「春の地味な花」話つづき。漱石は「スミレほど小さき人に生まれたし」と詠んだ。なるほど地味だがスミレは良き花。でもこの句には彼の憂鬱が感じられる。 自分的に良き花としてカタバミ(別名;酢漿草(サクショウソウ))を推したい。ワラワラと咲くが、日が陰るととたんにクシュンとしぼむ。その様子が「片方喰われたみたい」というので片喰(カタバミ)の名がついた。でも丈夫な多年草で根付いたらしっかり増えることから、一族繁栄の縁起良い植物とされた。が現在は外来種も増え駆除に手をやくほど。 昔からその三つ葉の造形は家紋に使われてきた(酒井、長宗我部、藤堂など)。その変形の剣片喰(けんかたばみ)紋では宇喜多(浮田)秀家…