すり抜けた光の尾
「すり抜けた光の尾」立木の緑葉が両瞼を閉じたしなる幹、うとうと枝振り頬をくすぐる微かな光の粒視線の主を探すも空の彼方夜空さえまぶしさに彩られ揺れながら、彷徨いながら輝く漆黒の海に木精は漂う星々が目に映らぬ速度で碧の夜空をゆるりと回りその位置を大きく変えてもはや目に見えない境に身を置いたはずの太陽が巡り巡りて我らのもとへそしてひぐらしが鳴く頃うっすらと、うっとりと降り注ぎはじめる陽光は舞い踊るようなリズムで幾千通りの旋律を奏でる皆の者、目覚め、目覚めよ訪れる朝、そして光手のひらの上でたたずむ朝日数え切れぬ光の粒を握り潰しすり抜けた筋が尾を伸ばして無限かつ永遠の時の海を泳ぐ木精は大樹の陰に身を隠して不都合な情景から目を逸らし暖かな陽だまりに身を埋めるそして、誰もがこの暁に遭遇して抱く既視感何度も巡りくる朝年輪に深く...すり抜けた光の尾
2021/09/05 14:49