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  • オヤジのあくび428

    野口聡一「オンリーワン」を読む1 いわゆる偏差値で入れそうな学校を選んで、受験して入学する。中学高校までなら致し方ない部分もあるかもしれないが、そこから先はそこでなにを学べるか? が、はっきりしていた方がいいと思う。宇宙飛行士になりたい野口さんが一浪の末に東大に入ったのは、正解だったと思う。当時宇宙について研究が進んでいたのは、やはり東大だったのだから。 話は飛ぶけれど、野口さんが宇宙飛行士になった当時はスペースシャトルの時代で、輝かしい成果とともに、痛ましいチャレンジャーやコロンビア号の事故のことを思い出してしまう。野口さんにとっては、フライト予定が確定していたタイミングでのコロンビア号の事…

  • オヤジのあくび427

    土屋昭之「老いよドンと来い!」を読む2 寿とは私たちの身体=ボディーなのですが、元々はゼロから生まれたものです。胎内に私たちが生命を宿した時から、無量の栄養を取り入れ、細胞分裂を繰り返し、現在の私たちのボディーとなりました。そこには母親を始めとする無量の人々の関わりがあり、お陰で私たちは今生きているのです。それに感謝する言葉が「無量の寿の命ずるところへ帰る、ありがとう」で、念仏に言い換えれば「南無阿弥陀仏」なのだと著者は説きます。 ここまで内容を紹介してきて「老いよドンと来い」の老いが、物理的に生きてきた時間によるものではなく、老若を問わず「どう生きていれば」寿命を全うできるか? に軸足を置い…

  • オヤジのあくび426

    土屋昭之「老いよドンと来い!」を読む1 仏教の本だから当然釈尊の教えが随所に登場する。初めに出てくるのが「世間のモノサシに道理のモノサシを添える」世間のモノサシを服を注文した人の身体、道理のモノサシを仮縫いした洋服に例えている。それから初めて本縫いに入るという。このステップを抜かしてしまったことによるトラブルの数々を思い起こさせる例え話です。 次に「思い通りにならないことがありがたい」日々ストレスの中でもがき苦しんでいる自分にとって「?」と意表を突かれた感じですが、苦しみから自分を解き放つためには、心の持ちようをシフトしないといけないのでしょうね。 「言葉が通じる世界が人間の世界。言葉が通じ合…

  • オヤジのあくび425

    竹内一正「イーロン・マスク」を読む2 本書を読んでいて、マサチューセッツ工科大学の「不服従賞」を知りました。既得権益に対して常に闘いを挑み続けているイーロン・マスクの生き方にふさわしいように感じます。 彼の学生時代の専門は物理学で「物理学レベルまで戻って考え直す」ことが様々な変革のベースになっているようです。実は科学の力でより正確な地点に辿り着けるはずなのに、アナログ的なぬるま湯に浸っているのが気持ちがいい世界がありそうです。それを言っちゃおしまいよ! かもしれませんが、音楽・美術など芸術系は、まだまだアナログ的で曖昧な美意識が横行している気がします。例えばハーモニーなど、純正にたどり着くため…

  • オヤジのあくび424

    竹内一正「イーロン・マスク」を読む1 彼の行動は「人類と地球を救う」信念に裏付けられていると言う。電気自動車のテスラにしても、ハイパーループという交通システムにしても、そして火星への移住を見据えたロケット開発も、さらにはAIの進化に人類が支配されてしまわないためのニューラリンク社など、全て人類と地球を救うための事業の一環らしい。それらは同時に私たち人類がどのような危機と直面しているのか? の裏返しでもある。 読み進めるにつれて、ギブンコンディションに甘んじている日本の会社員、公務員のことを思い浮かべていた。歴史上織田信長のような存在は、いかにも稀有であり、だからこそ憧れるのかもしれない。私は教…

  • オヤジのあくび423

    若松英輔「詩と出会う、詩と生きる」を読む2 本当に そう思わなければ 祈りでは なく 呟きなんだ 岩崎航 全ての思いを動員し、全集中した時に祈りが生まれる。そうか、うわべの言葉や音だけの歌では、何も通じないと改めて気づかされる。 深海に生きる魚族のやうに、 自らが燃えなければ何処にも光はない 明石海人 岩崎さんは、筋ジストロフィーを発病し、明石さんは戦前の治療法が確立されていない時代のハンセン病患者でした。病を抱えて生と向き合う姿は、正岡子規を想像させます。 乾かない 心であること 涙もまた こころの 大地の潤いとなる 岩崎航 私は子どもの頃、大変な泣き虫で小学校高学年や中学生になっても些細な…

  • オヤジのあくび422

    若松英輔「詩と出会う、詩と生きる」を読む1 著者は平易な言葉を用いて、まるで先生が生徒に諭すようにとてつもなく深く広い世界を案内していく。岡倉天心、中原中也、紀貫之、正岡子規と辿っていくが、各章が一つの授業のように伝えたい内容が、明確な輪郭をもっていることは読者にとってありがたい。 そして妻の死と向き合った吉野秀雄の短歌、妹の死をきっかけに変化していく宮沢賢治の詩に至る。私も身内を見送っている。時間がドロドロとして一向に前に進まない! 水面が見えない底なしの泥沼に吸い込まれ溺れていくような・・あの感覚は今も忘れられない。短歌や詩は書いていないけれども、その後の私はどこか見えない世界からの自分を…

  • オヤジのあくび421

    高齢であることをウリや楽しみにするためには? 自分には若い頃ほどの元気やパワーはない。収入は年金が頼り。自分が積み立てたお金を受け取っているなら後ろめたいことはないが、実は若い世代の稼ぎからいただいている仕組みと聞くと後ろめたい。もちろん金がかかる趣味には手を出さず、飲み会を減らす。ダウンサイジング。 例えば、ネット上に仮想空間「悠々自適共和国」のような世界を用意して、そこで自分のアバターが一市民として、若い頃に成し得なかった生活を送るとか、現役時代の続きを過ごすとかできないのかな? 所詮リアルじゃないけど、悠々自適共和国で生まれた発想が、仮想空間から現実に還元されたっていいと思うし。 まぁ、…

  • オヤジのあくび420

    マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む5 機械に操作・コントロールされない未来を守るために、メイソンはヒューマニズムを、さらには人間に対する影響を食い止めるための規制が必要だと説く。前の対談者マルクス・ガブリエルが倫理を持ち出してきたのに似ていて、やはりそこかよ! という気持ちに陥ってしまう。 ここで私は敢えて宣言しよう!「スマホ漬け、ゲーム漬けの日々を送っている万国のネット中毒者よ! 自分の心と頭を取り戻せ!」と。そういうあんたもブロガーの一人じゃないの? その通り。けれどボクはネットに対して、蟻地獄的な受け身にはなっていないつもりです。あくまでも発信のためのネット利用で…

  • オヤジのあくび419

    マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む4 対談の最後に登場するのは、ポール・メイソン。ポストキャピタリズムを著し、注目されているジャーナリストだ。 潤沢な社会の実現によって、今まで資本が投下され利潤を上げていたものが、限りなく無料に近づく。その位私たちの身の回りは消耗品で溢れてしまったし、かつては高価で手が出せなかったものも、驚くべき安価で手に入るようになった。そして、それは情報化社会と大いに関係している。情報化という新たな技術革新は、産業革命以来次々と起こった売れて利潤をもたらす商品を産まないのだ。 このブログもFacebookにリンクを貼っていますが、Facebookか…

  • オヤジのあくび418

    マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む3 相対主義は他者を非人間化する! と警鐘を鳴らす。自明の真実をねじ曲げ、他者他国と線を引く。自分は自分、他人は他人という思考が極端化して相互理解など吹き飛んでしまったところに、大きなトラブルが発生してしまう。 「世界は存在しない」というマルクス・ガブリエルの新実在論が紹介される。世界という何やら包括的な概念を用いて、その仕組みを解き明かそうと先人たちは努力して来たが、そんなものはないと言う。私たちは今も目の前に態度を合わせている事実があるだけでそれだけなのだと。それを意味の場と呼んでいる。そして事実とは自分の意識から独立した外側にある…

  • オヤジのあくび417

    マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む2 こうしてブログを書き込んでいることに、私は搾取されている感覚があまりなかった。けれど私の書き込んだ内容をAIで分析すれば(多分誰もしないとは思うけど)、私個人の傾向や資質が抽出され、結果大して役にも立たない人であることがわかるだろう。企業あるいは組織は、個人を歯車の一部として使い切るために、個人の知識や能力をできる限り搾り取った上で、マニュアルを叩き込んで使いこなす。これがAI時代の到来によって、よりスピーディーに無駄なくできるようになってしまったのだ。そのうち個人成長歴や思想傾向など全てがデータ化されて、どこかに置かれ、利用尽くさ…

  • オヤジのあくび416

    マルクス・ガブリエル他 斎藤幸平編「未来への大分岐」を読む1 最初に登場するのは、マイケル・ハート。ボクもネグリとの共著「マルチチュード」を読みかじって書棚の片隅に鎮座している。冒頭から資本主義は飼い慣らせるのか? と刺激的な発言が出てくる。 当然政治の力に話題は及ぶ。あまたの社会運動の消長が示すように、水平的に連帯感だけを頼りに社会を変革することは難しい。逆に多くの支持を得たリーダーが新たな未来を示してきた歴史はたしかにある。ところが、この人で本当にいいのか? という例もあり、ナポレオン3世から現在の指導者まで名前が挙がるが、真反対の立ち位置なのに票を投じてしまうのは、仲間と思わせるトリック…

  • オヤジのあくび415

    水谷修「夜回り先生」を読む 子どもたちの心は、とても柔らかい。硬い殻に包まれてはいないのだ。そして周囲の環境によって大きく揺れ動く。自力ではどのように努力しても乗り越えられない壁を、私は差別だと感じる。多数対一人の構図が多いいじめ、子どもに対する虐待、広げれば障がい、性別、出身などもそうだ。この本に出てくる子どもたちも定義付けすれば、社会の中で差別されている子たちだ。けれど病名をつけたところで治療法がなければどうしようも無い状況と同様で、彼ら自身が自分を取り巻く環境をどう乗り越えようとしているのか? そして当人に教師としてどう寄り添えるのか? この本は自問自答を繰り返している。 この本には、何…

  • オヤジのあくび414

    三谷雅純「ヒトは人のはじまり」 著者は霊長類学者。サルや類人猿の社会や行動を通して見えてくる人間っての本質を探る科学なのだそうだ。 ネアンデルタール人から現代のヒトに移り変わる過程で「文化のビッグ・バン」が起きて、ヒトは言葉を獲得したと言う。 さて本書には、もちろんチンパンジーやゴリラの話がたくさん出てくるが、それ以上に障がいのある方の話やフィールドワークで訪れた村でのアフリカの人々の交流に紙面が割かれている。本書はとても読みやすいのだが、筆者によればそれは自身が漢字の理解に対してLDだからと言う。また脳梗塞を患った経験からだろうか? 身体に障がいがある人への眼差しが共感的だ。いわゆる共生社会…

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