「ほんの一瞬のこと」この広い大地にひとり立ちすくむ何度も見たはずの青がいつしか赤に染まるその連続性を追いきれぬまま迎えた夕闇の到来暮れなずむ街の風景託されたのだ託されたのだよついに、私しかいなくなった震える冬の日に道端で天を仰ぎふと思い出す細長く白い煙がたなびく青空を見上げたあの夏の日一筋の陽光が私の吐息を溶かす遠のきゆく存在に誰もが思いを馳せた記憶であり、憧れであり、懐かしさであり、憤りであり、そして、雄姿であった今去りゆく無数の時間の断片主役は姿を、そして言葉を失ってしまった数限りない満足と悔恨を残してこみ上げる感情はどこへ持っていけばよいたとえ拳を振り上げたとしても行き場なく地に堕ちるだけ大切なものはかくも容易に失いゆく私を現世へ誘ったあの太陽は草葉の陰で眠る託されたのだ託されたのだよ生きること、笑うこと...ほんの一瞬のこと
「はれのひ」見た目よりゆるやかに流れる星が天空の彼方を駆けて、もしも消え果ててしまったら誰かの覚悟さえも消し去ってしまう。安寧と秩序を求めてさまよう星の数々。ひとつずつ数えてみよう。らら、ららら永遠の背中に乗っかる蝶。春の息吹はまだまだなれど、私の心はなぜか揚々。麗しい日々を思い出したなら、忌まわしい過去を遠ざけてしまおう。いち早く陽だまりだけを集めていたら、あなたの灯が消えてしまった。振り返ればもう届かない虚ろな思い出だけが改めて木陰に映る。輝いていた私。煌めいていたあなた。誰も彼も信じられない歪んだ俗世の中で二人はいつしか出会った。この世の中で私たちをもてあそぶ荒波と、未知なる別の人生をもとめる歩み。私の視界からあなたが消えていなくてよかった。いつの日もあなたがともにいてくれてよかった。夢の切れ端を歩いたら...はれのひ
「永遠旅人」たおやかに流れる水の流れに手を差し出し、手のひらに一瞬収まっては逃げていく無数の光の粒子。遥か幾万光年の彼方からやってきたその波長の断面を捉えた一瞬に脳裏に刻み込まれた美の祭典。その裏側には途絶えることない過去と未来があると海を渡った異邦人が教えてくれた。昨日という過去を乗り越えてやってきた今日という新しい一日。波面がゆらゆらと揺れる、夢のまにまに睡眠と覚醒の狭間で漂う間に光り輝く星々は旅立ってしまった。消えざる過去と創りゆく未来が交錯して足元の影はゆらりと揺らぐ。覆い隠す飛行船の軌跡を避けるように旅人は東へ向かう、地平線の彼方に訪れるであろう太陽の光を浴びるために。これ以上の喜びはないと夕闇の宴で誓った衆生たち。いつまでもこの幸せは続かぬと山河を慈しみながら自然物と人工物が奏でる不協和音を鳥達の囀...永遠旅人
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