時間はあっという間に過ぎ、14時45分・・・類は藤本を待たせている西門邸に戻らなくてはならない。社用と私用のスマホを確認したが、少し前に総二郎からメッセージが1件入っていた。それを読むと、『町田を出るときには連絡するように』との事だけで、それ以外の言葉はなかった。つくしも保育園に行かなくてはならず、ソワソワと時計を見ている。その不安そうな「母親の顔」を見て、類は微笑ましい気持ちになった。「真音のお迎...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
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時間はあっという間に過ぎ、14時45分・・・類は藤本を待たせている西門邸に戻らなくてはならない。社用と私用のスマホを確認したが、少し前に総二郎からメッセージが1件入っていた。それを読むと、『町田を出るときには連絡するように』との事だけで、それ以外の言葉はなかった。つくしも保育園に行かなくてはならず、ソワソワと時計を見ている。その不安そうな「母親の顔」を見て、類は微笑ましい気持ちになった。「真音のお迎...
<side銀二郎こと野田>「じゃあ俺は先にタクシーで帰るから、お前は近くのパーキングで時間潰して、21時になったらここに来い」「判りました~」「絶対無事につくしを連れて帰れよ。これが今日のバイト代な」「・・・(ここは戦闘地域やないねんから!)・・・ありがとうございますっ!ところで総二郎様、足は大丈夫ですか?」「阿呆、そんなもん、もう痛くもなんともねぇよ。でもお袋には黙っとけよ?」「タクシー乗れるところまで結...
重ねた手は動かさないまま、類は左手で珈琲カップを持った。それをひと口飲んで、話の続きを促した。それからは遙香の強迫めいた言葉になるため、つくしは1度躊躇った。が、ここまで来たら嘘は吐けない・・・だから遙香に言われた言葉をそのまま伝えた。『もしも子供を花沢に渡さないというのなら、私にも考えがあるわ。親子無事で過ごせる保証はなくてよ?』そのぐらいの言葉は想像していた類だったが、流石に事実を伝えられると悔...
「じゃあこれで歓迎会は終了で~~~す!二次会に行く人はお店出たら右側に集合~~~!タクシー手配しますよ~!」やっと窮屈な歓迎会が終了・・・幹事の声に一同ザワザワと動き出した。私も自分の鞄を持って立ち上がり、ここで総二郎に電話することに・・・幹事が精算してる横を通り過ぎて、店の外に出たら左側に移動した。二次会に行く涼子にジェスチャーで帰ることをアピールすると、彼女は「了解~、じゃあ連休あけにね~」と言って...
つくしはチャイムを聞いて玄関に向かった。ここに来てからは来客などはなく、来るとしたら宅配ぐらいのものだ。だが本郷からも何も聞いていなかったので、何かの勧誘かと思った。1度東京を離れてから、つくしは不意に来る客には用心深い。だが同階の住人かもしれないので無視は出来ないと思い、ドアスコープを覗いてみた。だがそこには誰もいない。不思議に思ったが、もしかしたら自分の足音が聞こえたかもしれないので、無視する...
高嶋さんは社会人期間が8年だけあって、所長達との会話も上手・・・時事関係にも詳しくて、オトナだな~と思いながら1人で食べてた。私と離れてる席では涼子達が楽しそうにしてて、それが羨ましい・・・。私達の事務所の飲み会は、基本席移動しない。何故なら取り残される人が出る可能性があるから・・・今の所長の考えで、自分の席で隣同士の人とのコミュニケーションを取るように言われていた。だから気の合う連中との飲みは二次会でし...
3人は長い廊下を速歩で進み、本邸のとある部屋の前に行くと、そこには3人の黒服の男がいた。総二郎は中国語で話し掛け、相手の方が態度が大きく、どちらかと言うと総二郎の方が低姿勢に見えた。当然類も中国語で挨拶しているが、その様子は和やかではなく緊張感が漂っていた。藤本の眉間には皺がより、ゴクリと喉を鳴らした。花沢物産の秘書課に配属されるのであれば英語が話せるのは当然だ。だがそれ以外の外国語を使いこなせる...
居酒屋・福ちゃんの宴会場・・・私は一般のお客さんが座る席を背中側にして、隣は高嶋さんだった。その反対側はあまり話さない家電課の野口さんと言うおじさんで、向かい側には量販課の小山君。この人もそんなに話すわけじゃないから、どうにも会話が続かない・・・。所長と部長相手に話すこともなく、1人で食べてる感じだったんだけど・・・「牧野さん、お酒あんまり飲まないんですね~」「敬語はやめてくださいよ~、高嶋さんの方が歳上...
真音と真利愛の誕生日の翌日。類はいつもより静かに目覚めた。隣には真利愛がスヤスヤと寝ており、それをずっと眺めていた。今日は総二郎と計画をしたことを実行する日。上手くいけば、今日こそ・・・・・・そんな事を思いながら真利愛の髪を撫でると、愛娘は薄らと目を開けた。「・・・・・・ぱっぱ?」「おはよう、真利愛」「・・・・・・ふあぁ~~~~~!ママはぁ?」「もう起きてるだろうから行ってみたら?」「あいっ!!」真利愛はムクッと起...
「おっはようございま~~~~す♪」「・・・・・・おはよう、つくし」「今日はまたすんごいテンション高いね、牧野さん・・・」「・・・・・・・・・・・・」←麻衣更衣室に入ったら涼子達にヘンな目で見られたけど、気にしな~~い♪♪ついでに龍崎さんもいたけど、その隣に行くと超ご機嫌に「今日も頑張ろうね!」って言うと、「なんだ、もう諦めたんですか?張り合いないですねぇ~~」、だって。そんな言葉なんてどうでもよくて、私は彼女を無視して涼...
「みぃちゃパパ、いつできる~?」「・・・もう少し待って、真音・・・案外難しいんだよ。美来、説明書取ってくれる?」「は~~~い、どうぞ!」つくしが夕飯の御馳走を作っているとき、リビングでは真音のおもちゃが組み立てられていた。本郷は背中を丸くして説明書とプラスチックの部品を持ち、「え~~と・・・」と悩んでいる。その横では待ちきれない真音が電車を持って床の上を滑らし、美来は父親の手伝いをする気満々だ。つくしは時...
翌朝、アラームの音と同時に目が覚めた。と言うか・・・殆ど寝られなかった///。「お、起きなきゃ・・・」今日も西門さん・・・総二郎のところに朝食を持っていかないといけない。昨日、あんな事があったからすごく気不味いんだけど・・・でも心の何処かでワクワクドキドキしていた。「可愛い下着にしなきゃ・・・」いやいやいや、今は何も起こらないって!だって仕事に行くんだもん、なにも可愛い下着じゃなくても・・・と言いながら何気にチェック...
「「「まぁ君、お誕生日、おめでとう~~~!!」」」「うわぁ~~~い、ありがと~~♪」町田のマンションでは真音の誕生日会が始まった。まずは食事で、つくしの作った料理が並べられている。中央にはケーキ型の寿司が置かれ、それには本郷も美来も驚いていた。それにおかずも豪華に飾り付けられ、真音は手を叩いて喜んだ。「それがね、作ってたら和洋中みたいになって・・・お寿司なのに中華スープだし、ハンバーグに唐揚げって・・・...
唇が離れた瞬間・・・私は何が起きたのかさっぱり判んなかった。でも目の前には西門さんが笑ってるし、まだ身体はホールドされてるし・・・・・・でも意識が戻った瞬間、「ちょっとーーーーっ///!!何すんのよーーーっ!!」「えっ?!そんな反応かよ💢!!」「言葉よりも先に行動なんてズルいーーーっ!!」「いや、お前の返事がトロいからだろうが!!その前に静かにしろ!お袋が飛んでくるぞ?」「ーーーーーーっ!!」私が両手で口を押...
11時20分・・・そろそろ黒田夫妻と瑛翔が来る時間になった。類は面倒くさそうというよりも無関心といった感じで、どうせ数時間経てば終わることだ、ぐらいの感覚だ。が、美央の方はどんどん緊張が増していく。その表情が強張っており、類もそれには気がついていた。だが今更中止というわけにもいかず、美央に何かを話し掛けても「大丈夫」という言葉しか返って来ないのも判っている。「そろそろ降りようか・・・」「え?えぇ・・・そう...
お稽古が終わって、このままお互いの部屋に戻るんだと思ったのに・・・何故か西門さんが私の部屋に来たので吃驚。でもここは西門さんの家なので、「入るな」とは言えない。もう21時過ぎてるし、こんな事は初めてと言うか・・・いつも分かれ道(廊下)でバイバイするのに、今日はいいのかな?と思っていたら、彼の方が先に部屋の中に入った。しかも極自然に・・・・・・居候とは言え、一応女の子の部屋ですが?!「えっと・・・何か忘れ物?」「...
12月24日になった。今日は真利愛と真音の誕生日・・・つくし達と花沢家では、それぞれ祝いの準備が進んでいた。「おはよう~、真音!お誕生日、おめでとう~~~!」「うんっ!ぼく、3さい~~~♪」「真音、おめでとう」「まぁ君、おたんじょうびおめでとう~~~~!あとでプレゼント、あげるからね~」朝1番、つくし達は真音に祝いの言葉をかけた。それから普通に朝食を食べたが、つくしはすぐに昼と夜の御馳走の準備に取り掛...
冷め過ぎたお弁当はあんまり美味しくない。でもお腹が空いていたからゆっくり食べて・・・その時に西門さんが立ち上がって、ここのミニキッチンでお茶を入れてくれた。その湯呑みを受け取り、彼もひと口・・・私達は部屋の真ん中のラグに座り、西門さんは胡座かいて真剣な顔してた。ホントに悲しそうでも辛そうでもない。そして、今度は聞いてもないのに自分の結婚が決まった時の事を教えてくれた。西門さんの婚約話は今から1年半前で、...
23日の土曜日・・・明日は真音の誕生日なのでその為のパーティーをする予定だ。だが美来が昨日から風邪気味なので、本郷が午前中に病院に連れて行き、つくしと真音は留守番。そして午後にはつくし1人が買い物に行くことになった。それに本郷にはつくしの部屋に置くユニット家具を組み立てるという仕事があったので、子ども達と家に居ることにしたのだ。「拓篤さん、ホントにごめんね。そのタンス、なかなか組み立てが難しくて・・・」...
「牧野様、お帰りなさいませ~~~~」「・・・志乃さん、ただいまです・・・」「どうなさったのです?お顔の色が悪うございますけど」「・・・ははは、なんでもありません。あの、ごめんなさい・・・今日のお弁当、食べられなくて・・・」「えっ?!」「ホントにごめんなさい・・・」鞄の中からお弁当箱を出して志乃さんにそう言うと、この人は目がテン・・・でもこれを夕ご飯にしても大丈夫だと思い、「部屋で食べますから」って言うと、そのお弁当箱...
結局ひとつ余ってしまった社食のランチ・・・どうするのかな~と思って眺めていたら、それを藤本さんが持ち上げた瞬間に目が合った。思わず視線を逸らしたけど、そのあとで言われたのが・・・「牧野さん、これ、晩ご飯にしますか?」「はいっ!いただきます!!」「・・・・・・・・・ぷっ・・・」「花沢さん、今笑いました?」「いや、そんな事はない。午後の仕事に取り掛かろうか」「牧野さん、会社では専務と呼んでいただけませんか?」「あっ!そ...
自分では説明は出来ないと言い、俺に質問しろという・・・1度は目を合わせたが、牧野はすぐに何もない部屋の壁に視線を移した。心底困ったという顔・・・まるで俺が悪人のような気分にさえなった。それでもこの機会を逃したら、またこいつが居なくなるような気がして・・・まずは現在の住所を聞いた。それは都心のM町だと言い、ワンルームマンションを借りていると。ワンルームなら1人暮らしか・・・と何故かホッとする俺。携帯の番号を変えた...
<side藤本>牧野さんが大発見とか言うから、今日もこの応接室でランチ・・・毎日こんな事は出来ないのにと思うものの、その大発見が気になって、専務の指示で社食に日替わりを注文。つい、調子に乗って「特上」にしてしまったが、それが届いていつでも食べられるようにしていたら、牧野さんがノックしてきた。廊下で待ってると誰かに見付かるリスクが高いと思い、すぐに開けると彼女は大荷物を抱えて入って来た。「役員フロアの受付...
「お~~~~~~い、俺の事を忘れてないか?」「あ?あぁ、完全に忘れてたわ」俺の後ろで書道家の友人が叫ぶ・・・でも、そいつもすぐに何かを察したのか、苦笑いしながら「んじゃ、俺は帰るわ」と言って踵を返した。俺もその背中に手を振って、「また飲もうぜ」というと、ヒラヒラと手を振られた。そのあと再び牧野の方に顔を向けると、こいつはバツが悪そうに下を向いてやがった。ゆっくりそこに近付くと、何故かこいつの身体が逃...
秘書室に着くと藤本さんは社用と私用の電話番号を教えてくれた後、パソコンで出退勤システムの入力をしてからすぐに「専務の出迎えに行ってきます」と言って出ていった。私は更衣室に入ってコートを脱ぎ、お弁当の入った紙袋をロッカーへ入れた。その時にも後ろにはお姉様達・・・挨拶はもちろんしたけど、怖いから振り向く事も出来ない。でも背中を向けてたら、また何かをされるかも・・・そう思うと恐ろしくて、勇気を振り絞ってクルッ...
「もしも何も予定がないならさ、俺と沖縄にいかない?」葛城さんが真面目な顔でそういうから一瞬キョトン・・・「今年のゴールデンウィークは最大9連休取れるだろ?牧野は無理なのか?」って言われて、慌てて無理だと言った。だって告白はされたけど、その返事をしていない私に旅行の誘い?それって・・・友達とか同僚って意味じゃないよね?行ってしまったら、自然と同じ部屋に・・・そう考えてるって事だよね?彼が石垣島とか宮古島とか...
昨日俺が買った白米・・・その炊きたてのご飯と、キノコの味噌汁。肉じゃがと言う料理は聞いた事があるけど、ひじきと大豆の五目煮は知らない。茶碗蒸しは料亭で食べたことはある・・・温かいプリンみたいなヤツだ。それに綺麗な黄色の卵焼き・・・これを牧野が作ったんだと思ったらすごく不思議だった。「はい、じゃあいただきま~~~す!」「・・・・・・いただきます」「お口に合うといいんだけど♪」はじめにキノコの味噌汁を・・・・・・それはほん...
18時になり、今日は残業無しで帰ることにした。葛城さんとの約束もあるし・・・・・・それに最近帰宅が遅かったから結構疲れていた。デスクの上には今にも崩れそうな書類の山・・・それを片付けていたら、手元が狂って床にばらまいてしまった。慌てて拾ってると先輩がそれを手伝ってくれて・・・「牧野さん、顔色悪いよ?風邪引いた?」「えっ?ううん、大丈夫です。今日は早く帰るんで」「そお?寄り道せずに早く帰ってゆっくり寝なさいね」...
翌日の日曜日。この日もお天気だったから、早速私はサンルームでお布団を干した。超高級な物干し竿&台・・・正直、どうしてそんなに高いのか、私にはさっぱり判らなかったけど。でも「高級品」と言われたら、この銀色も特別な輝きに見えるから不思議だ。それが済んだら洗濯機の説明書を読み・・・・・・「今までが壊れかけの二槽式洗濯機だったからなぁ・・・ドラム式ってなんで斜めなんだろう?」取説によるとドラム式洗濯機は洗濯槽の回転軸...
牧野のマンション前から移動しても、バックミラーに映る姿を何度も見ていた。でも曲がってしまえばそれも見えなくなり・・・俺は溜息を漏らして自宅方面に向かった。本当に平気か・・・なんて、大丈夫だと言ってるあいつに他の言葉を言わせたかったのか?俺は自分が牧野をコントロールしようとしているような気がして、その瞬間すげぇ情けなかった。平気じゃないと言われたらどうするつもりだったのか・・・助けてくれと言われたとして、ど...
私の聞き間違いだろうか・・・今、米100㎏と聞こえたのだが。米100㎏を誰が食べるというの?私がキョトンとしていたら、花沢さんはスタスタと車に向かって歩き出して・・・はっ!と気がついて後を追った。そして背中に向かって「どういう事ですか?」って聞いたら・・・「あそこに精米店ってのがあったから、空き時間に米買った、それだけだよ。すごいよね、マンションまで持って来てくれるって」「配達してくれるんですか?それはす...
お蕎麦を食べ終わった頃、外はもう真っ暗・・・西門さんは「絶対に無理すんな」って言葉を残してマンションから出て行った。私は駐車場まで降りて、そこでもう1度お礼を言い、マンションの契約手続きも全部任せてしまった。彼はレンタカーの窓をあけて片腕を掛け、少し苦笑いしながら「本当に平気か?」と・・・「うん、もう言葉にも困らないし、引っ越しも出来たし・・・めっちゃ遅いけど就活始めるよ」「まぁ、のんびり探せばよくね?家...
花沢さんが景気よくカードでお支払い・・・私はその時、店員さんが抱えてきた高級そうな長い箱を眺めていた。しかも私の買い物だって特大の袋に4つ分で、それがあの車に乗せられるのかと・・・そうしたらあの日に配達してくれた人がすっ飛んで来て、「本日もお運びします!」って。・・・うん、確かに花沢さんの車は大きいけど前だけがびょんと長いだけだし、二人乗り出し、後ろが狭すぎて入りそうにないんだけどさ。「ちょっ・・・なんでそん...
引っ越し業者に頼むほどの量もない・・・そんな牧野の引っ越しは俺1人でやった。まだまだフラつくあいつには荷物の片付けだけさせて、俺は借りていたワンボックスへの積み込み作業で汗だくになった。常日頃大事にしている手だが、あちこちに小さな傷が出来る。それを牧野に見せないように隠しながら、俺は段ボールを運び出した。大半は不用品回収業者が持っていくから、僅かな食器類と、メインは衣類・・・牧野はそれを段ボールに詰めな...
花沢物産に入社して数日後、初めての土曜日が来た。仕事が休みで、このマンションでは初めての休日・・・・・・空気はまだ冷たいけど、小鳥の声も聞こえてサイコー!!そしてめっちゃ天気がいい♪光合成できたらいいのに~って感じ♪「・・・とは言え、お布団が干せないのよね・・・あぁ、この日差しが勿体ない!!」バルコニーに出て眩しい朝日を見上げ、そんな言葉を吐き出した。お隣との境は高く、覗いて見ることも出来ない・・・一体どんな風に...
羽田に着いて西門さんの顔を見た瞬間、それまで張り詰めていたものがプツッと切れた気がした。それは自分でも驚く程に・・・全身の力が抜けてしまった。悲しいというよりは心底疲れたって感じで・・・西門さんが支えてくれる手に甘えてしまった。帰国する時、向こうで買ったものは全部置いてきたから小さな鞄だけ・・・それさえも鉛のように感じていたから、西門さんがヒョイッと持ってくれたときには嬉しくて・・・駐車場は遠かったけど、そこ...
「うわああぁっ!すっごい豪華な海鮮ちらしのお弁当~~~~っ!!」「うん、美味しそうですね♪」「そう言ってもらえてなにより・・・」「じゃあ専務、遠慮無くいただきます。では、私がお茶を煎れましょうか」「あぁ、この弁当には玉露が付いてるよ」「きゃあ♥至れり尽くせりですねっ♪」昨日と同じようにマンション前で待ち合わせ、花沢さんが到着したら3人で部屋に戻った。そして手渡されたお弁当の蓋を取って、1人で大はしゃぎし...
正月になっても牧野から連絡はなく、今頃何処で、どうしているのか・・・それを確かめる立場にない俺は、ただ悶々とした冬を過ごした。近年になく大雪が降った庭を眺めては・・・アメリカで大きな事件が起きたとのニュースを見ては・・・殺風景な庭に紅梅が咲いたときには、その小さな花があいつに見えて・・・この感覚はなんだろうと自分に問うてみたが判らなかった。半袖薄着だった牧野・・・空港でそんなあいつを見送ってから半年近く。NYの真...
「一体どういう神経をしてるんだ?!男子トイレに潜んだ挙句、そんな質問をするなんて・・・・・・信じられないんだけど!!」専務執務室に戻ってから自分のデスクをバン!と叩きながら叫んだ瞬間、戻ってきた藤本に「どうかしたんですか?」と言われ・・・俺はさっきの牧野の言葉を伝えた。そうしたら藤本も「えっ?」と軽く驚き・・・その後、額を抱えた。「そんなに人のトイレ事情が気になる?確かに女性から見れば男のそういうのは疑問かも...
庭の木で蝉が喧しく鳴く・・・・・・それを聞きながら思い出すのは、1週間前に渡米した牧野の顔だった。痩せ我慢がバレバレの笑顔で、引き攣りながら手を振って・・・ちゃんと会えたって言うメール以降、なんの連絡もなかった。牧野には言わなかったが、西田を頼らなくても司の居場所を知る手段は・・・あるっちゃある。俺の立場では難しいが、あきらや類を使えば簡単に情報は入手できる。そう思ってあきらにそれを依頼した。当然あきらは理由...