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大橋むつおのブログさんのプロフィール

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ブログタイトル
大橋むつおのブログ
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https://blog.goo.ne.jp/ryonryon_001
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思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。
更新頻度(1年)

1968回 / 365日(平均37.7回/週)

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大橋むつおのブログさんの新着記事

1件〜30件

  • ジジ・ラモローゾ:027『スク水ランニング』

    ジジ・ラモローゾ:027『スク水ランニング』こんなのもあるぞ。テレビがどこも武漢ウィルスばかりやってるんで、コタツで居ねむりしてしまった。すると、耳元で声がして薄目を開けたら、おづねがパソコンの画面を指さしている。「え、なに……」画面に焦点が合ったとたんに飛んでしまった……。ミーーンミンミンミンミンミーーンミンミンミンミンミーーンミンミンミンミン蝉の合唱がうるさいプールサイドだ。コンクリが焼けて、学校指定のサンダルの底を通してカイロのような温もりが伝わる。バッシャー!先生がバケツで水を撒いてプールサイドを冷やしている。うん、裸足だと火傷しそうだもんね。数回水をまいたところで、スク水の女子たちが更衣室から出てくる。『これは、ジージが生徒だった頃の高校だなあ』たしかに野暮ったいくらいに又ぐりの浅い旧式のスク水だ。「...ジジ・ラモローゾ:027『スク水ランニング』

  • 連載戯曲・エピソード 二十四の瞳・7

    連載戯曲エピソード二十四の瞳・7※無料上演の場合上演料は頂きません。最終回に連絡先を記しますので、上演許可はとるようにしてください。時現代所東京の西郊登場人物瞳松山高校常勤講師由香山手高校教諭美保松山高校一年生由香:よし、今度は瞳の採用試験合格を祈って……!瞳:それはいい。由香:え?瞳:あたし、もう辞めようと思ってんの。由香:……どういう意味?瞳:教師になるのやめようと思って……。由香:なに言ってんのよ、らしくもない。たった三回試験に落ちたぐらいで。たった今わたしを励ましてくれたところじゃないの!自信を持とうよ、自信を!瞳:違うの。教師って仕事そのものに魅力を感じてない、感じなくなった。写真見てつくづく思った。まあ、もともと車に乗るための金と時間欲しさのデモシカだけどね。見ると聞くとで大違い、三年やって、場違い...連載戯曲・エピソード二十四の瞳・7

  • オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・93「演劇をやってこその演劇部よ!」

    オフステージ(こちら空堀高校演劇部)93『演劇をやってこその演劇部よ!』演劇なんてしたことのない演劇部。なもんだから、いざ、文化祭でやるとなったら、なにをしていいか分からない。知識も経験もないし、学校行事以外で演劇なんて観たこともない。それで図書室にいくことにした。「演劇の台本て戯曲っていうんだね」机の上に「なんとか戯曲大全」とか「かんとか戯曲集」を積み上げて感心する。「それって知らなさすぎ」一応演劇をやっていたころの演劇部を知っている須磨先輩がジト目を向けてくる。「でも、今から読むん……」啓介先輩が、早くもうんざりしたような顔でページをめくる。「これ、手でめくりなさい」「すんません……」啓介先輩は、シャーペンの尻でパラパラやっているのだ。「あっちはどうなんだろ……」パソコンコーナーで検索中のミリーとミッキーに...オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・93「演劇をやってこその演劇部よ!」

  • 坂の上のアリスー43ー『うっさい、気が散る!』

    坂の上のアリスー43ー『うっさい、気が散る!』綾香は外面のいいズボラ女だ。家の外では、人並みに兄である俺を毛嫌いして見せる。ま、十五歳の女子高生としては兄貴を毛嫌いしておくのがデフォルトではある。キモイ、ウザイ、クサイとお友だちには言っているようだ。うちの兄貴は、ああ見えてけっこう頼りになんのよ――なんて言ったらブラコンと思われるんだろう。まあ、身内をこき下ろして人間関係のバランスがとれるのなら、それでいいと思う。許せないのは、そうやって俺をこき下ろしておきながら、家のアレコレは俺に頼りっぱなしなことだ。それも自覚がない……いや、自覚に無いふりをして頼っているんだから始末が悪い。おとついも、綾香のセレクトでゲオまでDVDを借りに行ってやったら、やれバージョンが違うの、ブルーレイじゃないの、北米版が観たかったのと...坂の上のアリスー43ー『うっさい、気が散る!』

  • ここは世田谷豪徳寺・64『本人も知らない秘密』

    ここは世田谷豪徳寺・64(さつき編)『本人も知らない秘密』また、彼の声が聞こえてきた。さつきは、急いで意識をブロックした。幸いはるかとも別れ、梅田の地下街を歩いていたところなので、誰にも気付かれはしなかった。彼とは、タクミ・レオタール(TakoumiReotard)のことである。日本人の母とフランス人の父を持ちながら自衛隊の兵隊さんをやっているという変わり者。渋谷で彼が運転する車に跳ねられてからの付き合いである。事故そのものはさつきの不注意によるものだったが、タクミは上司と共にお詫びの記者会見までやらされた。兄の惣一が海上自衛隊なので、自衛隊の置かれた立場は分かっているつもりだったが、あらためて、その厳しさを実感した。そして、クレルモンへの留学途中の機内で、上司の通訳としてフランスへ行く途中のタクミと同じになっ...ここは世田谷豪徳寺・64『本人も知らない秘密』

  • 乙女と栞と小姫山・8『』

    乙女と栞と小姫山・8『長屋門のダンゴ屋』「ここですよ」「こんなところに、お団子屋さん……」伊邪那美神社の前で声をかけられた乙女先生は、そのままタクシーに乗って駅前まで戻ってきた。校長が、ぜひ紹介しておきたい店があるというので、付いてきたのだ。一見古い北摂の民家であるが、長屋門の軒下に――団子屋津久茂――の看板がぶら下がっていた。長屋門をくぐると、広い庭に文化財クラスの母屋が品の良い日本庭園に囲まれて、おとぎ話のように佇んでいた。「佐藤先生、こっちですよ」庭と母屋に見とれていた乙女先生を校長が呼び止めた。「え……ああ」振り向くと、長屋門の内側の壁が取り払われていて、団子屋さんになっている。「恭ちゃん。草団子二つ」「はーい」暖簾の向こうの厨房から若い女性の返事がした。「いいお店ですねえ」「ありがとうございます。なん...乙女と栞と小姫山・8『』

  • せやさかい・136『詩ちゃんと養生テープを貼る!』

    せやさかい・136『詩ちゃんと養生テープを貼る!』以前も書いたけど、お寺の本堂には内陣(ないじん)と外陣(げじん)があります。内陣と言うのは、ご本尊の阿弥陀さんのお厨子やら、聖徳太子やら親鸞聖人のお厨子やらがあって、いわば、拝まれる側の仏さんの場所で、外陣よりも一段高くなってるとこ。外陣は、お参りに来た檀家さんらが、仏さんを拝むとこ。外陣は、畳敷きで四十二畳ほどある。六畳の部屋六つ分くらい。わたしは詩(ことは)ちゃんといっしょになって、この四十二畳の畳を二畳ずつに区切って養生テープを貼ってる。養生テープいうのは、家のリフォームするときなんかに、床とか壁とかに保護シートを張る時に大工さんが使う奴で、淡い緑色をしてる。「結構きついねえ(;^_^A」詩ちゃんが、うっすらと汗をにじませて微笑んだ。詩ちゃんは偉い!わたし...せやさかい・136『詩ちゃんと養生テープを貼る!』

  • 連載戯曲・エピソード 二十四の瞳・6

    連載戯曲エピソード二十四の瞳・6※無料上演の場合上演料は頂きません。最終回に連絡先を記しますので、上演許可はとるようにしてください。時現代所東京の西郊登場人物瞳松山高校常勤講師由香山手高校教諭美保松山高校一年生BGMがかかって飲み屋。ビール、チューハイ、ウーロン茶とサカナが並んでいる。瞳は先ほどの写真を見ている。由香:ごめんね、わたしばかり飲んじゃって。瞳:いいよ、こういう雰囲気じゃないと話せないこともあるし……こうして見ると、どれも今いちだな。由香:わたしのせいじゃないわよ。瞳:なにかがハンパなのよ。由香:え?瞳:……やっぱポーズや表情じゃごまかせないか。由香:え、そんなにブスに写ってるの?瞳:失礼ね、みんなかわいく写ってるわよ……ただ……。由香:ただ……?瞳:どれもこれも空元気……空回りの上に個性が……(な...連載戯曲・エピソード二十四の瞳・6

  • オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・92「キャシーへの手紙・3」

    オフステージ(こちら空堀高校演劇部)92『キャシーへの手紙・3』残念なことに、今は解消されているけど、大阪とサンフランシスコが姉妹都市だったのは知ってるよね。エレメンタリースクールの時にシティーホールで親善行事、覚えてる?初めて日本の寿司を食べてさ、ワサビペーストで死にかけた、あの時のキャシーは忘れないよ。『ワサビテロ!』って、涙目で叫んでたよね。負けず嫌いのきみは『ワサビテロ』の対処法を編み出したんだ。ワサビは揮発性だから、テロに遭ったと思ったら、大口開けて上を向けばいいって。あの研究発表は忘れられないよ。ノドチンコ見た先生が「ちょっと肥大ぎみね、いちどドクターに診てもらったほうがいい」って言ったんだよね。ケンイチがヒソヒソ声で日本語のノドチンコの意味を言いふらしたもんだから、教室中笑っちゃって授業にならなか...オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・92「キャシーへの手紙・3」

  • 坂の上のアリスー42ー『カードキー』

    坂の上のアリスー42ー『カードキー』エアメールって言うのよ、バカ。国際郵便という呼び方を、セクハラ発言を咎めるように睨んだうえ、ひったくるようにしてエアメールをふんだくる綾香。瞬間ムカつくが、兄妹喧嘩するほどの気力もないので、突っ立ったままでいる。「……んだ、お父さんからじゃない」思いっきり興ざめしたため息を吐いて、エアーメイルをテーブルに投げ出した。「なんだと思ったんだよ」「思わないけど、ステキと思っちゃうじゃん、エアーメイルで横文字でアドレスとか書いてあってさ。ね、返事書くんだったらさ、エアコン付け替えたいから十万円ほど余計に送ってって書いといて。ヨッコラセっと!」「どこ行くんだよ」「ゲオよゲオ、兄貴だからって信頼してしまったわたしがバカだった。自分で借りてくる」「だったら、これ返しといてくれよ」DVDの山...坂の上のアリスー42ー『カードキー』

  • ここは世田谷豪徳寺・63《坂東はるか かく語りき》

    ここは世田谷豪徳寺・63(さつき編)『坂東はるかかく語りき』「さつきさんでしょ?」なんと、はるかさんから声がかかった……。駅前のビルのばけ天で天ぷらのコースをゴチになった。「大阪の食べ物は、たいがい好きなんですけどね。どうも天ぷらは東京風でないと、食べた気がしないの」これは同感。クレルモンにいたとき、同じ寮の日本の子が天ぷらパーティーを開いてくれたが、関西風のサラダオイルで揚げたナマッチロイ天ぷらだったので、ちょっとショックだった。天ぷらと言えば、ゴマ油で揚げた香しいものだと子どもの頃から思っていた。「何カ月ぶりだろ、東京の天ぷらなんて」「ばけ天もね、他のお店じゃ、関西風にサラダオイル混ぜてるんだけどね、この大阪一号店だけ、東京の味のママなの」はるかさんは、そう言ってエビ天を尻尾の先まで食べた。これも同じ習慣な...ここは世田谷豪徳寺・63《坂東はるかかく語りき》

  • 乙女と栞と姫ケ丘・7『神さまのお願い』

    乙女と栞と姫ケ丘・7『神さまのお願い』気が付くと、乙女先生は境内の真ん中に立っていた。「あれ……」雰囲気がまるで違う。「これって……別の神社?」二の鳥居まで戻ってみると、来たときと同じ五メートルほどの階段。駆け下りて、一の鳥居で振り返る。「やっぱし、ここや……」石畳の道が「く」の字に曲がって、五メーターほどの石段が上って、二の鳥居。それをくぐると……そこからが違う。ちょっとした野球場ほどの広さの境内は、幼稚園の園庭ほどの広さしかない。拝殿も社務所も、うらさびれている。ただ、境内を取り囲む桜だけは見事に満開であった。境内の端に気配を感じた。見ると小さな祠(ほこら)近寄ると、小さな剥げっちょろげた扁額。かすかに木花開耶小姫と読めた。――ちょっと見栄を張りました。お願いしたこと、よろしゅうに……。伊邪那美の声が、頭の...乙女と栞と姫ケ丘・7『神さまのお願い』

  • ジジ・ラモローゾ:026『運動会』

    ジジ・ラモローゾ:026『運動会』もう幻視はせんのか?朝ごはんのあと、庭掃除を終わってぼんやりしているとおづねが囁いた。「あ、うん。ジージは真面目な先生だったんだ」『そのようだな、検尿の件などなかなかできるもんじゃないからな』ジージは『締め切り時間を過ぎたからダメだ!』という保健部長を押し切って業者に持って行ったんだ。なかなかできるもんじゃない。真面目でエライとは思うんだけど、しんどかったと思うんだ。自分が正しくても、もめ事とかギスギスするのはヤダ。血の繋がりのあるジージが、そんなギスギスの中にいたんだなんて、自分が、そこに居たみたいで、心がチクチクしてやだ。『なるほどな、では、こんなのはどうだ……』「二人も休みか……」点呼を撮り終ったジージが呆然としている。――クラス対抗リレーに出場する生徒は、直ぐに入場門の...ジジ・ラモローゾ:026『運動会』

  • 連載戯曲・改訂版 エピソード 二十四の瞳・5

    連載戯曲エピソード二十四の瞳・5時現代所東京の西郊登場人物瞳松山高校常勤講師由香山手高校教諭美保松山高校一年生瞳:言っただろ、教育は掛け算だって!先生が十のこと教えて、あんたたちが十なら答えは百、一だったら十。そんで、ゼロだったら答えはゼロだよゼロ。覚えてる?美保:あたしゼロ?瞳:限りなくゼロに近いなあ……。美保:はあ……。瞳:だけど、美保はマイナスじゃない。マイナスの数字は、どんな正数を掛けても答えはマイナス。そういう奴は、今の美保みたいに素直な話もできない。だから、そういう正直なとこがあんたのプラスのとこだ。さっきも言っただろ。美保:うん……。瞳:先生はね、美保が勉強の面でプラスだろうがマイナスだろうが。そんなことで、善し悪しを計ろうなんて思ってないぞ。美保:……どういうこと?瞳:場所を変えたら、美保の気持...連載戯曲・改訂版エピソード二十四の瞳・5

  • 乙女と栞と姫ケ丘・6『木花開耶小姫』

    乙女と栞と姫ケ丘・6『木花開耶小姫』「お待ち申し上げておりました……」「よう、おいでくださいました……」二人の巫女さんが、ゆかしく丁寧なあいさつをした。乙女先生も頭を下げたが、二人のゆったりとしたテンポに合わず、顔を上げたときには、まだ二人の巫女さんは頭を下げたままで、慌てて頭を下げなおした。すると、桜の香りがあたりに満ち始めた。「あ……」顔を上げると、思わず声に出てしまった。「これ、急に、こないなことしたら、先生びっくりしやはる……」「すいません。せめてものお持てなしのつもりやったんです……」拝殿は床だけになり、奥に本殿は見えるものの、まわりは一面満開の桜であった。はらはらと桜の花びらが、芳醇な香りとともに舞っている。クマリン(C9H6O2)という、桜の香りの成分が頭に浮かんでくる。「ほほ、先生は、成分で桜の...乙女と栞と姫ケ丘・6『木花開耶小姫』

  • オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・91「わたしの車いす生活」

    オフステージ(こちら空堀高校演劇部)91『わたしの車いす生活』地震になったらエレベーター停まるんですよ。揃って入ったエレベーターの中で、気楽に千歳が言う。「てことは、閉じ込められるわけ!?」「そうですよ」お尻のあたりがゾクゾクしてきた。高いビルのテッペンから下を覗いたような、あの感じ。……………………。「先輩、ボタン押さなきゃ動きません」「あ、そか」後から乗ったもんだから、ドアの真ん前。狭いエレベーターなので車いすが二台入ると身動きが取れない。「二階だから押せるけど、上の階だったら手が届かないよ💦」「左側に車いす用のボタンがありますよ(*^-^*)」「あ、ほんとだ!」車いすなんて初めてなんで、いろいろな発見がある。捻挫をこじらせて車いすに乗ってるのよ。松葉づえでも大丈夫なんだけど「知らないうちに負荷をかけるから...オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・91「わたしの車いす生活」

  • 坂の上のアリスー41ー『国際郵便の昼下がり』

    坂の上のアリスー41ー『国際郵便の昼下がり』唐突に旅行が終わって、俺たちは夏休みを持て余した。八月も中旬に入って、バイトも見つけにくいし、旅行の予定も立てにくいってか、お金もそんなにはない。せいぜい市民プールか近場の水族館、はたまたアキバとかアウトレットとかのイベント、あるいはウィンドショッピング。いずれも腰を上げるほどには魅力的ではなく、リビングで愚妹の綾香ともどもゴロゴロしている。ともどもと言っても仲がいいわけじゃない。俺の部屋のエアコンが壊れ、綾香の部屋のエアコンは臭いからだ。俺の方は、どうやら寿命。綾香の方は去年の夏から手入れを怠って、内部にホコリやらカビやらが異常繁殖したからだ。でもって、唯一健常なエアコンのあるリビングに居らざるを得ないという状態なのだ。「あんたが悪いのよ」「んだよ、自分で行かないお...坂の上のアリスー41ー『国際郵便の昼下がり』

  • ここは世田谷豪徳寺・62《眩しいよ、さくら・2》

    ここは世田谷豪徳寺・62(さつき編)《眩しいよ、さくら・2》満開の笑顔のまま、さくらが毒づいた。「嘘は、もっとうまくつかなきゃ」「え……分かっちゃった?」「十七年姉妹やってんだよ。それにお姉ちゃん、ウソ下手すぎ。ウソ言う前に目線が逃げるんだもん。これからウソつきますって言ってるようなもんだよ」そう、あたしはガキンチョの頃からウソは苦手。だから、あまりウソはついたことがない。バレるから言わないだけなんだけど、おかげで「正直者のさつきちゃん」で通ってきた。「正直言うと、あたしにもよく分からない。大学から、突然日本での資料収集言われたの。ほんとだよ」「……それは本当っぽいけど、なにそれ、自分でもよく分かんないって?」ルームサービスのコーヒーとフレンチパンケーキが来るまで、妹の質問攻めにあった。でも、知らないことは話せ...ここは世田谷豪徳寺・62《眩しいよ、さくら・2》

  • 漆黒のブリュンヒルデ・041『煙の柱』

    漆黒のブリュンヒルデ・041『煙の柱』ヒルデが居ながら世田谷は東京で一番の感染者数だ……まったく……たまらん……忌々しい……そんな呟きが聞こえる。呟いているのは地元の妖どもだ。わたしは、この異世界では武笠ひるでという一介の女子高生だ。だが、この異世界に来てから、多くの妖たちを浄化してやった。浄化されて喜ぶ者ばかりではない。中には恨みに思う者も居るし、妖が浄化されたところは霊的には一種の真空地帯になってしまって、逆に呼び込んでしまうことがあるのかも知れない。「しばらく豪徳寺を離れた方が良いかもしれませぬなあ」焼き芋を焼きながらスクネ老人が言う。「これを御覧なされ」老人は懐から小さな瓢箪を出し、栓を抜くと、焚火の上に振りかけた。パチパチパチ振りかけた粉は小さく爆ぜて一筋の煙となって空に伸びていく。まるで煙の柱だ。「...漆黒のブリュンヒルデ・041『煙の柱』

  • 連載戯曲・改訂版 エピソード 二十四の瞳・4

    連載戯曲エピソード二十四の瞳・4時現代所東京の西郊登場人物瞳松山高校常勤講師由香山手高校教諭美保松山高校一年生下手でなにやらもめる気配。すぐに美保が投げ飛ばされてきて、瞳が続き馬乗りになって美保の首を絞める。瞳:オラー!今日は、どうしたんだ!?今から美保の家へ行くとこだったんだぞ!美保:……し、死ぬ~。瞳:死ねえ~!由香:ひ、瞳!美保:ま、まいった、まいった~あ!ロープ、ロープ、ロープ!由香:はい、タオル、タオル!(タオルを投げる)瞳:由香あ~(タオルが投げられたので、美保を解放)!美保:助かったあ……あ、あんた?瞳:友達。山手高校の鈴木先生。美保の家へ行く前にこの公園で立ち話してたとこ。先生の同業者だから気にしなくていい。ごめんね由香。由香:ううん。美保:山手……偉い学校の先生なんだ。大石先生より賢いの?瞳:...連載戯曲・改訂版エピソード二十四の瞳・4

  • 乙女と栞と姫ケ丘・05『鳥居をくぐる』

    乙女と栞と姫ケ丘・5『鳥居をくぐる』鳥居をくぐって足を踏み入れると境内は別世界であった。伊邪那美神社は、この地の産土神(うぶすながみ)である。旧集落そのものが、古い摂津の村の佇まいを残しているが、こんもりとした森の中の神域に入ってみて、乙女先生は息を呑んだ。一の鳥居をくぐって石畳の道が「く」の字に曲がって、五メーターほどの石段を登って、二の鳥居。それをくぐったところから見える境内は、一面の玉砂利で、ちょっとした野球場ほどもあった。正面彼方に拝殿、手前上手に御手洗所。そこで口をすすぎ、手を清めて振り向くと、拝殿の前で二人の若い巫女さんが境内を掃いていた。「あのう……ご祈祷をお願いしたいんですけど」背の高い方の巫女さんに声をかけた。「そこの社務所の窓口の鈴を……鳴らしておくれやす」京都弁に近い摂津言葉で巫女さんが答...乙女と栞と姫ケ丘・05『鳥居をくぐる』

  • オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・90「この酔っぱらい!」

    オフステージ(こちら空堀高校演劇部)90『この酔っぱらい!』そりゃあ二人ずついるからよ。ビールの泡を飛ばしながらお姉ちゃん。部室が二階の広い部屋に替わったことを報告すると、缶ビールかっくらいながら結論付けた。「交換留学生が二人も入ったんじゃ、おろそかにもできないっしょ。松井さんも攻めどころ知ってるねえ」なるほど、ミッキーもミリー先輩も学校に二人しか居ない交換留学生だ。「それに、二人ともアメリカでしょ。日本はアメリカに頭上がんないからね」「そうなの?」「そーよ、自民党がダントツなのはアメリカが付いてるからよ。知ってる?自民党って大所帯のバラバラだけど親米って点だけでは一枚岩、だから今月の選挙も安倍さんの大勝利なんでしょ……あ、枝豆切れた」お姉ちゃんは真っ赤な顔して酒の肴を探しにいく。「短パンのお尻掻きながら冷蔵庫...オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・90「この酔っぱらい!」

  • 坂の上のアリスー40ー『放出さんのいない朝・2』

    坂の上のアリスー40ー『放出さんのいない朝・2』俺たちの夏旅行は唐突に終わった。ロビーのソファーで放出さんの次の連絡を待っていると見知らぬ人からメールが入った。――杭全と申します、突然ですが担当を代わりました。まことに申し訳ありませんが、この旅行は、これをもって終了とさせていただきます。一時間後にお迎えに参りますので、お帰りの支度を整えて一階ロビーにてお待ちいただきますようお願いいたします――「いきなりなんだよ……コウゼンってだれなんだ?おい、すぴか……」すぴかは可愛く寝息を立てながら居ねむっている。なにかのアプリで遊んでいたのか、膝の上、ゆるんだ左手からスマホが落ちかけている。「落とすぞ……」手を伸ばすのとスマホがずり落ちるのが一緒だった。「おっと」床に落ちる寸前でキャッチ。そのショックで画面に移っていたメー...坂の上のアリスー40ー『放出さんのいない朝・2』

  • ここは世田谷豪徳寺・61《眩しいよ、さくら・1》

    ここは世田谷豪徳寺・61(さつき編)《眩しいよ、さくら・1》関空快速を降りて、三階の乗り換え通路を歩いていると、妹のさくらを見かけた。同時に驚いた。さくらはただの通行人なんかじゃない。周りを沢山のスタッフやカメラに囲まれてロケの最中だった。さくらは、あたしがフランスに行く前からマスコミの仕事をしていた。しかし、女子高生がエキストラに毛の生えたようことを始めたぐらいの認識しかなかった。それが、今、相手役の勝呂勝也とカメラにフォローされながら歩いている姿は、もう立派な女優だった。ツーテイク撮る間、あたしは身動きできずに、ずっと妹を見続けていた。「お姉ちゃん、どうしたのよ!?」気づくと、さくらが衣装の女子高生姿で前に立っていた。「あ、ああ。偶然通りかかったら、撮影現場にでくわしちゃって。ビックリしちゃった」「ビックリ...ここは世田谷豪徳寺・61《眩しいよ、さくら・1》

  • 魔法少女マヂカ・142『神田明神の頼み』

    魔法少女マヂカ・142『神田明神の頼み』語り手:マヂカ今度は、正規のルートである男坂の階段を上って神田明神を目指した。念のため、角を曲がるたびにエンガチョを切る。お待ちしていました!最後の一段を上がると、随神門から見覚えのある巫女さんが飛んできた。「あ、わたしは本物です。東の巫女アオ、あ、これがIDです!」襟をくつろげて、アタフタとIDを見せてくれる。慌てているものだから胸の上半分が露わになって、ちょっとドキッとする。着やせするタイプのようで、上半分だけでも、わたしよりツーサイズはありそう(;^_^A「さあ、こちらへ」随神門をくぐったところに、三人の巫女さん、本物のアカ・シロ・クロの巫女たちだ。「こちらに、お進みください」本物のアカ巫女さんが、本殿の階に誘ってくれる。おな――――り!シロ巫女が警蹕の声をあげると...魔法少女マヂカ・142『神田明神の頼み』

  • 乙女と栞と姫ケ丘・04『学校のご近所づきあい』

    乙女と栞と姫ケ丘・4『学校のご近所づきあい』「申し訳ありません、すぐになんとかいたします」乙女先生は、集まっていた近所の住人にまず頭を下げた。「早よ来てくれはったんはええけど、そんなノコギリやったら、間にあわへんよ」近所のボスらしきオバチャンが、下げた頭を押さえ込むように言った。「でも、とにかく、なんとかします」真美ちゃんがノコギリをひき始めた。オバチャンたちの失笑。乙女先生は真美ちゃんを目で制止して、すぐに携帯をかけた。学校の事務に技術員室につないでくれるように頼んだ……待つこと数十秒。――誰も出はりません。主査の答えに、乙女先生は事態を簡潔に説明した。「そんなら、教頭さんと相談しますわ」気のない主査の答え。凡才教頭の暗い顔が浮かんだ。「女の先生二人じゃ無理でしょ。消防署に電話しますわ」学校の対応の悪さに業を...乙女と栞と姫ケ丘・04『学校のご近所づきあい』

  • 連載戯曲・改訂版 エピソード 二十四の瞳・3

    連載戯曲改訂版エピソード二十四の瞳・3時現代所東京の西郊登場人物瞳松山高校常勤講師由香山手高校教諭美保松山高校一年生瞳:洒落が通じないんだからあ。あたし、大石瞳が二十四歳……今日までだけどね。その瞳と生徒の瞳が二十四個だって洒落。由香:え……ということは、二クラスで十二人しかいないの!?瞳:ううん、四十八人。由香:……それじゃ四十八の瞳じゃないの?瞳:生徒たちの目は、半分学校の外に向いてる。だから二十四個のお目々……わかる?由香:なるほど。で、最初は何人いたの?瞳:留年生をいれて、二クラス七十一人。由香:二十三人も消えたの!?瞳:うん、そいつらはお目々が二つとも学校の外に向いていた。それでも無事に退学にもっていくのはなかなかよ。信じられる、二十三人中、二十人まではあたしが始末したんだよ。由香:たいがいなんだねぇ...連載戯曲・改訂版エピソード二十四の瞳・3

  • オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・89「新部室にお引越し」

    オフステージ(こちら空堀高校演劇部)89『新部室にお引越し』車いすはかさ張るもんだ。自分も車いすなのに、そう感じるのは申し訳ないんだけど、実際そうなのよ!「ご、ごめん!」これで三回目。ミリーの車いすのデッパリが、またわたしのスカートを引っかける。その都度十センチほど裾が持ち上がり、斜め前の啓介先輩にわたしの太ももが露わになってしまう。「い、いや、見えてないから……あ、あ、また……」啓介先輩は上を向いて、ティッシュを詰めた鼻を押える。「これで見えてないって、説得力ないわよ、ほれ、わたしがやったげるから」「いて!先輩、やさしくして!」須磨先輩が狭くなった部室をものともせずに啓介先輩の鼻血ティッシュを取り換える。ミリー先輩と新入部員が並んで小さくなる。「じっとしてないと換えられないでしょ!」「い、いや、せ、先輩の胸が...オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・89「新部室にお引越し」

  • 坂の上のアリスー39ー『放出さんのいない朝・1』

    坂の上のアリスー39ー『放出さんのいない朝・1』いつもなら朝食の最中にやってくる。「お早うございます、今日の予定ですが……」そう言って、一日のスケジュールを言ってくれる放出さんがやってこなかった。――とりあえず部屋で待機していてください――お茶をすすっているとメールがやってきたので、大人しく部屋に戻ることにした。廊下まで冷房の効いた屋内なんだけど、それでも窓の傍を通るとムッと暑気を感じる。外に出たらいかばかりかと、ちょっとばかり嫌になったりする。二階に上がると、掃除のスタッフが各部屋を掃除の真っ最中。いつもならスケジュールの説明で、もっと時間がかかる。そのぶん早く上がって来たのだからスタッフに落ち度があっての事じゃない。すぴかの部屋の前にはトマトジュースの空き缶でいっぱいになったゴミ袋が出されている。やっぱ、買...坂の上のアリスー39ー『放出さんのいない朝・1』

  • ここは世田谷豪徳寺・60《お姉ちゃん!?》

    ここは世田谷豪徳寺・60(さくら編)《お姉ちゃん!?》テイク5で救世主が現れた……。「あたしが、やってみましょうか?」なんと、東亜美役の一ノ瀬薫さんが名乗り出た。「ふだん人に手を上げたことがない人ならそんなものでいいと思います。変に腰が入っちゃうと、ちょっとケンカ慣れした人間に見えますから……問題は受け身の方ですね。一発張り倒してくれます。思い切りでいいです」「ほ、ほんとにいいの?」「ええ、慣れてますから」なんせ、このシーンは、はるかが、たまたまアメチャンを握って張り倒すところなので、下手をすると怪我をする。で、どうしても、あたしもはるかさんもわざとらしくなってしまう。そこを本気でやれと涼しい顔で言うもんだから、なんだか、お気楽な流れで、やってみることになった。微かにドンという音がして、薫さんは派手に吹っ飛んだ...ここは世田谷豪徳寺・60《お姉ちゃん!?》

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