颯君。これからよろしくね、つくしさん」爺様と婆様は目を細めて一颯を見ていた。その姿につくしが胸をなで下ろしたのが伝わり、俺もホッとしたんだけど・・・「おじいちゃんとおばあちゃんはだぁれ?」「えっ?!い、いっくん?!」「ん?だってハジメテだから~」「いっくん、...
食べるものはこの時代の方がずっと美味しいって事がわかった♪そう言うと類が真顔で・・・「それは良かったけど、毎回デリバリー・・・つまり、持って来てもらうの?」「へ?」「・・・食事、自分でも作れると良いんだけどね」「・・・・・・・・・」食事をつくる・・・この私が?!この言葉には唖然・・・だって、今まで1度もご飯作ったことがないんだもん!それどころか台所ってところに入ったことないし、どうやって作るのかも知らない・・・食べることは薬...
「今日、ご隠居様が来るの?」「あぁ、だからつくしと一颯も今日は宗家に来てくれ」それは1月4日のこと。私と一颯はこの日まで仕事と保育園を休んでいたので、総二郎の言葉に頷いた。今日は先代にも挨拶するから着物を着るんだけど、移動が大変だから宗家で総二郎に着せてもらうことに・・・その着物は家元夫人が残していったものらしい。「祐子さんのことはみんなに話したの?」「今朝、志乃さんが全員を西の棟に集めてこれまでの...
「この世界って、面白い物が多いんだね~~~!」「・・・多分、世間からしたらあんたが面白いんだと思うけど」「あの”れいぞうこ”っての?あれには入れそうだったなぁ~~」「入ったら事件発生だよ」想像以上に疲れた家電量販店・・・これまた想像以上に重たいオーブンレンジを抱え、つくしにはそのほかの小物を持ってもらって部屋に戻った。それから急いでレンジを設置し、料理を温めようと思ったんだけど・・・「・・・あれ?」「どうかした...
正月三が日が過ぎ、京都から爺様と婆様が来る日になった。今回は森田さんの同行を断り、西村事務長が京都まで迎えに行くことに・・・そして昼過ぎには宗家に2人がやってきて、俺たちは玄関で2人を出迎えた。80を過ぎている2人だが、日頃からよく動くからそこまでの疲労感はなく、光翔が婆様に飛びついても蹌踉けることもなかった。それを見て孝三郎が「まだまだ元気じゃん!」と軽口を叩き、親父が窘める.「この光景はいくつにな...
突然行くことになった家電量販店・・・俺も自分で家電を買ったことがないため、全然判んないんだけど。でもついでだから炊飯器と珈琲メーカー、それにドライヤーと全自動洗濯機も決めて、洗濯機だけは明日配達してもらうことにしようと考えた。「ところで、類。おうぶんれんじって何をする物なの?」「冷たい物を温める時に使うんだよ。ちなみにカタカナ表記ね」「あ!さっきの勉強が役立つかも!」「・・・声は小さめにね」順応性の高い...
新しい年になり、大福茶が終われば俺はマンションに戻った。それが朝の9時で、今日の日中は家族3人で過ごし、夕方になったら一颯を連れて西門へ行くことにした。毎年静かに過ごすんだが、今年はお袋もおらず、親父が余計に淋しく思うから・・・そう言うと親父は「子供じゃあるまいし!」と言ったが、せっかくの正月だから1度ぐらいは全員で食事をしようという話になったワケだ。「丁度祥一郎も休みだと言うし、兄貴も呼ぶことにし...
少し勉強するつもりが、つくしはノートに書いてやった「ひらがな」と「数字」に夢中・・・まるで書道をするかの如く姿勢正しく、新しいページにそれを書き写してた。その間に俺はデリバリーを頼み、家中の足りない物を確認・・・と言うか、すでにある物が大型テレビとソファー、それにベッド1台と冷蔵庫だけ。カーテンは各部屋にあるけど、ラグはリビングだけ。エアコンは各部屋に付けてたからいいとして、問題は・・・・・・この子を1人でこ...
クリスマス、つくしの誕生日と慌ただしく過ぎていき、とうとう今日は大晦日。西門では除夜釜が行われる。本来除夜釜は、除夜から元旦の朝にかけて行う茶事。だが今ではほとんど行われず、その理由は時間帯が深夜なので体力的な問題と、そもそも人が集まらないからだ。西門でも29日と30日の午後、そして31日の昼間に後援会の幹部達を呼んで極簡単に行うだけになっていた。通常なら席入りが午後の9時半で、露地で迎え付け、手...
マンションに戻ったら、午前中に買った荷物の中からグラスを出し、早速お茶をそれに注いだ。つくしはジッと眺めてたけど、「お茶だよ」というと、ペロッと舐めてみて・・・「あ、大丈夫そう!」と一気飲み。「・・・ちなみにこれが桃のジュースで、こっちが林檎のジュース。オレンジ・・・みかんのジュースも買ったから、好きな物を飲んでいいよ」「うわぁ、甘い匂いがする~~」「・・・グラスは洗ってから入れるんだよ」「あらう?」「・・・あ...
楽しいクリスマスイブを過ごし、その翌日の夕方・・・俺は宗家の一室でスマホを握りしめていた。そして勇気を出し、かけた先は京都の木島氏だ。旦那の方が学校が冬休みになっていると聞いたので、この時間なら出てくれると思って・・・その内容は当然光翔との養子縁組だ。こちらから頼んでおきながら、こんな結果になるとは・・・『はい、木島ですが』「東京の西門です。先日はありがとうございました。ご連絡が遅くなって申し訳ありません...
使っていなかった部屋だから当然何もない・・・あれだけ大量に買った日用品だけど、リビングに置いたらホンの少しにしか見えなかった。つくしはこの部屋の隅に正座してるし、相談しようにも話が通じないし・・・。それでも住めるようにしないとあっという間に夕方になってしまう。「私は何をしたらいいの?」「・・・片付けだけど・・・」「そう言えば私の唐衣裳はどこに?」「あぁ、車に積んだままだね。取ってこなきゃ・・・って、それを着るつ...
総二郎が帰ってきたのは18時すぎ。その時にはもう私達も買い物から帰ってて、支度を済ませていた。気になるのはケーキのこと・・・「やっぱり持って行かない方がいいよね?」と言うと、総二郎はニコッと笑って「手土産にしようぜ」って。「いやいや、西門には一流の職人さんがいるんだよ?恥ずかしくないかな・・・まぁまぁ綺麗には出来たんだけど///」「大勢いるんだから切り分けて好きな物を食えばいいだろ。せっかくだから持って行...
何とか食事を済ませ、車に戻ったのが14時。今から俺のマンションに連れて行き、そこでしばらく住まわせるつもりなんだけど・・・その後はどうする?って考えた途端に思考が止まる。何故ならこの子には戸籍もないし、名字もない。何らかの事情で「無戸籍」の状態になっている人が戸籍を作るとなると、裁判手続が必要な場合もある。でも、それはほとんどが親が出生届をしてないからであって、この子の場合はそうじゃない。「過去から...
翌朝、いつものように一颯は起きてきて、「パパ~」と抱きついてくる。その姿が可愛くて、抱き上げたまま顔を洗いに行った。そして一緒に朝食を食べて、8時過ぎたら俺は仕事に行くことに・・・今日、一颯は保育園だし、つくしは休みだけど家でケーキ作りだと言っていた。だから昨日の話は保育園から帰ってからゆっくり言い聞かせるとのこと。「・・・じゃあ17時ぐらいには電話する。一颯の気持ちを1番で考えていいからな」「うん、わ...
何度見ても変な光景・・・緑が少ないし、山が見えない。見えるのは四角くて高いもの・・・・・・ニョキニョキしてて怖いんだけど、あれは何で出来てるのかしら。木・・・ではなさそうだけど。「ん~~~~~、そう言われると困るんだけど、あれはビルという現代の建物で、あの中に人が住んだり会社があるんだよ」「あの中に人が住んでるの?さっきみたいなので登るの?」「エスカレーターは住居用じゃなくて商業用・・・さっきみたいに買い物する...
飯を食い終わり、今日も一颯と一緒に風呂に入った。毎日ここに帰るようになって1週間・・・会食があった1日を除き、これは俺の役目になっている。髪を洗うことや水鉄砲でのお巫山戯にも慣れ、これはこれで楽しかった。が、まだこの子には真実を話していないので、それをいつするのか・・・・・・嬉しそうにはしゃぐ一颯を見ながら悩んでいた。それなのに、風呂から上がるとその悩みを一変させる電話があった。それは孝三郎・・・夜咄の茶事が...
「よし!このぐらいでいいかなぁ~~~」「・・・・・・・・・・・・」「何か足りないもの、あります?」「いえ、特には・・・」夏美さんは両手に色んな色の布を持ってた。こうして重ねて見ると唐衣裳みたい・・・短いし軽いから全然似てないんだけど。それを選びながら言われたのは、これらが「とっぷす」という名前ってこと。「せえたぁ」とか「とれぇなぁ」とか「てぃしゃつ」って言ってたけど、その違いは判らず・・・売り場には人型(マネキン)が...
美涼の狂気に満ちた声が部屋に響いた。それを聞く桜井の両親は呆然・・・・・・俺と親父はこの姿が初めてではないので驚くことはなかったが。そして拓郎氏は美涼の言葉に反論もせず・・・つまり、美涼の言ったことは本当だったのだろう。俺がそれを確かめると深く息を吐き、「正直言えば疑っていた」と呟いた。「・・・2人目が出来たと聞いた時、何故か素直に喜べなかった・・・。夫婦の時間というか・・・それも少なくなっていたし、拓巳が産まれて...
「ほうむせんたぁ」で「買い物」ということをして、その荷物を車まで運んだんだけど・・・そもそも「買い物」とは?「花沢さん、入り口にもう1台のカートを置いてきたので取ってきますね!」「あぁ、悪いね」「すみませんが、その荷物を2人で車に積んでて下さい。すぐに手伝いますので」「了解」夏美さんがそんなことを言って引き返していったので、ここで類に聞いてみたんだけど・・・「ねぇ、類。買い物ってどうやるの?確か銅銭って...
「俺は美涼さんに対して恋愛感情はなかったし、子供を作ろうとも思わなかったんですよ。でもあの日、美涼さんは俺に酒を飲ませて執拗に迫ってきた・・・・・・母娘で同じ手口を使うなんて、随分強引ですよね」真理子が美涼を睨むが、美涼の方はまだそっぽを向いていた。ただ、今から話すことは美涼にとって最悪な部分の数々・・・何故なら完全に「犯罪」の域に入るのだから。それは光翔を産んだ産婦人科医を脅し、東京から追い出したこと。...
『わかってると思うけど、あんたはこの世界のことを何も知らない。だから今から会う人が聞くことも判んないと思うんだ。でも俺も側にいない時があるから、その時は事故で何も覚えてないってことにしておいて。くれぐれもあんたのいた世界の話をしないようにね』車の中で類にそう言われ、「なんでもや」ってところに着いたら、1人の女の子が乗ってきた。髪の毛が黒くないし、硬そうな生地の袴・・・じゃなくて、”ぱんつ”?を穿いてる...
正直・・・桜井の面々は申し訳ないと言った顔で来ると思っていた。それなのに父親も母親も恐ろしい表情で、西門に敵意丸出しだ。何故そうなるのか・・・美涼がすべて話しているはずだから、非はそちらにあると思うんだが・・・?「美涼さんからどこまで聞いたのかわかりませんが、悪いのは父だけではありません。冷静に今後の事を話そうじゃありませんか」「家元だけじゃないって・・・どう言う意味?」「言葉の通りです。まずは落ち着いて・・・...
「はい、こんな感じに仕上がりましたよ・・・・・・如何ですか、お嬢様」「・・・・・・・・・・・・」「ご不満ですか💢?!」「いえ、とんでもないです!ありがとうございました!!」「・・・・・・・・・」←隅っこの椅子に座ってる類「びよういん」の女の人が怖い顔して私に鏡を見せてくれてる・・・それには後ろ髪が写ってたけど、本当に短くなって吃驚!私が子供の頃に尼僧になった隣家のお婆様みたい・・・・・・これで写経も読経もしなくていいなんて!しかも、な...
墓参りの翌日・・・その日はお袋が鎌倉に行く日だった。思ったよりも別邸の手入れに時間が掛かったために予定よりも遅くなったのだが、そのおかげで俺は実父の墓参りの報告をすることが出来た。朝の9時、すでにお袋は身支度を調えていて、俺が話があると言うと気不味そうに臨時で使用していた部屋に入れてくれた。親父との夫婦部屋はあの日から1度も入ってないのだとか・・・あの部屋の物は志乃さんに頼んで片付けてもらい、すでに鎌倉...
「きゃああああああっ!!何この速さーーーーっ!!」「・・・まだ敷地内だってば」車に乗ってからの反応は何となく想像出来てた。だって牛車に乗ってた人が自動車に乗るんだから、その速さが違うのは当たり前。ちなみに牛車の時速は2.6kmほどで、成人の歩行速度よりも遅い。 一方、馬車は牛車よりは速く、2頭立ての馬車であれば時速4~10kmほど。ただ馬は昔から「神馬」と言われるほど貴重な動物であったことに加え、山が多くて多湿...
裕也氏は静かに俺の対面に座った。そしてつくしと一颯を見て優しく笑い、「息子さんはおいくつかな?」と。その言い方からして、つくしのことを美涼と勘違いしているようだった。「・・・来年4歳になります。名前は一颯と言います。隣は・・・婚約者の牧野つくしさんです」「・・・婚約者・・・?」「は、初めまして・・・牧野つくしと申します」「こんにちは~~、まきのいぶき、3歳です!」「・・・牧野さん・・・?」電話では墓参りをしたいと言う...
まさかの珈琲で撃沈・・・・・・そんなに不味かったとは思わなくて、口直しに俺のロールパンを食べてる姿に吹き出しそうだった。「まぁ、子どもには難しい食べ物だよね・・・・・・」「子ども?誰が?」「あんた、まだ子どもでしょ?」「・・・・・・この世界は22歳でも子供なの?」「・・・・・・・・・・・・・・・」22歳?!俺とそんなに変わんないの?!!こんな童顔でぺったんこの胸なのに?!と言うか、平安時代ってそんな歳で入内なんてしないんじゃない...
総二郎がマンションで暮らし始めて1週間・・・今日は一颯のクリスマス会だ。いつもより少し早めに登園しなきゃいけなくて、総二郎が車で一颯を連れて行き、一旦戻ってから私と一緒に保育園に行くことにした。離婚したことも公表してないから大丈夫かと聞いたけど、一颯の通う保育園に西門の関係者はいない・・・それに姓も「牧野」だから問題ないだろうって。「パパ、ぜったいに見にくるよね?ぼく、うしろの列のまん中だから~」「後ろ...
「・・・・・・・・・・・・・」「これが現代の朝食。美味しいから食べてみれば?」「これ、食べ物なのよね?」「もちろん。俺も食べるから一緒にどうぞ」ついさっき、あの女の人が持って来てくれた朝ご飯・・・黄色くてフワフワしたもの(オムレツ)と木の枝を焼いたようなもの(ソーセージ)と草(サラダ)。それに茶色の餅みたいなのと(ロールパン)、白くてドロドロしたもの(ヨーグルト)と黒いお湯(珈琲)。どれを見ても食べ物とは思えず、...
翌朝、祥一郎も俺も一颯にたたき起こされた。つくしがクスクス笑いながら朝食を用意してくれて、7時には4人揃ってそれを食ってた。いつもは2人で食べてるのに、今日は4人・・・それが嬉しかったのか、一颯のテンションは高く・・・・・・「おじちゃん、こんどはいつ来るの~~?」「え?そうだな・・・お仕事がお休みの日かな~~」「じゃあにちようび?」「おじちゃん、日曜日も仕事の時があるんだよ~」「いっくん、無理言わないの。それ...
吹っ飛んでいったものを拾い、その女性は眉間に皺を寄せてる・・・その感じ、桜子が私に腹立ててる時と似ていてドキドキした。・・・まぁ、怒られはしなかったんだけど。今度は“ようふく”というものを着るんだけど、これはどうやって着るのか・・・今までだと女房達が単衣や袿を着せてくれてたから私は立ったままだったんだけど、そうもいかない。チラッとこの人を見たら、同じようなものを着てるし・・・と言うか、これはどうすればいいんだろ...
インターホンに応じたのは俺で、すぐにロックを解除して兄貴をマンションに入れた。車をどこ駐めればいいのかわからないというので駐車場はゲスト用を使うように伝え、部屋番号を告げると3分後にはドアのチャイムが鳴った。客が来る事なんて滅多にないためなのか一颯が喜んで出ていき、つくしがそれを引き留めようとしたが、「どうせすぐに紹介するんだから構わない」と・・・「・・・お兄さん、驚かない?」「刺激的で良いんじゃね?」...
翌日の朝6時・・・俺はまだゲストルームにいた。何故なら、あれからも質問攻めだったからで、この子は今でも目をキラキラさせてる・・・昨夜の高熱はなんだったの?って感じ。聞かれたのは・・・どうして寝床がフカフカなのか・俺が座ってるものは何か・扉(ドア)が何故前に動くのか・自分の着ているパジャマの素材は何か・どうして髪が短いのか・・・こんな質問はまだ説明出来たけど、スマホについては「悪霊が取り憑いてるの?」なんて言う...
総二郎から今日1日の話を聞き、光翔君の気持ちを考えたら胸が痛くなった。大人ならその意味が判るかもしれないけど、3歳児には伝わらない。ただ今まで母親だった人がいなくなり、父親だった人にも他に子どもがいる・・・そんな状況を納得出来る訳がなく、ただ泣くことしか出来なかったんだ。でも、救いなのは今まで側にいた祐子さんが母親代わりを引き受けてくれたこと・・・それなら光翔君は今まで通り、あの家で暮らせる。総二郎はあ...
「梅壺ってところには戻れないよ。あんたは 平安時代・・・西暦でいうと794年から1192年のどこかで生活してた人だろうけど、今は20XX年、つまり1000年前後未来なんだ。しかもあんたは京都にいたみたいだけど、ここは東京という場所・・・1000年前の平安京・梅壺には戻れない。ここには帝も弘徽殿の女御もあんたの女房の桜子って人もいない。どうしてこんなことになってるのかは知らないけど、あんたは過去の人・・・時間旅...
光翔を祐子に任せて、俺は本邸にいる親父に会いに行った。話したのは光翔と会話したときの様子についてと、京都行きは嫌がったこと、そして孝三郎と祐子も加わって話した結果、とりあえず泣き止んで寝ていること・・・親父は「まだ何もわからない歳だから、まだグズるだろうな」と言ったが、その次には「全員で温かく見守ってやろうじゃないか」と。「それと母さんだがな・・・・・・今週末、鎌倉に行くことにしたそうだよ」「今週末?年内...
父親は大納言で、この子の名前は「梅壺の更衣・つくし」。弘徽殿の女御の女房に井戸に突き落とされ、花沢家の庭に落ちたというか、辿り着いた・・・と?絶対に有り得ないと思うけど、でも今までの話を聞く限り思い付きで言ってるわけじゃなさそうだ。ちゃんと体験した・・・と言うか、そんな暮らしをしてきたって感じには聞こえた。だって調べないと判んないことをスラスラ言うんだから・・・そしてあの十二単、この長い髪・・・・・・決定的なの...
離れに戻り、シーンとした部屋で光翔を待った。あんな幼い子どもにどう話そうかなんて、考えても判らない・・・自然に出てくる言葉に任せるしかないと思いつつ、落ち着かないのでつくしに電話しようかと思ったが・・・「あ、そうか・・・あいつの方がバイトに行ってるわ」手に持ったスマホをテーブルに戻し、深い溜息を吐きながら頭を抱える・・・そのうち楽しそうな笑い声が聞こえて、光翔が戻ってくるのが判った。そして志乃さんに手を繋がれ...
「そもそもお前は誰なの?身分と名を名乗りなさいよっ!!」身分と名前を名乗れと言われてカチン。だってここは俺の家だし、不審者はそっちだし!まぁ、「そっち系の病人」に何を言っても無駄かと思い・・・それでもムカつくから言い返してしまった。「俺は花沢物産の後継者で現在は営業課長の花沢類。そしてあんたが居るこの家は俺の親名義の家・・・つまり、今はこの俺がこの家の主なんだけど」「はなざわぶっさん・・・そんな部屋あった...
久しぶりに光翔と一緒に寝て、目が覚めたのは6時。まだ窓の外は暗く、光翔はぐっすり寝ていた。身体を横向きにして光翔の髪を撫で、しばらくその寝顔を眺めることに・・・どこで付けたのか鼻の頭に小さな引っ掻き傷、ふっくらした頬が可愛らしく、思わずフッと笑ってしまう。そんな時間が30分ぐらい過ぎると、カーテンの向こうが明るくなってきた。光翔を起こさないようにそっとベッドを降り、リビングに行くとエアコンを付け、ミ...
どのくらい時間が経ったのか・・・・・・あれから俺も椅子に座ったまま居眠りしてた。時間を確認しようとスマホを見たら丁度0時で、同時に目の前の布団が少し動いた。そして彼女の眉がピクッと動いたのが見えたから、立ち上がって覗き込むと・・・「う~~~~~~ん・・・・・・・・・」「気がついた?」「・・・・・・桜・・・子?」「えっ?誰の名前?」「・・・・・・・・・・・・ん?」「気分はどう?熱、下がったのかな・・・・・・」もう1歩前に出て近づくと、この子は...
16時頃、俺とつくしが待ってる部屋に一颯が戻ってきた。その時には光翔の姿はなく、志乃さんだけ・・・顔を真っ赤にしてニコニコしてる一颯が、「おもしろかったぁ~~」と言って俺の膝の中にポスッと・・・「いっくん、何してきたの?」「あのねぇ、ひ~くんってお友だちがいたからね、いっしょにお庭であそんだの。サッカーしたりね、かくれんぼしてね、鬼ごっこもしたの~~」「・・・仲良く出来たか?」「うん!ここね、ひ~くんのお...
結婚式が終わったら梅雨本番。新婚旅行は俺の仕事の都合で行くことが出来ず、つくしも「産まれてからの家族旅行でいいよ~」なんて言うからお預け。それから彼女は花沢についての本格的な勉強が始まった。ビジネスマナーに再度テーブルマナー、パーティーマナーに英語とフランス語・・・・・・暇を持て余すのが嫌なつくしは結構楽しそうにそれをやってた。ただ、フランス語については溜息もので・・・「いや、全然わかんないんだけど!」「...
光翔君はまるで道具のようにしてこの世に生まれてしまった・・・だからこそ、不幸にしてはいけない・・・幸せにならなきゃいけない。その言葉は胸にズシッと響いた。そして光翔君の幸せはどこにあるのか・・・・・・養父母さんとなる人は素敵なご夫婦だと聞いたけど、それもやっぱり大人の都合であって、光翔君の気持ちは無視。確かに3歳児には判断力なんてないけれど、それでもあの子が1番望むものはなにかを考えるのも必要なのではないか・・・...
すごい形相で近づいてきた司・・・それを見たつくしがピクッと口の端を引き攣らせ、俺は溜息、総二郎とあきらは苦笑い・・・と言うか、楽しそうにしてる。でもここはパーティー会場だし、取っ組み合いの喧嘩はしないだろうと思ってたけど・・・「おい、ちんちくりん」「なによ、クリンクリン」「「・・・・・・・・・ぷっ!」」←総&あきら「・・・・・・はぁ・・・・・・(口喧嘩は出来るよな)・・・」「お前の仕事、なんでも屋なんだって?」「辞めたけどね。それ...
初めて入る西門のプライベートエリア・・・本邸とは違い、少しだけ簡素な感じがするけど、それでも普通の家庭に比べたら豪華そのもの。ただ使用人さんが多くいて、志乃さんに連れられて歩く私のことを不思議そうに見ていた。それにこっちの庭は本邸の庭よりも自然な感じ・・・冬だから花は少なかったけど、真っ赤な椿が見事だった。「こちらのお部屋ですわ」「は、はい!」「ふふふ・・・そんなに緊張なさらなくても大丈夫ですからね」「・・・...
「新郎花沢類、 あなたはここにいる牧野つくしを病める時も 健やかなる時も富める時も 貧しき時も妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」「はい、誓います」「新婦牧野つくし あなたはここにいる花沢類を病める時も 健やかなる時も富める時も 貧しき時も夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」「はい///誓います」「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた このお二人を神が慈しみ深く守り、助け...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...
「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。本日の主役である新郎新婦の準備が整ったようです。皆さま、ご準備はよろしいでしょうか~?!それでは新郎新婦の入場で~~~す!」美作さんの声で扉が開けられ、途端に目の前でパーン!とクラッカーの鳴る音が!それよりもシャンデリアの灯りの方が眩しくてクラッとしてしまった。その後で叫ばれたのは・・・「西門さん、つくし、おめでとう~~~!」「さぁ、二次会は盛りあがっていく...
おはようございます。突然ではございますが、当面の間類君の連載公開を中止します。理由は、今回のお話について、「物足りない」とのコメントをいただき、それによりモチベーションがダダ下がりしてしまったからです。物足りない・・・それは私の筆力がないので受け入れますが、200話以上で「終盤が物足りない」と言われても、素人の私ではどうしていいのか判りません。明日より続編として、つくしと真利愛のこと、美央とのその後...
それから2ヶ月後・・・桜の花が終り、新緑の美しい季節に変わっていた。少しずつ気温も上がり、春らしい陽気に包まれた土曜日のこと・・・「ママ~~~、トラック来たよ~~」「ぱっぱ、おしっこしのトラック~~~!」「は~~~~い!2人ともおじさん達の邪魔しちゃだめよ~」「つくし、もう全部ガムテープした?」武蔵小山のマンションでは引っ越しの真っ最中。今日はここを出て、花沢家に引っ越すのだ。その為に大人達は朝からドタ...
終わった・・・・・・絢爛豪華な披露宴が終わった・・・・・・マジで疲れた・・・・・・本気で披露宴したらこんなに疲れるんだと思い知った・・・・・・いや、もう2度としないけど。私たちの披露宴・・・それはある意味特殊だった。祝辞が長いからって余興をお色直しの後にしたから、キャンドルサービスの直後が余興開始。私の方からは涼子達が何かしてくれるって言うから任せたんだけど、とにかく西門関係者の余興が長く・・・。1番手は後援会長の詩吟。詩吟は...
「ただいま・・・・・・」「ぱっぱだぁ~~~!」「おかえり~~~~~!!」流石にその日は定時では帰ることが出来ず、類がマンションに戻ったのは20時過ぎ。子ども達はすでに風呂を済ませていて、パジャマ姿で出迎えてくれた。2人を同時に抱き締めて、出て来た言葉は「お腹空いた~」・・・つくしはソワソワしながらリビングのドア付近で待っていたが、それを聞いて急いで夕食をテーブルに並べた。あまり食欲がなさそうだったので、作...
結婚式&披露宴にもその時代の流行りってもんはあると思う。なにも面白くて珍しいことをしたいとは思わないけど、西門は超古風というか、何と言うか・・・さっきから西門の関係者のスピーチが長い長い!新婦側には話す人がいないから、ここぞとばかりに後援会のお爺様や何処かの会社の社長さんがお話ししている。それをニコニコしながら聞いてる総二郎だけど、膝の上の手はすでに握り拳・・・そうとうイラッとしてるんだろうなって思った...
金曜日の朝はいつもと違う空気が流れていた。それは類が取締役会を開催する日・・・朝早くに目が覚めたつくしと類は、お互いに言葉を交わさずにピリピリとした中で過ごしていた。類は黙って窓の外を見ている。まだ薄暗く、天気は午後から雨になるらしい。つくしはキッチンで珈琲の準備・・・今日の類は何も食べそうになかったが、せめて少しでもと思い、ひと口サイズのサンドイッチを作った。「類、珈琲が入ったよ」「・・・・・・・・・・・・」「身...
折角気分良くここまで来たのに、おかしな3人組みのせいでモヤモヤと・・・それでも巫女さんが現われて、いよいよ本殿に入るって時になったら気分はガラリと変わった。まずは参進の儀と言って、神職さんと巫女さんの後に付いて新郎新婦、両家の親、親族の順に本殿に向かう。中に入ったら神前に向かって右に新郎側親族、左に新婦側親族が入場後、私たちと神職が入場。本当はここで仲人さんも入るんだけど、今回は仲人さんはなし。理由...