2020年に公開された日本映画です。2011年公開の韓国映画のリメイク版とのことですが、今どきここまで“ベタ”なストーリーは珍しいですね。よくもまあこんな偶然が続くのかといった“割り切った”つくりの作品を、何の衒いもなくストレートに演じ切る吉高由里子さんは、とても稀有なキャラクタの持ち主と言えるでしょう。きみの瞳が問いかけているDVDスタンダード・エディション吉高由里子ギャガ〔映画〕きみの瞳が問いかけている
2020年に公開された日本映画です。2011年公開の韓国映画のリメイク版とのことですが、今どきここまで“ベタ”なストーリーは珍しいですね。よくもまあこんな偶然が続くのかといった“割り切った”つくりの作品を、何の衒いもなくストレートに演じ切る吉高由里子さんは、とても稀有なキャラクタの持ち主と言えるでしょう。きみの瞳が問いかけているDVDスタンダード・エディション吉高由里子ギャガ〔映画〕きみの瞳が問いかけている
2023年に公開された日本映画です。小山薫堂さんのオリジナル脚本で、「湯道」という独創的なモチーフをベースにした“人情モノ”といった感じのコミック作品ですね。キャスティングは、小日向文世さんや柄本明さんをはじめとして、笹野高史さん、寺島進さん、吉田鋼太郎さん、角野卓造さん、そして、夏木マリさん、戸田恵子さん、吉行和子さん・・・、と、なかなか芸達者な役者さんを揃えていて結構楽しめました。ヒロインの橋本環奈さんは、こういったライトなノリの作品では、その朗らかな魅力が活きますね。湯道DVD通常版4550510080994生田斗真NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕湯道
1994年に公開されたアメリカ映画です。“復習モノ”のアクション・サスペンス作品ですが、設定やストーリーは今ひとつ工夫に乏しく、出来栄えとしては、“B級”の域を出ていません。キャスティング面で言っても、主役のジェフ・ブリッジスも、まだ中堅どころのフォレスト・ウィテカーも特筆するほどの存在感は発揮していません。強いて言えば、ちょっとサイコパス的な敵役を演じたトミー・リー・ジョーンズが目立っていたぐらいでしょうか。ブローン・アウェイ復讐の序曲[DVD]ジェフ・ブリッジス20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン〔映画〕ブローン・アウェイ/復讐の序曲
2020年に公開された日本映画です。ともかく、広瀬すずさんにフィーチャーした作品なので、内容は何でもよかったのでしょう。人気“コミック”の実写化が一番手っ取り早かったのかもしれませんね。しかしこの映画、広瀬さんを取り巻く出演者の方々はこれでもかというぐらい豪華絢爛です。吉沢亮さん、堤真一さん、リリー・フランキーさん、木村多江さん、松田翔太さん、柄本時生さん、西野七瀬さん、城田優さん、原日出子さん、真壁刀義さん、野口聡一(JAXA宇宙飛行士)さん、佐藤健さん、池田エライザさん、志尊淳さん、大友康平さん、竹中直人さん、妻夫木聡さん・・・このレベルの皆さんがほんの1シーンのために集められるのですから、作品としての力の入れようは半端ではありません。一度死んでみた広瀬すず〔映画〕一度死んでみた
2023年に公開された日本映画です。2021年に放映されたテレビドラマの「続編」という位置づけの作品です。「救急医療現場」が舞台の物語は、ドラマチックなエピソードを織り込みやすく、また登場人物の善悪がはっきりしたステレオタイプのつくりに仕立てやすいので、“単純エンターテインメント”に馴染みます。本作品もまさにそうで、あれこれあっても結局のところ予定調和のHappyEndに収まっています。まあ、気楽に安心して楽しめる作品も、時には貴重でしょう。劇場版『TOKYOMER~走る緊急救命室~』通常版[Blu-ray]鈴木亮平TCエンタテインメント〔映画〕劇場版『TOKYOMER~走る緊急救命室~』
かなり以前に読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第20作目」です。今回の舞台は佐賀の“唐津”“有田”。唐津には昔熊本勤務時代に家族で訪れたことがあります。作品に登場している“呼子”にも足を伸ばしました。また本作品は“陶芸”がモチーフになっているのですが、“有田”にはここ数年、毎年のように顔を出しています。町の中心から少し外れたところにある「CHINAONTHEPARK」は深川製磁の工房やギャラリーがあって見学するだけでも楽しいです。...佐用姫伝説殺人事件(内田康夫)
2006年に公開された日本映画です。1976年、一連の「角川映画」のヒットシリーズの嚆矢として制作された「犬神家の一族」のリメイク版です。素人目には、新旧でシナリオや演出もかなり似通った感じなので、大きな違いは、キャスティングということになりますね。主要人物の犬神家の三姉妹は、旧作の高峰三枝子さん、三条美紀さん、草笛光子さんに対し、新作では富司純子さん、松坂慶子さん、萬田久子さん。ヒロイン役は、島田陽子さんに松嶋菜々子さん。どちらもその当時としては超豪華な面々で“甲乙つけ難し”です。そんな中、私としては、坂口良子さんと深田恭子さんの対比が一番際立ちましたね。坂口さんは、この後の横溝正史原作の金田一耕助シリーズには欠かせない存在感を醸し出していました。犬神家の一族(2006)[DVD]石坂浩二KADOKAW...〔映画〕犬神家の一族(2006)
1988年に公開された日本映画です。原作は、井上靖さんの同名の小説なので、どの部分までが「史実」なのか・・・、当時隠匿された幾万もの経典が20世紀に発見され“敦煌学”の礎となったのは事実ですが、それ以外はどうなんでしょうね。さて「映画」としての印象ですが、ストーリーで惹きつけられるというところはなく、また、役者の方々のパフォーマンスも、異国の長期ロケで大変だったとは思いますが、正直なところ特筆して云々ということもありませんでした。見どころといえば、多数の人と馬を動員しての大規模な戦闘シーンぐらいでしょう。中国を舞台にした日本の時代劇のようで、やはりちょっと不自然さが先に立ったようです。敦煌[DVD]西田敏行KADOKAWA/角川書店〔映画〕敦煌
2024年に公開された日本映画です。30年以上前の東野圭吾さんのミステリー小説が原作の作品ですが、映画化にあたって、そこそこストーリーに手が入っているようです。なので、原作を踏まえたミステリーの出来としての評価はできませんね。ただ「映画」としてはどうでしょう・・・、出演者が「劇団員」ということで意識的だったのかもしれませんが、台詞回しは妙に不自然、演出も、役者さんが整列して順番に演技といった“学芸会”的なノリで、かなり残念なレベルでした。ある閉ざされた雪の山荘で重岡大毅〔映画〕ある閉ざされた雪の山荘で
1996年に公開された日本映画です。「必殺仕事人」シリーズのテレビドラマは結構リアルタイムで見ていました。本作品は、その「中村主水シリーズ」の幕引き、最終回との位置づけです。ラストシーンは、今後の復活があっても大丈夫なように“無理やりの連続性”は確保した形にはしていますが、これはこれで“TheEnd”にした方がいい出来栄えでした。ストーリーはともかく、出演者の面々の個々の存在感が格別でしたね。藤田まことさんのメリハリの利いた凄み溢れる表情はもちろん、敵役の津川雅彦さんの“怪演”はまさに彼ならではの迫力でしたし、ヒロイン役の名取裕子さんもとても魅力的でした。あとは、東ちづるさん、美保純さん、細川ふみえさんといった懐かしい方々・・・。最近は、こういった“コテコテのエンターテインメント時代劇”はめっきり見かけな...〔映画〕必殺!主水死す
2023年に公開された日本映画です。2020年公開の台湾映画の「リメイク版」とのことです。タイムトラベルものに代表されるように「時間」の見せ方の工夫は、映画の奇抜なプロットの定番のひとつですが、この作品の設定はなかなか秀逸でした。また、宮藤官九郎さんの脚本も“さわやか系”で、キャスティングと合わせてとても心地よいものだったと思います。そのキャスティングですが、やはり最高に魅力的だったのは、やはり清原果耶さん。気になる若手女優さんの筆頭格ですが、こういう自然体のキャラクタもいいですね。あとは、久しぶりの羽野晶紀さん。そして笑福亭笑瓶さん・・・。1秒先の彼[DVD]岡田将生TCエンタテインメント〔映画〕1秒先の彼
いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の伊澤理江さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。漁船(第58寿和丸)沈没事故発生(2008年6月23日千葉県銚子市犬吠埼灯台の東方沖350km)から11年後の2019年、別の取材で訪れた小名浜港(福島県いわき市)での事故関係者たちの会話をきっかけに、その沈没時の状況とそれに対する公式報告の不自然さを奇異に思った伊澤さんが、事故の真相を粘り強い調査・取材で顕かにして行きます。数々の興味深いエピソードが記されていましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、第58寿和丸の運輸安全委員会による事故報告書。それは、まさに東日本大震災が福島を襲った直後に公表されました。(p145より引用)そう...黒い海船は突然、深海へ消えた(伊澤理江)
2023年に公開された日本映画です。オンライン小説が原作とのこと、実写映画のほかにも、コミック・朗読劇・アニメなどいろいろなメディアで人気を博しているようです。物語は、“SFファンタジー”的なテイストですが、キャスティングも、目黒蓮さん、今田美桜さんという旬な二人のダブル主演で、要は「ロマンチック・コメディ」ですね。よくあるトラブルもおとなしめで、とても素直なストーリーだと思います。エンドロール後のワンシーンは続編を予期させるものですが、どうでしょうね。まさかですが、今度は「ヒロインもの」になるのでしょうか・・・。わたしの幸せな結婚DVD通常版[DVD]DVD通常版塚原あゆ子東宝〔映画〕わたしの幸せな結婚
2022-23年に放映された日本アニメです。「キャプテン翼」をはじめとして「サッカー」をモチーフにしたコミック・アニメはそれこそ山のようにありますが、ここまで“サッカー”らしくない描き方をされたものは寡聞にして知りません。ともかく、「方程式」だとか「化学反応」だとか、放送の半分が“ウジウジした独白”で埋まっているので、私にはまったく合いませんでした。こんなことを考えながらサッカーをしていて楽しいですか?と聞きたくなります。ブルーロック第12話二次選考(セレクション)〔アニメ〕ブルーロック
2011年に公開されたアメリカ映画です。ネタバレで済みません。「二重スパイ」という設定は“ひと昔前のスパイ映画”といった趣きですが、ラストのサプライズで、二重スパイをさらに交錯させたのはなかなか面白いアイデアですね。ただ、キャスティング面でいうと、ちょっとピンときませんでした。リチャード・ギアといえば、私の場合、「プリティ・ウーマン」や「ShallWeDance?」をまずは思い浮かべてしまうので、本作での“冷酷なスパイ”という役柄にはちょっと線が細く、押し出し不足といった感じは否めませんでした。顔のないスパイDVDリチャード・ギアTCエンタテインメント〔映画〕顔のないスパイ
2022年に公開された日本映画です。立川志の輔師匠の創作落語が原作とのこと、ご本人も出演しています。現在と江戸時代の2つの時間軸で物語は進んでいきますが、役者のみなさんが「ひとり二役」で異なる時代の登場人物を演じる構成と演出は、なかなか面白いアイデアですね。ストーリー自体は極めてシンプルでこれといったインパクトはないのですが、橋爪功さん、平田満さん、西村まさ彦さんといった一筋縄ではいかない面々が、“いぶし銀”的ないい味を出していました。大河への道[DVD]通常版DVD立川志の輔松竹〔映画〕大河への道
2013年に公開されたアメリカ映画です。有名な童話をモチーフに、その“後日譚”という設定のホラーファンタジー作品ですね。ジェレミー・レナー、ジェマ・アータートンにファムケ・ヤンセンというキャスティングは結構魅力的なのですが、如何せん、ストーリー自体がかなり情けない水準なので、エンターテインメント作品としては今ひとつといった出来栄えでした。ヘンゼル&グレーテル[DVD]ジェレミー・レナーパラマウントホームエンタテインメントジャパン〔映画〕ヘンゼル&グレーテル
2009年に公開された日本映画です。西川美和さんのオリジナル作品で、監督・脚本も彼女です。“にせ医者”という設定自体はそれほど珍しくはありませんが、「嘘と嘘」を重ねる構成は秀逸でしたね。そして見事なキャスティング。映画初主演の笑福亭鶴瓶さんも話題になったようですが、やはり“演じる”という面では、余貴美子さん、八千草薫さんのお二人は別格でした。あとはラスト。こんなことが起こるかという不自然さはありますが、印象的なシーンでしたね。八千草さんの視線の動きとそれに伴う微妙な表情の変化、これで決まりです。ディア・ドクター[DVD]笑福亭鶴瓶バンダイビジュアル〔映画〕ディア・ドクター
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。東浩紀さんの著作は「ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる」に続いて2冊目です。先の本は“ビジネス書”的な内容だったので、この著作では、本来?の東さんらしい思索的メッセージに触れられるかと期待して読んだものです。多彩なテーマに関する東さんらしいコメントや示唆がありましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、「はじめに」に記されている「訂正する力」の定義。(p4より引用)ものごとをまえに進めるために、現在と過去をつなぎなおす力。それが本書が言う「訂正する力」です。“リセット”とは違います。“老いる”ことも「訂正」のひとつの姿だというのです。(p6より引用)では、老いるとはなんでしょうか。それ...訂正する力(東浩紀)
2015年に制作されたカナダ、アイルランド、イギリス、アメリカの合作映画です。物語の設定がとてもシビアなものなので、作りようによっては大味の荒れた感じになるところですが、過度にセンセーショナルにならないよう演出はかなり抑えられていますね。その分、登場人物の立場ごとにひとりひとりしっかりとキャラクタ分けをして、難しい人間模様を落ち着いたトーンでまとめ上げた良質の作品だと思います。キャスティング面では、子役のジェイコブ・トレンブレイの秀逸さが目立ちましたが、ブリー・ラーソン、ジョアン・アレンらのしっかりした演技も印象に残りました。ルームスペシャル・プライス[Blu-ray]ブリー・ラーソンHappinet〔映画〕ルーム
2023年に公開された日本映画です。オリジナル戯曲が原作の“サスペンス”テイストの作品です。ただ、サスペンスといっても、主人公の生きし方を辿るかたちで、粛々と物語は進んでいきます。プロットの秀逸さや構成の繊細さに加え、本作の場合は、キャスティングされた役者のみなさんの演技が見事だったと思います。主演の杉咲花さんの熱演はもちろんですが、相手役の若葉竜也さん、森永悠希さん、そして宇野祥平さんに中村ゆりさん。なかでも、中村ゆりさんの迫真の演技は印象に残りました。市子[DVD]通常盤杉咲花,若葉竜也,森永悠希,倉悠貴Happinet〔映画〕市子
1987年に公開されたアメリカ映画です。一昔前の“サスペンス”作品です。そもそもの設定もラフですし、ストーリー自体も全くリアリティが感じられない稚拙なつくりですが、エンターテインメント作品としてはシンプルに楽しめます。ただ、最後のサプライズはいかがなものでしょう。途中にもう少し伏線を仕込んでおかないと少々無理筋のような感じがします。キャスティング面では、ケヴィン・コスナーとジーン・ハックマンという大物の共演がウリのようですが、ストーリーに深みがないこともあり、ふたりとも物足りなさを感じる出来でした。特にジーン・ハックマンは、かなり“情けない”役回りで、何とも勿体なかったですね。追いつめられて[DVD]ケビン・コスナーユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン〔映画〕追いつめられて
いつも聴いている茂木健一郎さんのpodcastの番組に著者の國分功一郎さんがゲスト出演していて、茂木さんと本書についてお話ししていました。なかなか面白そうなやり取りだったので、ちょっと気になって手に取ってみました。(数年前に出版された本ですが、文庫化されて、近場の図書館ではいまだに10人以上の待ち行列でした)数々の興味深い思索の解説がありましたが、それらの中から、私が関心を惹いて理解できたような感触を得たところをひとつ書き留めておきましょう。それは、「人類の定住化と退屈との関係」について。人類の“定住化”は約1万年前から食糧生産に先だって中緯度地方にて始まったとのことですが、國分さんは「定住によって人間は、退屈を回避する必要に迫られるようになった」と指摘しています。遊動生活では移動のたびに新たな環境に適応...暇と退屈の倫理学(國分功一郎)
2010年に公開されたアメリカ映画です。主人公の心理的葛藤を軸にしたドラマチックな作品かと思っていたのですが、予想以上に“サイコ・サスペンス”色が強かったですね。映像の作りとしては、幻覚のシーンが現実と混然一体化しているので、様子が分かるまでは、観ていて結構混乱してしまいました。キャスティング面では、主役を演じたナタリー・ポートマンは評判どおりの熱演で素晴らしかったのですが、私としてはライバル役のミラ・クニスのインパクトの方が新鮮でより印象に残りました。いずれにしても、二人ともキャラクタのコントラストを見事に描いていたように思います。ブラック・スワン[Blu-ray]ナタリー・ポートマンウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕ブラック・スワン
2016年に公開されたアメリカ映画です。サスペンス・スリラーという謎めいた雰囲気を起こそうとしてか、設定やストーリーは“グダグダ”していて、私の好みではありませんでした。まあ、エミリー・ブラントとレベッカ・ファーガソンの共演ということで観てみたというのが正直なところなので、そのあたりは少々目を瞑らないとだめなのでしょうね。とはいえ、それぞれが演じる役柄のコントラストは冴えていました。演技面では、ふたりとも流石の存在感で、“見応え”は十分に及第点でした。ガール・オン・ザ・トレイン[DVD]エミリー・ブラントNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕ガール・オン・ザ・トレイン
1957年に制作されたアメリカ映画です。アメリカではひとつの定番ジャンルとなっている“法廷もの”の金字塔ともいうべき作品です。無用なサプライズはなく、真っすぐに結末に向かって物語が展開されますが、それで十分“サスペンス”としての緊張感を醸し出していますね。確かに「名作」だと思います。映画を離れても、“裁判の本質”を考えるまたとない題材ですね。本作品と同じようなケースを想定すると「同調圧力」が大手を振っている日本ではどう物語は進むのでしょうか。主人公のような行動をとる人物は稀だとすると、冤罪を防ぐ最後の砦が必須になりますが・・・。十二人の怒れる男[Blu-ray]ヘンリー・フォンダワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント〔映画〕十二人の怒れる男
このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、全シリーズ読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているのですが、時折は、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。今回は、いつも利用している図書館で目についた本です。北海道が大好きな私にとって“旅情ミステリー”と小さく付記された「札幌時計台殺人事件」というタイトルは問答無用で気になりました。著者の木谷恭介さんは、内田康夫さんより7歳年上の作家で、たぶんその作品を読むのは初めてだと思います。さて、ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、読んでみると、典型的な「2時間ドラマの原作」のような印象でした。主人公のキャラクタ設定や謎解きで訪れる場所は、まさに...札幌時計台殺人事件(木谷恭介)
2001年に公開されたアメリカ映画です。アクション・コメディですね。伏線を回収したラストのサプライズまでストーリー展開のテンポがあがらず、エンターテインメント作品としては“可もなく不可もなし”という印象でした。半面、キャスティング面ではなかなかインパクトはありましたね。ビリー・ボブ・ソーントンの芸達者ぶりは刮目すべきものでしたし、何と言ってもケイト・ブランシェットの存在感は別格だったように思います。バンディッツ〈特別編〉[DVD]ブルース・ウィリス20世紀フォックスホームエンターテイメント〔映画〕バンディッツ
2021年に公開されたアメリカ映画です。サスペンステイストですが、ありがちな狭い世界を舞台に設定しているので、特段これといった特徴のないストーリー展開になってしまいました。キャスティング的には、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン、マギー・Qとなかなかに豪華なのですが、かなり勿体ない出来栄えですね。特に、マイケル・キートンの役どころがしっかり作りこまれていないので、物語の芯になる人間関係が観ていてしっくりこないのだと思います。これでは、単にマギー・Qを魅せるための映画のようです。まあ、それならそれでいいのですが・・・マーベラススペシャル・プライス[DVD]通常盤マギー・Q,マイケル・キートン,サミュエル・L.ジャクソンHappinet〔映画〕マーベラス
2022年に公開された日本映画です。平野啓一郎さんの長編小説が原作のサスペンスタッチの作品です。テーマの置き方によっていろいろな見方ができますね。そのあたりの重畳性を、安藤サクラさんをはじめ、妻夫木聡さん、窪田正孝さん、眞島秀和さん、柄本明さんら芸達者なキャスティングでしっかりと作りこんでいたように思います。特に柄本さんは、いかにも彼ならではの“怪演”が印象的で、なかなか見応えがありました。ストーリー、映像、キャスティングのバランスが秀逸で、和製エンターテインメントとしては、いい出来栄えの作品ですね。ある男[DVD]通常版DVD平野啓一郎松竹〔映画〕ある男
いつも利用している図書館の新着本の棚で目についたので手に取ってみました。著者の中森明夫さんは、コラムニストでアイドル評論家。中森さんの書き物は雑誌等で目にしたことはありますが、一冊の本として読むのはたぶん初めてだと思います。本書は中森さんの“得意ジャンル”である「日本のアイドルの半世紀」をたどったものですが、中森さんが私と同年代ということもあり、登場しているアイドルのみなさんは私も馴染みの方々だろうと期待して読み始めました。予想どおり数々の興味深いエピソードの紹介がありました。とはいえ、1971年の南沙織さんにはじまり、1980年代のアイドル全盛時代の話題には十分ついて行けたのですが、2000年代、2010年代と時を経るにつれてやはり無理でしたね。“大人数グループ乱立”のころからです。そういう中で、私でも...推す力人生をかけたアイドル論(中森明夫)
2009年に公開されたアメリカ映画です。「ターミネーター」シリーズの第4作目ですが、シリーズ間の時間的順序や設定の継続性等については必ずしも整合が取れているわけではないようなので、複数のシリーズ作品を観る際にはかなりラフに構えておいた方がよさそうです。シリーズ全体からみると、第一作目のアーノルド・シュワルツェネッガーが演じたメカとしての「ターミネーター」のインパクトが強烈だったのに比較して、本作の場合は“ストーリー性”に重きが置かれていますね。そのあたりは“観る側の好み”が分かれるところでしょう。ちなみに、興行的には今ひとつで、専門家の評価もあまり高くなかったようです。私は、観たのは2度目だと思いますが、嫌いではありません。結構楽しめましたよ。ターミネーター4スペシャル・エディション[Blu-ray]クリ...〔映画〕ターミネーター4
2022年に公開されたアメリカ映画です。1986年の「トップガン」から36年経っての続編というのも驚きですね。前作と比較すると、こちらの方がよりストレートに“エンターテインメント”に徹していたように感じました。主人公をはじめとして登場人物のキャラクタ設定が明瞭で、ストーリー展開もオーソドックスなものでしたね。ただ、私の場合、「予習」として前作を観ておいたのですが、それなしで本作を単独で観たとすると印象は変わっていたでしょう。やはり前作で描かれた人間関係や主要なエピソードを理解していないと、インパクトは半減以下になっていたように思います。本作品について言うなら、2作が1セットで“完結”です。トップガンマーヴェリックブルーレイ+DVD[Blu-ray]4550510033921トム・クルーズパラマウント〔映画〕トップガンマーヴェリック
2023年に日本・アメリカ合同で制作された映画です。1985年から連載が開始された車田正美さんのコミック「聖闘士星矢」が原作の実写版ですが、かなり印象が変わっていますね。もちろん長大なコミックのストーリーの頭の部分だけを映像化したものなので、原作の世界観を再現するのはそもそも無理というものです。まあ、これは本作に限ったことではなく、人気コミックの実写化が成功した例を私は知りません。(強いて言えば「るろうに剣心」がそこそこのレベルでした)かといって、この出来栄えだと、続編はどうなるでしょうね。今後につながるラストではありますが、正直なところちょっと難しそうです。聖闘士星矢TheBeginning[DVD]通常盤新田真剣佑,ファムケ・ヤンセン,マディソン・アイズマン,ディエゴ・ティノコHappinet〔映画〕聖闘士星矢TheBeginning
ラジオと戦争: 放送人たちの「報国」 (大森 淳郎・NHK放送文化研究所)
いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の大森淳郎さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。大森さんは長年NHKでディレクターとしてETV特集等を担当していた方です。本書は、その大森さんが、NHK放送文化研究所の月刊誌「放送研究と調査」で連載した記事をまとめたもので、太平洋戦争当時、ラジオ放送に関わった「放送人」が何を考え、どう行動し、何をしなかったのかを貴重な証言や音源から顕かにしていくノンフィクション作品です。紹介された数々の興味深いエピソードの中から、特に私の関心を惹いたものをいくつか書き留めておきましょう。まずは、日本放送協会(1926年に設立された社団法人:1950年設立の現在のNHKの前身)のラジオ放送における「国策的ニュース編集のはじまり」。(p35より引用...ラジオと戦争:放送人たちの「報国」(大森淳郎・NHK放送文化研究所)
2012年に公開されたアメリカ映画です。サスペンス・タッチの作品ですが、全編沈鬱な感じで、今ひとつテンポよく物語が進みません。ラストのサプライズは悪くはないのですが、そこに至る行動を起こすきっかけに納得感がないので、何とも座りの悪い出来栄えになってしまいました。もう少し細部まで構成を詰めてストーリー立てすれば、それなりに見ごたえのある作品になるように思います。かなり残念でしたね。クーリエタイムリミット60HOURS[DVD]ジェフリー・ディーン・モーガンエイベックス・ピクチャーズ〔映画〕クーリエタイムリミット60HOURS
1986年に公開されたアメリカ映画です。ようやく配信が始まった「トップガンマーヴェリック」を近いうちに観ようかと思っているので、復習がてら観直しました。とてもシンプルな“青春映画”で、設定やストーリー展開にも特段のインパクトは感じられず、エンターテインメント作品としての出来栄えとしては“可もなく不可もなし”という印象です。強いて今観る楽しみをあげるとしたら、CGではないリアリティのある戦闘機同士の空中戦のシーンと、40年近く前のトム・クルーズ、ヴァル・キルマー、メグ・ライアンの若々しい姿ぐらいかもしれません。トップガンスペシャル・エディション[DVD]トム・クルーズパラマウントホームエンタテインメントジャパン〔映画〕トップガン
1997年に公開されたアメリカ映画です。もう30年近く経つのですね、これ以上ないだろうという典型的な“ラブ・ストーリー”です。舞台も「タイタニック」ですから、ドラマティックな演出には不自由はないでしょう。3時間を超える作品なのですが、しっかりと作りこんでいるので冗長な感じはありません。エピソードの織り込み方の巧みさも大きいのですが、やはりレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットという主役二人が大いに魅せてくれました。今、観ると、体形にも貫禄がついたレオナルド・ディカプリオと不変の艶やかさを保っているケイト・ウィンスレットの「若き日の姿」がとても眩しく映ります。タイタニック<2枚組>[Blu-ray]レオナルド・ディカプリオウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕タイタニック
いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcast番組に著者の古川英治さんがゲスト出演していて紹介された著作です。古川さんは日本経済新聞モスクワ特派員の経験もあるジャーナリストです。今も続くウクライナへのロシア侵攻開始時には、まさにウクライナ人である奥様とキーウに在住。その後も現地での取材活動を通して、「自由」を堅守しようと戦うウクライナの人々の現実の姿を伝え続けています。本書に記されている迫真のエピソードの数々はどれも心に刺さるものだったのですが、それらの中から特に印象に残ったところをいくつか書き留めておきましょう。ロシア侵攻時に古川さんが直面した最大の悩みは「キーウから避難しようとしない妻の強い決意」でした。しかし、これは古川さんの奥さんだけの特異な考え方ではありませんでした。防空シェルター内での...ウクライナ・ダイアリー不屈の民の記録(古川英治)
2023年に公開された日本映画です。「X」という設定は、それを真っ当に扱うマスコミの姿とともに、まったくリアリティは感じられないのですが、にもかかわらず、ここまでストレートに押し通すと、それはそれで物語として成立するんですね。こういう舞台であるからこそ、そこで展開されるエピソードの非日常性で作為的なやり取りも妙に収まるようです。まあ、作品としては今ひとつ私には合いませんでしたが、唯一、久しぶりに観た上野樹里さんの暖かな存在感は印象に残りました。いい役者さんだと思います。隣人X疑惑の彼女上野樹里〔映画〕隣人X-疑惑の彼女-
2022年に公開されたアメリカ映画です。王位をめぐる暗殺劇をトリガーにした“復讐譚”で、北欧の叙事詩的ロードムービースタイルも目新しいものではありません。ニコール・キッドマンが登場していることで、彼女の役どころと大体のラストまでのストーリー展開が予想できてしまいますし、映像の方は、現実の情景を描いたシーンはともかく、空想のシーンは正直今の時代的には稚拙な出来栄えでかなり“がっかり感”があります。強いて印象に残ったところと言えば、アニャ・テイラー=ジョイの新鮮な存在感ぐらいでしょうか。こちらは今後の活躍が期待できそうです。ノースマン導かれし復讐者[DVD]4550510083117アレクサンダー・スカルスガルドNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕ノースマン導かれし復讐者
2022年に公開された日本映画です。私の受けた印象では、構成にしても映像にしても、なかなかに工夫が凝らされた意欲的な作品だと感じました。香川照之さんは、役者としての存在感はやはり出色のものがありますし、共演の中越典子さん、津田寛治さん、尾美としのりさんも、作品の醸し出す雰囲気にとてもマッチしていたように思います。ストーリー自体はちょっとしたミステリー仕立てなのですが、これといった山場もなく淡々と進んでいくので物足りなさを感じるかもしれません。とはいえ、こういったテイストの作品、結構、私は好みです。宮松と山下[Blu-ray]香川照之TCエンタテインメント〔映画〕宮松と山下
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第19作目」です。今回の舞台は“軽井沢”。軽井沢そのものへの出張はありませんが、プライベートで何度か訪れています。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、内田さんのもうひとつの人気シリーズ「信濃のコロンボ」の主人公竹村岩男警部も登場する珍しいコラボ作品です。本作で初めて二人が顔を合わせた設定ですが、適度な絡み方でよかったですね。ストーリー自体は、一昔前、昭和の香りがする展開でしたし...軽井沢殺人事件(内田康夫)
2019年から放映されているイギリス・オーストリア合作のテレビドラマです。舞台は1900年代初頭のオーストリアウィーンで、テレビドラマでありながら当時の時代感をしっかり醸し出しているのは、流石にBBCのドラマですね。サスペンス作品としては、よくある「コンビもの」で比較的淡々としたトーンで物語は展開していきます。ただ、通底している「フロイト流心理学」や「ユダヤ人問題」についての感覚がない私の場合、それらを踏まえてのこの作品の深みまでは理解することができないでしょう。ViennaBlood[DVD]JürgenMaurerPBS(Direct)〔ドラマ〕ViennaBlood(シーズン1)
2017年に公開された日本映画です。突然の「日本全国電力全断」という設定とそれによって始まる“サバイバル・ロードムービー”です。「サバイバル」といっても、ベースは“コメディ”なので刺激的な演出はありません。最後は、予定調和的なhappyendでの幕引きです。この手の映画は好みが分かれるでしょうね。私の印象は“今ひとつ”といったところでした。こういった作品にテーマのような「一本の軸」を期待するのは筋違いなのだと思いますが、どうにも中途半端な物足りなさが残りましたね。深津絵里さんも好演でしたが、ちょっともったいないキャスティングだったように感じました。サバイバルファミリーDVD小日向文世ポニーキャニオン〔映画〕サバイバルファミリー
2020年に放送された長編テレビドラマで、同年劇場映画としても公開されました。ドラマの割にはかなりしっかり作られている印象ですが、その点は、演技力で定評のある蒼井優さん、高橋一生さんのお二人に拠るところがとても大きいですね。さすがでした。あと、適度な“サプライズ”や“伏線回収”が効いたサスペンスタッチのストーリー展開はなかなか楽しめましたが、最後の最後は唐突で、ちょっと“息切れ感”が感じられたのは残念です・・・。スパイの妻<劇場版>蒼井優〔ドラマ〕スパイの妻
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。武田砂鉄さんの著作は、以前「マチズモを削り取れ」「べつに怒ってない」の2冊を読んでいるのですが、その論旨には、概ね同意するところとちょっと違うかなと感じるところが合い混じっていた印象があります。とはいえ、気になるライターさんではあるので本書も手に取ってみたという次第です。期待どおり数々の興味深いコメントや洞察がありましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、「学ばないほうが」という小文から。政治家自身の発言の中で顔を出した“ホンネ”のフレーズを問題視され、その釈明をするにあたってありがちな情景。(p104より引用)言い訳が貧相だと重大な物事まで貧相に染められてしまう。結果、問われること...なんかいやな感じ(武田砂鉄)
1992-93年に制作されたオリジナルビデオアニメーションです。原作は、1960年代の手塚治虫さんの漫画作品ですが、私の記憶にあるのは「テレビ放映された実写版」です。マモル役の江木俊夫さんは、のちにフォーリーブスのメンバとしてアイドル的人気を博しました。といってもピンとくる方は極々少数でしょう。さて、このアニメ版ですが、今回配信サービスで初めて存在を知りました。1990年代の作品にしてはアニメーションの出来はかなり貧相ですね。メインのキャラクタもそうですが、目につくのは「背景の絵の雑さ」です。すでに「スタジオジブリ」の作品が世に出ていたころで、もちろん比較するべくもないのですが、雲泥の差がありますね。手塚作品特有の“メッセージ性”も、作画品質がこのレベルだと残念ながらインパクトが感じられません。残念です。...〔アニメ〕マグマ大使
2022年に公開されたアメリカ映画です。“トレジャーハンティング”系のアドベンチャー色のかかった“ロマンティック・コメディ”といったところでしょうか。ただ、キャスティングが、サンドラ・ブロック、チャニング・テイタム、ブラッド・ピット、ダニエル・ラドクリフという何とも豪華絢爛な面々で、その分、かえって設定やストーリーの貧弱さが際立ちましたね。ラブコメにしては、主人公たちがちょっと重量系的過ぎます。なんとなく予想はついていましたが、エンターテインメント作品としては、やはり残念なレベルの出来映えでした。とはいえ、専門家の評価はまずまずらしく、私の感性もあてにはならないようです。ザ・ロストシティ[DVD]4550510066950サンドラ・ブロックパラマウント〔映画〕ザ・ロストシティ
1998年に公開されたアメリカ映画です。大型トラックが主役で爆走する類の作品は、アメリカ映画でよくあるパターンですね。その爆走シーンですが、この作品が制作されたのは今から25年以上前なので、ほどんどCGを使っての演出は見られません。その分かえって映像には迫力とリアリティが感じられますね。もっといえば、ストーリーやキャスティングについては特筆すべきところはなく、見どころはその「カーチェイス」シーンのみということでしょう。ブラック・ドッグ[DVD]パトリック・スウェイジポニーキャニオン〔映画〕ブラック・ドッグ
いつも聴いているpodcast番組(ジェーン・スーと堀井美香の「OVERTHESUN」)の企画で、ジェーン・スーさんと堀井美香さんが「東電社員殺人事件」を取り上げていました。事件当時、私の勤務地は東京電力本社の隣だったのと、被害者の女性社員が私とほぼ同年代であったことから記憶には残っているのですが、事件の背景や事実関係等にはほとんど関心は抱きませんでした。ということで、まず全貌を頭に入れておきたいと思い、本事件を扱った代表作である佐野眞一さんのノンフィクション作品を手に取ってみたというわけです。本書で佐野さんも指摘しているように、本事件は発生当時、異常ともいうべきセンセーショナルな扱いが先行しました。(p490より引用)いずれにせよ、渡辺泰子は魔風、淫風が吹きよどむ強い磁場のような円山町の底に引きこまれ、...東電OL殺人事件(佐野眞一)
2022年に公開された日本映画です。10年ほど前に連載されたコミックが原作の作品です。あまりにも現実離れした“シンプル”なテーマとストーリーなので、リアリティは全くないのですが、その分ピュアで、見終わっても程よい暖かさが残ります。ともかく登場人物のキャラクタ設定が各々クリアで、西野七瀬さん、平祐奈さん、馬場ふみかさんを配したキャスティングも、それぞれの役どころに上手くはまっていました。あと、気になったのが、路面電車やアーケード商店街。どうも見覚えがある感じだったのですが、やはりそうでした。当時からそれなりに変わっているはずなのですが、なんとなく引っかかるものですね・・・。恋は光[DVD]通常盤神尾楓珠Happinet〔映画〕恋は光
2022年に公開されたアメリカ映画です。評判どおりなかなか見ごたえのある作品でした。主人公の個性的なキャラクタ設定が成功の大きな要因ですね。ちょっと過剰演出かと感じるところもありましたが、ともかく主人公を演じたケイト・ブランシェットは確かに大熱演だったと思います。あと、気になったのが、マーク・ストロング。あのヘアスタイルは率直言って違和感満載・・・、いかがなものでしょう?TAR/ターブルーレイ+DVD[Blu-ray]4550510077109ケイト・ブランシェットNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕TAR/ター
2024年に配信された日本の長編ドラマです。1988年から連載されたかわぐちかいじさんの同名人気コミックが原作で、2023年には実写版として映画化もされました。本作品は、その映画のあとを受けて同じキャスティングで公開されたものです。そもそもの原作コミックがなかなか一筋縄ではいかないテーマを扱ったものなので、本作も含めその後アニメや実写化された作品も、そのモチーフやストーリーについて軽々に論じるのは悩ましいですね。その点では、とてもチャレンジングで興味深い作品だと思います。沈黙の艦隊シーズン1東京湾大海戦『沈黙の艦隊』シーズン1東京湾大海戦LINGOLSN0002〔ドラマ〕沈黙の艦隊シーズン1~東京湾大海戦~
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第17作目」です。今回の舞台は“箱根”。箱根そのものへの出張はありませんが、プライベートでは何度となく訪れています。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品は内田さんによる巻末の「自作解説」でも語られているように、いままでの“旅情ミステリー”といったテイストとは全く異なるものですね。作中でも触れられていますが、アガサ・クリスティーの名作「そして誰もいなくなった」を思い浮かべ...終幕(フィナーレ)のない殺人(内田康夫)
1984年に公開された日本のアニメ映画です。原作は当時大人気だった高橋留美子さんのコミック「うる星やつら」ですが、本作品はそのコミックやテレビアニメとはかなり“世界観”が異なります。コミックファンからみると、まったく別系統という印象です。作品としての評価は結構よかったらしいのですが、私としては、長編映画用の凝ったストーリーや新たなキャラクタにはあまり馴染めませんでした。正直なところ、私はもともとのほのぼのとした“ギャグ系アニメ”の方が好みですね。うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー[デジタルリマスター版][Blu-ray]古川登志夫東宝〔映画〕うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー
2008年に公開されたアメリカ映画です。主人公の「ハルク」はマーベル・コミックのキャラクターですが、結構“キワモノ”っぽいので今ひとつ華がありません。そういうところもあってほとんど期待しないで観たのですが、ちょっと初期の“キングコング”の雰囲気も感じられて、私としては予想外に楽しめました。ラストシーンでも示唆されているとおり、このあとハルクとしての単独の続編は(現時点まで)なく、その活躍の場はアベンジャーズに引き継がれたようです。インクレディブル・ハルク(1枚組)[DVD]エドワード・ノートンソニー・ピクチャーズエンタテインメント〔映画〕インクレディブル・ハルク
2000年に公開されたアメリカ映画です。ブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソンの共演作としては「ダイ・ハード3」が浮かびますが、本作品はその5年後に作られたものです。ジャンルとしては“サスペンス”に分類されるのでしょうが、それはラストの種明かしがあってのことで、今ひとつメリハリのない展開です。全体的なストーリーには、中途半端なアメリカンコミック的なテイストも漂っていて、どうにも私の好みではありませんでした。アンブレイカブルプレミアム・エディション[DVD]ブルース・ウィリスブエナビスタホームエンターテイメント〔映画〕アンブレイカブル
吉村昭さんの小説やドキュメンタリー等は今までも何冊も読んでいて、私の好きな作家のひとりです。本書は、いつも利用している図書館の書架で目についたものですが、その帯には「最後の随筆集」と記されていました。ちょっと気になりますね。目次を覗くと、吉村作品の舞台裏を垣間見ることができる数々のエッセイに加え、巻末には、小沢昭一さんとの対談も採録されています。とても興味深い一冊ですが、本書で吉村さんが残した言葉の中から、特に私の関心を惹いたところを少々書き留めておきましょう。まずは、吉村さんの「歴史小説」を書く時の基本姿勢を語ったくだり。(p146より引用)その癖がそのまま歴史小説を書く上でも現われ、ですから史実に忠実に書きたいと思い、それを念願としているのです。それに、史実そのものが私はドラマだと思うのです。変に小説...ひとり旅(吉村昭)
2021年に公開されたアメリカ映画です。“サイコスリラー映画”とされていますが、ストーリーよりも「映像」を魅せる作品のように感じます。全編、重く沈んだようなトーンで統一されていて、好みという点では、私にはちょっと合わなかったのですが・・・。ただ、ラストシーンは、(ありがちではありますが、)遥か昔「猿の惑星」のラストを観た時のインパクトを小ぶりにしたようで印象的でしたし、キャスティング面では、ケイト・ブランシェットを筆頭に、トニ・コレット、ルーニー・マーラ、メアリー・スティーンバージェンと並ぶ女優陣は壮観でしたね。ナイトメア・アリーブルーレイ+DVDセット[Blu-ray]ブラッドリー・クーパーウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕ナイトメア・アリー
2023年に放映された日本のアニメシリーズです。同名のコミックが原作で、このシリーズはTVアニメシリーズとしては2作目となります。コミックの方はまだ連載中なので、この「渋谷事変編」もストーリーの一部に過ぎません。そのせいもあってか“中途半端感”はかなりのものでした。シーズン1の方がまだエピソードに物語性があってメリハリも効いていたのですが、こちらは、単なる「戦闘シーン?」がこれでもかと詰め込まれただけのようで、正直、このシリーズだけだと「駄作」と言わざるを得ないですね。また、続編としてのシーズン3も登場するのでしょうから、そちらでのリベンジに期待しましょう。呪術廻戦渋谷事変1Blu-ray(初回生産限定版)特典なし芥見下々東宝〔アニメ〕呪術廻戦(シーズン2)
2015年に公開されたアメリカ映画です。ストーリー自体は、かなりシンプルな“追跡・復讐劇”ですが、実在の人物と彼のエピソードをもとにして映画化されたものとのこと。その点を思うと、この作品が持つ厚みへの印象が変わってきます。実際の過酷なロケーション現場での撮影がかなりの部分を占めている映像は、リアリティに富んでいて見事でしたし、レオナルド・ディカプリオをはじめとする出演者の面々も、みなさん熱演でしたね。また、全編を通して重厚に流れる音楽は坂本龍一さんによるものでした。これもまた心に響きます。レヴェナント:蘇えりし者[DVD]レオナルド・ディカプリオウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕レヴェナント:蘇えりし者
いつもの図書館の新着図書リストで目につきました。このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているので、この本はちょっとした息抜き、気分転換の一冊です。森村誠一さんの作品はずっと昔からそこそこ読んでいたのですが、再読ではない本は久しぶりです。また短編集というのも私にとっては珍しいですね。さて、ミステリー小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、採録されている6編、いかにもサスペンス小説にありがちタッチのものもあれば、ちょっとファンタジックなテイストのものもあり、それぞれに色合いが異なっていて考えて選ばれているのが十分感じられました。とはいえ、今まで読んでいた森村さんの作品は「長編」のものがほとんどだった私の場合、正直なとこ...最後の矜持森村誠一傑作選(森村誠一)
2023年に放映されたアメリカのテレビドラマシリーズです。「シーズン1」が結構面白かったので、続けて観てみました。登場人物のキャラクターが個性的で、ストーリー構成にも工夫があった前シリーズと比較して、こちらはかなり淡白でしたね。シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーの一連のアクション映画のような感じがして、ちょっとがっかりです。とはいえ、下手な映画よりは十分上をいく水準のドラマなので、もし続編が配信されたら、また観るでしょうね。リーチャー~正義のアウトロー~シーズン2アラン・リッチソン〔テレビ〕リーチャー~正義のアウトロー~シーズン2
2022年に放映されたアメリカのテレビドラマシリーズです。元アメリカ陸軍憲兵隊特別捜査官「ジャック・リーチャー」といえば、トム・クルーズが主人公を演じた映画が先行していて、この作品は同じ原作小説をテレビドラマ化したものです。こちらの主人公はアラン・リッチソンが演じていますが、トム・クルーズとはかなりタイプが違いますね。ただ、ここまではっきりとキャラクタ設定を固められると、観ていて安定感を感じます。連続ものだけに、ストーリー展開も一話ごとに山場があって飽きさせませんし、中途半端な「映画」よりも出来栄えはずっと上だと思います。シーズン2もあるようなので、またトライしてみましょう。リーチャー~正義のアウトロー~ウィリー・C・カーペンター〔テレビ〕リーチャー~正義のアウトロー~シーズン1
2003年に公開されたアメリカ映画です。“サスペンス”作品ですが、あまりにも都合の良すぎる設定とストーリーなので逆に興覚めしてしまいます。ラストのHappyendも、そもそももトラブルの背景が語られていない中、何が原因で心境が変化したのか、まったく意味不明ですね。オスカー俳優のデンゼル・ワシントンが主役を務めた作品ですが、あちらこちらで“雑な演出”が散見されたのは残念です。タイムリミット[DVD]デンゼル・ワシントンアミューズソフトエンタテインメント〔映画〕タイムリミット
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第16作目」です。今回の舞台は“長崎”。長崎には、中学校時代の修学旅行を皮切りにプライベートで何度か訪れていますし、社会人になってからは、30年ほど前、熊本勤務時にも、また東京に戻ってからも出張で顔を出しています。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、やはり、内田さんは“旅情ミステリーの旗手”ですね。この“長崎”のように独特の雰囲気を持った街を舞台にして、その名所や風景、そこにま...長崎殺人事件(内田康夫)
1986年に公開されたアメリカ映画です。“アクション”作品ですが、当時はここまで垢抜けない映像だったのかとちょっと驚きました。記憶にある「007」や「インディ・ジョーンズ」といった人気シリーズのそのころの作品はもう少しマシだったように思います。出演していたトミー・リー・ジョーンズ、リンダ・ハミルトン、ロバート・ヴォーンといった面々の見た目やヘアスタイルが、かなりノスタルジックだったせいもあるようです。ブラックライダー[DVD]トミー・リー・ジョーンズパラマウントホームエンタテインメントジャパン〔映画〕ブラックライダー
2006年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画です。近未来を舞台にした“SF作品”と位置づけられそうですが、こういう設定は初めてでした。オリジナリティ溢れるモチーフですね。ストーリーラインは単純ですが、こういった原初的で普遍的なテーマを扱うのに手の込んだ構成は必要ないのでしょう。そのあたりは、原題“ChildrenofMen”の方が直截的ですね。映画の出来としても、なかなかよかったですよ。カメラワークもリアリティを感じるものでしたし、クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケインといったビッグネームも抑制の効いた印象的な演技だったと思います。トゥモロー・ワールドプレミアム・エディション[DVD]クライヴ・オーウェンポニーキャニオン〔映画〕トゥモロー・ワールド
2023年に公開された日本映画です。2021年にテレビドラマとして放映されたシリーズの「映画版」とのことですが、サスペンスというよりは“コメディ”っぽい作品ですね。主演は広瀬すずさんですが、この映画では、彼女の良さはほとんど活かされていなかったように思います。共演の橋本環奈さんや真木よう子さんも同様です。こういった中途半端なノリの作品は、役者さんにとってもキャリアの積み上げにはならないでしょう・・・、残念です。映画ネメシス黄金螺旋の謎通常版DVDDVD広瀬すずバップ〔映画〕映画ネメシス黄金螺旋の謎
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。東大入試の世界史の論述問題は、様々な国や地域を舞台にした政治史・経済史・社会史・文化史等のジャンルを横断的に関連付けて理解していないと対応できない“ユニークな切り口の提示”が特徴的です。本書は、その東大入試の問題を材料に、“世界史を俯瞰的・横断的に理解するための思考法”を解説したものとの触れ込みですが、なかなか“魔法の杖”のような「具体的な思考法」を示すのは難しいですね。東大世界史の論述問題は、あるテーマを設定し、ある程度の空間的・時間的スパンにおける“流れ(=変化)”を論じさせるものが多いようで、それに対応する思考パターンとして、著者は、「変化前」→「変化の要因」→「変化後」を考えるというフレームを提示しています。そして、そのパー...東大の良問10に学ぶ世界史の思考法(相生昌悟)
2016年に公開されたロシア映画です。よくある“贋作”をモチーフにしたサスペンス作品です。主人公の設定があまりにも“雑”で、危険であろうがどうであろうがやることすべて“軽率”で“乱暴”なので、まったくリアリティを感じません。主犯格の人物も、登場と同時に見当がつくほど、ストーリーも稚拙です。典型的な“B級作品”ですね。ラン・スルー・ザ・ナイト[DVD]アンナ・チポフスカヤビデオメーカー〔映画〕ラン・スルー・ザ・ナイト
〔アニメ〕機動戦士ガンダムSEED DESTINY HDリマスター
2013年に制作されたTVシリーズです。前シリーズの「機動戦士ガンダムSEEDHDリマスター」と同様に“リマスター”版として制作されたものです。完全に前シリーズの続編なので、こちらだけ観るとちょっとこの世界観に入って行きにくいかもしれません。設定やストーリーだけでなく「テーマ」も引き続きなかなか難解で重いものを扱っていて、製作者の継続的なチャレンジ精神が感じられます。アニメ作品としても、登場するキャラクタのそれぞれの個性がはっきりと描き分けられていてその構成力は十分評価できます。まあ、50回という長丁場の作品なので、ところどころに冗長なところも感じられますが、それもやむを得ないところですね。機動戦士ガンダムSEEDDESTINYHDリマスターCompleteBlu-rayBOX機動戦士ガンダムSEEDDE...〔アニメ〕機動戦士ガンダムSEEDDESTINYHDリマスター
2021年に公開されたイギリス・アメリカ合作映画です。「キングスマン」シリーズの3作目で、前2作の“前日譚”という位置づけなのですが、キャスティングは前2作に比較して少々地味ですし、出演俳優の共通性もないので、かえってこの作品だけ観ても違和感はありません。登場人物には歴史上の有名人を配し、ストーリーと構成で“アクション・ファンタジー”といったテイストのエンターテイメント作品に仕上げています。なのですが、結構淡白な展開で、出来栄えとしては“ちょっと物足りない”といった感じですね。キングスマン:ファースト・エージェント[DVD]DVDマシュー・ヴォーンウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕キングスマン:ファースト・エージェント
NHKラジオ深夜便 絶望名言2 (頭木 弘樹・NHK<ラジオ深夜便>制作班)
少し前に本書の前作を読んだのですが、一味違った視点に感化されました。前作出版後も「NHKラジオ深夜便」の名物コーナーは継続していて、本書は、その内容を第2作目として採録したものです。先の投稿と同様、その中から特に印象に残った部分をいくつか書き留めておきます。まずは、「中島敦ー自分にふさわしくないことが起きるという絶望に」の章から、小説「李陵」の一節を引用した頭木さんの言葉です。(p55より引用)常々、彼は、人間にはそれぞれその人間にふさわしい事件しか起こらないのだという一種の確信のようなものを有っていた。たとえ始めは一見ふさわしくないように見えても、少なくともその後の対処のし方によってその運命はその人間にふさわしいことが判ってくるのだと。これも、そうではなかった、と言っています。これはとても重要なことだと...NHKラジオ深夜便絶望名言2(頭木弘樹・NHK<ラジオ深夜便>制作班)
2023年に公開された日本映画です。もともとは人気コミックが原作で、その後、一部キャラクタ設定を変更してTVドラマ化され、さらにこの映画は「TVドラマの続編」といった関係とのこと。“リーガル”ものということでちょっと期待してみたのですが、やはり「アメリカ映画」でよくあるようなシリアスなテイストとは全く別物でした。正直、まったくリアリティが感じられない人物設定やストーリー展開で、大いに残念な出来栄えでしたね。映画『イチケイのカラス』DVD通常盤[DVD]DVD浅見理都東宝〔映画〕イチケイのカラス
2014年に公開された日本映画です。人気テレビドラマシリーズの「劇場版第4作」、“完結編”。私の場合、タイトルは聞き知ってはいましたが、テレビ放映は観たことがないので、単発ものの映画としてトライしたことになります。“コメディ”としては、極々普通で取り立てて印象に残るところはありません。当時、人気を博していた仲間由紀恵さんの代表作のひとつということがウリだったのでしょうね。そういった時代感を踏まえると、共演の方々には大いに懐かしさを感じました。トリック劇場版ラストステージ(本編DVD1枚組)仲間由紀恵東宝〔映画〕トリック劇場版ラストステージ
2012年に制作されたアメリカ映画です。「エクスペンダブルズ」シリーズの2作目の作品です。先週、公開中の最新作(エクスペンダブルズニューブラッド)を観たのですが、正直なところ、いままでのシリーズよりもかなりスケールダウンした印象を受けました。ということで、以前の作品で口直ししようと思ったわけです。別に昔のものが設定やストーリーといった点で優れているわけではありません。基本的な“つくり”は同様にシンプルこの上ないのですが、やはりキャスティングの豪華さでは雲泥の差を感じます。シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレン、チャック・ノリス、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ブルース・ウィリスにアーノルド・シュワルツェネッガー・・・、ここまでアクション映画の主役級が揃うのはこのシリーズぐら...〔映画〕エクスペンダブルズ2
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第18作目」です。直前に読んだ「美濃路殺人事件」は15作目なので、間の2作品を飛ばしたことになります。予定外だったのですが、たまたまいつも行っている図書館の書架で本書を見つけたので、先に読むことにした次第です。今回の舞台は“越前福井”。以前勤務していた会社のお客様が福井に本店があったので何度か訪れたことがあります。駅前の「恐竜のモニュメント」はなかなかのインパクトですね。ネタバレになるとま...竹人形殺人事件(内田康夫)
2022年に公開された日本映画です。もともとは人気コミックで、その後テレビドラマシリーズ、劇場映画と長い間いろいろなメディアで好評を博した作品なんですね。私は、この最新映画を観るまでは、何となく「名前」を聞いたことがあるぐらいで、ほとんど知らないに等しい状況でした。しかし、この作品、ちょっとエピソードを詰め込み過ぎのような気がしました。“シリーズ完結編”との位置づけでもあるようなのでやむを得ないところもあるのでしょうが・・・。演出も、ちょっと“わざとらしさ感”が目立っていて気になりました。あと、基本的な作りが“一昔前の予定調和的人情劇”といったテイストなので、以前からのシリーズのファンの方はともかく、私のような“初見”の鑑賞者にとっては合う合わないが出るでしょう。私としては、せっかくの“メッセージ”や“現...〔映画〕Dr.コトー診療所
2022年に公開されたアメリカ・イギリス合作映画です。原作はアガサ・クリスティの代表作のひとつ「ナイルに死す」で、1978年にも映画化されています。原作への忠実度でいえば、1978年作と比較して、ストーリーはともかく登場人物の設定はかなり手を入れていますね。もちろん、エンターテイメント作品ですから、知財上の問題がなければ製作者の見せ場でもあります。私の感想としては、せっかく手をいれたのんであれば、もう少し登場人物と主人公との細部の関わりに拘って欲しかった気がします。そのあたりは「オリエント急行殺人事件」の方がしっかりしていましたね。映像は綺麗でしたし、ガル・ガドットの存在感も流石だっただけに、正直ちょっと期待外れ感が否めませんでした。まあ、そこは“期待値の高さ”故でもあるのでしょうが・・・。ナイル殺人事件...〔映画〕ナイル殺人事件
2012年に制作されたTVシリーズです。2002年に放映された「機動戦士ガンダムSEED」の再構成版ですが、主要なストーリー構成は本放送版に沿っているとのことです。1970年代に始まった「機動戦士ガンダム」シリーズのひとつですが、本作品はかなり重いモチーフを扱った物語で、「従来のガンダムシリーズからよりターゲット年齢層を下げた作品」というにはショッキングなエピソードがかなり織り込まれていたように思います。私のような年代の者ですら、シーンによってはここまで踏み込むのかと、ちょっと辛かったですね。【メーカー特典あり】機動戦士ガンダムSEEDHDリマスターCompleteBlu-rayBOX(特装限定版)(メーカー...4934569367013バンダイナムコアーツ〔アニメ〕機動戦士ガンダムSEEDHDリマスター
いつも利用している図書館の新着本リストで目についた本です。こういったタイトルに代表されるような「●●思考」をテーマにした本は、いままでもあれこれと読んでいます。今の私の立場では、もう目の前の仕事に活用するといったシーンはほとんど考えられなくなっているのですが、やはりちょっと気になります。実態を把握・整理し論理的アプローチにより事象や対策を評価・判断するには、一段階抽象化した「モデル」を設定することは有益です。本書は、その「モデル分析」の具体的作法を紹介したもので、それそれの章ごとに興味深い気づきはありましたが、それらの中から特に印象に残ったところを1、2覚えとして書き留めておきます。まずは著者の栗田治さんが本書で紹介している「モデル」の定義を端的に示しているくだり。(p40より引用)モデルとは目前の現実を...思考の方法学(栗田治)
2014年に制作されたアメリカ映画です。「エクスペンダブルズ」シリーズの3作目の作品ですが、公開中の最新作を近々観ようかと思っているので、予習がてら直前作を観ておきました。たぶん2度目だと思います。言わずもがなですが、ストーリーはこの上なく単純、“指示された相手と戦い捕まえる”だけ。とはいえ、ここまで“アクションがウリの大物”を集めての制作は、それだけでも大変なことなのでしょう。シルヴェスター・スタローンを筆頭に、ジェイソン・ステイサム、アントニオ・バンデラス、ジェット・リー、ウェズリー・スナイプス、ドルフ・ラングレン、メル・ギブソン、ハリソン・フォード、アーノルド・シュワルツェネッガー・・・、このキャスティングはエグイです。その肝心のアクションですが、本編でも感じはしましたが、最後のメイキング映像をみる...〔映画〕エクスペンダブルズ3ワールドミッション
2014年に制作されたイタリア映画です。実際のところはわかりませんが、“まさにイタリアン・コメディ”といった作品ですね。私のような素人から見ると、登場人物も、キャラクタの設定も、またシナリオの構成もコテコテの“陽気なイタリア”という印象です。なので、観る人によって、合う合わないはハッキリするでしょう。私はといえば、ときどき1本ぐらいはOKですが、正直なところ、こんなノリの作品を何本も連続して観るのはちょっと無理ですね。これが私の人生設計[DVD]パオラ・コルテッレージバップ〔映画〕これが私の人生設計
2013年に制作されたアメリカ映画です。ちょっと前に観た「RED」の続編の“アクション・コメディ”作品になりますが、やはり第一作目に比較すると、ストーリーとしてのインパクトは今ひとつのようです。まあ、そのあたりは前作の主要メンバは残したうえに、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、イ・ビョンホン、さらにはアンソニー・ホプキンスまで加えた超重量級のキャスティングでカバーしたという感じでしょうか。ともかく、主役のブルース・ウィリスにとっても結構得意とするテイストで、彼らしい存在感を発揮していました。このところの“残念モード”の作品に首を突っ込んでいるのは、どうにももったいないですよね。REDリターンズブルーレイ[Blu-ray]ブルース・ウィリスウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕REDリターンズ
NHKスペシャル 人類誕生 (NHKスペシャル「人類誕生」制作班・馬場 悠男)
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。こういったタイトルの本は、ともかく気になります。本書は、“NHKスペシャル「人類誕生」”の書籍版、テレビ放送を観ていないのが残念です。最新の研究成果が豊富なグラフィックとともに紹介されていてとても興味深い内容でしたが、その中から私の関心を惹いたくだりをいくつか覚えとして書き留めておきます。まずは、「ネアンデルタール人」のイメージの変遷について。(p112より引用)ネアンデルタール人ほど、そのイメージが二転三転した人類はいないだろう。1868年にフランスでクロマニョン人の化石が見つかったことで、ネアンデルタール人は祖先ではないと認識され、凶暴な原始人の代表と見なされるようになった。しかし、その後、さまざまな人類種の発見によって、アウス...NHKスペシャル人類誕生(NHKスペシャル「人類誕生」制作班・馬場悠男)
1969年に公開されたイギリス/西ドイツ/アメリカ映画です。第二次世界大戦における英本土上空の制空権を巡る英独の戦い「バトル・オブ・ブリテン」を描いた戦争映画ですが、正直なところ、この上なく退屈な作品でした。惹き込まれるようなストーリー展開があるわけでもなく、スポットライトを当てた主人公がいるわけでもなく、ただただ戦闘の経過を映像でなぞっていっただけのように感じましたね。大物俳優さんも数多く出演していたようですし、当時はCGによる映像処理もなかったので、画面に登場する爆撃機・戦闘機等は実物やそれを模した模型が使われたのでしょうから、そのあたりの苦労は膨大なものがあったのだと思いますが・・・、だから「映画として楽しめるか」といえば、それはそれで別物でした。空軍大戦略[DVD]サー・ローレンス・オリビエ20世...〔映画〕空軍大戦略
2020年に制作されたフランス/ベルギー映画です。フランス革命前夜を舞台に、貴族の料理人を解雇され、身分に関係なく楽しめる食事処(レストラン)を開いた主人公を描いた作品です。ストーリー自体にはあまりリアリティはありませんが、ライトタッチでとてもお洒落な出来栄えのエンターテイメントに仕上がっていますね。フランスの片田舎の美しい風景を活かした映像がとても印象的でした。配信サービスを利用していると、確率的には大雑把なつくりのアメリカ映画に触れることが多いのですが、時折こういったテイストの作品に出逢えると素直にホッとしますね。デリシュ![DVD]グレゴリー・ガドゥボワTCエンタテインメント〔映画〕デリシュ!
2019年に制作されたアメリカ映画です。往年の人気テレビドラマシリーズの映画化版で、今までも劇場映画としては2作制作されているので、この作品は3作目となります。テレビシリーズも含め以前の作品との連続性はキープしていますが、メンバーは刷新されています。私ぐらいの年代では、ファラ・フォーセット・メジャーズのインパクトがあまりに強いので、さすがに当時から40年以上経った「エンジェル」にはついていけそうもなく、また、映画の出来としてもほとんど期待していなかったのですが、豈計あにはからんや結構楽しめました。主役の3人のキャラクターにそれぞれエッジが効いていたところが大きいですね。チャーリーズ・エンジェル4KULTRAHD&ブルーレイセット[Blu-ray]クリステン・スチュワートソニー・ピクチャーズエンタテインメン〔映画〕チャーリーズ・エンジェル
いつも利用している図書館の新書の棚で目についたので手に取ってみました。少し前に同じ岩波新書の「玄奘三蔵」を読んだところだったので、彼の足跡と重なるインド国内の仏教遺跡を紹介した内容に関心を持ったというわけです。本書は、多くの写真とともに本家本元のブッダの布教・伝道活動の旅程を辿ったものですが、巻末には解説として「ゴータマ・ブッダ―その人と思想」をいうタイトルで、仏教学者で東京大学名誉教授前田專學氏による仏教誕生の概要が紹介されています。そういう点では、初心者向けブッダ入門でもあり、私のような無学者にとっては有益な本であるはずなのですが、正直なところ、ブッダの生涯の旅路に沿って史跡や風景の写真を眺めるだけで終わってしまいました。それでも私の無知故の気づきですが、今のインドにはブッダ所縁の仏教遺構はほとんど廃...カラー版ブッダの旅(丸山勇)
2010年に制作されたアメリカ映画です。シリアスなアクション作品かと思ったのですが、DCコミックスが原作の“コメディ”テイストの作品でした。ブルース・ウィリスが主演だったのであまり期待していなかったのですが、ストーリー自体はともかく、展開にはメリハリがあって予想外に面白かったですね。メアリー=ルイーズ・パーカーのちょっと場違いなキャラは効果的でしたし、モーガン・フリーマン、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレンも持ち味を十分に発揮していました。続編もあるようなので、これなら(あまり過度な期待はしないで)トライしてみましょう。レッド(Red2010)(JA-Subbed)BruceWillis〔映画〕RED/レッド
2014年に制作されたイギリス・アメリカ・ドイツ合作映画です。スパイ映画の巨匠ジョン・ル・カレの作品が原作でフィリップ・シーモア・ホフマンが主演ということなので、作品の空気感は想像できますし、ラストの方向性も見当がつきますね。その点では“予想どおり”でした。キャスティング面でいえば、フィリップ・シーモア・ホフマン、ウィレム・デフォーは無難なところですが、ヒロインのレイチェル・マクアダムスはこういったテイストの作品にもマッチしますね。それは、トーンにあっているというよりは、ちょっとしたアクセントとして効果的ということですが、決してシニカルな意味ではありません。誰よりも狙われた男スペシャル・プライス[DVD]フィリップ・シーモア・ホフマンTCエンタテインメント〔映画〕誰よりも狙われた男
2022年に公開されたアメリカ映画です。実際に起こった事件をベースにしたエンターテイメント作品で、ちょっと時代がかった雰囲気が印象的でした。クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ラミ・マレック、ロバート・デ・ニーロと並ぶキャスティングはかなり豪華でしたが、興行的には今ひとつ。批評家による評価もあまり芳しくなかったようです。とはいえ、クリスチャン・ベールの役作りと演技力は十分見るべきものがありましたし、マーゴット・ロビーも華やかさは隠せませんが、それでもちょっと抑えた感じの存在感で結構良かったように思います。私としては、結構楽しめた作品でした。アムステルダムブルーレイ+DVDセット[Blu-ray]ブルーレイ+DVDデヴィッド・O・ラッセルウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社〔映画〕アムステルダム
かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第15作目(13冊目:この前の作品「鏡の女」は3編の短編集でした)」です。今回の主な舞台は“愛知県”と“岐阜県”。愛知県は名古屋があるので年に数回は顔を出しますが、岐阜県への仕事関係の出張はありません。新幹線では何度となく通過していますが、実際訪れたのは、40年以上前、高校時代の友人と飛騨高山に旅行したときぐらいです。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、本作は、シリーズの中では...美濃路殺人事件(内田康夫)
2022年にイギリス・アメリカ制作の映画です。「ハリー・ポッター」に代表されるいわゆる“魔法ワールド”シリーズの中の1作品で、これ以前に「ファンタスティック・ビースト」シリーズとしては2作品ありました。いずれも観ているのですが、主要登場人物の「顔」以外はほとんど記憶にありませんでした。なので、続編というよりも「単独作品」として観てみたわけですが、まあまあといった印象ですね。ストーリー展開は、それほどファンタジックなテイストではないので、そういった楽しみを期待していたファンにとっては少々期待外れに感じたのではないでしょうか。ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密ブルーレイ&DVDセット(2枚組)[Blu-ray]デイビッド・イェーツワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント〔映画〕ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
2016年に制作されたアメリカ映画です。ときおり見かける“法廷サスペンス”ですね。ただ、そうだとするとプロットもストーリーも結構淡白です。もちろん、ラストにサプライズは準備されているのですが、その決着のつけ方も“尻切れトンボ”なので今ひとつ満足感がありません。キアヌ・リーブスとレネー・ゼルウィガーの共演の割には、物足りなさが残りますね。ググ・バサ=ローの役どころが、同じころ制作された「女神の見えざる手」のときのように、もっとストーリー展開の擾乱要因として活かすことができていればよかったのですが。砂上の法廷(字幕版)キアヌ・リーヴス〔映画〕砂上の法廷
2021年に制作されたアメリカ映画です。結構最近のブルース・ウィリス主演作品ですが、やはり“しっかりした作りの大作”とは程遠いですね。設定は何とも無理筋ですし、演出も単純、そもそも、“作品としての完成度の追求”といった類のものは狙っていないのでしょう。引退した“凄腕エージェント”の復活というモチーフも目新しさはありません。エンディングのシーンで続編が準備されているのは明らかですが、どうでしょう、次作も観るかといえば、「たぶんない」という印象ですね。ドント・サレンダー進撃の要塞【DVD】通常盤ブルース・ウィリスアメイジングD.C.〔映画〕ドント・サレンダー進撃の要塞
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。五木寛之さんのエッセイをみると、いまだについ手が伸びてしまいます。「地図のない旅」というタイトルの本ははるか昔読んだ記憶があるのですが、長い年月を経ての“新”版です。先に読んだのは「Ⅰ」で、こちらは同時期に出版された「続編」になります。内容は、「Ⅰ」と同じく、特に目新しい視点があるわけではないのですが、それでもやはり気になるフレーズには出会えますね。それら中から私の関心を惹いたくだりをいくつか覚えとして書き留めておきます。まずは、「悲しいときに歌う歌」との小文で心を止めたくだりです。ここでの五木さんが語る心情は、先に読んだ「NHKラジオ深夜便絶望名言」という本のメッセージにも通底しているんですね。(p76より引用)私は少年時代の一時...新・地図のない旅II(五木寛之)
2023年に公開されたアメリカ映画です。ジェラルド・バトラーが製作と主演を務めた作品で、アフガニスタンを舞台にしたアクションものです。基本的なストーリーラインは“脱出”というシンプルな設定ですが、登場人物のプロットがそれぞれにしっかりしているので結構見応えがありました。荒涼とした風景とともに流れる音楽も効果的でした。同じようなモチーフをシルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーが演じても、こういう骨太のテイストにはならないでしょうね。カンダハル突破せよBlu-ray&DVD[Blu-ray]通常盤ジェラルド・バトラー,ナヴィド・ネガーバン,アリ・ファザール,バハドール・フォラディHappinet〔映画〕カンダハル突破せよ
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2020年に公開された日本映画です。2011年公開の韓国映画のリメイク版とのことですが、今どきここまで“ベタ”なストーリーは珍しいですね。よくもまあこんな偶然が続くのかといった“割り切った”つくりの作品を、何の衒いもなくストレートに演じ切る吉高由里子さんは、とても稀有なキャラクタの持ち主と言えるでしょう。きみの瞳が問いかけているDVDスタンダード・エディション吉高由里子ギャガ〔映画〕きみの瞳が問いかけている
2023年に公開された日本映画です。小山薫堂さんのオリジナル脚本で、「湯道」という独創的なモチーフをベースにした“人情モノ”といった感じのコミック作品ですね。キャスティングは、小日向文世さんや柄本明さんをはじめとして、笹野高史さん、寺島進さん、吉田鋼太郎さん、角野卓造さん、そして、夏木マリさん、戸田恵子さん、吉行和子さん・・・、と、なかなか芸達者な役者さんを揃えていて結構楽しめました。ヒロインの橋本環奈さんは、こういったライトなノリの作品では、その朗らかな魅力が活きますね。湯道DVD通常版4550510080994生田斗真NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン〔映画〕湯道
1994年に公開されたアメリカ映画です。“復習モノ”のアクション・サスペンス作品ですが、設定やストーリーは今ひとつ工夫に乏しく、出来栄えとしては、“B級”の域を出ていません。キャスティング面で言っても、主役のジェフ・ブリッジスも、まだ中堅どころのフォレスト・ウィテカーも特筆するほどの存在感は発揮していません。強いて言えば、ちょっとサイコパス的な敵役を演じたトミー・リー・ジョーンズが目立っていたぐらいでしょうか。ブローン・アウェイ復讐の序曲[DVD]ジェフ・ブリッジス20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン〔映画〕ブローン・アウェイ/復讐の序曲
2020年に公開された日本映画です。ともかく、広瀬すずさんにフィーチャーした作品なので、内容は何でもよかったのでしょう。人気“コミック”の実写化が一番手っ取り早かったのかもしれませんね。しかしこの映画、広瀬さんを取り巻く出演者の方々はこれでもかというぐらい豪華絢爛です。吉沢亮さん、堤真一さん、リリー・フランキーさん、木村多江さん、松田翔太さん、柄本時生さん、西野七瀬さん、城田優さん、原日出子さん、真壁刀義さん、野口聡一(JAXA宇宙飛行士)さん、佐藤健さん、池田エライザさん、志尊淳さん、大友康平さん、竹中直人さん、妻夫木聡さん・・・このレベルの皆さんがほんの1シーンのために集められるのですから、作品としての力の入れようは半端ではありません。一度死んでみた広瀬すず〔映画〕一度死んでみた
2023年に公開された日本映画です。2021年に放映されたテレビドラマの「続編」という位置づけの作品です。「救急医療現場」が舞台の物語は、ドラマチックなエピソードを織り込みやすく、また登場人物の善悪がはっきりしたステレオタイプのつくりに仕立てやすいので、“単純エンターテインメント”に馴染みます。本作品もまさにそうで、あれこれあっても結局のところ予定調和のHappyEndに収まっています。まあ、気楽に安心して楽しめる作品も、時には貴重でしょう。劇場版『TOKYOMER~走る緊急救命室~』通常版[Blu-ray]鈴木亮平TCエンタテインメント〔映画〕劇場版『TOKYOMER~走る緊急救命室~』
かなり以前に読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。この作品は「第20作目」です。今回の舞台は佐賀の“唐津”“有田”。唐津には昔熊本勤務時代に家族で訪れたことがあります。作品に登場している“呼子”にも足を伸ばしました。また本作品は“陶芸”がモチーフになっているのですが、“有田”にはここ数年、毎年のように顔を出しています。町の中心から少し外れたところにある「CHINAONTHEPARK」は深川製磁の工房やギャラリーがあって見学するだけでも楽しいです。...佐用姫伝説殺人事件(内田康夫)
2006年に公開された日本映画です。1976年、一連の「角川映画」のヒットシリーズの嚆矢として制作された「犬神家の一族」のリメイク版です。素人目には、新旧でシナリオや演出もかなり似通った感じなので、大きな違いは、キャスティングということになりますね。主要人物の犬神家の三姉妹は、旧作の高峰三枝子さん、三条美紀さん、草笛光子さんに対し、新作では富司純子さん、松坂慶子さん、萬田久子さん。ヒロイン役は、島田陽子さんに松嶋菜々子さん。どちらもその当時としては超豪華な面々で“甲乙つけ難し”です。そんな中、私としては、坂口良子さんと深田恭子さんの対比が一番際立ちましたね。坂口さんは、この後の横溝正史原作の金田一耕助シリーズには欠かせない存在感を醸し出していました。犬神家の一族(2006)[DVD]石坂浩二KADOKAW...〔映画〕犬神家の一族(2006)
1988年に公開された日本映画です。原作は、井上靖さんの同名の小説なので、どの部分までが「史実」なのか・・・、当時隠匿された幾万もの経典が20世紀に発見され“敦煌学”の礎となったのは事実ですが、それ以外はどうなんでしょうね。さて「映画」としての印象ですが、ストーリーで惹きつけられるというところはなく、また、役者の方々のパフォーマンスも、異国の長期ロケで大変だったとは思いますが、正直なところ特筆して云々ということもありませんでした。見どころといえば、多数の人と馬を動員しての大規模な戦闘シーンぐらいでしょう。中国を舞台にした日本の時代劇のようで、やはりちょっと不自然さが先に立ったようです。敦煌[DVD]西田敏行KADOKAWA/角川書店〔映画〕敦煌
2024年に公開された日本映画です。30年以上前の東野圭吾さんのミステリー小説が原作の作品ですが、映画化にあたって、そこそこストーリーに手が入っているようです。なので、原作を踏まえたミステリーの出来としての評価はできませんね。ただ「映画」としてはどうでしょう・・・、出演者が「劇団員」ということで意識的だったのかもしれませんが、台詞回しは妙に不自然、演出も、役者さんが整列して順番に演技といった“学芸会”的なノリで、かなり残念なレベルでした。ある閉ざされた雪の山荘で重岡大毅〔映画〕ある閉ざされた雪の山荘で
1996年に公開された日本映画です。「必殺仕事人」シリーズのテレビドラマは結構リアルタイムで見ていました。本作品は、その「中村主水シリーズ」の幕引き、最終回との位置づけです。ラストシーンは、今後の復活があっても大丈夫なように“無理やりの連続性”は確保した形にはしていますが、これはこれで“TheEnd”にした方がいい出来栄えでした。ストーリーはともかく、出演者の面々の個々の存在感が格別でしたね。藤田まことさんのメリハリの利いた凄み溢れる表情はもちろん、敵役の津川雅彦さんの“怪演”はまさに彼ならではの迫力でしたし、ヒロイン役の名取裕子さんもとても魅力的でした。あとは、東ちづるさん、美保純さん、細川ふみえさんといった懐かしい方々・・・。最近は、こういった“コテコテのエンターテインメント時代劇”はめっきり見かけな...〔映画〕必殺!主水死す
2023年に公開された日本映画です。2020年公開の台湾映画の「リメイク版」とのことです。タイムトラベルものに代表されるように「時間」の見せ方の工夫は、映画の奇抜なプロットの定番のひとつですが、この作品の設定はなかなか秀逸でした。また、宮藤官九郎さんの脚本も“さわやか系”で、キャスティングと合わせてとても心地よいものだったと思います。そのキャスティングですが、やはり最高に魅力的だったのは、やはり清原果耶さん。気になる若手女優さんの筆頭格ですが、こういう自然体のキャラクタもいいですね。あとは、久しぶりの羽野晶紀さん。そして笑福亭笑瓶さん・・・。1秒先の彼[DVD]岡田将生TCエンタテインメント〔映画〕1秒先の彼
いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の伊澤理江さんがゲスト出演していて、本書についてお話ししていました。漁船(第58寿和丸)沈没事故発生(2008年6月23日千葉県銚子市犬吠埼灯台の東方沖350km)から11年後の2019年、別の取材で訪れた小名浜港(福島県いわき市)での事故関係者たちの会話をきっかけに、その沈没時の状況とそれに対する公式報告の不自然さを奇異に思った伊澤さんが、事故の真相を粘り強い調査・取材で顕かにして行きます。数々の興味深いエピソードが記されていましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、第58寿和丸の運輸安全委員会による事故報告書。それは、まさに東日本大震災が福島を襲った直後に公表されました。(p145より引用)そう...黒い海船は突然、深海へ消えた(伊澤理江)
2023年に公開された日本映画です。オンライン小説が原作とのこと、実写映画のほかにも、コミック・朗読劇・アニメなどいろいろなメディアで人気を博しているようです。物語は、“SFファンタジー”的なテイストですが、キャスティングも、目黒蓮さん、今田美桜さんという旬な二人のダブル主演で、要は「ロマンチック・コメディ」ですね。よくあるトラブルもおとなしめで、とても素直なストーリーだと思います。エンドロール後のワンシーンは続編を予期させるものですが、どうでしょうね。まさかですが、今度は「ヒロインもの」になるのでしょうか・・・。わたしの幸せな結婚DVD通常版[DVD]DVD通常版塚原あゆ子東宝〔映画〕わたしの幸せな結婚
2022-23年に放映された日本アニメです。「キャプテン翼」をはじめとして「サッカー」をモチーフにしたコミック・アニメはそれこそ山のようにありますが、ここまで“サッカー”らしくない描き方をされたものは寡聞にして知りません。ともかく、「方程式」だとか「化学反応」だとか、放送の半分が“ウジウジした独白”で埋まっているので、私にはまったく合いませんでした。こんなことを考えながらサッカーをしていて楽しいですか?と聞きたくなります。ブルーロック第12話二次選考(セレクション)〔アニメ〕ブルーロック
2011年に公開されたアメリカ映画です。ネタバレで済みません。「二重スパイ」という設定は“ひと昔前のスパイ映画”といった趣きですが、ラストのサプライズで、二重スパイをさらに交錯させたのはなかなか面白いアイデアですね。ただ、キャスティング面でいうと、ちょっとピンときませんでした。リチャード・ギアといえば、私の場合、「プリティ・ウーマン」や「ShallWeDance?」をまずは思い浮かべてしまうので、本作での“冷酷なスパイ”という役柄にはちょっと線が細く、押し出し不足といった感じは否めませんでした。顔のないスパイDVDリチャード・ギアTCエンタテインメント〔映画〕顔のないスパイ
2022年に公開された日本映画です。立川志の輔師匠の創作落語が原作とのこと、ご本人も出演しています。現在と江戸時代の2つの時間軸で物語は進んでいきますが、役者のみなさんが「ひとり二役」で異なる時代の登場人物を演じる構成と演出は、なかなか面白いアイデアですね。ストーリー自体は極めてシンプルでこれといったインパクトはないのですが、橋爪功さん、平田満さん、西村まさ彦さんといった一筋縄ではいかない面々が、“いぶし銀”的ないい味を出していました。大河への道[DVD]通常版DVD立川志の輔松竹〔映画〕大河への道
2013年に公開されたアメリカ映画です。有名な童話をモチーフに、その“後日譚”という設定のホラーファンタジー作品ですね。ジェレミー・レナー、ジェマ・アータートンにファムケ・ヤンセンというキャスティングは結構魅力的なのですが、如何せん、ストーリー自体がかなり情けない水準なので、エンターテインメント作品としては今ひとつといった出来栄えでした。ヘンゼル&グレーテル[DVD]ジェレミー・レナーパラマウントホームエンタテインメントジャパン〔映画〕ヘンゼル&グレーテル
2009年に公開された日本映画です。西川美和さんのオリジナル作品で、監督・脚本も彼女です。“にせ医者”という設定自体はそれほど珍しくはありませんが、「嘘と嘘」を重ねる構成は秀逸でしたね。そして見事なキャスティング。映画初主演の笑福亭鶴瓶さんも話題になったようですが、やはり“演じる”という面では、余貴美子さん、八千草薫さんのお二人は別格でした。あとはラスト。こんなことが起こるかという不自然さはありますが、印象的なシーンでしたね。八千草さんの視線の動きとそれに伴う微妙な表情の変化、これで決まりです。ディア・ドクター[DVD]笑福亭鶴瓶バンダイビジュアル〔映画〕ディア・ドクター
いつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。東浩紀さんの著作は「ゲンロン戦記-「知の観客」をつくる」に続いて2冊目です。先の本は“ビジネス書”的な内容だったので、この著作では、本来?の東さんらしい思索的メッセージに触れられるかと期待して読んだものです。多彩なテーマに関する東さんらしいコメントや示唆がありましたが、それらの中から特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、「はじめに」に記されている「訂正する力」の定義。(p4より引用)ものごとをまえに進めるために、現在と過去をつなぎなおす力。それが本書が言う「訂正する力」です。“リセット”とは違います。“老いる”ことも「訂正」のひとつの姿だというのです。(p6より引用)では、老いるとはなんでしょうか。それ...訂正する力(東浩紀)
2015年に制作されたカナダ、アイルランド、イギリス、アメリカの合作映画です。物語の設定がとてもシビアなものなので、作りようによっては大味の荒れた感じになるところですが、過度にセンセーショナルにならないよう演出はかなり抑えられていますね。その分、登場人物の立場ごとにひとりひとりしっかりとキャラクタ分けをして、難しい人間模様を落ち着いたトーンでまとめ上げた良質の作品だと思います。キャスティング面では、子役のジェイコブ・トレンブレイの秀逸さが目立ちましたが、ブリー・ラーソン、ジョアン・アレンらのしっかりした演技も印象に残りました。ルームスペシャル・プライス[Blu-ray]ブリー・ラーソンHappinet〔映画〕ルーム
1978年公開のイギリス映画です。「傭兵物戦争映画の傑作として評価されている」とのことだったので観てみたのですが、私にはその良さがまったくわかりませんでした。「結局、この命がけのミッションは何のためだったのか」という不完全燃焼の思いだけが残った映画です。傭兵たちの戦場での理解不能な行動の連続で、これを見て気分が晴れるのでしょうか・・・。本来は複雑な想いが交錯して演出の腕の見せ所であろうラスト・シーンも何の工夫もなく、二人のやりとりにも感情の深みは感じられませんでしたし、映画の内容の悲惨さ、理不尽さにも関わらず最後のBGMは軽いテイストの曲でした。ワイルド・ギース[DVD]リチャード・バートン東北新社〔映画〕ワイルド・ギース
2020年公開の日本映画です。「AIの暴走」というモチーフは在り来たりですが、まあ“シンギュラリティ”が話題になっているころでもありタイムリーなテーマだと思います。ストーリーとしては、“サスペンス”ものだとすると、主犯が登場したと同時にミエミエになる配役なので意外性もなにもありません。となると、やはり、今こういった“リスク”という切り口でAIを取り上げて、その存在意義について本作に語らせた“メッセージ性”をどう評価するかということでしょうね。ちなみにエンターテインメント作品とみたときのキャスティング面では、大沢たかおさん、松嶋菜々子さんは無難な“王道”の配置でした。あと、主人公をとりまく特にデータセンターのメンバーはなかなか多彩で良かったと思いますね。ただ、三浦友和さんと広瀬アリスさんは、役どころとして中...〔映画〕AI崩壊
このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、シリーズ読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているので、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。手始めに、これまた今まで意識的に避けていた「有名な文学賞」を受賞した作品から当たろうと考えて本作品を選んでみました。第151回直木賞受賞作です。さて、エンターテイメント小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、読み終えた感想としては、正直なところ「こんな感じかぁ・・・」といった印象でした。全編大阪弁のやりとりでテンポよくストーリーは進んでいきますし、特殊な業界のディーテイルもしっかりと書き込まれているのでそれなりの密度は感じますが、物語としてのプロットや登場人物...破門(黒川博行)
1991年公開のアメリカ映画です。「心の旅」という邦題は、あまりセンスを感じませんね。ストーリーはどう評したらいいのか・・・、ハートウォーミング系なのでしょうが、ちょっと作為的過ぎて私にはあまり合いませんでした。ただ、出演した役者のみなさんの配役とパフォーマンスはそれぞれにとても良かったですね。ハリソン・フォードをはじめとして家族役のアネット・ベニング、ミッキー・アレンはピュアな演技で好感度最高でしたし、ビル・ナン、エリザベス・ウィルソンは主人公のよき理解者としての優しさを十分に表現していました。あと、外せないのが“バディ”、ビーグル犬。Takeを重ねたのでしょうが、愛らしくかつユーモラスな演技はお見事、“オスカー”級だったと思います。心の旅[DVD]ハリソン・フォードパラマウントホームエンタテインメント...〔映画〕心の旅
2007年制作のイギリス映画です。原題は「Flood」、シンプルに文字通りですが、邦題「デイ・アフター首都水没」になると、いかにも“B級デザスター映画”感満載になりますね。内容はまさにその通りでした。ある程度登場人物が出揃ったところで、最後までのストーリーラインがほとんど想像できてしまいます。物語は、二組の家族のエピソードで進んでいきます。ただ、その2本柱は、ワンシーンだけ同じスコープに映り込むものの物語としてはまったく絡み合いません。サブの柱はいったい何だったんだろうという感じです。あと、気になったのは副首相役で出演していたデヴィッド・スーシェさん。テレビシリーズの「名探偵ポアロ」役の印象があまりにも強烈過ぎて、ポアロ以外のどんな役を演じても“ポアロの姿が二重写し”になって何とも違和感を感じざるを得ませ...〔映画〕デイ・アフター首都水没
2013年公開のデンマーク映画です。「デンマーク」というのは珍しいですね。「特捜部Q」シリーズの第一作目とのことですが、シリーズものとして後続するのに必要な登場人物の設定や背景を織り込みながら、粛々と物語が進んでいきます。過度なアクションがないのも好印象です。“檻”という仕掛けは少々無理筋のところがありますが、ミステリアスな演出としては独創的ですね。主人公と相棒のキャラクタもそれぞれ一癖あってよかったと思います。決して“大作”ではありませんが、サスペンスとしては結構しっかりとした出来ですね。この感じなら次作も観てみようという気になります。特捜部Q~檻の中の女~[DVD]ニコライ・リー・コスアメイジングD.C.〔映画〕特捜部Q檻の中の女
2022年の映画です。「ジュラシック・ワールド/炎の王国」の続編で、「ジュラシック・ワールド」三部作の第3作目、完結編との位置づけです。今までの作品に比べて、ストーリーは一本調子でラストも“万人、安心”のHappyendですし、本作のウリである恐竜たちの映像も見慣れてしまってインパクトはありません。今日のレベルでは、“並”のエンターテインメント作品と言わざるを得ないでしょう。とはいえ、以前の作品の主要メンバーが数多く登場人物していたり、ところどころに何某か過去の映画の「オマージュ」を想像させるシーンが織り込まれていたりと、昔からのファンに対するサービス精神は大いに感じられますね。しかし、こうやってシリーズ作品を何本か観続けると、やはり第一作目の「ジュラシック・パーク」の衝撃は絶大だったと改めて感じます。当...〔映画〕ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
2016年の映画です。“中途半端なB級サスペンス”かと思っていたら、実話に基づく作品とのこと。ちょっとビックリですが、どこまでがノンフィクションで、どのあたりがフィクションなのか気になりますね。ちなみに私は、いわゆる「B級映画」は嫌いではありません。ストーリーもシンプルで無暗に大げさな演出もなく、単純に楽しめる作品が多いように思います。メキシコ国境が舞台で、ちょっとラテン的な雰囲気のこの作品もまさにそうでした。ラストも予定調和的なHappyendですが、微笑ましいシーンで良かったですよ。12hoursDEA特殊部隊[DVD]ショーン・ロックアメイジングD.C.〔映画〕12hoursDEA特殊部隊
知人のSNSで紹介されていたので気になった本です。磯崎新さんについては著名な建築家という程度しか知りませんが、昨年(2022年)暮に訃報が流れ、改めてその人となりの一端なりともたどってみようと思いました。本書は、現都庁建築時のコンペの場を舞台に、磯崎さんの魅力的な人物像と彼を取り巻く様々な人たちとの営みの様を描き出しています。まずは舞台となった1985年に行われた新宿新都庁舎コンペ(設計競技)についてです。本書で詳述されている鈴木俊一東京都知事(当時)と丹下健三氏との関係を踏まえると、多くの人々は“出来レース”として仕立てられていたのだろうと考えていたようです。(p356より引用)丹下健三が鈴木都知事と共に設立した「東京都設計候補者選定委員会」のメンバーが、新都庁舎コンペを組織し、かつ審査員の大半を占める...磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ(平松剛)
2012年公開の日本映画です。珍しく“地方農業”をモチーフにしたシリーズものの第一作目ですが、内容は、“コミック”を原作としたようなテイストのホームコメディですね。いろいろな意味で“ご都合主義”的な色合いが濃いので、好みは分かれるでしょう。まあ、私としては、こういった単純に観ていてホッとするようなエンターテインメント作品は嫌いではありません。キャスティングもよかったです。柄本明さんや石丸謙二郎さんといったバイプレーヤーとして定評のある役者さんを配したうえで、主役の陣内孝則さんと田中麗奈さんはそれぞれに自分たちの持ち味を十分に発揮していました。特に、陣内さんはこういったコミカルな役柄もうまく演じ切りますね。種まく旅人~みのりの茶~[DVD]陣内孝則TCエンタテインメント〔映画〕種まく旅人〜みのりの茶〜
2015年公開のサスペンス映画です。私の好きなロバート・デ・ニーロが出演しているというので観てみました。バスジャックを舞台にしたモチーフ自体には目新しさはありませんが、ストーリー展開がテンポよく、伏線とサプライズもなかなか良かったと思います。あと、登場人物のキャラクタ設定が秀逸でしたね。ちょっとご都合主義的なところもあってそのぶんリアリティは失われてしまっていますが、エンターテインメントとしてはとても効果的でした。肝心のロバート・デ・ニーロもラストに向かうにつれて役割の重みが増していき、しっかり作品を引き締めていましたね。流石です。正直なところ、観る前はあまり期待していなかったのですが結構楽しめました。私としては十分満足できる出来栄えの映画でしたね。タイム・トゥ・ラン[DVD]ジェフリー・ディーン・モーガ...〔映画〕タイム・トゥ・ラン
2014年の作品です。比較的最近のニコラス・ケイジ出演の映画なのでほとんど期待せずに観たのですが、やはり“期待どおり?”でした。ニコラス・ケイジの演技が酷いわけではないと思うのですが、どうもこのところの彼の出演作品は、そもそものプロットが雑な上にストーリー展開にも新機軸がなく、さらにラストに至っても締まりがないものが多いのでしょう。本作品も、かなり無理筋のプロットですし、相棒の行動も背景や動機の描写がないので意味不明でした。なので、観終わっても「何だったんだろう、この映画は・・・」といった印象なんですね。ラスト・リベンジ[DVD]ニコラス・ケイジHappinet(SB)(D)〔映画〕ラスト・リベンジ
1981年の作品ですから、今から40年以上前のものです。原作は、言うまでもなく池波正太郎さんの代表的な娯楽時代小説シリーズ。主人公は、タイトルそのままに、“仕掛人”鍼医者藤枝梅安です。エンターテインメントに徹したストーリーに加えて、善悪がはっきりしたキャラクターなので、映画に仕立てても単純に楽しめますね。そして、当時の映画のもうひとつの見どころはキャスティング。萬屋錦之介さん、中村嘉葎雄さんという兄弟共演に、悪役の伊丹十三さん、中尾彬さん。女優陣は、小川真由美さん、宮下順子さん、真行寺君枝さん、と時代を感じつつも豪華な面々が並びます。映画「仕掛人梅安」出演萬屋錦之助/小川真由美/〔映画〕仕掛人梅安
2003年、金曜ロードショーの枠で放映された作品です。その点では「ルパン三世カリオストロの城」のような本格的なアニメ映画ではなく、「TVスペシャルシリーズ」との位置づけのようですね。とはいえ、結構しっかりしたストーリー構成で、ルパン三世シリーズの中でもかなりいい出来だったと思います。ルパン三世はもちろん、次元大介、石川五エ門はそれぞれのキャラクタを活かした見せ場がありましたし、峰不二子のアクションも冴えていました。敵役が見せたラストシーンも、それまでの伏線を回収して余りある印象的な幕切れでしたね。ルパン三世お宝返却大作戦!![DVD]栗田貫一バップ〔映画〕ルパン三世お宝返却大作戦!!
いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。タイトルをひと目見て予約したのですが、長大な時間軸の中からどんなエピソードをピックアップするのかとても興味が湧きますね。紹介されている多彩なトピックや解説の中から、特に私の関心を惹いたところをひとつ書き留めておきます。(p266より引用)今後数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう。・・・人類の生息域は地球全体だが、人類は積極的に生息に都合の悪い環境をつくってきた。人類絶滅の最大の理由は、人口の移り変わりがうまくいかないことだ。人類の人口は今世紀中にピークを迎え、その後減少へと転じる。・・・先史時代、太古のむかしの出来事により、遺伝的な多様性が足りないこと、現在の生息地の喪失による絶滅負債、人間の行動や環境の変化による少子化、より局所的な...超圧縮地球生物全史(ヘンリー・ジー)
2009年公開の日本映画です。「Sideways」というアメリカ映画のリメイク版とのこと。「Sideways」の方は、アカデミー賞で脚色賞を、ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞している作品なので、かなり出来はよかったのでしょうが、こちらの日本版は正直なところ“イマイチ”といった印象ですね。どうにも、メリハリのない展開で、ラストも尻切れトンボ。小日向文世さんが演じた主人公も、ただグズグズしているだけの中年おじさんに見えて、どうにも魅力を感じません。コメディアンヌとしても力量のある鈴木京香さんですら、この作品では輝かなかったですね。これは役者さんではなく、シナリオや演出の出来のせいでしょう。その中でも何とか持ち味の片鱗を見せていたのは菊地凛子さん、自然で素直な明るさに溢れた表情は“西海岸”でした。サイドウェイ...〔映画〕サイドウェイズ
2018年に公開されたジョニー・デップが主演のヒューマン・ドラマです。テーマ自体はなかなかに重いものですが、比較的軽めのストーリーですね。これといってインパクトのない展開です。大学教授を主人公に据えたのであれば、たとえばもっと一人一人の学生と接するシーンを深堀りして、彼ら彼女らの変貌を描くというのもひとつのメッセージの伝え方だったように思います。織り込まれているエピソードがそれぞれ中途半端なせいもあり、主人公の心理や境遇に対する共感も今ひとつなんですね。ラストの家族との別れのシーンも今ひとつ雑で、これでいいのかという違和感と、重いテーマを扱った映画のエンディングという点では大きな物足りなさが残りました。グッバイ、リチャード![Blu-ray]ジョニー・デップHappinet〔映画〕グッバイ、リチャード!
2014年に公開された作品です。山を舞台にした映画ですが、過度にスリリングなシーンはありません。ほのぼの系のホーム・ドラマといったテイストです。登場人物は“いい人”ばかりですし、描かれるエピソードもどれも“中庸”ですね。極めつけはラストシーン。最近ではまずお目にかかれないような(かなり照れくさい)演出は象徴的でした。その割に?、キャスティング的には多彩で実力派の面々が顔を揃えていました。中でも一番持ち味を発揮していたのは蒼井優さんでしたね。彼女の清新な柔らかさは立山の四季の風景にピッタリでした。春を背負って(DVD)松山ケンイチ東宝〔映画〕春を背負って
2014年に公開された作品です。原作は、湊かなえさんの人気小説です。そういう言い方はないのでしょうが、言うなれば“ライト・サスペンス”といったテイスト。流行ってきたSNSを取り入れたり、TVのワイドショーを揶揄したりと、当時の時代感や世相をうまく活かしたつくりですね。映画の出来としては、エンターテインメント作品として普通に楽しめるといったレベルですが、井上真央さん、貫地谷しほりさんという私の好きな女優さんが出演していたということで、私としては十分“及第点”です。お二人とも“地味”なキャラクターをとても丁寧に演じていたように思います。ラスト近くの絡みのシーンは、素直に救われますね。白ゆき姫殺人事件[DVD]井上真央松竹〔映画〕白ゆき姫殺人事件
いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。沢木耕太郎さんと言って思い浮かべる代表作は「深夜特急」ですが、本書は、日本国内の旅でのエピソードを綴ったエッセイです。肩ひじ張らずにページをめくってみようと読み始めました。沢木さんの“旅の原点”は、16歳の時の東北一周の一人旅とのこと。「上野駅のホーム」を久しぶりに訪れた沢木さんはこう記しています。(p37より引用)上野駅のエスカレーターを降り、中央改札を出て、あらためて構内を眺めた。たぶん、天井も壁も私が十六歳の頃とはさまざまに違っていることだろう。しかし、海外を含めたその後の私の旅のすべては、この駅の、この改札口を入ったところにある、北に向かう列車が停まっているプラットホームから始まったのだ。私も行き止まりのホームには思い出があります。私の初め...飛び立つ季節:旅のつばくろ(沢木耕太郎)