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  • 〔ドラマ〕蒼い瞳とニュアージュ

    2007年に放映された長編テレビドラマです。松岡圭祐さんの小説が原作ですが、サイトの情報ではドラマ化にあたってかなり内容が変わっているとのことです。ドラマのストーリーの方は、正直な印象を言えば“意味不明???”でしたね。ありとあらゆるエピソードがそれぞれ雑なつくりなので、関連があるようでどうにも中途半端、ミステリーとしての構成が甘々です。これでは観ていても納得感は生まれて来ません。まあ、「深田恭子」さんが出演していることに意味があるドラマですから、そのあたりの不満を言ったところで筋違いということでしょう。その点では、予想どおりの出来栄えの作品でした。蒼い瞳とニュアージュ[DVD]萩原聖人ソニー・ピクチャーズエンタテインメント〔ドラマ〕蒼い瞳とニュアージュ

  • 〔映画〕ザ・スクワッド

    2015年公開のフランス映画です。この頃のジャン・レノが主演の映画なので、そうだろうなと思いつつでしたが、やはり予想通りの“B級アクション”作品でした。物語性のないストーリーと見境のない銃撃シーン、こういう大雑把なつくりでは何とも批評のしようもありません。肝心のジャン・レノも、顔も体形も“ふくよか?”になって重量感だけは発揮していました。ザ・スクワッド(字幕版)ジャン・レノ〔映画〕ザ・スクワッド

  • デマ・陰謀論・カルト (物江 潤)

    いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の物江潤さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。最近のネット社会で流布している情報は間違いなく“玉石混交”ですが、その中には「いくら何でもそんなことはあり得ないでしょう」といった類の信じ難い内容のものも流通しています。本書は、物江さんによるそういった「妄説」が流れる実態の解説本です。ともかく“事実は小説より奇なり”、ここまで浸食されているのかと大いに驚いたのですが、そういったネット社会と付き合ううえでの警鐘として、「検索すればするほどデマを信じてしまう」の章では、物江さんはこう指摘しています。(p117より引用)フェイクニュースの生みの親は、実は自分かもしれないということ。そしてその多くは、正義感・使命感・感動といった感情の高ぶり、高揚...デマ・陰謀論・カルト(物江潤)

  • 〔映画〕ダウト 〜偽りの代償〜

    2009年公開のアメリカ映画です。絵に描いたような典型的な“サスペンス”作品ですね。ただ、最後のサプライズまで含めて、ここまで完全に“王道の構成”でストーリーが作り込まれていると、その完璧性故に逆にインパクトが薄れてしまいます。綺麗に並べられたパターンの積み重ねで物語は進んでいくのですが、ひとつひとつのパートを振り返ってみると、結構強引であったり詰めが甘かったりしているんですね。せっかくのマイケル・ダグラスも、その演技の凄みを発揮する場がなかったように思います。ちょっと残念でした。ダウト~偽りの代償~[DVD]マイケル・ダグラスHappinet(SB)(D)〔映画〕ダウト〜偽りの代償〜

  • 〔映画〕ブレット・トレイン

    2022年公開のアメリカ映画です。原作は、伊坂幸太郎さんの小説、ドラマの舞台も日本です。ただ、日本国内でのロケが実現しなかったいうこともあり、例のごとくとてもデフォルメされた“日本風景”が描かれています。こればっかりは何とかして欲しいと切に思いますね。作品は、私にはまったく合いませんでした。ストーリー展開も映像もゴテゴテした混乱の極みで、とても落ち着いて楽しめるような出来ではありません。主演がブラッド・ピットだったという作品です。ブレット・トレインブルーレイ&DVDセット[Blu-ray]DVD+ブルーレイ(DVD本編ディスク/2Dブルーレイ本編ディスク)デヴィッド・リーチソニー・ピクチャーズエンタテインメント〔映画〕ブレット・トレイン

  • 〔映画〕ワイルド・ギース

    1978年公開のイギリス映画です。「傭兵物戦争映画の傑作として評価されている」とのことだったので観てみたのですが、私にはその良さがまったくわかりませんでした。「結局、この命がけのミッションは何のためだったのか」という不完全燃焼の思いだけが残った映画です。傭兵たちの戦場での理解不能な行動の連続で、これを見て気分が晴れるのでしょうか・・・。本来は複雑な想いが交錯して演出の腕の見せ所であろうラスト・シーンも何の工夫もなく、二人のやりとりにも感情の深みは感じられませんでしたし、映画の内容の悲惨さ、理不尽さにも関わらず最後のBGMは軽いテイストの曲でした。ワイルド・ギース[DVD]リチャード・バートン東北新社〔映画〕ワイルド・ギース

  • 〔映画〕AI崩壊

    2020年公開の日本映画です。「AIの暴走」というモチーフは在り来たりですが、まあ“シンギュラリティ”が話題になっているころでもありタイムリーなテーマだと思います。ストーリーとしては、“サスペンス”ものだとすると、主犯が登場したと同時にミエミエになる配役なので意外性もなにもありません。となると、やはり、今こういった“リスク”という切り口でAIを取り上げて、その存在意義について本作に語らせた“メッセージ性”をどう評価するかということでしょうね。ちなみにエンターテインメント作品とみたときのキャスティング面では、大沢たかおさん、松嶋菜々子さんは無難な“王道”の配置でした。あと、主人公をとりまく特にデータセンターのメンバーはなかなか多彩で良かったと思いますね。ただ、三浦友和さんと広瀬アリスさんは、役どころとして中...〔映画〕AI崩壊

  • 破門 (黒川 博行)

    このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、シリーズ読破にチャレンジしている内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”に偏っているので、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。手始めに、これまた今まで意識的に避けていた「有名な文学賞」を受賞した作品から当たろうと考えて本作品を選んでみました。第151回直木賞受賞作です。さて、エンターテイメント小説なのでネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、読み終えた感想としては、正直なところ「こんな感じかぁ・・・」といった印象でした。全編大阪弁のやりとりでテンポよくストーリーは進んでいきますし、特殊な業界のディーテイルもしっかりと書き込まれているのでそれなりの密度は感じますが、物語としてのプロットや登場人物...破門(黒川博行)

  • 〔映画〕心の旅

    1991年公開のアメリカ映画です。「心の旅」という邦題は、あまりセンスを感じませんね。ストーリーはどう評したらいいのか・・・、ハートウォーミング系なのでしょうが、ちょっと作為的過ぎて私にはあまり合いませんでした。ただ、出演した役者のみなさんの配役とパフォーマンスはそれぞれにとても良かったですね。ハリソン・フォードをはじめとして家族役のアネット・ベニング、ミッキー・アレンはピュアな演技で好感度最高でしたし、ビル・ナン、エリザベス・ウィルソンは主人公のよき理解者としての優しさを十分に表現していました。あと、外せないのが“バディ”、ビーグル犬。Takeを重ねたのでしょうが、愛らしくかつユーモラスな演技はお見事、“オスカー”級だったと思います。心の旅[DVD]ハリソン・フォードパラマウントホームエンタテインメント...〔映画〕心の旅

  • 〔映画〕デイ・アフター 首都水没

    2007年制作のイギリス映画です。原題は「Flood」、シンプルに文字通りですが、邦題「デイ・アフター首都水没」になると、いかにも“B級デザスター映画”感満載になりますね。内容はまさにその通りでした。ある程度登場人物が出揃ったところで、最後までのストーリーラインがほとんど想像できてしまいます。物語は、二組の家族のエピソードで進んでいきます。ただ、その2本柱は、ワンシーンだけ同じスコープに映り込むものの物語としてはまったく絡み合いません。サブの柱はいったい何だったんだろうという感じです。あと、気になったのは副首相役で出演していたデヴィッド・スーシェさん。テレビシリーズの「名探偵ポアロ」役の印象があまりにも強烈過ぎて、ポアロ以外のどんな役を演じても“ポアロの姿が二重写し”になって何とも違和感を感じざるを得ませ...〔映画〕デイ・アフター首都水没

  • 〔映画〕特捜部Q 檻の中の女

    2013年公開のデンマーク映画です。「デンマーク」というのは珍しいですね。「特捜部Q」シリーズの第一作目とのことですが、シリーズものとして後続するのに必要な登場人物の設定や背景を織り込みながら、粛々と物語が進んでいきます。過度なアクションがないのも好印象です。“檻”という仕掛けは少々無理筋のところがありますが、ミステリアスな演出としては独創的ですね。主人公と相棒のキャラクタもそれぞれ一癖あってよかったと思います。決して“大作”ではありませんが、サスペンスとしては結構しっかりとした出来ですね。この感じなら次作も観てみようという気になります。特捜部Q~檻の中の女~[DVD]ニコライ・リー・コスアメイジングD.C.〔映画〕特捜部Q檻の中の女

  • 〔映画〕ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

    2022年の映画です。「ジュラシック・ワールド/炎の王国」の続編で、「ジュラシック・ワールド」三部作の第3作目、完結編との位置づけです。今までの作品に比べて、ストーリーは一本調子でラストも“万人、安心”のHappyendですし、本作のウリである恐竜たちの映像も見慣れてしまってインパクトはありません。今日のレベルでは、“並”のエンターテインメント作品と言わざるを得ないでしょう。とはいえ、以前の作品の主要メンバーが数多く登場人物していたり、ところどころに何某か過去の映画の「オマージュ」を想像させるシーンが織り込まれていたりと、昔からのファンに対するサービス精神は大いに感じられますね。しかし、こうやってシリーズ作品を何本か観続けると、やはり第一作目の「ジュラシック・パーク」の衝撃は絶大だったと改めて感じます。当...〔映画〕ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

  • 〔映画〕12hours DEA特殊部隊

    2016年の映画です。“中途半端なB級サスペンス”かと思っていたら、実話に基づく作品とのこと。ちょっとビックリですが、どこまでがノンフィクションで、どのあたりがフィクションなのか気になりますね。ちなみに私は、いわゆる「B級映画」は嫌いではありません。ストーリーもシンプルで無暗に大げさな演出もなく、単純に楽しめる作品が多いように思います。メキシコ国境が舞台で、ちょっとラテン的な雰囲気のこの作品もまさにそうでした。ラストも予定調和的なHappyendですが、微笑ましいシーンで良かったですよ。12hoursDEA特殊部隊[DVD]ショーン・ロックアメイジングD.C.〔映画〕12hoursDEA特殊部隊

  • 磯崎新の「都庁」― 戦後日本最大のコンペ (平松 剛)

    知人のSNSで紹介されていたので気になった本です。磯崎新さんについては著名な建築家という程度しか知りませんが、昨年(2022年)暮に訃報が流れ、改めてその人となりの一端なりともたどってみようと思いました。本書は、現都庁建築時のコンペの場を舞台に、磯崎さんの魅力的な人物像と彼を取り巻く様々な人たちとの営みの様を描き出しています。まずは舞台となった1985年に行われた新宿新都庁舎コンペ(設計競技)についてです。本書で詳述されている鈴木俊一東京都知事(当時)と丹下健三氏との関係を踏まえると、多くの人々は“出来レース”として仕立てられていたのだろうと考えていたようです。(p356より引用)丹下健三が鈴木都知事と共に設立した「東京都設計候補者選定委員会」のメンバーが、新都庁舎コンペを組織し、かつ審査員の大半を占める...磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ(平松剛)

  • 〔映画〕種まく旅人〜みのりの茶〜

    2012年公開の日本映画です。珍しく“地方農業”をモチーフにしたシリーズものの第一作目ですが、内容は、“コミック”を原作としたようなテイストのホームコメディですね。いろいろな意味で“ご都合主義”的な色合いが濃いので、好みは分かれるでしょう。まあ、私としては、こういった単純に観ていてホッとするようなエンターテインメント作品は嫌いではありません。キャスティングもよかったです。柄本明さんや石丸謙二郎さんといったバイプレーヤーとして定評のある役者さんを配したうえで、主役の陣内孝則さんと田中麗奈さんはそれぞれに自分たちの持ち味を十分に発揮していました。特に、陣内さんはこういったコミカルな役柄もうまく演じ切りますね。種まく旅人~みのりの茶~[DVD]陣内孝則TCエンタテインメント〔映画〕種まく旅人〜みのりの茶〜

  • 〔映画〕タイム・トゥ・ラン

    2015年公開のサスペンス映画です。私の好きなロバート・デ・ニーロが出演しているというので観てみました。バスジャックを舞台にしたモチーフ自体には目新しさはありませんが、ストーリー展開がテンポよく、伏線とサプライズもなかなか良かったと思います。あと、登場人物のキャラクタ設定が秀逸でしたね。ちょっとご都合主義的なところもあってそのぶんリアリティは失われてしまっていますが、エンターテインメントとしてはとても効果的でした。肝心のロバート・デ・ニーロもラストに向かうにつれて役割の重みが増していき、しっかり作品を引き締めていましたね。流石です。正直なところ、観る前はあまり期待していなかったのですが結構楽しめました。私としては十分満足できる出来栄えの映画でしたね。タイム・トゥ・ラン[DVD]ジェフリー・ディーン・モーガ...〔映画〕タイム・トゥ・ラン

  • 〔映画〕ラスト・リベンジ

    2014年の作品です。比較的最近のニコラス・ケイジ出演の映画なのでほとんど期待せずに観たのですが、やはり“期待どおり?”でした。ニコラス・ケイジの演技が酷いわけではないと思うのですが、どうもこのところの彼の出演作品は、そもそものプロットが雑な上にストーリー展開にも新機軸がなく、さらにラストに至っても締まりがないものが多いのでしょう。本作品も、かなり無理筋のプロットですし、相棒の行動も背景や動機の描写がないので意味不明でした。なので、観終わっても「何だったんだろう、この映画は・・・」といった印象なんですね。ラスト・リベンジ[DVD]ニコラス・ケイジHappinet(SB)(D)〔映画〕ラスト・リベンジ

  • 〔映画〕仕掛人梅安

    1981年の作品ですから、今から40年以上前のものです。原作は、言うまでもなく池波正太郎さんの代表的な娯楽時代小説シリーズ。主人公は、タイトルそのままに、“仕掛人”鍼医者藤枝梅安です。エンターテインメントに徹したストーリーに加えて、善悪がはっきりしたキャラクターなので、映画に仕立てても単純に楽しめますね。そして、当時の映画のもうひとつの見どころはキャスティング。萬屋錦之介さん、中村嘉葎雄さんという兄弟共演に、悪役の伊丹十三さん、中尾彬さん。女優陣は、小川真由美さん、宮下順子さん、真行寺君枝さん、と時代を感じつつも豪華な面々が並びます。映画「仕掛人梅安」出演萬屋錦之助/小川真由美/〔映画〕仕掛人梅安

  • 〔映画〕ルパン三世 お宝返却大作戦!!

    2003年、金曜ロードショーの枠で放映された作品です。その点では「ルパン三世カリオストロの城」のような本格的なアニメ映画ではなく、「TVスペシャルシリーズ」との位置づけのようですね。とはいえ、結構しっかりしたストーリー構成で、ルパン三世シリーズの中でもかなりいい出来だったと思います。ルパン三世はもちろん、次元大介、石川五エ門はそれぞれのキャラクタを活かした見せ場がありましたし、峰不二子のアクションも冴えていました。敵役が見せたラストシーンも、それまでの伏線を回収して余りある印象的な幕切れでしたね。ルパン三世お宝返却大作戦!![DVD]栗田貫一バップ〔映画〕ルパン三世お宝返却大作戦!!

  • 超圧縮 地球生物全史 (ヘンリー・ジー)

    いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。タイトルをひと目見て予約したのですが、長大な時間軸の中からどんなエピソードをピックアップするのかとても興味が湧きますね。紹介されている多彩なトピックや解説の中から、特に私の関心を惹いたところをひとつ書き留めておきます。(p266より引用)今後数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう。・・・人類の生息域は地球全体だが、人類は積極的に生息に都合の悪い環境をつくってきた。人類絶滅の最大の理由は、人口の移り変わりがうまくいかないことだ。人類の人口は今世紀中にピークを迎え、その後減少へと転じる。・・・先史時代、太古のむかしの出来事により、遺伝的な多様性が足りないこと、現在の生息地の喪失による絶滅負債、人間の行動や環境の変化による少子化、より局所的な...超圧縮地球生物全史(ヘンリー・ジー)

  • 〔映画〕サイドウェイズ

    2009年公開の日本映画です。「Sideways」というアメリカ映画のリメイク版とのこと。「Sideways」の方は、アカデミー賞で脚色賞を、ゴールデングローブ賞で作品賞を受賞している作品なので、かなり出来はよかったのでしょうが、こちらの日本版は正直なところ“イマイチ”といった印象ですね。どうにも、メリハリのない展開で、ラストも尻切れトンボ。小日向文世さんが演じた主人公も、ただグズグズしているだけの中年おじさんに見えて、どうにも魅力を感じません。コメディアンヌとしても力量のある鈴木京香さんですら、この作品では輝かなかったですね。これは役者さんではなく、シナリオや演出の出来のせいでしょう。その中でも何とか持ち味の片鱗を見せていたのは菊地凛子さん、自然で素直な明るさに溢れた表情は“西海岸”でした。サイドウェイ...〔映画〕サイドウェイズ

  • 〔映画〕グッバイ、リチャード!

    2018年に公開されたジョニー・デップが主演のヒューマン・ドラマです。テーマ自体はなかなかに重いものですが、比較的軽めのストーリーですね。これといってインパクトのない展開です。大学教授を主人公に据えたのであれば、たとえばもっと一人一人の学生と接するシーンを深堀りして、彼ら彼女らの変貌を描くというのもひとつのメッセージの伝え方だったように思います。織り込まれているエピソードがそれぞれ中途半端なせいもあり、主人公の心理や境遇に対する共感も今ひとつなんですね。ラストの家族との別れのシーンも今ひとつ雑で、これでいいのかという違和感と、重いテーマを扱った映画のエンディングという点では大きな物足りなさが残りました。グッバイ、リチャード![Blu-ray]ジョニー・デップHappinet〔映画〕グッバイ、リチャード!

  • 〔映画〕春を背負って

    2014年に公開された作品です。山を舞台にした映画ですが、過度にスリリングなシーンはありません。ほのぼの系のホーム・ドラマといったテイストです。登場人物は“いい人”ばかりですし、描かれるエピソードもどれも“中庸”ですね。極めつけはラストシーン。最近ではまずお目にかかれないような(かなり照れくさい)演出は象徴的でした。その割に?、キャスティング的には多彩で実力派の面々が顔を揃えていました。中でも一番持ち味を発揮していたのは蒼井優さんでしたね。彼女の清新な柔らかさは立山の四季の風景にピッタリでした。春を背負って(DVD)松山ケンイチ東宝〔映画〕春を背負って

  • 〔映画〕白ゆき姫殺人事件

    2014年に公開された作品です。原作は、湊かなえさんの人気小説です。そういう言い方はないのでしょうが、言うなれば“ライト・サスペンス”といったテイスト。流行ってきたSNSを取り入れたり、TVのワイドショーを揶揄したりと、当時の時代感や世相をうまく活かしたつくりですね。映画の出来としては、エンターテインメント作品として普通に楽しめるといったレベルですが、井上真央さん、貫地谷しほりさんという私の好きな女優さんが出演していたということで、私としては十分“及第点”です。お二人とも“地味”なキャラクターをとても丁寧に演じていたように思います。ラスト近くの絡みのシーンは、素直に救われますね。白ゆき姫殺人事件[DVD]井上真央松竹〔映画〕白ゆき姫殺人事件

  • 飛び立つ季節 :旅のつばくろ (沢木 耕太郎)

    いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。沢木耕太郎さんと言って思い浮かべる代表作は「深夜特急」ですが、本書は、日本国内の旅でのエピソードを綴ったエッセイです。肩ひじ張らずにページをめくってみようと読み始めました。沢木さんの“旅の原点”は、16歳の時の東北一周の一人旅とのこと。「上野駅のホーム」を久しぶりに訪れた沢木さんはこう記しています。(p37より引用)上野駅のエスカレーターを降り、中央改札を出て、あらためて構内を眺めた。たぶん、天井も壁も私が十六歳の頃とはさまざまに違っていることだろう。しかし、海外を含めたその後の私の旅のすべては、この駅の、この改札口を入ったところにある、北に向かう列車が停まっているプラットホームから始まったのだ。私も行き止まりのホームには思い出があります。私の初め...飛び立つ季節:旅のつばくろ(沢木耕太郎)

  • 〔映画〕ノルウェイの森

    2010年に公開された作品です。原作は、言うまでもなく、村上春樹さんの大ベストセラー小説です。ただ、私はあまり小説は手に取る方ではないので、この作品は読んだことがありません。村上さんの作品といえば、せいぜい短編集を1冊読んだくらいです。映画の方ですが、まずはタイトルと内容との関係に戸惑いました。物語自体は、何となく勝手に想像していたとおりのテイストで、まあこんな感じなのかといった印象でした。出演した俳優さんはそれぞれに良かったと思います。特に、菊地凛子さん、水原希子さんは、まだお二人とも“初々しさ”が残っていましたが、役柄のキャラクタには見事にマッチしていました。あと、(高橋)幸宏さんが、ちょっとした役で登場していましたね・・・。(細野晴臣さんも出演していましたが、坂本龍一さんはさすがに見かけませんでした...〔映画〕ノルウェイの森

  • 〔映画〕デス・ウィッシュ

    2018年公開の作品ですが、1974年にチャールズ・ブロンソン主演で公開された「狼よさらば」のリメイク版とのことです。(チャールズ・ブロンソンといえば、もう半世紀以上前になりますが、日本でも男性用化粧品のCMが大ヒットしましたね。ご存じの方は少ないと思いますが・・・)銃社会を前提にした“復讐モノ”というアメリカ映画の定番のモチーフで、主役もブルース・ウィリス。まさに、ステレオ・タイプの作品です。しかし、それにしてもあの最後の“決着のつけ方”は驚き以外の何物でもありませんね。で、凶悪犯罪件数も減少したというHappyEndというのは、らしいといえばそれまでですが、我田引水の極みです。デス・ウィッシュ[DVD]ブルース・ウィリスポニーキャニオン〔映画〕デス・ウィッシュ

  • 〔映画〕そして、バトンは渡された

    2021年公開の映画。原作は大ヒットした人気小説です。小説の方は読んでいないのですが、映画化にあたって通常ではありえないところを改変をしたそうですね。小説の方は“柔なHappyEnd”、他方、映画の方はそのドラマチックさゆえに“わざとらしい結末”と、それぞれ好みによって評価が分かれるでしょう。まあ、この作品は、永野芽郁さんが主役ということで観たファンもかなりいたでしょうから、その点ではストーリーは二の次かもしれません。私の感想は、ちょっとがっかりといった感じでしょうか。幾人かの重要な登場人物のキャラクターに共感を抱ききれなかったのと、「バトン」で意味するものが“そのこと”だというのには、ちょっと感覚的に違和感を感じました。そして、バトンは渡された[DVD]永野芽郁WarnerEntertainmentJa...〔映画〕そして、バトンは渡された

  • 〔ドラマ〕夜のあぐら 〜姉と弟と私〜

    短編小説が原作の長編ドラマ。ホームコメディ作品ですが、ストーリー自体は平板。登場人物のキャラクタのコントラストが見どころでしょう。その点ではキャスティングが重要になりますが、井上真央さん、尾野真千子さん、村上虹郎さん、岸部一徳さん・・・、みなさん役どころにしっかりマッチしていました。岸部さんの“いいかげんなおじさん”役はぴったりでしたし、井上さんも“正統派”なのがかえってアクセントになっていてよかったですね。あと出色だったのは尾野さん。コメディアンヌとしての才能も十分、芸域の広さはお見事だったと思います。夜のあぐら~姉と弟と私~井上真央〔ドラマ〕夜のあぐら〜姉と弟と私〜

  • 赤い雲伝説殺人事件 (内田 康夫)

    かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら“浅見光彦シリーズ”の制覇にトライしてみようと思い始ました。最近、第1作目の「後鳥羽伝説殺人事件」、第2作目の「平家伝説殺人事件」と、内田さん単独での最後の完結作「遺譜」は読んだので、その間の作品を時系列に沿って埋めていくことになります。(ちなみに、内田さんのシリーズとしての絶筆は「孤道」のようですが、この作品は内田さんの筆としては完結していないので、私のチャレンジは「遺譜」までにします)シリーズ3作目の本作「赤い雲伝説殺人事件」の舞台は山口県の“寿島”。その...赤い雲伝説殺人事件(内田康夫)

  • 〔映画〕陰日向に咲く

    2008年公開の映画です。原作は、劇団ひとりさんのデビュー小説。そちらは読んでいないので映画のみでの印象ですが、物語としては“可もなく不可もなし”といったところです。この手のオムニバス構成はよくある形式で、結局観ている途中である程度予測できる予定調和的結末になるのが常道なので、かえってインパクトが小さくなるんですね。なので、ポイントはストーリーよりもキャスティングや演出といった観点になります。その点でいえば、やはり出色なのは宮崎あおいさんですね。彼女の“際立たない存在感”はとても魅力的なのです。陰日向に咲く通常版[DVD]岡田准一VAP,INC(VAP)(D)〔映画〕陰日向に咲く

  • 〔映画〕ザ・ガンマン

    2015年の作品です。サスペンス映画ですが、タイトルもそうですし、ストーリーにもインパクトは感じられません。キャスティング面で、ショーン・ペンとハビエル・バルデムとの共演がウリなのでしょう。その点でいえば、相変わらずショーン・ペンは渋いですね。もちろん、アクションにスピード感や派手さを望むのは筋違いですが・・・。ただ、ラストシーンはどうでしょう。かなり安直で正直なところ興ざめでした。同じHappyendにするにしても、もう少し工夫のしどころがありそうですね。ザ・ガンマン[Blu-ray]ショーン・ペンHappinet(SB)(D)〔映画〕ザ・ガンマン

  • 〔映画〕ビューティフル・レターズ 綴られた言葉

    2011年公開のアメリカ映画です。出演者にビッグネームはひとりもいませんし、大きな話題性になるようなエピソードもない作品ですが、ストレートに観る人の優しい気持ちを呼び起こしてくれます。素直にいい映画だと思います。作りも丁寧ですね。主人公と老紳士が歩く公園のシーンは穏やかでとても美しく、この作品のテイストを象徴しているようです。“ほのぼの系”は邦画の得意なジャンルですが、こういった“良質の説教系”はやはり洋画の方が一枚も二枚も上手のようです。ビューティフル・レターズ綴られた言葉(字幕版)アリー・アンダーウッド〔映画〕ビューティフル・レターズ綴られた言葉

  • 人間ってなんだ (鴻上 尚史)

    いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcastの番組に著者の鴻上尚史さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。20年以上にわたって鴻上さんが「週刊SPA!」に連載していたコラムから、これはという作品を選りすぐって書籍化したものとのこと、通底するテーマは「人間」です。執筆当時ならではのエピソードもあれば今でも相変わらずといったネタも並んでいて、とても興味深いのですが、それらの中から私の関心を惹いたところを書き留めておきます。まずは、演出家蜷川幸雄さんが主催する「ニナガワ・スタジオ」というグループに所属している若者たちを見て鴻上さんが感じ、考えたこと。(p178より引用)この試練に耐えられない俳優志望者は当然、脱落していきます。そこでまず「才能とは夢を見続ける力のことですよ」という僕の言葉の...人間ってなんだ(鴻上尚史)

  • 〔映画〕ニューヨークの恋人

    2001年公開のアメリカ映画です。主演はメグ・ライアン。もちろんロマンティック・コメディですが、彼女にとってはこのジャンルの最後といってもいい作品です。当然、ストーリーは気にしてはなりません。理屈に合わなかろうと、ご都合主義的であろうと関係なしです。ラブコメの特権、ともかく後のことはまったく考えていないHappyEndでいいのです。さらに本作品では、キャスティング面での大ヒットがありました。相手役のヒュー・ジャックマン。2000年が「X-メン」の第一作目ですから、新たなスターとして登場したてのころです。“新鮮で爽やか系貴公子”、ちょっと意外な感じがしましたが、これはアタリでしたね。ニューヨークの恋人[DVD]メグ・ライアンパラマウント〔映画〕ニューヨークの恋人

  • 〔映画〕いしゃ先生

    力いっぱい残念な作品です。無医村の診療所で孤軍奮闘した医者であり歌人としても活躍したという主人公のモチーフはとてもインパクトがあるのですが、それが映画として描かれると全く響きませんでした。プロット自体が貧弱なうえにシナリオも演出もどれも今ひとつでしたね。キャスティングについていえば、役者さんたちの技量というよりそもそも役柄と持ち味とのミスマッチです。ともかく、こういった実話にもとづいた作品の場合、時代感や生活感といった最低限のリアリティが感じられないのは致命的です。いしゃ先生[DVD]平山あやキングレコード〔映画〕いしゃ先生

  • 〔映画〕ドライビング Miss デイジー

    1989年公開のアメリカ映画です。ユダヤ人や黒人に対する人種問題やそれらを包含した当時の社会情勢等、さまざまな時代背景を織り込んだ名作ですね。私ではそういったバックグラウンドを描いた演出のすべてを理解するには至らないのが情けないのですが、それでも大いに感じるところはあります。まあ、そういった舞台設定を除いてシンプルなヒューマンドラマとして観ても素晴らしい作品だと思います。もちろんそれは、ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマン、ダン・エイクロイドといった名優の卓越した演技の賜物です。感謝祭のパイをはさんだ二人のラストシーンもいいですね。極上の余韻です。ドライビングMissデイジー[DVD]ジェシカ・タンディKADOKAWA/角川書店〔映画〕ドライビングMissデイジー

  • 知っておきたい地球科学: ビッグバンから大地変動まで (鎌田 浩毅)

    いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。著者の鎌田浩毅さんの本は今までに「世界がわかる理系の名著」「一生モノの勉強法」を読んでいます。京都大学名誉教授というタイトルのわりにはちょっと規格外的な鎌田さんの雰囲気に惹かれて、この本にもトライしてみました。私は、高校時代“文系”だったので授業で習ったのは「化学Ⅰ」と「生物Ⅰ」だけ。「地学」は履修していません。もともと小さいろから「宇宙」には興味があったのですが「地球科学」は完全に門外漢で超素人です。鎌田さん流の解説を正しく理解しているか大いに気になりつつも、新たな知識やエピソードの中から私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきます。まずは、“地学”からみた「地球温暖化」の捉え方について。“長尺の目”からのスコープでみると今日の危機的といわれている...知っておきたい地球科学:ビッグバンから大地変動まで(鎌田浩毅)

  • 〔映画〕ザ・エージェント

    1996年公開のアメリカ映画です。シリアスな作品かと思っていたのですが、ヒューマン・コメディですね。ストーリー自体は予定調和的ですが、こういった“暖か系”もいいものです。主演はトム・クルーズ。彼はこういったテイストの作品もうまくこなしますが、本作の場合、共演の面々もそれぞれに個性的でとても良かったと思います。まだブレイクする前のレネー・ゼルウィガーはとても魅力的でしたし、キューバ・グッディング・ジュニアもその明るいキャラクタをフルに発揮していました。そして極めつけは子役で登場していたジョナサン・リプニッキくん。無邪気な笑顔が印象的でしたね、彼がいなければこの作品の印象も大きく変わっていたでしょう。ザ・エージェント(1枚組)[DVD]トム・クルーズソニー・ピクチャーズエンタテインメント〔映画〕ザ・エージェント

  • 〔映画〕のんちゃんのり弁

    2009年公開の日本映画です。もともとはコミック誌に連載されていて、テレビ番組としても放映されたようです。作品のトーンはだいだい予想どおりでしたし、ストーリーも特段際立って目新しいというところもありません。となると、見どころはキャスティングとか演出とかということになりますが、その点では、主役の小西真奈美さんがなかなかの好演だったように思います。一本気で危なっかしいところのある“天然”っぽい主人公のキャラクタを素直に演じていて、印象的でした。とてもよかったですね。加えて、脇を固めた倍賞美津子さん、岸部一徳さん。こちらは流石の安定感でした。のんちゃんのり弁[DVD]小西真奈美キングレコード〔映画〕のんちゃんのり弁

  • 〔映画〕ダーティファイター

    1978年公開のクリント・イーストウッドの主演映画です。彼には珍しいコメディタッチの作品ですが、これはこれで悪くないですね。もちろん、こういったテイストの作品が“本流”というわけではないでしょう。ちょうど「ダーティハリー・シリーズ」が並行して作られていたころでもありますから、あくまでも彼の“演技の幅広さ”の顕れだと捉えるべきだと思います。ちなみに作品としては、軽いドタバタコメディといった趣きの中にちょっと“寅さん”的シーンもあって、思いのほか楽しめましたよ。ダーティファイター[DVD]クリント・イーストウッドワーナー・ホーム・ビデオ〔映画〕ダーティファイター

  • ユタが愛した探偵 (内田 康夫)

    かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。今回は、“沖縄”です。沖縄に初めて行ったのは学生の時、もう40年以上前、大阪南港から船中2泊の旅でした。さらに石垣島までも船旅でしたから、当時は“元気”でしたね。離島では「車は左、人は右」と書かれた看板が、色褪せてはいましたが、まだ残っていたころでした。その後社会人になって出張で訪れたのは那覇が多いのですが、いくつかの部署では沖縄でイベントを開催することもあったので恩納や万座のあたりにも足を伸ばしたことがあります。その行き帰りでは、この物語の中で浅見光彦が行き来した沖縄自動車道も何度も通っています。さて、この作品、ネタバレになるとまずいので内容には触れま...ユタが愛した探偵(内田康夫)

  • 〔映画〕もらとりあむタマ子

    2013年公開の日本映画。主演は前年にAKB48を卒業したばかりの前田敦子さんです。当時の上映時の話題はもちろんその“前田敦子さん”だったのだと思いますが、いい意味で軽く裏切られました。単なる話題作りに止まることなく、なかなか面白いキャラクタの役どころを、いい味を出して演じていましたね。プロットもよかったですし、演出も当たっていたのでしょう。ストーリーの方はあってないようなもので、映像や音楽も併せて“邦画のホームコメディ”ならではの緩いテイストです。で、こういう作品でも抜群の存在感を発揮するのが“富田靖子”さん。あの何とも言えない暖かさ、柔らかさは、フレームに登場するだけで一気に作品を浄化して良質の出来に仕上げてくれます。もらとりあむタマ子[DVD]前田敦子キングレコード〔映画〕もらとりあむタマ子

  • 〔映画〕津軽百年食堂

    2011年公開の日本映画です。オリエンタルラジオの藤森慎吾さんと中田敦彦さんが出演しています。監督は大森一樹さん。大森監督といえば、私の場合、「ゴジラvsビオランテ」「ゴジラvsキングギドラ」といった“平成ゴジラVSシリーズ”がいの一番に頭に浮かびますが、いろいろなテイストの作品を撮っていますね。この作品は、一言でいえば“ホームドラマ”といったテイストです。あくの強いキャラクタは登場しませんし、苛烈なエピソードも起こりません。また「弘前」を舞台にした“ご当地映画”でもありますから、無難にまとめたといった感じです。コアな映画ファンにとっては物足りないといった評価でしょうね。私の印象も“極々、並”でした。津軽百年食堂[DVD]藤森慎吾キングレコード〔映画〕津軽百年食堂

  • 限りある時間の使い方 (オリバー・バークマン)

    通勤で利用しているJR駅のエキソトにある書店で平積みになっていました。気になっていたのですが、いつもの図書館にも所蔵されていたのでさっそく借りて読んでみました。「時間管理」をテーマにしたHowToモノはよく見かけますし、最近では「コスパ(コストパフォーマンス)」と並んで「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉も一部で使われているようです。紹介文を読む限りでは、本書はちょっと切り口がユニークそうですね。私の興味を惹いたところから、2、3覚えに書き留めておきましょう。まずは、著者の議論のスタートとなる「時間管理」についての基本スタンスです。(p56より引用)どんなに効率的にやっても、忙しさは終わらない。その事実を理解していれば、いつか平穏な日々がやってくるのではないかという非現実的な期待を持たなくてすむ。...限りある時間の使い方(オリバー・バークマン)

  • 〔映画〕六月燈の三姉妹

    2014年公開の日本映画です。タイトルはいい感じですね。中身は“ホンワカ系”のホームドラマで、物語にドラマチックなエピソードがあるわけではなく、それなりの波風程度で進んでいきます。こういう郷土色が強い作品の場合、キャスティングが難しいですね。今回も個々の役者の方々はみなさん魅力的なのですが、“鹿児島”という土地を舞台とした本作には、吹石一恵さんはちょっと都会的過ぎたようです。そのあたり物語のなかで「三姉妹」のキャラクタ説明がほとんどなかったので、仕方ないところもあったように思います・・・(あえてギャップを出していたのかもしれませんが、そのあたりの背景が描かれていなかったので)。あと、勿体なかったのが吉田羊さん。彼女の役にも何かエピソードを絡ませて欲しかった気がします。ちょっと残念です。六月燈の三姉妹[DV...〔映画〕六月燈の三姉妹

  • 〔映画〕ナイトホークス

    1981年制作のアメリカのアクション映画です。主演はシルヴェスター・スタローン、40年以上前なのですが、ともかく“不変”です。観たところで結果は分かっているので、もう観るのはやめようと思うのですが、「ひょっとすると・・・」と期待しては、やはりず~っと裏切られ続けています。ともかく“究極のワンパターン・キャラ”ですね。もちろん、それは彼だけのせいではなく、モチーフ、脚本、演出・・・それぞれが揃いも揃ってこういうテイストだということでしょう。リンゼイ・ワグナーも、テレビシリーズ「地上最強の美女バイオニック・ジェミー」で人気を博していた直後の出演なのですが、登場シーンも少なく、今ひとつ存在感のない役どころでしたね。こちらも、なんとも残念です・・・。ナイト・ホークス[DVD]シルベスター・スタローンジェネオン・ユ...〔映画〕ナイトホークス

  • 見立て日本 (松岡 正剛)

    いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。松岡正剛さんの著作は久しぶりです。もともとは10年ほど前の週刊誌への連載記事の再録ですが、それをベースに現在までの小文を大幅に追加したものとのことです。正剛さんが切り出したキーワードと写真(撮影:太田真三さん)とのシナジーが楽しみで手に取ってみました。さっそく、その中身ですが、冒頭記したように「週刊ポスト」の連載なので“文章”は軽めのエッセイ・テイストで、いつもの“編集をコンセプトにした論考”とはかなり趣きは異なっていましたね。とはいえ、その中でも、ちょっと“正剛”色の出ていると感じたところをいくつか書き留めておきます。まずは、「苗代」がテーマの小文から。(p222より引用)ここには独特の日本流の方式がある。グローバル・スタンダードなシーズ(材料)やコード...見立て日本(松岡正剛)

  • 〔映画〕ザ・ローリング・ストーンズ/レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー

    1983年公開のアメリカ映画です。「ローリング・ストーンズ」による1981年のアメリカ・ツアーの様子を収録した“音楽ドキュメンタリー”とのことですが、正直なところ、単なる「ミュージック・ビデオ」といった印象でした。ツアーに至るまでの様子やコンサートの舞台裏、ミック・ジャガーやキース・リチャーズ等メンバーの素顔等々、ステージでは見えないところを描いたシーンが含まれているものと期待していたのですが、そういったコンテンツは全くありませんでした。これでは、ミュージックビデオを劇場の大画面で写しただけの作品だと言わざるを得ないでしょう。とにかく残念です。ザ・ローリング・ストーンズレッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー〈デジタル・リマスター版〉[DVD]ザ・ローリング・ストーンズジェネオンエンタテインメント〔映画〕ザ・ローリング・ストーンズ/レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー

  • 〔映画〕「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択

    「宇宙戦艦ヤマト2199&2202」をもとにリビルドした2021年公開の作品です。私にとっての“宇宙戦艦ヤマト”は、1974年に始まるテレビアニメにはじまり、1978年に公開された劇場映画「さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち」までなので、このリメイク版にはそれほどの思い入れはありません。ただ、そうはいっても“宇宙戦艦ヤマト”という傑作に対しては特別の思いは抱いています。正直、個々のキャラクタやその人間関係、あるいはそれぞれの信ずるところ、それらに表われる製作者の方々の思想や信念等々については、首肯できるものもあれば、どうにも受け入れ難いと感じるところもあるというのが事実ですが・・・。とはいえ、この“宇宙戦艦ヤマト”という強烈なモチーフと雄大な作品構成そのものの魅力、そしてその後のアニメーションに及ぼした影響...〔映画〕「宇宙戦艦ヤマト」という時代西暦2202年の選択

  • 化生の海 (内田 康夫)

    かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。今回は、都道府県レベルですが、ひとつの作品で3ヵ所をカバーしています。“北海道”“石川・福井”“福岡”です。いずれの地も都道府県としては出張で何度も訪れていますが、残念ながら作品の具体的な舞台はピンポイントで私が訪れた所ではありませんでした。余市の「ニッカウヰスキー余市工場」はプライベートで何度か見学に行ったことがあるくらいですね。(p21より引用)ウイスキーの工場は広大な敷地の中に蒸留棟や貯蔵庫などの建物が十数棟建っている。正門を入ると左手に受付があり、あらかじめ見学を申し入れておくと、ここから先をガイドの女性が案内する。さて、この作品ですが、ネタバレ...化生の海(内田康夫)

  • 〔映画〕クーリエ:最高機密の運び屋

    2020年公開のイギリスのサスペンス映画です。モチーフが米ソ冷戦期の諜報戦ですから、スリリングな展開であるのは当然です。なので、特徴を出していくにはどういった切り口を使って魅せるかがポイントになります。本作では、主人公二人の間に築かれる“信頼関係の描写”がそれにあたるのでしょう。その点では、その二人を演じたベネディクト・カンバーバッチとメラーブ・ニニッゼが見事だったと思います。それに加え、ウィンを操るCIA職員を演じたレイチェル・ブロズナハンとウィンの妻役のジェシー・バックリーのコントラストも見せ場でしたね。期待どおりの出来映えで見応えのある作品でした。クーリエ:最高機密の運び屋[DVD]ベネディクト・カンバーバッチHappinet〔映画〕クーリエ:最高機密の運び屋

  • 〔映画〕ペイン・アンド・グローリー

    2019年公開のスペイン映画です。アントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスという“如何にもスペイン”という分かりやすいキャスティングです。とはいえ、この映画でのアントニオ・バンデラスはとても抑制された演技で、かえってそれが印象的でした。ペネロペ・クルスもよかったですが、彼女の場合は役柄のわりにはやはり一抹の艶やかさが残りますね。物語は、監督・脚本のペドロ・アルモドバルの自伝的なものとのこと、回想と現在とを交錯させるシーン構成が巧みで、とても見応えのある出来栄えだったと思います。ラスト近くの“水彩画”のシーンは特に心に響きました。ペイン・アンド・グローリー(字幕版)アントニオ・バンデラス〔映画〕ペイン・アンド・グローリー

  • 誰が国家を殺すのか 日本人へV (塩野 七生)

    いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。塩野七生さんの著作は、代表作「ローマ人の物語」をはじめ、この「日本人へ」と副題がつけられているシリーズも「リーダー篇」「国家と歴史篇」「危機からの脱出篇」「逆襲される文明」と読み続けています。ということで当然のごとく本書も手に取ったというわけです。タイトルは編集者のセンスでもあるのでかなり刺激的なものですが、内容は塩野さんの感性で綴ったエッセイです。予想どおり興味を惹いたところは数多くありましたが、その中から特に印象に残ったところをひとつ書き留めておきます。“衆愚政”に陥りつつある今日の政治。これはイタリアもそうですし日本もそうですが、この状況に対し「女性や若者を制度的に一定割合登用せよ」という処方箋を示している塩野さんが、とはいえこの点には注意せ...誰が国家を殺すのか日本人へV(塩野七生)

  • 〔映画〕恋するモテない小説家

    2017年公開のアメリカのロマンティック・コメディ映画です。変わったタイトルですが、原題は“WeLoveYou,SallyCarmichael!”。これも実際、作品を見てみないとピンときません。で、作品の方ですが、野次馬やお騒がせ屋の賑やかしといったお飾りのアクシデントを織り込みつつ、ラブコメお決まりの“起・承・転・結”に忠実なストーリー展開で“可もなく不可もなし”という無難な出来栄えに仕上げています。主人公カップルを演じた役者さんもビッグネームではありませんでしたが、とても好感の持てるキャラクタで良かったですね。こういったあっさりとした「ライト・コメディ?」は、私は結構好きなのです。恋するモテない小説家(字幕版)クリストファー・ゴーラム〔映画〕恋するモテない小説家

  • 〔映画〕TATTOO<刺青>あり

    1982年の公開ですから、40年ほど前の日本映画です。私も大学生から社会人になるころで、時代を感じる作品ですね。映像もそうですが、キャスティングや演出もまさに“あの頃”です。スタッフの顔ぶれをみても、井筒和幸さんがプロデューサー、周防正行さんが監督助手というのですから・・・。興行としては、宇崎竜童さんが主役を演じたことが評判だったようですが、正直なところ映画の中での存在感という点では、やはり、関根(高橋)恵子さんと渡辺美佐子さんでしょう。特に、関根恵子さんが登場するカットの演出は、絵と音楽も併せて力が入っていましたね。TATOO<刺青>あり《HDニューマスター版》DVD宇崎竜童キングレコード〔映画〕TATTOO<刺青>あり

  • 一度読んだら絶対に忘れない物理の教科書 (池末 翔太)

    いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。私は、高校時代「文系」だったので授業で習ったのは「化学Ⅰ」と「生物Ⅰ」で、「物理」は履修していません。なので、今となってはとても心残りに感じていました。そういう背景があるので、「物理の入門書」と謳っている本書は一目で気になって手に取った次第です。なのですが、読み終えてみるとどうにも当初の私の目的はまったく果たされなかったようですね。高校物理が対象としている分野は一通りカバーしているとのことなのですが、それぞれの分野に関する各々の事象や法則、それらを著した数式(公式)が紹介されているだけとしか私には見えませんでした。むしろ「物理」をきちんと理解している人ならこういった解説方法の良さが分かるのかもしれませんが、正直なところ、私のような“ど素人”にとっては、単元...一度読んだら絶対に忘れない物理の教科書(池末翔太)

  • 〔映画〕ザ・アウトロー

    2018年公開のアメリカのアクション映画です。ジェラルド・バトラーが主演をつとめていますが、こういったワイルドな役は素直に彼のキャラクターにはまっていましたね。彼の場合は、あまり捻らない方が持ち味が発揮できるタイプだと思います。タイトルが今ひとつ響かなかったこともあり、ストーリーの方は全く期待していませんでしたし、批評家の評価はごくごく平凡とのことですが、最後のサプライズも含めて思いの外よかったです。私は結構楽しめました。とはいえ、“尻切れトンボ”的なラストはちょっと消化不良。ただ、今後の企画もあるとの噂もあるようですから、まあ、こういうのもアリでしょう。ザ・アウトロー[DVD]ジェラルド・バトラーポニーキャニオン〔映画〕ザ・アウトロー

  • 〔映画〕サンダカン八番娼館 望郷

    1974年の公開ですから、もう50年ほど前の作品です。山崎朋子さんによる「大宅壮一ノンフィクション賞」受賞作「サンダカン八番娼館―底辺女性史序章―」を原作にした映画とのことですが、確かにとても見応えのある素晴らしい作品だと思います。テーマ自体すでに大いにメッセージ性のあるものなのですが、それを徒にセンセーショナルに扱うことなく訥々と物語を進めていきます。キャスティングもよかったですね、栗原小巻さんをはじめとして高橋洋子さん、水の江滝子さん、小沢栄太郎さん・・・、そして極め付きは田中絹代さん。ともかく素晴らしかったです。とても難しい役どころを微塵の厭らしさもなく見事に演じ切っていらっしゃいました。久しぶりに揺さぶられました。サンダカン八番娼館望郷[東宝DVD名作セレクション]栗原小巻東宝〔映画〕サンダカン八番娼館望郷

  • 人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」 (篠田 謙一)

    会社の大先輩がSNSで紹介されていて気になった本です。いつもの図書館に所蔵されていたので、さっそく借りて読んでみました。最新の遺伝子研究の成果から人類誕生以降の足跡を顕かにしようと試みた著作です。さっそく数多くの私の興味を惹いたところから、いくつか覚えに書き留めておきましょう。まずは、「ホモ・サピエンス」の起源に関する最新の研究成果です。(p59より引用)ホモ・サピエンスの誕生については、20世紀の終わりまで支配的だった多地域進化説が、21世紀になって、「アフリカで20万年前に誕生したホモ・サピエンスが、六万年ほど前に出アフリカを成し遂げて、旧大陸にいたホモ・サピエンス以外の人類を駆逐しながら世界に広がった」とする新人のアフリカ起源説に取って代わられました。また、2010年以降には、ホモ・サピエンスが世界...人類の起源-古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」(篠田謙一)

  • 〔映画〕渚のシンドバッド

    1995年の日本映画です。当時、こういったプロットの作品を世に問うのはなかなかチャレンジングだったかもしれません。今日のように“LGBTQ”が一定のポジションを得ている時代だと、逆にこういったトーンの作品は作れなかったような気もします。そういったメッセージ性を脇に置いて、シンプルに当時の“青春映画”として観ても、なかなか興味深いものでした。もちろん、その要因、この作品の大きなウリは「浜崎あゆみ」さんですね。まだ歌手デビュー前の彼女が主要なキャラクタのひとりとして出演しています。ちなみに「渚のシンドバッド」というタイトルは“謎”ですね。気になるのは大ヒットしたピンクレディーの楽曲とのかかわりですが、歌の方は1977年のリリースですし、内容的にもまったく関係ないようです。渚のシンドバッド[DVD]岡田義徳東宝〔映画〕渚のシンドバッド

  • 〔ドラマ〕火曜サスペンス劇場 新・女検事 霞 夕子 ペルソナ・ノン・グラータ

    テレビの人気シリーズ“火曜サスペンス劇場”の1994年放映の作品です。原作は夏樹静子さんの短編小説ですから、本格ミステリーというよりもテレビの視聴者向けにエンターテインメントに徹したつくりです。なので、犯行の手口も稚拙ですし、証拠もとても都合よく出てきます。当然ですが、そこを突っ込んでも何の意味もありません。シリーズですから、主人公のキャスティングは重要ですね。この“霞夕子シリーズ”、初代は桃井かおりさんとのこと。とても個性的でインパクトのある女優さんから引き継いでの本作の鷲尾いさ子さん、かなりタイプは違いますが、爽やか系で好感が持てます。思い切ったアサインですが、私はいいチャレンジだと思いました。火曜サスペンス劇場新・女検事霞夕子ペルソナ・ノン・グラータ鷲尾いさ子〔ドラマ〕火曜サスペンス劇場新・女検事霞夕子ペルソナ・ノン・グラータ

  • ルポ 誰が国語力を殺すのか (石井 光太)

    いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の石井光太さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。石井さんの著作は、以前にも「ルポ自助2020-―頼りにならないこの国で」という本を読んだことがあります。本書も前作と同様に、石井さんの現場に入り込んだ渾身の取材からの多面的な考察は刺激に富んでいて、なかなかに面白いものがあります。その中から、私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきましょう。まずは、序章で紹介されているエピソードです。国語の授業における今日の小学生が話す「ごんぎつね」の情景解釈は心底ショッキングでした。本書での石井さんの問題意識はここに始まります。(p15より引用)そもそも学校現場で見られる子供たちの思考力の欠如や珍妙な解釈を、「読解力の低下」という問題だけに留めて...ルポ誰が国語力を殺すのか(石井光太)

  • 〔映画〕東京湾炎上

    今から50年近く前、1975年公開の日本の特撮映画です。ストーリーは「シージャック」がモチーフですが、テロリストの動機も計画も行動もとても稚拙で観ていてちょっと情けなくなります。他方、特撮の方は、懐かしいテイストでなかなか良かったですよ。「石油コンビナートの炎上シーン」が見せ場ですが、こういった“爆発・火炎もの”はお家芸ですね、見事に迫力のある絵になっています。制作スタッフには、田中友幸さん、川北紘一さんといった見たことのあるお名前が並んでいました。あと、勿体なかったのが金沢碧さん。紅一点のヒロインですが、せっかくの登場シーンも取ってつけたようで全く意味不明でした。映画初出演とのことですが、とても残念な使われ方でしたね。ちなみに、当時の劇場公開は「2本立て」の上映がふつうでしたが、本作の併映は「がんばれ!...〔映画〕東京湾炎上

  • 〔映画〕クロスマネー

    スペインの「サスペンス」映画です。かなり変わったプロットなので、万人受けする作品ではないでしょう。私も、特にラストに向かってストーリー展開には、今ひとつついていけませんでした。結局、主人公はどうするつもりだったのが、どうなってしまったんでしょう。どうにも中途半端な終わり方だったように思います。あとは謎解きの暗号。これもかなり無理がありますね。単純な暗号キーですが、これに難なく気づく警官も不自然な感じです。クロスマネー[DVD]エマ・スアレスインターフィルム〔映画〕クロスマネー

  • 歌枕殺人事件 (内田 康夫)

    かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。今回は“宮城”です。宮城(仙台)は、今勤務している会社でも、以前勤めていた会社でも拠点があったので年に数回は訪れていました。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品の主な舞台は「多賀城」。仙台からそれほど離れていないので、光彦の活動拠点は仙台市内のホテルでした。ただ、モデルとなったホテルが推測できるような描写はありませんでした。その他に馴染みの場所が登場するかとちょっと期待したのですが、せいぜい「秋保温泉」ぐらいでしょうか。私は行ったことはないのですが、昨今は“おはぎ”が有名ですね。餡ときな粉と胡麻。出張の折、何度か頂きました。さて、スト...歌枕殺人事件(内田康夫)

  • 〔映画〕闇の狩人

    1979年公開の映画です。池波正太郎の原作を監督五社英雄が主演仲代達矢で撮った作品です。役者さんと映像にばかり気が行って、物語自体はあまり印象には残りませんでした。ともかく出演者は今からみると凄まじい面々です。仲代さんをはじめとして、原田芳雄さん、丹波哲郎さん、千葉真一さん、大滝秀治さん、東野英治郎さん、加藤嘉さん、そこに、懐かしい成田三樹夫さん、室田日出男さん、ハナ肇さん・・・。藤田まことさんや夏木勲(夏八木勲)さんも中堅どころで、梅宮辰夫さんも早々に画面から消えます。これだけ並ぶと、役所広司さんですら下っ端の子分役です。女優陣は、岸惠子さんと松尾嘉代さんのお二人がさすがの存在感。そこに、いしだあゆみさん、奈良富士子(水島彩子)さん、神崎愛さんと続きます。このころの日本映画は、いわゆる“銀幕のスター”の...〔映画〕闇の狩人

  • 〔映画〕ボルケーノ・パーク

    とてもありがちな“デザスター・パニック”映画です。中国映画ですが、監督はイギリスのサイモン・ウェスト。「トゥームレイダー」や「エクスペンダブルズ2」を撮った大物監督とのことです。とはいえ、作品としての出来は、まさに予想どおりというか予想以上に“温い”ものでしたね。ともかく災害シーンも火山の噴火なのでCGによるしかなく、映像での差異化はあり得ませんでしたし、ストーリーの方はといえば、平板でエピソードの工夫もありません。ラストのHappyEndは確かに想像を超えた?ものでしたが、いくらHappyでもあそこまで“ご都合主義”なのはどうかと思いますね。ボルケーノ・パーク[DVD]ワン・シュエチーアルバトロス〔映画〕ボルケーノ・パーク

  • プリズン・ドクター (おおたわ 史絵)

    いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者のおおたわ史絵さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。刑事施設内という特殊な環境下での経験を綴ったエッセイはとても興味深いものがありました。それらの中から、私の関心を特に惹いたところをひとつ書き留めておきます。矯正医官として被収容者と診察を通して接する中で、おおたわさんが痛感した日本の医療の現状の一端です。犯罪を起こした後の「刑事責任能力」判定に係る医師としての虚無感。(p103より引用)犯人らの精神の異常をもっと早く正確に判断する手段はなかったのか?止められなかったのか?この問題を考える時、医師の立場からすれば少しでも治療に繋げていれば起こらなかった犯罪はいくつもあると感じる。・・・事件が起きてからでは遅い。未然に医療が介入できる仕組...プリズン・ドクター(おおたわ史絵)

  • 〔映画〕ブラッド・スローン

    地味で抑圧されたトーンの“サスペンス”映画です。出演している役者さんたちもメジャーではないのですが、各々なかなかに渋く、演技にもリアリティがありました。こういう状況化でここまで思い切って自らを変えることができる主人公はまずいないとは思いますが、その分、ストーリーにはオリジナリティがあったように思います。映画の作りも、現在進行形のシーンと過去の経緯をたどったシーンとを並行に見せることにより、主人公の変貌ぶりをうまく描いていました。最終的には“家族の絆”を大切にする価値観が根底にあるので、凄惨な画面に反してそのメッセージ性には共感できるところがありますね。観る前は全く期待していなかったのですが、ちょっと気になる作品でした。ブラッド・スローン[DVD]ニコライ・コスター=ワルドー松竹〔映画〕ブラッド・スローン

  • 〔映画〕ザ・ボディガード

    これもよくありがちなプロットの“サスペンス映画”です。登場人物の善悪もはっきりしていてストーリーも平板、作品としてはストレートに“並”の出来なのですが、かえって、そのつくりのベタさ加減が結構私にはハマりました。想像どおり専門家の評価はかなり低いようですが、こういった映画には珍しい“暖か系のラストシーン”も含め、私としての印象はgoodです。渋いサム・ワーシントンの朴訥さと華のあるオデイア・ラッシュの気丈さとのコントラストもよかったですね。ザ・ボディガード(字幕版)サム・ワーシントン〔映画〕ザ・ボディガード

  • 『失敗の本質』を語る なぜ戦史に学ぶのか (野中 郁次郎)

    いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。野中郁次郎教授の著作は、今までも「失敗の本質」を皮切りに「知識創造企業」「戦略の本質」等々、何冊か読んでいます。本書は、数々の著作で語られた野中教授の戦略理論等を俯瞰するとともに、それらの研究の背景やプロセス等につき、野中教授自身が語ったものだということで大いに関心を持ちました。予想どおり興味を惹いたところは数多くありましたが、その中から特に印象に残った部分を書き留めておきます。まずは、名著「失敗の本質」誕生に至る防衛大での共同研究の様子です。(p44より引用)共同研究に取り組む過程で実感したのは、研究分野による作法の違いです。研究チームは歴史研究者と組織論の研究者に大別できました。歴史研究者は、歴史は個別の出来事の連なりであり、普遍化よりも、特殊...『失敗の本質』を語るなぜ戦史に学ぶのか(野中郁次郎)

  • 〔映画〕テロリスト・ゲーム

    かなり“ショボい”印象だったのですが、やはり1993年のテレビ映画なんですね。テロリスト、ソ連、核爆弾、列車ジャックととても月並みな“ネタ”が並んだ、いわゆる“B級サスペンス”の典型です。ただ、単純なつくりだけに、誰でもある程度の満足感と物足りなさを感じながら素直に楽しめる作品だとも言えます。ちなみに、主演はピアース・ブロスナン。彼が“5代目ジェームズ・ボンド”として登場するのは1995年「ゴールデンアイ」ですから、本作品はその直前のタイミングです。ほぼ同時期のピアース・ブロスナンですが、“ジェームズ・ボンド”という役は「役者としての存在感」自体を一変させてしまうようです。“007シリーズ”という“映画の格”のなせる業かもしれません。テロリスト・ゲーム(字幕版)ピアース・ブロスナン〔映画〕テロリスト・ゲーム

  • 〔映画〕リピーテッド

    「一日だけの記憶で、一晩眠ると前日の記憶がなくなってしまう」というのは、ドリュー・バリモアの「50回目のファースト・キス」での設定と同じですが、あちらは“ロマンティック・コメディ”、こちらは“サスペンス・スリラー”です。ストーリー的には、犯行に至る動機や人物のバックグラウンドが不明瞭なので、今ひとつ“雑”な印象が拭えません。他方、キャスティングについていえば、ニコール・キッドマン、コリン・ファース、マーク・ストロングとなかなか豪華な面々が並んでいます。結局のところ、この3人で物語は進んでいくわけで、このクラスの役者さんが揃うとそれなりのレベルの見応えは担保できてしまうんですね。とりわけ、ニコール・キッドマンはさすがの“存在感”でした。リピーテッド[DVD]ニコール・キッドマンHappinet〔映画〕リピーテッド

  • 平家伝説殺人事件 (内田 康夫)

    このところ、かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”の中から私の出張先が舞台となった作品を読んでいます。その流れでシリーズ第一作目となる「後鳥羽伝説札事件」を読んだのですが、まだ少々尖がっていたころの内田さんの筆致を目にし、その後の変化の道程が気になりました。ということで、「出張先フォロー」から外れますが、第二作目ではどんな感じかと手に取った次第です。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、私の印象は、正直なところこの二作目、内田さんの作品にしては極めて“凡庸”に感じました。保険金目当ての偽装結婚というプロット自体からして全く目新しさはありませんし、大災害を背景にしたエピソードや密室トリックの謎解き等は過去にも多くの(先人の)作品で使い古されたものです。敢えて辛辣な言い方をお許しいただ...平家伝説殺人事件(内田康夫)

  • 〔映画〕ルパン三世 EPISODE:0 ファーストコンタクト

    このところちょっと「ルパン三世」づいています。本作品は2002年放映のTVスペシャルシリーズの中のひとつとのこと。ルパン三世とその仲間たちとの最初の出会いのエピソードがモチーフですが、それまでのアニメシリーズとの整合性はとれていませんから、これはこれで“単独作品”として観るべきですね。で、観終えた印象ですが、最後のどんでん返しも含めて、しっかりと楽しめました。いまから20年以上前の作品ですから、個々のキャラクタも初期のルパンシリーズのテイストに近く、私のような年代のものには素直にフィットします。ともかく、出演した声優のみなさんがレジェンドのオールスターで超豪華。小林清志さん、井上真樹夫さん、納谷悟朗さん、増山江威子さん、森山周一郎さん、永井一郎さん・・・、ルパンは栗田貫一さんですが、これが山田康夫さんだっ...〔映画〕ルパン三世EPISODE:0ファーストコンタクト

  • 水のない川 暗渠でたどる東京案内 (本田 創)

    いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。こういう感じの“街歩き”本は、今から15年以上前に読んだ中沢新一さんの「アースダイバー」、最近では、高橋源一郎さんの「失われたTOKIOを求めて」等を読んだことがありますが、本書は「暗渠」をテーマに東京を巡ります。まず、序章「暗渠スケープと景観・空間・時間」で本田創さんはこう語っています。(p17より引用)とくに大部分の川が暗渠となり、川を介した土地のつながりが見えなくなってしまっている東京では、暗渠をひもいていくことで、今、目の前に見える東京とはまったく異なる都市の相貌が立ち現れてくる。いったんそれに気がついてしまうと、あなたはもう、今までのまなざしで東京のまちをとらえることはできなくなるだろう。時代を追ったその街・土地の変化の様はとても重層的で興味深い...水のない川暗渠でたどる東京案内(本田創)

  • 〔映画〕ピエロがお前を嘲笑う

    2014年のドイツ映画です。変わったタイトルに惹かれて観てみましたが、原題は「WhoAmI」。「KeinSystemistsicher」という副題がついていて、翻訳によると「安全なシステムはない」という何とも味気ないタイトルでした。ハッキング犯罪がモチーフになっているので、作品のテイストは想像できますし、実際のところそのとおりでした。やはりこの手の映画は私には合いませんね。入り組んだストーリーであったとしても、もっと明るくて軽みがある展開であればいいのですが、どうにも沈み込んだ感じになってしまいます。当然のことながら、ラストを迎えても私の頭の中はスッキリには程遠い状態でした。ピエロがお前を嘲笑う[DVD]トム・シリングTCエンタテインメント〔映画〕ピエロがお前を嘲笑う

  • 〔映画〕ファイナル・カウントダウン

    1980年のアメリカ映画です。もう何度も観ていますが、また久しぶりに観たくなりました。タイムトリップものの戦争映画としては草分け的作品ですね。ストーリーは当然ながら“御都合主義”的ですが、そもそも論理的な辻褄が合うわけではないので観る方も織り込み済みです。ともかく、この作品、真珠湾攻撃直前という場の設定と最高にシンプルなプロットが成功の鍵でしたね。映像としても、CGが普及する前なので実際の艦船や艦載機が使われていてリアリティも十分でした。愛犬を伏線にしたエンディングも、観客はほとんど想定していただろうと思いますが、やはり心が躍りますね。いいシーンです。ファイナルカウントダウン[Blu-ray]カーク・ダグラスHappinet〔映画〕ファイナル・カウントダウン

  • 米朝らくごの舞台裏 (小佐田 定雄)

    SNSで紹介されていたので目に付いた本です。私は「落語」は結構好きな方で、その中でも「三代目桂米朝」師匠はお気に入りの噺家さんの一人です。もちろん“人間国宝”でいらっしゃるので言うまでもありませんが、その上品な芸風は他の噺家さんとは一線を画していましたね。本書は、米朝師匠にまつわる数々のエピソードを記したものですが、著者が落語作家として米朝師匠、枝雀師匠の近くで活躍されていた小佐田定雄さんだけあって、とても興味深い話が満載でした。そのいくつかを覚えとして書き留めておきます。まずは、「小倉船」に登場する長唄「浦島」を踊るシーンの稽古。米朝師匠は四代目三遊亭圓馬師匠に習ったとのこと。その際のやり取りです。(p96より引用)「できるだけ手数の少ない簡単な振りをお願いします」と頼むと、圓馬師は、「なにを言ってんだ...米朝らくごの舞台裏(小佐田定雄)

  • 〔映画〕柘榴坂の仇討

    浅田次郎さんによる短編小説が原作の映画です。浅田作品を原作にした映画は今までも「鉄道員(ぽっぽや)」「壬生義士伝」「地下鉄(メトロ)に乗って」あたりを見ていますが、それらに比べて本作はかなり“あっさり”していますね。もっとストレートに言えば、圧倒的に物足りない印象です。主人公二人の人物像の作り込みが甘いのが致命的ですね。なので、なぜ忍従していたのか、そして、なぜそれが氷解したのかというプロットに納得感や共感が生まれないのだと思います。共演者の印象はといえば、真飛聖さんはうまく役柄にマッチしていましたが、広末涼子さんの方はせっかくの彼女の魅力を活かしきれていなかったようです。ところどころの“ちょっとした表情”だけではもったいないですね。とても残念な出来の作品でした。あと、そういえば、今から25年ほど前には「...〔映画〕柘榴坂の仇討

  • 〔映画〕ルパン三世 THE FIRST

    2019年12月に公開された作品です。ストーリー的には、ルパン三世の劇場版にありがちなプロットでインパクトはなかったのですが、3Dアニメーションの出来はかなり上等だと思います。立体感も自然で映像も綺麗でした。登場キャラクタはいつもの面々、声優のみなさんも小林清志さんを除いては“第二世代”以降の安定のメンバーで、素直に楽しめましたね。最後の“予定調和”的エンディングもお決まりのパターンで評価は分かれるかもしれませんが、私はこういった心優しいHappyendが好みです。あと、原作のモンキー・パンチさん、楽しみにしていた本作品の完成を見ることはかなわなかったとのこと、残念です。長年にわたり素晴らしい作品の数々を本当にありがとうございました。ルパン三世THEFIRSTルパン三世/栗田貫一〔映画〕ルパン三世THEFIRST

  • 遺譜 浅見光彦最後の事件 上・下 (内田 康夫)

    このところ、かなり以前に読んだ内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”の中から私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみているのですが、図書館でそれに該当する本を探していたおり、目についた作品です。ともかく“浅見光彦最後の事件”という副題はインパクト十分ですね。まんまと内田さんの餌に食らいついてしまった気分です。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、主な舞台は浅見光彦シリーズの締め括りということもあり、ダイナミックにドイツ、オーストリアにも足を伸ばし、その地の観光案内にも匹敵するような風景や街並みの詳細な描写が印象に残ります。(ということで、残念ながら「出張先」とは全く無縁です)また、登場人物はお馴染みの浅見家の面々はもとより、過去の事件で関わりのあったヒロインたちも数多...遺譜浅見光彦最後の事件上・下(内田康夫)

  • 〔映画〕犬も食わねどチャーリーは笑う

    オリジナル脚本の最近の作品です。最近ちょっと気になっている女優さん、岸井ゆきのさんの出演作ということで観てみました。感想はといえば、正直なところ“今ひとつ”でした。最近のネット社会でありそうなエピソードをモチーフにしているのですが、取り上げられたテーマ自体が旧態依然としたメンタリティなので、まったく響かなかったです。ラスト近くのドタバタのシーンもどうでしょう・・・、ちょっと無理筋感が漂います。香取慎吾さんもこのキャラクタでは少々マンネリですね、とても残念。そう、ひとつだけ気になったのが作品の「ロケ地」。あのモノレールは「多摩モノレール」ですね。ご近所さんです。犬も食わねどチャーリーは笑う香取慎吾〔映画〕犬も食わねどチャーリーは笑う

  • 〔映画〕ルパン三世VSキャッツ・アイ

    ルパン三世50周年、キャッツ・アイ40周年を記念したコラボレーション作品とのことです。私のような当時のコミックやテレビ放映のころを知っているものからすると、そんなにも月日が流れたのかと驚くとともに、ちょっと複雑な心境になりますね。ストーリーは「キャッツ・アイ」のプロットを軸に“ルパン一家”が絡む展開で、それはそれで悪くはなかったのですが、キャラクタの作画にはかなり違和感がありました。特に“三姉妹”の絵は“北条司”さんのオリジナルとはほど遠く残念でしたね。ただ、声優さんのキャスティングについていえば、戸田恵子さん、坂本千夏さんはオリジナルそのまま、藤田淑子さんがいらっしゃらないのは淋しかったですが、とても懐かしく大いに楽しめました。あと、不変なのは“峰不二子”さんのキャラですね。この作品でも結構いいところを...〔映画〕ルパン三世VSキャッツ・アイ

  • 世界珍食紀行 (山田 七絵)

    たまたま、となりの自治体の図書館に寄った際、新着図書の棚で目についた本です。この手の内容の本はいくつもありそうですが、編者の山田七絵さんが開発途上国の専門家(アジア経済研究所新領域研究センター環境・資源研究グループ研究員)だということで、よくある奇を衒ったものとはちょっと違った感じではないかと興味をもって読んでみました。そういえば本書は、私がいつも聞いている大竹まことさんのpodcastの番組に以前山田さんがゲスト出演したとき紹介していましたね。ともかく私にとっては初耳の情報が満載で、それらの中から特に印象に残ったものをいくつか書き留めておきます。まずは、ラオスの「カブトムシ」。(p66より引用)首都ヴィエチャン郊外には、野生動物や昆虫を豊富に取り揃えるドンマカーイ市場がある。そこで友人がカブトムシの雄の...世界珍食紀行(山田七絵)

  • 〔映画〕ブリット

    1968年の公開なので、今から50年以上前の作品です。絶対的ヒーローのスティーブ・マックィーンに、相手役はジャクリーン・ビセット。敵役には「0011ナポレオン・ソロ」のロバート・ヴォーンという豪華布陣です。ストーリーの方は、その割に地味で硬派です。ラストも正直中途半端ですが、それもまたハードボイルドタッチですね。ただ、細部の演出はどうでしょう。場面場面での登場人物の細かな表情などはなかなかシブくて印象的なのですが、証拠物をあれだけ素手で触っておいてから指紋採取を指示するとか、国際線に搭乗して機内にいた人間が拳銃をもっているとか、シーンによっては信じがたいほどに“雑”なところも散見されます。それでも、話題になったアメ車どおしのサンフランシスコ市内のカーチェイスのシーンは、完全な実写だけに確かに迫力はありまし...〔映画〕ブリット

  • 〔映画〕格差恋愛 シークレット・ミリオネア

    あまりにも陳腐なプロットですが、ときには、こういった何も考えなくて程々に楽しめる作品も貴重ですね。タイトルからも完全に推測できるとおり、ストーリーは、後半にお決まりのトラブルがあって最後はhappyendという超予定調和な展開です。大きなハードルも、急転直下、信じられないくらいの物分かりの良さで円満解決に至りますし、主人公たちの復活も驚くほどの“手のひら返し”でした。格差恋愛シークレット・ミリオネア(字幕版)スティーヴ・ランド〔映画〕格差恋愛シークレット・ミリオネア

  • 世間とズレちゃうのはしょうがない (養老 孟司・伊集院 光)

    養老孟司さんと伊集院光さんの対談本です。いつも聞いているピーター・バラカンさんのpodcastの番組で伊集院さんがゲスト出演したとき紹介していたので、気になって手に取ってみました。昨今の新型コロナ禍に対する日本人の行動様式を語る際、“同調圧力”とか“世間”といった言葉を目にすることが多くなりましたね。そのわが国において隠然たる影響力を持つ“世間”との折り合いのつけ方を、まさに世間とのズレを自覚している養老さん伊集院さんのお二人が語り合った本です。予想どおりなかなか面白いやりとりが交わされていましたが、その中から特に印象に残ったところは養老さんによる「あとがき」に書かれたくだりでした。(p181より引用)世間とのズレが仕事の動機にもなり、努力の源になる。私は長年そう感じてきたが、今度の対談で伊集院さんもそう...世間とズレちゃうのはしょうがない(養老孟司・伊集院光)

  • 〔映画〕私をスキーに連れてって

    1987年公開の映画ですから、もう35年以上前なんですね。松任谷由実さんの楽曲が流れ、一大ブームを巻き起こしました。当時、私もこの主人公たちと同じぐらいの年代だったのですが、流行のスキーも全くやったこともなく、こういったシチュエーションとは全く無縁でしたね。さてこの作品、原田知世さんの代表作ですが、その他のキャストも大いに時代を感じさせます。沖田浩之さんを筆頭に鳥越マリさんも懐かしかったですが、何と言っても原田貴和子さん、高橋ひとみさんは良かったですね。まさに作品のテイストにピッタリでした。あと最高の驚きはOL役で出演していた「玉乃ヒカリ」さん。なんと今の叶美香さんでした。私をスキーに連れてって[DVD]原田知世ポニーキャニオン〔映画〕私をスキーに連れてって

  • 〔映画〕ハッピーエンドが書けるまで

    最後は“唐突感”満載の強引な展開で予定調和的な結末にもっていきましたね。それでも、こういうハート・ウォーミングな作品は理屈抜きにやはりいいです。軟弱ですが、私は好きです。“作家家族”という設定も面白いですし、登場人物それぞれの性格付けのコントラストもいい具合でした。そして、その家族を演じるグレッグ・キニア、ジェニファー・コネリー、リリー・コリンズ、ナット・ウルフは、絶妙なキャスティングだったと思います。あと、近所のトリシアさん、とても効果的なアクセントになっていました。こういうキャラクタの配置は気が利いていてスマートですね。ハッピーエンドが書けるまで[DVD]ジョシュ・ブーンビクターエンタテインメント〔映画〕ハッピーエンドが書けるまで

  • べつに怒ってない (武田 砂鉄)

    いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。著者の武田砂鉄さんの本はちょっと前に「マチズモを削り取れ」を読んでいます。なかなか面白い感性をお持ちのように感じたので、この本にもトライしてみました。こちらは、かなり“くだけた”エッセイ集です。ビジネス雑誌に連載したものの再録とのことで、正直なところ、合う合わない、多種多様、玉石混交な内容です。とはいえ、ここで部分的であってもその内容を紹介してしまうと、これから手に取ってみようという読者のみなさんの楽しみを奪ってしまうことになりますから、私の感性と同期したくだりをひとつだけ書き留めておきます。(p223より引用)何かをするよりも、何かをしないほうが好きなのは、そっちのほうが頭の中が楽しくいられる、と信じ込んでいるからなのだろう。街には、ぼーっとベンチに座っ...べつに怒ってない(武田砂鉄)

  • 〔映画〕左様なら今晩は

    最近のコミックが原作の映画です。これ以上単純な設定はないだろうというぐらい単純な物語です。とても特異な主人公であるにも関わらず、その背景説明は何もありませんし、ラストシーンもどういう意味があるのか全く不明でした。ただ“ほのぼの系”の軽いタッチのラブコメとしては、こういったテイストでいいんでしょうね。ストレートに言ってしまえば、主役の久保史緒里さんに尽きるといってもいい作品だということです。ピュアなキャラクタはとても映えていました。このキャスティングは大正解ですね。左様なら今晩は久保史緒里〔映画〕左様なら今晩は

  • 〔映画〕マイ・ブロークン・マリコ

    コミックが原作の映画です。永野芽郁さん主演ということで観てみました。若手の役者さんは、いろいろな役どころにガンガントライするので楽しいですね。本作品も、永野さんの素の姿でこなせそうなところもあれば、まさに熱演といったシーンもありました。あと、最近では珍しい“喫煙シーン”。本作の場合は外せなかったようですが、そのあたりはどう映るんでしょう。こういったテイストの作品を受け入れる層にとっては、あまり気にはならないかもしれませんね。物語についていえば、プロットはシンプルですがなかなか秀逸だったと思います。登場人物は極く少数、特に永野さんをはじめとして、奈緒さん、窪田正孝さんという“キャラクタの立った役者”さんがそれぞれにうまくはまっていましたね。マイ・ブロークン・マリコ永野芽郁〔映画〕マイ・ブロークン・マリコ

  • 6ヵ国転校生 ナージャの発見 (キリーロバ・ナージャ)

    いつも聴いている茂木健一郎さんのpodcast番組に著者のキリーロバ・ナージャさんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。ナージャさんは、現在クリエイティブ・ディレクターとして活躍中ですが、小学生になって以降、ご両親の仕事の関係で6ヵ国を巡る転校を経験しました。その時の体験を中心に、各国の教育の実態を紹介した本書の内容は、知らなかったことも多くとても興味深いものでした。それらの中から、特に私の関心を惹いたところをいくつか書き留めておきます。まずは「教育システム」の違いから。(p50より引用)飛び級制度などがあり、個人の「能力」に応じて学びを変える欧米と、「能力」ではなく「年齢」で学びを区切る日本。実はスタートラインから教育に対する考え方は大きく異なっているのだ。という実態の紹介にはじまり、(p57...6ヵ国転校生ナージャの発見(キリーロバ・ナージャ)

  • 〔映画〕天気の子

    新海誠監督作品なので、大いに話題になった作品です。最近のアニメーション映画の映像品質は確かに素晴らしいですね。この作品も当然例外ではありません。とても綺麗です。まあ、ストーリーとしては、特筆するような新機軸を感じるところはありませんが、“100%の晴れ女”というモチーフは面白いですね。むしろ驚きは、声優のみなさんの豪華さです。野沢雅子さんのようなレジェンド、中堅どころの実力者の島本須美さん。それに森七菜さん、小栗旬さん、本田翼さん、神木隆之介さん、上白石萌音さん、そこに倍賞千恵子さんも登場となると実写版映画が一作撮れてしまいますね。「天気の子」DVDスタンダード・エディション醍醐虎汰朗東宝〔映画〕天気の子

  • 〔映画〕デンジャラス・ビューティー

    20年以上前の映画です。だいぶ前に一度観たことがありました。コメディタッチで、プリティ・ウーマン的なプロットですが、プリティ・ウーマンの方がさらに10年ほど前の作品なんですね。ジュリア・ロバーツに比べて、beforeafterを演じるサンドラ・ブロックのわざとらしさが目につきますが、それも確信犯的な演出でしょう。キャスティング面で目を惹いたのは、キャンディス・バーゲンとマイケル・ケインですね。存在感のある脇役が加わるだけで、“B級”であってもそれなりの見栄えになります。特に、マイケル・ケインはウィットに富みながらもほのぼのさせる役回りをうまく演じていたと思います。デンジャラス・ビューティー特別版[DVD]サンドラ・ブロックワーナー・ホーム・ビデオ〔映画〕デンジャラス・ビューティー

  • 江田島殺人事件 (内田 康夫)

    かなり以前によく読んでいた内田康夫さんの“浅見光彦シリーズ”ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。今回も“広島”を選んでみました。広島関係では、先に「後鳥羽伝説殺人事件」を読んだのですが、作品の舞台はピンポイントで私が出張で訪れた所ではありませんでした。なので、直接訪れたところが登場している作品を探し出してリベンジしたというわけです。ネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、この作品の舞台となったは江田島は広島市内から瀬戸内海沿いに東に向かったあたり。最近では話題になった映画「ドライブ・マイ・カー」の中でもその風景が登場しています。作品のモチーフになった戦時下の「海軍兵学校」は、現在では海上自衛隊幹部候補生学校となっています。また、潜水...江田島殺人事件(内田康夫)

  • 〔映画〕コンフィデンスマンJP 英雄編

    地上波で放映されたので録画して観てみました。完全にマンネリ化したシリーズですが、エンターテインメント作品としては単純に楽しめると思います。物語の楽しみ方としても、“騙し騙され”の奇抜さを楽しむほかに、ストーリーのあちこちに散りばめられた伏線を拾っては最終的にすべて回収されるのを確認するといったやり方もありますね。また過去のシリーズも見ているファンにとっては、以前の作品の「オマージュ」を見つけるというのも一興です。本作でも出演者のセリフの中にジェシーやスタアが登場していました。さて、このシリーズ、さらなる続編は作られるのでしょうか?そろそろ“引退”時期のような気がしますが、ともかく“詐欺師”が主人公ですからどうなりますか・・・。【Amazon.co.jp限定】コンフィデンスマンJP英雄編DVD豪華版4988...〔映画〕コンフィデンスマンJP英雄編

  • 〔映画〕銀の匙 Silver Spoon

    人気コミックの実写版です。北海道の農業高校を舞台にした青春群像映画で、モチーフも教育的でとても優等生的なつくりですね。それに合わせて、キャスティングも必ずしもベストフィットとは言えませんが、とてもノーマルです。少々違和感はありつつも広瀬アリスさんの一生懸命に演技に向き合う姿は好感度maxでしたし、中村獅童さん、吹石一恵さん、上島竜兵さんたちは、それぞれの役どころでとてもいい味を出していましたね。映画としては、正直なところ物足りなさ満載ですが、こういったほのぼのテイストの作品は、私は嫌いではありません。特に、舞台が大好きな北海道それも十勝地方ですから、それだけでも私としては満足です。(そういえば、広瀬すずさん主演のNHK朝ドラ「なつぞら」の舞台も“十勝”でしたね)銀の匙SilverSpoonDVD並盛版中島...〔映画〕銀の匙SilverSpoon

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