桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
午前中、少しだけ事務作業をしたらカレンダーを配りに行くことにした。それに課長に頼まれた、取引先に持っていくお菓子を買いに・・・漸く慣れた道を車で走りながら、いくつかの書店にカレンダーを配り、指定されたお菓子屋さんに立ち寄るために車を駐車場に入れた。その時に周囲を見たけど・・・あの不気味な緊張感がなくてスッキリした感じ。本当にもう自由に歩けるんだと思うと嬉しかった。「・・・西門さん、今頃何してるのかな~」伽...
私達がいる場所と織田さん達がいる場所は20メートルぐらい離れてる。向こうはれっきとしたお客様で、私達は侵入者みたいなもの・・・でもどうにかして近付きたくて、コソコソと織田さんの方を見ていた。そうしたらその奥のスタッフ専用のフロアみたいな所から、1人の女性がこっちに向かって歩いて来た。「花沢さん、誰か来たよ?・・・・・ど、どうする?」「こんな席に座ってるんだから当然かも。式場探しのフリをしよう」「マジで?え...
窓から都内が一望できる小さな会議室・・・逆光であまりはっきりしない西田の顔だったが、微かに引き攣ったのが見えた。そんなヤツに向かって歩き、目の前まで行くと・・・「今日、ここに来るように司に言われたんだろうが、その相手は俺だ。西田さん、そして中村さん・・・少しばかり聞きたいことがある」「話の相手が西門様?」「・・・・・・・・・っ!」「あぁ、俺が司に頼んであんた達を呼び出したって訳だ。色々聞く事が多いんで立ったままだと...
「指輪も用意したし、打ち合わせもしたし・・・これで結婚式の準備は万端・・・・・・なのかなぁ?」その日の夜、花沢さんに送ってもらって部屋に戻り、お風呂にも入ってソファーで寛いでた私。今日1日の出来事を振り返って、頭の中にあの指輪をはめてもらう自分の姿を想像し・・・・・・ひゃああああぁ~~~っ///!!花沢さんがあの指輪を私に?!そして私も彼に指輪を?!しかもしかも、その後は誓いのキス・・・・・・花沢家の皆さんの前で?!「そ...
翌日、朝起きてダイニングに行くと、そこにお袋の姿も伽耶の姿もなかった。親父はまだ機嫌が悪いし、考三郎は若干面白がって俺達を見ている。給仕をする志乃さんも気不味そうだし、他の使用人も不思議そうな顔で・・・俺が何も言わずに席につくと、男3人のむさ苦しい朝食が始まった。「総二郎・・・」「はい」「実は、昨日母さんと話したんだが・・・」親父が「母さん」と言うのなら、今は「親子」としての会話。だからそこからは飯を食い...
そこはシャンデリアが目映くて、あんぐりと口を開けて馬鹿みたいな私は、何処を見てもキラキラした店内に放心状態だった。ついこの前ドレスショップに行った時もそうだったけど、生まれてから1度も入った事がないお店・・・それが宝石屋さん。お婆様の形見であるネックレスも凄かったんだけど、ここにはショーケースに何百ものアクセサリーがあって、数の威力で倒れそうなほど・・・「いらっしゃいませ、類様。本日はどのような物をお探...
搭乗まであと少し・・・時間ギリギリまで一緒に居たくて、そこら辺の壁に凭れ掛かって時間を潰してた。その時に言われたのが、西田さん達の事・・・「えっ?西田さんと会うの?そう言えば、私・・・今日は全然気にしてなかった!」「もう気にする必要はねぇと思うぞ。お前と司が会っちまったから」「やっぱり私達を会わせないようにしてたの?」「多分な・・・で、司はそれを知らないんだと思う。命じたのは・・・あいつじゃねぇ」「・・・・・・そっか...
あっという間に土曜日になり、俺と牧野はホテルに偽・結婚式の打ち合わせに向かった。俺は「花沢類」ではなく「花沢総一郎」だから、この前花展で使った黒髪のウィッグを使用して、カラコンも入れて変装。牧野はバレてないからそのままの格好で、ちょっとお洒落なワンピを着ていた。そして何故か面白がって総二郎も来るといい、3人で出掛けることに・・・牧野のマンション前に真っ赤なヴァンキッシュが停まってて、俺に向かってヒラヒ...
ヴァンキッシュに乗り込んだら、すぐに向かったのは羽田。北海道でもそうだったが、すぐに搭乗出来るようにするには空港で飯を食った方が安心だからだ。そして車の中で聞いたのは今日の出来事だけ。司の話はこんな場所では聞けない・・・それに、司の電話と牧野の様子から恐怖心は既になかったから・・・・・・「あ、あのね・・・泊まるとことは西門さんの家の近くのビジネスホテルでいいかなって思って、先にお婆ちゃんに会いに行ったの。前に...
加代さんの暴走は止まることはなく、とうとうドレスを作ると言いだした。しかも花沢さんには当日までウエディングドレスを見せないといい、彼のタキシードも加代さんが選ぶと言って大興奮・・・・・・いや、これの設定は「イメージフォトの作成」なんだけど?さっき、そう説明したよね?・・・って3人で加代さんを見てるんだけど、彼女は夢の世界に突入して舞い上がってて・・・もうどうにも出来なくなった上に、自分の言う事が聞けないのなら...
崇子さんの家の居間で、私と西門さんと崇子さんが座ってる。お茶会が終わったばかりだから西門さんはまだ黒紋付きの正装で、私は訪問着・・・目の前には珈琲カップがあって、西門さんの前にも似合わないシュークリームがある。あぁ、本当にこの2人は祖母と孫なんだと・・・まだドキドキしてるけど、漸くこの現実を受け入れることが出来た。「・・・牧野からうちの近くで怪我をしたお婆さんを助けた話は聞いていました。まさか、それがお婆...
「それではよろしくお願いします」「「「はい!お任せ下さいませ!!」」」あっさり予約完了・・・しかもホテルのチャペルは織田楓たちの前になったから、支度室の利用時間も重なる。今回もすり替えるのは牧野に任せないといけないけど、それは信じるしかない・・・。なんてことを考えながら立ち上がると、プランナーに呼び止められた。「それでは新郎新婦のお2人には、次の土曜日にこちらまでお越し下さいませとお伝え下さい」「・・・は...
婆様の登場により、お袋が言ってた俺達の婚約公表はされないまま野点茶会は終わった。親父は締めくくりの挨拶でもう1度騒動を詫び、頭を下げた。当然その横には俺と考三郎もいて、揃って低頭・・・目の端では牧野の姿を捉えながら、駆け寄りたいのをグッと我慢していた。そしてバラバラと客は帰り始め、使用人や弟子達は慌ただしく玄関の方に向かっていく。どんどん人が少なくなる中、親父が婆様に「少しお待ち下さい」と言ったのが...
花沢さんと私の結婚式・・・・・・・・・それが6月の第3日曜日♪なんやかんや言ってもそれを想像するとニヤニヤしちゃう・・・そんな顔でメトロに乗ってると、目の前の学生さんに変な目で見られた。でもそんなのも気にせずに会社に向かい、今日も元気よく秘書室に向かった。「おはようございま~~~す!」「・・・朝から五月蠅いわね💢」「もう少しテンション落とせないの?ホント、鬱陶しい子ねぇ!」「あっ、安藤さん達、おはようございます♪今...
見間違いかと思った・・・そんな事があるわけがないと。でも婆様の後ろにいる女は・・・牧野に間違いなかった。てか、どうして牧野が婆様と一緒にいるんだ?!この2人が知り合いなんて、そんな話は聞いたこと・・・・・・・・・そう思った時、以前婆様が若い女性の友人が出来たと話した事を思い出した。まさか、その女性が牧野だったのか・・・・・・そうだとしても、どうして牧野が?!「若宗匠、お袖が・・・湯が倒れては大変な事になります」「あっ・・・...
「えっ?いなかったんですか?」「流石に20年も前だと判らないのかもしれませんね・・・」「・・・・・・加代が覚えてないっていうのが不思議なんだけど」20年前の使用人の中に「吉弘」という人間はいなかった。でも、あの状況で小早川朝子が嘘を吐くとは思えないし、話としては納得出来る部分もあった。だから余計に不可解で・・・その「吉弘」って男はこの屋敷の中で朝子に接触してるのに。牧野と藤本には加代との話を教え、15年前の勤...
「お嬢様、いかがでございますか?」「・・・・・・・・・・・・」そう言われて姿見を見ると、そこに映ってるのは綺麗な訪問着を着た私・・・・・・白から濃い紫のグラデーションになっていて、紅葉が散りばめられた秋の模様。帯は黒に近い紫で、さり気なく紅葉が描かれてる・・・本当に美しい着物だった。それに髪も綺麗に結われて、小さな簪が1つだけ。和装メイクもしてもらって、まるで自分じゃないみたいで・・・・・・あまりにも大人っぽくて、気恥ずか...
織田秀子さんの娘、織田楓さんの結婚・・・そのブログの前後の記事を読んで、相手と日にち、そして場所を突き止めた。日にちは6月の第3日曜・父の日。場所は都内のHホテルで、相手は後藤運輸の一人息子さん・・・ラブラブな写真が載っけられてたけど、そんなにイケメンでもなく・・・でも優しそうな人で、垂れ目が可愛い感じの人だった。「今度は父の日ですか・・・」「すぐですよ?どうします?このお母さんのエメラルドのネックレスってア...
上品なワンピに着替えたら、今度向かったのは超高級料亭!そこでも崇子さんは特別対偶で、女将さんが出てきて奥の個室に案内された。そして「お品書き」なんてものは出されず、「少々お待ち下さいませ」と言って部屋から出ていき・・・「あの、お婆ちゃん・・・今度はなに?こんなお店で食べるとすごく高いんですよ?は・・・恥ずかしいけど私、今日はお金持って無くて・・・」「あなたに出せなんて言ってないわよ?これは私がしたかっただけで...
月曜の朝・・・仕事に行く前、加代に以前「吉弘」という使用人がいたかどうかを確認した。当然理由を聞かれたけど、それは言えないから・・・・・・「俺が小さい頃に付けてた日記に”吉弘”って人がいるんだけど、それが誰なのか判らなくて昨日からイライラしてるんだ」「類様、日記なんて付けてました?」「・・・加代には言ってなかったけど、実は付けてたんだよ。字が書けるようになった頃に嬉しくて」「そうでしたかしら・・・あんまりペンを持...
「お婆ちゃんのお味噌汁、やっぱり美味しい~~~♪」「そお?それは良かったわ」「この浅漬けも絶妙ですよね・・・こんど作り方、教えてもらおうっと!」「うふふ、いいわよ。いつでもいらっしゃい」一区切りついたと思ったら気持ちにゆとりが出来て、朝からホントにご飯が美味しかった。それに、まだ問題は山積みだけど、この家の近くには西門さんが居る・・・そう思ったらすごく安心だったし、何故か嬉しくもあった。お婆ちゃんはそん...
花沢さんのガックリした姿・・・・・・それを見て西門さんも藤本さんも言葉にならなかった。まさかの「灯台もと暗し」。1番始めに話を持ち出してきたのが花沢家の使用人だったなんて。だからって落ち込んでてもネックレスは戻って来ないし、こうなったら早くその「吉弘」とか言う使用人さんを突き止めて、その人を探すしかない。それをみんなで手伝うからと彼を励まし、ルームサービスで取った軽食を食べながらみんなで盛りあがった。で...
「お客さん、この辺りでいいんですか?」「はい・・・ここでいいです」運転手さんに料金を払って降りたのは・・・西門邸のすぐ近くだ。でも行くのは西門家じゃない。今の私はあの家に行く事は出来ないけど、そうじゃなくて・・・ご近所に住む崇子さんに会いに来た。「晩ご飯時だけど・・・少しならいいかな?」私の悩みをきいてくれた崇子さんに、今の気持ちを聞いて欲しかったから・・・そしてこの近くのホテルをとって、明日は西門さんのお茶会...
「このルビーは本物に間違いないですね。ご依頼主に連絡し、あの金額での買い取りになります。が、当然ここにはその金額を持って来ておりません。ですから、今日はこのままお引き取りいただき、後日もう1度お会いすることになると思います。それでよろしいですか?」鑑別士・宝田さん・・・もとい藤本さんが淡々と説明中、富田さんはニヤけ顔が止まらない。確か単品だと2000万ぐらいって言ってたのに、それが1億で買ってもらえ...
西門家がどんな家なのか・・・そんなの知らない訳がない。道明寺がそんな事を聞くなんて思わなかったから、少しの間何も言えずに黙ったまま・・・でも、すぐにニコッと笑って「知ってるよ」と答えた。そうしたら彼は眉間に皺を寄せ、怖い顔に・・・それを見ても私は怯むことはなかった。この人の目よりも怖いのは孤独・・・この人の放つ空気感よりも怖かったのはNYでの嵐の夜・・・それを取り除いてくれたのは西門さんだから。「・・・西門さんの家が...
11階の非常階段のすぐ横の部屋・・・そこに入ると、入り口横のバスルームに潜んだ。そしてもう1回自分を確認。「花沢類」に見えないかどうかを確かめてから、手袋をはめた。時間は15時10分・・・そろそろ来るんじゃないかと息を潜めてると、ガチャッと音がして男の足音が聞こえた。そのすぐ後で草履と思われる小さな足音が。それを確認したら、今日も脅し用のエアガンを用意。何度も「声は低め、声は低め」と唱えながら耳を澄ませ...
「言ってよ・・・・・・正直に話してよ。私があのマンションで寒さに震えてたとき、あんたは少しでも私の事を考えてくれてたの?!」私の声が広い部屋に響く・・・そしたら奥の方から足音がして、さっきの人達がやって来た。そして私の後ろに来ると、「司様、この者を下げましょうか」と言ったけど・・・「誰が来いと言った・・・」「随分大きな声が聞こえましたので」「無礼な態度に、ご不快な思いをされたのではないかと」「俺が呼んでもねぇの...
<side総二郎>「すげぇワクワクする♪」毎日退屈してたから、こんなイベントは久しぶり♪そんな事を考えながら会場に入ったら、あちこちから知り合いのお嬢&おばさんに声を掛けられた。でも今日はそんなことに構っていられないので、適当にあしらって小早川流の展示場所に向かった。その時には佐藤とかいう男は居なくて、小早川の家元が俺の知らないおばさんと会話中・・・近くまで行くと、俺に気が付いて話しかけて来た。「まぁ、西...
むかしむかし、あるところに正直者ですが、運の悪い女の子が住んでいました。朝から晩まで働けど働けど、貧乏でいいことなど何もありません。家はボロボロで雨漏りはするし、畑もほんの僅かしかありません。食べ物にも困っているのでガリガリに痩せ、着るものも殆ど無く、一年中同じ着物を着ているせいで汚れています。その女の子の名前はつくしと言いました。「ええええっ?!貰ったさつまいもを川に流した?!山向こうの爺っちゃ...
つくしは籠の中からマッチを1箱分出し、それを束ねて火をつけました。そうしたらさっきよりも大きな炎が上がり、その中にまたイケメンの姿が・・・でもさっきの類ではありません。似た雰囲気ではありましたが、今度のイケメンはもっとニコニコして優しそうな人でした。つくしは思わず見惚れてしまい、その青年を見詰めます。そうしたら、炎の中から再びつくしに話しかけて来ました。『こんばんは。そろそろ料理が仕上がる頃だったか...
むかしむかし、しんしんと雪が降り続く、とても寒い大晦日の夜のこと。街行く人々はみんな温かい格好をしていますが、1人だけ見窄らしい格好をした少女がおりました。自分の靴がないのでお父さんの大きな靴を履いて、靴下はなく、コートも着ていません。ガタガタと震えながら、その少女はマッチがたくさん入った籠を腕にぶらさげて、売り歩いていました。「マッチは要りませんか・・・?」しかし、今日もまだ、一箱も売れません。 (...
「シンデレラ、城に着いたぜ~~~」「そうなの?ありがと~、総二郎♪じゃあちょっと待っててね~」「0時前には戻って来いよ?そうじゃねぇと俺もネズミに戻っちまうから」「了解~~~~」ネズミの総二郎に言われて、シンデレラはかぼちゃの馬車を降りて舞踏会に行きました。その広間に入ると、カラフルで美しいドレスを纏った女性がわんさかいました。しかも、その中心には滋と桜子、そして継母・楓もいます。3人は自分達が1...
むかしむかし、ある国につくしという美しい娘がいました。母親を病気で亡くし、つくしは父親とふたりで暮らしていましたが、父親はつくしのことを可愛がっており、とても幸せな毎日でした。 ところがある日、父親が美しい女性と結婚し、つくしには新しいお母さんが出来たのです。それにくっついてきたのが2人の姉で、その継母も姉たちもとても意地悪でした。継母は楓、上の姉は滋、下の姉は桜子といい、毎日のようにつくしを扱き...
妖しい女官に連れられ、司達は竜宮城の中に入って行きました。そこには赤や桃色の珊瑚、ワカメがユラユラしていて、青や黄色の魚たちも泳いでいました。その光景はとても美しく、4人は溜息が出るばかり。竹の竿などで釣るよりも、網で掬えば大漁だと頭の中で考えながら歩いて行きました。暫くすると豪華な扉があり、そこの前で女官はニコリと笑い・・・「こちらですわ♥」桜子に案内されてその扉の向こうに入ると・・・・・・「ようこそ、竜...
むかしむかし、とある漁村に4人の若者と母親が住んでいました。その母親は鬼親で、息子達に毎日ノルマを課して、漁に出していました。長男は司、次男は総二郎、3男はあきら、末っ子は類。お母さんの名前は楓と言いました。ある日のこと・・・・・・「こら、お前達!遊んでないで漁に出ないか!」母親が薪を切りながら、ダラダラしている息子達に怒鳴りました。そうしたら4人は立ち上がり、いやいや釣り竿を持って海に向かいます。「う...
つくし姫は急いで海の底に戻って行きました。そして姉姫達にさっきの出来事を伝えます。それを聞いた姉姫達は大激怒、「冗談じゃないわよ!」「なによ、その女!💢」と全員で捲し立てました。「なんでつくしの功績を横取りしてんのよ!」「そうよ、船から落ちたんだから普通の人間に助けられるはずがないじゃない!」「その海って女、何処に住んでんの?全員で奇襲掛けてやろうじゃないの!」「どうやっていくのよ、滋姉様」「つく...
むかしむかし、遠い遠い海の底に、人魚のお城がありました。このお城には王様と6人の人魚姫が住んでいました。1番目の姫は椿と言い、美しさはもちろん、頼もしい姉姫です。2番目は静と言い、頭がよくて優しい姫でした。3番目は滋と言い、元気でサバサバした姫、4番目は色っぽくてグラマーな桜子姫、5番目はおっとりした優紀姫。そして末っ子は食いしん坊のつくし姫。性格はみんな違えど、仲良く暮らしていました。「つくしっ...
「うわあああああーーーっ!!」「「「司、何してんの?!」」」姫の顔を覗き込もうとした司王子が躓き、姫の棺を押し倒してしまいました。当然そこに寝ていた姫の身体は放り出され、ゴロゴロと草むらに転がりました。7人の小人も唖然、4人の王子も茫然、そしてその時・・・・・・「ゴホゴホ!!ケホッ!!」「「「「はっ?!」」」」「「「「「「「えっ?!!!」」」」」」」白雪姫の喉に詰まっていた毒林檎のカケラがポロッと取れた...
「お、お妃様・・・姫様を始末してきました。これが姫の・・・し、心臓です」「そう!ご苦労様♪」西田は森の中で見付けた獣を仕留め、その心臓をお妃様の前に出しました。そしてスタコラさっさと退職し、近くの村へと逃亡したのです。お妃様は白雪姫がいなくなって大喜びし、それからも贅沢三昧で過ごしていました。一方、つくしこと白雪姫は・・・ 「清之助、そろそろお米がなくなるんだけど」「・・・あれ?倉庫には沢山あったのに」「私が増...
むかしむかし、ある国に1人のお姫様が誕生しました。:雪のように白い肌と赤い頬に艶々の唇、黒檀のように黒い髪を持つ美しい王女です。名前は「つくし」と付けられましたが、その容姿から皆は「白雪姫」と呼んでいました。白雪姫はすくすくと成長しましたが、お妃様は姫が幼いうちに病気で亡くなります。可哀想に思った国王は、新しいお妃様を迎えることにしました。「姫や、こちらが新しいお継母様だよ。仲良くしなさい」「お継母...
私の視界の中に道明寺がいる・・・それはNYのマンション以来だった。そして私は彼を見たとき、その姿よりも自分の中の「音」を確かめた。心臓が高鳴るのか・・・身体が熱くなってドキドキするのか。会いたいと想う気持ちが本当だったのか・・・今すぐに彼の体温を確かめたいと思ったのか。数年前、NYに行く時に聞こえた、あの「音」がもう1度鳴るのか・・・答えは・・・・・・NOだった。確かにドキドキはした。懐かしいと思った・・・でも、この...
フォンダン・オ・ショコラにクレームブリュレにミルフィーユ~~~♥どれもそんなに大きくなかったから、あっという間に食べてしまった。しかもめっちゃ美味しくて、幸せこの上ないって感じ♪そんな風にデザートを堪能していたら、西門さんと花沢さんの会話・・・「さっき会場で小早川朝子に近付いてた男が居てさ」「・・・・・・それが何?」「なんか家元の様子が変だったから気になってスマホで撮ったんだわ。見てみるか?意外と若い男なん...
「お客さん、着きましたよ」「・・・・・・・・・・・・」「お客さん?」「あっ、はい!ごめんなさいっ!!」久しぶりに見るMホテル・・・その豪華さに怖じ気づいて、茫然と上層階の光る窓を見上げてた。あの最上階にあいつが居ると思うと・・・直線距離だと極僅かしかないと思うとドキドキした。タクシーを降りると、少しだけ震える足でこの玲瓏たるホテルのロビーに向かう・・・そうしたら警備員が来て訝しげに「何かご用ですか?」と。確かに宿泊客...
日曜日・・・今日は花展の日だ。昨日は花沢さんにルビーの話を沢山されたから、コエンザイムがどうたらこうたら(正しくはコランダム)、ミジンコが赤くなったり青くなったり、黒板にルビーで落書きしたりと、全然意味不明な夢を見た。それに魘されて起きたらすぐに花沢さんから電話・・・寝惚けた頭でそれに出ると、『今日の決行時間は15時になったから』って言われた。「あれ?夕方にするの?」『空いてるのは朝と夕方って言ってただ...
次の日・・・まだ暗いうちに目が覚めた。と言うか、全然寝られなかった・・・・・・・・・。西門さんに聞いた、Mホテルのオーナールーム・・・入ったことはないけれど、そんな部屋があるのは知ってる。自宅に戻らないとき、そこを利用してるってあいつが言ってたから。煌びやかなスィートルームよりも豪華で、幾つも部屋があり、そこで会議も出来たりするって。入れるのは道明寺家の人間に許可されたものだけ・・・入る時には特別なルートで案内され...
それから数日間、私の仕事中に佐藤さんがよく話し掛けてくる。そして毎回社食に誘われるようになり、断り切れずに行くことに・・・それを見て回りの人達が「あの2人・・・」って言い始めて、毎回『そんなんじゃないってば!』と心の中で叫んでるけど、もちろん誰も聞いちゃいない。そして聞いてくるのは、いつも「家何処?」とか「遊びに行かない?」とか・・・本当にストーカーされたらどうしようかと思うぐらい私に質問攻めだった。「ね...
深夜に羽田に着いたと言うのに、愛花さんのはしゃぎっぷりは止まらない。それに振り回される感じで、私は何度も「声が大きいって!」と彼女を止める演技をした。何故そんな事をするのかというと・・・多分、はしゃぐことで周囲の視線を集めるからだ。そうしたら尾行している人がいたとしても、その人が私に手を出そうにも人目があってチャンスがなくなる・・・そう言う事なんだろうと理解した。「つくし~~、機内で寝たから元気でしょ?...
総二郎からの連絡は思ったよりも早かった。だから花展の10日前、会社帰りに俺達3人は揃って総二郎の自宅に向かった。万が一誰かに見られたら不味いからスーパーファストには俺1人、藤本と牧野はタクシーで・・・その日の夜19時には西門邸の母屋にある客間に向かっていた。総二郎の部屋じゃなかったのは食事が用意されていたからで、今回は最重要キャストである宝石鑑別士・藤本も話を聞かなきゃいけないから。その藤本はいつに...
「やっぱり付いてきてるみたい・・・」新千歳に向かう途中、ずっと私の車の後ろで光るライト・・・夜だから車種も判らないけど、ずっと同じ車が付いてきてる気がした。でも空港の中に入れば愛花さんがいて、私は1人じゃなくなる。しかも美作さんのところの人だから相当強いはず。きっと彼女に出逢いさえすれば大丈夫だと自分に言い聞かせて、空港の駐車場に入ったら、知らん顔して足早にロビーに向かった。当然空港には何人もの人がいて...
あの花沢さんの顔をぶん殴った・・・・・・それには流石に自分でも驚いた。しかもチラッと見た今日の彼、顔半分が腫れ上がってたし。その途端に血の気が引いて、午前中は仕事にならなかった。そしてランチタイムになり、流石に暫く花沢さんの応接室に呼ばれるとこはないと思い、1人で社食に向かった。選んだのは食欲がないから洋風日替わり定食(ライス大盛り)だけ。それを抱えて窓側の席に座り、「いただきます」と手を合わせたけど・・...
野点が近付くと、漸くお袋も伽耶に茶の稽古を付け始めた。茶室での稽古なら俺かもしれないけど、今回はお袋の茶席を手伝うわけだからそれも当たり前・・・立礼棚なんて初めてだろうし、それがあまり得意でもないお袋が教えてる光景は何とも言えなかった。笑い声が聞こえるぐらいだから真剣味がないのか・・・それとも、出来映えがどうであれ、家元夫人の隣にいるだけでアピール完了って事か。そんな光景を見ながら、俺はこの野点が終わっ...
<side総二郎>類からルビーのイミテーションを預かり、それを自分のデジカメで撮影。それをパソコンでプリントアウトし、そいつを持って小早川の屋敷に向かうことに。それが目的だと思われないように、先日の「牧野すみれ」のお礼ってことにして上等な和菓子を持参。家元の在宅を確認して、夕方16時にアポを取った。それを一応類に言うと・・・・・・「んじゃ、行ってくるわ」『よろしく・・・総二郎の事だ・・・から上手くや・・・ると思うけ...
その週の土曜日・・・薄曇りの空を眺めながらぼんやりしていた。引っ越しの準備をしなきゃいけないけど、3ヶ月しか住んでないから捨てる物も殆どないし、持って行くものも殆どない。こっちに来るのも簡単だったけど、東京に戻るのはもっと簡単かも・・・振り向いたら殺風景な部屋が目に入った。私の膝にはキイロイトリのぬいぐるみがあり、それを抱き締めてると・・・♪~~♪~~それは西門さんからの電話だった。急いで出ると、『今日は休...
今日はメトロなんかで帰ってる場合じゃない。業務が終わったらタクシーでマンションに戻り、大急ぎで自分の荷物をありったけの鞄に詰めなきゃいけないからだ。藤本さん曰く、18時半には花沢引越センターのスタッフさんが来て、ここの荷物を新しい部屋に運ぶって言ってたし、私は何もしなくていいって言われたけど、下着を他人に見せるワケにはいかないし///!それにいくら何でも自分が毎日使ってたお風呂やトイレの掃除はしたい・...
「実は大変残念なんだけど、牧野さんがご家庭の事情で退職することになり・・・・・・」早速次の日の朝礼で私の退職が伝えられた。これにはみんなも驚いてたけど、理由は大雑把な『家庭の事情』・・・そう言われると他の社員は聞くに聞けずといった感じで困惑気味だった。それも私としてはラッキーなこと・・・ここに来てから3ヶ月だから、みんなとそこまで深く関わってもいない。その上私がわざとテンションを下げていたから、余計に「何かあ...
次の日、秘書課に悲鳴があがった。その理由はと言うと・・・「本当に西門様がいらっしゃるの?!」「何時に?!ねぇ、私が外出してる時間じゃないわよね?!」「やだぁーーーっ!今日のスーツ、超地味なのにーーっ!」「髪の毛、巻いてくれば良かったーーっ!!」・・・西門さんが花沢物産に来ることになったからだ。何故来たのかというと、「西門流特別顧問への定例ご挨拶」・・・って聞いたけど、定例と言うワリにはこんな事は初めてだそ...
「私、会社を辞めることにしたの。それでね、葛城さんへの返事・・・・・・遅くなったけど、今日言おうと思って」そう言った瞬間、葛城さんの表情が変わった。それは驚いたというよりも怒りの感情に見えて怖かったけど・・・でも、もう後戻りも考え直すこともない。私は東京に戻って自分の気持ちをもう1度確かめて、そして前に進むって決めたから。「長いこと返事しなくてごめんなさい・・・私、葛城さんとは付き合えません。だから答えは・・・...
夕方になると藤本さんが秘書室に戻ってきて、私に小さなメモをくれた。それには「大事な話があるので本日もマンションで待っていて下さい。食事は作らなくて結構です」・・・そう書いてあってゲンナリした。少しぐらいゆっくりしても良くない?!・・・と言いたかったけど、居候の私はそんな事も言えず、口パクで『判りました』と伝えた。そして定時にはさっさと帰り支度をして、先輩達に挨拶・・・いつもならニコニコして返事してくれる佐...
次の日、私は少しだけ早く起きて身仕度を整えた。いつもより少し真面目な格好で、いつもより念入りなメイクで・・・ホントに少しだけ気合いを入れた。20分早くマンションを出て会社に真っ直ぐ向かった。この時間は支店長と営業部長がもう来ているはず・・・だから荷物を置いたらすぐに部長に頼んで支店長のところに一緒に行き、私は2人に退職する事を伝えた。「えっ?!どうしてそんな急に・・・君、転勤したばかりじゃないか!」「うち...
アポもないのに前田社長が来た・・・それにも驚いたけど、何故それに佐藤が狼狽えるのかが判らなかった。ただ前田社長の訪問の意味は判る気がする。おそらく昨日のティーパーティーが台無しになった事で来たんだろうけど・・・断わる理由もなかったから、俺専用の応接室に通すように話した。佐藤がそれを受付に伝えると、何やらゴタゴタと・・・最終的には「よろしくお願いします」と言ってたから、何が起きたのかを聞いてみると・・・「いえ、...
もう再来週は紅葉の茶会・・・そして司が帰国してくるのもその頃だった。あいつが出席するという会議が西門の紅葉の茶会の当日・・・俺は動くことが出来ないが、いまだに何の連絡もなく、今回もあいつから会おうという意思表示はないのだと思った。それは全然構わないが、牧野を襲った奴が言った「東京には行くな」という言葉が気になる・・・それは誰の指示で、どんな意味を込めて言ったものなのか。「総二郎様、本日は出版社の担当者さん...
『つくし~~~~~!どうしたのよ、あの米♥すっごく嬉しいんだけどっ!!』「・・・・・・おはよう、お母さん・・・まずは挨拶ぐらいしなよ」月曜日の朝・・・お母さんの歓喜に満ちた声で起こされた。それは昨日の夜に届いたお米のこと・・・各地の名産米を100㎏も受け取って、軽く気絶してた・・・だから朝イチに掛けてきたって話してた。お父さんも代わって『一体どうしたんだい?あんなに買って、給料あるのかい?』って。そう言われて思い出...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
類が帰宅したのは21時。すぐに使用人から真利愛のことを聞き、部屋に入る前に加代のところに行くと、そこでは真音がウトウトしていた。スーツのまま真音を抱き上げると、安心したのかすぐに肩に顔を乗せて目を閉じる真音・・・類はそのまま夕食後の様子を聞くこととなった。「じゃあつくしが子供部屋に?」「はい、付き添うと仰いまして・・・風邪かどうかもわかりませんから、取り敢えず真音様を私の部屋でお預かりしましたの」「主治...
「・・・・・・・・・総二郎・・・お前、ちょっと・・・」「つくしちゃんは大丈夫なの?!」祥一郎が何か言い掛けた時、同時に特別室のドアが開いて、お袋が飛び込んで来た。しかも付き人が誰もいない・・・家元夫人が1人で外出なんて普段なら有り得ないが、それほどこの人もつくしと「孫」が心配だったんだろうと・・・俺はベッドに横たわるつくしの手を握ったままで、お袋はその手前にいた祥一郎を突き飛ばす勢いで俺の横に走ってきた。そしてつくし...
「こら、真音!遊び終わったらおもちゃは片付けなさいって言ってるよね?」「うわ!ママがおこったぁ~~~~!」「もうっ!人に任せちゃダメなのよ?そんな事するならもうおもちゃで遊ばせないんだから!」「やだやだぁ~~~!」「はい、じゃあ片付けて。いくらあなた達のプレイルームだからって、散らかしたままはダメなのよ?」「・・・・・・おこりんぼ!」「なんですって?!」「うわああぁ、またおこる~~~~っ!!」1階奥のプ...
『つくしちゃんがスケート場で倒れたんだ!今から救急車で西門の主治医の病院に運ぶから、お前もすぐに来い!』つくしが・・・・・・倒れた?一瞬何のことか判らず、思考回路停止・・・でも祥一郎は冗談を言うヤツではないし、その声はマジだった。しかも電話の向こうから聞こえるのは『返事はありません!』とか『病院まで何分ですか?』とか・・・そんな雑音が耳に入った途端に背中がゾクッとした。『お連れさんですか?救急車に同乗願います...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...