威厳に満ちたお袋の姿がこの邸にある・・・それは長いこと当たり前の光景だったが、今では少し違う。お袋は痩せて小さくなり、ホンの少し遠慮気味に廊下を歩いていた。それでも懐かしく思うのか、使用人達は「お帰りなさいませ」と言って頭を下げている。皆には真実を話していないし、お袋が体調を壊して長期療養に出ていたと思っているからだろうけど、どことなくホッとした表情で持ち場に戻っていった。お袋が1番はじめにしたのは...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
2025年5月
威厳に満ちたお袋の姿がこの邸にある・・・それは長いこと当たり前の光景だったが、今では少し違う。お袋は痩せて小さくなり、ホンの少し遠慮気味に廊下を歩いていた。それでも懐かしく思うのか、使用人達は「お帰りなさいませ」と言って頭を下げている。皆には真実を話していないし、お袋が体調を壊して長期療養に出ていたと思っているからだろうけど、どことなくホッとした表情で持ち場に戻っていった。お袋が1番はじめにしたのは...
初めて自分でお金を支払わせたけど、この1回じゃ足りない。今度は本屋に行き、そこで幼児用の絵本を買うことにした。それを話すとつくしは「ほん?」と首を傾げてたけど、これは実物を見た方がいいからと、通りすがりに見付けた大きな書店に入った。そこにはズラーーーーーッと本が並んでて、つくしは目がテン。平安時代にも本はあったらしいけど、一般的には出回っていなかっただろうから。なんたってあの頃は印刷技術がないから...
爺様と婆様が京都に戻ってから数日後、宗家には祥一郎が来ていた。理由はお袋の説得役・・・一応親父が戻ってくるように電話で話したのだが、お袋が難色を示したからだ。それに祥一郎はこの1年間で数回お袋と会っており、今では1番話しやすい存在になっていたから。夜勤明けの疲れた顔で俺たちの前に座り、「しょうがないなぁ~」とひと言。「親父が言っても渋るし、当事者である俺が言うのもな・・・・・・」「確かに母さん、総二郎に会...
類がくれたのはお金とお財布。今までお金を持ってなかったんだから当然財布なんてものを知らず、それを手に持ってもどうして良いのやら・・・「二つ折りの財布でも良かったんだけど、小さいと落としそうだから長財布にしたんだ」そう言われても、どっちがいいのかなんて理解出来ないんだけど。取り合えず硬貨と呼ばれるお金を全部持って歩くわけにはいかないので、類が適当にお財布の小銭入れの部分にジャラジャラ入れてくれた。そし...
みなさま、こんにちは。タイトル通り、今後についてのお知らせです。過去に自分の仕事について書いたことがあるのでご存じの方も多いと思いますが、私の仕事は「舞台衣装製作」です。個人で仕事をするようになって6年目、最近は依頼も増えており、有り難いことです。そして今月に入り、今までにない数の注文を受けまして、毎日その制作でドタバタしております。と言うのも数に対して納期が非常に短いのです。それでブログに時間を...
お爺様とお婆様の話を聞いたあと、今日は子供達は離れで一緒に寝ることになった。その時は祐子さんと私が付き添ったけど、寝入った後は志乃さんに任せて本邸に行くことに・・・そこでは家族だけの除夜釜が行われていて、遅ればせながら2人で参加することにした。私はこの行事が初めてだったので緊張したけど、思ったよりも穏やかでのんびりした雰囲気だった。しかも、初めて見る家元のお点前・・・それを見るお爺様の視線だけがちょっと...
「まったくもう!!あんた、さっきの男が何しようとしたのかわかってんの?!」「うわああぁ~~~~~んっ!!」「泣いてもダメ!ここは平安京じゃないんだ!あんたは姫でもないし、守ってくれる宿直も検非違使もいないんだから!」「・・・・・・・・・・・・・・はい・・・」類の車に乗ってからも散々お説教・・・ちゃんと途中まで言いつけ守っていたのに、それすら聞いてもらえず・・・そして私も涙と鼻水でそこまで説明出来ず・・・ようやく落ち着いてか...
「ほぎゃああああぁ~~~~💦」「たっくん、お兄ちゃんだよ~~!」「たっくん、泣かないで~~」「ふぎゃあああぁ~💦」「うわああぁ~~ん!母さま~~っ!!」「ママ、どうしたらいいの~~~!!」建翔君が西門に来て数日後・・・この邸に赤ちゃんの泣き声が響いた。ついでにお兄ちゃん達の泣き声が加わり、使用人さん達もクスクス笑いながら廊下を歩いてた。それが本邸にまで聞こえるようで、すぐにすっ飛んでくるのは孝三郎さん・...
「類様・・・私に隠れて何かしていませんよね?」「・・・してないよ、加代」買物に行くにはお金が必要・・・と言うのも、つくしに現金を持たせて買物するのが目的だから、1番はじめに自宅に立ち寄った。その時に玄関先で仁王立ちした加代にそう言われ、自分の家なのにビビりまくりの俺。そして追求されるつくしのこと・・・こうなることを予想して、つくしには門の外で待つように指示していた。『あんたに渡すお金を用意するから、悪いけどこ...
その日の西門は仕事なんて其方退け。家元は腕組みしてジッと庭を見てるし、そのうち石化してしまうんじゃないかってぐらい。孝三郎さんは意味もなく屋敷中を歩いて落ち着きがなく、時々何処かで遠吠えしてるのが聞こえる。そんな2人の仕事を引き受け、総二郎1人が大忙し・・・でも凡ミスしてお弟子さんに笑われてる。私はお婆様にお花の生け方を教わっていたけど、その時間も何度孝三郎さんが廊下を歩いていったやら!「・・・ほんとに...
翌朝・・・・・・またつくしは床に落ちてた。そこで丸くなって寝てて、俺には布団が掛かってなく・・・・・・ブルッと震えて両手を擦った。これが続いたら、本気で風邪を引きそうなんだけど・・・。音を立てないように移動して覗き込むと爆睡してる。だからそっとベッドから降りて、静かにキッチンに向かった。そこで珈琲を入れて、一昨日の夜に買ったパンの残りを出した。「・・・あれだけのピザ、朝ご飯用に残ると思ったのに」そう言いながらピザの...
妊娠が判ってすぐに始まったのは私達の引っ越し・・・総二郎は仕事を休んでそれを手伝ってくれた。とは言っても、このマンションの家具や家電を持って行くわけではなく、身の回りの物だけ。それなのに何一つ荷物を持たせてくれなくて、一颯ですら「ママはじっとしてなよ~」と生意気なこと言って・・・「母屋の総二郎の部屋に行くんでしょ?」「あぁ、奥の和室を洋間に変えて、一颯の部屋にしようと思う」「そこ、総二郎の着物とかがある...
「今日はちゃんとドライヤーで髪を乾かすよ」「どらいやぁ?」「これはカタカナね。ドライヤーと言って髪を乾かす道具」「乾かさなきゃダメなの?」類が持って来たのは私が電気店で大騒ぎしたヤツ・・・いきなりすごい音が出て、熱風が来たから放り投げたのよ。だから怖くて怖くて・・・そう言うと類が乾かしてくれるって。私はソファーの前に座り、類がソファーに座ってドライヤーを手に持った。そしてブオォーーーーッ!とすんごい音が...
「おめでとうございます。赤ちゃんの様子から妊娠2ヶ月、6~7週ってところですね」「・・・・・・・・・・・・」「あ、ありがとうございます///」「異常も見られませんし、出血もしてないので問題ないですよ」「・・・・・・・・・・・・」「あ~、良かった!安心しました」次の日、来なくていいと言うのに付いてきた総二郎と一緒に先生の説明を受けた。不順だったから気がつくのが遅れたんだと思ってたけど、実はまだ妊娠2ヶ月になったばかり・・・今の私...
取り合えず電話を掛けることだけは出来るようになった。と言うか、何かを検索したくでも文字を覚えなくちゃ入力も出来ない。そして出てきた文字を解読することも出来ない。それこそ小学校低学年の子が読める程度の漢字を覚えることと、ひらがな・カタカナ・数字、アルファベットの習得が必要・・・そう言うと、アルファベット以外はなんとか覚えたっていうから驚いた。「1日しか経ってないのに?」「うん。あんまり似てないけど、私...
千葉からの帰り道・・・今度は孝三郎さんの運転で、助手席には祐子さんが座った。私と総二郎が後部座席で子供達の面倒を見ることになったんだけど、その子供達は爆睡・・・このまま起こさずに自宅まで戻ろうってことになって、私もホッとしていた。ただここでも気分が悪くなり、酷くはないけど吐き気も・・・それを口に出すとせっかくのドライブが楽しくなくなると思い、顔を窓の方に向けて寝たふりをした。「祐子、体調大丈夫か?」「うん...
「「「「ありがとうございましたぁ~~!!」」」」「どーも・・・」「ご苦労様でした~♪」夕方、家具屋の配達員が4名体制でやってきて、今日買った物を全部運び入れてくれた。しかも昨日の家電店で買った洗濯機も届けられ、これでようやく生活が出来る・・・と思うんだけど。振り向いたらつくしがドラム式洗濯機の中に入ろうとしてる。「それは人を洗う物じゃないから」って言うと、少々頬を赤くして苦笑い・・・そのあとで不思議そうにい...
「・・・何だったんだろう・・・でも、よく似てたなぁ・・・」「どうかしたの?さっきからブツブツ言ってるけど」「・・・ううん、なんでもないんだけど・・・・・・多分、気のせいだわ」「・・・???」桜子の声が聞こえたような・・・・・・もしかしたら、自分でも気がつかないうちに会いたいと思ってるのかも?(←桜子が不憫である)しかも何かを探せって言ってたようだけど・・・この世界に私が探せるものがあるだろうか?なんてことを考えても仕方がない。...
家具屋を出てからランチに行こうと思ったけど、またつくしが大暴れしたらと思うと・・・だからテイクアウトでサンドイッチを買い、何処かの公園で食べることにした。きっとその方が店員にも迷惑かけずにすむはずだし、「姫」とは言えおおらかな性格のようだから外で食べても文句言わないだろう。それにボチボチ桜も咲いてるし、天気もいいから気分転換にもなると思って。それを提案すると・・・「ていくあうと?」「そう。店で食べずに持...
すっごく大きな家具屋さん・・・そこに入ったら、すっごく広い場所に、不思議な大きな箱みたいなのが沢山並んでる。そう言えば、初めに見た類の家にはこんな物があったな~と思いながら眺めてた。私の実家・・・大納言家とは全然違う今の家。そもそも昔のは壁ってものがなくて、『自然との調和』といえば聞こえが良いけれど、要するに風の通りが良すぎる造りなのよ。寝殿と呼ばれるのは公家の邸宅において、主人の居所として中央部に設け...
「えっ?次の日曜、海に行くの?」「あぁ、夏は暑すぎて遊びに行けなかったからさ。孝三郎の嫁さんの体調も安定してるし、今なら浜辺で遊んでも大丈夫だろうって言うから・・・どうだ?」「・・・そうねぇ、一颯もプールしか行けてないから喜ぶかもね」「んじゃ、孝三郎に話をしてくるな」「よろしく~~」9月後半の金曜日・・・マンションを出るときに総二郎から聞かされたドライブの計画は、宗家のワンボックスで千葉の海に遊びに行くと...
「・・・・・・・・・・・・」「つくし、出掛けるよ」彼女が着替えのために寝室に入って20分・・・今日も忙しいからドアの前で声を掛けたんだけど返事がない。メイクの仕方がわかんないのかもだけど、俺もそんなの教えられないし・・・と、もう1度「どうかした?」と聞くと・・・「まだ服の着方がよくわからなくて」「え?」「どれを着れば良いのかサッパリなんだけど」「・・・ドア、開けるよ」また俺がアドバイス出来ないことを・・・・・・そう思ったけど、...
8月のクソ暑い時、ある情報を目にした。それは桜井商事の業績が急激に悪化したというもの・・・・・・そのニュースにフッと鼻で笑ってしまった。「・・・あいつら、やっぱり速攻やりやがったな?」「若宗匠、家元がお呼びですよ。重陽の茶会の件だそうです」「わかった、すぐに行く」弟子が呼びに来たのでネットニュースを見るのはお終い・・・だが、俺がニヤニヤしてるもんだから、迎えに来た弟子は怪訝そうな顔をしていた。昨年末の桜井との...
翌朝・・・目が覚めたらすでに明るかった。と言うか、見覚えのない部屋・・・いつもと違う空気だし、見たこともない照明器があった。薄く目を開けて窓を見たらレースのカーテンだけ・・・・・・そして違和感のある枕。それよりも布団が掛かってない。しばらくぼんやりしながら昨日の夜のことを考えていたら、ここが自分のプライベートマンションであることを思い出した。ハッとして隣を見たら・・・・・・「あれ?いない・・・」ベッドが1つしかないか...
桜が散る頃、今度は一颯の誕生日が来た。私達はマンションでのバースデーパーティーを考えていたんだけど、家元も孝三郎さんも「どうしてそうなる?」と、2人同時に驚いた顔。「宗家でお祝いして当然!」って感じで・・・なにより光翔君がノリノリだったので、1週間前と同じように誕生日会をしていただいた。お料理も並び方もあの日と同じで、家元の左右に事も達が座ってる。今回はちらし寿司じゃなくて手まり寿司・・・それをお爺様に...
あきらとの電話を切った後も、つくしはタブレットに夢中・・・でもまだ言葉を覚えてないから、画面にタッチするだけ。その時に動作するものだから「うわ、絵が変わった!」とか「ぎゃっ!変なの出た!」とか・・・写真のない時代だから、何でも全部「絵」って言うのにはクスッと笑ってしまった。「もうそろそろ10時だから寝る?」「じゅうじ?」「・・・・・・あぁ、今の時代の時間のこと。それも教えなきゃね」「うん!教えて🧡」「・・・勉強熱...
桜の茶会・・・お稽古を頑張った祐子さんだったけど、妊娠初期でもあるので参加を見送り、私と一緒に裏方を手伝った。その裏方というもの庭から全然見えない場所で、その近くでは一颯と光翔君も遊んでる。裏庭にボール遊びが出来るスペースを庭師さんが作ってくれたんだけど、その遊び場も竹垣で囲んでボールが植木の方に行かないようにしてくれた。それに通りがかった使用人さんが声をかけてくれたり、2人は多くの人に守られて・・・「...
部屋に戻ったらつくしはほんのりピンク色のほっぺたでリビングのまん中に座ってた。買ってきた物はまだ半分ぐらいしか片付いてないけど、今日はもう体力の限界・・・少し早いけど、寝ようかと思ったら・・・「えっ?スマホとタブレットが見たい?」「うん♪」「何を見たいの・・・見方がわかんないでしょ?」「だから教えて欲しいの♪」「いや、その前に現代の通信事情を知らないと・・・」「それも教えて?」「・・・・・・・・・・・・」古代日本において公...
あれから数週間が過ぎた。婆様が来て、親父は祐子の両親との会食も済ませた。光翔は随分この生活に慣れたようで、毎日元気よく庭で遊んでおり、それに付き合うのは祐子・・・孝三郎は夜遊びもしなくなり、志乃さんは婆様の世話で忙しそうだ。今は2月で、今日は小さな雪が降っている。その凜とした空気の中、俺は自分の茶室で若弟子を伴い稽古の準備をしていた。この準備というのは当然稽古の前にするものだが、流派によっては生徒が...
「総二郎・・・悪いけど頼み事があるんだ」『ん?珍しいな、言ってみ?』電話をかけた相手は幼馴染みの西門総二郎。こいつは茶道家だから卒業後に海外に行くこともなく、比較的このマンションに近いところに住んでた。それに体格も俺と変わらないし、「何でも良いから服を貸して」と言うと・・・『は?なんだ、その頼み事は』「詳しいことは言えないんだけど、着る服がない状態で・・・出来たら部屋着を2~3着貸してくれない?ジーンズも...
「・・・皆様、本日は初釜式へのご参加、ありがとうございました。今日は我が家の現状と、今後についてのお話がございます。どうぞ最後までお聞き下さいますよう、お願い申し上げます」親父の言葉で始まり、後援会の会長と副会長がチラッと目配せをした。後ろに並ぶ面々は何も知らないから戸惑ったような表情を浮かべ、中にはヒソヒソと会話する人も・・・そんな中、まずはお袋が体調を崩し、昨年末から西門の別邸で過ごしていることを話...
ドキドキする自分に違和感というか、疚しい気分というか・・・年頃の女の子の入浴中なのに足を踏み入れるなんて信じられないというか・・・取り合えず平常心を保ちつつ中に入ると、そこには一応俺の思い描いた姿の彼女いた。バスタオルを脇の下からグルグル巻きにして、太股の際どい部分でまでは・・・ーーーなんだ、ちゃんと隠してるじゃんーーー「えっ?俺、今何考えた?」「ん?どうかしたの?」「いや、なんでもない・・・・・・じゃあそこに...
「美和子さんの話を聞いたとき、そういう選択もあると思うて婆様と話しておったんだよ。儂らはそのぐらいしか手伝ってやれないが、孫の為でもあるし、婆様もまだまだ元気だからな・・・つくしさんが正式に西門に入るまで、ここで稽古を付けてもらったらどうじゃな?」「お婆様が?!」「婆ちゃん、本気なのかよ!」「孝三郎、言葉遣い!!」前家元夫人がこの家の事を教えて下さる・・・それは嬉しいというか、怖いと言うか・・・慌てて隣を...
陰陽師の指示もないのにお風呂に入るなんて思わなかった。お湯に身体を浸けたら魂抜かれないだろうか・・・そんなことを考えながらお風呂場に行き、そこで一瞬悩んだ。裸で入る・・・つまり、服を脱ぐ。でも、この服は後ろに「ふぁすなぁ」ってものがあって、それを下ろさなきゃ脱げない。そして手が回らないから、ここは当然・・・「類~~~~~!」「どうかした?助けを呼ぶの、随分早かったね」「服が脱げないの」「えっ?!」「後ろ、...
2025年5月
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威厳に満ちたお袋の姿がこの邸にある・・・それは長いこと当たり前の光景だったが、今では少し違う。お袋は痩せて小さくなり、ホンの少し遠慮気味に廊下を歩いていた。それでも懐かしく思うのか、使用人達は「お帰りなさいませ」と言って頭を下げている。皆には真実を話していないし、お袋が体調を壊して長期療養に出ていたと思っているからだろうけど、どことなくホッとした表情で持ち場に戻っていった。お袋が1番はじめにしたのは...
初めて自分でお金を支払わせたけど、この1回じゃ足りない。今度は本屋に行き、そこで幼児用の絵本を買うことにした。それを話すとつくしは「ほん?」と首を傾げてたけど、これは実物を見た方がいいからと、通りすがりに見付けた大きな書店に入った。そこにはズラーーーーーッと本が並んでて、つくしは目がテン。平安時代にも本はあったらしいけど、一般的には出回っていなかっただろうから。なんたってあの頃は印刷技術がないから...
爺様と婆様が京都に戻ってから数日後、宗家には祥一郎が来ていた。理由はお袋の説得役・・・一応親父が戻ってくるように電話で話したのだが、お袋が難色を示したからだ。それに祥一郎はこの1年間で数回お袋と会っており、今では1番話しやすい存在になっていたから。夜勤明けの疲れた顔で俺たちの前に座り、「しょうがないなぁ~」とひと言。「親父が言っても渋るし、当事者である俺が言うのもな・・・・・・」「確かに母さん、総二郎に会...
類がくれたのはお金とお財布。今までお金を持ってなかったんだから当然財布なんてものを知らず、それを手に持ってもどうして良いのやら・・・「二つ折りの財布でも良かったんだけど、小さいと落としそうだから長財布にしたんだ」そう言われても、どっちがいいのかなんて理解出来ないんだけど。取り合えず硬貨と呼ばれるお金を全部持って歩くわけにはいかないので、類が適当にお財布の小銭入れの部分にジャラジャラ入れてくれた。そし...
みなさま、こんにちは。タイトル通り、今後についてのお知らせです。過去に自分の仕事について書いたことがあるのでご存じの方も多いと思いますが、私の仕事は「舞台衣装製作」です。個人で仕事をするようになって6年目、最近は依頼も増えており、有り難いことです。そして今月に入り、今までにない数の注文を受けまして、毎日その制作でドタバタしております。と言うのも数に対して納期が非常に短いのです。それでブログに時間を...
お爺様とお婆様の話を聞いたあと、今日は子供達は離れで一緒に寝ることになった。その時は祐子さんと私が付き添ったけど、寝入った後は志乃さんに任せて本邸に行くことに・・・そこでは家族だけの除夜釜が行われていて、遅ればせながら2人で参加することにした。私はこの行事が初めてだったので緊張したけど、思ったよりも穏やかでのんびりした雰囲気だった。しかも、初めて見る家元のお点前・・・それを見るお爺様の視線だけがちょっと...
「まったくもう!!あんた、さっきの男が何しようとしたのかわかってんの?!」「うわああぁ~~~~~んっ!!」「泣いてもダメ!ここは平安京じゃないんだ!あんたは姫でもないし、守ってくれる宿直も検非違使もいないんだから!」「・・・・・・・・・・・・・・はい・・・」類の車に乗ってからも散々お説教・・・ちゃんと途中まで言いつけ守っていたのに、それすら聞いてもらえず・・・そして私も涙と鼻水でそこまで説明出来ず・・・ようやく落ち着いてか...
「ほぎゃああああぁ~~~~💦」「たっくん、お兄ちゃんだよ~~!」「たっくん、泣かないで~~」「ふぎゃあああぁ~💦」「うわああぁ~~ん!母さま~~っ!!」「ママ、どうしたらいいの~~~!!」建翔君が西門に来て数日後・・・この邸に赤ちゃんの泣き声が響いた。ついでにお兄ちゃん達の泣き声が加わり、使用人さん達もクスクス笑いながら廊下を歩いてた。それが本邸にまで聞こえるようで、すぐにすっ飛んでくるのは孝三郎さん・...
「類様・・・私に隠れて何かしていませんよね?」「・・・してないよ、加代」買物に行くにはお金が必要・・・と言うのも、つくしに現金を持たせて買物するのが目的だから、1番はじめに自宅に立ち寄った。その時に玄関先で仁王立ちした加代にそう言われ、自分の家なのにビビりまくりの俺。そして追求されるつくしのこと・・・こうなることを予想して、つくしには門の外で待つように指示していた。『あんたに渡すお金を用意するから、悪いけどこ...
その日の西門は仕事なんて其方退け。家元は腕組みしてジッと庭を見てるし、そのうち石化してしまうんじゃないかってぐらい。孝三郎さんは意味もなく屋敷中を歩いて落ち着きがなく、時々何処かで遠吠えしてるのが聞こえる。そんな2人の仕事を引き受け、総二郎1人が大忙し・・・でも凡ミスしてお弟子さんに笑われてる。私はお婆様にお花の生け方を教わっていたけど、その時間も何度孝三郎さんが廊下を歩いていったやら!「・・・ほんとに...
翌朝・・・・・・またつくしは床に落ちてた。そこで丸くなって寝てて、俺には布団が掛かってなく・・・・・・ブルッと震えて両手を擦った。これが続いたら、本気で風邪を引きそうなんだけど・・・。音を立てないように移動して覗き込むと爆睡してる。だからそっとベッドから降りて、静かにキッチンに向かった。そこで珈琲を入れて、一昨日の夜に買ったパンの残りを出した。「・・・あれだけのピザ、朝ご飯用に残ると思ったのに」そう言いながらピザの...
妊娠が判ってすぐに始まったのは私達の引っ越し・・・総二郎は仕事を休んでそれを手伝ってくれた。とは言っても、このマンションの家具や家電を持って行くわけではなく、身の回りの物だけ。それなのに何一つ荷物を持たせてくれなくて、一颯ですら「ママはじっとしてなよ~」と生意気なこと言って・・・「母屋の総二郎の部屋に行くんでしょ?」「あぁ、奥の和室を洋間に変えて、一颯の部屋にしようと思う」「そこ、総二郎の着物とかがある...
「今日はちゃんとドライヤーで髪を乾かすよ」「どらいやぁ?」「これはカタカナね。ドライヤーと言って髪を乾かす道具」「乾かさなきゃダメなの?」類が持って来たのは私が電気店で大騒ぎしたヤツ・・・いきなりすごい音が出て、熱風が来たから放り投げたのよ。だから怖くて怖くて・・・そう言うと類が乾かしてくれるって。私はソファーの前に座り、類がソファーに座ってドライヤーを手に持った。そしてブオォーーーーッ!とすんごい音が...
「おめでとうございます。赤ちゃんの様子から妊娠2ヶ月、6~7週ってところですね」「・・・・・・・・・・・・」「あ、ありがとうございます///」「異常も見られませんし、出血もしてないので問題ないですよ」「・・・・・・・・・・・・」「あ~、良かった!安心しました」次の日、来なくていいと言うのに付いてきた総二郎と一緒に先生の説明を受けた。不順だったから気がつくのが遅れたんだと思ってたけど、実はまだ妊娠2ヶ月になったばかり・・・今の私...
取り合えず電話を掛けることだけは出来るようになった。と言うか、何かを検索したくでも文字を覚えなくちゃ入力も出来ない。そして出てきた文字を解読することも出来ない。それこそ小学校低学年の子が読める程度の漢字を覚えることと、ひらがな・カタカナ・数字、アルファベットの習得が必要・・・そう言うと、アルファベット以外はなんとか覚えたっていうから驚いた。「1日しか経ってないのに?」「うん。あんまり似てないけど、私...
千葉からの帰り道・・・今度は孝三郎さんの運転で、助手席には祐子さんが座った。私と総二郎が後部座席で子供達の面倒を見ることになったんだけど、その子供達は爆睡・・・このまま起こさずに自宅まで戻ろうってことになって、私もホッとしていた。ただここでも気分が悪くなり、酷くはないけど吐き気も・・・それを口に出すとせっかくのドライブが楽しくなくなると思い、顔を窓の方に向けて寝たふりをした。「祐子、体調大丈夫か?」「うん...
「「「「ありがとうございましたぁ~~!!」」」」「どーも・・・」「ご苦労様でした~♪」夕方、家具屋の配達員が4名体制でやってきて、今日買った物を全部運び入れてくれた。しかも昨日の家電店で買った洗濯機も届けられ、これでようやく生活が出来る・・・と思うんだけど。振り向いたらつくしがドラム式洗濯機の中に入ろうとしてる。「それは人を洗う物じゃないから」って言うと、少々頬を赤くして苦笑い・・・そのあとで不思議そうにい...
「・・・何だったんだろう・・・でも、よく似てたなぁ・・・」「どうかしたの?さっきからブツブツ言ってるけど」「・・・ううん、なんでもないんだけど・・・・・・多分、気のせいだわ」「・・・???」桜子の声が聞こえたような・・・・・・もしかしたら、自分でも気がつかないうちに会いたいと思ってるのかも?(←桜子が不憫である)しかも何かを探せって言ってたようだけど・・・この世界に私が探せるものがあるだろうか?なんてことを考えても仕方がない。...
家具屋を出てからランチに行こうと思ったけど、またつくしが大暴れしたらと思うと・・・だからテイクアウトでサンドイッチを買い、何処かの公園で食べることにした。きっとその方が店員にも迷惑かけずにすむはずだし、「姫」とは言えおおらかな性格のようだから外で食べても文句言わないだろう。それにボチボチ桜も咲いてるし、天気もいいから気分転換にもなると思って。それを提案すると・・・「ていくあうと?」「そう。店で食べずに持...
すっごく大きな家具屋さん・・・そこに入ったら、すっごく広い場所に、不思議な大きな箱みたいなのが沢山並んでる。そう言えば、初めに見た類の家にはこんな物があったな~と思いながら眺めてた。私の実家・・・大納言家とは全然違う今の家。そもそも昔のは壁ってものがなくて、『自然との調和』といえば聞こえが良いけれど、要するに風の通りが良すぎる造りなのよ。寝殿と呼ばれるのは公家の邸宅において、主人の居所として中央部に設け...
「それでは今から40分前の映像から流します。画面が4分割されていますが、1番から正門前、お子様が遊んでおられた庭、その中間地点、4番目は門の外にある道路です。では始めます」警備担当者の緊張した声を聞くと、再び涙が溢れ出すつくし。類も厳しい表情で画面を見つめ、それは総二郎や美央も同じだった。加代は泣きじゃくる真利愛を宥めながらやはり画面を覗き込んだ。今から40分前は真音と真利愛が総二郎と一緒にボール...
ゴールデンウィークが終わってから数日経つけど、私には気になることがある。それは家元と家元夫人がすごく静かになったこと。帰ったその日は明るかったのに、今では私にあまり話し掛けない。今朝も一緒にご飯食べてるのに、挨拶以外はダンマリで・・・私、何かしたかな?と思ったりもしたけど心当たりはない。でも考三郎君は相変わらずお調子者だし、総二郎からも何も聞いてない。ちなみに志乃さんも普通・・・家元はともかく、家元夫人...
「真音~~~~!お~い、真音~!」「まこちゃぁ~~~~ん!」総二郎と、見付かってしまった真利愛が大きな声で真音を呼んでいた。それを聞いて加代が庭に出てきて、「どうかしましたか?」と・・・総二郎は困った顔して、隠れんぼをしていた事を説明した。「隠れんぼ・・・ですか?」「あぁ、真利愛がした事ないって言うから、この庭の中で隠れようって話になって」「それで真音様が見当たらないと?」「ここから見える庭の中だけって...
高嶋さんの話はそれぐらいにして、話は本日の稽古について・・・「あ、久しぶりのお稽古だね♪ゴールデンウィークは休んだし~」「野点をしたじゃねぇか」「あれはお稽古とは言わないよね💢?」「そうか?大自然の中で・・・」「もういいから///!!」「くくっ!で、もう萱の間は使わねぇから」「どこでするの?」「勿論俺の茶室だ」萱の間で稽古をしたのは正座が出来なかったからで、今はもう私も総二郎も捻挫は完治している。「そろそろ...
「まぁ、楽しそうな笑い声・・・やっぱり子ども同士っていいですね。いつもはあんなに大きな声を出さないのに・・・ねぇ、類様」「そうだね・・・動物園だとあんな声出すけど」「それって真利愛にとって、真音と動物園の動物が同じってこと?」「うふふ、牧野さんったら!」「つくし、そんな意味じゃないからね?!」夫婦の部屋の窓辺に3人が立ち、そこから庭を見ていた。冬の芝生は青々とはしておらず、色褪せた庭には花も少ない。そんな...
つくしが帰宅したのはいつもより少し早かった。でも今日は親父達が外出していたのでダイニングには俺とつくしのみ・・・考三郎は両親が居ないことを良いことに、悪友と飲みに行ってしまったからだ。でもこれも好都合って事で、飯を食いながら今日の出来事を聞いた。すると俺が話したとおりに事が進んだようで、つくしは「1回も横道に逸れることなく、総二郎のシナリオ通りだったよ~」と驚いていた。で、自分の演技にも自信が持てた...
少しだけこの家の空気に慣れたと思ったのに、またつくしは極度の緊張と不安を感じていた。自分と類の間には美央がいる・・・彼女が優しい人物である事は判ったのだが、どうしても美央が「勝ち」、自分が「負けている」ような気持ちになってしまう。それは真利愛が美央の事を「ママ」と呼ぶからなのかもしれない・・・いくら仕方がないと思っても、実際にそれを聞くと悲しくてたまらなかった。「ここが俺の・・・俺達の部屋なんだけど、つく...
高嶋さんに言われたランチの店は、会社から徒歩3分のところにあるイタリアン。そこには行った事があるんだけど、各席に衝立があって隣の席が見えにくい構造・・・つまり隣の人達の話し声もあんまり聞こえない。それを知っていたのか、高嶋さんは私よりも少し先に営業のフリをして社用車で出掛けた。12時になると私は昼休憩・・・でもお弁当が勿体ないので、涼子に相談することに。「え!つくしのお弁当食べて良いの?!」「うん、ちょ...
「初めまして、牧野さん。私は美央と申します。本日はようこそおいで下さいました。あなたに会えて本当に嬉しく思いますわ」つくしは美央を見て身体が硬直した。それは類から聞いた美央の、優しいイメージ通りだったから・・・2人が並ぶと美男美女でよく似合っており、上品で歳相応の落ち着きがある。勝ち負けの問題ではないと判っていても、瞬時に『負けた』という感情が湧いた。何か言わなくてはと思うが、少し開いた唇は震えるだ...
つくしが帰宅したのはいつもの時間で、夕方の迎えは若弟子だった。若干疲れ気味のつくしが今日の報告をしたいの言うので、着替えたら俺の部屋で飯を食おうという話になり、こいつはヨロヨロしながら先に自分の部屋に向かった。俺はその若弟子を捕まえて、「変わった事はなかったか?」と聞いたが・・・「変わったことというか、牧野様が食べきれないからってお菓子をくれましたよ。黒糖カヌレと柿の種・北海道チーズ、博多通りもんと・...
『予定通りうちを出る。牧野と真音はもう俺の車に乗ってるから、そっちも準備しとけよ』「あぁ、うちは問題ないよ。総二郎の友人親子って事で話してあるから、インターホン鳴らしてくれたら加代が出るから」『OK!んじゃ後でな~』総二郎からの電話を切ると、類は窓の外を確認・・・今日は天気がいいので、コートを羽織れば双子が庭を散歩できるだろうと、それを想像して頬が緩んだ。美央もいつも通りに落ち着いていて、真利愛の髪...
そのあと高嶋さんはニヤッと笑いながら資料室を出て行った。これで良かったのかどうか・・・でも確かに、私の行動を検証しているみたいだったからゾクッとした。「と言うか、私がホスト通いすると思えるんだろうか・・・すぐ近くにホストも泣きそうな総二郎がいるのに?」野田さん、そこは考えなかったのか?総二郎もプライドは傷付かなかったのか?まぁ、男心は判らんけど!そんな事を呟きながらプランニングを進め、16時には事務所に...
「えっ?妙な車が屋敷の前に停まってたって?」「はい、それも数回ほど確認出来たそうですが・・・・・・」夜になって類が自宅に戻ると、すぐに加代からそんな報告があった。今日の昼間に正面の門の前に1台の白い軽自動車が停まり、暫く動かなかったらしい。警備はすぐに防犯カメラでそれを発見し、暫く監視していたが3分ほどで移動した。だが1時間後に再び同じような車が現われ、今度は屋敷の周りをグルグル走っていた。流石に見逃せ...
「はぁ~~~~~~っ?!龍崎さんが退職届を出したぁ?!」会社に行ったら涼子達に速効言われたひと言。龍崎さんがあのまま辞めたって・・・私と総二郎の事を聞いたのがそんなにショックだったの?!てか、新人離職率が爆上がり?!そんなの課長・部長・所長にド叱られするんじゃないの?!「うん。ほぼアタリだけど退職届じゃないのよ。今朝課長が1番に会社に来たんだけど、その時ポストに手紙が入ってたんだって。『この会社は私...
5日の朝、つくしはいつもの時間に起きて、いつものように朝食の支度をした。子ども達の保育園の昼寝布団のセットは昨夜から玄関に置いてあり、本郷もいつもと同じ時間に起きてきた。そのあと美来と真音を起こし、つくしはサンドイッチをテーブルに運び、本郷には淹れ立ての珈琲を出した。子ども達は休み癖がついているのでテンションは低く、美来は「休みたい~」と言うほどだ。でも今日はつくしも会社に行かなくてはならないので...
「実はな、お前の連休は京都・大阪豪遊ツアーなんだよ」「・・・・・・・は?」「栃木で俺とグランピングじゃなく、京都・大阪でホスト通いの1人旅だ」「はぁ?!」京都・大阪豪遊ツアー中身がホスト通い?!しかもゴールデンウィークに1人旅って淋しすぎない?!てか、なんでそんな設定になってんの・・・?それを聞くと、京都大阪の豪遊旅は野田さんが行ったって話・・・ますます判んなくなってポカンとしていたら、あの渋谷御守の事を聞か...
元旦の夜は町田のマンションでつくしの作ったおせちを食べていた。だが会話は少なく、1番元気がないのは真音・・・つくしはワザと声を明るくして話し掛けるが、料理をあまり口にせず、部屋に戻っておもちゃで遊んでいた。それを見て美来も流石におかしいと感じたのか、不安そうに本郷とつくしの顔を見た。「・・・まぁ君、どうしたのかなぁ・・・」「もしかしたら風邪気味なのかもね。旅館が寒かったから」「そうなのかな・・・明日はいっしょ...
宗家に戻ったらつくしはお袋達に掴まって、あれよあれよという間に母屋の奥に行ってしまった。車に残された大量の土産物はサッちゃんと西村事務長によって、一旦俺の部屋に運ばれ・・・見事に俺の部屋がサービスエリアの土産物コーナーのようになってしまった。「総二郎様・・・これはまた、凄い量ですな・・・」「俺じゃどれが宗家のでどれが使用人のものか判んねぇんだよな。買ったのも運んだのも俺だけど」「・・・(そんなに尽くすタイプだ...
つくしは元旦の朝早くにベッドから抜け出し、ぼんやりと窓の外を見ていた。天高いところはまだ暗かったが、東の方が僅かに明るい・・・・・・もうすぐ日の出だ。昨夜の事がなければ本郷や子ども達と一緒に見ようと思っていた初日の出・・・でも本郷も起きる気配がなく、子ども達もぐっすり寝ていた。つくしはここでスマホを取り出し、何気なくそれを開くと・・・『あけましておめでとう、つくし。俺達にとって、素敵な1年が始まると信じてるよ...
ゴールデンウィークはあっという間に残り2日になった。明日にはもうグランピング場を出て、東京に戻る。それが悲しいのか淋しいのか・・・嬉しいのかさっぱり判んない!そして総二郎は日に日に元気になっていくけど、私は真逆・・・すでに身体中がボロ雑巾のよう。それというのも、この男・・・・・・💢「つくし~~、風呂入ろうぜ♪」「今日は1人で入って」「なんで?」「最後の露天風呂ぐらい1人でゆっくり入りたいわよ💢!!」「・・・・・・・・・・・...