右折が嫌いだ。対向車線の流れを把握しつつ、辺りに歩行者がいないことを十分確認して右折を始めたとしても、交差点を曲がり切ろうとしたところで、逆走する自転車が突っ込んでくることだって有り得る。だから私は右折の際はいつも、おおげさに身体を捻って右斜め後方を目視するようにしている。先程から右折待ちをしているが、対向車線の流れが全く切れない。私が先頭で入った右折レーンだったが、今や後ろに何台もの車を従えてし...
右折が嫌いだ。対向車線の流れを把握しつつ、辺りに歩行者がいないことを十分確認して右折を始めたとしても、交差点を曲がり切ろうとしたところで、逆走する自転車が突っ込んでくることだって有り得る。だから私は右折の際はいつも、おおげさに身体を捻って右斜め後方を目視するようにしている。先程から右折待ちをしているが、対向車線の流れが全く切れない。私が先頭で入った右折レーンだったが、今や後ろに何台もの車を従えてし...
クロスバイクを愛用してかれこれ20年近くになる。原チャリを持たない私にとって、クロスバイクが日常の足替わりだ。本格的なロードバイクならいざしらず、乗り始めた当時はクロスバイクのヘルメットや車道走行は奇異な目で見られる対象だったが、今や努力義務だったり道交法で明確に規定されていることが知られるようになり、随分と走りやすくなった。今朝、自転車専用と書かれた青色のレーンをクロスバイクで走っていると、後ろか...
一夜明けると一斉に花が咲き、ハンカバが外れた。そしてインナージャケットも脱いだ。冬の間かじかむ両手を守ってくれたハンカバだが、これを外した途端、レバーを握る指が軽くなったように感じる。冬の間ウエア内の暖を逃がさないでいてくれたインナージャケットだが、これを脱いだ途端、シートの上でダンスだって踊れるほど体が軽くなったように感じる。冬の間海に浮かんでいた富士山も霞に隠れてしまう春だけれど、軽くなった身...
一平ちゃん、それはないぜ。あなたのことも大谷さんのも、僕が見ている二人の姿はメディアが作り上げた虚構だということは分かっている。一皮むけば、そこに生身の人間がいることは重々承知の上で、僕は夢を見ていたんだ。それでも一平ちゃん、それはないぜ、嘘だと言ってくれ。きっと一平ちゃんは違法賭博の胴元に嵌められたんだ。そもそも奴らは一平ちゃんの借金なんて、屁とも思っちゃいない。100万ドルだろうが1000万ドルだろ...
XSR700に跨り視線を落とすと、そこには小さな丸いメーターが一つある。ブラックアウトした車体に載る白いタンク同様、このメーターもキーを回せばブラックの背景に白字がくっきりと浮かび上がる。小ぶりなメーターだが走行中には必要な情報を確実に届けてくれるし、小ぶりであるが故に、無用に視界に出しゃばってくることもない。最近流行りの大型液晶カラーメーターと比較するとその存在自体はとても奥ゆかしいが、その奥ゆかしさ...
普段のツーリングでは、XSR700にサイドバッグを一つぶら下げて走っている。このバッグは愛車がW400だった頃に4万kmを共にした品なので、見えない部分に所々痛みが出ているが、外観だけをみれば長年風雨に晒されてきたとはとても思えない。取り付けには少々のコツと時間が必要だ。シートを外した状態でバッグの付属ベルトをシートレールをくぐらせ、ベルトホールに尾錠を通したら、最後にバッグ下部のリングとサイドバッグステーを...
大谷さんが結婚を発表した日、妻に大谷さんと結婚したかったかと訊ねると、迷う表情もみせることなく私はあなたを選ぶわと答えた。球威、飛距離とも大谷さんには若干劣る私だが、お嫁さん選びなら決して負けてはいない。一方、私のバイク選びについてはどうだろうか。XSR700を手に入れるまで、愛車選びの期間は実に3年以上に及んだ。長期化の最大の要因は、途中コロナ禍もあり、自分自身のバイクライフに対する展望が見えなくなっ...
ライダーなら誰しも自分の愛車が最高のバイクだと思っていることだろう。しかし、年収が今の10倍になったらどんなバイクに乗りたいかと問われた途端、迷いが出てくるのではないだろうか。もし私に同じ問いが投げかけられたなら、その瞬間BMWのR nine T Scramblerが頭をよぎるかもしれない。先日R nine T Scramblerをじっくりと眺める機会に恵まれたのだが、水平対向2気筒エンジンの存在感は言うまでもなく、都会的な高級感を漂わせ...
ドラマ『不適切にもほどがある』が話題だ。主人公である昭和の中学校教師が、タイムマシンに乗って昭和と令和を行ったり来たりしながら、昭和の常識が令和の非常識になっていることに戸惑うコメディだ。私はドラマが紹介する昭和の時代に中学、高校生活を送った。私が通っていた中学は、全国で校内暴力の嵐が吹き荒れる中、厳しい部活と体罰で生徒を締め付けることで、管理教育の面子を保とうとしていた。休日も無く朝から晩まで部...
ツーリング先でライダーから声をかけられることは殆どない。そもそもライダーが集まるような場所には近寄らないし、たとえ間違ってそういう所へ足を踏み入れたとしても、私の背中には声をかけてくれるなオーラが漂っているだろう。干潟が広がる探鳥地で、カメラ女子に声をかけられた。彼女はカメラの腕を磨くために、干潟の風景を撮りに来たのだそうだ。カメラ女子が遠くで群れる鳥の名を聞いてきたので教えてあげると、嬉しそうに...
ユニクロのセルフレジはとても賢い。まずは商品についたICタグを読み込むため、買い物カゴを大きなくぼみの中に入れる。次にユニクロアプリの会員コードを読み込ませるため、スマホをバーコードリーダーの下にセットする。続いてレジがここのモールの会員ではないのかと聞いてくるので、慌てて財布から会員カードを抜き取り端末に通す。するとカードをスライドさせる向きを間違えてしまったらしく、もう一度やり直せと催促される。...
散歩の帰りだろうか、おばあさんがコロコロと押してきたショッピングカートを、ガレージの手すりにチェーンロックでつないでいる姿を見かけた。カートの盗難対策はこれで十分だと思うが、窃盗団の興味はその隣に鎮座するレクサスにあるのではないだろうか。手すりにつながれたショッピングカートは滑稽に見えるかもしれない。しかしおばあさんにとっては、息子のレクサスなんかより、カートが運んでくれた思い出の方がずっと大切な...
今回は「新春キャンプツーリング」記事の第3弾(最終回)です。 【第1弾記事】へのリンク 【第2弾記事】へのリンク前回記事では、何とかXSRを引き起こし安堵したのも束の間、クラッチレバーが大きく曲がっていることに気づき、茫然としているところまでを書きました。果たしてXSRは再び走り出すことができるのか、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。<<<前回からの続き>>>XSRにまたがりハンドルに手を伸ばしてみたと...
前回記事では、バイクを降りて歩き始めたところで大きな音が響き、後ろを振り返ってみると愛車が横たわっていたというところまでを書きました。今回記事は愛車を引き起こすべく四苦八苦しているところから再開します。<<<前回からの続き>>ヘルメットを脱ぐことも忘れて愛車に駆け寄ってはみたものの、ガードレールが邪魔をして引き起こしのための足場を確保することが出来ない。腕力だけではどうにもならない。助けを呼ぼうに...
私のバイク乗りとしての素養は、甚だ危ういレベルにある。そのため過去の愛車には大型のエンジンガードを装着することで、再三にわたる立ちごけにおいても被害を最小限に抑えてきた。しかし現在の愛車であるXSR700ではその完成されたデザインが崩れることを嫌って、エンジンガードをつける予定はない。よってライダーとしての素養の無さを気合と根性でカバーすることで、立ちごけを阻止していかねばならないのだ。ここまでを読んで...
その造形に惚れこんで愛車にしたXSR700だが、もうそろそろ熱も冷めてくる頃かと思いきや、走行距離が延びるに連れ、一つ一つのパーツが織りなす曲線に至るまで愛でる時間が増えてきた。そんなパーツ類の美しさを称する呼び方に「機能美」という言葉があるが、その代表格にXSRのエキパイから伸びる配線が挙げられる。メカ音痴の私であるが故、その配線の機能について語ることが出来ないにもかかわらず、これぞ機能美と無責任にも思...
ハーレーのⅩ350/Ⅹ500が話題だ。「これがハーレー?」とか「しょせん中国製」といった雑音には耳を貸さず、まっさらな目で見てみると、コスパのよい恰好いいバイクのように思えてくる。オーナーはハーレーの魅力に取りつかれて、早々にナイトスターにステップアップするだろうから、買うとするならそんなオーナーが手放してレッドバロンに流れてきた中古が狙い目だ。そうすれば、ランニングコストも含めてコスパの良いバイク...
XSR700を走らせていると、あたかも自分が映画「大脱走」でトライアンフを駆るスティーブ・マックイーンになったかのような気分になると以前の記事で書いた。XSRの腰高なポジションがそんな幻想を抱かせてくれる訳だが、本当にマックイーンが劇中で跨ったのも腰高なバイクだったのだろうか。「大脱走」は子供の頃から放送がある度に画面に食い入るようにして観ていたので、野球グローブをはめたマックイーンが、独房の壁に向かって...
バイク系ポッドキャストの「ブーバイク」が、放送開始から10周年を迎えた。『この番組は、岡山県在住のハンドルネーム
ライダー歴も10年を優に超えたので、バイクへの熱量も落ち着いたと思っていたが、XSR700を愛車にして以降その熱が再燃してきた。バイクに乗り始めた頃にも、これと同じような熱を感じていた。当時趣味と呼べるほど熱中していたものがバイク以外に無かったため、毎週末W400を走らせることが出来た。一方、今は愛車のエンジンフィールが常に恋しい点においてはあの頃と同じだが、毎週末愛車を走らせているわけではない。なぜなら趣味...
コロナ禍の間の忌まわしい思い出といえば、1カ月に2度も立ちごけをしたことだ。それ以来バイクに「乗れていない」感覚が払しょく出来ないでいたのだが、最近になって漸く「乗れている」感が蘇ってきた。先日も古風なガニ股ライディングスタイルの原2スクータをぶっちぎってやった。これで私の「乗れている」感は完全復活と言っていいだろう。ミラーからガニ股が消えた後も快走を続けていると、完全復活を祝うかの如く突然爽やかな...
シティ派の大人のライダーとしてバイクに乗り続けてきた私である。バイクでキャンプや鳥見など、コロナ禍の間だけのお戯れだ。Withコロナが定着した今こそ、以前のようにバイクで街を駆け巡り、おしゃれなカフェ情報等をブログで発信しなければならない。街乗りではヘビーデューティーなトレッキングブーツではなく、ブラウンが鈍く光るワークブーツを履いて。どうにもこうにもシルエットが決まらないライジャケは、目的に着いたら...